JPH11158201A - セルロース系物質の貯蔵輸送とパルプの製造方法 - Google Patents

セルロース系物質の貯蔵輸送とパルプの製造方法

Info

Publication number
JPH11158201A
JPH11158201A JP33935297A JP33935297A JPH11158201A JP H11158201 A JPH11158201 A JP H11158201A JP 33935297 A JP33935297 A JP 33935297A JP 33935297 A JP33935297 A JP 33935297A JP H11158201 A JPH11158201 A JP H11158201A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cellulosic
pulp
raw material
hydrogen peroxide
cellulosic material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP33935297A
Other languages
English (en)
Inventor
Akio Onda
昭雄 御田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP33935297A priority Critical patent/JPH11158201A/ja
Publication of JPH11158201A publication Critical patent/JPH11158201A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 嵩だかなセルロース原料を高音多湿条件下に
おいても腐敗させずにかつ密度の高い状態で貯蔵輸送す
る方法、及び該方法で貯蔵輸送されたセルロース系物質
からパルプ製造する方法を提供する。 【解決手段】 セルロース系物質をアルカリ性物質と接
触させながら、又はアルカリ性物質と過酸化水素を含む
水溶液と接触させ、さらに圧縮又は圧縮搾汁して密度の
高い状態にして貯蔵輸送することを特徴とするセルロー
系物質の貯蔵及び輸送方法。前記の方法貯蔵及び/又は
輸送したセルロース系の物質を使用し、これを機械的及
び/又は化学的に処理して解繊することを特徴とするパ
ルプの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、嵩だかなセルロー
ス系物質の密度と保存性を向上させて、貯蔵及び輸送す
る方法、並びにパルプ製造方法に関するものである。。
【0002】
【従来の技術】従来パルプ原料として大量の木材が使わ
れてきたが、地球の資源及び環境ロ問題等から木材を自
由に伐れなくなってきた。そこで、バガス(糖液を搾っ
た後の砂糖きび粕)やバナナの幹、バイナップルの葉な
ど熱帯などで大量に発生する州産廃棄物や廃材が、従来
の木材に代わるセルロース系物質として注目されるよう
になった。しかし、これらは嵩ばり、腐敗し易いため
に、パルプ工場の土場まで輸送し、貯蔵してパルプ原料
としてそれを使用するには大きな困難が伴う。セルロー
ス系物質を保持するために種々の方法が試みられてい
る。そのうちもっとも簡単で効果的な方法として乾燥法
が挙げられる。例えば、天日で水分が約12%以下にな
るまで乾燥すれば、腐敗させずに長期間原料を貯蔵する
ことができる。しかし、大量の物質を水分12%以下に
なるまで乾燥させるとなると広大な場所と連続して天気
がよいことが必要になる。火力で乾燥するには乾燥費が
嵩むので該方法は好適とは言えない。また、塩素系やフ
ェノール系等の合成防腐剤を使うセルロース系物質の貯
蔵方法もあるが、環境への安全性やコストの面で好まし
い方法と言えず、これが農林産廃棄物のパルプへの利用
を阻む大きな原因となってきた。
【0003】また、セルロース系物質のうち農業廃棄物
は特に嵩高で、従来の木材に比べて輸送コストが大きく
なることがパルプ原料としての利用を不利にしてきた。
例えば乾燥バガスの密度は約100kg/cm3であ
り、水分50%のウエットのバガスの密度は約200k
g/cm3となるが、その中のセルロース系の原料の含
有量は約100kg/cm3と全く変わらず、乾燥状態
でもウェットの状態でも密度は極めて低く嵩張ることが
分かる。これらは通常の圧縮では容易に密度が上がら
ず、極度の圧縮を行えば、得られる高密度の塊はパルプ
化工程で、機械的解繊を困難にして繊維を傷め、又化学
的解繊においては蒸解薬液の浸透を困難にし煮えむらを
