JP2003271166A - 入力信号処理方法および入力信号処理装置 - Google Patents

入力信号処理方法および入力信号処理装置

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JP2003271166A JP2002070573A JP2002070573A JP2003271166A JP 2003271166 A JP2003271166 A JP 2003271166A JP 2002070573 A JP2002070573 A JP 2002070573A JP 2002070573 A JP2002070573 A JP 2002070573A JP 2003271166 A JP2003271166 A JP 2003271166A
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洋 猿渡
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  • Measurement Of Mechanical Vibrations Or Ultrasonic Waves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 混在する複数の信号から目的とする信号のみ
を分離する手法として、独立成分分析法(ICA)があ
る。しかし、この方法では、伝送系の特性、背景雑音等
の影響、拡散性信号源に対する信号源同定の困難さ、拡
散性の信号源の中から非拡散性である目的信号源の検出
の困難さ等の理由により分離精度が劣化していた。この
ため、低SNRで拡散性の信号源を含む場合であっても
精度よく音源分離が出来る方法の開発が課題となってい
た。 【解決手段】拡散性信号源あるいは雑音レベルが高く、
ICAによ目的信号源の分離が困難となる周波数帯域
を、不要帯域としてこれを自動検出し、除去する手法を
導入した。このため、入力信号間の独立性を評価するコ
スト関数を定義し、このコスト関数に対して閾値を設定
し、これを用いて各周波数帯域毎に抑圧定数を求めるこ
とにより不要帯域の自動検出と除去を可能としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の信号源から
発せられた各種信号が混在する状態の中から、必要とす
る信号を抽出する方法とその装置に係る。
【0002】
【従来の技術】複数の信号が混在する状態で観測された
場合、観測された信号だけを用いて源信号を同定する技
術をBlind Source Separation(以下BSSと記述)と呼
ぶ。近年では、独立成分分析(Independent Component A
na1ysis;以下ICAと記述)に基づく信号分離手法が主
流である。この信号分離手法は、複数のセンサからの複
数の時系列入力信号に対して独立性の評価および逆混合
行列の最適化を行なうもので、その方法としてはKullba
ck-Leibler divergenceの最小化に基づく教師無し学習
アルゴリズムや、2次または高次の相関を無相関化する
アルゴリズムが提案されている(「アレー信号処理を用
いたブラインド音源分離の基礎」Technica1 report of
IEICE,EA2001‐7)。
【0003】ICAによる信号分離手法は音信号処理だ
けではなく、例えば、移動体通信などで話が混線して到
達した信号を、其々に分離したり、脳の内部の各所で生
ずる信号を脳電計や脳磁計、fMRI(Functional Mag
netic Resonance Imaging;磁気共鳴機能画像)などを用
いて外部から測定した場合に、測定信号の中から目的の
信号を分離抽出することなどに用いられている(「独立
成分解析とは」Computer Today,p38−43,199
8.9, No.87、「fMRI画像解析への応用」
Computer Today,p60−67,2001.1,No.
95)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたICAに基
づく目的信号分離の処理における問題点としては、以下
の各項が挙げられる。 1)信号源から送出される信号同士の統計的な独立性を
利用するが、実環境では信号の伝達特性・背景ノイズ等
によりその統計量を精度よく推定することが困難であ
る。よって、分離精度が劣化する。 2)拡散性の信号源は、それを一信号源と見なすことが
困難であることにより、分離が非常に困難となる。 3)特に上記のような拡散性の信号源と拡散性でない目
的信号源とが混在する場合において、特定の周波数帯域
に目的信号源の信号成分が存在せず、拡散性信号源の信
号成分だけが存在すると、ICAによる目的信号分離処
理結果である複数の分離された信号全てにおいて上記拡
散性信号源の成分が混入する。このように、特に拡散性
の信号源から送出される信号を取り扱う際には、ICA
に基づくマイクロホンアレーにおける目的信号源の信号
分離性能が著しく劣化する。すなわち、ICAを用いて
も信号の分離が困難であった周波数帯域においては、目
的とする信号源から送出される信号以外の成分が混入し
てしまう問題があった。本発明においては、以上のよう
な現状の信号分離法の問題点を解決し、拡散性のある音
源を含む場合に対しても適用可能な新しい信号分離の手
法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項1においては、複数のセンサによっ
て検知できる複数の波動性信号が混在している中から、
目的とする少なくとも一つの波動性信号を放出している
信号源の信号を分離する方法を基本としている。具体的
にはセンサによって得られた上記の波動性信号を検知す
