JPH11156552A - アーク溶接装置 - Google Patents

アーク溶接装置

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JPH11156552A
JPH11156552A JP34060597A JP34060597A JPH11156552A JP H11156552 A JPH11156552 A JP H11156552A JP 34060597 A JP34060597 A JP 34060597A JP 34060597 A JP34060597 A JP 34060597A JP H11156552 A JPH11156552 A JP H11156552A
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JP
Japan
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welding
plasma
gas
molten portion
flow rate
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Application number
JP34060597A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshiya Shintani
俊哉 新谷
Yosuke Imai
陽介 今井
Yoshitaka Aragaki
淑隆 新垣
Iwao Kurokawa
巌 黒川
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Komatsu Ltd
Original Assignee
Komatsu Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶接時にワークの溶融部分が爆飛するのを防
止することが可能なアーク溶接装置を提供する。 【解決手段】 上板の穴開け終了後から溶接終了までの
間においては、定電流がプラズマ電流としてトーチとワ
ークの間に印加される。同時に穴開け時よりもかなり少
ない流量のプラズマガスが溶接箇所に供給されると共
に、穴開け時よりもかなり多い流量のシールドガスが溶
接箇所の外周部に全周に亘ってパルス状に供給される。
上板の溶融部分は僅かずつ連続的に下板に落下する。こ
こでのシールドガスの流量は、プラズマガスの流量の1
0倍を超える程度に設定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アーク溶接装置の
改良に関するものである。以下、プラズマアーク溶接装
置を例に挙げて説明する。
【0002】
【従来の技術】プラズマアーク溶接、例えばプラズマア
ークスポット溶接は、重ね合せた金属ワークの片側から
溶接できることから、複雑な形状のワークや大きなワー
クに対応できるといった利点を有するため、種々の分野
で利用されている。従来より、プラズマアーク溶接装置
を用いて、亜鉛めっきによる表面処理を施した2枚の鋼
板をワークとするプラズマアークスポット溶接が行われ
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、溶接開始と
ともにプラズマトーチ1とワーク5の上側の鋼板(上
板)7の間に図1(a)に示すような高温のプラズマア
ーク3が生じると、上板7と下板9の隙間検出に並行し
てプラズマアーク3の熱により上板7に図1(b)に示
すように穴7aが形成される。そして、この穴7aを通
して下板9も加熱され、図1(c)に示すように、上板
7と下板9の溶融・結合が開始され、中心部が溶接され
る。
【0004】しかし、溶接強度を増大すべくナゲット径
を拡大して行く過程で、上板7の溶融部分が拡大し過ぎ
ると、図1(d)に示すように溶融部分が広範囲に亘っ
て下板9に落下することがある。この場合、溶融部分が
下板9に覆い被さるように落下すると、それにより図1
(e)に示すように、覆い被さってきた溶融部分を吹き
飛ばす爆飛という現象が発生し易くなる。しかも、この
爆飛した溶融部分がプラズマトーチ1に付着し、最悪の
場合、ノズル2の中に侵入してノズル2の開口を塞いで
しまい、そのためにプラズマアーク3がプラズマトーチ
1とワーク5の間に生じなくなるという問題が生じる虞
がある。