起こすなど、パルプ原料としての経済価値を著しく損ね
てきた。
【0004】さきに発明者はセルロース系原料をアルカ
リ性物質又は過酸化水素のアルカリ溶液と接触させ腐敗
を防ぐことによって、パルプの原料の長期の貯蔵と長距
離輸送を可能とする方法を見出したが、さらにして経済
的に輸送貯蔵を可能とするため、環境を汚染せずに原料
の密度を高くする方法が求められていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は嵩張るセルロ
ース植物原料が高温多湿の条件下でも腐敗させずに高密
度で貯蔵輸送を可能とする方法、及び該方法で貯蔵輸送
されたセルロース原料からなるパルプを製造する方法を
提供することをその課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、セルロース植物原料
をアルカリ性物質と接触させることにより該原料中に含
まれ、該原料を剛直にしている非セルロース物質:リグ
ニン、ペクチン及びヘミセルロース等が一部崩壊可溶化
し粘性溶液となるため該原料は柔軟となることを見出
し、これを圧搾又は搾汁することによりセルロース系原
料をコンパクトにし、密度を限段に高めるとともに貯
蔵、輸送を一層容易にすることに成功した。なお、該方
法で貯蔵及び/又は輸送したセルロース系原料の内部に
はアルカリ性物質が均一に浸透して時間の競過と共に温
和な解繊が進むので、該方法で処理し貯蔵/又は輸送し
たセルロース系原料から半化学パルプ化学パルプの製造
が容易に、かつ均一に行われるとともに、パルプ原料と
しては極めて好適なことを見出し、これらの知見に基づ
いて本発明を完成するに至った。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明で使われるセルロース系原
料は、セルロースを含む植物又は加工品であり、稲わ
ら、バカス、バナナの葉や茎、こうぞ、みつまた、各種
麻類、牧草等の非木材、針葉樹や広葉樹等の木材やその
廃材が包含される。また、これらのセルロース系原料
は、アルカリ性物質と混和する前又は後で所望により切
断し貯蔵又は輸送するが、貯蔵又は輸送に先立って圧搾
又は脱汁することにより容積を一挙に小さくし、薬液を
添加した分を差し引いて容積当たりセルロース系原料の
含有量を200〜400kg/m3に増加させることが可
能となるので、貯蔵輸送が木材チップに比べても有利と
なる。また、液の均一な分散が図られので、セルロース
系物質の軟化と予備蒸解的な化学反応が均一に行える。
セルロース系原料の水分含有量は特に制約されず、水分
含有量が12%より高い湿潤状態であっても、12%以
下の乾燥状態であってもよい。また、特に水分が多い場
合は脱汁した後にアルカリと混和することで本発明が効
果的に実施できる。本発明の貯蔵方法及び輸送方法は、
セルロース系原料をアルカリ性物質と接触させて、腐敗
を防ぎ、柔軟でかつ接着性を持たせ、圧縮又は脱汁し密
度の高い状態にして貯蔵及び/又は輸送することを特徴
としている。本発明で用いるアルカリ性物質は水に易溶
性で、セルロース系原料の内部に浸透し易いものが好ま
しい。そして、貯蔵又は輸送するセルロース系原料の表
面を、pH9以上、好ましくはpH10〜13となるよ
うにアルカリ性物質を接触させることが望ましい。本発
明で使われるアルカリ性物質を具体的に示すと、ナトリ
ウムやカリウムの水酸化物、酸化物、炭酸塩、有機酸
塩、ケイ酸塩、過酸化物:カリウムやナトリウムの水酸
化物や炭酸塩が特に好ましい。そして、これらのアルカ
リ性物質は単独でも2種以上混合して使っても良いしア
ルカリ性を損なわない範囲で種々の添加物を混合使用す
ることもできる。また、これらのアルカリ性物質は、固
体状、水溶液状及びスラリー状でセルロース系原料に添
加することができる。アルカリ性物質を固形状、水溶液
状及びスラリー状でセルロース系原料に添加する場合、
湿潤状態で、かつアルカリ性物質が潮解性もしくは易溶
性の場合は平均粒径が5mm以下であればよいが、通常
アルカリ性物質とセルロース系植物原料との接触を良く
するために、アルカリ性物質は、その平均粒径が1mm
以下、好ましくは50〜200メッシュの粉末状で添加
するのが好ましい。その添加量はアルカリ性物質の種類
によっても異なるが、一般的には絶乾セルロース系原料
の1〜50重量%、好ましくは3〜30重量%である。
アルカリ性物質を水溶液としてセルロース系植物原料に
添加する場合、その添加量は、絶乾セルロース系原料に
対するアルカリ性物質の重量比(%)が5〜50重量
%、好ましくは10〜30重量%となる量である。アル
