JPH11153476A - 騒音分析装置 - Google Patents

騒音分析装置

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JPH11153476A
JPH11153476A JP33766597A JP33766597A JPH11153476A JP H11153476 A JPH11153476 A JP H11153476A JP 33766597 A JP33766597 A JP 33766597A JP 33766597 A JP33766597 A JP 33766597A JP H11153476 A JPH11153476 A JP H11153476A
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JP
Japan
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noise
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frequency
spectrum
sound
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JP33766597A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Hoshino
博之 星野
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Toyota Central R&D Labs Inc
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  • Measurement Of Mechanical Vibrations Or Ultrasonic Waves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】次数成分とランダムノイズ成分の各周波数帯域
毎に聴感上の大きさを求めること。 【解決手段】人の聴覚心理モデルに基づいたマスクトス
ペクトル分析を車室内騒音測定に適用し、聴感上のエン
ジン音、こもり音、路面音、風切り音など車室内騒音の
要素音の大きさを精度よく求める。これらの聴感に合っ
た測定値を用いると、車室の音響バランス評価が精度よ
く測定でき、快適な車室内音響を提供することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、到来する騒音に含
まれる次数成分とランダムノイズ成分の周波数毎の人間
の聴感上の音の大きさを決定するようにした騒音分析装
置に関する。特に、走行中の車両の運転者の耳に到来す
る騒音を測定し分析することで、車室内の騒音対策を効
果的に実施出来るようにした装置に関する。例えば、自
動車エンジン音、風切り音、路面音、車室内こもり音な
どの要素音を、人間の聴感周波数特性であるマスキング
効果に基づいて算出することで、聴感上の要素音の大き
さを測定することができる装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、自動車室内騒音には、エンジン
音、車室内こもり音などエンジン爆発周期を基本とする
周期性の次数成分とエンジン爆発周期とは関係のない風
切り音、路面音等に起因する非周期性のランダムノイズ
成分が混在している。また、これらの成分の割合は、自
動車の走行状態によって様々に変化し、様々な騒音が発
生している。ここでは、エンジン音に起因する次数成分
と走行に起因するランダムノイズ成分とが混在した騒音
を単に、騒音または全体騒音と呼ぶ。
【0003】従来、これらの騒音信号と人間の聴覚との
関係を明らかにする方法あるいは装置として、本件発明
者が提案した技術(学術講演会前刷集9535954(953,1995
-5,(社)自動車技術会発行)が知られている。概略を
説明すると、車室内運転席に置かれたダミ−ヘッドの窓
側耳位置に取り付けたマイクロフォンにより、騒音を収
音し録音する。この音を元にして、コンピュータ処理に
より各種の走行状態における騒音を模擬発生させ、多数
の被験者に聞かせてどのような要素音が目立つかを調べ
る官能評価実験を行なう。そして、個々の要素音を構成
