JPH11148774A - 凍結乾燥製品製造用器具及び凍結乾燥製品の製造方法 - Google Patents

凍結乾燥製品製造用器具及び凍結乾燥製品の製造方法

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JPH11148774A
JPH11148774A JP31412697A JP31412697A JPH11148774A JP H11148774 A JPH11148774 A JP H11148774A JP 31412697 A JP31412697 A JP 31412697A JP 31412697 A JP31412697 A JP 31412697A JP H11148774 A JPH11148774 A JP H11148774A
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freeze
lid
dried
container
dried product
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JP31412697A
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Inventor
Tadashi Nakatani
正 中谷
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MOHAN YAKUHIN KENKYUSHO KK
Original Assignee
MOHAN YAKUHIN KENKYUSHO KK
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Publication date
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  • Drying Of Solid Materials (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】被乾燥物が細菌やほこり等に汚染されることが
なく凍結乾燥製品を製造することができる凍結乾燥製品
製造用器具を提供する。 【解決手段】凍結乾燥すべき被乾燥物Mrが収容された
容器v、・・・を収容するためのコンテナ本体2と、コ
ンテナ本体2に、開閉自在に設けられ、且つ、閉じた状
態では、コンテナ本体2との接合部を気密にすることが
できるようにされたれた蓋体3とを備え、蓋体3には、
空気流通孔h3が設けられ、且つ、空気流通孔h3に
は、無菌フィルター5が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、凍結乾燥製品製造
用器具及びこれを用いた凍結乾燥製品の製造方法に関
し、特に、被乾燥物が細菌やほこり等に汚染されること
がなく凍結乾燥製品を製造することができる凍結乾燥製
品製造用器具、及び、そのような凍結乾燥製品製造用器
具を用いた凍結乾燥製品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】凍結乾燥は、被乾燥物を凍結し、真空下
で水分又は溶剤を昇華させる方法であり、熱に対して不
安定な物質を分解させることなく乾燥できるという利点
から、例えば、血清、血漿、ワクチン、抗生物質、ビタ
ミン、酵素、ホルモン等の医薬品の乾燥の他、生化学的
検査薬、免疫学的検査薬、細菌学的検査薬等の臨床検査
薬の乾燥に幅広く利用されており、また、生体を生きた
まま保存できるという利点から、例えば、血液成分、細
菌、臓器等の乾燥に幅広く利用されている。
【0003】また、乾燥工程における、色彩、香気、養
分、形状等の変化が少なく、養分破壊がなく、多孔質と
なり復元性に優れているといった利点から、インスタン
ト食品、保存食品の製造等にも幅広く利用されている。
図24は、乾燥凍結製品を製造する際に、一般的に用い
られている、凍結乾燥装置の構成を概略的に示す構成図
である。
【0004】この凍結乾燥装置111は、乾燥庫11
2、乾燥庫112内に収容された被乾燥物から昇華され
る氷晶等をトラップするトラップ室113、真空装置1
14等を備えており、真空装置114を駆動すれば、乾
燥庫112内を所望の真空度にすることができるように
なっており、且つ、所望の真空度にされた乾燥庫112
は、凍結乾燥が終了した後、除菌フィルターを経由して
供給される窒素ガス(場合によっては、乾燥空気)によ
って、大気圧程度の所定圧に復圧されるようになってい
る。尚、119は、トラップ室113へつながる主管1
20と乾燥庫112とを必要に応じて仕切ったり、トラ
ップ室113の流路開度を調整するために設けられた主
弁を示している。
【0005】乾燥庫112には、扉115が、油圧シリ
ンダー等の開閉手段116によって、開閉自在に設けら
れており、また、乾燥庫112内には、バイアルv、・
・・等を載置する複数の台117、・・・が設けられて
いる。複数の台117、・・・の各々には、冷却手段
(図示せず)により所定の温度に冷却された冷媒が流通
循環するパイプ(図示せず)が内設されており、冷却手
段(図示せず)により、所定の温度に冷却した冷媒を、
複数の台117、・・・の各々に内設されたパイプ(図
示せず)に流通循環させると、乾燥庫112内を所定の
温度に冷却できるようになっている。
【0006】更に、乾燥庫112内には、油圧シリンダ
ー118が設けられており、油圧シリンダー118を下
げれば、乾燥庫112内に、半打栓の状態で収容された
バイアルv、・・・のゴム栓c、・・・の各々を全打栓
できるようになっている。以下、凍結乾燥製剤(注射
剤)バイアルを製造する場合を例にして、従来の凍結乾
燥製剤の製造方法を説明する。
【0007】図25は、従来の凍結乾燥工程を概略的に
示す工程図であり、又、図26は、従来の凍結乾燥装置
の使用方法を概略的に示す説明図である。従来は、ま
ず、図25(a)に示すように、無菌充填室内で、洗浄
乾燥滅菌されたバイアルv内に、被乾燥物(例えば、液
体)Mrを充填した後、洗浄乾燥滅菌されたゴム栓c
を、図25(b)に示すように、半打栓する。その後、
洗浄乾燥滅菌されたトレイ102aに、被乾燥物Mr、
・・・の各々が充填され、ゴム栓c、・・・の各々が半
打栓された、複数のバイアルv、・・・を載置し、次
に、図26(a)に示すように、凍結乾燥装置111
の、無菌化処理がされた乾燥庫112の扉115を開
け、乾燥庫112内に設けられている複数の台117、
・・・の各々の上に、被乾燥物Mr、・・・の各々が充
填され、ゴム栓c、・・・の各々が半打栓された、複数
のバイアルv、・・・を、順次、載置していく。
【0008】乾燥庫112内へのバイアルv、・・・の
収容作業終了後、扉115を閉じ、複数の台117、・
・・の各々に内設したパイプ(図示せず)に、冷却手段
(図示せず)により所定の温度(T1)に冷却した冷媒
を流して、複数の台117、・・・の各々を冷却するこ
とで、乾燥庫112内を冷却し、バイアルv、・・・の
各々に収容された被乾燥物Mrを予備凍結する(図25
(c)を参照)。
【0009】予備凍結が終了した後、主弁119を調整
し、真空装置114を駆動して、乾燥庫112内を所望
の真空度にする。そして、複数の台117、・・・の各
々に内設したパイプ(図示せず)に流す冷媒を所定の温
度(T2)に上昇させることで、バイアルv、・・・の
各々に充填された被乾燥物Mr、・・・を、一次乾燥し
た後、更に、2次乾燥を行って、バイアルv、・・・の
各々内に充填された被乾燥物Mr、・・・を目的の凍結
乾燥物Mf、・・・にする(以上については、図25
(d)〜図25(f)及び図26(b)を参照)。
【0010】その後、乾燥庫112内に、例えば、無菌
フィルターにより無菌化した乾燥空気(場合によって
は、窒素ガス)を流入し、乾燥庫112内を、大気圧程
度に復圧した後、油圧シリンダー118を下げて、バイ
アルv、・・・の各々に半打栓されているゴム栓cを全
打栓し、ゴム栓cが全打栓された凍結乾燥製剤(注射
剤)バイアルv、・・・を無菌室から外部へ搬出するよ
うにしている。また、場合によっては、バイアルv、・
・・の各々に充填された被乾燥物Mrを目的の凍結乾燥
物にした後、真空状態で、バイアルv、・・・の各々に
半打栓されてるゴム栓cを全打栓し、その後、乾燥庫1
12内に、例えば、無菌フィルターにより無菌化した窒
素ガス(場合によっては、乾燥空気)を流入し、乾燥庫
112内を、大気圧程度に復圧した後、ゴム栓cが全打
栓された凍結乾燥製剤(注射剤)バイアルv、・・・を
無菌室から外部へ搬出するようにしている(図25
(g)及び図26(c)を参照)。
【0011】また、アンプル剤を製造する際には、無菌
環境下において、開口部を有するアンプル容器(図示せ
ず)内に、被乾燥物(例えば、液体)を収容し、被乾燥
物(例えば、液体)が収容されたアンプル容器を、トレ
イに複数本配列し、その後、このトレイを凍結乾燥装置
の、無菌化処理がされた乾燥庫内に収容し、次いで、凍
結乾燥装置を駆動して、アンプル容器内に収容された被
乾燥物(例えば、液体)を、乾燥凍結させて、凍結乾燥
物とした後、無菌フィルターにより無菌化した乾燥空気
を流入し、乾燥庫内を、大気圧程度に復圧した後、乾燥
庫からトレイを取り出し、無菌充填室で、アンプル容器
の開口部を溶封し、アンプル容器の気密な中空部内に凍
結乾燥物を密閉し、アンプル剤を製造している。
【0012】また、近時、凍結乾燥製剤を注射器内に予
め収容した、注射容器入り凍結乾燥製剤も開発されてい
る。図27は、従来の注射容器入り凍結乾燥製剤を概略
的に示す断面図である。この注射容器入り凍結乾燥製剤
181は、図27(a)に示すように、注射器外筒18
2の注射針取付部182bに気密に取り付けられたキャ
ップ(ゴム栓)183と、注射器外筒182の所定の位
置に気密に取り付けられた栓体184と、キャップ(ゴ
ム栓)183、注射器外筒182及び栓体184により
形成される気密な中空部E内に薬剤(凍結乾燥物Mf)
が収容された構成となっている。
【0013】そして、使用の際には、図27(b)に示
したように、栓体184のネジ孔h184に注射器内筒
186を取り付けて、注射針取付部182bからキャッ
プ(ゴム栓)183を取り外し、注射針取付部182b
に、通常用いられる、注射針187を取り付け、注射針
187を溶解液が入ったバイアルに突き刺して、しかる
後に、注射器内筒186を後方(注射針取付部182b
と反対側)に引き、バイアル内の溶解液を注射器外筒1
82内に吸引し、注射器外筒182内に吸引した溶解液
により、注射器外筒182内に収容されている薬剤(凍
結乾燥物Mf)を溶解し、しかる後に、注射を行うもの
である。
【0014】このような注射容器入り凍結乾燥製剤18
1は、図25及び図26に示したバイアル入り凍結乾燥
製剤を製造する方法と同様の製造方法で製造されてい
る。即ち、図28に示すように、バイアルの代わりに、
注射針取付部182bに気密にキャップ(ゴム栓)18
3を取り付けた注射器外筒182を準備し(図28
(a)を参照)、次に、このようにして準備した注射器
外筒182をキャップ(ゴム栓)183が下になるよう
に縦にし、注射器外筒182とキャップ(ゴム栓)18
3とのより形成される空間E内に、被乾燥物(例えば、
液体)Mrを充填する(図28(b)を参照)。次い
で、図28(c)に示すように、被乾燥物(例えば、液
体)Mrを充填した注射器外筒182を洗浄乾燥滅菌さ
れたトレイ102aに載置し、以下、図26に示した方
法と同様にして、凍結乾燥装置111の乾燥庫112内
で、注射器外筒182内に充填した被乾燥物(例えば、
液体)Mrを凍結乾燥物Mfにし、その後、乾燥庫11
2内を大気圧に戻した後、凍結乾燥物Mfが収容された
注射器外筒182を乾燥庫112から取り出し、これ
を、無菌充填室へ運んで、無菌充填室内で、注射器外筒
182の所定の位置に栓体184を気密に取り付けて、
注射容器入り凍結乾燥製剤181を製造している。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】ところで、凍結乾燥製
品は、例えば、凍結乾燥製剤について説明すると、万
一、凍結乾燥製剤が、細菌等によって汚染されている
と、保存中に、凍結乾燥物が分解したり、使用時に、細
菌等によって、患者が発病するおそれがあるため、厳格
な無菌環境下で製造する必要がある。
【0016】また、フリーズドライ製品等のインスタン
ト食品や保存食品のような凍結乾燥製品も、万一、細菌
等によって汚染されていると、保存中に、香りや味が劣
下したり、場合によっては、食中毒といった重大な事態
を招くため、厳格な無菌環境下で製造する必要がある。
しかしながら、従来の凍結乾燥製剤の製造方法では、図
25〜図26に示したように、無菌充填室その他の凍結
乾燥製品を製造する際に使用する部屋(クリーンルー
ム)や、凍結乾燥装置111の乾燥庫112内、場合に
よっては、搬送路等が無菌状態に維持されていることを
前提としており、凍結乾燥工程において、被乾燥物Mr
内に含まれる水分を、バイアルv、注射器外筒82、ア
ンプル容器等の容器外へ排出する必要から、凍結乾燥作
業の開始から終了するまでの間、バイアルv、アンプル
容器、注射器外筒182等の容器内に収容された被乾燥
物Mrや凍結乾燥物Mfが、無菌充填室その他の凍結乾
燥製品を製造する際に使用する部屋(クリーンルー
ム)、凍結乾燥装置111の乾燥庫112内、場合によ
っては、搬送路等に直接露呈させている。
【0017】このため、無菌充填室その他の凍結乾燥製
品を製造する際に使用する部屋(クリーンルーム)、凍
結乾燥装置111の乾燥庫112内、場合によっては、
搬送路等の無菌処理や気密性が十分でなく、これらのい
ずれかの場所が、細菌等に汚染されていると、そのよう
な場所で、細菌等が、たやすく、バイアルv、アンプル
容器、注射器外筒182等の容器内へと侵入し、バイア
ルv、アンプル容器、注射器外筒182等の容器内の被
乾燥物Mr、・・・も、直ちに、汚染されてしまうとい
う問題がある。
【0018】凍結乾燥製剤には、その製造工程におい
て、かかる問題があるため、近時、凍結乾燥製剤が細菌
等によって汚染されるという事故を防ぐため、FDA
は、凍結乾燥製剤の製造方法に関し、無菌充填室その他
の凍結乾燥製品を製造する際に使用する部屋(クリーン
ルーム)、凍結乾燥装置111の乾燥庫112内、場合
によっては、搬送路等の無菌状態を保証するための基準
として厳しい基準を課している。
【0019】FDAの課している基準を、凍結乾燥装置
111が設置された無菌室を例にとって、具体的に、説
明すると、凍結乾燥装置111が設置された無菌室につ
いては、クラス100をクリアするようにするととも
に、層流状態に保持しなければならない、といった厳し
い基準を課している。また、凍結乾燥装置111の乾燥
庫112内は、高圧蒸気滅菌(オートクレープ滅菌)す
ることが義務付けられている。
【0020】しかしながら、例えば、凍結乾燥装置11
1が設置された無菌室のような広い場所を、常に、完全
に無菌状態に且つ完全に気密状態に維持し、更に、常
に、クラス100をクリアするようにするとともに、層
流状態に保持するのは、実際上、極めて困難であり、こ
れを仮に完全に行おうとすれば、莫大な経費がかかると
いう問題がある。
【0021】また、凍結乾燥装置111の乾燥庫112
内も、比較的容量が大きい上に、その内部には、図24
に示したように、複数の台117、・・・や、油圧シリ
ンダー118の他、冷媒を通すパイプ等の装置部材が配
設されているため、その内部が、非常に複雑な構造にな
っている。且つ、無菌フィルター(図示せず)が設けら
れているとは言え、乾燥庫112内は、外部と連通して
おり、これを、常に、完全に無菌状態に維持するのは極
めて難しい。更には、現時点で、稼働している凍結乾燥
装置111の多くは、必ずしも、高圧蒸気滅菌(オート
クレープ滅菌)に耐えられる構造になっておらず、直ち
に、FDAが課すような厳しい基準をクリアするのは、
極めて困難であるという問題がある。
【0022】このため、現状では、凍結乾燥装置111
が設置された無菌室や、凍結乾燥装置111の乾燥庫1
12内等を無菌処理した後に、いわゆる、メディアフィ
ル(培地充填)試験を行って、凍結乾燥装置111が設
置された無菌室や凍結乾燥装置111の乾燥庫112内
等の無菌状態を保証して、凍結乾燥製剤を製造するよう