カリ性物質をスラリー状のセルロース系原料に添加する
場合においても、その添加量はセルロース系原料の絶乾
物に対するアルカリ性物質の重量比は、5〜50重量
%、好ましくは10〜30重量%となる量である。本発
明で用いるアルカリ性物質は、セルロース系原料の微生
物による腐敗を防止するとともに、セルロース系原料の
微生物による腐敗を防止するとともに、セルロース系原
料中に含まれるリグニン、ペクチン、ヘミセルロースや
樹脂分等非セルロース物質の一部を崩壊し、可溶化し、
セルロース系原料を繊維状に解繊させる作用を示すとと
もに、圧縮脱汁してコンパクトな密度の高い中間原料を
作るに有効な粘着性の物質を生成する。従って、本発明
によって処理され、貯蔵及び輸送されたセルロース系原
料は、パルプの中間原料としてすこぶる好適なものであ
る。本発明により、セルロース系原料をアルカリ性物質
の接触下において貯蔵又は輸送する場合、さらに過酸化
水素加えて接触させることにより、セルロース系原料の
腐敗防止をより効果的に行うことができるうえ、セルロ
ース系原料中のリグニン等の非セルロース成分を分解し
促進させるとともに、セルロース系物質を漂白する効果
を示す。従ってアルカリ性物質と過酸化水素に接触させ
ながら貯蔵又は輸送したセルロース系物質は、パルプの
中間原料としてさらに好適である。セルロース系物質に
アルカリ性物質と過酸化水素を接触させる方法としては
アルカリ性物資の水溶液に、過酸化水素又は過酸化水素
発生剤を加え、この水溶液をセルロース系物質に添加す
る方法や、アルカリ性物質と過酸化水素発生剤との粉末
状混合物をセルロース系物質に添加する方法等がある。
過酸化水素発生剤としては、従来公知のものを用いるこ
とができ、このようなものとしては、例えば、過炭酸ナ
トリウム、過炭酸カリウム、等の水溶性過炭酸塩、過ホ
ウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム等の水溶性過ホウ酸
塩、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の水溶性過硫
酸塩等の各種のペルオクソ酸塩の他、尿素/過酸化水素
付加物、メタケイ酸塩/過酸化水素付加物、過酸化カル
シウム、過酸化ナトリウム等が挙げられる。セルロース
系物質に対する過酸化水素添加量は、絶乾セルロース系
物質に対して、H22として、0.3重量%以上、好ま
しくは1〜5重量%である。アルカリ性物質及び過酸化
水素の接触下においてセルロース系物質の貯蔵又は輸送
する場合、過酸化水素の重金属イオンによる分解を防止
するために、水ガラス又は重金属キレート化剤を共存さ
せることが好ましい。このような重金属キレート化剤と
しては、従来公知のもの、例えば、クエン酸又はその水
溶性塩、EDTA、(エチレンジアミン四酢酸)又はそ
の水溶液塩、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸
塩)又はその水溶性塩、等の多価カルボン酸の他、下記
一般式(I)で表されるジフォスフォン酸又はその水溶
性塩等が挙げられるが、ジフォスフォン酸又はその塩の
使用が望ましい。
【化1】 (但しRは炭素数1〜11のアルキル基を表している) また、セルロース系物質にはマグネシウム化合物を接触
させることが好ましい。マグネシウム化合物は、セルロ
ースの分解を防ぎ、セルロースを保護する作用を示す。
その添加量は、酸化マグネシウムとして、セルロース系
物質に対し、0.01〜0.5重量%程度となる量が添
加される。具体的には、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、水酸
化物、乳酸塩、酢酸塩等として1種又は2種以上が添加
される。本発明によればセルロース系物質を貯蔵又は輸
送し、パルプの中間原料として利用するので、アルカリ
性物質としては、パルプ蒸解液として用いられるアルカ
リ水溶液(以下、単に蒸解液とも言う)の使用が好まし
い。このような蒸解液との接触下で貯蔵又は輸送される
セルロース系物質は、そのままパルプの中間原料として
利用でき、処理に用いた蒸解液は本蒸解の際に用いる蒸
解液の全部又は一部として差し引くことも、可能であ
る。蒸解液としては、従来公知のものを使用することが
でき、このようなものとしては、例えば、水酸化ナトリ
ウムと硫化ナトリウムを含有するクラフトパルプ法(K
P法)、の蒸解液;水酸化ナトリウムを含有するアルカ
リパルプ法(AP法)の蒸解液;亜硫酸ナトリウムと炭
酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムを含有するセミケミ
