JP3518401B2 - アーク溶接装置 - Google Patents

アーク溶接装置

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JP3518401B2
JP3518401B2 JP07757099A JP7757099A JP3518401B2 JP 3518401 B2 JP3518401 B2 JP 3518401B2 JP 07757099 A JP07757099 A JP 07757099A JP 7757099 A JP7757099 A JP 7757099A JP 3518401 B2 JP3518401 B2 JP 3518401B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アーク溶接装置の
改良に関するものである。以下、プラズマアーク溶接装
置を例に挙げて説明する。
【0002】
【従来の技術】プラズマアーク溶接、例えばプラズマア
ークスポット溶接は、重ね合せた金属ワークの片側から
溶接できることから、複雑な形状のワークや大きなワー
クに対応できるといった利点を有するため、種々の分野
で利用されている。従来より、プラズマアーク溶接装置
を用いて、亜鉛めっきによる表面処理を施した2枚以上
の鋼板をワークとするプラズマアークスポット溶接が行
われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ワークに上
記溶接を施す方法には、例えば図1に示すような、上側
鋼板(上板)及び下側鋼板(下板)のうちの、上板のみ
に蒸気抜き用の穴を穿ち、フィラーによりその穴及び双
方の隙間を埋める方法がある。また、図2に示すよう
な、上板及び下板の双方に蒸気抜き用の穴を穿ち、フィ
ラーにより双方の穴及び隙間を埋める方法もある。
【0004】しかし、上記いずれの方法においても、プ
ラズマアークのパワーを比較的大きくして行う上記穴の
穿設工程から、上板及び下板の溶接(本溶接)工程を経
て最終工程である仕上加工が終了するまでの間、プラズ
マトーチに供給される溶接電流の値は、図3(a)に示
すように一定に制御される。同様に、本溶接工程におけ
る上記アークへのフィラーの送給速度についても、図3
(b)に示すように本溶接工程の開始から終了までの
間、一定に制御される。
【0005】そのため、上板だけに穴を穿つ方法では、
トーチ1からのアーク2により上板3のみに穴4を穿っ
た後(図1(a))、本溶接工程でアーク2にフィラー
5を送給するが、フィラー5の溶ける位置は略一定にな
る(図1(b)、(c))。よって、穴4に落ちた溶湯
が偏って穴埋めができないという不具合が生じる虞があ
る(図1(d))。一方、上板、下板の双方に穴を穿つ
方法では、トーチ6からのアーク7により上板8及び下
板9に夫々穴10、11を穿った後(図2(a))、上
記と同様に本溶接工程でアーク7にフィラー12を送給
するが、やはり、フィラー12の溶ける位置は略一定に
なる(図2(b))。よって、溶湯が穴10、11に偏
って溜まったり(図2(c))、或いは穴10、11の
中心から下方に落下したりして溶湯によって穴10、1
1が埋まり難く(図2(d))、最悪の場合、穴10、
11が埋まらずに穴開き(貫通)状態のままで溶接が終
了してしまう(図2(e))という問題があった。
【0006】従って本発明の目的は、溶接開始時にワー
クに形成される穴を、溶湯によって確実に埋めることが
可能なアーク溶接装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の観点に従
うアーク溶接装置は、ワークの溶接箇所に溶融したフィ
ラーを供給するときに、溶融されたフィラーの供給され
る溶接部表面上の位置を可変させる手段として、上記フ
ィラーの供給速度を制御する手段を備え、上記フィラー
の供給速度を制御する手段が、上記供給速度をその供給
開始時及び供給終了時のそれよりも高速に制御する時間
