JPH11165155A - 油脂の処理方法 - Google Patents
油脂の処理方法Info
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- JPH11165155A JPH11165155A JP33053297A JP33053297A JPH11165155A JP H11165155 A JPH11165155 A JP H11165155A JP 33053297 A JP33053297 A JP 33053297A JP 33053297 A JP33053297 A JP 33053297A JP H11165155 A JPH11165155 A JP H11165155A
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Abstract
多量の油脂を簡便に処理でき、また、窒素含有率の低い
有機物でも従来に比して簡便な手順で共に処理できる方
法を提供する。 【解決手段】 油脂を有機物と共に微生物により分解処
理する油脂の処理方法において、油脂を分散または乳化
して分解処理に施すことを特徴とする油脂の処理方法。
Description
る方法に関する。さらに詳しくは、油脂、例えばレスト
ラン、ホテル、飲食店、結婚式場、団体給食等の外食産
業から排出される廃食用油と、有機物、例えば生ゴミ、
厨芥とを効率的且つ簡便に分解処理する方法に関する。
い三大栄養素の一つとして古くから用いられている食品
であるが、一般家庭および外食産業および食品工業等か
ら排出される廃食用油による水環境の汚染をはじめとし
て自然環境に与える影響が問題となっておりその処理方
法について対応がなされている。
埋め立て処分をしたり、石鹸、飼料、塗料等の原料とし
て再生処理したり、近年では代替燃料として再生処理し
たりしている。しかしながら、焼却処分する場合、廃食
用油は他の可燃ゴミと比較して燃えにくいことから焼却
コストがかかる。焼却または埋め立て処分した場合、有
毒なガスや残留物の発生を伴う場合があることからその
方法の規制が厳しい。その結果廃油の焼却処理または埋
め立て処理を伴う設備の整備および管理にも手間とコス
トがかかり、また設備が巨大化する原因ともなってい
た。廃食用油を再利用する方法として石鹸、飼料、塗料
等の原料として再生処理する方法が進められているが、
廃食用油は排出される場所によりその成分が異なるため
一律の処理がし難く、手間と時間を要しさらにその再利
用範囲も限られるという問題があった。
堆厩肥を製造する際に油脂を添加する方法(特開昭53
−17167号公報)、コンポスト製造する際の炭素源
に廃食用油を用いる方法(特開平7−315972号公
報)が提案されている。これらの方法では、醗酵物質中
の水分を調節し通気性をもたせる目的でおがくずなどの
多孔性物質を併用しているが、油脂をそのまま添加する
と、多孔性物質の通気性能および保水性能を著しく低下
せしめるため、添加できる油脂の量は、有機物質の最大
約10%程度と少量である。これを超えて添加すると、
油脂が過剰となり好気的条件を維持するのに必須な多孔
性物質の表面を覆ってしまうためその能力が低下し、嫌
気状態となり醗酵がなされなくなる。また、窒素含有率
が低い厨芥等の有機物とともに油脂を処理した場合、窒
素栄養不足により微生物の活性が低下するため、さらに
嫌気状態となりやすく醗酵がなされなくなるという問題
があった。このため、従来の技術では、共に処理する有
機物として窒素含有率の高い家畜糞尿混合物等を用いる
か、微生物活性に見合った量の油脂しか処理できなかっ
た。更に適正範囲にC/N比を調整するために原材料の
配合比もしくは廃食用油の添加量を十分な実験により決
定する必要があり、誰にでも容易に操作できる方法では
なかった。
的は、複雑な手順を要することなく、従来に比して多量
の油脂を簡便に処理でき、また、窒素含有率の低い有機
物でも従来に比して簡便が手順で共に処理できる方法を
提供することにある。
進めた結果、意外にも、油脂を水分との分散または乳化
状態で存在させることにより、醗酵状態を好気的に良好
に保つことができ、加えて、油脂を分解するのに適した
微生物相が形成されることを見出し、本発明を完成させ
るに至った。
生物により分解処理する油脂の処理方法において、油脂
を分散または乳化して分解処理に施すことを特徴とする
油脂の処理方法を提供するものである。また本発明は、
