JPH11159728A - 流動床炉の傾斜分散板 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】予熱空気を高温とした場合にも熱応力による損
傷や空気のリークのおそれがなく、しかも施工が容易で
分割して流量調節ができる流動床炉の傾斜分散板を提供
する。 【解決手段】 少なくとも表面が耐火物よりなる凹凸部
１の上部に、プレキャスト耐火物５を載せて複数の均圧
室４を構成する。均圧室４に供給された予熱空気を、プ
レキャスト耐火物５に設けられた連通孔６と分散ノズル
７とを通じて炉内に炉内に噴出させ、流動床を形成す
る。なお凹凸部１は、金属板の上面にキャスタブル耐火
物３を内張りしたものとしても、キャスタブル耐火物３
を断面凹凸状に施工したものとしてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、廃棄物の焼却炉や
廃棄物の熱分解炉等として用いられる流動床炉の傾斜分
散板に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】流動床炉の傾斜分散板としては、従来か
ら主として図５に示す構造のものが用いられていた。こ
れは金属製のボックス21の天井面に金属製の分散ノズル
22を溶接し、その全体を炉体の底部のキャスタブル耐火
物23中に埋め込んだものである。この構造はボックス21
を均圧室として用いたものであり、炉体の底部に複数個
のボックス21を埋め込むことによって、ボックス21毎に
分割して流量調節ができる利点がある。

【０００３】これらの金属製のボックス21及び金属製の
分散ノズル22の周囲には耐熱性の緩衝材を配置してあ
り、ボックス21内に供給される予熱空気の温度が200 ℃
程度までの場合には、特に支障はなかった。しかし予熱
空気の温度を高温（例えば600 ℃）とすると、金属製の
ボックス21及び分散ノズル22が周囲のキャスタブル耐火
物23よりも大きく熱膨張するため、溶接部が損傷して空
気のリークを生じたり、周囲のキャスタブル耐火物23が
押し広げられて破壊されてしまう等の問題を生じてい
た。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した従来
の問題点を解決し、予熱空気を高温とした場合にも、溶
接部の損傷、リーク、耐火物の破壊等のおそれがなく、
しかも施工が容易で分割して流量調節ができる流動床炉
の傾斜分散板を提供するためになされたものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めになされた本発明の流動床炉の傾斜分散板は、少なく
とも表面が耐火物よりなる凹凸部の上部に、プレキャス
ト耐火物を載せて複数の均圧室を構成し、このプレキャ
スト耐火物に、均圧室と連通する連通孔と分散ノズルと
を設けたことを特徴とするものである。なおこの凹凸部
は、断面が凹凸状の金属板の上面にキャスタブル耐火物
を内張りしたものとしても、断面が凹凸状に施工された
キャスタブル耐火物よりなるものとしてもよい。また上
記のプレキャスト耐火物の下面に、凹凸部の上部と係合
するすべり止めを突設することが好ましい。

【０００６】本発明の傾斜分散板は、少なくとも表面が
耐火物よりなる凹凸部の上部にプレキャスト耐火物を載
せて複数の均圧室を構成した構造であるので、高温の予
熱空気によって均圧室が熱膨張した場合にもプレキャス
ト耐火物との間で自由にずれが生じ、従来のような過大
な熱応力が発生しない。このため、溶接部の損傷、リー
ク、耐火物の破壊等のおそれがない。また、均圧室毎に
分割して流量調節ができるうえ、凹凸部の上に連通孔と
分散ノズルとを備えたプレキャスト耐火物を載せればよ
いため、施工も容易であるという利点がある。以下に図
面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態を示す。

【０００７】

【発明の実施の形態】（第１の実施形態）図１におい
て、１は表面が耐火物よりなる凹凸部であり、この第１
の実施形態では凹凸状の金属板２の上面にキャスタブル
耐火物３を内張りし、高温の予熱空気に耐えることがで
きる耐熱性を持たせてある。この凹凸部１の上部には、
図示の通りプレキャスト耐火物５が載せられて、均圧室
４を構成している。金属板１には、図示のような台形状
の凹凸形状を与えておくことが好ましい。このような形
状とすると、その下面に十分な通気性を確保できるとと
もに、均圧室４の上面の幅を広く取ることができるから
である。

【０００８】図示の例では２個の均圧室４が示されてい
るがその数は任意であり、炉体の大きさ等によって増加
することができる。なお、均圧室４は紙面と垂直方向に
長く延びている。このプレキャスト耐火物５には均圧室
４と連通する連通孔６と分散ノズル７とが垂直に設けら
れている。このため、連通孔６を通じて均圧室４から供
給された予熱空気は、分散ノズル７から炉内に噴出され
て流動床を形成する。