にしている。
【0023】しかしながら、メディアフィル(培地充
填)試験では、試験用サンプルとして、3000本程度
が必要であり、手間と時間がかかるという問題がある。
また、この試験では、凍結乾燥装置111が設置された
無菌室や、凍結乾燥装置111の乾燥庫112内等が汚
染されていることが判っても、無菌室や、凍結乾燥装置
111の乾燥庫112内等のどこの場所において、気密
状態が破れているかは、判別できず、無菌室や、凍結乾
燥装置111の乾燥庫112のリークしている場所を見
つけだし、そのリークしている場所を修復しない限り、
乾燥凍結製剤を製造することができないという問題があ
る。
【0024】更にまた、メディアフィル(培地充填)試
験により無菌状態が保証されれば、FDAの基準をクリ
アしているとされているが、メディアフィル(培地充
填)試験は、乾燥凍結製剤を製造する度毎に行われるも
のではないため、メディアフィル(培地充填)試験を行
ってから次のメディアフィル(培地充填)試験を行うま
での間、厳密には、常に、無菌室や、凍結乾燥装置11
1の乾燥庫112内等の無菌状態が維持されているとい
う保証がない。
【0025】また、図27に示す、従来の注射容器入り
凍結乾燥製剤181では、上述したように、注射を行う
前に、注射針187を溶解液が入ったバイアルに突き刺
して、しかる後に、注射器内筒186を後方(注射針取
付部182bと反対側)に引き、バイアル内の溶解液を
注射器外筒182内に吸引し、注射器外筒182内に吸
引した溶解液により、注射器外筒182内に収容されて
いる薬剤(凍結乾燥物Mf)を溶解する必要があり、臨
床家等から、もっと簡単に使用できる、容器兼注射器型
の凍結乾燥製剤を開発して欲しい、との要望がある。
【0026】かかる臨床家等の要望に応える容器兼注射
器型の凍結乾燥製剤としては、例えば、図23に示すよ
うな容器兼注射器型の凍結乾燥製剤が考えられる。この
容器兼注射器型の凍結乾燥製剤81は、図23(a)に
示すように、注射器外筒82の途中の位置に、注射器外
筒82の周壁の一部に外方へ突出するように設けられた
細長い凸部82aと、注射針取付部82bに気密に取り
付けられたキャップ(ゴム栓)83と、注射器外筒82
の凸部82aの後部側の所定の位置に気密に取り付けら
れた第1の栓体84と、第1の栓体84の後部側の所定
の位置に気密に取り付けられた第2の栓体85とを備
え、キャップ(ゴム栓)83、注射器外筒82及び栓体
84により形成される気密な中空部E1内には、薬剤
(凍結乾燥物Mf)が収容され、且つ、第1の栓体8
4、注射器外筒82及び第2の栓体85により形成され
る気密な中空部E2内には、薬剤(凍結乾燥物Mf)を
溶解する溶解液Lが充填された構成となっている。
【0027】この注射容器入り凍結乾燥製剤81では、
使用の際には、図23(b)に示したように、第2の栓
体85のネジ孔h85に注射器内筒86を取り付けて、
注射針取付部82bからキャップ(ゴム栓)83を取り
外し、注射針取付部82bに、通常用いられる、注射針
87を取り付け、注射針取付部82bを上方に向け、そ
の後、注射器内筒86を注射針取付部82b方向に押し
て行く。注射器内筒86を注射針取付部82b方向に押
して行くと、これに伴い、第2の栓体85及び第1の栓
体84が注射針取付部82b方向に移動し、第1の栓体
84が凸部82の位置にくると、注射器外筒82と第1
の栓体84との気密性が壊れ、凸部82と第1の栓体8
4との隙間を通って、溶解液Lが、ゴム栓83、注射器
外筒82及び第1の栓体84内により形成される中空E
1内に入り、溶解液Lが、薬剤(凍結乾燥物Mf)に接
触するので、溶解液Lで薬剤(凍結乾燥物Mf)に溶か
した後、注射を行う。
【0028】このような容器兼注射器型の凍結乾燥製剤
81を製品化できれば、従来の注射容器入り凍結乾燥製
剤181のように、注射を行う前に、注射針187を溶
解液Lが入ったバイアルvに突き刺して、しかる後に、
注射器内筒186を後方(注射針取付部182bと反対
側)に引き、バイアルv内の溶解液Lを注射器外筒18
2内に吸引し、注射器外筒182内に吸引した溶解液L
により、注射器外筒182内に収容されている薬剤(凍
結乾燥物Mf)を溶解するという面倒な作業が不要とな
り、単に、注射器内筒86を第2の栓体85に取付け、
注射器内筒86を注射針取付部82b方向に押して行く
だけの作業で、溶解液Lで薬剤(凍結乾燥物Mf)を溶
かすことができるようになるので、臨床家等の要望に応
えることができる。
【0029】しかしながら、このような容器兼注射器型
の凍結乾燥製剤81を製造する際に、従来の凍結乾燥製
剤81を製造する方法と同様の方法を用いた場合には、
凍結乾燥工程において、注射器外筒82が、常に、外部
に露呈した状態になっているので、たとえ、凍結乾燥物
Mfは細菌等によって汚染されることなく注射器外筒8
2内に製造でき、無菌状態を保った状態で、注射器外筒
82の所定の位置に第1の栓体84を気密に取り付ける
ことができた場合であっても、注射器外筒82の第1の
栓体84の後部は、依然として、常に、外部に露呈して
いるため、注射器外筒82の所定の位置に第1の栓体8
4を気密に取り付けた後、万一、溶解液Lを注射器外筒
82に取り付けられた第1の栓体84の後段部に充填す
る作業に用いる部屋等が、細菌やほこりによって汚染さ
れていると、注射器外筒82に取り付けられた第1の栓
体84の後段部もたやすく、細菌やほこりによって汚染
されてしまうという問題がある。
【0030】凍結乾燥物Mfが収容された注射器外筒8
2の所定の位置に第1の栓体84を気密に取り付けた後
において、注射器外筒82の第1の栓体84の後段部の
無菌状態が保証されていない場合には、注射器外筒82
の第1の栓体84の後段部について、無菌処理を施す必
要があるが、キャップ(ゴム栓)83、注射器外筒82
及び第1の栓体84により形成される気密な空間E1内
に、既に、凍結乾燥物Mfが充填されていると、注射器
外筒82の第1の栓体84の後部の無菌処理に、高圧蒸
気滅菌(オートクレープ滅菌)を用いると、凍結乾燥物
Mfが熱変性を受ける虞れがあり、もはや、高圧蒸気滅
菌(オートクレープ滅菌)を用いることができないた
め、注射器外筒82の第1の栓体84の後部の無菌処理
が難しくなるという問題もある。
【0031】このような問題が原因して、容器兼注射器
型の凍結乾燥製剤81は、製造するのが難しく、製品化
できなかった。本発明は、以上のような問題を解決する
ためになされたものであって、少ない設備投資で、より
クリーンな環境を容易に作り出し、このクリーンな環境
下で、凍結乾燥製剤等の凍結乾燥製品を細菌やほこり等
に汚染されることなく製造することができ、且つ、凍結
乾燥装置の乾燥庫や、廊下等が、万一、細菌やほこり等
に汚染されたとしても、被乾燥物が、細菌やほこり等に
よって直ちに汚染されることがない、凍結乾燥製品製造
用容器及び凍結乾燥製剤の製造方法を提供することを目
的としている。
【0032】また、容器兼注射器型の凍結乾燥製剤を製
造する場合に、注射器外筒の、凍結乾燥物を収容するた
めに注射器外筒内の所定の位置に設けられる第1の栓体
の後部を、常に、無菌状態に維持することができる、凍
結乾燥製品製造用容器及び凍結乾燥製剤の製造方法を提
供することを目的としている。
【0033】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の凍結乾
燥製品製造用器具は、凍結乾燥すべき被乾燥物が収容さ
れた容器を収容するためのコンテナ本体と、コンテナ本
体に、開閉自在に設けられ、且つ、閉じた状態では、コ
ンテナ本体との接合部を気密にすることができるように
された蓋体とを備え、蓋体には、空気流通孔が設けら
れ、且つ、空気流通孔には、無菌フィルターが設けられ
ている。
【0034】ここで、「凍結乾燥すべき被乾燥物」は、
例えば、血清、血漿、ワクチン、抗生物質、ビタミン、
酵素、ホルモン等の医薬品の乾燥の他、生化学的検査
薬、免疫学的検査薬、細菌学的検査薬等の臨床検査薬、
血液成分、細菌、臓器等の生体成分の他、フリーズドラ
イ製品等のインスタント食品や保存食品の原材料を意味
する。
【0035】また、この発明で用いる「容器」は、種々
のものを用いることができ、特に、限定されることはな
いが、医薬品等の場合を例にすれば、バイアル、アンプ
ル、容器兼注射器等の容器を挙げることができ、食品等
の場合を例にすれば、アルミシート容器、ラミネート容
器、プラスチック容器等の食品包装用の種々の容器を挙
げることができる。
【0036】また、「コンテナ本体」の材料としては、
金属であっても、樹脂であってもよく、特に限定される
ことはないが、凍結乾燥過程の効率を考慮した場合に
は、熱伝導率に優れた材料、例えば、ステンレスが好ま
しい。また、細菌等の汚染防止のためには、コンテナ本
体は、ディスポーザブル式としてもよく、このようなこ
とを考慮すれば、材料として、ポリプロピレン等の樹脂
材料をその好ましい例として、挙げることができる。
【0037】「コンテナ本体」は、上部に開口部を有す
る容器であっても、側面に開口部を有する容器であって
もよく、更には、上部に開口部を有する容器にあって
は、底板と四周側面とが分離できるようになっていても
よい。また、蓋体の材料としては、閉じた状態では、コ
ンテナ本体との接合部を気密にすることができるもので
あれば、種々のものを用いることができ、金属であって
も、樹脂であってもよく、特に限定されることはない
が、凍結乾燥過程の効率を考慮した場合には、熱伝導率
に優れた材料、例えば、ステンレスが好ましい。
【0038】また、細菌等の汚染防止のためには、蓋体
は、ディスポーザブル式としてもよく、このようなこと
を考慮すれば、材料として、ポリプロピレン等の樹脂材
料をその好ましい例として挙げることができる。また、
蓋体を閉じた状態において、コンテナ本体との接合部を
気密にする機構としては、蓋体の接合面とコンテナ本体
の接合面との少なくとも一方に、シリコンゴム等の弾性
体を設けるようにしてもよく、蓋体の接合面と、コンテ
ナ本体の接合面とをともに鏡面加工するようにしてもよ
い。
【0039】「無菌フィルター」としては、細菌を捕捉
(トラップ)でき、且つ、ガスや水分(例えば、氷晶)
が流通できるエアー・ガスの濾過用フィルターであれ
ば、種々のものを使用でき、特に限定されることはない
が、例えば、無菌化に高圧蒸気滅菌操作を行う場合に
は、フィルター材として、130℃程度の温度に耐える
ことが保証されている、ポリテトラフロロエチレン(P
TFE)やビニリデンフロライド(PVDF)等で製せ
られ、孔径が、0.2μm以下の多孔質膜、より好まし
くは、0.2μmの多孔質膜を用いる。
【0040】尚、多孔質膜の孔の孔径の上限は、細菌が
通過できない大きさ以下であれば特に制限を受けること
はないが、多孔質膜の孔の孔径の下限は、乾燥凍結工程
の作業性を考慮して、しいて挙げれば、0.1μm以上
である。また、無菌フィルターは、繰り返し洗浄無菌化
して何回でも用いるようにしてもよく、細菌等の汚染防
止を考慮した場合には、1回あるいは数回の使用後は捨
てるようにしたディスポーザブル型のものであってもよ
い。そのようなディスポーザブル型無菌フィルターとし
ては、上記したようなポリビニリデンフロライド(PT
FE)等で製せられ、孔径が、0.2μm以下の多孔質
膜を、ポリプロピレン製等のハウジング内に収容し、ハ
ウジングを蓋体に気密に着脱可能に取り付けれるように
し、使用後は、使用済み無菌フィルターをハウジングご
と、蓋体の空気流通孔から、簡単に、取り外して廃棄で
き、蓋体の空気流通孔に、新たな多孔質膜が収容された
ハウジングごと、簡単に、取り付けれるようにしたもの
をその好ましい例として挙げることができる。
【0041】この凍結乾燥製品製造用器具では、蓋体の
空気流通孔に無菌フィルターを設け、蓋体を閉じた状態
では、この無菌フィルターを介してのみ、凍結乾燥製品
製造用器具の内外で空気の流通ができるようになってい
る。したがって、この凍結乾燥製品製造用器具を用い
て、無菌状態が完全に保証された無菌充填室内で、コン
テナ本体内に、被乾燥物が無菌充填された容器を収容
し、無菌フィルターが付属した蓋体で蓋をして、凍結乾
燥装置の乾燥庫内に収容し、乾燥庫内を真空にすれば、
凍結乾燥製品製造用器具内の空気も無菌フィルターを介
して、凍結乾燥製品製造用器具外へと吸引され、凍結乾
燥製品製造用器具内も所定の真空度になり、且つ、乾燥
庫を冷却すれば、凍結乾燥製品製造用器具内に収容され
た被乾燥物に含まれる水分を凍結乾燥製品製造用器具の
蓋体を閉めた状態で、凍結乾燥製品製造用器具外へと排
出して、被乾燥物を凍結乾燥させることができる。しか
も、凍結乾燥装置の乾燥庫内を大気圧に戻すと、無菌フ
ィルターを介して、凍結乾燥製品製造用器具内も大気圧
に戻るので、一旦、無菌室内で、コンテナ本体内に、被
乾燥物が収容された容器を収容し、蓋体を用いて蓋をす
れば、その後は、蓋体を開くことなく、被乾燥物を凍結
乾燥物にすることができる。このため、たとえ、凍結乾
燥装置が設置された無菌室と無菌充填室との間をつなぐ
通路や、凍結乾燥装置の乾燥庫が、万一、細菌やほこり
等によって汚染されるといった事態が生じても、凍結乾
燥製品製造用器具内が細菌やほこり等によって汚染され
ない。
【0042】請求項2に記載の凍結乾燥製品製造用器具
は、請求項1に記載の凍結乾燥製品製造用器具の、コン
テナ本体が、一側面に開口部を有するケース体と、ケー
ス体に出し入れ可能に設けられるトレイとを備え、蓋体
が、ケース体に設けられた開口部に取り付けられるよう
になっている。この凍結乾燥製品製造用器具では、無菌
フィルターをケース体の開口部に設けているので、開口
部が側面を向くようにすれば、凍結乾燥製品製造用器具
を上方向に容易に積み上げることができる。また、トレ
イとして従来から用いられているトレイをそのまま使用
できる。
【0043】請求項3に記載の凍結乾燥製品製造用器具
は、モジュール化された無菌フィルターを使用した凍結
乾燥製品製造用器具を提案するものであって、請求項1
又は請求項2に記載の凍結乾燥製品製造用器具の蓋体に
設けられた空気流通孔に、蓋体の外側へ突設するように
無菌フィルター取付手段を更に備え、無菌フィルター取
付手段は、空気流通孔に気密に取り付けられる空気流通
配管と、空気流通配管の先端部に気密に取り付けられ、
且つ、空気流通配管の外方に形成された鍔体とを備え、
無菌フィルターは、その上面に開口部を有し、その底面
には、底面から突設するように設けられ、空気流通配管
の内周に気密に取り付けられるようにされた外周を有す
る管を備え、且つ、その底面が、前記鍔体に気密に取り
付けられるようになっているハウジング内に収容されて
おり、ハウジングの管を空気流通配管に差し込んで気密
に取り付け、且つ、ハウジングの底面を鍔体に気密に取
り付けるようにした。
【0044】この凍結乾燥製品製造用器具では、ハウジ
ング内に収容された無菌フィルターを使用しているの
で、空気流通孔へ無菌フィルターを容易に取り付けるこ
とができる。しかも、蓋体に、蓋体の外側へ突設するよ
うに設けられ、空気流通孔に気密に取り付けられる空気
流通配管と、空気流通配管の先端部に気密に取り付けら
れ、且つ、空気流通配管の外方に形成された鍔体とを備
える無菌フィルター取付手段を取り付け、無菌フィルタ
ーを収容するハウジングとして、上面に開口部を有し、
底面には、底面から突設するように設けられ、空気流通
配管の内周に気密に取り付けられるようにされた外周を
有する管とを備え、且つ、底面が、鍔体に気密に取り付
けられるようになっているハウジングを用いているの
で、無菌フィルターを収容されたハウジングを無菌フィ
ルター取付手段に、ハウジングの管を空気流通配管に差
し込んで気密に取り付け、且つ、ハウジングの底面を鍔
体に気密に取り付けるようにすると、蓋体により蓋がさ
れた凍結乾燥製品製造用器具の器具内外のエアーや水分
の流通は、無菌フィルターを介して、スムーズに行える
のに対し、ハウジングと無菌フィルター取付手段との接
合は、ハウジングの底面と無菌フィルター取付手段の鍔
体との接触面、及び、ハウジングの底面から突設するよ
うに設けられた管と無菌フィルター取付手段の空気流通
配管との接触面とにより、気密になされているので、ハ
ウジングの底面と無菌フィルター取付手段の鍔体との接
触面の気密性が壊れ、且つ、ハウジングの底面から突設
するように設けられた管と無菌フィルター取付手段の空
気流通配管との接触面の気密性が壊れない限り、ハウジ