多孔性物質を併用する前記の油脂の処理方法を提供する
ものである。さらに本発明は、併用される多孔性物質
が、おがくず、かんなくず、バーク、木屑、パルプ、籾
殻および稲わらからなる群から選択される1種または2
種以上である前記の油脂の処理方法を提供するものであ
る。さらにまた本発明は、有機物が生ゴミまたは厨芥で
ある前記の油脂の処理方法を提供するものである。また
本発明は、有機物として、おがくず、かんなくず、バー
ク、木屑、パルプ、籾殻および稲わらからなる群から選
択される1種または2種以上の多孔性物質を用いる前記
の油脂の処理方法を提供するものである。さらに本発明
は、油脂が廃食用油である前記の油脂の処理方法を提供
するものである。さらにまた本発明は、醗酵槽を有する
生ゴミ処理機を用い、前記醗酵槽に油脂および有機物を
充填し、微生物による分解処理を行う前記の油脂の処理
方法を提供するものである。また本発明は、分解処理す
るに際し、さらに窒素源を添加する前記の油脂の処理方
法を提供するものである。さらに本発明は、窒素源が、
硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウ
ム、リン酸三アンモニウム、リン酸水素二アンモニウ
ム、リン酸二水素アンモニウム及びこれらの水和物から
なる群から選択された少なくとも1種である前記の油脂
の処理方法を提供するものである。
散状態で存在することが重要である。前記のような状態
で存在させるには、例えば、油脂を乳化または分散状態
で処理系に添加するか、油脂を処理系に添加して乳化ま
たは分散させることができる。乳化状態で存在させるこ
とで、その作用機作は未だ明らかではないが、油脂が多
孔性物質の表面を覆いその能力を低下せしめることが起
こり難くなるので、従来よりも大量の油脂を処理するこ
とができる。
脂の種類は特に限定されない。家庭、外食産業、食品工
業等から排出される、揚げ物や炒め物で使用した油・揚
げかす・ドレッシング等の動植物性油脂等をはじめとし
た、廃食用油を処理できる。
水相の種類は特に限定されない。例えば、水、各種水溶
液、各種スープ、各種調味料、各種飲料等であることが
できる。
が好ましい。
化させる手段としては、分散剤または乳化剤を用いるこ
とができる。この際用いる分散剤又は乳化剤は特に限定
されないが微生物活性を阻害しにくいものが望ましい。
例えば、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセ
リンモノステアリン酸エステル等のグリセリン脂肪酸エ
ステル、ソルビタンステアリン酸エステル等のソルビタ
ン脂肪酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル等のシ
ョ糖脂肪酸エステル、ステアリル乳酸カルシウム、ポリ
オキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシ
エチレンアルキルフェニルエーテル、ドデシルポリオキ
シエチレンエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロ
ックコポリマー、ポリエチレングリコールオレイン酸エ
ステル等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポ
リオキシエチレンソルビタンモノパルミチン酸エステル
等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラ
ウリン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールア
ミド、2−ウンデカシル−N−カルボキシメチル−N−
ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のイミダ
ゾリニウムベタイン類、アルキルエーテルナルフェー
ト、ラウリン酸ナトリウム等の脂肪酸モノカルボン酸
塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキ
ルベンゼンスルホン酸塩(ABS)、直鎖アルキルベン
ゼンスルホン酸塩(LAS)、硫酸ドデシルナトリウム
等の硫酸アルキル塩、硫酸ドデシルポリオキシエチレン
塩等の硫酸アルキルポリオキシエチレン塩、モノラウリ
ルリン酸ナトリウム等のアルキルリン酸塩、レシチン、
リゾレシチン、カゼインをはじめとするタンパク質、タ