る検知過程と、前記各センサによって検知された検知信
号を帯域分割する帯域分割過程と、前記帯域分割過程に
よって分割された各帯域毎の複数のパラメータ値につい
て、前記信号源と前記複数のセンサの空間的な位置の違
いと、信号種の違いに起因する前記検知信号の時間的特
徴および周波数的特徴を統計的に分析し、前記パラメー
タ値に対して同一信号源から入力された少なくとも一つ
の前記信号源の目的信号パラメータ値を識別するための
識別レベルを計算し、前記識別レベルをもとに前記パラ
メータ値に対して同一信号源から入力された少なくとも
一つの前記信号源の前記目的信号パラメータ値を識別す
る信号識別過程と、前記信号識別過程において、識別さ
れた同一信号源から入力された少なくとも一つの前記信
号源の前記目的信号パラメータ値以外に識別された不要
成分パラメータ値を減衰させる一次減衰過程と有する入
力信号処理方法であって、本発明はこの方法に、前記信
号識別過程において計算された識別レベルが予め定めら
れたレベルに達していない前記帯域においては、前記パ
ラメータ値を減衰させる二次減衰過程と、前記二次減衰
過程において前記複数の信号源の内容や位置が変化した
場合には、前記二次減衰過程において減衰させる帯域を
修正する修正過程とを含む方法としている。
【0006】請求項2においては、請求項1記載の入力
信号処理方法において、少なくとも2つ以上のセンサを
用い、前記信号識別過程の前記パラメータ値に対して同
一信号源から入力された少なくとも一つの前記信号源の
前記目的信号パラメータ値が、前記パラメータ値のうち
不要信号となる不要信号パラメータ値より空間的に独立
性が高い値となった場合に前記信号識別過程での前記識
別レベルが高くなる入力信号処理方法としている。
【0007】請求項3においては、請求項1記載の入力
信号処理方法において、少なくとも2つ以上のセンサを
用い、前記信号識別過程の前記パラメータ値に対して同
一信号源から入力された少なくとも一つの前記信号源の
前記目的信号パラメータ値が、前記不要信号パラメータ
値より時間的に独立性が高い場合に前記信号識別過程で
の前記識別レベルが高くなる入力信号処理方法としてい
る。
【0008】請求項4においては、請求項1記載の入力
信号処理方法において、少なくとも2つ以上のセンサを
用い、前記信号識別過程の前記パラメータ値に対して同
一信号源から入力された少なくとも一つの前記信号源の
前記目的信号パラメータ値が、前記不要信号パラメータ
値より周波数的に独立性が高い場合に前記信号識別過程
での前記識別レベルが高くなる入力信号処理方法として
いる。
【0009】請求項5においては、前記請求項1乃至請
求項4のいずれかに記載の入力信号処理方法で、前記目
的信号パラメータ値と前記不要信号パラメータ値のコサ
イン距離をコスト関数として定義し、前記コスト関数の
値が低いときに独立性が高いとみなして、前記信号識別
過程での識別レベルが高くなる入力信号処理方法として
いる。
【0010】請求項6においては、複数のセンサによっ
て検知できる複数の波動性信号が混在している中から、
目的とする少なくとも一つの波動性信号を放出している
信号源の信号を分離する装置を基本としている。具体的
には前記波動性信号を検知する複数のセンサ手段と、前
記センサ手段により得られた電気信号を検知する検知手
段と、前記検知手段により得られた検知信号を帯域分割
する帯域分割手段と、前記帯域分割手段によって分割さ
れた各帯域の複数のパラメータ値について、前記信号源
と前記複数のセンサ手段の空間的な位置の違いと、信号
種の違いに起因する前記検知信号の時間的特徴および周
波数的特徴を統計的に分析して、前記パラメータ値に対
して同一信号源から入力された少なくとも一つの前記信
号源の目的信号パラメータ値を識別するための識別レベ
ルを計算し、前記識別レベルをもとに前記パラメータ値
に対して同一信号源から入力された少なくとも一つの前
記信号源の前記目的信号パラメータ値を識別する信号識
別手段と、前記信号識別手段において、識別された前記
同一信号源から入力された少なくとも一つの前記信号源
の前記目的信号パラメータ値以外に識別された不要成分
パラメータ値を減衰させる一次減衰手段とを有してなる
入力信号処理装置と、前記信号識別過程で計算された前
記識別レベルが予め定められたレベルに達していない前
記帯域においては、前記パラメータ値を減衰させる二次
減衰手段と、前記複数の信号源の内容や位置が変化した
場合には、前記二次減衰手段において減衰させる帯域を
修正する修正手段と、前記識別レベル情報を記憶してお
く記憶手段とを有する構成の入力信号処理装置としてい
る。
【0011】請求項7においては、少なくとも2つ以上
のセンサを有し、前記信号識別手段の前記パラメータ値
に対して、同一信号源から入力された少なくとも一つの
前記信号源の前記目的信号パラメータ値が、前記不要信
号パラメータ値より幾何空間的に独立性が高い場合に前
記識別レベルが高くなる前記信号識別手段を有する構成
としている。
【0012】請求項8においては、少なくとも2つ以上
のセンサを用い、前記信号識別手段の前記パラメータ値
に対して同一信号源から入力された少なくとも一つの信
号源の前記目的信号パラメータ値が、前記不要信号パラ
メータ値より時間的に独立性が高い場合に前記識別レベ
ルが高くなる前記信号識別手段を有する構成としてい
る。
【0013】請求項9においては、少なくとも2つ以上
のセンサを用い、前記信号識別手段の前記パラメータ値
に対して前記同一信号源から入力された少なくとも一つ
の前記信号源の前記目的信号パラメータ値が、前記不要
信号パラメータ値より周波数的に独立性が高い場合に前
記識別レベルが高くなる前記信号識別手段を有する構成
としている。
【0014】請求項10においては、請求項7乃至請求
