JPH11156092A - 洗濯機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】洗濯の他に脱水することができると共に、脱水
効果を向上させる。 【解決手段】この洗濯機では、洗濯物を洗濯するとき
は、回転ハンドル４を所定方向に回転させ、第１の揺動
ギヤ３４を大歯車３６に噛合させてドラム２１を回転さ
せる。洗濯が終了したら、ドラム２１およびカバー体２
２内の水をおおまかに抜く。そして、回転ハンドル４を
洗濯時とは逆の方向に回転させ、第２の揺動ギヤ３５を
小歯車３７に噛合させてドラム２１を高速回転させる。
これにより、洗濯物に含まれていた水は遠心力により孔
２５を抜けてカバー体２２の内側に溜まる。ドラム２１
の回転を止め、カバー体２２の内側に溜められた水を排
出して脱水作業が完了する。これにより、洗濯した後に
洗濯物をそのまま脱水することができると共に、高速回
転によって脱水効果を向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、洗濯機に関す
る。詳しくは、カバー体内に脱水にも供する洗濯用のド
ラムを設けることによって、洗濯だけでなく、脱水もで
きるようにすると共に、ドラムを高速回転させることに
より脱水効果を向上させたものである。

【０００２】

【従来の技術】洗濯物と洗剤とお湯（３０℃〜５０℃）
とをドラム内に入れてこれを密閉し、洗剤の発泡作用と
お湯による空気の膨張でドラム内の空気圧を高め、この
状態でドラムを回転させることによって洗濯物を撹拌し
て洗濯を行う可搬型で手動式の洗濯機が従来より知られ
ている。

【０００３】図４Ａ，Ｂはこのような従来の洗濯機１の
構成を示している。同図に示すように、洗濯機１は樽状
のドラム２と、これを回転自在に支持する支持台３と、
ドラム２を回転させるための回転ハンドル４とで構成さ
れている。

【０００４】ドラム２の上部には円形の開口部５が形成
され、ここには圧力蓋６が開閉自在に配される。ドラム
２を完全に密閉するために、開口部５と圧力蓋６との間
にはリング状のシール材７が配されている。また、ドラ
ム２の下部にはバルブ８を有する配水管９が設けられ、
ドラム２内の水（洗剤溶液）を外部に排出できるように
なされている。

【０００５】このように構成された洗濯機１で例えば衣
類を洗濯する場合は、上述したように、ドラム２内に洗
濯物と洗剤とお湯を入れ、圧力蓋６を閉めて回転ハンド
ル４によりドラム２を回転させる。これにより、お湯が
撹拌されると共に洗剤が発泡し、ドラム２内の空気圧が
高まり、洗濯物（衣類）の繊維内を洗剤溶液が勢いよく
何度も通過し、繊維にこびりついた汚れが洗い出され
る。

【０００６】この従来例においては、一回に洗える量は
２．５ｋｇ程度となされ、洗濯時間は約２分ほどであ
る。したがって、少量の洗濯に便利で洗剤量および水使
用量が大幅に節約できると共に、高い圧力下で洗濯を行
うので、電気洗濯機では落ちにくかった汚れも簡単に落
とすことができる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ところで、図４に示し
た洗濯機１では、洗濯が終わってバルブ８により水（洗
剤溶液）を排出した後は、濡れた洗濯物を取出して水を
絞らなければならないので、一連の洗濯作業が面倒であ
った。

【０００８】そこで、この発明は、上述した問題を解決
したものであって、洗濯した後、そのまま脱水すること
ができ、しかも脱水効果を向上させることができる洗濯
機を提供するものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
め、この発明に係る洗濯機では、孔が穿設されたドラム
と、ドラムを回転自在に支持する支持台と、ドラムを回
転させるための回転ハンドルとを有し、ドラムの回転に
よる遠心力でドラム内に収容された被洗濯物に含まれた
水が脱水され、脱水された水が孔から排水されることを
特徴とするものである。