カル法の蒸解液;ナトリウムやカリウムの水酸化物、炭
酸塩又は炭酸水素塩と過酸化水素又は過酸化水素発生剤
を含み、このほかに、キレート化剤、マグネシウム化合
物等を加えたPA蒸解液;等が好適である。前記した蒸
解液のうち特に好ましい蒸解液はPA蒸解液である。こ
れは、該蒸解液に過酸化水素が含まれているために貯蔵
や輸送の間にセルロース系原料が徐々に解繊されると共
に、解繊で生成したパルプの漂白も進からである。また
特PA法及びAP法蒸解液を用いた場合、従来のPA法
やアルカリ法等におけると同様に、パルプ廃液を濃縮燃
焼してアルカリを回収して循環利用することが可能であ
る。本発明によりセルロース系物質を貯蔵尾よび輸送す
るに先立って、アルカリ性物質を添加混合し、得られた
混合物を圧搾又は脱汁しコンパクトで密度の高い中間原
料とする。圧搾は水圧、油圧の圧搾機が効果的である
が、大量にかつ連続的に行うにはロールプレスかスクリ
ュープレスが適当で、特にスクリュープレスは、セルロ
ース原料を過剰な蒸解液に漬け均一かつ充分に液を行き
渡らせた後に余分な蒸解液を脱汁回収でき、アルカリや
過酸化水素、水その他、次回の操作で不足するものを追
加できるので、廃棄物を周辺に排出することがなく、環
境対策上も優れている。このようにセルロース系原料を
処理して得られるパルプの中間原料は、地上に堆積し、
その上にCとを被せたり、サイロやコンテナー等に収容
されて貯蔵する。一方セルロース系物質から得られたパ
ルプの中間原料を輸送するには、前記混合物を船槽、コ
ンテナー又は大型の袋に入れて輸送する。セルロース系
の物質の貯蔵及び輸送の温度は特に制約されず、常温、
高温又は低温でも行える。セルロース系物質を本発明に
より処理し、貯蔵又は輸送されたパルプの中間原料をパ
ルプ化する場合、そのパルプ化は、そのセルロース系物
質の解繊度にもよるが、従来公知の化学パルプ化法と、
半化学パルプ化法でより容易に行うことができる。この
場合の化学パルプ化法には、過酸化水素−アルカリ法
(PA法)の他、従来公知のクラフト法(KP法)、ア
ルカリ法(AP法)、亜硫酸法(SP法)等が挙げら
れ、また半化学パルプ法には、セルロース系物質を機械
的に解繊する前に化学処理を行う方法であり、このよう
なパルプ化法としてはセミケミカル法、ケミサーモメカ
ニカル法、ケミメカニカル法が挙げられる。なお、本発
明により貯蔵又は輸送されたセルロース系物質をパルプ
化する場合には、従来の方法で貯蔵又は輸送されたセル
ロース系物質をパルプ化する場合に比べて、大きな利点
が挙げられる。即ち、従来の方法で長期貯蔵又は長距離
ゆ素されたセルロース系物質には、セルロースの顕著な
劣化と減量が見られ、また、アルカリ処理をしないので
脱リグニン等による解繊は何ら生じないために、これを
化学パルプ化法で解繊してパルプにするには、蒸解液/
セルロース系物質の液比を大きくとり、大きな耐圧性の
反応装置を用い、かつ高い蒸解温度で長時間かけて蒸解
することが必要であった。そのためパルプ収率は低く、
得られるパルプの品質も優れなかった。これに対し、セ
ルロース系物質を本発明により処理し、貯蔵又は輸送さ
れて得られた、パルプの中間原料は、その貯蔵又は輸送
期間中に、アルカリ性物質が浸透し、セルロース系物質
からの脱リグニン等により、既にある程度の解繊が達成
されているので、そのパルプ化は非常に容易であり、そ
の結果、蒸解液/セルロース系物質の液比は極めて小さ
くでき、反応装置も小型化されたものでよい上、蒸解温
度も低くてすみ、かつ蒸解時間も短くてすむ。従って、
パルプの生産性は著しく向上する。例えばセルロース原
料を本発明により処理し、貯蔵又は輸送されたパルプの
中間原料の蒸解温度及び蒸解時間を示すと、従来のコー
ルドソーダ法及びケミサーモメカニカル法で求められる
パルプを本発明で製造するには加温の必要が全くなくそ
のまま解繊すればよく、従来のセミケミカル法で求める
パルプを本発明で製造するのに、適当な蒸解温度は70
〜140℃、好ましくは80〜100℃と低くてすみ、
この場合耐圧装置を必要としない。その蒸解時間は、2
〜360分であるが、80〜100℃では15〜120
分である。また、化学パルプ化法においては適当な蒸解
温度は90〜160℃、好ましくは非木材セルロース原
料では110〜145℃、木質系セルロース原料では1
40〜155℃と低くてすむ。その蒸解時間は、15〜
360分であるが、115〜145℃の場合では60〜
120分である。液比(蒸解液/セルロース系物質の重
量比)を示すと、0.6〜6l/kg、好ましくは1.