を、フィラーの供給開始時から供給終了時までの間に1
回だけ設定することを特徴とする。
【0008】本発明の第2の観点に従うアーク溶接装置
は、ワークの溶接箇所に溶融したフィラーを供給すると
きに、溶融されたフィラーの供給される溶接部表面上の
位置を可変させる手段として、前記フィラーの供給速度
を制御する手段を備え、上記フィラーの供給速度を制御
する手段が、上記フィラーの供給速度をその供給開始時
及び供給終了時のそれよりも高速に制御する時間を、フ
ィラーの供給開始時から供給終了時までの間に断続的に
2回以上設定することを特徴とする。
【0009】本発明の第1、及び第2の観点に係る好適
な実施形態では、上記フィラーの供給速度を高速に制御
する時間の長さが、予め決められている。
【0010】上記とは別の実施形態では、上記フィラー
の供給速度を高速に制御する時間の長さ、または高速に
制御するときの速度が、溶接初期段階で検出されたワー
クの状態に応じて可変にされる。
【0011】また、上記とは別の実施形態では、上記フ
ィラーの供給開始のタイミングを、溶接初期段階で検出
されたワークの状態に応じて可変にされる。
【0012】更に、上記とは別の実施形態では、上記ワ
ークが、重ねあわせた2枚以上の鋼板から成っていて、
溶接箇所に当る鋼板の全てに貫通穴が穿設され、それら
の貫通穴に溶融したフィラーが埋め込まれる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面により詳細に説明する。
【0014】図4は、プラズマアークスポット溶接装置
として実施された本発明の一実施形態の全体構成を示
す。プラズマアーク溶接には、プラズマアークスポット
溶接やプラズマアーク線溶接があり、これら各溶接を行
うための装置としてプラズマアークスポット溶接装置や
プラズマアーク線溶接装置があるが、本発明の一実施形
態では、プラズマアークスポット溶接装置を例にとり説
明することとした。
【0015】本発明の一実施形態に係るプラズマアーク
スポット溶接装置(溶接装置)は、図4に示すように、
プラズマトーチ21と、溶接電源23と、ロボットコン
トローラ24と、高周波ユニット25と、フィラーノズ
ル27と、フィラー送給装置28と、ロボット30とを
備える。
【0016】プラズマトーチ21は、ロボット30のア
ーム先端に取り付けられている。ロボット30が、ロボ
ットコントローラ24によってその動きや姿勢が制御さ
れるようになっているため、上記プラズマトーチ21に
よりワーク22のあらゆる方向からの溶接が可能であ
る。溶接電源23は、プラズマアーク溶接を行うのに必
要な電力、プラズマガス及びシールドガスをプラズマト
ーチ21に供給し、かつプラズマガス流量、シールドガ
ス流量、溶接電流値、溶接時間等を含む溶接条件の制御
も行う。
【0017】高周波ユニット25は、パイロットアーク
発生時、絶縁破壊を起こすための高周波電力を発生す
る。フィラーノズル27は、フィラー送給装置28から
送り出されるワイヤ状のフィラー(充填材)を受けて、
これをプラズマトーチ21の先方に供給するもので、プ
ラズマトーチ21の先端近傍にワーク22とプラズマト
ーチ21間に発生するプラズマアーク中にフィラーを供
給するように取付けられている。フィラー送給装置28
は、溶接電源23からの指令に応答して、フィラーを送
り出したり、停止したり、フィラーの送給速度を可変に
したりするようになっている。
【0018】図5は、上述した溶接電源23の構成、及
びこの溶接電源23に関連する要素を共に示したブロッ
ク図である。
【0019】溶接電源23は、図5に示すように、プラ
ズマ電源31と、ガス制御器32と、隙間判定装置33
と、溶接コントローラ34とを備える。
【0020】プラズマ電源31は、溶接コントローラ3
4により、溶接中、供給電流(プラズマアーク40の電
流)が目標値に一致するよう定電流制御が行われる。即
ち、プラズマ電源31は、溶接コントローラ34の制御
下で、プラズマアーク40の発生及び維持に必要な制御