ンパク質加水分解物、ポリビニルアルコール、ポリエチ
レン、サポニン、澱粉、卵白、ゼラチン、寒天、植物性
樹脂、蝋、セルロース等が挙げられる。またその使用量
は処理する廃食用油の性状等により適時調整することが
できるが、一般的には、廃食用油に対して1%重量以下
の添加で充分に効果を発揮する。
物の好気的発酵により分解できる有機物であれば限定さ
れない。例えば生ゴミのような厨芥の他、コーヒー粕、
酒粕、ビール粕、澱粉、畜肉、魚肉、汚泥、畜産廃棄物
等が挙げられる。また、廃食用油を処理する場合は、生
ゴミのような厨芥を用いれば、一つの厨房から排出され
る廃食用油と厨芥を同時に処理できる利便性に優れる。
また、多孔性物質の添加によって醗酵系内の通気性およ
び/または保水性がさらに維持されやすくなり、好まし
い。多孔性物質は、通気性および/または保水性を有す
ればとくに限定されず、おがくず、かんなくず、バーク
(樹皮)、木屑、パルプ、籾殻、稲わら、有機繊維物質
等の有機基材、セラミック、活性炭、無機繊維物質等の
無機基材等を用いることができる。なお、有機基材を用
いる場合は、他の有機物との併用の方が効果的ではある
が、該有機基材が生物の好気的醗酵により分解できるも
のであれば、他の有機物との併用である必要は必ずしも
ない。無機基材を用いる場合は、他の有機物との併用が
必要である。
により油脂を分解できる微生物であれば特に限定されな
い。例えば、Bacillus属(B.subtilis)、 Pseudomonas
属、 Agrobacterium属、 Streptcoccus属等の細菌、Actin
oplanes属(A. Caeruleus等)、 Nocardia属(N. Minim
a等)、Streptmyces属(S. Rimosus等)等の放線菌、Aspe
rgillus属(A. flavus)、Ppenicillium属(P. citrinu
m)、Fusarium属(F. moniliforme)、Helminthosporium属
(H. oryzae)、Mucor属(M. Racemosus)、Absidia属(A.
Coerulea)、Gilbertella属(G. Persicaria)、Amylomyce
s属(A. Rouxii)、Rhizopus属(R. Oryzae)、 Cunningham
ella属(C. blakesleeana)等の所謂糸状菌が挙げられ
る。
入してくるものも利用でき、また、油脂や有機物に付着
しているものを利用することもでき、また、接種するこ
ともできる。有機物が良好に好気的醗酵すると、醗酵の
初期には枯草菌が、醗酵の中期・後期には、糸状菌およ
び/または放線菌がそれぞれ支配的となるような微生物
相の変化が起こる。このとき、糸状菌および放線菌が支
配的な微生物相は油脂の分解を行うのに適する。これ
は、糸状菌は一般的な細菌と比較して油脂分解能が高く
廃食用油のような油脂を短期間で分解でき酸性領域にお
ける生育活性が高いこと、放線菌は有機酸特に脂肪酸の
分解能が高く、酸性領域における生育活性が高いことに
よる。
化させることなく好気醗酵させても、油脂の添加量を制
限する等しない限り良好な好気的醗酵をすることはな
く、前記微生物相を形成させるのは困難である。ところ
が、本発明では、醗酵系として有機物と油脂の乳化物ま
たは分散物とを混合し、静置等するだけて、意外にも、
容易に前記微生物相を得ることができる。
で処理する必要はなく、連続的に、例えば、毎日1回ず
つ油脂を追加投入することができる。この場合、醗酵が
進み放線菌および/または糸状菌が支配的となった時の
有機物と油脂の混合物またはその一部に、乳化または分
散させた油脂をさらに添加するため、細菌が支配的とな
るフェーズを省略でき更に早く効果的に油脂を処理する
ことができる。
用いる油脂、有機物との組み合わせにより適宜設定でき
る。従来よりも大量の油脂を添加できるが、有機物がエ
マルジョンに完全に浸ってしまわない状態に保つことが
できる範囲であることが重要である。
乳化させない従来の方法では油脂の処理量は対有機物最
大10重量%であったが、本発明では対有機物35重量
%まで実施できる場合がある。また連続的に、例えば毎
日1回ずつ油脂を追加投入する場合では1日あたり対有
機物20重量%まで処理し得る。
比を調整することができる。好ましいC/N比は7〜1
0であり、C/N比を調節することで、微生物の分解活
性が高めに維持され、調節しない場合よりも短い時間・