【0005】このような爆飛が生じる原因としては、母
材である鋼材の融点が約1500℃と比較的高温である
のに対し、鋼材を被覆する亜鉛の沸点が900℃と比較
的低温であること、及び上板と下板との間に隙間があっ
て上板側の広範囲の溶融部分が一度に下板の亜鉛めっき
層上に落下すること等に依るものと思料される。
【0006】即ち、上板7の溶融部分が下板9を覆って
いる亜鉛めっき層に覆い被さると、それによって亜鉛め
っき層が急激に気化して亜鉛ガスになるが、この亜鉛ガ
スは溶融部分と下板9の母材の隙間8に閉じ込められる
ため、この閉じ込められた亜鉛ガスの圧力により上記溶
融部分が吹き飛ばされるものと推測される。よって、亜
鉛のような比較的低沸点の材料で表面処理を施した鋼板
を上板、下板とし、上板と下板との間に隙間を設けて溶
接を行う場合には、何らかの対策を施さない限り、爆飛
の発生を回避するのは困難であると言い得る。
【0007】従って本発明の目的は、溶接時にワークの
溶融部分が爆飛するのを防止することが可能なアーク溶
接装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に従うアーク溶接
装置は、ワークの溶融部分の落下を促進させる手段を備
える。
【0009】上記構成によれば、ワークの溶融部分は落
下促進手段により落下が促進されるため、溶融部分が広
範囲に亘って崩落するのを防止できる。
【0010】本発明の好適な実施形態では、落下促進手
段は、ワークの溶接箇所に向けて供給されるシールドガ
スを含んでいる。
【0011】この場合、シールドガスの流量は、ワーク
に供給されるプラズマガスの供給量の10倍以上に設定
されることが望ましい。その理由は、ワークの溶融部分
を僅かずつでも連続的に落下させるためには、シールド
ガスの流量が溶融部分に生じる表面張力を上廻る大きさ
の流量のシールドガスを供給する必要があるからであ
る。但し、シールドガスの流量をあまり大きくし過ぎる
と、プラズマガスを冷やし過ぎる虞があるので注意を要
する。
【0012】また、上述した実施形態では、落下促進手
段は、ワークの溶接箇所に向けて供給されるシールドガ
スの流入方向を規制する手段をも含んでいる。この規制
手段としては、例えばシールドガスを溶融部分の外周部
の略全周に亘って案内するための、ワークとの間でプラ
ズマアークを生じさせるプラズマトーチを包むように設
けられたキャップが挙げられる。
【0013】更に、上述した実施形態では、落下促進手
段は、シールドガスを脈動させる手段を更に含んでい
る。この脈動手段により、生成されたシールドガスの脈
流が規制手段により流入方向を規制されて上記溶融部分
の外周部の略全周に亘って流入することで、溶融部分に
振動を生じさせ、この振動によって溶融部分が少しずつ
連続的に落下するのを促進させることができる。
【0014】上述した実施形態の変形例では、落下促進
手段として、ワークを保持する保持機構を振動させる手
段を備える。この振動手段を単独で、或いはワークにシ
ールドガスの脈流を供給するのと並行して駆動すること
により、溶融部分が少しずつ連続的に落下するのを更に
促進させることができる。
【0015】なお、ワークには、基材融点より低沸点の
物質を被覆している母材が少なくとも含まれる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面により詳細に説明する。
【0017】図2は、プラズマアークスポット溶接装置
として実施された本発明の一実施形態の全体構成を示
す。プラズマアーク溶接には、プラズマアークスポット
溶接やプラズマアーク線溶接があり、これら各溶接を行
うための装置としてプラズマアークスポット溶接装置や
プラズマアーク線溶接装置があるが、本発明の一実施形
態では、プラズマアークスポット溶接装置を例にとり説
明することとした。
【0018】本発明の一実施形態に係るプラズマアーク
スポット溶接装置(溶接装置)は、図2に示すように、
プラズマトーチ21と、溶接電源23と、ロボットコン
トローラ24と、高周波ユニット25と、ロボット30
とを備える。
【0019】プラズマトーチ21は、ロボット30のア
ーム先端に取り付けられており、トーチ21の内部には
冷却水循環路(図示しない)が配設されている。ロボッ
ト30が、ロボットコントローラ24によってその動き
や姿勢が制御されるようになっているため、上記トーチ