5〜3l/kgであり、著しく液比の小さい気相蒸解が
可能である。
【0008】
【実施例】次に、本発明を実施例によって更に具体的に
説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるも
のではない。なお、以下に示す%はいずれも重量%であ
る。
【0009】実施例1 長さ5cmに切断してから風選して葉の部分を除いた稲
の茎幹42.2kg(絶乾量24.4kg)に、15%
の水酸化ナトリウムを液比2.1l/kgとなるように
水溶液として加えて撹拌混合し、これを油圧機で嵩比重
310g/lの高密度にかため、室温下にポリタンク中
で18箇月間貯蔵した。室温は冬期に−4℃まで下がり
夏期は38℃まで上がったが、貯蔵中に稲の茎幹が腐敗
劣化するような現象は見られなかった。18箇月間貯蔵
後、このパルプの中間原料をそのままディスクリファイ
ナーで解繊し、収率67.8%(絶乾パルプ/絶乾原
料)、で半化学パルプを得た。このパルプは、ハンター
白色度22.4%、裂断長2.5km、比破裂強さ2.
2、比引裂強さ48であった。
【0010】実施例2 砂糖きびをケインセパレーターで割り、ピスとワックス
の付いたままの外皮の板状の皮(ケインラインド)を厚
さ1.3〜2.5mmで、2.5〜3.5cm、X3.
5〜5.0cmの大きさに切断してチップとした。この
湿潤チップ30.0t(絶乾量14.1t)に水酸化カ
リウム4.33tと前記一般式においてRがlのジフォ
スフォン酸169kgと、酸化マグネシウム11.3k
gとアミルアントラキノン3.2kgと、過酸化水素4
23kgと液比が1.3/kgとなる量の精製水を加
え、これを良く撹拌して均一な水溶中にチップが均一に
浸漬するようにした。これをスクリュウプレスで軽くプ
レスし密度290kg/m3の固まりをサイロ中で18
箇月間貯蔵したが、貯蔵中に腐敗劣化は見られなかっ
た。なお、サイロ内温度は最高50℃で最低23℃であ
った。上記のようにして貯蔵した湿潤チップをサイロか
ら取り出し、これをパルプの中間原料としてホットリフ
ァイナーで115℃に加温し2分間保持しながら解繊し
未晒パルプを得た、絶乾原料から絶乾パルプの収率は7
8.2%で、該パルプのハンター白色度は62.3%、
裂断長は4.2km、比破裂強さ2.3、比引裂強さは
75であった。
【0011】実施例3 水分55%を含むアパカ(マニラ麻)11.5611
(絶乾量5.2kg)を長さを15cmに切断し、水酸
化ナトリウム1.07kgとt−ブチルアントラキノン
10.4kgと、前記一般式(I)においてRがメチル
基のジフォスフォン酸1.5kgと、炭酸マグネシウム
32.6kgと、過酸化水素156kgと、液比が1.
9l/kgとなる量の精製水を加え、これを良く撹拌し
て均一な水溶液中に粗繊維が均一に浸漬するようにし
た。これを油圧で密度270g/lとなるまで圧縮し、
ポリタンクに入れて室温で20箇月貯蔵したが、貯蔵中
に粗繊維が腐敗劣化するような微候は全く認められなか
った。なお、室温は最低23℃で最高38℃であった。
貯蔵後ポリタンク内容物を地球釜に移し、ここで125
℃に1時間加熱してから内容物を取り出して廃液と固形
物とに分離し、固形物を常法により精製して未晒パルプ
を得た。このパルプの白色度はハンター67.5%で裂
断度は5.8、比破裂強さは5.8、比引裂強さは19
8、カッパー価は5.2であった。また、絶乾原料から
の絶乾パルプの収率は62.7%であった。上記の未晒
パルプ3.26kg(絶乾量)過酸化水素97.8gと
水酸化ナトリウム126.2gと酸化マグネシウム2.