する各種の物理指標と官能試験との結果を対比させて、
人間が快く感じる状態と不快に感じる状態の騒音の構成
状態を把握するようにしている。このうち次数成分の物
理指標を決定するのに、次数成分よりもレベルの大きい
ランダムノイズ成分がある場合には、次数成分はマスク
されて人間に聴覚には聞こえないという聴覚特性が加味
されている。
【0004】
【発明が解決しようする課題】しかしながら、上記の方
法は、各周波数の次数成分のレベルがその周波数のラン
ダムノイズ成分のレベルより突出した部分を次数成分の
大きさとして単純に評価する方法であり、人の聴覚周波
数特性に基づく周波数間のマスキング効果が考慮されて
いない。即ち、人間の聴覚周波数特性として、人間の聴
覚にある周波数帯域の大きな音を与えると、その近傍の
周波数帯域のあるレベル以下の音は聴こえないか、聴こ
え難くなるという特性がある。つまり、空気の振動を静
電容量型のマイクロフォン等で機械−電気変換して収集
された騒音信号は人の外耳、中耳、内耳を経て末梢およ
び中枢神経系で感ぜられる騒音信号とは異なる。このた
め、従来例のように騒音の中から個々の要素音を別々に
取り出し、同一周波数帯域におけるレベル差だけを考慮
した場合には不十分であり、必ずしも聴感に適合した評
価を得ることは出来なかった。例えば、高速走行時のエ
ンジン音と路面音を別々に評価すると、路面音が不快と
感ぜられるため、その評価点はやや低いものとなるが、
両方同時に聴かせた場合、エンジン音によるマスキング
効果があるため、路面音が低減されたように感ぜられ、
実質的な評価は高くなる。従来の分析方法では、このよ
うなより人間の聴覚特性に基づく評価を行なうことが困
難である。
【0005】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、人間の聴覚周波数特性を加味し
た上で、騒音に含まれる次数成分とランダムノイズ成分
の聴感上の大きさの周波数特性を求めることを目的とす
る。これにより、人間の聴感で感じる騒音の指標を正確
に設定することで、騒音評価の解析を容易にすることで
ある。他の目的は、自動車走行時における車室内騒音の
人間の聴感に基づく正確な分析を可能とすることであ
る。そして、その分析により騒音源に対する対策及び車
体及び車室の防音及び吸音対策等を容易にすることであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、周期性音波及
び非周期性音波の混在した騒音を分析する装置におい
て、騒音を取り込む騒音信号収集手段と、騒音信号収集
手段によって取り込まれた騒音信号に対して、スペクト
ル分析、又は、次数成分分析の一つとスペクトル包絡分
析を行う騒音成分分離手段と、騒音成分分離手段によっ
て分離された2つの周波数成分のそれぞれに対して、マ
スカとしてのある周波数帯域成分に関して最小可聴周波
数特性を設定して、その最小可聴周波数特性を超えるレ
ベルの周波数帯域成分のみ抽出する操作を、マスカの周
波数帯域成分を変化させて実行することで、2つの周波
数成分のマスクトスペクトルを求めるマスクトスペクト
ル演算手段と、マスクトスペクトル演算手段により演算
された2つの周波数成分のマスクトスペクトルから、聴
感上の次数成分とランダムノイズ成分の大きさを各周波
数帯域毎に求める聴感上の大きさ算出手段とを備えたこ
とを特徴とする。
【0007】
【発明の作用及び効果】騒音収集手段は騒音を時系列で
検出し収集する。収集された騒音信号は、騒音成分分離
手段によって、スペクトル分析、又は、次数成分分析の
一つと、スペクトル包絡分析によって分析され、騒音全
体のスペクトル、又は、次数成分のスペクトル、及びラ
ンダムノイズ成分のスペクトルの2つのスペクトル特性
が求められる。次に、マスクトスペクトル演算手段によ
り、2つの周波数成分のそれぞれに対して、マスカとし
てのある周波数帯域成分に関して最小可聴周波数特性を
設定して、その最小可聴周波数特性を超えるレベルの周
波数帯域成分のみ抽出する操作を、マスカの周波数帯域
成分を変化させて実行することで、2つの周波数成分の
マスクトスペクトルが求められる。この結果、2つの周
波数成分が、人間の聴感周波数特性に基づいて、相互に
マスクされた結果としてのマスクトスペクトルが求めら
れる。そして、聴感上の大きさ算出手段により、演算さ
れた2つの周波数成分のマスクトスペクトルから、聴感