ングと無菌フィルター取付手段との接合部から、細菌や
ほこり等の流通は有り得ない。
【0045】尚、蓋体に設ける無菌フィルター取付手段
は、蓋体に気密に取り付けられる限り、蓋体と別体に設
けてもよく、また、蓋体と一体成形してもよい。また、
無菌フィルター取付手段の鍔体は、空気流通配管と鍔体
との接合部が気密になっていればよく、空気流通配管と
別体に設けてもよく、また、空気流通配管と一体成形し
てもよい。
【0046】また、無菌フィルター取付手段は、金属製
であっても、樹脂製であってもよく、特に限定されるこ
とはないが、例えば、ステンレスが好ましい。また、細
菌等の汚染防止のためには、蓋体は、ディスポーザブル
式としてもよく、このようなことを考慮すれば、材料と
して、ポリプロピレン等の樹脂材料をその好ましい例と
して挙げることができる。
【0047】請求項4に記載の凍結乾燥製品製造用器具
は、請求項3に記載の凍結乾燥製品製造用器具の、ハウ
ジングの上面に設けられた開口部に、開口部を取り囲む
ように起立した周壁を更に設けている。この凍結乾燥製
品製造用器具では、ハウジングの上面に設けられた開口
部に、開口部を取り囲むように起立した周壁を更に設
け、無菌フィルターに何等かが接触することが防止され
るようにしたので、無菌フィルターが破壊され難い。
【0048】請求項5に記載の凍結乾燥製品製造用器具
は、請求項1又は請求項2に記載の凍結乾燥製品製造用
器具の、蓋体に設けられた空気流通孔に、蓋体の外側へ
突設するように無菌フィルター取付手段を更に設け、無
菌フィルター取付手段は、空気流通孔に気密に取り付け
られる空気流通配管と、空気流通配管の先端部に気密に
取り付けられ、且つ、空気流通配管の外方に形成された
鍔体とを備え、無菌フィルターを無菌フィルター取付手
段の鍔体の上に載置し、更に、無菌フィルターが載置さ
れた無菌フィルター取付手段の鍔体の上に、無菌フィル
ター取付手段の鍔体と気密に接合可能な鍔体を有し、且
つ、その上面には、開口部を有する蓋体を、無菌フィル
ター取付手段の鍔体と前記蓋体の鍔体とを気密に取り付
けるようにした。
【0049】ここで、無菌フィルター取付手段の鍔体と
蓋体の鍔体とを気密に取り付ける方法としては、種々の
方法を用いることができるが、例えば、無菌フィルター
取付手段の鍔体の表面と、蓋体の鍔体の表面とを、各
々、フェルール面とし、無菌フィルター取付手段の鍔体
の表面と、蓋体の鍔体の表面とを、ガスケット(パッキ
ン)を挟んで、クランプ等の連結手段で接合するフェル
ール接合を、その好ましい具体例として挙げることがで
きる。
【0050】この凍結乾燥製品製造用器具では、無菌フ
ィルター取付手段の鍔体に無菌フィルターを載置し、更
に、無菌フィルターが載置された無菌フィルター取付手
段の鍔体の上に、無菌フィルター取付手段の鍔体と気密
に接合可能な鍔体を有し、且つ、その上面には、開口部
を有する蓋体を、無菌フィルター取付手段の鍔体と前記
蓋体の鍔体とを気密に取り付けるようにしているので、
空気流通孔へ無菌フィルターを容易に取り付けることが
できる。
【0051】請求項6に記載の凍結乾燥製品製造用器具
は、請求項5に記載の凍結乾燥製品製造用器具の、蓋体
の上面の開口部に、開口部を取り囲むように起立した周
壁を更に設けている。この凍結乾燥製品製造用器具で
は、蓋体の上面に設けられた開口部に、開口部を取り囲
むように起立した周壁を更に設け、無菌フィルターに何
等かが接触することが防止されるようにしたので、無菌
フィルターが破壊され難い。
【0052】請求項7に記載の凍結乾燥製品製造用器具
は、被乾燥物が収容され、且つ、ゴム栓が半打栓状態で
取り付けられた容器を収容された凍結乾燥製品製造用器
具を、蓋体を開くことなく、凍結乾燥装置の乾燥庫内に
おいて、凍結乾燥製品製造用器具内に収容され、容器内
には、凍結乾燥物が形成され、ゴム栓が半打栓状態で取
り付けられた容器のゴム栓を全打栓できるようにした凍
結乾燥製品製造用器具を提案するもので、請求項1〜6
のいずれかに記載の凍結乾燥製品製造用器具の、蓋体
に、凍結乾燥装置の乾燥庫内に上下方向に移動自在に設
けられた油圧シリンダーが差し込まれる油圧シリンダー
挿通孔を設け、蓋体内部に、油圧シリンダー挿通孔を密
閉するとともに、油圧シリンダーが油圧シリンダー挿通
孔から蓋体内に差し込まれるにつれ、それに伴って、下
方向に伸び、油圧シリンダーが油圧シリンダー挿通孔か
ら前記蓋体外へ出るにつれ、それに伴って、上方向に縮
む伸縮自在な伸縮部材を設け、伸縮部材の下端に、コン
テナ本体内に半打栓状態で収容される容器のゴム栓を全
打栓するための板体を設けた。
【0053】この凍結乾燥製品製造用器具を用いれば、
蓋体を開くことなく、凍結乾燥製品製造用器具内に収容
された状態のままで、凍結乾燥装置の乾燥庫内におい
て、凍結乾燥製品製造用器具内に収容された容器内に
は、凍結乾燥物が形成されるので、より一層、細菌等に
汚染されていることのない凍結乾燥製品を製造できる。
また、凍結乾燥装置の乾燥庫内において、容器に半打栓
状態で取り付けられたゴム栓を全打栓できるので、特
に、凍結乾燥装置の乾燥庫内に窒素ガスを流入したり、
真空状態を保ったまま、容器に半打栓状態で取り付けら
れたゴム栓を全打栓することで、乾燥凍結物を長期に保
存するために、容器内を窒素ガス又は真空状態に保つ必
要がある乾燥凍結製品を容易に製造することができる。
【0054】請求項8に記載の凍結乾燥製品の製造方法
は、本発明に係る凍結乾燥製品製造用器具を用いた凍結
乾燥製品の製造方法の一例を提案するもので、無菌環境
下において、容器内に凍結乾燥する被乾燥物を収容し、
被乾燥物が収容された容器をコンテナ本体に収容し、コ
ンテナ本体を無菌フィルターが設けられた空気流通孔を
有する蓋体により、コンテナ本体と蓋体との接合部を気
密に密閉する工程と、蓋体により蓋をされたコンテナ本
体を凍結乾燥装置の乾燥庫内に収容した後、乾燥庫内を
冷却するとともに、減圧することにより、蓋体により蓋
をされたコンテナ本体内に収容された容器内の被乾燥物
に含まれる水分を蓋体の空気流通孔に設けられた無菌フ
ィルタを介して排出し、蓋体により蓋をされたコンテナ
本体内に収容された容器内に収容された被乾燥物を凍結
乾燥物にする凍結乾燥工程とを備える。
【0055】この製造方法では、無菌環境下において、
容器内に凍結乾燥する被乾燥物を収容し、被乾燥物が収
容された容器をコンテナ本体に収容し、コンテナ本体を
無菌フィルターが設けられた空気流通孔を有する蓋体に
より、コンテナ本体と蓋体との接合部を気密に密閉すれ
ば、後は、蓋体を開くことなく、被乾燥物を凍結乾燥物
にできるので、万一、凍結乾燥装置が設置された無菌室
や、凍結乾燥装置の乾燥庫内が、細菌やほこり等によっ
て汚染されるといった事態が生じても、そのような細菌
やほこり等は、無菌フィルターによって捕捉(トラッ
プ)されるので、コンテナ本体には、そのような細菌や
ほこり等が侵入することはない。これにより、細菌やほ
こり等によって汚染されることなく、凍結乾燥物を製造
することができる。
【0056】また、この凍結乾燥製品の製造方法は、新
たに、凍結乾燥製品製造用器具を作製するだけで良いの
で、例えば、FDAの厳格な基準を満たすために、新た
な凍結乾燥装置を購入したり、新たな厳格な無菌室を建
設するといったような設備投資をする場合に比べ、設備
投資を小さく抑えることができる。且つ、厳格な無菌管
理は、凍結乾燥製品製造用器具の蓋体を開いた状態にす
る場所、具体的には、無菌充填室だけで十分であるの
で、凍結乾燥工程の無菌管理が容易となる。
【0057】請求項9に記載の凍結乾燥製品の製造方法
は、凍結乾燥工程の後に、更に、蓋体により蓋をされた
コンテナ本体の外側を無菌にした後、外側を無菌にさ
れ、蓋体により蓋をされたコンテナ本体の前記蓋体を無
菌環境下において取り外し、コンテナ本体内に収容さ
れ、凍結乾燥物が収容された容器を施栓する工程を備え
る。
【0058】この凍結乾燥製品の製造方法では、凍結乾
燥工程の後に、更に、蓋体により蓋をされたコンテナ本
体の外側を無菌にした後、外側を無菌にされ、蓋体によ
り蓋をされたコンテナ本体の蓋体を無菌環境下において
取り外すようにしているので、蓋体により蓋をされたコ
ンテナ本体を無菌環境下、即ち、無菌充填室等に搬入す
る際に、無菌充填室等が汚染されない。
【0059】請求項10に記載の凍結乾燥製品の製造方
法は、特に、容器兼注射器型の凍結乾燥製品を製造する
のに適した凍結乾燥製品の製造方法を提案するもので、
無菌環境下において、先端部に注射針取付部を有する注
射器外筒の注射針取付部に、キャップを気密に取り付
け、注射針取付部に気密にキャップを取付けた注射器外
筒を注射針取付部が下方になるように縦にして、注射器
外筒内に、凍結乾燥する被乾燥物を収容し、注射針取付
部に気密にキャップが取付けられ、且つ、被乾燥物が収
容された注射器外筒を注射針取付部が下方になるように
縦にして、コンテナ本体に収容し、コンテナ本体を無菌
フィルターが設けられた空気流通孔を有する蓋体によ
り、コンテナ本体と蓋体との接合部を気密に密閉する工
程と、蓋体により蓋をされたコンテナ本体を凍結乾燥装
置の乾燥庫内に収容した後、乾燥庫内を冷却するととも
に、減圧することにより、蓋体により蓋をされたコンテ
ナ本体内に収容された、注射針取付部に気密にキャップ
を取付けた注射器外筒内の被乾燥物に含まれる水分を蓋
体の空気流通孔に設けられた無菌フィルターを介して排
出し、蓋体により蓋をされたコンテナ本体内に収容され
た容器内に収容された被乾燥物を凍結乾燥物にする凍結
乾燥工程と、無菌環境下において、注射針取付部に気密
にキャップが取付けられ、且つ、凍結乾燥物が収容され
た注射器外筒の所定の位置に、第1の栓体を気密に取り
付け、注射器外筒内の凍結乾燥物を、キャップ、注射器
外筒及び第1の栓体により形成される気密な空間内に密
閉する工程と、キャップ、注射器外筒及び前記第1の栓
体により形成される気密な空間内に凍結乾燥物が密閉さ
れた注射器外筒の第1の栓体の後部に、凍結乾燥物を溶
解する溶解液を収容し、注射器外筒の所定の位置に前記
注射器外筒に収容された溶解液を密閉するように、第2
の栓体を取り付ける工程とを備える。
【0060】この凍結乾燥製品製造用器具内に収容する
被乾燥物が収容された容器として、先端部に注射針取付
部を有する注射器外筒を用い、注射針取付部をキャップ
で気密に蓋をし、キャップで気密に蓋がされた注射器外
筒内に被乾燥物を収容し、この注射器外筒をコンテナ本
体内に収容し、コンテナ本体を無菌フィルターが設けら
れた空気流通孔を有する蓋体で蓋をし、その後、この蓋
体を開けることなく、被乾燥物を所望の凍結乾燥物にし
ている。したがって、厳格なクリーンな環境で、蓋体を
開けるようにすれば、注射器外筒が細菌等によって汚染
されることがないので、注射器外筒の所定の位置に第1
の栓体を気密に取り付けた後、注射器外筒の第1の栓体
の後部を高圧蒸気滅菌等の無菌化処理をすることなく、
注射器外筒の第1の栓体の後部に溶解液を収容すること
ができる。
【0061】請求項11に記載の凍結乾燥製品の製造方
法は、請求項10に記載の凍結乾燥製品の製造方法の、
凍結乾燥工程の後に、更に、蓋体により蓋をされたコン
テナ本体の外側を無菌にしてから、外側を無菌状態にし
た蓋体により蓋をされたコンテナ本体を前記無菌環境下
に搬入する工程を備える。この凍結乾燥製品の製造方法
では、凍結乾燥工程の後に、更に、蓋体により蓋をされ
たコンテナ本体の外側を無菌にしてから、外側を無菌状
態にした蓋体により蓋をされたコンテナ本体を無菌環境
下、即ち、無菌充填室等に搬入するようにしているの
で、蓋体により蓋をされたコンテナ本体を無菌充填室等
に搬入する際に、無菌充填室等が汚染されない。
【0062】請求項12に記載の凍結乾燥製品の製造方
法は、請求項8〜11のいずれかに記載の凍結乾燥製品
の製造方法において、凍結乾燥製品を製造する度毎に、
凍結乾燥製品を製造するのに使用した凍結乾燥製品製造
用器具の無菌フィルターの機能検査をするようにした。
この凍結乾燥製品の製造方法では、凍結乾燥製品を製造
する度毎に、凍結乾燥製品を製造するのに使用した凍結
乾燥製品製造用器具の無菌フィルターの機能検査をする
ようにしているので、凍結乾燥製品を製造した凍結乾燥
製品製造用器具内の無菌性が保証される。これにより、
凍結乾燥製品製造用器具内で製造された凍結乾燥製品の
無菌性も保証されるので、従来の凍結乾燥製品の製造方
法に比べ、更に一層、無菌性が保証された凍結乾燥製品
の市場への供給が可能となる。
【0063】尚、上記した請求項8又は請求項10に記
載の凍結乾燥製品の製造方法において、凍結乾燥製品製
造用器具の蓋体を開いた状態にする場所、例えば、無菌
充填室を、より無菌状態に維持するためには、無菌環境
下において、被乾燥物が収容された容器を、コンテナ本
体に収容し、コンテナ本体を無菌フィルターが設けられ
た空気流通孔を有する蓋体により、コンテナ本体と蓋体
との接合部を気密に密閉する工程が終了後、更に、無菌
環境下において、可搬コンテナ内に、無菌フィルターが
設けられた空気流通孔を有する蓋体により、コンテナ本
体と蓋体との接合部が気密に密閉された凍結乾燥製品製
造用器具を更に可搬用ンテナ本体内に収容し、その後、
可搬コンテナの開口部を、気密に、且つ、可搬コンテナ
と面一になるように設けられた可搬コンテナ用蓋体で蓋
をし、可搬コンテナ用蓋体で気密に蓋がされ可搬用コン
テナを、凍結乾燥装置が設けられた無菌室の搬入口まで
搬送し、無菌室の搬入口にコンテナ本体を気密に取付
け、無菌室の搬入口に、気密に、面一に取り付けられ、
且つ、可搬コンテナ用蓋体と同じ大きさ同じ形状の搬入
口用蓋体と、可搬コンテナ用蓋体とを当接し、可搬コン
テナ用蓋体との当接を維持するようにして、搬入口用蓋
体を可搬コンテナ用蓋体とともに、無菌室の搬入口から
取り外し、可搬コンテナ本体内に収容された、無菌フィ
ルターが設けられた空気流通孔を有する蓋体により、コ
ンテナ本体と蓋体との接合部を気密に密閉蓋体により蓋
をされた凍結乾燥製品製造用器具を無菌充填室に搬入す
るようにすればよい。
【0064】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発
明について更に詳しく説明する。 (発明の実施の形態1)発明の実施の形態1では、無菌
充填室内で、本発明に係る凍結乾燥製品製造用器具内
に、被乾燥物が充填された複数のバイアルを収容した
後、凍結乾燥製品製造用器具の蓋をした状態のまま、凍
結乾燥装置の乾燥庫内に収容し、乾燥庫内で、凍結乾燥
製品製造用器具内に収容された複数のバイアルの各々に
充填された被乾燥物を所望の凍結乾燥物にし、その後、
乾燥庫から、凍結乾燥製品製造用器具を取り出して、最
後の工程で、凍結乾燥製品製造用器具の蓋を外し、所望
の凍結乾燥物が収容されたバイアルの各々にゴム栓を全
打栓するようにした、凍結乾燥製剤の製造方法について
説明する。
【0065】図1は、このような製造方法に好適に用い
ることのできる、本発明に係る凍結乾燥製品製造用器具
の一例を概略的に示す分解斜視図である。この凍結乾燥
製品製造用器具1は、コンテナ本体2と、コンテナ本体
2に開閉自在に設けられ、且つ、閉じた状態では、コン
テナ本体2との接合部を気密にすることができるように
されたれた蓋体3とを備える。
【0066】この器具1では、コンテナ本体2は、底板
2aと、底板2aから起立するように設けられた四周側
面2b、2c、2d、2eを有している。また、このコ
ンテナ本体2を構成する、四周側面2b、2c、2d、
2e中、3側面2c、2d、2eは、底板2aに一体成
形されており、底板2aからコ字形状に起立した形状と
なっている。
【0067】そして、残りの一枚の側面2bが、他の3
側面2c、2d、2eに対して、着脱自在に設けられて
いる。より具体的に説明すると、四周側面2b、2c、
2d、2e中、対向配置された一対の側面2c、2eの
各々には、一端部から所定距離離れた位置に、溝2f、
2fが互いに対向する位置に設けられ、溝2f、2fの
各々に、側面2bを挿入すると、四周側面2b、2c、
2d、2eが形成され、側面2bを溝2f、2fから上
方へ引き抜けば、容易に、側面2bを、他の3面2c、
2d、2eから分離できるようになっている。
【0068】また、コンテナ本体2の底板2aは、蓋体
3の肉厚分だけ四周側面2b、2c、2d、2eの各々
から、外方にはみ出すように設けられ、底板2aのはみ
出し部分(四周枠部)P2aの上面2sが、蓋体3との
