JPH11163455A - 分布帰還型半導体レーザ - Google Patents

分布帰還型半導体レーザ

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JPH11163455A
JPH11163455A JP32147797A JP32147797A JPH11163455A JP H11163455 A JPH11163455 A JP H11163455A JP 32147797 A JP32147797 A JP 32147797A JP 32147797 A JP32147797 A JP 32147797A JP H11163455 A JPH11163455 A JP H11163455A
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grating
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laser
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、本発明は、レーザ共振器の軸方向
の電界強度分布を均一にすることにより、バイアス電流
が変化した場合であっても前方後方出力比が変動するこ
となく、システム上で光出力をモニターし易い半導体レ
ーザを提供することを目的とする。 【解決手段】 回折格子により光帰還を行う分布帰還型
半導体レーザ10において、この回折格子が、複数の格
子領域(11〜18)に分けられ、レーザ共振器の中央
で1次の回折格子の半周期分だけ位相がシフトし、レー
ザ共振器の端面側に設けられた格子領域より、中心方向
に設けられた格子領域の回折格子の次数が高くなるよう
に形成されていることを特徴とする分布帰還型半導体レ
ーザ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体レーザに関
し、特にデジタル光伝送システムに用いられるモード安
定性の高い位相シフト分布帰還型(DFB)半導体レー
ザに関する。
【0002】
【従来の技術】従来デジタル光伝送システムには、レー
ザ共振器中央で回折格子の位相を半周期シフトさせたλ
/4位相シフト分布帰還型半導体レーザと呼ばれる単一
モード性の高い半導体レーザが用いられている。λ/4
位相シフト構造は公知の構造で、例えば、「1994
年、オーム社刊、応用物理学会編、半導体レーザ 27
2頁 図12・12」に記載されている。
【0003】λ/4位相シフト分布帰還型半導体レーザ
は図5に断面図を示すように、第1の回折格子51と第
2の回折格子52の位相を半周期分シフトさせたλ/4
位相シフト構造5をレーザ共振器中央に有している。こ
の構造では、neffを実効屈折率とすると、次式から回
折格子周期Λが決定するブラッグ波長λB mλB=2Λneff (ここで、mは回折格子の次数であり、m=1のときの
Λが1次の回折格子の周期である。)で発振するため、
副モード抑圧比が高くとれるという特徴がある。
【0004】しかしこの構造では、前方と後方からのレ
ーザ光出力の比が、バイアス電流により変動するため、
前方の光出力を後方からの光出力で監視することができ
ない(トラッキングエラー)という問題があった。ま
た、変調時の波長変動(チャーピング)が大きく、長距
離伝送において符号誤りをひき起こすという問題点があ
った。これらの問題点は、レーザ共振器中央にλ/4位
相シフト構造が存在するため、この位相シフト部で電界
が非常に強くなり、バイアスを高くするにつれて内部の
電界強度分布が極端に不均一になり、キャリア変動によ
る屈折率変化が共振器内の位置により大きく異なるため
に生じる。
【0005】また、レーザ共振器中央付近で電界が強く
なり、外部へ光が出力されにくくなるために、電流対光
出力変換効率が低いという問題もあった。
【0006】この問題を解決する方法として、「第13
回アイトリプルイー国際半導体レーザ会議学会予稿集
(13th IEEE International
Semiconductor Laser Confe
rence Digest)1992年218〜219
頁」には、図6(A)にその断面図を示すように、回折
格子61および62は共振器軸上で一定周期を保ちつ
つ、その回折格子の一周期内での山の部分の長さと谷の
部分の長さの合計に対する山の部分の長さの比(ここで