21によりワーク22のあらゆる方向からの溶接が可能
である。なお、トーチ21には、その外周部を包むよう
に設けられたキャップ(図6において、符号37で示
す)が取付けられる。溶接電源23は、プラズマアーク
溶接を行うのに必要な電力やプラズマガス(メインガ
ス)やシールドガス(アシストガス)をトーチ21に供
給し、且つ、プラズマガス流量やシールドガス流量や溶
接電流値や溶接時間等を含む溶接条件の制御をも行う。
高周波ユニット25は、パイロットアーク発生時に、絶
縁破壊を起こすための高周波電力を発生する。
【0020】図3は、上述した溶接電源23の構成、及
びこの溶接電源23に関連する要素を共に示したブロッ
ク図である。
【0021】溶接電源23は、図3に示すように、プラ
ズマ電源31と、ガス制御器32と、隙間判定装置33
と、溶接コントローラ34とを備える。
【0022】プラズマ電源31は、溶接コントローラ3
4により、溶接中、供給電流(プラズマアーク40の電
流)が目標値に一致するよう定電流制御が行われる。即
ち、プラズマ電源31は、溶接コントローラ34の制御
下で、プラズマアー40の発生及び維持に必要な制御さ
れた電力(電圧及び電流)をトーチ21に供給する。ガ
ス制御器32は、溶接コントローラ34の制御下で、制
御された圧力のプラズマガス及びシールドガスをトーチ
21に供給する。隙間判定装置33は、溶接中のプラズ
マ電源31の発生電圧(つまり、トーチ21とワーク2
2間の電圧、即ち、プラズマアーク40での電圧降下)
をモニタし、ワーク22の上板41、下板42(上板4
1、下板42はいずれも鋼板)間の隙間43の大きさを
決定する。
【0023】溶接コントローラ34は、上述した溶接電
源23を構成する各部(プラズマ電源31、ガス制御器
32、及び隙間判定装置33)と共に、トーチ21のガ
ス入口に取付けられるガス流量切換器26や、ワーク2
2を載置する加工台(図示しない)を振動させる振動装
置35をも、その制御下に置く。
【0024】ここで、ガス流量切換器26は、溶接電源
23からの指令に応答してプラズマガス及びシールドガ
スの流量を大/小に切換えるよう構成されている。即
ち、ガス流量切換器26内には、切換え自在な開閉弁が
設けられており、この開閉弁を切換えることによってプ
ラズマガス及びシールドガスの流量は夫々、大小2段階
に切換えられる。また、ガス流量切換え器26がトーチ
21のガス入口に取付けられる理由は、ガス流量切換え
器26の切換え動作とトーチ21からの噴出ガスの実際
の流量変化との間に実質的な時間遅れがないようにする
ためである。
【0025】なお、溶接コントローラ34の制御動作に
は、ガス制御器32を駆動及び停止させること、ガス流
量切換え器26に流量切換えの指示を与えること、振動
装置35を所定のタイミング、所定の振動態様で駆動及
び停止させること、プラズマ電源31を駆動及び停止さ
せることが含まれる。また、プラズマ電源31に電流目
標値を与えること、プラズマ電源31の供給電圧をモニ
タして隙間判定装置33から隙間43の大きさに応じた
溶接時間のような溶接条件を取得すること、プラズマ電
源31の供給電圧をモニタして溶接工程の変更タイミン
グを決定すること等も含まれる。
【0026】図4は、本発明の一実施形態に係る溶接コ
ントローラ34の構成を示すブロック図である。
【0027】溶接コントローラ34は、図4に示すよう
に、仕上加工終了判定部51と、タイマ53と、記憶部
55と、穴開け終了判定部57と、制御部59と、溶接
終了判定部61と、インタフェース部63とを備える。
【0028】記憶部55は、複数の時間値データや、複
数のプラズマ電流(溶接電流)値データや、複数のプラ
ズマガス流量値データや、複数のシールドガス流量値デ
ータや、振動装置35を制御するためのデータ等を夫々
記憶する。
【0029】複数の時間値データには、タイマ53の駆
動時間値データや、上板41の穴開けに要する時間(穴
開け時間)値データや、上板41と下板42の溶接に要
する時間(溶接時間)値データや、溶接箇所(溶融池)
の平滑化に要する時間(仕上加工時間)値データがあ
る。これらの時間値データは、所謂条件出しによるもの
である。
【0030】複数のプラズマ電流値データには、上板4
1の穴開け時にトーチ21とワーク22の間に印加され
るプラズマ電流値のデータや、穴開け直後から溶接完了
までの間に印加されるプラズマ電流値のデータや、仕上