接合面を構成している。そして、はみ出し部分(四周枠
部)P2aの上面2sは、鏡面加工されており、蓋体3
との接合時の気密性を完全にするようにされている。
【0069】更に、底板2aの対向する一対の側面に
は、逆J字形状の係止片2pが設けられている。コンテ
ナ本体2の材料としては、金属であっても、樹脂であっ
てもよいが、この例では、乾燥凍結工程における作業性
を考慮して、熱伝導性率に優れた金属、より特定的に
は、ステンレスを用いている。
【0070】一方、蓋体3は、その内周面が、コンテナ
本体2の四周側面2b、2c、2d、2eの外周面より
幾分大きめに形成されており、且つ、蓋体3の下端面3
sが、コンテナ本体2の底板2aのはみ出し部分(四周
枠部)P2aの上面2sとの接合面を形成しており、且
つ、この下端面3sは鏡面加工されており、底板2aと
の接合時の気密性を完全にするようにされている。
【0071】蓋体3の上面には、空気流通孔h3が設け
られており、この空気流通孔h3には、無菌フィルター
(図2に示す無菌フィルター5)が取り付けられるよう
になっている。より詳しく説明すると、この蓋体3に
は、蓋体3の上面に設けられた空気流通孔h3に、蓋体
3の外側へ突設するように無菌フィルター取付手段4が
更に設けられている。
【0072】無菌フィルター取付手段4は、空気流通孔
h3に気密に取り付けられる空気流通配管4aと、空気
流通配管4aの先端部に気密に取り付けられ、且つ、空
気流通配管4aの外方に形成された鍔体4bとを備え
る。また、蓋体3の側面には、コンテナ本体2の底板2
aに設けられた係止片2p、・・・に対向する位置にバ
ックル等の係止手段3pが設けられており、係止手段3
pを、一旦、解除して、係止手段3pの先端に取着され
たリング体(図示せず)を係止片2pに引っかけて、係
止手段3pを締結すれば、蓋体3の下端面3sと底板2
aの上面2sとが気密に密着して、蓋体3をコンテナ本
体2に閉じた状態に維持できるようにしてある。
【0073】また、この例では、無菌フィルター5とし
て、ハウジング6内に収容されたもの(いわゆる、モジ
ュール型の無菌フィルター)を用いており、ハウジング
6を、蓋体3の無菌フィルター取付手段4に気密に取り
付けることで、空気流通孔h3に、無菌フィルター(図
2に示す無菌フィルター5)が取り付けられるようにな
っている。
【0074】無菌フィルター5のフィルター材として
は、高圧蒸気滅菌にも耐えられるように、130℃程度
の温度に耐えられる、ポリビニリデンフロライド(PT
FE)製の、多孔質の孔径が、0.2μmの円盤形状の
多孔質膜を用いている。以下、無菌フィルター5を収容
するハウジングの構成について、更に、詳しく説明す
る。
【0075】図2は、無菌フィルター5を収容するハウ
ジング6の構成の一例を模式的に示す断面図である。こ
の例では、無菌フィルター5は、上蓋体6aと下蓋体6
bとが気密に接合されたハウジング6内に収容されてい
る。ハウジング6の上蓋体6aの上面S6aには開口部
h6aが設けられ、また、下蓋体6bの底面S6bに
は、底面S6bから突設するように管6cが設けられて
いる。
【0076】管6cは、ハウジング6の下蓋体6bに一
体成形されており、中空h6cを有し、且つ、その外周
が、無菌フィルター取付手段4の空気流通配管4aの内
周に等しくされており、無菌フィルター取付手段4の空
気流通配管4aに管6cを差し込めば、管6cを空気流
通配管4aの内周に気密に取り付けられるようになって
いる。
【0077】また、ハウジング6の下蓋体6bの底面S
6bは、無菌フィルター取付手段4の鍔体4bに気密に
接合できるようになっている。具体的に説明すると、ハ
ウジング6の下蓋体6bの底面S6bの表面と無菌フィ
ルター取付手段4の鍔体4bの表面との各々は、互い
に、反転した形状をしている。また、この例では、ハウ
ジング6の上蓋体6aの上面S6aに設けられた開口部
h6aに、開口部h6aを取り囲むように起立し且つ上
蓋体6aに一体成形された周壁6dが設けられている。
【0078】そして、図2に示すように、ハウジング6
の管6cを無菌フィルター取付手段4の空気流通配管4
aに差し込んで、且つ、ハウジング6の底面S6bを無
菌フィルター取付手段4の鍔体4bに取り付けると、ハ
ウジング6と無菌フィルター取付手段4との接合は、ハ
ウジング6の底面S6bと無菌フィルター取付手段4の
鍔体4bとの接触面、及び、ハウジング6の底面S6b
から突設するように設けられた管6cの外周と無菌フィ
ルター取付手段4の空気流通配管4aの内周との接触面
とにより、気密になされているので、ハウジング6の底
面S6bと無菌フィルター取付手段4の鍔体4bとの接
触面の気密性が壊れ、且つ、ハウジング6の底面S6b
から突設するように設けられた管6cの外周と無菌フィ
ルター取付手段4の空気流通配管4aの内周との接触面
の気密性が壊れない限り、ハウジング6と無菌フィルタ
ー取付手段4との接合部からは、細菌やほこりはもちろ
んのこと、エアーや水分の流通することが有り得ない構
造となる。且つ、蓋体3により蓋がされた凍結乾燥製品
製造用器具1の器具内外のエアーや水分(例えば、氷
晶)の流通は、無菌フィルター5を介して、スムーズに
行える構造となるようになる。
【0079】次に、図3〜図5を参照しながら、この凍
結乾燥製品製造用器具1を用いた、凍結乾燥製剤の製造
方法について説明する。まず、凍結乾燥製品製造用器具
1を、コンテナ本体2、蓋体3とに分解し、更に、一側
面2bをコンテナ本体2の三側面2c、2d、2eから
取り外し、これらを、通常の方法にしたがって、バイア
ルv、・・・やゴム栓c、・・・とともに、器具洗浄滅
菌室で、例えば、高圧蒸気滅菌し、無菌状態にした後、
これらを無菌充填室に搬入する。
【0080】尚、この無菌充填室は、クラス100をク
リアするとともに、層流状態に、厳格に管理維持されて
いる。次に、蓋体3の空気流通孔h3に、無菌が保証さ
れた無菌フィルター5を気密に取り付ける。この例で
は、無菌が保証された無菌フィルター5が収容されたハ
ウジング6を蓋体3の無菌フィルター取付手段4に気密
に取り付けることで、蓋体3の空気流通孔h3に、無菌
が保証された無菌フィルター5が気密に取り付ける。
【0081】また、無菌充填室内で、器具洗浄滅菌室
で、洗浄乾燥滅菌されたバイアルv、・・・の各々内
に、被乾燥物(例えば、液体)Mr、・・・の各々を充
填した後、コンテナ本体2の底板21上に、被乾燥物
(例えば、液体)Mr、・・・の各々を充填したバイア
ルv、・・・を、順次、コンテナ本体2の底板2a上に
載置する(以上については、図3(a)を参照。)。
【0082】被乾燥物(例えば、液体)Mr、・・・の
各々を充填したバイアルv、・・・が所定数になった時
点で、三側面2c、2d、2eに分離可能に設けられた
一側面2bを側面2c、2eの各々に設けられた溝2
f、2fにはめ合わせ、コンテナ本体2を完成させる。
その後、無菌フィルター5が取り付けられた蓋体3をコ
ンテナ本体2にかぶせ、更に、係止片2pに係止手段3
pを嵌合して、コンテナ本体2の底板21の鏡面加工さ
れた上面2sと蓋体3の鏡面加工された下端面3sとの
当接により、コンテナ本体2の上面2sと蓋体3の下端
面3sとを気密に密閉する(図3(b)を参照)。
【0083】次に、内部には、被乾燥物(例えば、液
体)Mr、・・・の各々を充填したバイアルv、・・・
の所定数が収容され、蓋体3により蓋をされた凍結乾燥
製品製造用器具1を凍結乾燥装置11の乾燥庫12内へ
収容する(図4を参照)。尚、凍結乾燥装置11が設置
された無菌室は、理想を言えば、クラス100をクリア
するとともに、層流状態に保持されていることが好まし
いが、この凍結乾燥製品製造用器具1を用いれば、蓋体
3により蓋をしてしまうと、それ以後は、コンテナ本体
2内と外気との流通が無菌フィルター5を介して行われ
るため、凍結乾燥装置11が設置された無菌室が、万
一、この基準をクリアしていなくても、コンテナ本体2
内が、汚染されることはない。
【0084】凍結乾燥装置11は、図4に示すように、
乾燥庫12、乾燥庫12内に収容された被乾燥物から昇
華される氷晶等をトラップするトラップ室13、真空装
置14等を備えており、真空装置14を駆動すれば、乾
燥庫12内を所望の真空度にすることができるようにな
っており、且つ、所望の真空度にされた乾燥庫12は、
凍結乾燥が終了した後、無菌フィルター(図示せず)を
経由して供給される乾燥空気(場合によっては、窒素ガ
ス)によって、大気圧程度の所定圧に復圧されるように
なっている。尚、19は、トラップ室13へつながる主
管20と乾燥庫112とを必要に応じて仕切ったり、ト
ラップ室13の流路開度を調整するために設けられた主
弁を示している。
【0085】乾燥庫12には、扉15が、油圧シリンダ
ー等の開閉手段16によって、開閉自在に設けられてお
り、且つ、乾燥庫12内には、乾燥製品製造用器具1、
・・・等を載置する複数の台17、・・・が設けられて
いる。複数の台17、・・・の各々には、冷却手段(図
示せず)で所定の温度に冷却された冷媒が流通循環する
パイプ(図示せず)が内設されており、冷却手段(図示
せず)により冷却した冷媒を、複数の台17、・・・の
各々に内設されたパイプ(図示せず)に流通循環させる
と、乾燥庫12内を所定の温度に冷却できるようになっ
ている。
【0086】以上の構成は、図21に示した凍結乾燥装
置111と同様であるが、この凍結乾燥装置11は、油
圧シリンダーが設けられていない点が、凍結乾燥装置1
11と異なっている。次に、図5(a)に示すように、
凍結乾燥装置11の、予め無菌化処理がされた乾燥庫1
2の扉15を開ける。尚、乾燥庫12内は、理想を言え
ば、完全に無菌化されていることが好ましいが、この凍
結乾燥製品製造用器具1を用いれば、蓋体3により蓋を
してしまうと、それ以後は、コンテナ本体2内と外気と
の流通が無菌フィルター5を介して行われるため、凍結
乾燥装置11の乾燥庫12内が、万一、汚染されていて
も、コンテナ本体2内が、汚染されることはない。
【0087】次いで、乾燥庫12内に設けられている複
数の台17、・・・の各々の上に、被乾燥物Mr、・・
・の各々が充填された複数のバイアルv、・・・が収容
され、且つ、無菌フィルター5が設けられた空気流通孔
h3を有する蓋体3で蓋をした凍結乾燥製品製造用器具
1、・・・を、順次、載置していく。乾燥庫12内への
凍結乾燥製品製造用器具1、・・・の収容作業が終了し
た後、扉15を閉じ、複数の台17、・・・の各々に内
設したパイプ(図示せず)に、冷却手段(図示せず)に
より、所定の温度(T1)に冷却した冷媒を流して、複
数の台17、・・・の各々を冷却することで、乾燥庫1
2内を冷却し、熱伝導により、凍結乾燥製品製造用器具
1、・・・の各々の中に収容された、バイアルv、・・
・の各々に収容された被乾燥物Mr、・・・を予備凍結
する。
【0088】予備凍結が終了した後、主弁19を調整
し、真空装置14を駆動して、乾燥庫12内を所望の真
空度にする。すると、凍結乾燥製品製造用器具1、・・
・の蓋体3、・・・の空気流通孔h3、・・・に設けら
れた無菌フィルター5、・・・を介して、凍結乾燥製品
製造用器具1、・・・内の空気が吸引され、凍結乾燥製
品製造用器具1、・・・の各々内も、所望の真空度とな
る。
【0089】この状態を保持し、複数の台17、・・・
の各々に内設したパイプ(図示せず)に、冷却手段(図
示せず)により、所定の温度(T2;T2>T1)にし
た冷媒を流す。すると、凍結乾燥製品製造用器具1、・
・・の各々内も、熱伝導により、所定の温度となる。以
上の状態を保持し、凍結乾燥製品製造用器具1、・・・
の各々内に収容されたバイアルv、・・・の各々に充填
された被乾燥物Mr、・・・を、一次乾燥した後、更
に、2次乾燥を行って、凍結乾燥製品製造用器具1、・
・・の各々内に収容した、バイアルv、・・・の各々内
の被乾燥物Mr、・・・を目的の凍結乾燥物Mf、・・
・にする。
【0090】その後、乾燥庫12内に、例えば、無菌フ
ィルター(図示せず)により無菌化した乾燥空気を流入
し、乾燥庫12内を、大気圧程度に復圧した後、図5
(c)に示すように、乾燥庫12内から、目的の凍結乾
燥物が収容されたバイアルv、・・・が収容された凍結
乾燥製品製造用器具1、・・・を取り出し、凍結乾燥製
品製造用器具1、・・・を蓋体3、・・・で蓋した状態
のまま、無菌状態が保証された無菌充填室(ゴム栓充填
室)内に搬入し、この無菌充填室(ゴム栓充填室)内
で、初めて、凍結乾燥製品製造用器具1、・・・の各々
の蓋体3、・・・を開き、凍結乾燥製品製造用器具1、
・・・の各々の内部から、目的の凍結乾燥物Mfが収容
されたバイアルv、・・・の各々を取り出し、各々に、
ゴム栓c、・・・を全打栓して、バイアル入りの凍結乾
燥製剤を製造する。
【0091】この凍結乾燥製剤の製造方法では、無菌状
態が保証された無菌充填室で、凍結乾燥製品製造用器具
1、・・・の各々内に、被乾燥物Mr、・・・の各々を
充填したバイアルv、・・・を収容した後、蓋体3を閉
めるようにしている。凍結乾燥製品製造用器具1は、蓋
体3を閉じた状態にすると、コンテナ本体2の上面2s
と、蓋体3の下端面3sとが気密に接合するので、蓋体
3を閉じた後は、凍結乾燥製品製造用器具1と外部との
空気の流通は、無菌フィルター5を介して行われる。こ
れにより、仮に、凍結乾燥装置11が設置された無菌
室、凍結乾燥装置11の乾燥庫12内、場合によって
は、搬送路等の無菌処理が十分でなく、それらの場所の
いずれかの気密性が損なわれ、万一、細菌やほこり等に
汚染されていても、細菌やほこり等は、必ず、無菌フィ
ルター5に捕捉(トラップ)されるため、無菌充填室が
汚染されていない限り、凍結乾燥製品製造用器具1内
が、細菌やほこり等によって汚染されることがない。こ
のため、凍結乾燥製品製造用器具1内に収容されたバイ
アルv、・・・内の被乾燥物Mr、・・・や、その凍結
乾燥物Mf、・・・も、細菌等によって汚染されること
がない。
【0092】更に、この凍結乾燥製品製造用器具1で
は、蓋体3を閉じた状態でも、蓋体3の空気流通孔h3
に設けた無菌フィルター5を介して、凍結乾燥製品製造
用器具1の内外で空気や水分の流通ができるようにされ
ているので、コンテナ本体2内に、被乾燥物Mr、・・
・の各々が収容されたバイアルv、・・・を収容し、蓋
体3で蓋をした状態のまま、凍結乾燥製品製造用器具1
を凍結乾燥装置11の乾燥庫12内に収容しても、乾燥
庫12内を真空にすれば、凍結乾燥製品製造用器具1内
の空気も無菌フィルター5を介して、凍結乾燥製品製造
用器具1外へと吸引され、凍結乾燥製品製造用器具1内
も所定の真空度になる。これにより、凍結乾燥製品製造
用器具1内に収容された、バイアルv、・・・の各々に
充填された被乾燥物Mrを凍結乾燥製品製造用器具1の
蓋体3を閉めた状態で、凍結乾燥させることができる。
【0093】しかも、凍結乾燥装置1の乾燥庫内を大気
圧に戻すと、無菌フィルター5を介して、凍結乾燥製品
製造用器具1内も大気圧に戻る。したがって、一旦、無
菌充填内で、コンテナ本体2内に、被乾燥物Mr、・・
・の各々が収容されたバイアルv、・・・を収容し、無
菌フィルター5を設けた空気流通孔h3を有する蓋体3
を用いて蓋をすれば、その後は、蓋体3を開くことな
く、バイアルv、・・・の各々内に収容された被乾燥物
Mr、・・・を凍結乾燥物Mf、・・・にすることがで
きるので、乾燥庫12内から、目的の凍結乾燥物が収容
されたバイアルv、・・・が収容された凍結乾燥製品製
造用器具1、・・・を取り出し、凍結乾燥製品製造用器
具1、・・・を蓋体3、・・・で蓋した状態のまま、無
菌状態が保証された無菌充填室(ゴム栓充填室)内に搬
入し、この無菌充填室(ゴム栓充填室)内で、初めて、
凍結乾燥製品製造用器具1、・・・の各々の蓋体3、・
・・を開き、凍結乾燥製品製造用器具1、・・・の各々
の内部から、目的の凍結乾燥物Mfが収容されたバイア
ルv、・・・の各々を取り出し、各々に、ゴム栓c、・
・・を全打栓するようにすれば、凍結乾燥工程後、凍結
乾燥製品製造用器具1の蓋体3を取り外し、コンテナ本
体2内の、凍結乾燥物Mf、・・・の各々が収容された
バイアルv、・・・の各々に、ゴム栓c、・・・を全打
栓する無菌充填室が、汚染されていない限り、バイアル
v、・・・の各々内の凍結乾燥物Mf、・・・の各々
が、細菌やほこり等によって汚染されることがない。
【0094】即ち、この凍結乾燥製剤の製造方法を用い