項9の何れかに記載の入力信号処理装置の前記目的信号
パラメータ値と前記不要信号パラメータ値のコサイン距
離をコスト関数として定義し、前記コスト関数の値が低
いときに独立性が高いとみなして、前記識別レベルが高
くなる前記信号識別手段を有する構成としている。
【0015】請求項11においては、前記請求項7に記
載の入力信号処理装置の前記二次減衰手段の減衰量、前
記二次減衰手段を修正するための前記修正手段の修正
量、前記修正手段の修正手順を切替える切替手段を有す
る構成としている。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明においては、「発明が解決
しようとする課題」の項で述べた問題点を解決するた
め、ICAによる分離が困難な周波数帯域を、目的信号
の再構成の際に不要である帯域(以下、不要帯域と表記
する)と見なし、この不要帯域を自動検出し、除去する
手法を導入した。
【0017】初めに、図10により従来行なわれてきた
手法について説明する。例えば、信号源として、音信号
をK個のマイクロホン(センサ)で受信することに加え、
各音源から到来する、音信号同士が統計的に独立である
ことを利用することでマイクロホンと同じK個もしくは
K個以下の音源を分離することができる。当初、ICA
を用いた音源分離法は、各音源からの到来音の時間差が
考慮されていなかったため、複数のマイクロホンを配列
したマイクロホンアレーに適用することは困難であっ
た。しかし近年では、時間差を考慮し、マイクロホンア
レーを用いて複数の音信号を観測し、周波数領域にて混
合過程の逆変換を求める手法が多数提案されている。
【0018】一般に、L個の複数音源から到来する音信
号が線形に混合されてK個のマイクロホンにて観測され
ている場合、観測された音信号は、ある周波数fにおい
て下記(数1)式のように記述することができる。
【0019】
【数1】 ここで、添字vecはベクトルを示すものとし、S
vec(f)は各音源から送出される音信号ベクトル、X
vec(f)は受音点であるマイクロホンアレーで観測さ
れた観測信号ベクトル、Avec(f)は各音源と受音点
との空間的な音響系に関するベクトル表現された混合行
列であり、それぞれ以下の(数2)式乃至(数4)式の
ように記述することができる。
【0020】
【数2】
【0021】
【数3】
【0022】
【数4】 ここで[ ]はベクトルの転置を表す。このとき、混合
行列Avec(f)が既知であれば、受音点での観測信号
ベクトルXvec(f)を用いて、(数5)式
【0023】
【数5】 ただし、( )は行列の一般逆行列を表すのようにA
vec(f)の一般逆行列を求めることで音源から送出さ
れる音信号S vec(f)を計算することができる。しか
し一般にAvec(f)は未知であり、Xvec(f)だけ
を利用することで音信号Svec(f)を求めなければな
らない。
【0024】BSS問題を解くためには、音信号S
vec(f)が確率的に発生し、更に、S vec(f)の各
成分が全て互いに独立であると仮定する。このとき観測
信号X ec(f)は混合された信号であるためXvec
(f)の各成分の分布は独立ではない。そこで、観測信号
vec(f)に含まれる独立な成分をICAによって探
索することを考える。すなわち、観測信号Xvec(f)
を独立な成分に変換する行列Wvec(f)(以下、逆混
合行列)を計算し、観測信号Xvec(f)に逆混合行列
vec(f)を適用することで、音源から送出される音
信号Svec(f)に対して近似的な信号を求める。
【0025】ICAによる混合過程の逆変換を求める処
理を図10に模式的に示す。最初に、各マイクロホンM
ICにて観測された信号を適切な直交変換を用いて短時
間フレーム分析を短時間離散フーリエ変換(st-DF
T)により実時間周波数分析装置RFAを用いて行う。
このとき、1つのマイクロホンMIC入力における特定
の周波数ビンでの複素スペクトル値をプロットすること
により、それを時系列として考える。ここで、周波数ビ
ンとは短時間離散フーリエ変換によって周波数変換され
た信号ベクトルにおける個別の副素成分を示す。同様
に、他のマイクロホンMIC入力に対しても同じ操作を
行う。これにより得られた、時間−周波数信号系列は、
下記(数6)式のように記述できる。
【0026】
【数6】 次に、逆混合行列Wvec(f)を用いて信号分離を行
う。この処理は以下の(数7)式のように示される。
【0027】
【数7】 ここで、逆混合行列Wvec(f)は、L個の音源からの
時系列出力Yvec(f,t)が互いに独立になるように
最適化される。これらの処理を全ての周波数ビンについ
て行う。最後に、分離した時系列出力Yvec(f,t)
に逆直交変換を適用して、音源信号時間波形の再構成を
行う。
【0028】図1は本発明における処理手順を示すフロ
ー図である。以下、「従来の技術」の場合と同様に、複
数のマイクロホンによる音源分離問題を例にして図によ
り詳細に説明する。
【0029】以上、従来の方法に対し本発明において
は、先ず、各マイクロホン10_1〜10_nにて集音
され、検知過程20で電気信号として検知され、帯域分
割過程30で狭帯域信号に分割された信号は、信号識別
過程40で短時間フレーム分析される。これにより得ら
れた時間−周波数信号系列を上記の(数6)式で記述す
る。次に、ICAによって最適化された逆混合行列W
vec(f)及び各帯域における抑圧定数R(f)を用いて
信号分離及び不要帯域除去を行う。この処理は以下の
(数8)式のように示される。
【0030】
【数8】 ここで、Yvec(f,t)は不要帯域除去が為された分
離信号である。このとき、式(8)のWvec(f)は請求
項1の一次減衰フィルタ50に相当し、R(f)は二次減