加工時に印加されるプラズマ電流値のデータがある。穴
開け時のプラズマ電流値データは、所定デューティ比の
パルス電流値データである。また、穴開け直後から溶接
完了までの間のプラズマ電流値データは、大きさ一定の
電流(定電流)値データである。更に、仕上加工時のプ
ラズマ電流値データは、上記定電流値データよりも大き
な値の定電流値データである。
【0031】複数のプラズマガス流量データには、上板
41の穴開け時に溶接箇所に供給されるプラズマガスの
流量値データや、穴開け終了時から仕上加工終了時まで
の間に供給されるプラズマガスの流量値データがある。
両データは、いずれも大きさが一定であるが、穴開け時
の流量値データの方が、穴開け終了時から仕上加工終了
時までの間の流量値データよりもかなり大きな値に設定
されている。
【0032】複数のシールドガス流量値データには、上
板41の穴開け時に溶接箇所の外周部に全周に亘って供
給されるシールドガスの流量値データや、穴開け直後か
ら溶接完了までの間に供給されるシールドガスの流量値
データや、仕上加工時に供給されるシールドガスの流量
値データがある。穴開け時のシールドガス流量値データ
は、大きさ一定の流量(定流量)値データである。ま
た、穴開け直後から溶接完了までの間のシールドガス流
量値データは、所定デューティ比のパルス状の流量値デ
ータであって、ピーク値は勿論、オフ時の値も上記穴開
け時の流量値データよりかなり大きな値に設定されてい
る。更に、仕上加工時のシールドガス流量値データは、
穴開け時の流量値データよりも大きな値に設定された定
流量値データである。
【0033】振動装置35の制御データには、装置35
の駆動時期及び駆動時間に関するデータ、装置35にど
のような振動を生じさせるかを規定した振動波形や振幅
の大きさ等に関するデータがある。
【0034】タイマ53は、電流検出器65が上記パル
ス電流の連続波形の最初の立上がりを検出したとき(溶
接開始時)に起動し、予め設定された時間(即ち、少な
くとも溶接開始から溶接部分の仕上加工が終了するまで
の時間)、計時動作を継続する。タイマ53は、計時動
作を行っている間、所定の時間間隔でパルス信号を出力
する。タイマ53から出力されるパルス信号は、インタ
フェース部63を通して仕上加工終了判定部51、穴開
け終了判定部57及び溶接終了判定部61に夫々与えら
れる。
【0035】穴開け終了判定部57は、タイマ53と同
様、溶接開始時に起動しタイマ53からのパルス信号の
カウントを開始する。そして、そのカウント値が記憶部
55内の穴開け時間データに一致したとき、上板41の
穴開け終了(溶接初期の終了)と判定してその旨を制御
部59、及び溶接終了判定部61に通知すると共に駆動
を停止する。
【0036】溶接終了判定部61は、穴開け終了判定部
57からの上記通知を受けて起動してタイマ53からの
パルス信号をカウントし、そのカウント値が記憶部55
内の溶接時間データに一致したとき、上板41と下板4
2の溶接が終了したと判定してその旨を制御部59に通
知すると共に駆動を停止する。
【0037】仕上加工終了判定部51は、溶接終了判定
部61からの上記通知を受けて起動してタイマ53から
のパルス信号をカウントし、そのカウント値が記憶部5
5内の仕上加工時間データに一致したとき、仕上加工が
終了したと判定してその旨を制御部59に通知すると共
に駆動を停止する。
【0038】制御部59は、インタフェース部63を通
してプラズマ電源31、ガス制御器32、ガス流量切換
え器26、及び振動装置35をその制御下に置く。
【0039】溶接開始時から上板41の穴開け終了まで
の間、制御部59は上記穴開け時のプラズマ電流値デー
タに基づき、プラズマ電源31を制御することにより溶
接電流としての所定デューディ比のパルス電流をトーチ
21とワーク22の間に印加する。また、上記期間、制
御部59は上記穴開け時のプラズマガス流量データに基
づき、ガス制御器32を制御することにより穴開け終了
後よりも多い流量のプラズマガスをワーク22の溶接箇
所に供給する。この処理動作と並行して、制御部59
は、上記穴開け時のシールドガス流量値データに基づ
き、ガス制御器32を制御することにより穴開け終了後
よりもかなり少ない流量のシールドガスを図6に示すキ
ャップ37の長さ方向への案内作用によってワーク22
の溶接箇所の外周部に全周に亘って供給する。なお、制
御部59による穴開け終了の認識は、穴開け終了判定部