れば、バイアルv、・・・の各々内に、被乾燥物Mrを
収容し、被乾燥物Mrが収容されたバイアルv、・・・
を、コンテナ本体2内に収容し、無菌フィルター5が取
り付けられた蓋体3によりコンテナ本体2を蓋をする作
業を行う無菌充填室、及び、凍結乾燥工程後、凍結乾燥
製品製造用器具1の蓋体3を取り外し、コンテナ本体2
内の、凍結乾燥物Mf、・・・の各々が収容されたバイ
アルv、・・・の各々に、ゴム栓c、・・・を全打栓す
る作業を行う無菌充填室が、汚染されていない限り、バ
イアルv、・・・の各々内の凍結乾燥物Mf、・・・の
各々が、細菌やほこり等によって汚染されることがな
い。
【0095】また、この凍結乾燥製剤の製造方法は、新
たに、凍結乾燥製品製造用器具1を作製するだけで良い
ので、例えば、FDAの厳格な基準を満たすために、新
たな凍結乾燥装置や新たな厳格な無菌室等の設備投資を
する場合に比べ、設備投資を小さく抑えることができ、
且つ、厳格な無菌管理は、凍結乾燥製品製造用器具1の
蓋体3を開いた状態にする場所と、容量の小さい凍結乾
燥製品製造用器具1内とだけで十分であるので、凍結乾
燥工程の無菌管理が容易となるという効果もある(以下
の発明の実施の形態2〜4において同様である。)。
【0096】更にまた、この凍結乾燥製剤製造器具1を
用いれば、高圧蒸気滅菌ができない乾燥機を用いた場合
であっても、凍結乾燥工程の確実な無菌バリデーション
が可能になるという効果もある(以下の発明の実施の形
態2〜4において同様である。)。更にまた、この凍結
乾燥製剤製造器具1を用いれば、複数の凍結乾燥製剤製
造器具1、・・・、1を同時に用いて、種々の異なる成
分・組成の凍結乾燥物を製造しても、複数の凍結乾燥製
剤製造器具1、・・・、1の各々内には、同一の成分・
組成の被凍結乾燥物が入った容器を収容するようにする
ことで、クロスコンタミを完全に防ぐことができるとい
う効果もある(以下の発明の実施の形態2〜4において
同様である。)。
【0097】また、この凍結乾燥製品製造用器具1で
は、ハウジング6の上面S6aに設けらた開口部h6a
に、開口部h6aを取り囲むように起立した周壁6dを
更に設け、無菌フィルター5に何等かが接触することを
防止するようにしたので、無菌フィルター5が破壊され
難い。更に、この凍結乾燥製品製造用器具1では、コン
テナ本体2の一側面2bを他の三側面2c、2d、2e
から取り外せるようにしているので、コンテナ本体2内
に、被乾燥物Mrが収容されたバイアルvを、自動容器
収容装置を用いて容易に収容できるという効果もある。
【0098】また、以上の発明の実施の形態1では、バ
イアル入りの凍結乾燥製剤を製造する場合を例にとって
説明したが、この凍結乾燥製品製造用容器1を用いれ
ば、凍結乾燥アンプルも細菌等に汚染されることなく製
造できる。即ち、凍結乾燥アンプルを製造する場合に
は、まず、開口部を有するアンプル内に被乾燥物を充填
し、被乾燥物が充填されたアンプルを容器2bに収容
し、蓋体3を閉じ、蓋体3を閉じた状態のまま、凍結乾
燥製品製造用容器1内に収容されたアンプル内に所望の
凍結乾燥物を製造した後、蓋体3を閉じた状態のまま凍
結乾燥製品製造用容器1を無菌状態が保証された無菌室
に搬入し、この無菌室内で、蓋体3を開き、最後に、ア
ンプルの開口部を溶閉することで、細菌等に汚染される
ことなく、アンプル入りの凍結乾燥製剤を製造できる。
【0099】更に、凍結乾燥製品を製造する度毎に、凍
結乾燥製品を製造するのに使用した凍結乾燥製品製造用
器具1の無菌フィルター5の機能検査をするようにすれ
ば、凍結乾燥製品を製造した凍結乾燥製品製造用器具1
内の無菌性が保証される。これにより、凍結乾燥製品製
造用器具1内で製造された凍結乾燥製品の無菌性も保証
されるので、従来の凍結乾燥製品の製造方法に比べ、更
に一層、無菌性が保証された凍結乾燥製品の市場への供
給が可能となる(以下に示す、発明の実施の形態2〜4
において同様である。)。 (発明の実施の形態2)発明の実施の形態2では、無菌
充填室内で、本発明に係る凍結乾燥製品製造用器具内
に、被乾燥物が充填された複数のバイアルを収容し、複
数のバイアルの各々にゴム栓を半打栓した後、凍結乾燥
製品製造用器具の蓋をした状態のまま、凍結乾燥装置の
乾燥庫内に収容し、乾燥庫内で、凍結乾燥製品製造用器
具内に収容された複数のバイアルの各々に充填された被
乾燥物を所望の凍結乾燥物にし、その後、乾燥庫内で、
所望の凍結乾燥物が収容されたバイアルの各々にゴム栓
を全打栓するようにした、凍結乾燥製剤の製造方法につ
いて説明する。図6は、このような製造方法に好適に用
いることのできる、本発明に係る凍結乾燥製品製造用器
具の一例を概略的に示す分解斜視図である。
【0100】この凍結乾燥製品製造用器具1Aは、図1
に示す凍結乾燥製品製造用器具1に、更に、蓋体3に、
油圧シリンダー(図7に示す油圧シリンダー18)が差
し込まれる油圧シリンダー挿通孔h3aが設けられ、蓋
体3内に、油圧シリンダー挿通孔h3aを気密に密閉す
るとともに、油圧シリンダー18が油圧シリンダー挿通
孔h3aから蓋体3内に差し込まれるにつれ、それに伴
って、下方向に伸び、油圧シリンダー18が油圧シリン
ダー挿通孔h3aから蓋体3外へ出るにつれ、それに伴
って、上方向に縮む伸縮自在で、且つ、弾性を有する筒
体形状の伸縮部材7と、伸縮部材7に気密に接合され、
伸縮部材7の上下方向の伸縮に伴って、蓋体3内を上下
に移動する板体8が設けられた構造となっている。
【0101】伸縮部材7としては、種々のものを用いる
ことができるが、例えば、そのような一例を挙げると、
蛇腹に設けられる2本の樹脂製の管と管との間に、バネ
等の弾性体を挟み込んだ複合部材を挙げることができ
る。尚、他の部材装置は、図1に示す凍結乾燥製品製造
用器具1と同様であるので、説明を容易とするため、相
当する部材装置には相当する参照符号を付して、その説
明を省略する。
【0102】次に、図6、図7及び図8を参照しなが
ら、この凍結乾燥製品製造用器具1Aを用いた、凍結乾
燥製剤の製造方法について説明する。まず、凍結乾燥製
品製造用器具1Aを、コンテナ本体2と、蓋体3とに分
解し、更に、コンテナ本体2の一側面2bを他の三側面
2c、2d、2eから取り外し、これらを、例えば、高
圧蒸気滅菌し、無菌状態にした後、これらを無菌充填室
に搬入する。
【0103】尚、この無菌充填室は、クラス100をク
リアするとともに、層流状態に、厳格に管理維持されて
いる。次に、蓋体3の空気流通孔h3に、発明の実施の
形態1に示した方法と同様の方法で、無菌が保証された
無菌フィルター5を取り付ける。また、無菌充填室内
で、洗浄乾燥滅菌されたバイアルv、・・・の各々内
に、被乾燥物(例えば、液体)Mr、・・・を各々充填
した後、これらに、ゴム栓c、・・・を各々半打栓した
後、被乾燥物(例えば、液体)Mrが充填され、ゴム栓
cが半打栓されたバイアルv、・・・の各々を、順次、
コンテナ本体2の底板2a上に載置し、その後、被乾燥
物(例えば、液体)Mr、・・・が充填され、ゴム栓
c、・・・が半打栓されたバイアルv、・・・が所定数
になった時点で、三側面2c、2d、2eに分離可能に
設けられた一側面2bを側面2c、2eの各々に設けら
れた溝2f、2fにはめ合わせ、コンテナ本体2を完成
させ、その後、このコンテナ本体2に、無菌フィルター
5が取り付けられた蓋体3をかぶせ、更に、係止片2p
に係止手段3pを嵌合して、底板2aの鏡面加工された
上面2sと蓋体3の鏡面加工された下端面3sとの当接
により、コンテナ本体2の上面2sと蓋体3の下端面3
sとを気密に密閉する(以上については、図6及び図8
(a)を参照)。
【0104】次に、蓋体3により蓋をされた凍結乾燥製
品製造用器具1を凍結乾燥装置11の乾燥庫12内へ収
容する。尚、この例でも、凍結乾燥装置11Aが設置さ
れた無菌室は、理想を言えば、クラス100をクリアす
るとともに、層流状態に保持されていることが好ましい
が、この凍結乾燥製品製造用器具1Aを用いれば、蓋体
3により蓋をしてしまうと、それ以後は、コンテナ本体
2内と外気との流通が無菌フィルター5を介して行われ
るため、凍結乾燥装置11Aが設置された無菌室が、万
一、この基準をクリアしていなくても、コンテナ本体2
内が、汚染されることはない。
【0105】ここで、図7に示す凍結乾燥装置11Aの
構成を説明すると、凍結乾燥装置11Aには、図4に示
す凍結乾燥装置11に、更に、乾燥庫12の側壁から複
数の台17、・・・の各々に対応して設けられた油圧シ
リンダー18、・・・を備える。油圧シリンダー18、
・・・の各々は、乾燥庫12の側壁から伸縮自在に設け
られたパイプ(図示せず)の各々に設けられたヘッド部
18hから上下方向に伸縮自在に設けられている点が、
凍結乾燥装置11と異なっている。尚、その他の構成
は、図4に示す凍結乾燥装置11と同様であるので、相
当する部材装置については相当する参照符号を付して、
その説明を省略する。
【0106】次に、図7に示すように、凍結乾燥装置1
1Aの、予め無菌化処理がされた乾燥庫12の扉15を
開け、乾燥庫12内に設けられている複数の台17の各
々の上に、被乾燥物Mrが充填され且つゴム栓cが半打
栓された複数のバイアルv、・・・が収容され、且つ、
蓋体3で蓋をした凍結乾燥製品製造用器具1A、・・・
を、順次、載置していく。
【0107】乾燥庫12内への凍結乾燥製品製造用器具
1A、・・・の収容作業が終了した後、扉15を閉じ、
凍結乾燥装置11Aを駆動して、凍結乾燥製品製造用器
具1A、・・・の各々内に収容された複数のバイアル
v、・・・内の被乾燥物Mr、・・・を所望の凍結乾燥
物Mf、・・・にする(図8(b)を参照)。次に、乾
燥庫12内に、例えば、無菌フィルターにより無菌化し
た乾燥空気(場合によっては、窒素ガス)を流入し、乾
燥庫12内を、大気圧程度に復圧した後、或いは、乾燥
庫12内を真空状態に維持したまま、乾燥庫12の側壁
から伸縮自在に設けられたパイプ(図示せず)の各々を
伸ばし、ヘッド18h、・・・の各々を、凍結乾燥製品
製造用器具1A、・・・の蓋体3の各々に設けられた油
圧シリンダー挿通孔h3aの各々の上方に整列させ、そ
の後、油圧シリンダー18、・・・の各々を下方に下
げ、凍結乾燥製品製造用器具1A、・・・の各々の蓋体
3、・・・の各々に設けられた油圧シリンダー挿通孔h
3a、・・・内に挿入し、図8(c)に示すように、伸
縮自在で、且つ、弾性を有する伸縮部材7を伸ばして、
蓋体3、・・・の各々内に設けられた板体8、・・・の
各々を下降させて、凍結乾燥製品製造用器具1A、・・
・の各々内に収容されたバイアルv、・・・の各々に半
打栓されたゴム栓c、・・・の各々を全打栓する。
【0108】その後、油圧シリンダー18、・・・の各
々を上方に上げると、伸縮部材7の復元力により、板体
8、・・・の各々が、上方に上がる。そして、油圧シリ
ンダー18、・・・の各々が上方に上がり切った状態に
なった後、油圧シリンダー18、・・・が取り付けられ
たパイプ(図示せず)の各々を元の縮んだ状態に戻し、
無菌室内で、凍結乾燥製品製造用器具1A、・・・の各
々の蓋体3、・・・を開き、凍結乾燥製品製造用器具1
A、・・・の各々から、ゴム栓c、・・・の各々が全打
栓された凍結乾燥製剤が入ったバイアルv、・・・を無
菌室から外部へ搬出する。
【0109】この凍結乾燥製剤の製造方法では、クラス
100をクリアするとともに、層流状態に厳格に維持管
理された無菌充填室で、凍結乾燥製品製造用器具1A、
・・・の各々内に、被乾燥物Mr、・・・を充填しバイ
アルv、・・・を収容し、バイアルv、・・・の各々に
ゴム栓c、・・・を半打栓した後、蓋体3を閉めるよう
にしている。
【0110】そして、この凍結乾燥剤の製造方法では、
凍結乾燥製品製造用器具1Aの蓋体3を閉じた状態にし
たまま、凍結乾燥製品製造用器具1Aを無菌充填室から
凍結乾燥装置11Aの乾燥庫12内に収容し、凍結乾燥
装置11Aの乾燥庫12内で、凍結乾燥製品製造用器具
1Aの蓋体3を閉じた状態にしたままで、バイアルv、
・・・の各々内に収容された被乾燥物Mr、・・・を凍
結乾燥物Mf、・・・にした後、凍結乾燥装置11Aの
乾燥庫12内で、凍結乾燥製品製造用器具1A、・・・
の各々内に収容されたバイアルv、・・・の各々に半打
栓されたゴム栓c、・・・を全打栓するようにしてい
る。このため、バイアルv、・・・の各々内に、被乾燥
物Mrを収容し、被乾燥物Mrが収容されたバイアル
v、・・・の各々に、ゴム栓c、・・・を半打栓し、被
乾燥物Mrが収容され、ゴム栓c、・・・が半打栓され
たバイアルv、・・・を、コンテナ本体2内に収容し、
無菌フィルター5が取り付けられた蓋体3によりコンテ
ナ本体2を蓋をする作業を行う無菌充填室が細菌等によ
って汚染されていない限り、凍結乾燥製品製造用器具1
A内が、細菌やほこり等によって汚染されることがな
い。この結果、凍結乾燥製品製造用器具1A内に収容さ
れたバイアルv、・・・内の被乾燥物Mr、・・・や凍
結乾燥物Mf、・・・が、細菌によって汚染されること
がない状態で、最終製品であるバイアル入りの凍結乾燥
製剤を製造できる。
【0111】更に、この凍結乾燥製品製造用器具1Aを
用いれば、蓋体3を開くことなく、凍結乾燥装置11A
の乾燥庫12内において、凍結乾燥製品製造用器具1A
内に収容され、バイアルv、・・・の各々内に、凍結乾
燥物Mfが形成され、ゴム栓c、・・・が半打栓状態で
取り付けられたバイアルv、・・・の各々のゴム栓c、
・・・を全打栓できるので、凍結乾燥工程が終了した
後、凍結乾燥装置11Aの乾燥庫12内を、無菌フィル
ターにより無菌化した窒素ガスにより復圧したり、ある
いは、真空状態を保ったままで、半打栓状態で取り付け
られたゴム栓c、・・・をバイアルv、・・・に全打栓
できる。このため、特に、この凍結乾燥製品製造用器具
1Aは、乾燥凍結物Mfを長期に保存するために、バイ
アルv、・・・内を窒素ガス又は真空状態に保つ必要が
ある乾燥凍結製剤を製造するのに適している。 (発明の実施の形態3)発明の実施の形態3では、本発
明に係る凍結乾燥製品製造用器具を用いて、容器兼注射
器型凍結乾燥製剤を製造する製造方法について、図24
に示した容器兼注射器81を製造する場合を例にして説
明する。
【0112】図9及び図10は、本発明に係る凍結乾燥
製品製造用器具を用いて、容器兼注射器型凍結乾燥製剤
81を製造する工程を概略的に示す工程図である。容器
兼注射器型凍結乾燥製剤81を製造する際には、まず、
発明の実施の形態1に示した凍結乾燥製品製造用器具1
を、コンテナ本体2、蓋体3とに分解し、更に、一側面
2bをコンテナ本体2の三側面2c、2d、2eから取
り外し、これらを、通常の方法にしたがって、注射器外
筒82、・・・と、キャップ(ゴム栓)83、・・・と
ともに、器具洗浄滅菌室で、例えば、高圧蒸気滅菌し、
無菌状態にした後、これらを無菌充填室に搬入する。
【0113】尚、無菌充填室は、クラス100をクリア
するとともに、層流状態に、厳格に管理維持されてい
る。次に、無菌充填室内で、注射器外筒82の注射針取
付部82bにキャップ(ゴム栓)83を気密に取り付け
る。その後、注射針取付部82bが下方になるように、
注射針外筒82を縦にして、注射器外筒82の終端の開
口部82hより被乾燥物(例えば、液体)Mrを、注射
器外筒82とキャップ(ゴム栓)83とにより形成され
る空間E内に充填し、次いで、空間E内に被乾燥物(例
えば、液体)Mrが収容された注射器外筒82をコンテ
ナ本体2の底板2a上に、注射針取付部82bが下方に
なるように、複数本配列し、被乾燥物(例えば、液体)
Mr、・・・の各々が充填された注射針外筒82が所定
数になった時点で、三側面2c、2d、2eに分離可能
に設けられた一側面2bを側面2c、2eの各々に設け
られた溝2f、2fにはめ合わせ、コンテナ本体2を完
成させ、その後、無菌フィルター5が取り付けられた蓋
体3をコンテナ本体2にかぶせ、更に、係止片2pに係
止手段3pを嵌合して、コンテナ本体2の底板21の鏡
面加工された上面2sと蓋体3の鏡面加工された下端面
3sとの当接により、コンテナ本体2の上面2sと蓋体
3の下端面3sとを気密に密閉する(図9(c)及び図
10を参照)。
【0114】次に、内部には、注射針取付部82bにキ
ャップ(ゴム栓)83が気密に取り付けられ、被乾燥物
(例えば、液体)Mr、・・・の各々が充填され、注射
針取付部82bが下方を向くようにして収容された注射
器外筒82が所定数が収容され、蓋体3により蓋をされ