【００１０】この発明において、洗濯物を脱水するとき
は、ドラムおよびこれを覆うカバー体内の水をおおまか
に抜いた状態で、回転ハンドルを洗濯時とは逆の方向に
回転させることにより、ドラムを高速回転させる。洗濯
物に含まれていた水は遠心力によりドラムに穿設された
孔を抜けてカバー体の内側に溜まる。ドラムの回転を止
め、カバー体の内側に溜められた水を排出して脱水作業
が完了する。これにより、洗濯した後に洗濯物をそのま
ま脱水することができると共に、ドラムを高速回転させ
ることにより脱水効果を向上させることができる。

【００１１】

【発明の実施の形態】続いて、この発明に係る洗濯機の
実施の一形態について、図面を参照して詳細に説明す
る。なお、従来と同様の部分には同一符号を付し、その
詳細な説明は省略する。

【００１２】図１はこの発明に係わる洗濯機２０の構成
を示している。この洗濯機２０は洗剤の発泡作用とお湯
による空気の膨張によってつくり出された高い圧力内で
洗濯物と洗剤溶液を撹拌して洗濯を行うもので、この発
明では、容器を２重構造にすることで、洗濯だけでな
く、脱水も行えるようにしたものである。

【００１３】このため、図１のように、樽状のドラム２
１が密閉可能なカバー体２２によって覆われている。ド
ラム２１およびカバー体２２は共にプラスチック樹脂製
で、ドラム２１はこれの両端に突出された回転軸２３，
２４が支持台３に回転自在に支持され、カバー体２２は
支持台３に固定されている。したがって、ドラム２１は
固定されたカバー体２２の内部で回転するようになされ
ている。

【００１４】上部に圧力蓋６が配されたドラム２１は脱
水にも供する洗濯用の容器であり、ドラム２１の底部に
は孔２５が複数穿設されてドラム２１の内部とカバー体
２２の内部が連通され、脱水時の水がカバー体２２側へ
抜けるようになされている。

【００１５】また、ドラム２１の回転軸２３には軸方向
に抜ける貫通孔２６が穿設され、ここには、エアバルブ
２７が脱着自在に取り付けられると共に、これの先端に
は逆止弁２８が設けられる。ドラム２１内の洗浄溶液
（水）を外部へ排出させる場合には、このエアバルブ２
７を緩めるか外すかすれば、ドラム２１内に外部から空
気が供給されて水の排出動作がスムースになる。逆止弁
２８が設けられているのは、ドラム２１内およびカバー
体２２内の圧力が高まったときに空気が外部へ洩れるの
を防止するためである。

【００１６】一方、下部に配水管９が設けられたカバー
体２２は図２のように、側面側から見ると円形となさ
れ、これの上部には外周方向にスライドする開閉カバー
２９が取り付けられている。この場合、図１に示すよう
に、開閉カバー２９とカバー体２２の間には密閉性を維
持するためにシール材３０が配されている。

【００１７】ところで、ドラム２１の回転は回転ハンド
ル４によって与えられるが、洗濯機２０では、脱水時に
おけるドラム２１の回転速度を洗濯時における回転速度
より高速にするために、ギヤを用いた変速手段５０が配
されている。

【００１８】図２において、ドラム２１の回転軸２４に
は大歯車３６，小歯車３７を有する伝達ギヤ３２が嵌め
込み固定（図１参照）され、回転ハンドル４の回転軸
（図示せず）には回転ギヤ３３が固定されている。

【００１９】そして、回転ギヤ３３の回転を伝達ギヤ３
２に伝えるために、第１の揺動ギヤ３４および第２の揺
動ギヤ３５が配される。これら第１の揺動ギヤ３４，第
２の揺動ギヤ３５はそれぞれレバー３８の所定位置に回
転自在に取り付けられている。

【００２０】図２のように、レバー３８は回転ハンドル
４の回転軸に揺動自在に取り付けられており、第１の揺
動ギヤ３４，第２の揺動ギヤ３５は共に回転ギヤ３３に
噛合されている。

【００２１】そして、レバー３８が時計方向に揺動した
場合には、第１の揺動ギヤ３４は大歯車３６に噛合さ
れ、レバー３８が反時計方向に揺動した場合には、第２
の揺動ギヤ３５が大歯車３６より歯数の少ない小歯車３
７に噛合されるようになされている。