57からの通知に基づくものである。
【0040】穴開け終了判定部57より上板41の穴開
け終了の通知を受けると、制御部59は、穴開け終了後
から溶接完了までの間のプラズマ電流値データに基づ
き、プラズマ電源31を制御する。これと並行して、か
なり小さな値である穴開け終了時から仕上加工終了時ま
での間のプラズマガス流量値データに基づき、ガス制御
器32を制御すると共に、かなり大きな値に設定され
た、穴開け直後から溶接完了までの間のシールドガス流
量値データに基づき、ガス制御器32を制御する。これ
により、大流量のパルス状のシールドガスがキャップ3
7によって案内されてワーク22の溶接箇所の外周部に
全周に亘って供給される。
【0041】制御部59は、溶接終了判定部61より上
板41と下板42の溶接終了の通知を受けると、仕上加
工時のプラズマ電流値データに基づき、プラズマ電源3
1を制御する。これと並行して、穴開け終了時から仕上
加工終了時までの間のプラズマガス流量値データに基づ
き、ガス制御器32を制御すると共に、仕上加工時のシ
ールドガス流量値データに基づき、ガス制御器32を制
御する。制御部59によるこれらの処理動作は、仕上加
工終了判定部51から仕上加工が終了した旨の通知があ
るまで継続される。
【0042】なお、上記制御データに基づく振動装置3
5の駆動は、穴開け終了後から溶接完了までの間におい
て制御部59が必要と判断したとき、つまり、上板41
の溶融部分の連続的な落下を促進する必要があると判断
したとき、上述した溶接箇所の外周部へのパルス状のシ
ールドガスの供給と並行して行われる。或いは、シール
ドガスの供給量を一定に保持しながら振動装置35を駆
動することもあり得る。
【0043】図5は、上述したプラズマ電源31、及び
ガス制御器31の動作状態を示すタイミングチャートで
ある。このタイミングチャートでは、振動装置35は駆
動停止状態に置かれるので、上板41の溶融部分の連続
的な落下の促進は、穴開け終了後から溶接完了までの間
において実施されるパルス状のシールドガスの供給のみ
によって行われる。
【0044】図5において、時刻t0で溶接が開始され
ると、プラズマ電源31及びガス制御器32の制御部5
9による制御が開始される。
【0045】即ち、時刻t0から上板41の穴開けが終
了する時刻t1までの間、所定デューディ比のパルス電
流がプラズマ電源31からトーチ21とワーク22の間
に印加される。これと並行して、ガス制御器32を制御
することにより、穴開け終了後よりもかなり多い流量の
プラズマガスが、ワーク22の溶接箇所に供給されると
共に、穴開け終了後よりもかなり少ない流量のシールド
ガスが、メインガスであるプラズマガスのアシストガス
として溶接箇所の外周部に全周に亘って供給される。時
刻t0から時刻t1までの間で、プラズマガスの流量を多
くすると共にシールドガスの流量を少なくする理由は、
穴開け作業を促進させるためである。
【0046】次に、時刻t1で上板41の穴開け終了を
確認すると、時刻t1から溶接が終了する時刻t2までの
間、上述した大きさ一定の電流がプラズマ電源31から
トーチ21とワーク22の間に印加される。これと並行
して、ガス制御器32を制御することにより、穴開け時
よりもかなり少ない流量のプラズマガスが、ワーク22
の溶接箇所に供給されると共に、穴開け時よりもかなり
多い流量のシールドガスが、上述した溶接箇所の外周部
に全周に亘ってパルス状に供給される。上記態様でのシ
ールドガスの供給により、プラズマガスとプラズマ電流
とにより形成された上板41の溶融部分が僅かずつ連続
的に下板42に落下することになる。
【0047】ここで、時刻t1から時刻t2までの間にお
けるシールドガスの流量は、時刻t1から時刻t2までの
間におけるプラズマガスの流量の10倍を超える程度に
設定するのが望ましい。その理由は、上板41の溶融部
分の外周部に向けて流入するシールドガスの噴射により
上板41の溶融部分に振動を与え、それによって溶融部
分を落下させるために、溶融部分における表面張力を上
廻る大きさのシールドガス流量を必要とするからであ
る。
【0048】次に、時刻t2で上板41と下板42の溶
接の終了を確認すると、上述した別の大きさ一定の電流
が、プラズマ電源31からトーチ21とワーク22の間
に印加される。これと並行して、ガス制御器32を制御
することにより、溶接時と同一流量のプラズマガスが、