された電力(電圧及び電流)をプラズマトーチ21に供
給する。ガス制御器32は、溶接コントローラ34の制
御下で、制御された圧力のプラズマガス及びシールドガ
スをプラズマトーチ21に供給する。隙間判定装置33
は、溶接中のプラズマ電源31の発生電圧(つまり、プ
ラズマトーチ21とワーク22間の電圧、即ち、プラズ
マアーク40での電圧降下)をモニタし、ワーク22の
上板41、下板42(上板41、下板42はいずれも鋼
板)間の隙間43の大きさを決定する。
【0021】溶接コントローラ34は、上述した溶接電
源23を構成する各部(プラズマ電源31、ガス制御器
32、及び隙間判定装置33)と共に、プラズマトーチ
21のガス入口に取付けられるガス流量切換器26や、
フィラー送給装置28をも、その制御下に置く。
【0022】ここで、ガス流量切換器26は、溶接電源
23からの指令に応答してプラズマガス及びシールドガ
スの流量を大/小に切換えるよう構成されている。即
ち、ガス流量切換器26内には、切換え自在な開閉弁が
設けられており、この開閉弁を切換えることによってプ
ラズマガス及びシールドガスの流量はそれぞれ、大小2
段階に切換えられる。また、ガス流量切換え器26がプ
ラズマトーチ21のガス入口に取付けられる理由は、ガ
ス流量切換え器26の切換え動作とプラズマトーチ21
からの噴出ガスの実際の流量変化との間に実質的な時間
遅れがないようにするためである。
【0023】なお、溶接コントローラ34の制御動作に
は、ガス制御器32を駆動及び停止させること、ガス流
量切換え器26に流量切換えの指示を与えること、フィ
ラー送給装置28を駆動及び停止させること、装置28
によるフィラーの送給速度を可変にすること、プラズマ
電源31を駆動及び停止させることが含まれる。また、
プラズマ電源31に電流目標値を与えること、プラズマ
電源31の供給電圧をモニタして隙間判定装置33から
隙間43の大きさに応じたフィラー供給量や溶接時間の
ような溶接条件を取得すること、プラズマ電源31の供
給電圧をモニタして溶接工程の変更タイミングを決定す
ること等も含まれる。
【0024】図6は、本発明の一実施形態に係る溶接コ
ントローラ34の構成を示すブロック図である。
【0025】溶接コントローラ34は、図6に示すよう
に、仕上加工終了判定部51と、タイマ53と、記憶部
55と、穴開け終了判定部57と、制御部59と、溶接
終了判定部61と、インタフェース部63とを備える。
【0026】記憶部55は、タイマ53の駆動時間デー
タや、ワーク22(上板41若しくは上板41と下板4
2の双方)の穴開けに要する時間(穴開け時間)データ
や、フィラー送給による上板41と下板42の溶接(本
溶接)に要する時間(溶接時間)データ等を記憶する。
記憶部55は、上記各データに加えて、通常速度でフィ
ラー送給をするときの速度値及び比較的高速でフィラー
送給をするときの速度値、フィラー送給速度を通常の速
度から高速度に切り換える場合の送給開始時を基準とし
たタイミング、高速でのフィラー送給を継続する時間等
の各データをも記憶する。これらの各データは、所謂条
件出しによるものである。ここで、フィラーの送給速度
と送給量とは比例関係にあるので、両者は対応付けられ
て記憶部55に記憶されているものとする。記憶部55
は、また、ワーク22の穴開け時にプラズマトーチ21
とワーク22の間に印加される溶接電流値(溶接電流
は、通常、パルス波形になっている)データや、溶接電
流と共にプラズマアーク40の構成要素としてワーク2
2の溶接箇所に供給されるプラズマガスの流量データ等
をも記憶する。記憶部55は、更に、仕上加工時に溶接
電流と共にワーク22の溶接箇所に供給されるプラズマ
ガスの流量データ等をも記憶する。
【0027】タイマ53は、電流検出器65が溶接電流
の最初の立上がりを検出したとき、即ち、溶接開始時に
起動し、予め設定された時間(即ち、少なくとも溶接開
始から溶接部分の仕上加工が終了するまでの時間)、計