【００２２】ここで、このように構成された洗濯時およ
び脱水時におけるギヤ部分の動作について説明する。

【００２３】まず、洗濯時には、図２のように回転ハン
ドル４を時計方向に回転させると、回転ハンドル４の回
転に伴ってレバー３８と共に第１の揺動ギヤ３４が時計
方向に揺動し、伝達ギヤ３２の大歯車３６に噛合され
る。

【００２４】この状態において、回転ギヤ３３は回転ハ
ンドル４と共に時計方向に回転しているので、第１の揺
動ギヤ３４は反時計方向に回転し、伝達ギヤ３２は時計
方向に回転する。これにより、伝達ギヤ３２が固定され
たドラム２１は時計方向に回転する。このように洗濯時
には、回転ハンドル４の回転が大歯車３６に伝達され
る。したがって、第１の揺動ギヤ３４と大歯車３６のギ
ヤ比は洗濯時用に設定されており、ドラム２１が通常回
転となるようになされている。

【００２５】これに対して、脱水時には、図３のように
回転ハンドル４を反時計方向に回転させると、回転ハン
ドル４の回転に伴ってレバー３８と共に第２の揺動ギヤ
３５が反時計方向に揺動し、伝達ギヤ３２の小歯車３７
に噛合される。

【００２６】この状態において、回転ギヤ３３は回転ハ
ンドル４と共に反時計方向に回転しているので、第２の
揺動ギヤ３５は時計方向に回転し、これにより、伝達ギ
ヤ３２は反時計方向に回転する。したがって、第２の揺
動ギヤ３５と小歯車３７のギヤ比は脱水時用に設定され
ており、ドラム２１が洗濯時に比べて高速回転となるよ
うになされている。

【００２７】続いて、このように構成された洗濯機２０
の洗濯および脱水する場合の動作を図１，図２及び図３
を用いて説明する。

【００２８】まず、図１のようにカバー体２２内に洗濯
物と洗剤とお湯を入れ、圧力蓋６を閉め、カバー体２２
の開閉カバー２９を閉じて密閉する。このとき、お湯は
ドラム２１およびカバー体２２の双方に配される。この
場合、ドラム２１内の空気が熱膨張して圧力が高まるよ
うに、お湯の温度は例えば３０℃〜５０℃くらいが適当
である。なお、この例では、一度に洗える洗濯物は２．
５ｋｇ程度となされている。

【００２９】そして、図２のように、回転ハンドル４を
時計方向に約２分ほど回転してドラム２１を時計方向に
回転させる。このとき、洗剤はお湯に溶けて洗剤溶液に
なっており、ドラム２１の回転によって発泡し、カバー
体２２（ドラム２１）内の圧力はさらに高められる。上
昇した圧力の中で洗濯することによって得られる効果は
従来と同じである。

【００３０】洗濯が終了したら、図１においてバルブ８
を開けてカバー体２２（ドラム２１）内の洗剤溶液
（水）をおおまかに排水する。このとき、エアバルブ２
７を緩めるか外すかしてドラム２１内に空気が外部から
送り込まれるようにすれば、効率よく排水することがで
きる。

【００３１】排水が終了したら、排水バルブ８を閉じ、
圧力蓋６を閉めると共に開閉カバー２９を閉じる。そし
て、図３において、回転ハンドル４を今度は反時計方向
に勢いよく回転させてドラム２１を高速回転させる。こ
のとき、洗濯物に含まれた水は遠心力により脱水されて
孔２５を抜けてドラム２１の外側に排出されてカバー体
２２の内側に溜まる。脱水時においては、排水バルブ８
は開けたままでもよく、このようにした場合には、脱水
された水は外部に排出されていくので、脱水時において
カバー体２２の底部に溜まった水で洗濯物が再び濡れて
しまうことがない。

【００３２】回転ハンドル４を所定時間（この例では約
１分ほど）反時計方向に回転させたのち、回転ハンドル
４の回転を止める。そして、バルブ８を開けてカバー体
２２の底部に溜まった水を排出し、開閉カバー２９を開
き、圧力蓋６を開けてドラム２１内の洗濯物の脱水具合
を確認する。脱水が未完成ならば上述の脱水作業を繰り
返す。