はデューティー比と定義する)を変化させることで、回
折格子による実効的な帰還量を変化させる方法が記載さ
れている。
【0007】この方法では、図6(B)に軸方向での結
合係数の分布を示すように共振器中央付近の帰還量を減
少させることができる。従って、この構造では、前記λ
/4位相シフト分布帰還型半導体レーザに比べて、共振
器の軸方向で電界強度分布が平坦になるという特徴があ
る。
【0008】しかしながら、この方法では、中央付近で
のデューティー比が極端に小さくなりすぎてしまい、そ
の回折格子作製プロセスが非常に困難になるために、量
産時のレーザ素子の歩留まりが低くなる問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、レーザ共振
器の軸方向の電界強度分布を均一にすることにより、バ
イアス電流が変化した場合であっても前方後方出力比が
変動することなく、システム上で光出力をモニターし易
い半導体レーザを提供することを目的とする。
【0010】また同時にレーザ共振器の軸方向の電界強
度分布を均一にすることにより、変調時の波長変動を低
減し、変調時でも安定動作が可能で、電流対光出力変換
効率の高い半導体レーザを提供することを目的とする。
【0011】また、本発明は、レーザ発振モードの安定
性を高めることにより、従来の半導体レーザに比べ、デ
ジタル変調時における符号誤り率を低くできる半導体レ
ーザを提供することを目的とする。
【0012】さらに本発明は、量産時における作製プロ
セスを容易にし、素子間の特性のばらつきを小さくし、
歩留まりの高い半導体レーザを提供することを目的とす
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、回折格子によ
り光帰還を行う分布帰還型半導体レーザにおいて、この
回折格子が、複数の格子領域に分けられ、レーザ共振器
の中央で1次の回折格子の半周期分だけ位相がシフト
し、レーザ共振器の端面側に設けられた格子領域より、
中心方向に設けられた格子領域の回折格子の次数が高く
なるように形成されていることを特徴とする分布帰還型
半導体レーザに関する。
【0014】ここで、回折格子の次数とは、回折格子の
1次の回折格子周期の整数倍の倍率をいい、本発明にお
いては、共振器の両端部に1次の回折格子周期の回折格
子が配置され、共振器端から共振器中央に向かって、軸
方向にそって前後対称に、回折格子の周期が端面付近の
1次の回折格子周期の2倍、3倍と整数倍になるように
形成される。
【0015】さらに本発明では、複数に分けられた前記
回折格子内で、レーザ共振器の端面から中心方向に向か
って結合係数が減少するように、回折格子のデューティ
ー比が設定されていることが好ましい。
【0016】本発明において、回折格子のデューティー
比とは、格子の半値幅と格子の1周期長との比をいうも
のとする。
【0017】回折格子の格子部分の形状は、方形波状、
正弦波状、三角波状等の通常回折格子として機能する形
状であれば特に限定はされない。
【0018】
【発明の実施の形態】従来のλ/4位相シフト分布帰還
型半導体レーザは、前述のように、光の帰還が中央付近
で強くなり過ぎるため、光が中央付近に集中する。
【0019】また、通常は回折格子のデューティー比は
50%(方形波状であれば、回折格子の山の部分の長さ
と谷の部分の長さが等しい。)であり、回折格子からの
帰還量を示す指標である結合係数は、共振器軸上で一定
に設定されている。また、このようにデューティー比が
50%の状態のとき、結合係数が最大であり、デューテ
ィー比を50%から高くするかまたは低くすることで、
結合係数を減少させることができる。
【0020】そこで、回折格子の周期を変化させること
により、共振器内部の電界強度分布を平坦にすることが
考えられる。しかし、回折格子の周期を変化させること
だけで光が中央に集中する問題を解決しようとすると、
中央付近のデューティー比をほぼ100%または0%に
することが必要であり、回折格子の山の部分または谷の
部分が極端に短くなり、回折格子の製造が極めて困難に
なる。
【0021】一方、回折格子の次数が高いほど、結合係
数が減少することが、例えば「アイトリプルイー ジャ
ーナル・オブ・クワンタム・エレクトロニクス(IEE
EJournal of Quantum Electr