日数で処理を完了することができる。
アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸三アンモニウ
ム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニ
ウムまたはこれらの水和物が挙げられる。特に、リン酸
三アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二
水素アンモニウムまたはこれらの水和物では緩衝能を有
するため更に好ましく用いることができる。
る。また、任意の手段により攪拌し、醗酵を促進するこ
ともできる。たとえば、生ゴミ処理機等の醗酵槽を用
い、槽の底部又は側面から酸素を供給し醗酵を促進する
こともできる。
70℃が醗酵速度が速く好ましい。なお、本発明では糸
状菌または放線菌が支配的な時は、油脂を分解した反応
熱が炭水化物を分解した場合よりも多く発生するため、
一般的にはヒーター等により加温する必要はないが、醗
酵初期の枯草菌等が支配的な時などの他、所望により加
温できる。いずれの場合も良好に油脂の分解がなされ
る。
と有機物の混合物に新たに油脂及び又は有機物を添加す
ることができる。これにより、更に早く、効果的に処理
ができる。
機物の混合物の温度変化、二酸化炭素放出量の変化、脂
肪酸量の変化などにより判定できる。終了までに要する
時間は、処理する油脂、使用した有機物により異なる
が、バッチ式では混合後静置した場合、一般的には、2
ヶ月程度あれば、肥料・土壌改良資材として散布した
り、燃料として使用したりすることができる。連続的に
した場合は、最後の投入が終了してから、静置した場
合、同様に2ヶ月程度あれば、上記の如き用途に使用で
きる。撹拌および/または通気等の手段により酸素を供
給した場合は、いずれも更に短期間で上記の様な用途に
使用できる。
に具体的に説明するが、本発明は下記例に限定されるも
のではない。
培地の組成は以下のとおりである。 一般細菌:酵母抽出物(DIFCO社製) 1.0g リン酸一水素二カリウム 0.3g リン酸二水素一カリウム 0.2g グルコース 1.0g 硫酸マグネシウム7水和物 0.2g 蒸留水 1000ml
0g グルコース 20.0g 蒸留水 1000ml
ルの醗酵槽内に、1000gの杉のおがくず(含水率5
0%)を充填した後、含水率60%に調整した粉砕ドッ
クフード200gおよび枯草菌(Bacillus subtilis)
(5.8×108cell/mlを10ml)を投入し、杉のおがくずと
十分に攪拌した(以降、醗酵物質1という)。ついで発
酵槽内に500ml/min.の速度で空気を通気して分解を
開始させた。24時間後に醗酵物質1を2等分して、市
販のサラダ油100g、大豆レシチン1g、及び蒸留水
100gを攪拌し乳化(水中油型)させたものを一方に
供給した(以降、E1と記す)。これを実施例1とす
る。 醗酵物質1の他の一方に、市販のサラダ油100
gおよび蒸留水100gを乳化させずに供給した(以
降、C1と記す)。これを比較例1とする。なお、サラ
ダ油の分解程度は、分解熱をE1、C1中に温度センサ
ーを挿入して測定し、また、排出されるガス中の二酸化
炭素発生量を二酸化炭素測定装置により測定することに
より評価した。
した後の二酸化炭素発生濃度の経時変化を図1に、E
1、C1の温度の経時変化を図2に示す。図1および2
から分かるように、本発明の方法では、乳化させていな
い場合に比して、二酸化炭素濃度は高めに維持され、ま
た、温度も高めに維持される。すなわち、分解活性が高
い状態で進行していることが分かる。
その1gあたり、放線菌が3.0×108cellであり、糸状菌
が1.1×105cellであったが、C1ではその1gあたり、
放線菌が6.7×103cellであり、糸状菌が1×103cell未満
であった。このように、本発明の方法では、乳化させて
いない場合に比して、放線菌、糸状菌ともよく生育し、
分解活性が高いことが示された。
したところ、油脂は十分に分解され、またその成分を分
析したところ、肥料・土壌改良資材として十分に使用が
できることがわかった。この時の微生物を上記に示す選
択培地で培養することにより分類したところ、一般細菌
の他、糸状菌・放線菌が高濃度で検出された。ところ
が、乳化物とせずに供給したC1を取り出したところ、
まだ油脂が残っており、肥料等としての使用には堪えな