時動作を継続する。タイマ53は、計時動作を行ってい
る間、所定の時間間隔でパルス信号を出力する。タイマ
53から出力されるパルス信号は、インタフェース部6
3を通して仕上加工終了判定部51、穴開け終了判定部
57及び溶接終了判定部61に夫々与えられる。
【0028】穴開け終了判定部57は、タイマ53と同
様、溶接開始時に起動しタイマ53からのパルス信号の
カウントを開始する。そして、そのカウント値が記憶部
55内の穴開け時間データに一致したとき、ワーク22
(上板41若しくは上板41と下板42の双方)の穴開
け終了と判定してその旨を制御部59、及び溶接終了判
定部61に通知すると共に駆動を停止する。
【0029】溶接終了判定部61は、穴開け終了判定部
57からの上記通知を受けて起動してタイマ53からの
パルス信号をカウントし、そのカウント値が記憶部55
内の溶接時間データに一致したとき、上板41と下板4
2の溶接が終了したと判定してその旨を制御部59に通
知すると共に駆動を停止する。
【0030】仕上加工終了判定部51は、溶接終了判定
部61からの上記通知を受けて起動してタイマ53から
のパルス信号をカウントし、そのカウント値が記憶部5
5内の仕上加工時間データに一致したとき、仕上加工が
終了したと判定してその旨を制御部59に通知すると共
に駆動を停止する。
【0031】制御部59は、インタフェース部63を通
してプラズマ電源31、ガス制御器32、ガス流量切換
え器26、及びフィラー送給装置28をその制御下に置
く。溶接開始時からワーク22の穴開け終了までの間、
制御部59は所定の溶接電流値データに基づき、プラズ
マ電源31を制御することにより、溶接電流をプラズマ
トーチ21とワーク22の間に印加する。また、上記期
間、制御部59は上記プラズマガス流量データに基づ
き、ガス制御器32を制御する。なお、制御部59によ
る穴開け終了の認識は、穴開け終了判定部57からの通
知に基づくものである。
【0032】穴開け終了判定部57よりワーク22の穴
開け終了の通知を受けると、制御部59は、上記溶接電
流値データに基づき、プラズマ電源31の制御を継続す
る。これと共に、比較的多目のプラズマガス流量データ
に代えて比較的少な目のプラズマガス流量データに基づ
き、ガス制御器32を制御してプラズマアーク40のパ
ワーを低下させる。そして、直ちに溶接部分へのフィラ
ー送給を開始すべくフィラー送給装置28を起動する。
【0033】このフィラー送給動作において、制御部5
9は記憶部55内の送給速度値、速度切換えのタイミン
グ、高速送給を継続する時間等の各データに基づき、フ
ィラー送給速度を送給開始当初は通常の速度にすべくフ
ィラー送給装置28を制御する。次に、送給開始から一
定の時間が経過すると上記送給速度を通常の速度から高
速度に切換えて所定時間フィラー29の高速送給を継続
すべくフィラー送給装置28を制御する。そして、上記
所定時間が経過すると、高速度から再び通常の送給速度
に切換え、以後は溶接終了判定部61より上板41と下
板42の溶接終了の通知を受けるまでの間、フィラー2
9の送給を継続すべくフィラー送給装置28を制御す
る。
【0034】図7は、上述したプラズマ電源31及びフ
ィラー送給装置28の動作状態を示すタイミングチャー
トである。
【0035】図7(a)、(b)において、時刻t1で
溶接が開始されると、プラズマ電源31及びガス制御器
32の制御部59による制御が開始される。
【0036】即ち、図7(a)に示すように、穴開けを
開始する時刻t1から仕上加工が終了する時刻t6までの
間、一定値のプラズマ電流がプラズマ電源31からプラ
ズマトーチ21とワーク22の間に印加され続ける。こ
れと共に、時刻t1からワーク22の穴開けが終了する
時刻t2までの間、ガス制御器32を制御することによ
り穴開け終了後よりも多い流量のプラズマガスがワーク
22の溶接箇所に供給される。これにより、時刻t1か
ら時刻t2までの間、比較的大きなパワーのプラズマア
ーク40がワーク22の溶接箇所に供給されることにな