上の次数成分とランダムノイズ成分の大きさが各周波数
帯域毎に求められる。これにより、人間の聴感周波数特
性を反映した次数成分とランダムノイズ成分の周波数特
性を求めることができる。
【0008】特に、車両の走行時に発生する騒音を解析
する場合には、エンジン音、こもり音、路面音、風切り
音等の各要素音や、その他の要素音が存在する環境にお
いて人間が聴覚で感じる大きさを求めることができる。
よって、様々に変化する環境音との関係において聴感に
適合した各要素音の値が得られる結果、車室内音響上の
各要素音の聴感上のバランスの良さを精度よく求めるこ
とができ、本装置をより快適な車室内空間の設計に用い
ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。図1は本実施形態の一例を
示す構成図であり、本発明による騒音分析装置は、走行
車両の車室内において収音された騒音を分析する装置で
ある。騒音分析装置は、騒音信号収集装置2、騒音成分
分離装置4、マスクトスペクトル演算装置6、聴感上の
大きさ算出装置8とで構成される。
【0010】騒音信号収集装置2は、例えば、静電容量
型のセンサであるマイクロフォン21と、検出された音
を時系列的に順次、ディジタル値として記憶する図2に
示すDAT等の記録装置201で構成されている。騒音
成分分離装置4、マスクトスペクトル演算装置6、聴感
上の大きさ算出装置8は、ハードウエア装置により構成
することもできるが、図2に示すコンピュータ装置によ
るソフトウエアで実現することも可能である。図2に示
す計算機システムは、本実施例装置おける信号の処理プ
ログラムや記録装置201に記憶されている騒音データ
を記憶するハ−ドディスク装置等の記憶装置32、演算
処理をするためのCPU(中央演算処理ユニット)3
0、作業領域であるRAM(ランダムアクセスメモリ)
31を備えている。
【0011】マイクロフォン21は、具体的には、運転
席に設けられたダミ−ヘッドの窓側耳位置に設置され、
走行中の車室内騒音を検出し、図2に示す様に、記録装
置201に一旦時系列的にディジタル値として記録され
る。記録装置201に録音された車室内騒音データは、
コンピュータシステムに取り込まれ、上述の記憶装置3
3、又は、RAM31に記憶される。
【0012】通常、走行中の自動車室内で検出される騒
音には、エンジン爆発周期を基本周波数とする周期性の
次数成分と、路面あるいは風切り音など走行に起因する
非周期性のランダムノイズ成分とがあり、これらが混在
している。例えば、エンジンの気筒数を6、回転数を1
800rpmとした場合、2回転で6回爆発することか
ら、その基本周波数は90Hzとなり、エンジン音とし
ては、その基本周波数とその整数倍の周波数を持つ高調
波成分(次数成分)が検出される。また、エンジン回転
数によっては、その基本低周波成分が車室構造と共振を
起こしたりあるいはその整数分の1である分数調波共振
を起したりする事がある。これが人が不快と感ずる所謂
こもり音で、やはりエンジン音と同じく次数成分を有
し、車室内騒音のなかに混在している。これらの騒音信
号が上述のマイクロフォン21で検出される。
【0013】騒音成分分離装置4は、数値演算プログラ
ムに従って動作するCPU30により構成されている。
この装置4では、騒音信号は、図3(a)に示される様
に、まずFFT(高速フ−リエ変換)によって、周波数
とその強度分布との関係を示す周波数スペクトル分析が
なされる。更に、分析されたスペクトルに対してケプス
トラム分析などで代表されるスペクトル包絡分析が行わ
れ、その中から包絡成分であるランダムノイズ成分が抽
出される。スペクトル包絡は、図3(a)に示す全体騒
音のスペクトルの周波数空間における低周波包絡線を意
味しており、スペクトルに対する一種のローパスフィル
タ処理を施して得られる。
【0014】ところで、人の聴覚特性は、音の周波数及
びその強度に対して対数特性となっており、聴感上の処
理を行うに当たっては、上で得られた信号を全ての周波
数に渡って扱う必要はなく、通常、人の聴感に応じたオ
クタ−ブバンドレベル分析が行われる。オクタ−ブバン
ド分析とは、高域遮断周波数が低域遮断周波数の2倍に
あたる周波数帯域を通過帯域とするバンドパスフィルタ
を帯域が連続するように配置した時に各バンドパスフィ
ルタから得られる信号の電力の平均値を求める手法であ