いことが明らかであった。この時の微生物は一般細菌が
多く、糸状菌・放線菌はほとんど検出されなかった。
ルの醗酵槽内に、1000gの杉のおがくず(含水率5
0%)を充填した後、中華レストランより排出された厨
芥(含水率65%)200gに市販の微生物製剤(四国
化成工業(株)製 コンポダッシュエース)0.2gを
投入し、杉のおがくずと十分に攪拌した(以降、醗酵物
質2という)。ついで発酵槽内に500ml/min.の速度
で空気を通気して分解を開始させた。24時間後に醗酵
物質2を2等分して、一方に、大豆油150g、卵黄レ
シチン1g、及び水道水350gを攪拌し乳化(水中油
型)させたものを供給した。さらに24時間後、同様
に、大豆油150g、卵黄レシチン1g、及び水道水3
50gを攪拌し乳化(水中油型)させたものを供給した
(以降、E2と記す)。これを実施例2とする。醗酵物
質2の他の一方に、大豆油150g、及び水道水350
gを乳化させずに分割時とその24時間後にそれぞれ供
給した(以降、C2と記す)。これを比較例2とする。
施例2および比較例2についての油を供給した後の二酸
化炭素発生濃度の経時変化を図3に示す。図3から分か
るように、本発明の方法では、乳化させていない場合に
比して、二酸化炭素濃度は高めに維持される。すなわ
ち、分解活性が高い状態で進行していることが分かる。
2ではその1gあたり、放線菌が3.0×108cellであり、
糸状菌が1.1×105cellであったが、C2ではその1gあ
たり、放線菌が3.4×103cellであり、糸状菌が1×103ce
ll未満であった。このように、本発明の方法では、乳化
させていない場合に比して、放線菌、糸状菌ともよく生
育し、分解活性が高いことが示された。
出したところ、油脂は十分に分解され、またその成分を
分析したところ、肥料・土壌改良資材として十分に使用
ができることがわかった。この時の微生物は一般細菌の
他、糸状菌・放線菌が高濃度で検出された。ところが、
乳化物とせずに供給した混合物を取り出したところ、ま
だ油脂が残っており、肥料等としての使用には堪えない
ことが明らかであった。微生物は一般細菌が多く、糸状
菌・放線菌はほとんど検出されなかった。
処理機(三井ホーム社製BMA0001)に、4.3kgの杉
のおがくず(含水率38%)を充填した後、洋食レスト
ランから排出された厨芥(含水率67%)1kgを投入
し、杉のおがくずと十分に攪拌した(以降、醗酵物質3
という)。24時間後に醗酵物質3を2等分して、揚げ
かす200g(油90g相当)、大豆レシチン1gを攪拌
しながら供給し厨芥に含まれる水分と乳化(水中油型)
させた。さらに24時間後、同様に、揚げかす200g
(油90g相当)、大豆レシチン1gを攪拌しながら供給
し厨芥に含まれる水分と乳化(水中油型)させた(以
降、E3と記す)。これを実施例3とする。醗酵物質3
の他の一方に、分割時とその24時間後にそれぞれ、揚
げかす200g(油90g相当)を攪拌しながら供給した
(厨芥に含まれる水分とは乳化させなかった。(以降、
C3と記す)。これを比較例3とする。
施例3および比較例3についての油を供給した後のE
3、C3の温度の経時変化を図4に示す。図4から分か
るように、本発明の方法では、乳化させていない場合に
比して、温度も高めに維持される。すなわち、分解活性
が高い状態で進行していることが分かる。
3ではその1gあたり、放線菌が1.9×1010cellであ
り、糸状菌が9.3×106cellであったが、C3ではその1
gあたり、放線菌が7.5×104cellであり、糸状菌が2.5
×104cellであった。このように、本発明の方法では、
乳化させていない場合に比して、放線菌、糸状菌ともよ
く生育し、分解活性が高いことが示された。
乳化物を供給したE3を取り出したところ、油脂は十分
に分解され、またその成分を分析したところ、肥料とし
て十分に使用ができることがわかった。この時の微生物
は糸状菌が支配的あった。
/N比は26.9、窒素含有率は2.1%、リン酸含有
率は1.8%(ともに乾燥重量)と、堆肥として使用す
る場合の有効成分としての評価基準を上回る値を示し
た。この時の微生物は一般細菌の他、糸状菌・放線菌が
高濃度で検出された。ところが、乳化物とせずに供給し
た混合物C3を取り出したところ、まだ油脂が残ってお
り、肥料等としての使用には堪えないことが明らかであ
った。この時の微生物は一般細菌が多く、糸状菌・放線
