JPH11164505A - 車両用交流発電機 - Google Patents

車両用交流発電機

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JPH11164505A
JPH11164505A JP10052843A JP5284398A JPH11164505A JP H11164505 A JPH11164505 A JP H11164505A JP 10052843 A JP10052843 A JP 10052843A JP 5284398 A JP5284398 A JP 5284398A JP H11164505 A JPH11164505 A JP H11164505A
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electric conductor
conductor
stator
electric
slot
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Atsushi Umeda
梅田  敦司
Tsutomu Shiga
志賀  孜
Arata Kusase
草瀬  新
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 全ての渡り部電気導体が十分な冷却風の恩恵
にあずかり、冷却性が飛躍的に向上するとともに、絶縁
性・耐熱性にも優れた車両用交流発電機を提供するこ
と。 【解決手段】 車両用交流発電機の固定子は、固定子鉄
心22と巻線を構成する電気導体21、及び鉄心22、
導体21間を電気絶縁するインシュレータ23で構成さ
れ、ハウジングにより支えられている。固定子鉄心22
のスロットの先端開口部は、側面間距離よりも狭く設定
されている。巻線される電気導体21はスロットに収納
される収納部とこの収納部同士を繋ぐ渡り部とからな
り、各導体はスロット内から出た後、スロットの外径側
に位置する導体群21fと内径側に位置する導体群21
gとにほぼ2分割され、渡り部を構成している。渡り部
の隣接する1本1本の間には所定の隙間が設けられてい
る。渡り部は、外径側、内径側で同一円周方向に傾斜し
た稜線部、及びこの稜線部同士を軸半径方向に繋ぐ頂上
部21b−2とから構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は乗用車、トラック等
に搭載される車両用交流発電機に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来
から車両用交流発電機においては、小型高出力化を達成
する為に種々の改良が提案されている。発電能力の向上
については、例えば特開平6−46550号公報に見ら
れる様に永久磁石の利用による方法など有効な手段が多
くあるが、他方のニーズである小型化に対応する為には
体格制約上ファンも小型化せざるを得ず、従って風量は
低下してしまい、しかも発電能力の向上に伴いジュール
損による発熱増加は避けられず、結局温度上昇の問題を
生じていた。
【0003】すなわち、小型高出力化のネックは、温度
上昇、とりわけ発電を行う固定子電気導体の放熱を如何
に限られた体格の中で行うかが技術的ポイントであっ
た。この様な技術背景の下、例えば特開平7−1940
60号公報に見られる様に、空気冷却でなく、より放熱
効率の良い水を冷却媒体として考える発電機の水冷技術
もあるが、原理的に明らかな様に水の配管や、発電機胴
体へのウォータージャケット構造の付加により実質的体
格や重量増加を伴なうこととなり、そもそもの目的に合
致するものでは無く、これまでも一部の特殊用途に用い
られるにすぎなかった。
【0004】一方、一般的な空冷の従来技術としては、
固定子電気導体のコイルエンド部(以下渡り部と呼ぶ)
の温度低減が主として提案されている。かかる渡り部の
改良としては、特公平4−24939号公報、特開昭6
3−59744号公報、実公平1−27406号公報、
特開昭57−132743号公報などが知られている。
【0005】これらの空冷技術は渡り部における電気導
体一本一本の配置を工夫する事で風の抜けを改善し、放
熱性を高める試みであるが、いずれの構成においても渡