た凍結乾燥製品製造用器具1を凍結乾燥装置11の乾燥
庫12内へ収容する。
【0115】尚、この例でも、凍結乾燥装置11が設置
された無菌室は、理想を言えば、クラス100をクリア
するとともに、層流状態に保持されていることが好まし
いが、この凍結乾燥製品製造用器具1を用いれば、蓋体
3により蓋をしてしまうと、それ以後は、コンテナ本体
2内と外気との流通が無菌フィルター5を介して行われ
るため、凍結乾燥装置11が設置された無菌室が、万
一、この基準をクリアしていなくても、コンテナ本体2
内が、汚染されることはない。
【0116】次に、発明の実施の形態1に示したのと同
様の方法で、凍結乾燥製品製造用器具1、・・・の各々
内に収容した、注射器外筒82、・・・の各々内の被乾
燥物Mr、・・・を目的の凍結乾燥物Mf、・・・にす
る。その後、乾燥庫12内に、例えば、無菌フィルター
(図示せず)により無菌化した乾燥空気を流入し、乾燥
庫12内を、大気圧程度に復圧した後、乾燥庫12内か
ら、目的の凍結乾燥物が収容された、注射器外筒82、
・・・が収容された凍結乾燥製品製造用器具1、・・・
を取り出し、凍結乾燥製品製造用器具1、・・・を蓋体
3、・・・で蓋した状態のまま、無菌状態が保証された
無菌充填室(ゴム栓充填室)内に搬入し、この無菌充填
室(ゴム栓充填室)内で、初めて、凍結乾燥製品製造用
器具1、・・・の各々の蓋体3、・・・を開き、凍結乾
燥製品製造用器具1、・・・の各々の内部から、目的の
凍結乾燥物Mfが収容された、注射器外筒82、・・・
の各々を取り出し、注射器外筒82、・・・の各々の所
定の位置に、第1の栓体84を気密に取り付ける(図9
(d)を参照)。
【0117】その後、注射器外筒82の第1の栓体84
の後部に、溶解液Lを収容し、更に、注射器外筒82に
第2の栓体85を取り付けて、容器兼注射器81を製造
する(図9(e)を参照)。この凍結乾燥製剤の製造方
法によれば、無菌状態が保証された無菌充填室で、キャ
ップ(ゴム栓)83を、注射器外筒82の注射針取付部
82bに気密に取り付け、キャップ(ゴム栓)83と注
射器外筒82とにより形成された空間E内に、被乾燥物
Mrの各々を収容した注射器外筒82、・・・の各々を
凍結乾燥製品製造用器具1、・・・の各々内に収容し、
蓋体3を用いて蓋をすれば、その後は、蓋体3を開くこ
となく、注射器外筒82、・・・の各々内に収容された
被乾燥物Mr、・・・を凍結乾燥物Mf、・・・にする
ことができる。
【0118】したがって、注射針取付部82bに気密に
キャップ(ゴム栓)83が取り付けられた注射器外筒8
2、・・・の各々内に、被乾燥物Mrを収容し、被乾燥
物Mrが収容された注射器外筒82、・・・を、コンテ
ナ本体2内に収容し、無菌フィルター5が取り付けられ
た蓋体3によりコンテナ本体2を蓋をする作業を行う無
菌充填室、及び、凍結乾燥工程後、凍結乾燥製品製造用
器具1の蓋体3を取り外し、コンテナ本体2内の、凍結
乾燥物Mfが収容された注射器外筒82、・・・の各々
の所定の位置に、第1の栓体84を気密に取り付け、そ
の後、注射器外筒82の第1の栓体84の後部に、溶解
液Lを収容し、更に、注射器外筒82に第2の栓体85
を取り付けて、容器兼注射器81を製造する作業を行う
無菌充填室が、汚染されていない限り、容器兼注射器8
1、・・・が、細菌やほこり等によって汚染されること
がない。
【0119】更に、注射器外筒82に第1の栓体84を
取付け、溶解液Lを充填する前工程に、注射器外筒82
の第1の栓体84の後部を、例えば、高圧蒸気滅菌等す
る必要がなくなるので、凍結乾燥物Mfに熱変性を与え
ることなく容器兼注射器型凍結乾燥製剤を製造できる。
更にまた、凍結乾燥製品製造用器具として、凍結乾燥製
品製造用器具1Aを用い、発明の実施の形態2と同様に
して、無菌充填室内で、注射器外筒82、・・・の注射
針取付部82b、・・・の各々にキャップ(ゴム栓)8
3、・・・を気密に取り付け、注射針取付部82bにキ
ャップ(ゴム栓)83が気密に取り付けられた注射器外
筒82、・・・を注射針取付部82bが下方を向くよう
にし、注射器外筒82、・・・の各々内に被乾燥物(例
えば、液体)Mr、・・・を各々充填した後、注射器外
筒82、・・・の各々に第1の栓体84、・・・を半打
栓状態で取り付け、凍結乾燥装置11Aを用い、発明の
実施の形態2と同様の方法で、凍結乾燥製品製造用器具
1Aの蓋体3を閉じた状態にしたままで、注射器外筒8
2、・・・の各々に収容された被乾燥物Mr、・・・を
凍結乾燥物Mf、・・・にした後、凍結乾燥製品製造用
器具1A、・・・の各々内に収容された注射器外筒8
2、・・・の各々に半打栓された、第1の栓体84、・
・・を全打栓するようにし、その後、乾燥庫12内か
ら、キャップ(ゴム栓)83、注射器外筒82及び第1
の栓体84により形成される気密な空間内に、目的の凍
結乾燥物が収容された、注射器外筒82、・・・が収容
された凍結乾燥製品製造用器具1、・・・を取り出し、
凍結乾燥製品製造用器具1、・・・を蓋体3、・・・で
蓋した状態のまま、無菌状態が保証された無菌充填室
(ゴム栓充填室)内に搬入し、この無菌充填室(ゴム栓
充填室)内で、初めて、凍結乾燥製品製造用器具1、・
・・の各々の蓋体3、・・・を開き、凍結乾燥製品製造
用器具1、・・・の各々の内部から、目的の凍結乾燥物
Mfが収容された、注射器外筒82、・・・の各々を取
り出し、注射器外筒82、・・・の各々の第1の栓体8
4の後部に、溶解液Lを収容し、更に、注射器外筒82
に第2の栓体85を取り付けて、容器兼注射器81を製
造する。
【0120】この製造方法によれば、無菌状態が保証さ
れた無菌充填室で、キャップ(ゴム栓)83を、注射器
外筒82の注射針取付部82bに気密に取り付け、キャ
ップ(ゴム栓)83と注射器外筒82とにより形成され
た空間E内に、被乾燥物Mr、・・・の各々を収容した
注射器外筒82、・・・の各々を凍結乾燥製品製造用器
具1、・・・の各々内に収容し、蓋体3を用いて蓋をす
れば、その後は、蓋体3を開くことなく、注射器外筒8
2、・・・の各々内に収容された被乾燥物Mr、・・・
を凍結乾燥物Mf、・・・にすることができる。しか
も、注射器外筒82、・・・の各々内に収容された被乾
燥物Mr、・・・を凍結乾燥物Mf、・・・にした後、
凍結乾燥装置11Aの乾燥庫12内で、凍結乾燥製品製
造用器具1A、・・・の各々内に収容された注射器外筒
82、・・・の各々に半打栓された第1の栓体84、・
・・を全打栓するようにしているので、注射器外筒8
2、・・・の各々内に、被乾燥物Mrを収容し、被乾燥
物Mrが収容された、注射器外筒82、・・・の各々
に、第1の栓体84、・・・を半打栓し、被乾燥物Mr
が収容され、第1の栓体84、・・・が半打栓された注
射器外筒82、・・・を、コンテナ本体2内に収容し、
無菌フィルター5が取り付けられた蓋体3によりコンテ
ナ本体2を蓋をする作業を行う無菌充填室が汚染されて
いない限り、凍結製品製造用器具1A内に収容されたバ
イアルv、・・・内の被乾燥物Mr、・・・や、凍結乾
燥物Mf、・・・が、細菌によって汚染されることがな
く、キャップ(ゴム栓)83、注射器外筒82及び第1
の栓体84により形成される気密な空間内に、目的の凍
結乾燥物が収容された、注射器外筒82を製造できる。
【0121】更に、乾燥庫12内から、キャップ(ゴム
栓)83、注射器外筒82及び第1の栓体84により形
成される気密な空間内に、目的の凍結乾燥物が収容され
た、注射器外82、・・・が収容された凍結乾燥製品製
造用器具1、・・・を取り出し、凍結乾燥製品製造用器
具1、・・・を蓋体3、・・・で蓋した状態のまま、無
菌状態が保証された無菌充填室(ゴム栓充填室)内に搬
入し、この無菌充填室(ゴム栓充填室)内で、初めて、
凍結乾燥製品製造用器具1、・・・の各々の蓋体3、・
・・を開き、凍結乾燥製品製造用器具1、・・・の各々
の内部から、目的の凍結乾燥物Mfが収容された、注射
器外筒82、・・・の各々を取り出し、注射器外筒8
2、・・・の各々の第1の栓体84の後部に、溶解液L
を収容し、更に、注射器外筒82に第2の栓体85を取
り付けて、容器兼注射器81を製造するようにしている
ので、注射器外筒82、・・・の各々の第1の栓体84
の後部に、溶解液Lを収容し、更に、注射器外筒82に
第2の栓体85を取り付ける無菌充填室が細菌等によっ
て汚染されていない限り、細菌によって汚染されること
がない状態で、最終製品である容器兼注射器型の凍結乾
燥製剤を製造できる。
【0122】尚、図1に示した凍結乾燥製品製造用器具
1や、図6に示した凍結乾燥製品製造用器具1Aは、単
に、好ましい例を示したに過ぎず、本発明に係る凍結乾
燥製品製造用器具は、コンテナ本体と、コンテナ本体
に、開閉自在に設けられ、且つ、閉じた状態では、前記
コンテナ本体との接合部を気密にすることができるよう
にされたれた蓋体とを備え、蓋体には、空気流通孔が設
けられ、且つ、空気流通孔には、無菌フィルターが設け
られていれば良く、種々の変形例が存在することは言う
までもない。
【0123】図11は、そのような変形例の一例を概略
的に示す分解斜視図であり、図11に示す凍結乾燥製品
製造用器具1Bは、コンテナ本体2が、一側面に開口部
h9を有するケース体9と、ケース体9に出し入れ可能
に設けられるトレイ2Bとを備えており、蓋体3Bが、
ケース体9の開口部h9に気密に取り付けられるように
なっている。
【0124】より詳しく説明すると、ケース体9は、背
板9aと、背板9aに一体に設けられた四周側面9b、
9c、9d、9eとを備え、背板9aに向き合う面に開
口部h9が形成された筒状体構造となっている。また、
ケース体9の四周側面9b、9c、9d、9e中、対向
する一対の側面9b、9dの各々には、開口部h9の近
傍に固定的に設けられた逆J字形状の係止片2p、・・
・が設けられており、四周側面9b、9c、9d、9e
の開口部h9側の端部は、いずれも、鏡面加工されてい
る。
【0125】また、トレイ2Bは、底板2jと、底板2
jから起立するように設けられた四周側面2b、2c、
2d、2eとを備え、四周側面2b、2c、2d、2e
中、三側面2c、2d、2eは、底板2jに一体形成さ
れており、他の一側面2bが、三側面2c、2d、2e
から分離可能に設けられている。より具体的に説明する
と、三側面2c、2d、2e中、対向配置された一対の
側面2c、2eの各々には、一端部から所定距離離れた
位置に、溝2f、2fが互いに対向する位置に設けら
れ、溝2f、2fの各々に、一側面2bを挿入すると、
四周側面2b、2c、2d、2eが形成され、一側面2
bを溝2f、2fから上方に引き抜けば、容易に、一側
面2bを、他の三側面2c、2d、2eから分離できる
ようになっている。
【0126】また、蓋体3Bの空気流通孔h3には、無
菌フィルター取付手段4が設けられ、無菌フィルター取
付手段4には、無菌フィルター5が収容されたハウジン
グ6が気密に取り付けられるようになっている。尚、無
菌フィルター取付手段4及びハウジング6の構成は、図
1に示す凍結乾燥製品製造用器具1と同様であるので、
説明を容易とするため、ここでは、その説明を省略す
る。
【0127】この凍結乾燥製品製造用器具1Bも、図1
に示す凍結乾燥製品製造用器具1と同様の効果を奏する
が、更に、この凍結乾燥製品製造用器具1Bでは、無菌
フィルター5を側面に設けているので、複数の凍結乾燥
製品製造用器具1B、・・・、1Bを上方向に容易に積
み上げることができるという効果もある。また、この凍
結乾燥製品製造用器具1Bで用いるトレイ2Bは、従来
のトレイ102aと同様の構成であるので、従来のトレ
イ102aを転用して使用できるという効果もある。
【0128】また、この凍結乾燥製品製造用器具1Bの
コンテナ本体2のケース体9の側面9cに、図6に示し
た凍結乾燥製品製造用器具1Aの油圧シリンダー挿通孔
h3aと、油圧シリンダー挿通孔h3aを気密に密閉す
るとともに、伸縮自在で、且つ、弾性を有する伸縮部材
7と、伸縮部材7に気密に接合され、伸縮部材7の上下
方向の伸縮に伴って、蓋体3内を上下に移動する板体8
と同様の機構を設ければ、凍結乾燥装置11Aを用いる
ことで、発明の実施の形態2と同様、凍結乾燥装置11
Aの乾燥庫12内において、凍結乾燥製品製造用器具1
Aを蓋体3Bで蓋をした状態のまま、バイアル内に所望
の凍結乾燥物が収容され、ゴム栓が全打栓された凍結乾
燥製品を製造することができる。
【0129】また、図12に示す凍結乾燥製品製造用器
具1Cは、凍結乾燥製品製造用器具1とは、コンテナ本
体2の構成が異なっている。この器具1Cでは、コンテ
ナ本体2は、更に、底板2aと、トレイ2Cとに分離で
きるようにしてある。尚、トレイ2Cの構成は、トレイ
2Bの構成と同様であるので、相当する部材には相当す
る参照符号を付して、ここでの説明は、省略する。
【0130】この凍結乾燥製品製造用器具1Cでは、ト
レイ2Cが、従来のトレイ102aと同様の構成である
ので、従来のトレイ102aを転用して使用できるとい
う効果もある。また、図13は、そのような変形例の他
の一例を概略的に示す分解斜視図であり、図13に示す
凍結乾燥製品製造用器具1Dは、以下の構成以外は、図
1に示す凍結乾燥製品製造用器具1と同様であるので、
説明を容易とするため、相当する部材装置については、
相当する参照符号を付して、その説明を省略する。
【0131】この凍結乾燥製品製造用器具1Dは、蓋体
3に設けられた空気流通孔h3に、蓋体3の外側へ突設
するように無菌フィルター取付手段4を更に設けてい
る。無菌フィルター取付手段4は、空気流通孔h3に気
密に取り付けられる空気流通配管4aと、空気流通配管
4aの先端部に気密に取り付けられ、且つ、空気流通配
管4aの外方に形成された鍔体4bとを備える。以上の
構成は、凍結乾燥製品製造用器具1と同様であるが、こ
の凍結乾燥製品製造用器具1Dは、無菌フィルター5を
無菌フィルター取付手段4の鍔体4aの上に載置し、更
に、無菌フィルター4aが載置された無菌フィルター取
付手段4の鍔体4bの上に、無菌フィルター取付手段4
の鍔体4bと気密に接合可能な鍔体10eを有し、且
つ、その上面には、開口部h10を有する蓋体10を、
無菌フィルター取付手段4の鍔体4bと蓋体10の鍔体
10bとを気密に取り付けるようにしている点で、凍結
乾燥製品製造用器具1と異なっている。
【0132】より詳しく説明すると、この凍結乾燥製品
製造用器具1Dは、図14に示すように、無菌フィルタ
ー取付手段4の鍔体4bの上面には、環状の溝4cが形
成されており、また、蓋体10の鍔体10bの下面(鍔
体4bに対向する面)にも、無菌フィルター取付手段4
の鍔体4bの上面に設けられた環状の溝4cに対応する
ように、環状の溝10cが形成されている。更に、この
凍結乾燥製品製造用器具1Dは、無菌フィルター取付手
段4の鍔体4bの上面に設けられた環状の溝4c、及
び、蓋体10の鍔体10bの下面(鍔体4bに対向する
面)に設けられた環状の溝10cの双方に嵌り合う、ゴ
ム状の弾性材料で製されたパッキン(Oリング)Pと、
クランプKとを備える。
【0133】クランプKは、図13に示すように、2つ
の半体Ka、Kbとからなるリング部が、ボルト等の固
着手段Kcにより、互いに、回動可能に設けられてお
り、更に、半体Ka、Kbの各々には、固着手段Kcが
設けられた側と反対の端部に、ネジ孔hKa、hKbが
設けられ、ネジ孔hKa、hKbに、図示するように、
ネジNを螺進すると、半体Ka、Kbが、半体Ka、K
bにより挟まれる部材を締め付けることができるように
なっている。
【0134】また、半体Ka、Kbの各々の内周面SK
a、SKbは、無菌フィルター取付手段4の鍔体4bの
上面と蓋体10の鍔体10bの下面とを対向配置させた
時の形状と概ね同一形状とされており、無菌フィルター
取付手段4の鍔体4bの上面に設けられた環状の溝4
c、及び、蓋体10の鍔体10bの下面(鍔体4bに対
向する面)に設けられた環状の溝10cの双方にパッキ
ン(Oリング)Pを嵌め合わせた後、無菌フィルター取
付手段4の鍔体4bの上面と蓋体10の鍔体10bの下
面とを対向配置させた後、対向配置させた無菌フィルタ
ー取付手段4の鍔体4bと対向配置させた後、これら
を、半体Ka、Kbで挟み、ネジNを締め付けて行く
と、クランプKが、パッキン(Oリング)Pを押しつぶ
し、無菌フィルター取付手段4の鍔体4bの上面と蓋体
10の鍔体10bの下面とを気密に密着させることがで
きるようになっている。
【0135】また、この例では、蓋体10の上面の開口