onics)vol.QE−12(1976)pp.7
37−739」に記載されている。また、同一共振器全
体にわたり2次の回折格子を用いた例が「アイトリプル
イー ジャーナル・オブ・クワンタム・エレクトロニク
ス(IEEE Journal of Quantum E
lactronics)vol.QE−24No.1,
(1988)pp.73−82」に記載されている。し
かし、これらに記載された構造ではレーザ共振器内の電
界強度を平坦にすることはできない。
【0022】これに対して本発明では、レーザ共振器の
中心部の方の回折格子の次数が高くなるように形成され
ているため、中心部では結合係数が小さくなり中央付近
での光の帰還量を減少させることができ、内部電界強度
分布を平坦にすることができる。
【0023】また、前記文献には、高次の回折格子を用
いることで、しきい値利得差を大きくできることが記載
されているが、本発明においても同様の効果が得られ、
部分的に高次の回折格子を用いることで、従来例と比較
しても高いしきい値利得差を得ることができる。
【0024】また、本発明の構造では、中央付近での回
折格子周期は、端面付近の回折格子周期の数倍になるた
め、回折格子の山の部分の長さまたは谷の部分の長さは
十分長く、作製プロセスも容易になる。
【0025】また、従来のλ/4位相シフト分布帰還型
半導体レーザと同様に、本発明においても、端面付近の
回折格周期によって決定されるブラッグ波長で発振す
る。
【0026】レーザの主モードがブラッグ波長に等しい
場合には、主モードと副モードの差が最大になるため、
モード安定性の指標であるしきい値利得差は、本構造で
はλ/4位相シフト分布帰還型半導体レーザと同等に高
い値が得られる。
【0027】さらに本発明では、回折格子の次数を変化
させるだけでなく、同時に回折格子のデューティー比を
変化させることで、軸方向上での結合係数をさらに微調
整することができる。これにより、理論的には「アイト
リプルイー フォトニクス・テクノロジー・レターズ
(IEEE Photonics Technology
Letters) vo1.2(1990)pp.17
0−172」に示されているような結合係数の分布を形
成することができ、共振器内部の電界強度分布を完全に
平坦にすることができる。
【0028】また本発明では、回折格子部分の導電型
を、その周囲の導電型と反転させて形成した電流ブロッ
ク構造とすると、活性層に注入する電流を制御すること
ができ、軸方向上で任意の利得の分布を得ることができ
る。導電型を反転させた構造については、「第13回ア
イトリプルイー国際半導体レーザ会議学会予稿集(13
th IEEE International Semi
conductor Laser Conference
Digest)1992年 14〜15頁」に記載され
ている。
【0029】本発明においては、理論的には「ヘールト
・モルティエル著博士論文 ゲント大学1991年 図
4.3.5」に記載されているように、共振器軸方向上
で、活性層利得と結合係数の両者を分布させることによ
り、内部電界強度分布を完全に平坦にすることができ
る。しかしながら前記構造を実現するためには結合係数
が実数であることが必要であるため、本発明において
は、その回折格子部分とその周囲とで光吸収係数が等し
くなるように回折格子部分のキャリア密度をそれぞれ設
定する。
【0030】以上のように本発明によれば、回折格子の
次数とデューティー比を変化させるだけで、単一モード
性が高く、共振器内部の電界強度分布が平坦で、変調時
の波長変動が小さいレーザを実現できる。
【0031】
【実施例】[実施例1]図1(A)は、実施例1の30
0ミクロン共振器の半導体レーザ10の構造図(断面
図)である。
【0032】この半導体レーザを形成するには、周知の
エピタキシャル成長により、n型InP半導体基板1上
に、n型InPクラッド層2を1ミクロン、多重量子井
戸層3を層厚0.2ミクロン、p型InGaAsP光ガ
イド層4を層厚0.1ミクロン、回折格子形成のためp
型InGaAsP層を0.03ミクロン成長した後、周
知の電子ビーム露光法および周知のリソグラフィーによ
り前記p型InGaAsP層をエッチングすることで回
折格子11〜18および位相シフト構造5を同一平面上
に形成する。
【0033】さらに、p型InPクラッド層6を層厚3
ミクロン、p型InGaAsPキャップ層7を層厚0.