り部の電気導体の素線同士が一部離間は認められるもの
の全体として扁平整列的に配置されて冷却風の通風路を
大きくとりながら、これを覆って大きな通風抵抗として
しまい、且つ、これらを固着・固定する為の含浸処理剤
が厚く表面を覆う事がますます大きな通風抵抗を招き、
冷却性が悪かった。
【0006】又、従来一般に、固定子電気導体は皮膜付
導体で構成され、更にその上に、これらを固着・固定す
る為の含浸処理剤等が施されており、これら絶縁層が、
電気導体の放熱性を著しく妨げている事は良く知られて
いた。しかし、これら絶縁層を廃止したり、薄くするこ
とは、絶縁性の低下を招く為、実用上不可能であった。
【0007】更に、従来、電気導体の耐熱性(許容温
度)は、電気導体同士が重なり合う部分における絶縁層
の熱劣化温度で決まってしまい、更なる耐熱性(許容温
度)のアップを図ることは困難であった。本発明は、上
記問題点に鑑み、全ての渡り部電気導体が十分な冷却風
の恩恵にあずかり、冷却性が飛躍的に向上するととも
に、絶縁性・耐熱性にも優れた車両用交流発電機を提供
するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を達成
する為、以下の構成を技術的手段として採用する。請求
項1では、電気導体の渡り部においては、電気導体のそ
れぞれを空間的に離間し、且つ、その絶縁層厚さは前記
スロット内に位置する収納部での絶縁層厚さより薄くし
た。
【0009】請求項2では、電気導体のスロット収納部
については、電気絶縁部材を用いて相互に絶縁し、渡り
部については導体それぞれを空間的に離間して電気絶縁
した。請求項3では、電気導体渡り部の断面積をスロッ
ト収納部の断面積以下とした。
【0010】請求項4では、電気導体の各渡り部間を空
間的に0.5mm以上離間して電気絶縁した。請求項5
では、固定子と対向した回転子に冷却用ファンを配設し
た。請求項6では、電気導体の渡り部を円周方向に傾斜
して延びる部分と半径方向に延びる部分とで形成し、且
つ、電気導体の渡り部のうち半径方向に延びる部分の軸
方向高さを冷却用ファンの軸方向存在範囲内とした。
【0011】請求項7では、電気導体の渡り部の半径方
向内径R、固定子の積層鉄心の内径R′、回転子のポー
ルコア外径r、回転子に装着された冷却用ファン外径
r′の寸法関係を、R′>r≧R>r′とした。請求項
8では、電気導体をスロット内に挿入される直線部を持
つ複数個の略U字状セグメントとし、固定子鉄心の片側
面はU字状セグメントのターン部で成り立たせ、他方の
直線部は揃えてスロット内に収納させる構成とした。
【0012】請求項9では、電気導体の絶縁層のうち、
絶縁被膜層の厚み又は固着絶縁層の厚みを、少なくと
も、前記渡り部においてゼロとした。請求項10では、
前記渡り部において、電気導体の絶縁層がなく、該導体
が暴露する構成とした。請求項1に記載の発明によれ
ば、電気導体の渡り部における、電気導体のそれぞれを
空間的に離間し、且つ、その絶縁層厚さが薄い為、電気
導体表面からの放熱性が著しく改善され、固定子電気導
体の温度上昇を大幅に低減することができる。このた
め、絶縁層の熱劣化が抑制され、且つ、電気導体のそれ
ぞれは空間的に離間されていることから、電気導体の耐
熱性(許容温度)及び絶縁性を同時に向上させることが
できる。
【0013】請求項2に記載の発明によれば、スロット
収納部における各電気導体同士、及び各電気導体と積層
鉄心間の絶縁については、電気絶縁部材を用いて行う。
一方、渡り部における各電気導体同士の絶縁について
は、電気導体それぞれを空間的に離間し、相互に干渉し
ない様にして行う。以上により、スロット収納部での絶
縁性が飛躍的に向上し、導体挿入時の機械的ストレスに
も十分耐える事が出来る。又、渡り部はその絶縁層厚さ
を薄くしているにもかかわらず、十分な電気絶縁性を確
保できる。
【0014】請求項3に記載の発明によれば、渡り部に
おける電気導体の断面積をスロット収納部における電気
導体の断面積以下としている。すなわち、空間的に離間
された渡り部の実現方法として、導体断面積をスロット
収納部より小さくすることで、この断面積の差によって
生じる寸法だけ、各電気導体間を空間的に離間させてい
る。
【0015】これにより、電気導体渡り部のエンベロー
プ寸法(軸方向寸法及び、半径方向寸法)を従来に対し