衰フィルタ60に対応している。図1において、修正過
程70は信号識別過程40で得られた識別レベルをもと
に二次減衰過程60のパラメータ設定を行う過程であ
る。
【0031】不要帯域の検出方法としては、ICAによ
る学習終了後に、分離信号間の独立性を評価するコスト
関数を定義し、このコスト関数に基づいて不要帯域の決
定を行う。本コスト関数については、例えば、分離信号
間の高次相関値やcosine距離などを使用すればよい。こ
こで、cosine距離は多次元空間において定義される多次
元ベクトルが成す角のコサイン値を示す。特にcosine距
離は演算量も少なく効率的である。以下の(数9)式で
は、2音源の場合のcosine距離に基づくコスト関数J
(f)を示す。
【0032】
【数9】 ここで記号< >は時間に関する平均をとることを表
し、記号*は複素共役を表す。
【0033】実際の応用に際しては、短時間フレーム分
析における時間切り出し位置などに上記の値は左右され
るため、周波数間において著しい不連続を生じることが
ある。図2の点線に、コスト関数J(f)の周波数間不連
続現象の例を示す。これを回避するため、一例として、
(数9)式に示すコスト関数を、ある周波数帯域幅で移
動平均をとることによって得られる平滑化されたコスト
関数を使用することが考えられる。これは以下の(数1
0)式で書くことができる。
【0034】
【数10】 ここでBは平滑化幅を与えるパラメータである。この場
合の例を図2において実線で示す。これにより得られた
平滑化されたコスト関数J(f)は、分離された信号が
独立なものであれば値は小さくなり、非独立なものであ
れば値は大きくなる。また、その最大値は1である。
【0035】よって、このコスト関数を利用することに
より、従来は分離が困難であった不要帯域の検出及び除
去を以下のように行うことができる。まず、0以上1以
下の適当な閾値Jを決め、その閾値を超える平滑化さ
れたコスト関数J(f)を全周波数帯域に渉り検出す
る。次に、その閾値を超える平滑化されたコスト関数J
(f)を有する周波数帯域は不要帯域であると見なせる
ので、その周波数帯域の抑圧定数R(f)を1以下の小さ
な値εに設定する。この抑圧定数R(f)は以下の(数1
1)式で与えられる。
【0036】
【数11】 (数11)式により、事前に音源に関する情報を用いる
ことなく、不要帯域の自動検出および除去が可能とな
り、従来の音源分離処理では困難であった周波数帯域成
分の回復が可能となる。
【0037】(数10)および(数11)はあくまでも
一例であり、本発明におけるコスト関数J(f)の計算方
法および抑圧定数R(f)に対する決定方法の全てを表し
たものではない。例えば、(数10)式では、移動平均
の代わりに非線形フィルタを用いる方法や、(数9)式
をそのまま用いる場合なども考えられる。また、(数1
1)式では、εの値を一意に決定するのではなく、平滑
されたコスト関数J(f)によって抽出された帯域を中
心周波数とする帯域阻止フィルタを用いて周波数間の不
連続現象を避けるなどの手法も考えられる。尚、本発明
において提案した帯域抑圧手法を以下ではSBE(SubB
and Elimination)と呼ぶことにする。
【0038】以下では、図3および図4を用いて、本発
明による手法を用いた装置の構成について説明する。図
3において、センサ群110_1乃至110_nおよび
検知手段120は、信号を受信して検知することに用い
られる。これは図4のセンサ群210_1乃至220_
n、フィルタ220および、A/D変換器230によっ
て実現できる。センサ群110_1乃至110_nある
いは210_1乃至210_nとしては、光、音、振
動、磁気変化、磁場変化、電気、電波のような波動信号
を検知し、電気信号に変換する機能を有するものを複数
個、空間的に異なる位置に配置して用いる。具体的に
は、光センサ、音センサ、マイクロホン、振動センサ、
磁気センサ、電気センサ、アンテナ等に代表される波動
を検知するセンサを単数、あるいは複数個用いる。フィ
ルタ220としては、上記センサ群から得られた電気信
号に含まれるノイズを除去することに用いられる。これ
は、其々のセンサによって検知された電気信号に対し、
信号源の特性ではありえない成分の信号だけを通過させ
ない帯域通過フィルタを用いればよく、従来から存在す
る電気的なフィルタ回路を用いることで実現できる。A
/D変換器230としては、信号源がもつ帯域の信号を
正確に離散化するために十分なサンプリング周波数をも
つ装置であれば良く、連続的な電気信号を離散的な情報
信号に変換できるA/D変換器回路などを用いることで
実現できる。
【0039】図3の帯域分割手段130では、検知され
た信号を直交変換系の関数を用いて、数学的に直交する
空間に変換する。具体的には、離散フーリェ変換、Z変
換、ラプラス変換等の周波数変換関数を用いればよく、
図4に示す演算装置240によって計算できる。演算装
置240は一般的なコンピュータのCPU、MPU、D
SP、FPGAなどの主演算回路および回路群と、周辺
回路である副演算回路、記憶回路を単数または複数個組
み合わせることで構成される。計算された帯域信号の情
報は図3の記憶手段190に記憶しておく。これは、図
4の記憶手段250に対応するものであり、具体的に
は、キャッシュメモリ、メインメモリ、ディスクメモ
リ、コンパクトディスク、フラッシュメモリ、DVD、
テープ、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディ
スク、MD、DATに代表される電気信号を記憶できる
装置および媒体を用いることで実現できる。
【0040】図3の信号識別手段140では、各帯域に
おいて、分離フィルタと識別レベルを計算し、分割され