る。このような手法により、聴感上意味のある信号だけ
が取り出されることになる。本実施例では、さらに詳細
に調べるため、1つの帯域を1/3オクターブに設定し
た1/3オクタ−ブ分析を採用した。
【0015】さらに、人の聴覚には、マスキング効果と
言われる重要な特性がある。それは、スペクトル空間
上、互いに近傍にあるスペクトル、妨害音(マスカ)、
信号音(マスキ−)は、相互に影響を及ぼし合い、スペ
クトル強度の小さい方は知覚されないか、又は、知覚し
難くなるというものである。マスカの及ぼす影響は、妨
害音周波数を中心にして図7(a)に示すように左右非
対称となっている。図7(a)は、365Hz〜455
Hz帯域、80dBの雑音信号を入れた時の、各信号音
の周波数に対する最小可聴曲線と他のスペクトル線との
関係を表わしたものであり、この最小可聴曲線以上にあ
る信号音(マスキ−)は、知覚可能であり、以下にある
信号は知覚不可能となる。また、詳細は記さないが、こ
の最小可聴曲線は一律ではなく周波数依存性および強度
依存性があり、人の聴覚特性の基礎デ−タとして、その
妨害音の中心周波数およびその強度毎に最小可聴曲線が
記憶装置32に記憶されている。
【0016】また、マスキング現象における妨害音(マ
スカ)の周波数に関しては、臨界帯域幅というパラメ−
タが存在する。それは信号音周波数を中心にして、徐々
に妨害音(マスカ)の周波数幅を増加した場合、ある幅
以上に増加させてもマスキング効果が変わらない現象で
あり、それは、聴覚の持つ周波数バンド構造にほぼ一致
する。言い換えれば、聴覚では、同じバンドパスフィル
タを通過した成分どうしだけが、相互干渉(加減算)し
合うものであり、マスキング効果を考える上では、人の
聴感に応じたオクタ−ブバンドレベル分析が有効である
ことを示している。
【0017】従って、CPU30による演算により達成
されるマスクトスペクトル演算装置6は次の処理を行な
う。1/3オクタ−ブバンドレベル分析で算出されたそ
れぞれの周波数帯域(臨界帯域)内で、この妨害周波数
成分(マスカ)の及ぼす強度が上述の上記最小可聴曲線
により重み付けて積分され、その値が信号音強度から差
し引かれる。具体的には、バンド構造に変換されたスペ
クトルを図7(b)に示す。B3を信号音(マスキ−)
とみなした場合、信号音B3は、B1,B2,B4の妨
害音(マスカ)からそれぞれ妨害を受け、その周波数帯
内(B3内)で積分された雑音信号の強度が、信号音強
度を超える場合、その信号音は知覚できないので、マス
クトスペクトル分析の結果、B3の値はゼロと算出され
る。また、妨害周波数成分の積分値が信号音強度を下回
る場合は、その差がマスクトスペクトル分析の結果とし
て算出される。このような処理が、各周波数帯(臨界帯
域)に対して行われるのが、マスクトスペクトル分析で
ある。
【0018】通常、ランダムノイズ成分をマスクトスペ
クトル分析する場合には、次数成分を含む全体騒音信号
を妨害音(マスカ)とみなし、妨害音の各周波数帯域成
分が信号音におよぼす値が各々の最小可聴曲線で算出さ
れ、さらに信号音の各臨界帯域幅内でその妨害音の強度
が積分され、信号音強度から差し引かれる。その結果、
上記騒音信号およびランダムノイズ成分は、図3(c)
に示されるように変換される。これが、実際、人の聴覚
が知覚している車室内全体騒音とランダムノイズ成分の
周波数スペクトルとなる。尚、各周波数帯域において、
全体騒音のスペクトルの方がランダムノイズ成分よりも
レベルが大きいので、上記のように、全体騒音のスペク
トルがマスカとして機能するが、ランダムノイズ成分の
方が全体騒音のスペクトルよりもレベルが高い周波数帯
域では、レベルが高い方のランダムノイズ成分がマスカ
として機能する。全体騒音のマスクトスペクトルを求め
る場合も同様であり、各周波数帯域でレベルの高い方が
マスカとして機能する。よって、全体騒音のマスクトス
ペクトルは、自分自身の他の周波数帯域の成分でマスク
される場合が多くなる。
【0019】次に、このマスクトスペクトルを用いて、
CPU30の処理により達成される聴感上の大きさ算出
装置8により、次数成分の聴感上の大きさが算出され
る。算出された聴感上の全体のスペクトルと聴感上のラ
ンダムノイズ成分との差分が、図3(c)に示すよう
に、各周波数帯域毎に求められる。この差分は、騒音全
体のスペクトルのレベルからランダムノイズ成分のレベ