て、大きくする事無く、各渡り部を空間的に離間する事
が出来るため、小型高出力な車両用交流発電機を提供す
る事が可能となる。また、請求項4に記載の発明の様
に、電気導体の各渡り部間を空間的に0.5mm以上離
間すれば、実用上十分な電気絶縁性が確保されるばかり
で無く、十分な放熱性も確保する事が出来る。
【0016】請求項5に記載の発明によれば、固定子と
対向した回転子には冷却用ファンが配設されており、こ
こで生じた冷却空気の流れ(冷却風)は各々の渡り部に
直接当たる為、固定子電気導体の温度上昇を大幅に低減
することができる。請求項6に記載の発明によれば、電
気導体の渡り部を円周方向に傾斜して延びる部分と半径
方向に延びる部分とで形成している。冷却ファンによる
冷却風は主に、軸中心から外径方向に向かって流れる
為、この半径方向に延びる電気導体渡り部には冷却風が
効果的に流れ込む。以上から、半径方向渡り部は冷却
(放熱)フィンとしての役割を十分はたし、更に、冷却
用ファンの軸方向存在範囲内にこの渡り部冷却(放熱)
フィンを位置させることにより冷却ファンによる冷却風
をより確実にこの冷却(放熱)フィン部に流れ込ませる
ことが出来る。
【0017】更に、以上述べてきた固定子電気導体の冷
却改善により、請求項7に記載の発明の如く、冷却用フ
ァン外径r′を回転子のポールコア外径rよりも小さく
する事が可能となる。この結果、ファンが小径になった
ことで、ファン騒音を低減させることができるばかり
か、ファンに加わる遠心力を低減させる事ができる為、
薄くて安価な材料でこのファンを製作する事が可能とな
る。更に、冷却用ファン外径r′が小さくできることか
ら、渡り部の半径方向内径Rも小さくすることが出来る
が、これは結果的に渡り部の半径方向外径も小さくでき
ることを意味する。この結果、回転子と固定子とを支持
するフレームの外径自体を小さくすることが可能とな
り、車両用交流発電機の小型化が達成できる。
【0018】請求項8に記載の発明によれば、電気導体
を複数個の略U字状セグメントとしたことで、電気導体
を所定の形状に加工する事が容易となるばかりか、スロ
ットへ各電気導体をその渡り部が空間的に離間するよう
に挿入する事も非常に容易となる。この結果、当然製造
コストも飛躍的に下げる事が可能となる。請求項9に記
載の発明によれば、絶縁層を更に薄くする構成としたこ
とで、電気導体表面からの放熱性がますます改善され、
固定子電気導体の温度上昇を大幅に低減することができ
る。
【0019】請求項10に記載の発明によれば、電気導
体が渡り部において冷却風に暴露されるため、電気導体
表面からの放熱が最も改善され、固定子電気導体の温度
上昇を飛躍的に低減することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の車両用交流発電機を図に
示す各実施形態に基づいて説明する。 〔第一の実施例の構成〕図1から図5はこの発明の第一
の実施形態を示したもので、図1は、車両用交流発電機
の主要部を示した図で、図2から図4は本実施形態の車
両用交流発電機の固定子の説明図、図5は各電気導体渡
り稜線部間の隙間を変更した時の、電気導体の冷却性と
絶縁性の変化を示すものである。
【0021】車両用交流発電機1は、電機子として働く
固定子2と、界磁として働く回転子3と、前記回転子お
よび固定子を支持するハウジング4と、前記固定子に直
接接続され、交流電力を直流に変換する整流器5等から
構成されている。回転子3は、シャフト31と一体にな
って回転するもので、1組のランデル型ポールコア3
2、冷却ファン33、フィールドコイル34、スリップ
リング35等によって構成されている。
【0022】シャフト31は、プーリに連結され、自動
車に搭載された走行用のエンジン(図示せず)により回
転駆動される。前記ハウジング4には固定子2の電気導
体渡り部21bに対向した部分に冷却風の吐出口41及
び軸方向端面に吸入口42が設けられている。固定子2
は、固定子鉄心22と巻線を構成する電気導体21及び
鉄心22、導体21間を電気絶縁するインシュレータ2
3で構成され、ハウジング4により支えられている。固
定子鉄心22は、薄い鋼板を重ね合わせた積層鉄心であ
って、その内周面には複数のスロット24が形成されて