ワーク22の溶接箇所に供給されると共に、穴開け時よ
りもかなり多い一定流量のシールドガスが、上述した溶
接箇所の外周部に全周に亘って供給される。
【0049】このようにして、時刻t2から時刻t3まで
の間において溶接部分の平滑化を行い、時刻t3に達す
ると一連の仕上加工が終了したものと認識し、プラズマ
電源31及びガス制御器32の駆動を停止させる。
【0050】図6は、上記構成の溶接装置を用いたプラ
ズマアークスポット溶接の工程を示す説明図である。
【0051】図6において、まず、溶接開始とともにプ
ラズマトーチ21と上板41の間に図6(a)に示すよ
うな高温のプラズマアーク40が生じると、上板41と
下板42の隙間検出に並行してプラズマアーク40の熱
により上板41に図6(b)に示すように穴41aが形
成される。そして、この穴41aを通して下板42も加
熱される。
【0052】この状態では、高圧のプラズマガス及び大
きな値のアーク電流(プラズマ電流)を用いて上板41
の穴開けを行うため、上板41の溶融部分は図6(b)
に示すようにプラズマガスにより吹き飛ばされる。そし
て、上板41に穴41aが形成された時点で、上板41
の溶融部分が穴41aを通って下板42上に落下し、下
板42の亜鉛めっき層に接触することになるが、落下す
る溶融部分が小さいために溶融部分と下板42との接触
範囲は狭く、図1(e)で示したような爆飛は生じな
い。この工程では、図6(b)に示すように、下板42
の一部が溶融される。
【0053】次に、上記穴開けが終了して図6(c)で
示す溶接工程に移行すると、上述した態様で大きさ一定
のプラズマ電流が印加され、かなり少ない流量のプラズ
マガスが供給される。これと共に、穴開け時よりもかな
り多い流量のシールドガスが、太線矢印70で示すよう
にトーチ21を包むように設けられるキャップ37によ
って上記溶融部分の外周部方向に案内されてパルス状に
供給される。このパルス状のシールドガスが上記溶融部
分の外周部に当ることにより、上記溶融部分に振動が生
じ、この振動により上記溶融部分が揺さぶられて少しず
つ連続的に下板42上に落下する。このようにして、か
なり多い流量のシールドガスを、上記溶融部分の外周部
にパルス状に供給することにより、図6(d)に示すよ
うに、上板41の溶融部分を少しずつ連続的に下板42
上に落とし込みながら、上板41の溶融部分と下板42
の接合部分を徐々に拡大して行く。なお、上記拡大中に
おいても、上板41の溶融部分は次々に下板42に落と
し込まれるので、上板41の溶融部分が広範囲に崩落し
て下板42上に接触することはなく、そのため、溶融部
分の広範囲な崩落に起因する爆飛も生じない。
【0054】なお、上記溶融部分に振動を与える手段と
して、プラズマガスをパルス状に供給する方法も想定さ
れ得るが、プラズマガスの流量はアーク溶接における重
要な要素であるワーク22への入熱量に直接影響するの
で上記方法は採り得ない。
【0055】次に、上記溶接工程が終了して図6(e)
で示す仕上加工の工程に移行すると、プラズマガス流量
についてはそのままとし、プラズマ電流の供給量につい
ては溶接時よりも増加させ、シールドガスの供給量につ
いては、溶接時よりも減少させる。つまり、必要に応じ
て溶接箇所を短時間加熱することにより、溶接箇所の表
面を平滑化するものである。
【0056】以上説明したように、本発明の一実施形態
によれば、溶接工程においてかなり多い流量のパルス状
のシールドガスを、キャップ37により上板41の溶融
部分の外周部に向けて供給することにより、上記パルス
状のシールドガスを、上記溶融部分の外周部に当てて上
記溶融部分に振動を生じさせることとした。そのため、
この振動により、上記溶融部分が揺さぶられて少しずつ
連続的に下板42上に落下するので、上板41の溶融部
分が広範囲に崩落して下板42上に接触する不具合を防
止でき、溶融部分の広範囲な崩落に起因する爆飛が生じ
るのを防止できる。
【0057】以上説明した内容は、あくまで本発明の一
実施形態に関するものであって、本発明が上記内容のみ
に限定されることを意味するものでないのは勿論であ
る。
【0058】上述した一実施形態では、上板41の溶融
部分に振動を生じさせる手段として、溶融部分の外周部
に大流量のシールドガスをパルス状に供給する方法を採
用したが、この方法と共に振動装置35の制御データに
基づき、振動装置35を起動することにより上板41に