部h10に、開口部h10を取り囲むように起立した周
壁10dを更に設けている。この凍結乾燥製品製造用器
具1Dも、図1に示す凍結乾燥製品製造用器具1と同様
の効果を奏するが、更に、この凍結乾燥製品製造用器具
1Dでは、無菌フィルター取付手段4の鍔体4bに無菌
フィルター5を載置し、更に、無菌フィルター5が載置
された無菌フィルター取付手段4の鍔体4bの上に、無
菌フィルター取付手段4の鍔体4bと気密に接合可能な
鍔体10bを有し、且つ、その上面には、開口部h10
を有する蓋体10を、無菌フィルター取付手段4の鍔体
4bに気密に取り付けるようにしているので、空気流通
孔h10へ無菌フィルター5を容易に取り付けることが
できる。
【0136】また、凍結乾燥製品製造用器具1、1A、
1C及び1Dでは、蓋体3の上面に無菌フィルター取付
手段4を設けた例を示したが、蓋体3の側面に無菌フィ
ルター取付手段4を設ければ、凍結乾燥製品製造用器具
1Bと同様に、複数の凍結乾燥製品製造用器具1、1
A、1C及び1Dを上方向に容易に積み上げることがで
きるようになる。
【0137】また、以上の説明では、凍結乾燥製品製造
用器具1、1A、1B、1C及び1Dとして、蓋体3、
3Bを閉じた状態において、コンテナ本体2との接合部
を気密にする機構としては、蓋体3の下端面3sと、コ
ンテナ本体2の上面2sとをともに鏡面加工するように
したものを示したが、蓋体3、3Bの下端面3sとコン
テナ本体2の上面2sとの少なくとも一方に、シリコン
ゴム等の弾性体を設けるようにしてもよい。
【0138】また、凍結乾燥製品製造用器具1、1A、
1B、1Cのハウジング6の底面S6bと無菌フィルタ
ー取付手段4の鍔体4bとの気密な接合を達成する手段
として、凍結乾燥製品製造用器具1Dと同様の機構を採
用しても良い。即ち、ハウジング6の底面S6bに環状
の溝6cを形成し、無菌フィルター取付手段4の鍔体4
bに環状の溝4cを形成し、パッキン(Oリング)Pと
クランプKとを用いて、ハウジング6の底面S6bと無
菌フィルター取付手段4の鍔体4bとの気密な接合を達
成するようにしてもよい。 (発明の実施の形態4)何等かが原因して、無菌充填室
と凍結乾燥装置11が設置された無菌室とをつなぐ通路
の無菌処理が十分でなく、この通路が、細菌やほこり等
で汚染されていると、凍結乾燥製品製造用器具1内は、
細菌やほこり等によって汚染されることはなくても、凍
結乾燥製品製造用器具1の外表面には、細菌やほこり等
が付着し、凍結乾燥製品製造用器具1の外表面が細菌や
ほこり等で汚染される場合があり、外表面が細菌やほこ
り等で汚染された凍結乾燥製品製造用器具1をそのま
ま、凍結乾燥装置11が設置された無菌室に搬入する
と、凍結乾燥装置11が設置された無菌室が、凍結乾燥
製品製造用器具1の外表面に付着している細菌やほこり
等によって汚染されることとなる。
【0139】発明の実施の形態4では、無菌充填室をよ
り無菌状態に維持するために提案する凍結乾燥製品製造
用器具の搬送方法の好ましい例について説明する。図1
5は、凍結乾燥製品製造用器具1の搬送を行う際の好ま
しい搬送装置の構成の一例を模式的に示す構成図であ
る。図15に示す凍結乾燥製品製造用器具1の搬送装置
21は、このような汚染を防止するために提案される装
置であって、凍結乾燥装置11が設置された無菌室R0
と、無菌室R0内に設置される無菌充填室R1に付設さ
れた、気密な密閉された部屋22を備え、部屋22に
は、無菌室R0側に開閉自在に設けられ、且つ、閉じた
状態では、部屋22を気密に密閉可能な扉23と、無菌
充填室R1側に、開閉自在に設けられ、且つ、閉じた状
態では、部屋22と無菌充填室R1とを気密に遮断でき
るように設けられた搬入扉24とを備える。更に、部屋
22には、バルブ手段25を介して、圧縮ボンベ等の空
気源(図示せず)から発生させ、無菌フィルター26を
経由した乾燥空気を供給するエアシャワ27と、部屋2
2に供給された乾燥空気を、吸引して大気中に排出す
る、吸引ポンプ等の空気排出手段28とが設けられてい
る。尚、29は、無菌フィルターを示している。
【0140】図16は、搬送装置21を用いて、凍結乾
燥装置11の乾燥庫12内から、凍結乾燥物Mfが収容
されたバイアルv、・・・が収容され、蓋体3により蓋
がされた凍結乾燥製品製造用器具1を、凍結乾燥装置1
1が設置された無菌室R0内に設置された無菌充填室R
1内へ搬入する手順を概略的に示す説明図である。ま
ず、図16(a)に示すように、搬入扉24を閉じられ
ていることを確認した上で、扉23を開き、搬送されて
きた凍結乾燥製品製造用器具1、・・・を部屋22内に
収容する。
【0141】次に、図16(b)に示すように、搬入扉
24を閉じた状態にしたままで、扉23を閉じ、その
後、バルブ手段25を開き、圧縮ボンベ等の空気源(図
示せず)から発生させ、無菌フィルター26を経由した
乾燥空気をエアシャワ27から容器22内へ供給し、こ
の乾燥空気により凍結乾燥製品製造用器具1の外表面に
付着している細菌やほこり等を吹き飛ばすとともに、空
気排出手段28を駆動して、凍結乾燥製品製造用器具1
の外表面から吹き飛ばされた細菌やほこり等とともに、
容器22内へ供給された乾燥空気を容器22から排出す
る。
【0142】この操作を所定時間行った後、バルブ手段
25を閉じ、空気源(図示せず)を停止し、エアシャワ
27からの無菌フィルター26を経由した乾燥空気を容
器22内への供給を停止する。次に、図16(c)に示
すように、扉23を閉じた状態にしたままで、且つ、空
気排出手段28の駆動を保持した状態で、搬入扉24を
開き、凍結乾燥製品製造用器具1を、無菌充填室R1内
へ搬入する。
【0143】この搬入装置21を用いれば、凍結乾燥装
置11が設置された無菌室の無菌化処理が十分でなく、
細菌やほこり等で汚染されていても、無菌充填室R1に
凍結乾燥製品製造用器具1を搬入する前に、部屋22内
で、凍結乾燥製品製造用器具1の外表面に付着した細菌
やほこり等を除去できるので、凍結乾燥製品製造用器具
1を搬入する際に、無菌充填室R1が汚染されるという
事故を未然に防ぐことができる。
【0144】且つ、搬入扉24を開く際に、空気排出手
段28の駆動を保持した状態にしているので、搬入扉2
4を開いた時には、無菌充填室R1から部屋22方向へ
空気の流れが生じるので、搬入扉24を開いた際にも、
無菌充填室R1が汚染され難い。尚、この例では、内部
に、凍結乾燥物の入った容器が収容された、凍結乾燥製
品製造用器具1の外表面に付着した細菌やほこり等を、
無菌充填室R1内に搬入する前に、部屋22内で、無菌
フィルター26を経由した乾燥空気により吹き飛ばす例
を示したが、これは例示であって、部屋22内にノズル
手段(図示せず)を設け、ノズル手段(図示せず)か
ら、無菌フィルター26を経由した乾燥空気により、霧
状にした過酸化水素の水溶液等の殺菌消毒剤を凍結乾燥
製品製造用器具1の外表面に吹き付けて、凍結乾燥製品
製造用器具1の外表面を殺菌消毒し、無菌状態にしてか
ら、凍結乾燥製品製造用器具1を無菌充填室R1に搬入
もよく、また、部屋22内に、殺菌消毒用の紫外線ラン
プを設け、紫外線ランプを点灯することで、凍結乾燥製
品製造用器具1の外表面を殺菌消毒し、てから、凍結乾
燥製品製造用器具1を無菌充填室R1に搬入もよい。
【0145】また、この例では、凍結乾燥製品製造用器
具として、凍結乾燥製品製造用器具1を搬送する例につ
いて説明したが、これは、単に説明するために用いたの
であって、凍結乾燥製品製造用器具は、凍結乾燥製品製
造用器具1に限られず、凍結乾燥製品製造用器具1A、
1B、1C、1Dであってもよいことは、言うまでもな
い。 (発明の実施の形態5)発明の実施の形態4では、本発
明に係る凍結乾燥製品製造用器具の外表面を殺菌消毒
し、無菌状態にしてから、無菌充填室R1に搬入する例
について説明したが、凍結乾燥製品製造用器具を気密な
搬送容器内に更に入れて、凍結乾燥製品製造用器具の外
表面が細菌等によって汚染されないようにして、無菌充
填室R1に搬入する、凍結乾燥製品製造用器具の搬送方
法も、凍結乾燥製品製造用器具を無菌充填室R1に搬入
する際に、無菌充填室R1が汚染されるという事故を防
ぐのに有効である。
【0146】図17及び図18は、凍結乾燥製品製造用
器具1の搬送を行う際の好ましい装置の構成の他例を模
式的に示す断面図である。凍結乾燥装置11が設置され
た無菌室R0は、その容積が大きく、且つ、隙間の密閉
も常に完全に維持するのが難しく、そのような容積の大
きい場所の無菌化処理を完全に行うのは難しく、且つ、
そのような容積の大きい場所を気密状態に保つ構造にす
るには、莫大な経費がかかるという問題がある。そし
て、凍結乾燥装置11が設置された無菌室R0が、細菌
やほこり等で汚染されていると、凍結乾燥製品製造用器
具1内は、細菌やほこり等によって汚染されることはな
くても、凍結乾燥製品製造用器具1の外表面には、細菌
やほこり等が付着し、凍結乾燥製品製造用器具1の外表
面が細菌やほこり等で汚染される場合があり、外表面が
細菌やほこり等で汚染された凍結乾燥製品製造用器具1
をそのまま、凍結乾燥装置11が設置された無菌室R0
内に設置された無菌充填室内R1に搬入すると、無菌充
填室R1が、凍結乾燥製品製造用器具1の外表面に付着
している細菌やほこり等によって汚染されることとな
る。
【0147】ところが、小さい気密なスペースを無菌状
態にするのは比較的容易である。図17及び図18に示
す凍結乾燥製品製造用器具の搬送装置は、このような考
えに基づいて提案される搬送装置であって、この搬送装
置61(図19を参照)は、可搬型容器31(図17を
参照)と、図18に示すような、無菌充填室R1の壁W
等に固定的に取り付けられるコネクタ41と、コネクタ
41に着脱自在に且つコネクタ41に嵌め込んだ状態
で、コネクタ41に気密に取り付けられるようにされた
蓋体52との組合せによって構成される。
【0148】可搬型容器31は、図17(a)に示すよ
うに、開口部32hを有するコンテナ32と、コンテナ
32の開口部32hに開閉自在に、且つ、閉じた状態で
は、コンテナ32内を気密に保つことができるようにさ
れた蓋体33とを備える。コンテナ32は、底面を有す
る円柱形状のコンテナ下部体32aと、コンテナ下部体
32aの上方に、コンテナ下部体32aの内径d1より
大きい内径d2(d2>d1)を有する円柱形状のコン
テナ上部体32bとが組み合わされて一体とされた形状
となっている。又、コンテナ上部体32bの外周には、
外周を巻周りするように且つ外周から外方向に突出する
ように、一対のリング体32c1、32c2が設けられ
ている。この例では、一対のリング体32c1、32c
2の一方のリング体32c1の断面は、四角形形状とな
っており、また、他方のリング体32c2の断面形状
は、一方のリング体32c1に近い側に傾斜面t1が設
けられた、先端側が先細る形状の台形形状となってい
る。コンテナ32の材質としては、金属や樹脂を用いる
ことができ、特に限定されることはないが、この例で
は、ステンレスを用いている。
【0149】蓋体33は、平面視した場合、円形形状を
しており、コンテナ上部体32bの内径d2と同じ直径
d3(d3=d2)を有し、コンテナ上部体32bに嵌
めあわされると、コンテナ上部体32bの内壁面W32
bに気密に密着する接合面S33aを有する蓋体部33
aと、蓋体部33aの下方に、末広がりに設けられ、外
形が略円錐台形状で、断面が、略ハ字形状の脚部33b
を備える。また、脚部33bの下端の直径d4は、コン
テナ上部体32bの内径d2とほぼ等しくされており、
且つ、蓋体部33aの上面から脚部33bの下端までの
高さH1が、コンテナ上部体32bの高さH2と等しく
されており(H1=H2)、蓋体33をコンテナ32に
嵌め込んだ際に、脚部33bの下端が、コンテナ上部体
32bの内径d2とコンテナ下部体32aと内径d1と
の差により形成される段部32dに当接し、図17
(b)に示すように、コンテナ上部体32bに、蓋体3
3の蓋体部33aの上面が、面一になるようにされてい
る。
【0150】また、蓋体33は、脚部33bが設けられ
た側に対向する側に、中空室33h1と、中空室33h
1に連通する空気流通孔33h2とが設けられ、空気流
通孔33h2を形成する内壁面W33h2には、ネジ溝
が形成されている。尚、蓋体33の材質としては、金属
や樹脂を用いることができ、特に限定されることはない
が、この例では、ステンレスを用いている。
【0151】コネクタ41は、図18(a)に示すよう
に、無菌充填室R1の壁W等に固定的に取り付けられる
ものであり、コネクタ本体42と、コネクタ本体42に
脱着可能に設けられ、コンテナ32を気密に取り付ける
ためのコンテナ取り付け枠体43とを備える。コネクタ
本体42は、その一部が、無菌充填室R1の外壁および
内壁の各々から突出するように設けられており、内径d
7で高さH4の穴部42h1と、内径d8で高さH5の
穴部42h2と、内径d9で高さH6の穴部42h3と
が連通されて形成された貫通口42hを有し、且つ、貫
通口42hの内周面が、鏡面加工された構造になってい
る。
【0152】また、コネクタ本体42の、無菌充填室R
1の外壁側から突出した部分の外表面には、リング部4
2aが設けられ、リング部42aの外周には、ネジ溝が
形成されている。尚、コネクタ本体42の材質として、
金属や樹脂を用いることができ、特に限定されることは
ないが、この例では、ステンレスを用いている。
【0153】コンテナ取り付け枠体43は、ステンレス
等の金属で製せられたリング体44と、リング体44の
外表面に固定的に取り付けられた、シリコーンゴム等の
弾性体材料で形成されたリング状の弾性体リング部45
とを備える。リング体44の内周面には、ネジ溝が形成
され、リング部42aに対して、コンテナ取り付け枠体
43を回動すると、リング部42aの外周に設けられた
ネジ溝に、リング体44の内周面に設けられたネジ溝と
が螺合して、リング部42aに、リング体44が気密に
取り付けられるようになっている。
【0154】弾性体リング部45は、その内径d10
が、コンテナ上部体32bの外周に巻周りするように設
けられた一対のリング体32c1、32c2の間の外径
(図17(a)に示す外径d6)より少しだけ小さくさ
れている(d10<d6)。また、その断面が、コンテ
ナ上部体32bの外周に巻周りするように設けられた、
他方のリング体32c2に設けられた傾斜面t1に整列
するように設けられた傾斜面t2を有する、先端が先細
る台形形状となっており、且つ、台形形状の上底H7
が、コンテナ上部体32bの外周に巻周りするように設
けられた一対のリング体32c1、32c2の間隔(図
17(a)に示す間隔H2)と等しくされている(H7
=H2)。
【0155】また、穴部42h1の内径d7は、コンテ
ナ本体32に設けられた一方のリング体32c1の外径
(図8(a)に示す一方のリング体32c1の外径d1
4)に等しくされており(d7=d14)、高さH4
は、一方のリング体32c1の高さ(図17(a)に示
す一方のリング体の高さH14)よりやや小さくされて
おり(H4<H14)、蓋体33の一方のリング体32
c1を穴部42h1に嵌合すると、弾性体リング部45
が、蓋体33の一方のリング体32c1によって弾性変
形し、弾性体リング部45と、蓋体33の一方のリング
体32c1とが、互いに、気密に密着するようになって
いる。
【0156】蓋体51は、図18(a)に示すように、
円柱体部52aと、円柱体部52bと、円柱体部52c
とが連結された蓋体部52と、蓋体51をコネクタ本体
42に着脱するのに便利なように設けられた取っ手53
とを備える。円柱体部52aは、その外径d11が、コ
ネクタ本体42の穴部42h3の内径d9に等しくされ
ており(d11=d9)、且つ、その高さH8が、穴部
42h3の高さH6と等しくされている(H8=H
6)。
【0157】円柱体部52bは、その外径d12が、コ
ネクタ本体42の穴部42h2の内径d8に等しくされ
ており(d12=d8)、且つ、その高さH9が、穴部
42h2の高さH5と等しくされている(H9=H
5)。更に、コネクタ本体42の穴部42h2の内径d
8は、蓋体33の蓋体部33aの直径d3と等しくされ
ている(d12=d8=d3)。
【0158】そして、コネクタ本体42に、蓋体51を
嵌め合わせると、円柱体部52aが、コネクタ本体42
の穴部42h2の内径d8と穴部42h3の内径d9と
の差により形成される段部にひっかかり、蓋体51の円