菌はほとんど検出されなかった。
処理機(ヤンマー農機製SB15)に、集団給食から排出さ
れた厨芥(含水率75%)1kgを充填した後、洋食レ
ストランから排出された廃食用油150gとカゼインタ
ンパク1gを添加し、攪拌して厨芥中の水分と乳化(水
中油型)させた。さらに24、48、72および96時
間後に、同様に、廃食用油150gとカゼインタンパク
1gを添加し、攪拌して乳化(水中油型)させた(以
降、E4と記す)。これを実施例4とする。また、カゼ
インタンパクを添加せず、乳化もさせなかった他は同様
の操作を行った(以降、C4と記す)。これを比較例4
とする。
実施例4および比較例4についての油を最初に供給した
後のE4、C4の温度の経時変化を図5に示す。図5か
ら分かるように、本発明の方法では、乳化させていない
場合に比して、温度も高めに維持される。すなわち、分
解活性が高い状態で進行していることが分かる。油を最
初に供給した7日後の微生物は、E4ではその1gあた
り、放線菌が1.7×1012cell糸状菌が1.7×107cellであ
ったが、C4ではその1gあたり、放線菌が9.5×104ce
ll糸状菌が5.3×104cellであった。このように、本発明
の方法では、乳化させていない場合に比して、放線菌、
糸状菌ともよく生育し、分解活性が高いことが示され
た。
り放線菌、糸状菌、一般細菌をそれぞれ分離し、pHを
4、5、6に調整した各選択培地に放線菌は3.6×103ce
ll/ml、糸状菌は1.1×103cell/ml、一般細菌は3.0×103
cell/mlをそれぞれ別個に懸濁し、37℃、36時間、
150rpmで振とう培養処理した。それぞれのpH懸濁
液中の微生物濃度を図6に示す。図6の試験結果によれ
ば実施例4の放線菌、糸状菌は酸性領域においても微生
物濃度が増大しており、生育活性が高いことを示してい
る。
状菌を1.1×103cell、実施例4の発酵物質より分離した
一般細菌を3.0×103cell、排水中の油処理に用いられて
いる市販の微生物製剤を1mg(4.5×104cell)を、酵
母エキス0.3%、燐酸水素二カリウム0.1%溶液
(pH6.8)100mlにサラダ油1gを加えた試料
液に、それぞれ懸濁し、37℃、36時間、150rp
mで振とう培養処理した。それぞれのサラダ油分解率を
n−ヘキサン抽出物量により比較したものを表1に示
す。
が高いことを示している。また、酵母エキス0.3%含
有燐酸水素二カリウム0.1%溶液(pH6.8)100
mlに酢酸20μl、L−乳酸20μl添加した試料液
(pH5.9)に、実施例4の発酵物質より分離した放
線菌を3.6×103cellと、実施例4の発酵物質より分離し
た一般細菌を3.0×103cellとを、それぞれ懸濁し、37
℃、36時間、150rpmで振とう培養処理した。ま
た、微生物を懸濁しない以外は上記と同様の試験をした
ものをブランクとした。それぞれの有機酸分解率をイオ
ン排除クロマトグラフィーの測定結果により比較したも
のを表2に示す。
分解能が高いことを示している。
ルの発酵槽内に、1000gの杉のおがくず(含水率5
0%)を充填した後、和食レストランから排出された厨
芥(含水率71%)200gを投入し十分に混合した
(醗酵物質5)。ついで醗酵槽内に500ml/分の速
度で空気を通気して分解を開始させた。8日後に醗酵物
質5を2等分して、市販のサラダ油50g、及び蒸留水
50gを攪拌し乳化(水中油型)させたものを一方に供
給した。同様の乳化物をさらに10、12、14、16
日後に供給した。(以降、E5と記す)。これを実施例
5とする。他の一方に、同様に10、12、14、16
日後に市販のサラダ油50gおよび蒸留水50gを乳化
させることなく供給した(以降、C5と記す)。これを
比較例5とする。
施例5および比較例5についての油を供給した後のE
5、C5の、二酸化炭素発生濃度の経時変化を図7、温
度の経時変化を図8に示す。図7および8から分かるよ
うに、本発明の方法では、乳化させていない場合に比し
て、二酸化炭素濃度は高めに維持され、また、温度も高
めに維持される。すなわち、分解活性が高い状態で進行
していることが分かる。
給したE5を取り出したところ、油脂は十分に分解さ
れ、またその成分を分析したところ、肥料又は土壌改良
資材として十分に使用ができることがわかった。この時
の微生物は一般細菌の他、糸状菌・放線菌が高濃度で検
出された。ところが、乳化物とせずに供給したC5を取