【０００９】上記のようにプレキャスト耐火物５は単に
凹凸部１の上に置かれただけであるため、底面がフラッ
トであると水平方向にずれる可能性がある。そこで図示
のように、プレキャスト耐火物５の下面にすべり止め８
を突設し、このすべり止め８を凹凸部１の上部にはめ込
み、ずれないように係合させておくことが好ましい。

【００１０】このように構成された本発明の傾斜分散板
は、均圧室４に供給された高温の予熱空気を、プレキャ
スト耐火物５の分散ノズル７を通じて炉内に噴出させ、
流動床を形成するものである。運転中に金属板２よりな
る均圧室４は熱膨張するが、プレキャスト耐火物５はそ
の上に載せられたものであるから、均圧室４の熱膨張に
よってプレキャスト耐火物５が熱応力を受けることはな
い。このため、予熱空気の温度を600 ℃程度まで高めて
も、従来のような熱膨張による破損や空気のリークが生
ずることはない。

【００１１】また本発明の傾斜分散板は、複数の均圧室
４を設けたことにより均圧室４毎に分割して流量調節が
できるうえ、プレキャスト耐火物５を均圧室４の上部に
載せて行くだけでよいので施工も容易である。またプレ
キャスト耐火物５を上部耐火物と下部耐火物に分割し、
これらの両耐火物の接合部に空洞部を形成した構造とす
ることもできる。

【００１２】（第２の実施形態）図２に示す第２の実施
形態では、凹凸部１が断面が凹凸状に施工されたキャス
タブル耐火物のみにより構成されている。この凹凸部１
の上にプレキャスト耐火物５を載せて均圧室４を構成す
ること、またこのプレキャスト耐火物５に均圧室４と連
通する連通孔６と分散ノズル７とを設けておくことは、
第１の実施形態と同様である。

【００１３】（第３の実施形態）図３に示す第３の実施
形態では、プレキャスト耐火物５が上下方向および水平
方向に分割して配置されている。炉規模の大型化に伴
い、一つのプレキャスト耐火物５の重量が大きくなれ
ば、施工性、製作性、安全性の観点からも、プレキャス
ト耐火物５を分割して砂層分散板を構成することが望ま
しい。

【００１４】また、砂層分散板を構成するプレキャスト
耐火物５はできる限り同形のものを採用し、千鳥状に配
置すれば、コストやシール性の面を改善することも可能
である。この第３の実施形態も、凹凸部１の上部にプレ
キャスト耐火物５を載せて均圧室４を構成すること、ま
たこのプレキャスト耐火物５に均圧室４と連通する連通
孔６と分散ノズル７とを設けておくことは、第１、第２
の実施形態と同様である。

【００１５】

【発明の効果】以上に説明したように、本発明の流動床
炉の傾斜分散板は、凹凸状部の上部に、連通孔と分散ノ
ズルとを備えたプレキャスト耐火物を載せた構造を採用
したことにより、予熱空気を高温とした場合にも熱応力
による損傷や空気のリークのおそれがなく、しかも施工
が容易で分割して流量調節ができる等の利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１の実施形態を示す断面図である。

【図２】第２の実施形態を示す断面図である。

【図３】第３の実施形態を示す断面図である。

【図４】図３のＡ−Ａ断面図である。

【図５】従来の流動床炉の傾斜分散板の断面図である。

【符号の説明】

１ 凹凸部、２ 金属板、３ キャスタブル耐火物、４
均圧室、５ プレキャスト耐火物、６ 連通孔、７
分散ノズル、８ すべり止め

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも表面が耐火物よりなる凹凸部
   の上部に、プレキャスト耐火物を載せて複数の均圧室を
   構成し、このプレキャスト耐火物に、均圧室と連通する
   連通孔と分散ノズルとを設けたことを特徴とする流動床
   炉の傾斜分散板。
2. 【請求項２】 凹凸部が、断面が凹凸状の金属板の上面
   にキャスタブル耐火物を内張りしたものである請求項１
   に記載の流動床炉の傾斜分散板。
3. 【請求項３】 凹凸部が、断面が凹凸状に施工されたキ
   ャスタブル耐火物よりなるものである請求項１に記載の
   流動床炉の傾斜分散板。
4. 【請求項４】 プレキャスト耐火物の下面に、凹凸部の
   上部と係合するすべり止めを突設した請求項１に記載の
   流動床炉の傾斜分散板。