いる。このスロット24は側面が略平行とする形状と
し、先端開口部は側面間距離よりも狭く設定されてい
る。
【0023】巻線される電気導体21はスロット24に
収納される収納部21aとこの収納部同士を繋ぐ渡り部
21bとからなり、各導体はスロット内から出た後、ス
ロットの外径側に位置する導体群21fと内径側に位置
する導体群21gとにほぼ2分割され、渡り部を構成し
ている。ここで、渡り部21bの隣接する1本1本の間
には所定の隙間が設けられている。更にこの渡り部21
bは外径側、内径側で同一円周方向に傾斜した稜線部2
1b−1、及びこの稜線部21b−1同士を軸半径方向
に繋ぐ頂上部21b−2とから構成されている。更にこ
の各導体渡り部21bの1本1本は、図2に示す様にス
ロット収納部21aに対し、細くしてあり、断面積が小
さくなっている。
【0024】本実施形態においては、これら電気導体は
絶縁皮膜付き丸線を部分的に引き抜き加工し、線径に変
化を与えることにより容易に製造できる。また、インシ
ュレータ23は図3に示される様な形状で、本実施形態
では、材料としてマイカ等を混入した、高耐熱性フィル
ムを用いている。更に、電気導体スロット内収納部に
は、鉄心22とインシュレータ23と電気導体21間、
及び各電気導体21の相互間を確実に固着・固定すべ
く、含浸処理26が施されており、トータルの絶縁層厚
さとしては、スロット内に位置する収納部の方が含浸処
理の分だけ、渡り部に比べて厚くなっている。
【0025】上記固定子巻線の相端25は、各相の一端
は軸方向に伸張された後、整流器ダイオード52の電極
部53に電気接続されており、他端は中性点として3相
分電気接続されている。 〔第一の実施形態の作用効果〕上記の構成とする事によ
り、電気導体渡り部のうち、稜線部の傾斜方向は外径側
に位置する導体群と内径側に位置する導体群の各群で同
一方向とする事が出来る。このため、外径側導体群と内
径側導体群が重合し、干渉し合う事は無い。更に、各導
体渡り部21bの1本1本は、図2に示す様にスロット
収納部21aに対し、細くしてある為、隣接する1本1
本の間には電気絶縁を確保する為の所定の隙間が設け易
く、又、隙間を設けても、電気導体渡り部全体としての
エンベロープ寸法(軸方向寸法及び、半径方向寸法)を
従来に対して大きくしなくてすむというメリットがあ
る。
【0026】本実施形態ではそれぞれの電気導体間の隙
間を略0.5mmに設定している。これは図6に示す様
に、各種試験の結果、電気導体の冷却性及び絶縁性とし
ては、隙間が0.5mm以上あればほぼ十分な効果が得
られ、一方、0.5mm未満では、各導体間を通り抜け
る冷却風の通風抵抗が上がり十分な冷却性が得られない
ばかりか、導体の温度変化やエンジンから受ける振動等
の影響で十分な絶縁性が確保できないため、この隙間に
設定したものである。
【0027】この様に、本発明の電気導体21は、電気
導体の放熱性を著しく妨げていた絶縁層を薄くしている
にも関わらず、スロット収納部21aについては、イン
シュレータ23にて完全に電気絶縁し、渡り部21bに
ついては互いに他の渡り部と干渉する事無く、空間的に
離間する事で完全に電気絶縁する事が可能となる。以
上、電気導体の絶縁層を薄くした事で電気導体渡り部表
面からの放熱性が著しく改善され、固定子電気導体の温
度上昇を大幅に低減することができる。
【0028】この為、絶縁層の熱劣化が抑制され、且
つ、電気導体のそれぞれは空間的に離間されていること
から、電気導体の耐熱性(許容温度)及び絶縁性を同時
に向上させることができる。又、前述のようにこのイン
シュレータは高耐熱材からなる為、本実施形態の固定子
ではその耐熱性(使用許容温度)も飛躍的にアップして
いる。
【0029】又、本実施形態では、回転子の軸方向端部
に内扇ファンを設け、電気導体渡り部の外周対向面に吐
出口を設けている為、冷却風は軸中心側より電気導体渡
り部を通ってハウジング外周部方向に抜けるが、ここで
電気導体渡り部間が空間的に離間されている為、この冷
却風を確実に電気導体内部にまで流れ込ませる事が可能
となり、更に冷却性が向上する。又、流れ込んだ冷却風
は各電気導体とその周囲の隙間とにより音波の反射・吸
収を繰り返す為、騒音を低減させる効果も著しい。
【0030】更に、電気導体渡り頂上部は、前記冷却風