た信号から目的の信号を抽出ための演算を行う。これは
図4の演算装置240および記憶装置250によって実
現できる。図3の一次減衰手段150および二次減衰手
段160は、入力された信号から目的の信号を抽出し、
不要な信号を減衰させる処理を行う。これは、図4の演
算装置240および記憶装置250によって実現でき
る。また、図3の修正手段170は、信号識別手段14
0において計算された識別レベルをもとに図3の二次減
衰手段160のパラメータを環境に応じて適応的に更新
するものである。これは、図4の演算装置240および
記憶装置250によって実現できる。
【0041】以下では図5を用いて、本発明を実施した
場合の音源分離処理の手順を説明する。センサによって
検知された観測信号(0bserved Signals;前記X
vec(f,t))は、図5のステップS100に示され
るように、ICAの処理によって目的の音源が分離され
る。具体的には、(数7)式で示したように、予め環境
に適応して求められた逆混合行列Wvec(f,t)によ
って音源に関する分離信号Yve (f,t)に変換され
る。このとき、分離信号Yvec(f,t)は(数7)式
で示したように信号源と同じ数だけの信号を要素として
いる。これらの処理は、請求項1の一次減衰過程に対応
している。この音源に関する分離信号Yvec(f,t)
は図5の乗算部M100に送られる。乗算部M100
は、請求項1の二次減衰過程に対応しており、この音源
に関する分離信号Yvec(f,t)に、後に説明する請
求項1の修正過程で計算された抑圧定数R(f)を乗ずる
ことで、最終的な分離信号を出力する。
【0042】図5のステップS110からステップS1
30までは,請求項1の二次減衰過程(図1の60)を
計算するための修正過程(図1の70)における処理の
手順を示している。ステップS110では、(数9)式
を用いて各周波数のコスト関数J(f)を計算する。更
に、ステップS120では(数10)式を用いて平滑化
したコスト関数J(f)を求める。最後に、コスト関数
に従って、ステップ130において抑圧定数R(f)を決
定する。以上述べたように、本発明の手法により、二次
減衰過程を環境に応じて動的かつ最適に決定することが
出来るようになる。さらに、空間的にも、時間的にも独
立性の高い信号を抽出するための二次減衰過程を与える
ことが出来るのみならず、周波数的に独立性の高い信号
を抽出するための二次減衰過程を与えることもすべて適
応的に出来るようになる。
【0043】以下では、本発明を適用した実施の一形態
について例を用いて説明する。図6は車室内に2本のマ
イクロホンMICを取り付け、運転者DRVの発話する
コマンドに応じて機器操作を行う、車室内音声認識によ
る機器操作に本発明を適用した例である。図6では、運
転者DRVによる機器操作命令のための目的音源S74
0となる音声発話と、車両のエンジンルームで発生し不
要音源S730となるエンジン音の2つの音源が存在
し、前記2つの音源のうち、運転者の発話音声だけを抽
出し、エンジン音は抑圧することを行う。図6のような
車室内環境下での機器操作において、運転者の基本操作
およびシステムの動作は以下の手順の流れで推移する。 手順1;音声認識装置S720を作動させ、認識語を待
ち受ける状態に設定する。これは運転者DRVが設定す
る。 手順2;信号入力装置71で雑音位置を推定し、一次減
衰フィルタのフィルタ係数を更新する。 手順3;機器操作のための音声コマンド、すなわち目的
音源S740を運転者DRVが発話する。 手順4;各マイクロホンMICが受音した信号は不要音
源成分も含むため、信号入力装置71で一次減衰フィル
タを用いて目的音源S740が抽出される。 手順5;各マイクロホンMICの入力信号からコスト関
数R(f)の値が低い周波数ビンを抽出し、この周波数ビ
ンの成分を減衰させる周波数成分減衰フィルタ(前記の
二次減衰フィルタ/図3の160)を設計する。この動
作は信号入力装置71で行なわれる。 手順6;信号入力装置71では、手順4で抽出された目
的音源S740に手順5で更新した二次減衰フィルタを
作用させ、目的音源S740が抽出困難な周波数成分を
減衰させる。 手順7;手順6で得られた信号を音声認識装置72に入
力し目的音源S720の音声認識を行う。 手順8;手順7で得られた音声認識結果の内容に対応す
る機器操作信号を発生し、音声認識装置72において機
器操作の命令を発生する。 以上の手順を経て、車室内で音源を分離する実験を行っ
た。車室内に2本のマイクロホン構成したマイクロホン
アレーMAを4cm間隔で配置し、運転席からの発話と
車室内雑音とが混在した信号の中から、運転席からの発
話を抽出したときの精度を、マイクロホンの雑音改善率
(Noise ReductionRate:以下NRRと記述)と、抽出し
た音声を音声認識に適用した場合の認識精度について計
算した。
【0044】始めに、運転席および助手席からマイクロ
ホンまでの車室内伝達特性を測定した。同様に、車室内
雑音(エンジンのアイドリング音(eng)、30km/h走行時
の走行雑音(r30)を個別に収録した。このときの測定
および収録条件は、サンプリング周波数16kHz、信
号精度16bitとし、全ての信号には5.5kHzの低
域通過フィルタによるフィルタリング処理を行ってい
る。次に、防音室で収録した音響的な伝達歪と環境雑音
が極めて少ない音声と、この車室内伝達特性に対し時間
領域で畳込み演算を行い、車室内運転席で発話された音
声を図7に示した2本のマイクロホンの位置で収音した
信号(driver)と、助手席で発話された音声を同じく図
7に示した2本のマイクロホンの位置で収音した信号
(assist)とを作成した。更に、運転席から発話された