り出したところ、まだ油脂が残っており、肥料等として
の使用には堪えないことが明らかであった。微生物は一
般細菌が多く、糸状菌・放線菌はほとんど検出されなか
った。
に、1000gの杉のおがくず(含水率50%)を充填
した後、含水率60%に調整した粉砕ドックフード20
0gおよび市販の微生物製剤(四国化成工業(株)製
コンポダッシュエース)0.2gを投入し、杉のおがく
ずと十分に混合した(醗酵物質6)。ついで発酵槽内に
500ml/min.の速度で空気を通気して分解を開始さ
せた。2日後に醗酵物質6を2等分して、一方に、市販
のサラダ油100g、及び蒸留水100gを攪拌し乳化
(水中油型)させたものを供給した。さらに4、6、
8、10日後に同様の乳化物を供給した。(以降、E6
と記す)。これを実施例6とする。醗酵物質6の他の一
方に、市販のサラダ油100g、及び水道水100gを
乳化させずに分割時とその4、6、8、10日後にそれ
ぞれ供給した(以降、C6と記す)。これを比較例6と
する。
施例6および比較例6についての油を供給した後の二酸
化炭素発生濃度の経時変化を図9に示す。図9から分か
るように、本発明の方法では、乳化させていない場合に
比して、二酸化炭素濃度は高めに維持される。すなわ
ち、分解活性が高い状態で進行していることが分かる。
したところ、油脂は十分に分解され、またその成分を分
析したところ、肥料・土壌改良資材として十分に使用が
できることがわかった。この時の微生物は一般細菌の
他、糸状菌・放線菌が高濃度で検出された。ところが、
乳化物とせずに供給したC6を取り出したところ、まだ
油脂が残っており、肥料等としての使用には堪えないこ
とが明らかであった。微生物は一般細菌が多く、糸状菌
・放線菌はほとんど検出されなかった。
酵槽内に、1000gの杉のおがくず(含水率50%)
を充填し、バチルスサブチルス(Bacillus subtilis)
(5.8×108cell/mlを10ml)を投入した後、含水率60
%に調整した粉砕ドックフード50g、市販のサラダ油
100g、大豆レシチン1gおよび蒸留水300gを乳
化(水中油型)させ、リン酸水素二アンモニウムととも
に投入し、杉のおがくずと十分に混合した(C/N比=
10)。次いでついで発酵槽内に500ml/min.の速
度で空気を通気して分解を開始させた(以降、E7と記
す)。これを実施例7とする。リン酸水素二アンモニウ
ムを添加しない他は、実施例7と同様の操作を行った物
(以降、E8と記す)を実施例8とする。
施例7および実施例8についての油を供給した後の二酸
化炭素発生濃度の経時変化を図10に、温度の経時変化
を図11に示す。
明の方法では、二酸化炭素濃度は高めに維持されるが、
C/N比を調整することで更に二酸化炭素濃度は高めに
維持される。すなわち、分解活性が高い状態で進行して
いることが分かる。
取り出したところ、油脂は十分に分解され、またその成
分を分析したところ、肥料・土壌改良資材として十分に
使用ができることがわかった。この時の微生物は一般細
菌の他、糸状菌・放線菌が高濃度で検出された。
生物により分解処理する油脂の処理方法において、油脂
を分散又は乳化して分解処理に施すので、複雑な手順を
要することなく、醗酵状態を好気的条件に維持すること
ができるため、従来に比して多量の油脂を簡便に処理す
ることができる。また、油脂として廃食用油を使用する
態様によれば、外食産業等の廃食用油を排出されたその
場で誰にでも簡単に処理することができ、また廃食用油
を環境へ与える負荷が少ない方法で処理することができ
る。また、廃食用油を再資源化することもできる。さら
に、有機物として生ゴミまたは厨芥を使用する場合、油
脂としてとくに廃食用油を用いれば、従来その廃棄が困
難であった両者を、簡単に、かつ環境に悪影響を及ぼさ
ずに処理することができる。また、本発明を醗酵槽を有
する生ゴミ処理機を用いて実施すれば、既存の廃棄物処
理装置で消費していたエネルギーを減少させることがで
き、かつ装置の簡略化および小型化が達成される。
濃度変化を示す図である。
示す図である。
濃度変化を示す図である。
示す図である。
示す図である。
を示す図である。
濃度変化を示す図である。
示す図である。
濃度変化を示す図である。
を示す図である。
素濃度変化を示す図である。
Claims (9)
- 【請求項1】 油脂を有機物と共に微生物により分解処
理する油脂の処理方法において、油脂を分散または乳化