の流れ方向に沿った形で配設されており、且つ、この渡
り頂上部に軸方向の位置を合わせて冷却ファンが配設さ
れている為、この渡り頂上部は冷却(放熱)フィンとし
ての役割を十分はたし、更に冷却性が向上する。上記の
様に、本実施形態では、電気導体の冷却性を飛躍的に向
上させる事が可能となり、又、電気導体渡り部間が空間
的に離間されたことで、冷却風の通風抵抗を極端に低減
することが出来、その結果、極端なファンの小型化(小
径化)が実現出来る。ファンの小径化はファン騒音を低
減させる事につながるばかりかファンに加わる遠心力を
低減させる事にもつながり、薄くて安価な材料でファン
を製作する事が可能となる。更に、冷却用ファンが小径
化できることにより、渡り部の半径方向外径も小さくで
きる。この結果、回転子と固定子とを支持するフレーム
の外径自体を小さくすることが可能となり、車両用交流
発電機の小型化が達成できる。
【0031】〔第二の実施形態の構成〕図6から図9は
この発明の車両用交流発電機固定子の第二の実施形態を
示したものである。固定子6は、固定子鉄心62と巻線
を構成する電気導体セグメント61、及び鉄心62、導
体61間を電気絶縁するインシュレータ63で構成され
ている。
【0032】巻線は電気接続される多数の導体セグメン
ト61により構成され固定子鉄心62の軸方向側面の片
側がターン部61d、その他方が結線部61eとなるよ
うに構成されている。また導体セグメント61はスロッ
ト64に収納される収納部61aとこの収納部同士を繋
ぐ渡り部61bとからなり、隣接する渡り部61b間に
は電気絶縁が確保できる所定の隙間が設けられている。
更にこの渡り部61bは外層、内層で同一円周方向に傾
斜した稜線部61b−1、及びこの稜線部61b−1同
士を軸半径方向に繋ぐ頂上部61b−2とから構成され
ている。ここで、頂上部61b−2は言い換えると、前
記ターン部61d及び結線部61eのことである。
【0033】更にこの導体セグメント61の、渡り部6
1bには、図7に示す様な、段差部61cが設けられて
おり、結果として、渡り部断面積はスロット収納部の断
面積に較べて小さくなっている。尚、これら導体セグメ
ント61は絶縁皮膜の無い裸金属部材よりなるが、絶縁
皮膜が有っても良い。又、これら導体セグメントはプレ
ス等での作成が容易であり、素材・加工コストの低減が
図れる。
【0034】また、インシュレータ63は図8に示され
る様に、固定子鉄心62のスロット64内で、鉄心62
と導体セグメント61間、及び各導体セグメント61間
を絶縁すべく略S字形状にしてある。本実施形態では、
このインシュレータ63の材料としてマイカ等を混入し
た、高耐熱性フィルムを用いている。更に、電気導体ス
ロット内収納部には、鉄心62とインシュレータ63と
電気導体61間、及び各電気導体セグメント61の相互
間を確実に固着・固定すべく、含浸処理66が施されて
おり、トータルの絶縁層厚さとしては、スロット内に位
置する収納部の方が含浸処理の分だけ、渡り部にくらべ
厚くなっている。
【0035】巻線の製造工程は、図7に示す外層側導体
部61fと内層側導体部61gと電気導体ターン部61
dで構成された略同一形状のU字型セグメント61を、
固定子鉄心62の軸方向側面の同一側にターン部が揃う
様に重ね、外層側導体部61fはスロット外側、内層側
導体部61gはスロット内側に位置する様に挿入され
る。このセグメント61は銅平板を折り曲げ、プレス等
で略U字形状に製作され、略平行のスロット側面に外径
側、内径側各導体部の両側面がインシュレータ63を介
して当接する様に圧入される。
【0036】その後、ターン部とは逆側の各導体部の先
端を外径側導体、内径側導体を反対の周方向に折り曲げ
た後、異相の導体が電気的導通をとる様に結線される。 〔第二の実施形態の作用効果〕上記の構成とする事によ
り、電気導体渡り部のうち、稜線部の傾斜方向は内層外
層の各層で同一方向とする事が出来る。このため、内層
側もしくは外層側だけで考えると、電気導体稜線部は互
いに他の稜線部と干渉する事は無い。
【0037】更に、電気導体渡り部には、図7に示す様
な、段差部61cが設けられている為、内・外層稜線部
がそれぞれ傾斜して互いにクロス隣接する部分について
も、電気導体渡り部のエンベロープ寸法(軸方向寸法及