ルを引いた値であるので、ランダムノイズ成分でない、
即ち、次数成分の聴感上の大きさを示している。このよ
うな、一連の処理によって、聴感上のランダムノイズ成
分の大きさと聴感上の次数成分の大きさが算出されて、
車室内騒音の評価に使用される。さらに、各周波数帯域
で次数成分の大きさがランダム成分の大きさよりも大き
い場合に、次数成分が認識されるので、それらの差分が
次数成分の聴覚上の大きさとなる。
【0020】この算出された聴感上のスペクトルからエ
ンジン音、こもり音、路面音、風切り音等の要素音を取
り出し、その要素音の大きさと多数の被験者による官能
評価との関係を測定した結果を図4に示す。それぞれの
要素音、エンジン音(次数成分)、こもり音(180H
z以下の次数成分とランダム成分の大きさ)、路面音
(900Hz以下のランダム成分の大きさ)、風切り音
(450Hz以下のランダム成分の大きさ)の本装置に
より得られた聴感上の大きさを横軸に、目立ち度(目立
つと判断した人の割合)を縦軸に表している。両者は、
極めて高い相関係数rが得られていることが分かる。即
ち、本発明による騒音分析装置が算出したそれぞれの要
素音の大きさは、忠実に人の聴感上の計測値となってお
り、従来評価時に使用した官能試験によって得た目立ち
度(目立つと判断した人の割合)の代わりに使用する事
ができる。
【0021】例えば、図5(a)、(b)、(c)に示
すように、要素音のバランスに注目した総合的な音色
も、目立ち度によってすでに関係付けられている。こも
り音と総合的な音色の評価は負の相関関係(a)があ
り、エンジンの大きさ音と総合的な音色との官能評価は
正の相関関係(b)がある。そして、(c)に示すよう
に、路面音の大きさと総合的な音色評価は負の相関があ
り、風切り音の大きさと総合的な音色評価も負の相関が
ある。従って、路面音の大きさに対する風切り音の大き
さの比により総合的な音色の評価が決定され、特に、風
切り音の大きさと路面音の大きさの比が1:2の場合、
総合的な音色の評価が最も高くなる。これらの関係は、
多数の被験者から、それぞれの要素音の目立つ度合いと
総合的な音色評価を統計的に処理して得られたものであ
る。
【0022】そして、新たな騒音に対して総合的な音色
評価を演算する場合に、本装置を用いれば、再度同じ被
験者によってその目立つ度合いを統計的に求める必要が
なくなる。即ち、図4に示すように目立ち度は本装置に
よって得られた測定値と極めて高い相関があるので、新
たな騒音を測定した場合に、測定された各要素音の大き
さから、図5の特性を用いて、バランスに注目した総合
的な音色評価値を得ることができる。
【0023】その結果を、図6(a)、(b)に示す。
(a)は、従来例で示した方法で、人間の聴感の周波数
マスキング特性を十分考慮せず、騒音を単純に要素音に
分け、それぞれの評価点を加算したバランス評価値と、
多数の被験者による官能評価による総合的な音色評価値
との相関関係を示す。(b)は本装置により周波数マス
キング特性を十分考慮し、聴感上の各要素音の大きさを
求め、図5のグラフによって換算されたバランス評価値
と上記官能評価による総合的な音色評価値との相関を表
わしている。後者の方が高い相関性を示しているので、
本発明による騒音分析装置は、聴感上のバランスの良さ
も精度よく測定することができる。
【0024】以上、本発明を表わす1実施例を示した
が、他にさまざまな変形例が考えられる。例えば、本実
施例では、騒音成分分離装置4によって、抽出されたラ
ンダムノイズ成分と元々の騒音全体のスペクトルにそれ
ぞれマスクトスペクトル分析を行い、その差分をとるこ
とによって、聴感上の次数成分の大きさを算出した。し
かし、図8に示すように、直接、次数成分の聴感上の大
きさを求めても良い。即ち、騒音成分分離装置4におい
て、FFTによりスペクトル分析を行い、直接、次数成
分(a)とランダムノイズ成分(b)とを求める。さら
に、人の聴覚の周波数特性に近づけるためそれぞれに1
/3オクタ−ブ分析を行い、それぞれ図8(c)、
(d)のバンド構造で表わされたスペクトルに変換す
る。
【0025】次に、相互マスキングを含めたマスクトス
ペクトル分析を行う。相互マスキングとは、ある臨界帯
域でのマスキング分析を行う場合、両者(次数成分とラ
ンダムノイズ成分)うち、スペクトル強度の大きい方を
妨害音(マスカ)としてマスクトスペクトル分析を行う