る。
【0037】次に、時刻t2でワーク22の穴開け終了
を確認すると、図7(b)に示すように、通常の送給速
度でフィラー29をプラズマアーク40に送給すべく、
フィラー送給装置28の制御を開始する。そして、時刻
t2から所定時間後の時刻t3に達すると、フィラー送給
装置28の制御を、通常の速度によるフィラー送給から
高速でのフィラー送給に切換え、時刻t3から所定時間
経過後の時刻t4までの間、上記制御を継続する。一
方、プラズマガス流量については、ガス制御器32を制
御することにより、時刻t2に達した時点で比較的多め
の流量値から通常の流量値に切換えて、時刻t6に達す
るまで上記制御を継続する。これにより、上記プラズマ
アーク40のパワーは、通常の大きさになる。
【0038】次に、時刻t4に達すると、フィラー送給
装置28の制御を、高速でのフィラー送給から通常の速
度によるフィラー送給に切換え、本溶接が終了する時刻
t5までの間、上記制御を継続する。そして、時刻t5に
達すると、フィラー送給装置28を制御してフィラー2
9の送給を停止させる。更に、時刻t6に達すると、プ
ラズマ電源31及びガス制御器32の駆動を停止させ、
一連の溶接作業を終了させる。なお、上記フィラー29
の送給開始については、必ずしもワーク22の穴開け終
了直後である必要はなく、穴開け終了の時点より多少前
後していても差支えない。
【0039】上述した実施形態では、フィラー29の送
給速度を時刻t3でステップ状に高速へ、時刻t4でステ
ップ状に通常の速度へ切換えているが、それぞれスロー
プ状に変化させて、通常の速度から高速へ、高速から通
常の速度へ滑らかにフィラー29の速度が切換るように
しても良い。
【0040】また、上述した実施形態では、フィラー2
9の送給速度の比較的高速な制御を開始するタイミング
や、フィラー29の送給速度を比較的高速に制御する時
間の長さ(時刻t3〜t4)、または、高速に制御すると
きの速度は、予め決められているものとした。しかし、
ワーク22の溶接状態を周知の各種センサを用いて検出
し、その検出結果に応じて上記タイミングや、時間の長
さを可変調整するようにしても良い。
【0041】上記ワーク22の溶接状態を検出する場合
の一例として、溶接初期にワーク22に穴を穿設すると
きのプラズマアーク電圧の変化から、重ね合わされた2
枚のワーク22の隙間を検出し(例えば特願平09―0
23038の隙間検出方法)、その隙間量に応じてフィ
ラー29の送給を変えることができる。ワーク22に穿
設される穴は隙間量が大きい程穴径が大きくなる傾向が
あるため、検出された隙間量に応じてフィラー29の送
給速度の比較的高速な制御を開始するタイミングや、フ
ィラー29の送給度を比較的高速に制御する時間の長
さを変えて、溶接部に落下する溶融したフィラーの位置
と時間を調節して、穴を埋めやすくすることもできる。
更に、ワーク22の隙間量に応じてフィラー29の送給
開始のタイミングを変えることもできる。隙間量が大き
いときはフィラー送給開始のタイミングを早くして、大
きな径の穴に対して早くから穴埋めを開始して、穴を埋
めやすくすることもできる。
【0042】上記構成によれば、フィラー29のプラズ
マアーク40への送給速度が可変になっているために、
フィラー29の溶融位置も一定箇所に固定されていな
い。そのため、フィラー29の溶融位置が固定されてい
る従来の装置とは異なり、溶接開始時にワーク22に形
成される蒸気抜き用の穴をフィラー29の溶湯によって
確実に埋めることが可能になる。
【0043】図8は、上述した構成のプラズマアークス
ポット溶接装置を、ワークの上板と下板の双方に蒸気抜
き用の穴を穿ちフィラーにより双方の穴を埋める方法に
適用したときの溶接工程を示す説明図である。
【0044】図8に示すように、まず、穴開け工程にお
いてプラズマトーチ21からのアーク40により上板4
1及び下板42に夫々穴71、72を穿った後(図8
(a))、本溶接工程においてアーク40に対するフィ