振動を与える方法をも併用することも可能である。ま
た、大流量のシールドガスをパルス状に供給する方法を
採用せずに、振動装置35のみを起動して上板41の溶
融部分に振動を生じさせるようにしても差支えない。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
溶接時にワークの溶融部分が爆飛するのを防止すること
が可能なアーク溶接装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プラズマアークスポット溶接において発生する
爆飛についての説明図。
【図2】プラズマアークスポット溶接装置として実施さ
れた本発明の一実施形態の全体構成を示す斜視図。
【図3】図2の溶接電源の構成、及び溶接電源に関連す
る要素を共に示したブロック図。
【図4】図2の溶接コントローラの構成を示すブロック
図。
【図5】一実施形態のプラズマアークスポット溶接装置
各部の動作状態を示すタイミングチャート。
【図6】一実施形態のプラズマアークスポット溶接装置
を用いたプラズマアークスポット溶接の工程を示す説明
図。
【符号の説明】
21 プラズマトーチ 22 ワーク 23 溶接電源 24 ロボットコントローラ 25 高周波ユニット 26 ガス流量切換え器 30 ロボット 31 プラズマ電源 32 ガス制御器 33 隙間判定装置 34 溶接コントローラ 35 振動装置 37 キャップ 40 プラズマアーク 41 上板 42 下板 43 隙間 51 仕上加工終了判定部 53 タイマ 55 記憶部 57 穴開け終了判定部 59 制御部 61 溶接終了判定部 63 インタフェース部 65 電流検出器 70 パルス状のシールドガス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒川 巌 神奈川県平塚市万田1200 株式会社小松製 作所研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワークの溶融部分の落下を促進させる手
    段を備えるアーク溶接装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のアーク溶接装置におい
    て、 前記落下促進手段が、前記ワークの溶接箇所に向けて供
    給されるシールドガスを含むことを特徴とするアーク溶
    接装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のアーク溶接装置におい
    て、 前記シールドガスの流量が、前記ワークに供給されるプ
    ラズマガスの供給量の10倍以上に設定されることを特
    徴とするアーク溶接装置。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれか1項記
    載のアーク溶接装置において、 前記落下促進手段が、前記ワークの溶接箇所に向けて供
    給されるシールドガスの流入方向を規制する手段をも含
    むことを特徴とするアーク溶接装置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のアーク溶接装置におい
    て、 前記規制手段が、前記シールドガスを前記溶融部分の外
    周部の略全周に亘って案内するための、前記ワークとの
    間でプラズマアークを生じさせるプラズマトーチを包む
    ように設けられたキャップであることを特徴とするアー
    ク溶接装置。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項5のいずれか1項記
    載のアーク溶接装置において、 前記落下促進手段が、前記シールドガスを脈動させる手
    段を更に含むことを特徴とするアーク溶接装置。
  7. 【請求項7】 請求項1記載のアーク溶接装置におい
    て、 前記落下促進手段が、前記ワークを保持する保持機構を
    振動させる手段であることを特徴とするアーク溶接装
    置。
  8. 【請求項8】 請求項1記載のアーク溶接装置におい
    て、 前記ワークが、基材融点より低沸点の物質を被覆してい
    る母材を少なくとも含むことを特徴とするアーク溶接装
    置。
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