2ミクロン形成し、周知の電極形成法によりp型InG
aAsPキャップ層7上にp型電極8、そしてn型In
P半導体基板1下にn型電極9を形成する。
【0034】また、半導体レーザ10の両端面には、無
反射コーティングを施す。ここでは、回折格子11〜1
8を形成する際のエッチングの深さは、分布帰還結合係
数κが約70cmー1となるように0.03ミクロンとし
た。
【0035】回折格子11〜18については、図1
(B)に次数の分布を示す通り、第1の回折格子11は
次数が1すなわち、周期が202ナノメートルで片方の
端面から20ミクロンの長さに形成され;第2の回折格
子12は次数が2すなわち周期が404ナノメートルで
30ミクロンの長さであり、第1の回折格子11と位相
が連続するように接続され;第3の回折格子13は次数
が3すなわち周期が606ナノメートルで50ミクロン
の長さであり、第2の回折格子12と位相が連続するよ
うに接続され;第4の回折格子14は次数が4すなわち
周期が808ナノメートルで50ミクロンの長さであ
り、第3の回折格子13と位相が連続するように接続さ
れている。
【0036】第4の回折格子14と第5の回折格子15
との間には、位相が第1の回折格子11の周期の半周期
だけシフトするような位相シフト構造5を配置させ、第
5の回折格子15は次数が4すなわち周期が808ナノ
メートルで50ミクロンの長さであり;第6の回折格子
16は次数が3すなわち周期が606ナノメートルで5
0ミクロンの長さに形成され、第5の回折格子15と位
相が連続するように接続され;第7の回折格子17は次
数が2すなわち周期が404ナノメートルで30ミクロ
ンの長さであり、第6の回折格子16と位相が連続する
ように接続され;第8の回折格子18は次数が1すなわ
ち周期が202ナノメートルで20ミクロンの長さであ
り、第7の回折格子17と位相が連続するように接続さ
れている。
【0037】回折格子の次数をこのように分布させるこ
とにより、図1(C)に示されるような結合係数の分布
を得ることができる。
【0038】図4中の曲線(A)は、本発明の第1の実
施例による半導体レーザ10の内部の電界強度分布を示
したものである。内部の電界強度の最小値と最大値の比
は0.95となり、図4中の曲線(D)に示す従来のλ
/4位相シフト分布帰還型レーザの0.33よりも内部
の電界強度分布の平坦性が増大していることがわかる。
また、レーザのモード安走性を示すしきい値利得差に
ついては、本発明の第1の実施例の構造では約0.78
が得られた。これは、従来のλ/4位相シフト分布帰還
型レーザの0.77よりも高い。
【0039】また本実施例においては、レーザの発振波
長は第1の回折格子11の周期によって決定されるブラ
ッグ波長である1.3ミクロンで発振する。
【0040】また、本実施例においては、レーザ共振器
の長さを300ミクロンとしたが、特にこれに制限され
るものではない。
【0041】また、本実施例においては、Lをレーザ共
振器長とすると、規格化結合係数κ×Lを約2と設定し
た(回折格子11〜18において分布帰還結合係数κを
約70cmー1と設定した)が、2から4が望ましい。規
格化結合係数を大きく設定するに伴い、共振器中央付近
の光分布帰還量を減少させる必要があり、共振器軸上で
の次数の段数を増加させて、共振器中央付近での回折格
子の次数を大きくすることで結合係数をさらに減少させ
ることができる。規格化結合係数が大きいほど、レーザ
発振モードが安定し、レーザ劈開時に第1の回折格子1
1および第8の回折格子18の長さが設計と異なるレー
ザ装置が得られることがあっても、その影響を小さくす
ることができる。
【0042】[実施例2]図2(A)は、第2の実施例
の300ミクロン共振器の半導体レーザ20の構造図
(断面図)である。
【0043】この半導体レーザは、第1の実施例と同様
に、n型InGaAsP半導体基板1上に周知のエピタ
キシャル成長および周知の電極形成法により各層を積層
し、周知の電子ビーム露光法および周知のリソグラフィ
ーにより回折格子21〜28および位相シフト構造5を
同一平面上に形成する。回折格子21〜28は本発明の
実施例1と同様に周期を設定し、回折格子の次数の分布
は図1(B)と同一である。
【0044】また、半導体レーザ20の両端面には、無
反射コーティングが施されている。回折格子21〜28
を形成する際のエッチングの深さは、分布帰還結合係数
κが約70cmー1となるように0.03ミクロンとす
る。
【0045】図2(B)に回折格子21〜28のデュー
ティー比の分布を示す通り、回折格子21〜28はそれ
ぞれ、中心方向に向かってデューティー比が減少するよ
うに設定されている。このようにすることで、図2
(C)に示されるように共振器全体における結合係数の
分布をなめらかに変化させることができ、内部電界分布
を完全に平坦にすることができる。
【0046】図4中の曲線(B)は、本発明の第2の実
施例による半導体レーザ20の内部の電界強度分布を示
したものである。内部の電界強度の最小値と最大値の比