ラー29の送給を開始する(図8(b))(図7の時刻
t2に相当する)。フィラー29の送給開始時において
は、送給速度が通常の速度に制御されているため、上記
時点では、フィラー29の溶ける位置は、図8(b)に
示すように、穴71、72の右側になる。次に、送給開
始時から所定時間が経過して図7の時刻t3に相当する
時刻に達すると、送給速度が高速に切り換えられるた
め、フィラー29の溶ける位置は、図8(c)に示すよ
うに、穴71、72の左側に移動する。図8(c)で示
した状態が所定時間継続した後の時点(図7の時刻t4
に相当する)で、送給速度が通常の速度に切り換えられ
るため、フィラー29の溶ける位置は、図8(d)に示
すように、再び穴71、72の右側になる(図8(b)
に示した位置と同じ位置)。
【0045】この時点においては、図8(d)に示すよ
うに、フィラー29の溶湯が穴72に偏った状態で溜ま
ることがなく、従って穴72はフィラー29の溶湯によ
り完全に埋められており、隙間43についても相当量埋
められている。以後、本溶接が終了するまでの間(つま
り、図7の時刻t5に達するまでの間)は、フィラー2
9の溶ける位置が図8(d)で示した位置に固定され、
本溶接が終了した時点(図7の時刻t5に相当する)
で、フィラー29の送給を停止する(図8(e))。
【0046】上述した工程を経ることにより、図8
(e)に示すように、穴71、72及び隙間43を完全
に埋めることができ、従来のように穴71、72が埋ま
らずに穴開き(貫通)状態のままで溶接が終了してしま
うというような不具合は生じない。
【0047】図9は、上述した構成のプラズマアークス
ポット溶接装置を、ワークの上板のみに穴を穿ちフィラ
ーによりその穴を埋める方法に適用したときの溶接工程
を示す説明図である。
【0048】図9に示す溶接工程は、下板42に穴72
を穿設しない点で図8に示した溶接工程と相違するだけ
で、他は図8に示した溶接工程と同様である。
【0049】即ち、穴開け工程においてプラズマトーチ
21からのアーク40により上板41に穴71を穿った
後(図9(a))、本溶接工程においてアーク40に対
するフィラー29の送給を開始する(図9(b))。フ
ィラー29の送給開始時においては、フィラー29の溶
ける位置は、図9(b)に示すように、穴71の右側に
なる。送給開始時から所定時間が経過すると、送給速度
が高速に切り換えられるため、フィラー29の溶ける位
置は、図9(c)に示すように、穴71の左側に移動す
る。この状態が所定時間継続することで、フィラー29
の溶湯により、隙間43が略均等な状態で埋め尽くされ
ると共に穴71も略均等な状態で埋められることにな
る。次に、送給速度が通常の速度に切り換えられ、フィ
ラー29の溶ける位置が再び穴71の右側に移動する。
【0050】このようにして本溶接が終了すると、図9
(d)に示すように、フィラー29の溶湯が隙間43に
偏った状態で溜まることがなく、従って隙間43はフィ
ラー29の溶湯により完全に埋められ、穴71について
も略完全に埋められた状態になる。上述した工程を経る
ことにより、穴71及び隙間43を完全に埋めることが
でき、従来のように穴71が埋まらずに穴開き(貫通)
状態のままで溶接が終了してしまうというような不具合
は生じない。
【0051】図10は、本発明の一実施形態の第1変形
例に係るプラズマアークスポット溶接装置各部の動作状
態を示すタイミングチャートである。
【0052】本変形例では、フィラー29の送給速度を
通常の送給速度よりも高速に制御する時間を、フィラー
の供給開始時から供給終了時までの間において断続的に
2つ設定した点を主な特徴とする。
【0053】即ち、図10(b)に示すように、時刻t
3〜t3′の間、及び時刻t3″〜t4の間については、通
常の送給速度よりも高速の送給速度でフィラー29を送
給し、時刻t3′〜t3″間については、通常の送給速度
でフィラー29を送給することとした。換言すれば、時
刻t3でフィラー29の溶ける位置が、図8(c)(又