【００３３】したがって、このように構成された洗濯機
２０では、洗濯だけでなく、脱水もできるドラム２１が
密閉可能なカバー体２２に内包されているので、洗濯し
た後、そのまま脱水することができる。また、ギヤを用
いた変速手段５０が配されているので、回転ハンドル４
の回転方向を変えるだけで、ドラム２１の回転速度を切
り換えることができると共に、ドラム２１を高速回転さ
せることにより脱水効果を向上させることができる。

【００３４】

【発明の効果】以上説明したようにこの発明に係る洗濯
機では、カバー体内に脱水にも供する洗濯用のドラムを
設けたものである。

【００３５】したがって、洗濯した後、そのまま脱水す
ることができると共に、ドラムを高速回転させることに
より脱水効果を向上させることができる等の効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係わる洗濯機２０の構成を示す背面
図である。

【図２】図１の側面図である（洗濯時）。

【図３】図１の側面図である（脱水時）。

【図４】従来例の構成を示す図である。

【符号の説明】

１，２０ 洗濯機 ２，２１ ドラム ３ 支持台 ４ 回転ハンドル ５ 開口部 ６ 圧力蓋 ７ シール材 ８ バルブ ９ 配水管 ２２ カバー体 ２５ 孔 ２６ 貫通孔 ２７ エアバルブ ２８ 逆止弁 ２９ 開閉カバー ３０ シール材 ３２ 伝達ギヤ ３３ 回転ギヤ ３４ 第１の揺動ギヤ ３５ 第２の揺動ギヤ ３６ 大歯車 ３７ 小歯車 ３８ レバー

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 孔が穿設されたドラムと、 上記ドラムを回転自在に支持する支持台と、 上記ドラムを回転させるための回転ハンドルと、 を有し、 上記ドラムの回転による遠心力で上記ドラム内に収容さ
   れた被洗濯物に含まれた水が脱水され、該脱水された水
   が上記孔から排水されることを特徴とする洗濯機。
2. 【請求項２】 上記回転ハンドルの回転は変速手段を介
   して伝達され、上記回転ハンドルの回転数に比し多回転
   数が得られるように上記変速手段の変速比が設定されて
   なることを特徴とする請求項１記載の洗濯機。
3. 【請求項３】 上記ドラムを回転させる第１及び第２の
   ギヤと、 上記回転ハンドルの回転に伴って回転する第１及び第２
   の揺動ギヤと、 を有し、 上記回転ハンドルが一の方向に回転された時、上記第１
   のギヤと上記第１の揺動ギヤが噛合すると共に、 上記回転ハンドルが他の方向に回転された時、上記第２
   のギヤと上記第２の揺動ギヤが噛合し、 上記回転ハンドルの一の方向への回転時に比し、他の方
   向への回転時の方が上記ドラムの回転数が多くなるよう
   に上記第１，第２のギヤ及び上記第１，第２の揺動ギヤ
   のギヤ比が設定されてなることを特徴とする請求項１及
   び２記載の洗濯機。
4. 【請求項４】 洗濯時は上記回転ハンドルは上記一の方
   向へ回転されると共に、脱水時には他の方向へ回転され
   ることを特徴とする請求項３記載の洗濯機。
5. 【請求項５】 孔が穿設されたドラムと、 上記ドラムを回転自在に支持する支持台と、 上記ドラムを回転させるための回転ハンドルと、 上記回転ハンドルの回転を伝達する変速手段と、 を有し、 上記変速手段は上記ドラムの回転軸に固定されたそれぞ
   れ大歯車と小歯車とで構成された第１及び第２のギヤ
   と、 上記回転ハンドルの回転軸に固定された回転ギヤと、 上記回転ギヤに噛合されると共に、上記回転ギヤに対し
   て揺動自在となされた第１及び第２の揺動ギヤと、 を有し、 上記回転ハンドルの回転方向に応じて上記第１及び上記
   第２の揺動ギヤが上記第１のギヤ若しくは上記第２のギ
   ヤに噛合し、上記第２のギヤに噛合した時は上記第１の
   ギヤに噛合した時に比べて上記ドラムが高速で回転する
   ようになされたことを特徴とする洗濯機。
6. 【請求項６】 上記ドラムには外部と連通する開閉自在
   のエアバルブが設けられていることを特徴とする請求項
   １〜５記載の洗濯機。