雑音と他の車室内雑音が混在した音信号を作成するため
に、assist(driver+assist)、eng(driver+eng)、r3
0(driver+r30)の3種類の音信号を作成し、其々に本
発明を適用したときの改善性能を評価した。
【0045】実験1:前記3種類の音信号のNRRを計
算した。NRRは、出力側信号対雑音比(以下、出力S
NR)と入力側信号対雑音比出力SNR(以下、入力S
NR)との差すなわち(出力SNR−入力SNR)で計
算する。ただし、ここで信号対雑音比(SNR)はすべ
てdB表示しているものとする。以下、従来の方法を用
いた場合すなわちBSSを用いた場合と、本発明を適用
した場合(BSS+SBE)の前記3種類の音信号につ
いて運転席から発話された音声抽出処理を行った場合と
の比較を図8に示す。運転席からの発話と助手席からの
発話とが混在した信号(assist)は、BSSだけでも1
6dBもの雑音改善率(NRR)が得られている。しか
し、エンジン音(eng)や、走行雑音(r30)のように拡
散性の雑音に関してはBSSによるNRRが2dB未満
であるのに対し、本発明では16dB以上の改善がみら
れる。これらのことから、本発明では従来のBSSによ
る手法では改善し得なかった拡散性の雑音を、適応的
に、大幅に改善できることがわかる。
【0046】実験2:実験1で処理された分離信号を音
声認識装置の入力として用い、音声認識の認識精度が改
善していることを示す。始めに、運転者の発話として、
男女各23名による計200文の新聞記事読上げ音声に
対して、実験1と同じ手順で3種類の音信号を作成し
た。音声認識装置としては、音声認識エンジンJuli
us(「日本語ディクテーション基本ソフトウェア(9
9年度版)」音響学会誌、Vol.57,No.3,p
p.210−214,2001)を用い、音響モデルと
してクリーン環境で学習した性別依存不特定話者のPT
M(Phonetic Tied-Mixture)モデルを用意し、語彙数
は20000語とした。評価尺度は単語認識精度を用
い、予備実験として、雑音を加えない状態で認識実験を
行ったところ、81.1%であった(実験用システムの
最大単語認識精度)。本発明を適用後の音声認識率を図
9に示す。図9にはassist, eng, r30の信号について、
処理を行っていない信号(observed)、従来法を適用し
た信号(BSS)、本発明を適用した信号(r30)の場合
を示している。図9の結果からも判るように、いずれの
場合においても本発明は従来法を上回っており、音声認
識装置に適用しても効果が得られることが判る。
【0047】さらに、本発明を車室内で用いることによ
り従来法では為しえなかった2つの効果が得られる。
【0048】第1の効果は、車両の運転者の声質が運転
者によって異なることに起因する発話帯域の違いに、本
発明が対応できることが挙げられる。例えば、エンジン
がアイドリング中で、200Hz以下に中心周波数を持
つ音成分および200Hz以上に存在する前記中心周波
数の倍音成分が不要な雑音として存在する車室内音場環
境下で、運転者が音声を発生した場合を想定する。この
とき、女性話者のようにホルマント周波数が高い音声が
運転者の機器操作命令として発話された場合は、音声が
発生していない低い周波数帯域において、そもそも存在
するはずの2つの音源が一つしか存在せず、更に抽出し
た音声の成分が存在しないため、音声は抽出されずエン
ジン音による不要雑音も除去され難い。従来の方法で
は、このような帯域が含まれている場合、一次減衰フィ
ルタだけで抽出され再構成された音声は、SNRの低い
音声となってしまい、音声認識の精度も著しく低下す
る。このような、目的とする音源が存在しない周波数帯
域においては、前記のコスト関数R(f)の値は低くなる
ことが知られている。
【0049】一方、本発明では二次減衰フィルタ(図3
の160)が一次減衰フィルタ(図3の150)におい
てコスト関数R(f)の値が低くなる周波数の帯域を減衰
せしめる過程を有しているため、前記のような場合にお
いては、コスト関数R(f)が低くなる帯域の信号だけを
選択的に減衰させることができる。すなわち、前記2つ
の音源の周波数特性が著しく異なる場合でも、抽出でき
ない帯域を減衰させる最適な二次減衰フィルタを設計
し、この二次減衰フィルタを用いて目的の音声を抽出で
きない帯域の成分を減衰させることができる。本例と全
く同様な手法で、車両のエンジン回転数が上がり、エン
ジン音による雑音の主成分の帯域が高域にシフトしてい
った場合においても、同様の効果が得られる。
【0050】第2の効果は、上記の二次減衰フィルタを
設計するコストが著しく小さいことが挙げられる。図6
の環境を例にとり、本発明の設計にかかるコストについ
て説明する。図6の車室内環境下で音声認識を行うため
には、高いSNRで音声を収音することが必要となる。
本発明では、二次減衰フィルタを用いることで間題を解
決しているが、仮に、従来法で考え得るフィルタ設計で
は、以下の手順が考えられる。 準備1;考え得る音源の特性を予め分析する。 準備2;音源の特性のデータを保存する。 実行1;任意の環境下で発生する音源の組み合わせに対
し、適当なフィルタのデータを呼び出す(ユーザが選
択、またはユーザ情報を予め登録する必要有り)。 実行2;呼び出されたデータから、不要な雑音だけ存在
する帯域を検索する。 実行3;実行2で検索された帯域を除去するフィルタを
設計して所望の二次減衰フィルタとする。
【0051】従来の方法では、準備1において独立した
音源を分析する必要があり、分析したデータを保存しな
ければならない。このためには、事前に多くの車室内発
生音源を予測しておく必要があるが、この作業の実現は
困難である。仮に、実現できたとしても、一次減衰フィ