は、図9(c))で示す穴71の右側から左側に移動
し、時刻t3′になると穴71の左側から再び穴71の
右側に移動する。そして、時刻t3″になると、フィラ
ー29の溶ける位置は、再び穴71の左側に移動し、更
にt4になると、再び穴71の右側に移動する。なお、
溶接電流の値については、図7(a)で示したのと同
様、一定に制御される。
【0054】上記のように、フィラー29の溶ける位置
を頻繁に変えることによっても、図7で示した実施形態
におけると同様の効果を奏し得る。
【0055】なお、本変形例では、フィラー29を比較
的高速で送給するための制御を開始するタイミングや、
フィラー29を比較的高速で送給する時間の長さ(時刻
t3〜t3′及び時刻t3″〜t4)、または、高速に制御
するときの速度は、予め決められているものとした。し
かし、ワーク22の溶接状態を、周知の各種センサを用
いて検出し、その検出結果に応じて上記タイミングや、
時間の長さを可変調整するようにしても良い。
【0056】図11は、本発明の一実施形態の第2変形
例に係るプラズマアークスポット溶接装置各部の動作状
態を示すタイミングチャートである。
【0057】本変形例は、図11(a)に示すように、
フィラー29の送給速度制御を、通常の送給速度制御か
ら比較的高速での送給速度制御に切換える時刻t3の近
傍から、溶接電流値を徐々に低下させる制御(所謂スロ
ープダウン式制御)を開始し、溶接が終了する時刻t6
までの間、上記制御を継続する点を主な特徴とする。な
お、フィラー29の送給速度の制御については、図7に
示した本発明の一実施形態と同様である。溶接電流値の
スロープダウン制御を開始するタイミングは、予め決め
られているものとした。しかし、ワーク22の溶接状態
を、周知の各種センサを用いて検出し、その検出結果に
応じて上記タイミングを可変調整するようにしても良
い。
【0058】本変形例においても、上述した実施形態や
上記変形例におけると同様の効果を奏し得る。
【0059】上述した内容は、あくまで本発明に係る実
施形態と、その変形例に関するものであって本発明が上
記内容のみに限定されることを意味するものでないのは
勿論である。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
溶接開始時にワークに形成される穴を、溶湯によって確
実に埋めることが可能なアーク溶接装置を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のプラズマアークスポット溶接装置を、ワ
ークの上板のみに穴を穿ちフィラーによりそれを埋める
溶接方法に適用したときの溶接工程を示す説明図。
【図2】従来のプラズマアークスポット溶接装置を、ワ
ークの上板と下板の双方に穴を穿ちフィラーによりそれ
らを埋める溶接方法に適用したときの溶接工程を示す説
明図。
【図3】従来のプラズマアークスポット溶接装置各部の
動作状態を示すタイミングチャート。
【図4】プラズマアークスポット溶接装置として実施さ
れた本発明の一実施形態の全体構成を示す斜視図。
【図5】図4の溶接電源の構成、及び溶接電源に関連す
る要素を共に示したブロック図。
【図6】図4の溶接コントローラの構成を示すブロック
図。
【図7】一実施形態のプラズマアークスポット溶接装置
各部の動作状態を示すタイミングチャート。
【図8】一実施形態のプラズマアークスポット溶接装置
を、ワークの上板と下板の双方に穴を穿ちフィラーによ
り双方の穴を埋める方法に適用したときの溶接工程を示
す説明図。
【図9】一実施形態のプラズマアークスポット溶接装置
を、ワークの上板のみに穴を穿ちフィラーによりその穴
を埋める方法に適用したときの溶接工程を示す説明図。
【図10】一実施形態の第1変形例のプラズマアークス
ポット溶接装置各部の動作状態を示すタイミングチャー
ト。
【図11】一実施形態の第2変形例のプラズマアークス
ポット溶接装置各部の動作状態を示すタイミングチャー
ト。
【符号の説明】