6gと、前記一般式(I)においてRがエチル基のジフ
ォスフォン酸26gと、市販ミズガラス65.2gと、
精製水28リットルからなる均一水溶液中に90℃で1
時間浸漬して漂白し、晒パルプを得た。晒収率は96.
2%で、該晒パルプのハンター白色度は82.5%であ
った。
【0012】実施例4 長さ3.8〜5.2cm、幅3.0〜4.8cm、厚さ
0.6〜0.8cmのから松の廃材チップ520kg
(絶乾量385kg)に、水酸化ナトリウム89.4k
gと、ヒドロキシアントラセン578gと、DTPA
1.16kgと炭酸マグネシウム805gと、過酸化水
素7.5kgと液比が6.2l/kgとなるように精製
水を加え、これを良く撹拌して均一な水溶液中にチップ
が均一に浸漬するようにし、2日後スクリュウプレスで
セルロース系原料が390kg/m3の固まりを得た。
これをサイロに入れて24箇月貯蔵したが、貯蔵中にチ
ップが腐敗劣化するような微候は認められなかった。な
お、サイロの中の温度は最低−3℃で最高30℃であっ
た。貯蔵後は、ポリタンク内容物を地球釜に移して不足
する薬品を添加後、加熱し145℃で2時間保持して蒸
解後、地球釜から内容物を取り出して廃液と固形分とに
分離してから、固形物を水洗精選して未晒パルプを得
た。このパルプはハンター白色度45.6%、カッパー
価9.3、裂断長5.7km、比破裂強さ98であっ
た。
【0013】実施例5 沖縄産のピス抜きした湿潤バガス30kg(絶乾量1
5.3kg)に、過炭酸ナトリウム2.15kgと、水
ガラス600gと、一般式(I)においてRがC1のジ
フォスフォン酸920gと、塩化マグネシウム70g
と、水5lを加えて均一に混合後圧機で密度280g/
lまで圧縮し、これをポリタンクに入れ、12箇月貯蔵
した。このバガスを加熱処理を全くせずにディスクリフ
ァイナーで解繊し、ハンター白色度67.3%、裂断長
2.8km、比破裂強さ45の未晒パルプを得た。絶乾
原料からの絶乾パルプ収率は83.2であった。
【0014】
【発明の効果】本発明によれば公知の防腐剤を使わず
に、セルロース系物質を長期間腐敗させずにコンパクト
な状態で貯蔵輸送したりすることが出来る。本発明によ
って長期間貯蔵したり輸送したセルロース系物質は、貯
蔵や貯蔵中に該原料に含まれるリグニン及び樹脂分が可
溶化除去されるので、 化学パルプの製造において蒸解
を要せず、又化学パルプ化において工程の時間と蒸気等
の大幅削減が可能である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 嵩だかなセルロース系物質に、アルカリ
    性物質を添加し、圧縮または搾汁して保存性と密度を上
    げることを特徴とするセルロース系物質の貯蔵及び輸送
    方法。
  2. 【請求項2】 嵩だかなセルロース系物質に、アルカリ
    性物質と過酸化水素を含む水溶液を添加し、圧縮または
    を添加し、圧縮または搾汁して保存性と密度を上げるこ
    とを特徴とするセルロース系物質の貯蔵及び輸送方法。
  3. 【請求項3】 請求項1、又は2に記載した方法で圧縮
    または搾汁して得られる水溶液にアルカリ性物質又は/
    及び過酸化水素を追加して新たなセルロース系物質に添
    加し、密度と保存性を上げることを特徴とする、セルロ
    ース系物質の貯蔵及び輸送方法。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3に記載した方法で圧
    縮または搾汁して密度を上げ、貯蔵又は輸送されたセル
    ロース系物質を使用し、これを機械的及び/又は化学的
    に解繊することを特徴とするパルプ製造方法。
JP33935297A 1997-11-25 1997-11-25 セルロース系物質の貯蔵輸送とパルプの製造方法 Pending JPH11158201A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33935297A JPH11158201A (ja) 1997-11-25 1997-11-25 セルロース系物質の貯蔵輸送とパルプの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33935297A JPH11158201A (ja) 1997-11-25 1997-11-25 セルロース系物質の貯蔵輸送とパルプの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11158201A true JPH11158201A (ja) 1999-06-15

Family

ID=18326654

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP33935297A Pending JPH11158201A (ja) 1997-11-25 1997-11-25 セルロース系物質の貯蔵輸送とパルプの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11158201A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008307047A (ja) * 2007-05-14 2008-12-25 Taisei Corp 植物性バイオマスの保存方法
JP2012526886A (ja) * 2009-05-14 2012-11-01 マーフィル コメルシオ イー エンプリーンディメントス エルティーディエー 微結晶セルロースの製造方法
JP2017203063A (ja) * 2016-05-10 2017-11-16 日本製紙株式会社 粉末状セルロースの製造方法
