JPH0959886A - セルロース系物質の貯蔵及び輸送方法並びにパルプの製造方法 - Google Patents

セルロース系物質の貯蔵及び輸送方法並びにパルプの製造方法

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JPH0959886A
JPH0959886A JP23601995A JP23601995A JPH0959886A JP H0959886 A JPH0959886 A JP H0959886A JP 23601995 A JP23601995 A JP 23601995A JP 23601995 A JP23601995 A JP 23601995A JP H0959886 A JPH0959886 A JP H0959886A
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cellulosic material
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昭雄 御田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温多湿条件下においてもセルロース系物質
を腐敗させないで貯蔵及び輸送する方法、及び該方法で
貯蔵又輸送したセルロース系物質からパルプを製造する
方法を提供する。 【解決手段】 セルロース系物質をアルカリ性物質と接
触させながら、又はアルカリ性物質と過酸化水素を含む
水溶液と接触させながら、貯蔵又は輸送することを特徴
とするセルロース系物質の貯蔵及び輸送方法。前記の方
法で貯蔵及び/又は輸送したセルロース系物質を使用
し、これを機械的及び/又は化学的に処理して解繊する
ことを特徴とするパルプの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セルロース系物質
の貯蔵及び輸送方法、並びにパルプの製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】木材、農産物、農産廃棄物等のセルロー
ス系物質は、パルプ原料や飼料等として大量に使われて
いるが、環境問題等から木材の伐採は強く規制されるよ
うになった。そこで、バガス(糖液を絞った後の砂糖き
び粕)やバナナの葉等の熱帯産農産物廃棄物が木材に代
るセルロース系物質として注目されているが、腐敗し易
いために、その使用は大きな困難が伴う。セルロース系
物質を貯蔵するために種々の方法が試みられている。例
えば、水分量約12重量%以下まで乾燥すれば腐敗させ
ずに長期間原料を貯蔵することができる。しかし、大量
の物質を水分量12重量%以下まで乾燥させると乾燥費
が嵩むので該方法は好適と言えない。また、塩素系やフ
ェノール系等の合成防腐剤を使うセルロース系物質の貯
蔵方法もあるが、安全性やコスト等の点で好ましい方法
とは言えない。このほか、セルロース系物質に有機酸を
加えて貯蔵する方法も知られている。例えば、糖液が残
っているバガスを乳酸発酵させて貯蔵中のバガスの腐敗
を遅らせたり、寒令地で牧草にプロピオン酸を加えて貯
蔵することが行われている。しかし、高温多湿な条件下
では、有機酸があっても、アセトン−ブタノール発酵等
の発酵や腐敗を完全防止するのが難しく、悪臭を発生し
ながらセルロース系物質は腐敗して行く。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高温多湿条
件下においてもセルロース系物質を腐敗させないで貯蔵
及び輸送する方法、及び該方法で貯蔵又輸送したセルロ
ース系物質からパルプを製造する方法を提供することを
その課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、セルロース系物質を
アルカリ性物質と接触させて貯蔵又は輸送すると貯蔵中