21 プラズマトーチ 22 ワーク 23 溶接電源 24 ロボットコントローラ 25 高周波ユニット 27 フィラーノズル 28 フィラー送給装置 29 フィラー 30 ロボット 31 プラズマ電源 32 ガス制御器 33 隙間判定装置 34 溶接コントローラ 40 プラズマアーク 41 上板 42 下板 43 隙間 51 仕上加工終了判定部 53 タイマ 55 記憶部 57 穴開け終了判定部 59 制御部 61 溶接終了判定部 63 インタフェース部 65 電流検出器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 椎名 徹 神奈川県平塚市万田1200 株式会社小松 製作所研究所内 (72)発明者 新垣 淑隆 神奈川県平塚市万田1200 株式会社小松 製作所研究所内 (72)発明者 青山 洋 神奈川県平塚市万田1200 株式会社小松 製作所研究所内 (72)発明者 植松 偉人 愛知県刈谷市一里山町金山100番地 ト ヨタ車体株式会社内 (72)発明者 神谷 賢吾 愛知県刈谷市一里山町金山100番地 ト ヨタ車体株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−47775(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 10/00 B23K 10/02 B23K 9/12 B23K 9/007

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワークの溶接箇所に溶融したフィラーを
    供給するときに、溶融されたフィラーの供給される溶接
    部表面上の位置を可変させる手段として、前記フィラー
    の供給速度を制御する手段を備え、前記フィラーの供給速度を制御する手段が、前記供給速
    度をその供給開始時及び供給終了時のそれよりも高速に
    制御する時間を、フィラーの供給開始時から供給終了時
    までの間に1回だけ設定する ことを特徴とするアーク溶
    接装置。
  2. 【請求項2】 ワークの溶接箇所に溶融したフィラーを
    供給するときに、溶融されたフィラーの供給される溶接
    部表面上の位置を可変させる手段として、前記フィラー
    の供給速度を制御する手段を備え、 前記フィラーの供給速度を制御する手段が、前記フィラ
    ーの供給速度をその供給開始時及び供給終了時のそれよ
    りも高速に制御する時間を、フィラーの供給開始時から
    供給終了時までの間に断続的に2回以上設定することを
    特徴とするアーク溶接装置。
  3. 【請求項3】 請求項又は請求項記載のアーク溶接
    装置において、 前記フィラーの供給速度を高速に制御する時間の長さ
    が、予め決められていることを特徴とするアーク溶接装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項又は請求項記載のアーク溶接
    装置において、 前記フィラーの供給速度を高速に制御する時間の長さ、
    または高速に制御するときの速度が、溶接初期段階で検
    出されたワークの状態に応じて可変にされることを特徴
    とするアーク溶接装置。
  5. 【請求項5】 請求項又は請求項記載のアーク溶接
    装置において、 前記フィラーの供給開始のタイミングを、溶接初期段階
    で検出されたワークの状態に応じて可変にされることを
    特徴とするアーク溶接装置。
  6. 【請求項6】 請求項又は請求項記載のアーク溶接
    装置において、 前記ワークが、重ねあわせた2枚以上の鋼板から成って
    いて、溶接箇所に当る鋼板の全てに貫通穴が穿設され、
    それらの貫通穴に溶融したフィラーが埋め込まれること
    を特徴とするアーク溶接装置。
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