ルタで信号を抽出した後、不要な雑音だけ存在する帯域
を検索し、更に、検索された情報を基に二次減衰フィル
タを設計する必要がある。
【0052】一方、本発明では、一次減衰フィルタのフ
ィルタ作成に用いたコスト関数R(f)の値を基に、二次
減衰フィルタで減衰させる帯域を判定して二次減衰フィ
ルタを設計している。このため車室内環境が変化し、一
次減衰フィルタが更新された際に、その更新情報をその
まま用いて判定を行うことができる。すなわち、従来の
方法における、準備1、準備2および実行1、実行2の
ステップが必要なくなり、従来法で必要となった音源の
特性分析の結果を保存する手段も必要なくなる。このよ
うに、本発明を用いることにより、極めて低コストで二
次減衰フィルタを設計することが可能となる。
【0053】尚、上記実施の形態は、本発明による実施
の形態の一例を示したに過ぎず、本発明の適用範囲を限
定するものではない。
【0054】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、一
次減衰過程と二次減衰過程によって、一次減哀過程だけ
の手法と比較して高い精度で信号を抽出することがで
き、更に、二次減衰過程を環境に応じて動的かつ最適に
決定することができるようになる。さらに、幾何空間的
に独立性の高い信号を抽出し、時間的に独立性の高い信
号を抽出し、さらに周波数的に独立性の高い信号を抽出
することが出来るようにするための二次減衰過程を適応
的に与えることができるようになる。
【0055】さらに本発明によれば、極めて簡単な手法
で前記二次減衰過程を与えることができ、前記二次減衰
過程を修正する修正過程にかかる演算コストを少なくす
ることができる。更に、事前に二次減衰過程を調整する
必要も無いため、調整のためのコストも不要となる効果
も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における信号処理過程を示すフロー図。
【図2】本発明を適用した二次減衰フィルタのコスト関
数の周波数特性図。
【図3】本発明の装置構成を示すブロック図。
【図4】本発明による装置の入力部分を示すブロック
図。
【図5】本発明における信号分離処理のフロー図。
【図6】車室内音声認識実験に適用した場合のレイアウ
ト図。
【図7】音源分離実験における音源とマイクロホンアレ
ーの配置図。
【図8】音源分離実験によるNRR向上の比較図。
【図9】音源分離実験の効果を示す音声認識率の比較
図。
【図10】従来の音源分離法を説明するフロー図。
【符号の説明】
10_1〜10_n、110_1〜110_n、210_1〜210_n:センサアレ
ー 20:検知過程 30:帯域分割過程 40:信号識別過程 50:一次減衰過程 60:二次減衰過程 70:修正過程 71:信号入力装置 72:音声認識装置 120:検知手段 130:帯域分割手
段 140:信号識別手段 150:一次減衰手
段 160:二次減衰手段 170:修正手段 180:切替手段 190、250:記
憶手段 220:フィルタ 230:A/D変換
器 240:演算装置 DRV:運転者 M100:乗算器 MIC:マイクロホ
ン S100:ICAによる音源分離 S110:コスト関数J(f)の計算 S120:J(f)の平滑化 S130:抑圧定数R
(f)の計算 S730:不要音源 S740:目的音源 st−DFT:離散フーリエ変換
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 李 晃伸 奈良県生駒市高山町8916−5 奈良先端科 学技術大学院大学内 Fターム(参考) 2G064 AB13 CC03 CC13 CC45

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数のセンサによって検知できる複数の波
    動性信号が混在している中から、目的とする少なくとも
    一つの波動性信号を放出している信号源の信号を分離す
    る方法において、前記各センサによって信号を検知する
    検知過程と、前記各センサによって検知された検知信号
    を帯域分割する帯域分割過程と、前記帯域分割過程によ
    って分割された各帯域の複数のパラメータ値について、
    前記信号源と前記センサの空間的な位置の違いと、信号
    種の違いに起因する前記検知信号の時間的特徴および周
    波数的特徴を統計的に分析して、前記パラメータ値に対
    して同一信号源から入力された少なくとも一つの前記信
    号源の目的信号パラメータ値を識別するための識別レベ
    ルを計算し、前記識別レベルをもとに前記パラメータ値
    に対して同一信号源から入力された少なくとも一つの前
    記信号源の前記目的信号パラメータ値を識別する信号識
    別過程と、前記信号識別過程において、識別された同一
    信号源から入力された少なくとも一つの前記信号源の前
    記目的信号パラメータ値以外に識別された不要成分パラ
    メータ値を減衰させる一次減衰過程とを含む入力信号処
    理方法であって、前記信号識別過程において計算された
    識別レベルが予め定められたレベルに達していない前記
    帯域においては、前記パラメータ値を減衰させる二次減
    衰過程と、前記二次減衰過程において、前記複数の信号
    源の内容や位置が変化した場合には、前記二次減衰過程
    において減衰させる帯域を修正する修正過程とを有する
    ことを特徴とする入力信号処理方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の入力信号処理方法におい
    て、少なくとも2つ以上のセンサを用い、前記信号識別