や輸送中の腐敗を防ぐことができる上に、該方法で貯蔵
及び/又は輸送したセルロース系物質の内部にはアルカ
リ性物質が浸透して時間の経過と共に温和な解繊が進む
から、該方法で貯蔵及び/又は輸送したセルロース系物
質はパルプ原料として好適なことを見出し、これらの知
見に基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、本
発明によれば、セルロース系物質をアルカリ性物質と接
触させながら、又はアルカリ性物質と過酸化水素を含む
水溶液と接触させながら、貯蔵又は輸送することを特徴
とするセルロース系物質の貯蔵及び輸送方法が提供され
る。また、本発明によれば、前記の方法で貯蔵及び/又
は輸送したセルロース系物質を使用し、これを機械的及
び/又は化学的に処理して解繊することを特徴とするパ
ルプの製造方法が提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明で使われるセルロース系物
質は、セルロースを含む植物又は加工品であり、針葉樹
や広葉樹等の木材、稲わら、バガス、バナナの葉や茎、
パイナップルの葉、とうもろこしの葉や茎、こうぞ、み
つまた、各種麻類、牧草等が包含される。また、これら
のセルロース系物質はアルカリ性物質と良く接触できる
ように、小さく切断して貯蔵又は輸送するのが好まし
い。具体的には、長さ0.5〜20cm、好ましくは2
〜7cmに切断して貯蔵又は輸送するのが望ましい。セ
ルロース系物質の水分含有量は特に制約されず、水分含
有量が12%より高い含水物であっても、12%以下の
乾燥物であってもよい。本発明の貯蔵方法及び輸送方法
は、セルロース系物質をアルカル性物質と接触させて貯
蔵又は輸送することを特徴としている。本発明で使われ
るアルカリ性物質は水に易溶性でセルロース系物質の内
部に浸透し易いものが好ましい。そして、貯蔵又は輸送
するセルロース系物質の表面を、pH9以上、好ましく
はpH9〜12となるようにアルカリ性物質を接触させ
るのが望ましい。
【0006】本発明で使われるアルカリ性物質を具体的
に示すと、ナトリウムやカリウムの水酸化物、酸化物、
炭酸塩、炭酸水素塩、有機酸塩、ケイ酸塩、過酸化物
等;カルシウムやマグネシウムの水酸化物や酸化物、過
酸化物等が挙げられ、ナトリウムやカリウムの水酸化物
や炭酸塩が特に好ましい。そして、これらのアルカリ性
物質は単独でも2種以上混合して使っても良いし、アル
カリ性を損なわない範囲で種々の添加剤を混合使用する
こともできる。また、これらのアルカリ性物質は、固体
状、水溶液状及びスラリー状でセルロース系物質に添加
することができる。アルカリ性物質を固体状でセルロー
ス系物質に添加する場合、セルロース系物物質が湿潤状
態で、かつアルカリ性物質が潮解性もしくは易溶性の場
合は平均粒径が5mm以下であればよいが、通常アルカ
リ性物質とセルロース系物質原料との接触を良くするた
めに、アルカリ性物質は、、その平均粒径が100μm
以下、好ましくは5〜50μm粉末状、特に50〜20
0メッシュの粉末状で添加するのが好ましい。その添加
量はアルカリ性物質の種類によっても異なるが、一般的
には絶乾セルロース系物質の1〜50重量%、好ましく
は3〜30重量%である。
【0007】アルカリ性物質を水溶液としてセルロース
系物質に加える場合、濃度0.5〜25重量%、好まし
くは3〜15重量%の水溶液を加えるのが望ましい。そ
の添加量は、絶乾セルロース系物質に対するアルカリ性
物質の重量比(%)が、5〜50重量%、好ましくは1
0〜30重量%となる量である。
【0008】アルカリ性物質をスラリー状でセルロース
系物質に添加する場合、その添加量は、絶乾セルロース
系物質に対するアルカリ性物質の重量比(%)が、5〜
50重量%、好ましくは10〜30重量%となる量であ
る。
【0009】本発明で用いるアルカリ性物質は、セルロ
ース系物質の微生物による腐敗を防止するとともに、セ