は約1.0となり、図4中の曲線(D)に示す従来のλ
/4位相シフト分布帰還型レーザの0.33よりも内部
の電界強度分布の平坦性が増大していることがわかる。
また、レーザのモード安定性を示すしきい値利得差に
ついては、第2の実施例の構造では約0.8が得られ
た。これは、従来のλ/4位相シフト分布帰還型レーザ
の0.77よりも高い。
【0047】また、本実施例においては、レーザ発振波
長は、全ての回折格子に対する平均の周期によって決定
されるブラッグ波長である1.3ミクロンで発振する。
【0048】また、本実施例においては、レーザ共振器
の長さを300ミクロンとしたが、特にこれに制限され
るものではない。
【0049】また、本実施例においては、Lをレーザ共
振器長とすると、規格化結合係数κ×Lを約2と設定し
た(回折格子21〜28において分布帰還結合係数κを
約70cmー1と設定した)が、2から4が望ましい。規
格化結合係数を大きく設定するに伴い、共振器中央付近
の光分布帰還量を減少させる必要があり、共振器軸上で
の次数の段数を増加させて、共振器中央付近での回折格
子の次数を大きくすることで結合係数をさらに減少させ
ることができる。規格化結合係数が大きいほど、レーザ
発振モードが安定し、レーザ劈開時に第1の回折格子2
1および第8の回折格子28の長さが設計と異なるレー
ザ装置が得られることがあっても、その影響を小さくす
ることができる。
【0050】[実施例3]図3(A)は、第3の実施例
の300ミクロン共振器の半導体レーザ30の構造図
(断面図)である。
【0051】この半導体レーザは、本発明の第1の実施
例と同様に、n型InGaAsP半導体基板1上に周知
のエピタキシャル成長および周知の電極形成法により各
層を積層し、周知の電子ビーム露光法および周知のリソ
グラフィーにより回折格子31〜36および位相シフト
構造5を同一平面上に形成する。回折格子31〜36は
本発明の実施例1と同様に、端面から中心に向かって次
数が増加するように設定する。
【0052】ただし、本実施例では、回折格子31〜3
6を形成するのに、n型InGaAsP層を成長した後
にエッチングすることで形成する。即ち、回折格子の導
電型が、その周囲に配置されているp型InGaAsP
光ガイド層5およびp型InPクラッド層6と導電型が
反対になっている。
【0053】また、回折格子31〜36を形成している
n型InGaAsP層のキャリア密度は2×1017cm
ー3程度であり、また、その周囲に配置されているp型I
nPクラッド層6のキャリア密度は、5×1017cm-3
程度である。このようにキャリア濃度を変えることによ
り、導電型の異なる回折格子とその周囲の光吸収係数が
等しくなるように調整することが好ましい。
【0054】また、半導体レーザ30の両端面には、無
反射コーティングが施されている。回折格子31〜36
を形成する際のエッチングの深さは、分布帰還結合係数
κが約70cmー1となるように0.03ミクロンとす
る。
【0055】図3(B)に回折格子31〜36の結合係
数の分布を示す通り、中心方向に向かって結合係数が減
少するように設定されている。また、回折格子31〜3
6は周囲と電気導電型が反転しているため、活性層に注
入される電流をブロックし、回折格子のデューティー比
が位置により異なるため、図3(C)に示されるような
活性層利得の分布を得ることができる。
【0056】このようにすることで、結合係数および活
性層利得変化させることができ、内部電界分布を完全に
平坦にすることができる。
【0057】図4中の曲線(C)は、本発明の第3の実
施例による半導体レーザ30の内部の電界強度分布を示
したものである。内部の電界強度の最小値と最大値の比
は約1.0となり、図4中の曲線(D)に示す従来のλ
/4位相シフト分布帰還型レーザの0.33よりも内部
の電界強度分布の平坦性が増大していることがわかる。
また、レーザ単一モード性を示すしきい値利得差につ
いては、本発明の第3の実施例では約0.8が得られ
た。これは、従来のλ/4位相シフト分布帰還型レーザ
の0.77よりも高い。また、本実施例においては、レ
ーザ発振波長は、全ての回折格子に対する平均の周期に
よって決定されるブラッグ波長である1.3ミクロンで
発振する。
【0058】また、本実施例においては、レーザ共振器
の長さを300ミクロンとしたが、特にこれに制限され
るものではない。
【0059】また、本実施例においては、回折格子の存
在する長さLが300ミクロンであり、規格化結合係数
κ×Lを約2と設定した(回折格子31〜36において
分布帰還結合係数κを約70cmー1と設定した)が、こ
れは2から4が望ましい。規格化結合係数を大きく設定
するに伴い、活性層利得分布を共振器中央付近でより利
得を増大させる必要がある。このことにより、レーザ発
振モードがより安定化し、レーザ劈開時に第1の回折格
子31および第6の回折格子36の長さが設計と異なる
レーザ装置が得られることがあっても、その影響を小さ
くすることができる。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、レーザ共振器の軸方向