び、半径方向寸法)を従来に対して大きくする事無く、
十分な隙間を設ける事が出来、互いに他の稜線部と干渉
する事は無い。
【0038】この様に、本発明の導体セグメント61
は、電気導体の放熱性を著しく妨げていた絶縁皮膜を廃
止した裸金属部材よりなるにも関わらず、スロット収納
部61aについては、インシュレータ63にて完全に電
気絶縁し、渡り部61bについては互いに他の渡り部と
干渉する事無く、空間的に離間する事で完全に電気絶縁
する事が可能となる。
【0039】以上、第二の実施形態では、電気導体を複
数個の略U字状セグメントとしたことで、電気導体に段
差部を設ける等、所定の形状に加工する事が容易となる
ばかりか、渡り部の空間的離間も、特別な治具を用いる
事無く容易に設ける事が出来る。この結果、当然製造コ
ストも飛躍的に下げる事が可能となる。 〔第三の実施形態〕図10から図12に第三の実施形態
を示す。第二の実施形態では、固定子の一つのスロット
内を挿通する電気導体セグメントは2本であったが、こ
れを4本にした点が異なる。導体本数を増やした事で、
絶縁を確保する為の方法が若干複雑になるが、基本的構
成としては、第二の実施形態と同等である。
【0040】導体セグメント7a、7bは、第二の実施
形態の図7で示した導体セグメント61を概ね半割、2
分割した様な形状をしている。この場合、新たに各導体
セグメント7aと7bとの間も絶縁する必要がある為、
以下の構成を取っている。まず、略2分割後、外側に位
置する導体セグメント7aの段差部形状は第一の実施形
態の図7で示した導体セグメント61と同等であるが、
略2分割後、内側に位置する導体セグメント7bについ
ては、渡り部の両側に段差部を設けている。これは、各
導体セグメント挿入後、それぞれの導体渡り部が傾斜し
て互いにクロス隣接する部分に十分な絶縁隙間を確保す
る為である。
【0041】スロット内の絶縁については、例えば図1
1に示される様に、略S字型を2つ並べたインシュレー
タ73を用いることによって達成することが可能であ
る。また、電気導体スロット内収納部には、鉄心72と
インシュレータ73と電気導体7a、7b間、及び各電
気導体セグメント7a、7bの相互間を確実に固着・固
定すべく、含浸処理76が施されている。
【0042】〔その他の実施形態〕第一の実施形態にお
いては、固定子の1つのスロット内の電気導体を内径側
・外径側と2つの電気導体群に分けていたが、電気導体
群を更に増やす事も可能である。又、第三の実施形態の
様に、固定子の1つのスロット内を挿通する電気導体セ
グメントの本数を4本に増やしても第二の実施形態の2
本と同等の作用効果が得られる事は言うまでもないが、
導体本数を更に増やす事も、十分可能である。
【0043】又、電気導体は、裸金属導体にて巻線し、
含浸処理後、渡り部に絶縁塗装等を施しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施形態における車両用交流発電機の主
要部を示した図である。
【図2】第一の実施形態における車両用交流発電機の固
定子の説明図である。
【図3】第一の実施形態における車両用交流発電機の固
定子の説明図である。
【図4】第一の実施形態における車両用交流発電機の固
定子の説明図である。
【図5】第1の実施形態において、各電気導体間の隙間
を変更した時の冷却性と絶縁性の変化を示す説明図であ
る。
【図6】第二の実施形態の車両用交流発電機の固定子の
説明図である。
【図7】第二の実施形態の車両用交流発電機の固定子の
説明図である。
【図8】第二の実施形態の車両用交流発電機の固定子の
説明図である。
【図9】第二の実施形態の車両用交流発電機の固定子の
説明図である。
【図10】第三の実施形態の車両用交流発電機の固定子
の説明図である。
【図11】第三の実施形態の車両用交流発電機の固定子
の説明図である。
【図12】第三の実施形態の車両用交流発電機の固定子
の説明図である。
【図13】従来技術による車両用交流発電機の主要部を
示した図である。
【符号の説明】
1 車両用交流発電機 2 固定子 21 電気導体 21a 電気導体収納部 21b 電気導体渡り部 21b−1 電気導体渡り稜線部 21b−2 電気導体渡り頂上部 21f 外径側電気導体群 21g 内径側電気導体群 22 固定子鉄心 23 インシュレータ 24 スロット 25 固定子巻線の相端 26 含浸処理