ルロース系物質中に含まれるリグニンや樹脂分等非セル
ロース物質を可溶化し、セルロース系物質を繊維状に開
繊させる作用を示す。従って、本発明の貯蔵及び輸送方
法により得られるセルロース系物質は、パルプ原料とし
て好適のものである。
【0010】本発明によりセルロース系物質をアルカリ
物質との接触下において貯蔵又は輸送する場合、セルロ
ース系物質には、アルカリ性物質とともに、過酸化水素
を接触させることにより、セルロース系物質の腐敗防止
をより効果的に行うことができる上、セルロース系物質
中のリグニン等の易分解性成分を分解し、セルロース系
物質の開繊を促進させるとともに、セルロース系物質を
漂白する効果を示す。従って、アルカリ性物質と過酸化
水素に接触させながら貯蔵又は輸送したセルロース系物
質は、パルプ原料として好適のものである。
【0011】セルロース系物質にアルカリ性物質を過酸
化水素を接触させる方法としては、アルカリ性物質の水
溶液に、過酸化水素又は過酸化水素発生剤を加え、この
水溶液をセルロース系物質に添加する方法や、アルカリ
性物質と過酸化水素発生剤との粉末状混合物をセルロー
ス系物質に添加する方法等がある。過酸化水素発生剤と
しては、従来公知のものを用いることができ、このよう
なものとしては、例えば、過炭酸ナトリウム、過炭酸カ
リウム等の水溶性過炭酸塩、過ホウ酸ナトリウム、過ホ
ウ酸カリウム等の水溶性過ホウ酸塩、過硫酸ナトリウ
ム、過硫酸カリウム等の水溶性過硫酸塩等の各種のペル
オクソ酸塩の他、尿素/過酸化水素付加物、メタケイ酸
塩/過酸化水素付加物、過酸化カルシウム、過酸化ナト
リウム等が挙げられる。セルロース系物質に対する過酸
化水素の添加量は、絶乾セルロース系物質に対して、H
22として、0.3重量%以上、好ましくは1〜5重量
%である。
【0012】アルカリ性物質及び過酸化水素との接触下
においてセルロース系物質を貯蔵又は輸送する場合、過
酸化水素の重金属イオンによる分解を防止するために、
水ガラス又は重金属キレート化剤を共存させるのが好ま
しい。このような重金属キレート化剤としては、従来公
知のもの、例えば、クエン酸又はその水溶性塩、EDT
A(エチレンジアミン四酢酸)又はその水溶性塩、DT
PA(ジエチレントリアミン五酢酸)又はその水溶性
塩、等の多価カルボン酸の他、下記一般式(I)で表さ
れるジフォスフォン酸又はその水溶性塩等が挙げられる
が、ジフォスフォン酸又はその塩の使用が好ましい。
【化1】 (但し、Rは炭素数1〜11のアルキル基を表してい
る) また、セルロース系物質にはマグネシウム化合物を接触
させることも好ましい。マグネシウム化合物は、セルロ
ースの分解を防ぎ、セルロースを保護する作用を示す。
その添加量は、酸化マグネシウムとして、セルロース系
物質に対し、0.01〜0.5重量%程度となる量が添
加される。また、マグネシウム化合物は水溶性化合物の
形で添加するのが好ましく、具体的には塩化物、炭酸
塩、硫酸塩、水酸化物、乳酸塩、酢酸塩等として1種又
は2種以上が添加される。
【0013】本発明によりセルロース系物質をパルプ原
料として貯蔵又は輸送する場合、アルカリ性物質として
は、パルプ蒸解液として用いられているアルカリ水溶液
(以下、単に蒸解液とも言う)の使用が好ましい。この
ような蒸解液との接触下で貯蔵又は輸送されたセルロー
ス系物質は、そのままパルプ原料として蒸解液中で蒸解
することができる。蒸解液としては、従来公知のものを
使用することができ、このようなものとしては、例え
ば、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムを含有するクラ
フトパルプ法(KP法)の蒸解液;水酸化ナトリウムを
含有するアルカリパルプ法(AP法)の蒸解液;亜硫酸
ナトリウムと炭酸水素ナトリウムを含有するセミケミカ
ル法の蒸解液;ナトリウムやカリウムの水酸化物、炭酸
塩又は炭酸水素塩と、過酸化水素又は過酸化水素発生剤