のもである。例えば、図8(c)、(d)において、ラ
ンダムノイズ成分のバンドナンバ−10番のスペクトル
にマスクトスペクトル分析を施す場合、例えばマスカバ
ンドナンバ−7のスペクトルが考えられるが、次数成分
のそれと比較すると、次数成分のスペクトル強度の方が
大きいため、マスカとしては、次数成分のバンドナンバ
−7番の方が選ばれる。次数成分に関しても、同様の処
理がなされ、その結果、図7の(e)に示される聴感上
の次数成分の大きさと聴感上のランダムノイズ成分の大
きさが算出され、車室騒音の評価に使用される。また、
図8の(e)に示す、各周波数帯域において、次数成分
の大きさが、ランダム成分の大きさよりも大きい場合
に、次数成分が認識されるので、それらの差分が次数成
分の聴覚上の大きさとなる。
【0026】また、本実施例では、騒音成分分離手段
は、計算機を含めたFFT(高速フ−リエ変換)等のソ
フトウエアで実現したが、電子回路からなるFFTアナ
ライザ−を騒音成分分離手段とし、その出力を記憶媒体
に取り込んでもよい。また、本実施例では、スペクトル
包絡分析としてケプストラム分析を用いたが、線形予測
分析(LPC)等の他の包絡成分抽出法を用いてもよ
い。また、本実施例で使用したオクタ−ブバンドレベル
分析も記憶媒体に取り込まれた騒音信号に対して、ソフ
トウエアによる処理でオクタ−ブバンドレベル以外の周
波数帯を取り除いたが、一旦、D/A変換器でアナログ
信号として取り出し、電子回路で構成されたオクタ−ブ
バンドパスフィルタを通過させ、再び計算機に取り込ん
でもよい。また、本実施例では、説明を簡略化するた
め、マイクロフォンをダミ−ヘッドの窓側位置に1個設
置して、騒音を取り込んだが、両耳位置にマイクロフォ
ンを設け、時間差を持ったマスクトスペクトル分析を展
開し、さらに聴感に近い騒音分析装置としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体的な一実施例の装置を示す構成
図。
【図2】実施例装置をコンピュータシステムで実現した
場合の構成図。
【図3】実施例装置によりマスクトスペクトルを求める
方法を示した説明図。
【図4】同実施例装置により得られた各要素音の聴感上
の大きさと、その要素音が目立つと判定した官能試験者
の人数との相関関係を示した測定図。
【図5】各要素音の目立ち度とバランスに注目した総合
的な音色の関係を表わす測定図。
【図6】従来例によるバランス評価値と総合的な音色と
の相関及び本実施例装置で得られたバランス評価値と総
合的な音色との相関を示した測定図。
【図7】同実施例装置で実行されるマスクトスペクトル
分析の方法を示した説明図。
【図8】他の実施例装置による次数成分とランダムノイ
ズ成分の聴感上の大きさを求める手法を示した説明図。
【符号の説明】
2 騒音信号収集装置 4 騒音成分分離装置 6 マスクトスペクトル演算装置 8 聴感上大きさ算出装置

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】周期性音波及び非周期性音波の混在した騒
    音を分析する装置において、 前記騒音を取り込む騒音信号収集手段と、 前記騒音信号収集手段によって取り込まれた騒音信号に
    対して、スペクトル分析、又は、次数成分分析の一つ
    と、スペクトル包絡分析を行う騒音成分分離手段と、 前記騒音成分分離手段によって分離された2つの周波数
    成分のそれぞれに対して、マスカとしてのある周波数帯
    域成分に関して最小可聴周波数特性を設定して、その最
    小可聴周波数特性を超えるレベルの周波数帯域成分のみ
    抽出する操作を、マスカの周波数帯域成分を変化させて
    実行することで、2つの周波数成分のマスクトスペクト
    ルを求めるマスクトスペクトル演算手段と、 前記マスクトスペクトル演算手段により演算された2つ
    の周波数成分のマスクトスペクトルから、聴感上の次数
    成分とランダムノイズ成分の大きさを各周波数帯域毎に
    求める聴感上の大きさ算出手段とを備えたことを特徴と
    する騒音分析装置。
JP33766597A 1997-11-20 1997-11-20 騒音分析装置 Pending JPH11153476A (ja)

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