    過程の前記パラメータ値に対して同一信号源から入力さ
    れた少なくとも一つの前記信号源の前記目的信号パラメ
    ータ値が、前記パラメータ値のうち不要信号となる不要
    信号パラメータ値より空間的に独立性が高い値となった
    場合に前記信号識別過程での前記識別レベルが高くなる
    ことを特徴とする入力信号処理方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の入力信号処理方法におい
    て、少なくとも2つ以上のセンサを用い、前記信号識別
    過程の前記パラメータ値に対して同一信号源から入力さ
    れた少なくとも一つの前記信号源の前記目的信号パラメ
    ータ値が、前記不要信号パラメータ値より時間的に独立
    性が高い場合に前記信号識別過程での前記識別レベルが
    高くなることを特徴とする入力信号処理方法。
  4. 【請求項4】請求項1記載の入力信号処理方法におい
    て、少なくとも2つ以上のセンサを用い、前記信号識別
    過程の前記パラメータ値に対して同一信号源から入力さ
    れた少なくとも一つの前記信号源の前記目的信号パラメ
    ータ値が、前記不要信号パラメータ値より周波数的に独
    立性が高い場合に前記信号識別過程での前記識別レベル
    が高くなることを特徴とする入力信号処理方法。
  5. 【請求項5】前記目的信号パラメータ値と前記不要信号
    パラメータ値のコサイン距離をコスト関数として定義
    し、前記コスト関数の値が低いときに独立性が高いとみ
    なして、前記信号識別過程での識別レベルが高くなるこ
    とを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載
    の入力信号処理方法。
  6. 【請求項6】複数のセンサによって検知できる複数の波
    動性信号が混在している中から、目的とする少なくとも
    一つの波動性信号を放出している信号源の信号を分離す
    る装置において、前記波動性信号を検知する複数のセン
    サ手段と、前記センサ手段により得られた電気信号を検
    知する検知手段と、前記検知手段により得られた検知信
    号を帯域分割する帯域分割手段と、前記帯域分割手段に
    よって分割された各帯域の複数のパラメータ値につい
    て、前記信号源と前記複数のセンサ手段の空間的な位置
    の違いと、信号種の違いに起因する前記検知信号の時間
    的特徴および周波数的特徴を統計的に分析して、前記パ
    ラメータ値に対して同一信号源から入力された少なくと
    も一つの前記信号源の目的信号パラメータ値を識別する
    ための識別レベルを計算し、前記識別レベルをもとに前
    記パラメータ値に対して同一信号源から入力された少な
    くとも一つの前記信号源の前記目的信号パラメータ値を
    識別する信号識別手段と、前記信号識別手段において、
    識別された前記同一信号源から入力された少なくとも一
    つの前記信号源の前記目的信号パラメータ値以外に識別
    された不要成分パラメータ値を減衰させる一次減衰手段
    と前記信号識別過程において計算された前記識別レベル
    が予め定められたレベルに達していない前記帯域におい
    ては、前記パラメータ値を減衰させる二次減衰手段と、
    前記複数の信号源の内容や位置が変化した場合には、前
    記二次減衰手段において減衰させる帯域を修正する修正
    手段と、前記識別レベル情報を記憶しておく記憶手段と
    を有することを特徴とする入力信号処理装置。
  7. 【請求項7】少なくとも2つ以上のセンサを有し、前記
    信号識別手段の前記パラメータ値に対して同一信号源か
    ら入力された少なくとも一つの前記信号源の前記目的信
    号パラメータ値が、前記不要信号パラメータ値より幾何
    空間的に独立性が高い場合に前記識別レベルが高くなる
    前記信号識別手段を有することを特徴とする請求項6に
    記載の入力信号処理装置。
  8. 【請求項8】少なくとも2つ以上のセンサを用い、前記
    信号識別手段の前記パラメータ値に対して同一信号源か
    ら入力された少なくとも一つの信号源の前記目的信号パ
    ラメータ値が、前記不要信号パラメータ値より時間的に
    独立性が高い場合に前記識別レベルが高くなる前記信号
    識別手段を有することを特徴とする請求項6に記載の入
    力信号処理装置。
  9. 【請求項9】少なくとも2つ以上のセンサを用い、前記
    信号識別手段の前記パラメータ値に対して前記同一信号
    源から入力された少なくとも一つの前記信号源の前記目
    的信号パラメータ値が、前記不要信号パラメータ値より
    周波数的に独立性が高い場合に前記識別レベルが高くな
    る前記信号識別手段を有することを特徴とする請求項6
    に記載の入力信号処理装置。
  10. 【請求項10】前記目的信号パラメータ値と前記不要信
    号パラメータ値のコサイン距離をコスト関数として定義
    し、前記コスト関数の値が低いときに独立性が高いとみ
    なして、前記識別レベルが高くなる前記信号識別手段を
    有することを特徴とする請求項7乃至請求項9の何れか
    に記載の入力信号処理装置。
  11. 【請求項11】前記二次減衰手段の減衰量、前記二次減
    衰手段を修正するための前記修正手段の修正量、前記修
    正手段の修正手順を切替える切替手段を有することを特
    徴とする請求項7に記載の入力信号処理装置。
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