を含み、このほかに、キレート化剤、マグネシウム化合
物等を加えたPA法蒸解液;等が好適である。
【0014】前記した蒸解液のうち特に好ましい蒸解液
はPA法蒸解液である。これは、該蒸解液に過酸化水素
が含まれているために貯蔵や輸送の間にセルロース系原
料が徐々に解繊されると共に、解繊で生成したパルプの
漂白も進むからである。
【0015】本発明によりセルロース系物質を貯蔵する
には、セルロース系物質にアルカリ性物質を添加混合
し、得られた混合物を地上に堆積し、その上にシートを
被せたり、サイロやコンテナー等に収容させて貯蔵す
る。一方、セルロース系物質を輸送するには、前記混合
物を船槽コンテナーや、大型の袋に入れて輸送する。セ
ルロース系物質の貯蔵及び輸送の温度は特に制約され
ず、冷却された温度であってもよよいし、加温された温
度であってよいが、通常は常温である。
【0016】本発明により貯蔵又は輸送されたセルロー
ス系物質をパルプ化する場合、そのパルプ化は、そのセ
ルロース系物質の開繊度にもよるが、従来公知の機械的
パルプ化法や、化学的パルプ化法より行うことができ
る。この場合の化学的パルプ化法には、従来公知の各種
の化学パルプ化法他、半化学パルプ化法が包含される。
また、半化学パルプ化法は、セルロース系物質を機械的
に解繊する前に化学処理を行う方法であり、このような
パルプ化法としては、セミケミカルパルプ化法、ケミサ
ーモメカニカルパルプ化法、ケミメカニカルパルプ化法
等が挙げられる。
【0017】本発明により貯蔵又は輸送されたセルロー
ス系物質をパルプ化する場合には、あ従来の方法により
貯蔵又は輸送されたセルロース系物質をパルプ化する場
合に比べて、大きな利点を得ることができる。即ち、従
来の方法で貯蔵又は輸送されたセルロース系物質をパル
プ化するには、このものには、アルカリ性物質の浸透が
なく、脱リグニン等による解繊は何ら生じていないため
に、蒸解液/セルロース系物質の比を大きくとり、大き
な耐圧性の反応装置を用い、かつ高い蒸解温度で長時間
かけて蒸解することが必要である。これに対し、本発明
により貯蔵又は輸送されたセルロース系物質には、その
貯蔵又は輸送期間中に、アルカリ性物質が浸透し、セル
ロース系物質からの脱リグニン等により、既にある程度
の解繊が達成されているので、そのパルプ化は非常に容
易であり、その結果、蒸解液/セルロース系物質の比は
小さくなり、反応装置も小型化されたものでよい上、蒸
解温度も低くてすみ、かつ蒸解時間も短くてすむ。従っ
て、パルプの生産性は著しく向上する。例えば、本発明
により貯蔵又は輸送されたセルロース原料の蒸解温度及
び蒸解時間を示すと、コールドソーダ法では加温の必要
が全くなく、ケミサーモメカニカル法、ケミメカニカル
法、ケミカル法にあっては、その蒸解温度は80〜17
0℃、好ましくは100〜140℃と低くてすみ、その
蒸解時間は、一般的には2〜360分であるが、サーモ
メカニカル法及びケミメカニカル法では1〜5分、ケミ
カル法では15〜120分である。また、液比(蒸解液
/セルロース系物質の重量比)を示すと、0.6〜6リ
ットル/kg、好ましくは1.5〜3リットル/kgで
あり、著しく小さくすることができる。
【0018】
【実施例】次に、本発明を実施例によって更に具体的に
説明するが、本発明はこの実施例によって限定されな
い。なお、以下に記す%はいずれも重量%である。
【0019】実施例1 長さ約5cmに切断してから風選して葉の部分を除いた
稲の茎幹42.2kg(絶乾量24.4kg)に、15
%の水酸化ナトリウムを液比2.1リットル/kgとな
るよう水溶液として加えて撹拌混合し、これを室温下に
ポリタンク中で18箇月間貯蔵した。室温は冬期に−4
℃まで下がり夏期には38℃まで上ったが、貯蔵中に稲
の茎幹が腐敗劣化するような現象は見られなかった。1
8箇月間貯蔵後の稲の茎幹をそのままディスクリファイ
ナーで解繊し、絶乾原料からの絶乾パルプ収率が67.