WO2021215358A1 (ja) * 2020-04-23 2021-10-28 日本製紙株式会社 セルロース系ポリマーの包装方法および輸送方法、並びにセルロース系ポリマーの包装物

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008307047A (ja) * 2007-05-14 2008-12-25 Taisei Corp 植物性バイオマスの保存方法
JP2012526886A (ja) * 2009-05-14 2012-11-01 マーフィル コメルシオ イー エンプリーンディメントス エルティーディエー 微結晶セルロースの製造方法
JP2017203063A (ja) * 2016-05-10 2017-11-16 日本製紙株式会社 粉末状セルロースの製造方法
WO2021215358A1 (ja) * 2020-04-23 2021-10-28 日本製紙株式会社 セルロース系ポリマーの包装方法および輸送方法、並びにセルロース系ポリマーの包装物
JPWO2021215358A1 (ja) * 2020-04-23 2021-10-28
JP2022001510A (ja) * 2020-04-23 2022-01-06 日本製紙株式会社 セルロース系ポリマーの包装方法および輸送方法、並びにセルロース系ポリマーの包装物
JP2022044773A (ja) * 2020-04-23 2022-03-17 日本製紙株式会社 セルロース系ポリマーの包装方法および輸送方法、並びにセルロース系ポリマーの包装物
CN115485198A (zh) * 2020-04-23 2022-12-16 日本制纸株式会社 纤维素系聚合物的包装方法及运输方法、以及纤维素系聚合物的包装物
CN115485198B (zh) * 2020-04-23 2024-02-06 日本制纸株式会社 纤维素系聚合物的包装方法及运输方法、以及纤维素系聚合物的包装物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4187141A (en) Method of producing bleached mechanical pulp
US6302997B1 (en) Process for producing a pulp suitable for papermaking from nonwood fibrous materials
US6364999B1 (en) Process for producing a wood pulp having reduced pitch content and process and reduced VOC-emissions
US4260452A (en) Production of paper pulp from sugar mill bagasse
JPS6011159B2 (ja) セルロ−スパルプを65乃至95%の範囲の収率で製造する方法
JPS6029773B2 (ja) 機械フラツフト・パルプの製造法
JP2009516086A (ja) 新しいパルプ及びパルプ化の方法
WO1998020198A1 (en) Method of producing pulp using single-stage cooking with formic acid and washing with performic acid
US3817826A (en) Process for fractionated recovery of lignin and cellulose from bark
US3620911A (en) Wet depithing of a nonwoody lignocellulosic plant material
Marella et al. Production of pulp from banana pseudo stem for grease proof paper
WO1999041448A1 (en) Method for the simple and environmentally benign pulping of nonwood fibrous materials
JP2588495B2 (ja) 製紙用高収率高漂白度パルプの製造方法
US20020062935A1 (en) Paper and absorbent products with reduced pitch content
EP0022881B1 (en) Accelerated pulping process
JPH11158201A (ja) セルロース系物質の貯蔵輸送とパルプの製造方法
US5385641A (en) Delignification of cellulosic raw materials using acetic acid, nitric acid and ozone
US2899350A (en) Process for storing and digesting of
US3073737A (en) Wood pulp and process for producing same
CA1274657A (en) High yield pulping and bleaching process
JP2003147690A (ja) 高白色度の非木材機械パルプの製造方法
US2956918A (en) Chemically assisted mechanical wood pulp
Teygeler Water hyacinth paper
US4787959A (en) Process for preparing chemical paper pulps by cooking, intermediate grinding and a final alkaline peroxide delignification
JPH0959886A (ja) セルロース系物質の貯蔵及び輸送方法並びにパルプの製造方法