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転周方向に交互にNS極を形成するラ
    ンデル型界磁回転子と、前記回転子と固定子とを支持す
    るフレームとを有する車両用交流発電機において、 前記固定子は、複数のスロットを有する積層鉄心と該ス
    ロットに収納された電気導体とからなり、前記電気導体
    は、略前記スロット内に位置する収納部とこの収納部同
    士の間をつなぐ渡り部とからなり、前記電気導体渡り部
    においては、前記電気導体のそれぞれを空間的に離間
    し、且つ、その絶縁層厚さは前記スロット内に位置する
    収納部での絶縁層厚さより薄くしたことを特徴とする車
    両用交流発電機。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記電気導体のスロット収納部においては、前記電気導
    体のそれぞれの当接面及び前記固定子の積層鉄心との間
    に電気絶縁部材を有して相互に絶縁し、一方前記渡り部
    においては前記電気導体のそれぞれを空間的に離間し、
    相互に干渉しない様にして電気絶縁したことを特徴とす
    る車両用交流発電機。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、 前記電気導体の渡り部は互いに他の渡り部と重合・接す
    る事無く、且つその断面積は前記スロット収納部の断面
    積以下であることを特徴とする車両用交流発電機。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかにおいて、 前記電気導体の渡り部は互いに他の渡り部と空間的に
    0.5mm以上離間して電気絶縁したことを特徴とする
    車両用交流発電機。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかにおいて、 前記固定子と対向した回転子の軸方向両端部のうち、少
    なくとも片側に冷却用ファンを配設したことを特徴とす
    る車両用交流発電機。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかにおいて、 前記電気導体の渡り部は円周方向に傾斜して延びる部分
    と半径方向に延びる部分とからなり、前記半径方向に延
    びる部分の軸方向位置は、前記冷却用ファンの軸方向存
    在範囲内にあることを特徴とする車両用交流発電機。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかにおいて、 前記電気導体の渡り部の半径方向内径寸法をR、前記固
    定子の積層鉄心の内径寸法をR′、前記回転子のポール
    コア外径をr、更に、前記回転子に装着された冷却用フ
    ァン外形をr′とした時、少なくとも片側の固定子、回
    転子については、R′>r≧R>r′であることを特徴
    とする車両用交流発電機。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかにおいて、 前記電気導体は前記スロット内に挿入される直線部を持
    つ複数個の略U字状セグメントよりなり、前記固定子鉄
    心の片側面はU字状セグメントのターン部で成り立って
    おり、他方の直線部は揃えて前記スロット内に収納され
    ることを特徴とする車両用交流発電機。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかにおいて、 前記絶縁層は、前記導体の絶縁皮膜層、及び含浸処理に
    よる固着・絶縁層からなり、少なくとも、前記渡り部に
    おいては前記絶縁皮膜層または前記固着絶縁層のみより
    なることを特徴とする車両用交流発電機。
  10. 【請求項10】 請求項1〜8のいずれかにおいて、 前記渡り部においては、前記導体は裸金属部材よりなる
    ことを特徴とする車両用交流発電機。
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