8%でコールドソーダ法パルプを得た。このパルプは、
ハンター白色度22.4%、裂断長2.5km、比破裂
強さ2.2、比引裂強さ48であった。
【0020】実施例2 砂糖きびをケインセパレーターで割り、ピスと外皮のワ
ックスを取り除いた板状の皮(ケインラインド)を2.
5〜3.0cm×3.5〜5.0cmの大きさに切断し
テチップとした。このチップ30.0t(絶乾量14.
1t)に、水酸化カリウム4.33tと、前記一般式
(I)においてRがC6基のジフォスフォン酸169k
gと、酸化マグネシウム11.3kgと、アミルアント
ラキノン21.2kgと、過酸化水素423kgと液比
が1.3リットル/kgとなる量の精製水を加え、これ
を良く撹拌して均一な水溶液中にチップが均一に浸漬す
るようにした。これをサイロ中で18箇月間貯蔵した
が、貯蔵中にチップの腐敗劣化は見られなかった。な
お、サイロ内温度は最高50℃で最低23℃であった。
上記のようにして貯蔵した湿潤チップをサイロから取り
出し、これをホットリファイナーで125℃に加温し2
分間保持しながら解繊し未晒パルプを得た。絶乾原料か
らの絶乾パルプ収率は78.2%で、該パルプのハンタ
ー白色度は62.3%、裂断長は4.2km、比破裂強
さは2.3、比引裂き強さは75であった。
【0021】実施例3 アバカ(マニラ麻)の幹を長さ15cmに切断してから
ローラーで圧潰し、これに、アミラーゼとペクチナーゼ
とアミラーゼを加えて100〜55℃で3時間発酵処理
した。この処理によって原料中のペクチンの80%と澱
粉の95%が除去された粗繊維が得られた。この粗繊維
25kg(絶乾量5.2kg)に、水酸化ナトリウム
1.07kgと、t−ブチルアントラキノン10.4g
と、前記一般式(I)においてRがヘキシル基のジフォ
スフォン酸1.5gと、炭酸マグネシウム32.6gと
過酸化水素156gと、液比が1.9リットル/kgと
なる量の精製水を加え、これを良く撹拌して均一な水溶
液中に粗繊維が均一に浸漬するようにした。これをポリ
タンクに入れて室温で20箇月間貯蔵したが、貯蔵中に
粗繊維が腐敗劣化するような微候は全く認められなかっ
た。なお、室温は最低23℃で最高38℃であった。
【0022】貯蔵後のポリタンク内容物を地球釜に移
し、ここで115℃に1時間加熱してから内容物を取り
出して廃液と固形物とに分離し、固形物を常法により精
製して未晒パルプを得た。このパルプのハンター白色度
は67.5%で、裂断長は9.2km、比破裂強さは
5.8、比引裂き強さは198、カッパー価は5.2で
あった。また、絶乾原料からの絶乾パルプ収率は62.
7%であった。上記の未晒パルプ3.26kg(絶乾
量)を過酸化水素97.8gと、水酸化ナトリウム12
6.2gと酸化マグネシウム2.6gと、前記一般式
(I)においてRがオクチル基のジフォスフォン酸26
gと、市販水ガラス65.2gと、精製水28リットル
から成る均一水溶液中に90℃で1時間浸漬して漂白
し、晒パルプを得た。晒収率は96.2%で、該晒パル
プのハンター白色度は82.5%であった。
【0023】実施例4 長さ2.8〜3.2cmのぶな材チップ520kg(絶
乾量385kg)に、水酸化ナトリウム89.4kg
と、ヒドロキシアントラセン578gと、DTPA1.