して分解処理に施すことを特徴とする油脂の処理方法。 - 【請求項2】 多孔性物質を併用する請求項1に記載の
油脂の処理方法。 - 【請求項3】 併用される多孔性物質が、おがくず、か
んなくず、バーク、木屑、パルプ、籾殻および稲わらか
らなる群から選択される1種または2種以上である請求
項2に記載の油脂の処理方法。 - 【請求項4】 有機物が生ゴミまたは厨芥である請求項
1ないし3のいずれか1項に記載の油脂の処理方法。 - 【請求項5】 有機物として、おがくず、かんなくず、
バーク、木屑、パルプ、籾殻および稲わらからなる群か
ら選択される1種または2種以上の多孔性物質を用いる
請求項1に記載の油脂の処理方法。 - 【請求項6】 油脂が廃食用油である請求項1ないし5
のいずれか1項に記載の油脂の処理方法。 - 【請求項7】 醗酵槽を有する生ゴミ処理機を用い、前
記醗酵槽に油脂および有機物を充填し、微生物による分
解処理を行う請求項1ないし6のいずれか1項に記載の
油脂の処理方法。 - 【請求項8】 分解処理するに際し、さらに窒素源を添
加する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の油脂の
処理方法。 - 【請求項9】 窒素源が、硫酸アンモニウム、硝酸アン
モニウム、塩化アンモニウム、リン酸三アンモニウム、
リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム
及びこれらの水和物からなる群から選択された少なくと
も1種である請求項8に記載の油脂の処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33053297A JPH11165155A (ja) | 1997-12-01 | 1997-12-01 | 油脂の処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33053297A JPH11165155A (ja) | 1997-12-01 | 1997-12-01 | 油脂の処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11165155A true JPH11165155A (ja) | 1999-06-22 |
Family
ID=18233695
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33053297A Pending JPH11165155A (ja) | 1997-12-01 | 1997-12-01 | 油脂の処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11165155A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001232400A (ja) * | 2000-02-24 | 2001-08-28 | Masatoshi Matsumura | 油脂の生物分解方法 |
JP2001259673A (ja) * | 2000-03-15 | 2001-09-25 | Japan Energy Corp | 含油排水の処理方法 |
JP2007260549A (ja) * | 2006-03-28 | 2007-10-11 | Dowa Holdings Co Ltd | 水の浄化方法及び浄化装置 |
JP2018051431A (ja) * | 2016-09-26 | 2018-04-05 | 株式会社大林組 | 汚染土壌の浄化方法 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0733570A (ja) * | 1993-07-14 | 1995-02-03 | Hitachi Ltd | 油脂含有厨芥のコンポスト化方法及び装置 |
JPH09234454A (ja) * | 1995-12-31 | 1997-09-09 | Tsutomu Nishimura | 生ごみの処理方法及び処理機 |
-
1997
- 1997-12-01 JP JP33053297A patent/JPH11165155A/ja active Pending
Patent Citations (2)
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