の電界強度分布を均一にすることにより、バイアス電流
が変化した場合であっても前方後方出力比が変動するこ
となく、システム上で光出力をモニターし易い半導体レ
ーザを提供することができる。また同時にレーザ共振器
の軸方向の電界強度分布を均一にすることにより、変調
時の波長変動を低減し、変調時でも安定動作が可能で、
電流対光出力変換効率の高い半導体レーザを提供するこ
とができる。
【0061】また、本発明によれば、レーザ発振モード
の安定性を高めることにより、従来の半導体レーザに比
べ、デジタル変調時における符号誤り率を低くできる半
導体レーザを提供することができる。
【0062】さらに本発明によれば、量産時における作
製プロセスを容易にし、素子間の特性のばらつきを小さ
くし、歩留まりの高い半導体レーザを提供することがで
きる。
【0063】このように本発明を用いることにより、光
通信において大容量の伝送が可能となり、加入者数の増
大、通信サービスの拡大を実現できる。さらにまた、加
入者向けの低コストな光通信システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の半導体レーザ装置を示
す図である。 (A)構造図(断面図) (B)回折格子次数の分布 (C)結合係数の分布
【図2】本発明の第2の実施例の半導体レーザ装置を示
す図である。 (A)構造図(断面図) (B)回折格子デューティー比の分布 (C)結合係数の分布
【図3】本発明の第3の実施例の半導体レーザ装置を示
す図である。 (A)構造図(断面図) (B)結合係数の分布 (C)活性層利得の分布
【図4】半導体レーザ装置の内部の電界強度分布を示す
図である。 曲線(A):第1の実施例 曲線(B):第2の実施例 曲線(C):第3の実施例 曲線(D):従来例
【図5】第1の従来例であるλ/4位相シフト型DFB
レーザの構造図である。
【図6】第2の従来例である半導体レーザ装置の構造図
(A)と、その回折格子のデューティー比の分布(B)
と、その結合係数の分布(C)を示した図である。
【符号の説明】
1 n型InP半導体基板 2 n型InPクラッド層 3 多重量子井戸層 4 p型InGaAsP光ガイド層 5 位相シフト構造 6 p型InPクラッド層 7 p型InGaAsPキャップ層 8 p型電極 9 n型電極 10 半導体レーザ 11 第1の回折格子 12 第2の回折格子 13 第3の回折格子 14 第4の回折格子 15 第5の回折格子 16 第6の回折格子 17 第7の回折格子 18 第8の回折格子 20 半導体レーザ 21 第1の回折格子 22 第2の回折格子 23 第3の回折格子 24 第4の回折格子 25 第5の回折格子 26 第6の回折格子 27 第7の回折格子 28 第8の回折格子 30 半導体レーザ 31 第1の回折格子 32 第2の回折格子 33 第3の回折格子 34 第4の回折格子 35 第5の回折格子 36 第6の回折格子

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回折格子により光帰還を行う分布帰還型
    半導体レーザにおいて、 この回折格子が、複数の格子領域に分けられ、レーザ共
    振器の中央で1次の回折格子の半周期分だけ位相がシフ
    トし、レーザ共振器の端面側に設けられた格子領域よ
    り、中心方向に設けられた格子領域の回折格子の次数が
    高くなるように形成されていることを特徴とする分布帰
    還型半導体レーザ。
  2. 【請求項2】 複数に分けられたそれぞれの格子領域内
    で、レーザ共振器の端面から中心方向に向かって結合係
    数が減少するように、回折格子のデューティー比が設定
    されていることを特徴とする請求項1記載の分布帰還型
    半導体レーザ。
  3. 【請求項3】 前記の回折格子のデューティー比は50
    %以下であって、複数に分けられたそれぞれの格子領域
    内で、レーザ共振器の端面から中心方向に向かって小さ
    くなるように設定されていることを特徴とする請求項2
    記載の分布帰還型半導体レーザ。
  4. 【請求項4】 前記回折格子は、格子部分の導電型がそ
    の周囲の導電型と反転している電流ブロック構造を有
    し、格子部分とその周囲とでキャリア密度が異なること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の分布帰還
    型半導体レーザ。
  5. 【請求項5】 前記回折格子は、前記格子部分とその周
    囲とで光吸収係数が等しくなるようにキャリア密度がそ
    れぞれ設定されていることを特徴とする請求項4記載の
    分布帰還型半導体レーザ。
  6. 【請求項6】 前記回折格子の導電型がn型で、その周
    囲の導電型がp型である請求項4または5に記載の分布
    帰還型半導体レーザ。
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