16kgと、炭酸マグネシウム805gと、過酸化水素
7.5kgと、液比が3.2リットル/kgとなる量の
精製水を加え、これを良く撹拌して均一な水溶液中にチ
ップが均一に浸漬するようにした。これをポリタンクに
入れて室内に24箇月間貯蔵したが、貯蔵中にチップが
腐敗劣化するような徴候は認められなかった。なお、室
温は最低−3℃で最高30℃であった。貯蔵後は、ポリ
タンク内容物を地球釜に移して145℃で1時間加熱し
て蒸解後、地球釜から内容物を取り出して廃液と固形物
とに分離してから、固形物を水洗精選して未晒パルプを
得た。このパルプはハンター白色度45.6%、カッパ
ー価9.3、裂断長5.7km、比破裂強さ4.4、比
引裂強さ98であった。また、絶乾原料からの絶乾パル
プ収率は53.2%であった。
【0024】実施例5 沖縄産のピス抜きした湿潤バガス30kg(絶乾量1
5.3kg)に、過炭酸ナトリウム2.15kgと、水
ガラス600gと、一般式(I)においてRがC6基の
ジフォスフォン酸920gと、塩化マグネシウム70g
と、精製水5リットルを加えて均一に混合した。これを
ポリタンクに入れ、12箇月間貯蔵した。このバガスを
ディスクリファイナーで解繊したところ、ハンター白色
度67.3%、裂断長2.8km、比破裂強さ1.7、
比引裂強さ45の粗パルプが得られた。絶乾原料からの
絶乾パルプ収率は83.2%であった。
【0025】
【発明の効果】本発明の貯蔵方法及び輸送方法によれ
ば、セルロース系物質に公知の防腐剤を加えなくても長
期間腐敗させずに貯蔵したり輸送したりすることができ
る。従って、この方法によれば貯蔵費や輸送費が低下す
る上に貯蔵原料を使うことによる環境汚染等の問題が起
らない。また、この方法によれば、熱帯や亜熱帯のよう
な高温環境下でも温度調節装置のない倉庫で長時間セル
ロース系物質を貯蔵できるし、熱帯や亜熱帯のセルロー
ス系物質を通常の貨物車や貨物船で長時間輸送しても腐
敗したり悪臭が発生するような問題が起らない。それゆ
え、バガスやバナナの葉等のような熱帯又は亜熱帯で産
出する農産廃棄物の貯蔵や輸送に極めて好適である。本
発明法によって長期間貯蔵したり、長時間輸送したセル
ロース系物質は、貯蔵や輸送通に該原料に含まれている
リグニン分及び樹脂分等非セルロース物質が徐々に可溶
化除去されるから、該原料をパルプとする場合にはパル
プ化工程の時間と経費が大幅に削減される。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロース系物質を、アルカリ性物質と
    接触させながら貯蔵又は輸送することを特徴とするセル
    ロース系物質の貯蔵及び輸送方法。
  2. 【請求項2】 セルロース系物質を、アルカリ性物質と
    過酸化水素を含む水溶液と接触させながら貯蔵又は輸送
    することを特徴とするセルロース系物質の貯蔵及び輸送
    方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載した方法で貯蔵又
    は輸送されたセルロース系物質を使用し、これを機械的
    及び/又は化学的に処理して解繊することを特徴とする
    パルプの製造方法。
JP23601995A 1995-08-22 1995-08-22 セルロース系物質の貯蔵及び輸送方法並びにパルプの製造方法 Pending JPH0959886A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7186316B1 (en) 2000-06-29 2007-03-06 Cp & P Co., Ltd. Method for preparing pulp from cornstalk
JP2008307047A (ja) * 2007-05-14 2008-12-25 Taisei Corp 植物性バイオマスの保存方法

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