柱体部52aの外径d12と円柱体部52bの外径d1
3との差により形成される上面S2が、コネクタ本体4
2の穴部42h1の内径d7と穴部42h2の内径d8
との差により形成される面と面一になるように気密に接
合されるようになっている(図17(b)を参照)。
【0159】円柱体部52cは、その外径d12が、蓋
体33の蓋体部33aに設けられた空気流通孔33h2
の内径d5に等しくされており(d12=d5)、その
周壁には、空気流通孔33h2の内壁面W33h2に設
けられたネジ溝が螺合するネジ溝が設けられ、且つ、そ
の高さH10が、蓋体33の蓋体部33aの上面から中
空室33h1の底面までの高さH3と等しくされており
(H10=H3)、蓋体51に対して、蓋体33を回動
すれば、蓋体51の円柱体部52cの周壁と、空気流通
孔33h2の内壁面W33h2に設けられたネジ溝が螺
合して、蓋体51の上面S2と蓋体33の上面S1とが
互いに気密に密着するようになっている。
【0160】この搬送装置61(図19を参照)は、以
上の構成を備えるので、例えば、クラス100をクリア
するとともに、層流状態に厳しく管理維持された無菌室
R0で、コンテナ32に蓋体33を用いて蓋をすれば、
コンテナ32内が気密に保たれるので、蓋体33により
蓋をした後、可搬型容器31を無菌室R0内を搬出して
も、可搬型容器31の外部に露呈している部分だけが汚
染されるだけで、コンテナ内部は、あまり汚染されるこ
とがない。
【0161】ついで、蓋体33により蓋がされたコンテ
ナ32を、蓋体51により蓋がされたコネクタ41に、
コンテナ32の一方のリング体32c1の一部を、コネ
クタ41の穴部42h1と弾性体リング部45とにより
形成される凹部に差し込んで、コンテナ32を回動し、
蓋体51の円柱体部52cの周壁に設けられたネジ溝と
蓋体33の空気流通孔33h2の内壁面W33h2に設
けられたネジ溝とを螺合していけば、次第に、弾性体リ
ング部45が弾性変形し、ついには、一方のリング体3
2c1を乗り越え、コネクタ41の穴部42h1と弾性
体リング部45とにより形成される凹部に一方のリング
体32c1に気密に嵌合し、且つ、弾性体リング部45
の傾斜面t2と、他方のリング体32c2の傾斜面t1
とが気密に当接し、且つ、蓋体51の上面S2と蓋体3
3の上面S1とが互いに気密に密着する(図19(a)
を参照)。
【0162】この状態では、コンテナ32とコネクタ4
1とが気密に接合しているので、取っ手53を無菌充填
室R1側に、蓋体33が螺合した蓋体51を引き抜いて
も、外気が無菌充填室R1に流入することが無いので、
無菌充填室R1内が細菌等により、ほとんど汚染されな
い。且つまた、蓋体51には蓋体33が螺合しているの
で、蓋体33が螺合した蓋体51を引き抜いても、蓋体
33の外部に露呈していた部分と、蓋体51の外部に露
呈していた部分とが、互いに、気密に密着しているの
で、蓋体33の外部に露呈していた部分や、蓋体51の
外部に露呈していた部分に付着していた細菌等が、無菌
充填室R1内にまき散らされる虞れも無い(図19
(b)を参照)。
【0163】図20及び図21は、凍結乾燥製品製造用
器具1を用い、且つ、搬送装置61を用いた、凍結乾燥
製剤の製造方法の一例を概略的に示す工程図である。こ
の製造方法では、乾燥工程が終了後、まず、クラス10
0をクリアするとともに、層流状態に厳しく管理維持さ
れた無菌室R0内で、図3(a)に示した手順にしたが
って、凍結乾燥物Mf、・・・の各々が収容されたバイ
アルv、・・・が収容され、無菌フィルター5が設けら
れた空気流通孔h3を有する蓋体3により蓋がされた凍
結乾燥製品製造用器具1を無菌化処理がされたコンテナ
32内に、速やかに、収容し、無菌化処理がされた蓋体
33を用いて、コンテナ32を気密に密閉する(以上に
ついては、図20(a)を参照)。
【0164】次に、内部には、凍結乾燥物Mf、・・・
が収容されたバイアルv、・・・が収容され、蓋体3に
より蓋がされた凍結乾燥製品製造用器具1が収容され、
蓋体33により気密に蓋がされた可搬容器31を、無菌
充填室R1へ搬送する(図20(b)を参照)。そし
て、無菌充填室R1の壁Wに設置されている、蓋体51
により蓋がされたコネクタ41に、蓋体33により気密
に蓋がされた可可搬容器31を接続する(図20(c)
及び図21(a)を参照)。
【0165】次に、図21(b)に示すように、取っ手
53を用いて、可搬容器31の蓋体33が気密に螺合さ
れた蓋体51をコネクタ41から引き抜いて、コンテナ
32内に収容されている凍結乾燥製品製造用器具1を無
菌充填室R1内に搬入する。以下、無菌充填室R1内
で、凍結乾燥製品製造用器具1の蓋体3を取り外し、凍
結乾燥製品製造用器具1のコンテナ本体2内に収容さ
れ、内部には、凍結乾燥物Mf、・・・が収容されたバ
イアルv、・・・の各々に、ゴム栓c、・・・を全打栓
して、バイアル入りの凍結乾燥製剤を製造する。
【0166】この搬入装置61を用いれば、凍結乾燥装
置11が設置された無菌室R0の無菌化処理が十分でな
く、細菌やほこり等で汚染されていても、凍結乾燥製品
製造用器具1を、蓋体33により気密に蓋をされた可搬
容器31内に収容して、無菌充填室R1に搬入できる。
したがって、凍結乾燥物Mf、・・・の各々が収容され
た複数のバイアルv、・・・は、凍結乾燥製品製造用器
具1と、蓋体33により気密に蓋がされた可搬容器31
とにより2重に細菌等から保護されるので、複数のバイ
アルv、・・・の各々内に収容された被乾燥物Mrが、
より一層、細菌等により汚染されにくい。
【0167】且つ、この搬送装置61を用いれば、凍結
乾燥製品製造用器具1の外部に露呈している表面にも細
菌等が付着することがほとんどなく、且つ、凍結乾燥製
品製造用器具1の無菌充填室R1への搬入も、凍結乾燥
装置11が設置された無菌室R0とは概ね遮断された状
態で行われるので、万一、凍結乾燥装置11が設置され
た無菌室R0が細菌等によって汚染されていても、凍結
乾燥製品製造用器具1の無菌充填室R1への搬入の際
に、無菌充填室R1が汚染されることがない。
【0168】図22は、乾燥庫12から、凍結乾燥製品
製造用器具1を取り出して、凍結乾燥製品製造用器具1
の蓋体3を外し、所望の凍結乾燥物が収容されたバイア
ルの各々にゴム栓を全打栓する、最後の工程に用いる装
置を概略的に説明する構成図である。この装置71は、
無菌室R0内に設置される装置であって、気密室72
と、気密室72内へ流す、無菌フィルターにより無菌化
した乾燥空気(場合によっては、窒素ガス)の供給量を
調整したり停止したりする、ガス供給コントローラ73
と、気密室72の壁面に設けられた、ガス供給コントロ
ーラ73により調整された、無菌フィルターにより無菌
化した乾燥空気(場合によっては、窒素ガス)を更に無
菌化するために設けられた無菌フィルター74と、気密
室72内に無菌フィルター74を介して供給された乾燥
空気(場合によっては、窒素ガス)をフィルター74を
介して無菌室R0外の大気中に排出する排出口75とを
備える。気密室72の壁面には、更に、図17に示した
ような搬送装置61のコネクタ41が設けられ、コネク
タ41には、開閉自在に、且つ、閉じた状態では、コネ
クタ41に気密に取り付けられる蓋体51が設けられて
いる。
【0169】また、気密室72内には、ハーフスーツタ
イプの気密服76が、気密に取り付けられており、気密
服76内へは、空気供給コントローラ77により、気密
服を着る作業員へ、無菌フィルターにより無菌化した空
気が供給され、気密服76内へ供給された空気が、無菌
室R0外の大気へ排出されるようになっている。この装
置71を用いて、所望の凍結乾燥物が収容されたバイア
ルの各々にゴム栓を全打栓する際には、図5に示した工
程で、凍結乾燥製品製造用器具1を凍結乾燥庫21から
搬出した後、無菌室R0内で、図17に示したような可
搬容器31のコンテナ32内に、凍結乾燥製品製造用器
具1を蓋体3で蓋した状態のまま収容し、その後、コン
テナ32を蓋体31により蓋をし、コンテナ32内を気
密に保持し、蓋体31により蓋がされた可搬容器31
を、装置71内に搬入する。
【0170】そして、図17及び図18に示した搬送装
置61を用い、図20(c)〜図21(b)に示した手
順と同様の手順で、無菌化され、所定の乾燥空気(場合
によっては、窒素ガス)が所定の供給量で供給されてい
る気密室72内に、凍結乾燥製品製造用器具1を搬入
し、気密服76を着た作業員が、凍結乾燥製品製造用器
具1の蓋体3をはずし、所望の凍結乾燥物Mf、・・・
が収容されたバイアルv、・・・の各々にゴム栓c、・
・・を全打栓する。
【0171】このようにすれば、全打栓の工程におい
て、凍結乾燥製品製造用器具1の蓋体3をはずしても、
所望の凍結乾燥物が収容されたバイアルv、・・・は、
無菌室R0と気密室72の2重機構により細菌等と遮断
されているので、万一、無菌室R0が細菌等に汚染され
ても、気密室72が細菌等に汚染されない限り、凍結乾
燥製品製造用器具1の蓋体3をはずしてから、所望の凍
結乾燥物Mf、・・・の各々が収容されたバイアルv、
・・・の各々にゴム栓c、・・・を全打栓するまでの間
に、バイアルv、・・・内が、細菌等によって汚染され
ることがない。
【0172】尚、以上の発明の実施の形態1〜4では、
いずれも、凍結乾燥製剤を製造する場合を例にとって説
明したが、本発明に係る凍結乾燥製品製造用器具及び本
発明に係る凍結乾燥製剤の製造方法は、医薬品の分野の
みに限られず、種々のフリーズドライ製品の製造に好適
に用いることができることは言うまでもない。
【0173】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、請求項1
に記載の凍結乾燥製品製造用器具では、蓋体の空気流通
孔に無菌フィルターを設け、蓋体を閉じた状態では、こ
の無菌フィルターを介してのみ、凍結乾燥製品製造用器
具の内外で空気の流通ができるようにしている。したが
って、この凍結乾燥製品製造用器具を用いて、凍結乾燥
製品を製造すれば、コンテナ本体内に、被乾燥物が収容
された容器を収容し、蓋体で蓋した状態のまま、凍結乾
燥製品製造用器具を凍結乾燥装置の乾燥庫内に収容して
も、乾燥庫内を真空にすれば、凍結乾燥製品製造用器具
内の空気も無菌フィルターを介して、凍結乾燥製品製造
用器具外へと吸引され、凍結乾燥製品製造用器具内も所
定の真空度になるので、凍結乾燥製品製造用器具内に収
容された被乾燥物を凍結乾燥製品製造用器具の蓋体を閉
めた状態で、凍結乾燥させることができる。しかも、凍
結乾燥装置の乾燥庫内を大気圧に戻すと、無菌フィルタ
ーを介して、凍結乾燥製品製造用器具内も大気圧に戻る
ので、一旦、無菌室内で、コンテナ本体内に、被乾燥物
が収容された容器を収容し、蓋体を用いて蓋をすれば、
その後は、蓋体を開くことなく、被乾燥物を凍結乾燥物
にすることができる。
【0174】このため、たとえ、凍結乾燥装置が設置さ
れた無菌室や、無菌充填室との間をつなぐ通路がある場
合には、その通路や、凍結乾燥装置の乾燥庫内が、万
一、細菌やほこり等によって汚染されるといった事態が
生じても、凍結乾燥製品製造用器具内が細菌やほこり等
によって汚染されない。請求項2に記載の凍結乾燥製品
製造用器具では、無菌フィルターをケース体の開口部に
設けているので、開口部が側面を向くようにすれば、複
数の凍結乾燥製品製造用器具を上方向に容易に積み上げ
ることができるという効果がある。また、トレイとして
従来から用いられているトレイをそのまま使用できると
いう効果もある。
【0175】請求項3に記載の凍結乾燥製品製造用器具
では、ハウジング内に収容された無菌フィルターを使用
しているので、空気流通孔へ無菌フィルターを容易に取
り付けることができる。しかも、蓋体に、蓋体の外側へ
突設するように設けられ、空気流通孔に気密に取り付け
られる空気流通配管と、空気流通配管の先端部に気密に
取り付けられ、且つ、空気流通配管の外方に形成された
鍔体とを備える無菌フィルター取付手段を取り付け、無
菌フィルターを収容するハウジングとして、上面に開口
部を有し、底面には、底面から突設するように設けら
れ、空気流通配管の内周に気密に取り付けられるように
された外周を有する管とを備え、且つ、底面が、鍔体に
気密に取り付けられるようになっているハウジングを用
いているので、無菌フィルターを収容されたハウジング
を無菌フィルター取付手段に、ハウジングの管を空気流
通配管に差し込んで気密に取り付け、且つ、ハウジング
の底面を鍔体に気密に取りけるようにすると、蓋体によ
り蓋がされた凍結乾燥製品製造用器具の器具内外のエア
ーや水分の流通は、無菌フィルターを介して、スムーズ
に行えるのに対し、ハウジングと無菌フィルター取付手
段との接合は、ハウジングの底面と無菌フィルター取付
手段の鍔体との接触面、及び、ハウジングの底面から突
設するように設けられた管と無菌フィルター取付手段の
空気流通配管との接触面とにより、気密になされている
ので、ハウジングの底面と無菌フィルター取付手段の鍔
体との接触面の気密性が壊れ、且つ、ハウジングの底面
から突設するように設けられた管と無菌フィルター取付
手段の空気流通配管との接触面の気密性が壊れない限
り、ハウジングと無菌フィルター取付手段との接合部か
ら、エアーや水分の流通することが有り得ない。
【0176】請求項4に記載の凍結乾燥製品製造用器具
では、ハウジングの上面に設けられた開口部に、開口部
を取り囲むように起立した周壁を更に設け、無菌フィル
ターに何等かが接触することが防止されるようにしたの
で、無菌フィルターが破壊され難い。請求項5に記載の
凍結乾燥製品製造用器具では、無菌フィルター取付手段
の鍔体に無菌フィルターを載置し、更に、無菌フィルタ
ーが載置された無菌フィルター取付手段の鍔体の上に、
無菌フィルター取付手段の鍔体と気密に接合可能な鍔体
を有し、且つ、その上面には、開口部を有する蓋体を、
無菌フィルター取付手段の鍔体と前記蓋体の鍔体とを気
密に取り付けるようにしているので、空気流通孔へ無菌
フィルターを容易に取り付けることができる。
【0177】請求項6に記載の凍結乾燥製品製造用器具
では、蓋体の上面に設けられた開口部に、開口部を取り
囲むように起立した周壁を更に設け、無菌フィルターに
何等かが接触することが防止されるようにしたので、無
菌フィルターが破壊され難い。請求項7に記載の凍結乾
燥製品製造用器具では、蓋体を開くことなく、凍結乾燥
装置の乾燥庫内において、凍結乾燥製品製造用器具内に
収容され、容器内には、凍結乾燥物が形成されるので、
より一層、細菌等に汚染されていることのない凍結乾燥
製品を製造できる。更に、半打栓状態で取り付けられた
容器のゴム栓を全打栓できるので、特に、乾燥凍結物を
長期に保存するために、容器内を窒素ガス又は真空状態
に保つ必要がある乾燥凍結製品を製造するのに適してい
る。
【0178】請求項8に記載の凍結乾燥製品の製造方法
では、無菌環境下において、被乾燥物が収容された容器
をコンテナ本体に収容したコンテナ本体を、無菌フィル
ターが設けられた空気流通孔を有する蓋体により、コン
テナ本体と蓋体との接合部を気密に密閉すれば、後は、
蓋体を開くことなく、被乾燥物を凍結乾燥物にできるの
で、万一、凍結乾燥装置が設置された無菌室や凍結乾燥
装置の乾燥庫内等が、細菌やほこり等によって汚染され
るといった事態が生じても、そのような細菌やほこり等
は、必ず、無菌フィルターに捕捉(トラップ)されるの
で、凍結乾燥製品製造用器具内が、細菌やほこり等によ
って汚染されることがない。これにより、細菌やほこり
等によって汚染されることなく、凍結乾燥物を製造する
ことができる。
【0179】また、この凍結乾燥製品の製造方法は、新
たに、凍結乾燥製品製造用器具を作製するだけで良いの
で、例えば、FDAの厳格な基準を満たすために、新た
な凍結乾燥装置を購入したり、新たな厳格な無菌室を建
設するといったような設備投資をする場合に比べ、設備
投資を小さく抑えることができる。且つ、厳格な無菌管
理は、凍結乾燥製品製造用器具の蓋体を開いた状態にす
る場所、具体的には、無菌充填室だけで十分であるの
で、凍結乾燥工程の無菌管理が容易となる。
【0180】請求項8に記載の凍結乾燥製品の製造方法
では、無菌環境下において、容器内に凍結乾燥する被乾
燥物を収容し、被乾燥物が収容された容器をコンテナ本
体に収容し、コンテナ本体を無菌フィルターが設けられ
た空気流通孔を有する蓋体により、コンテナ本体と蓋体
との接合部を気密に密閉すれば、後は、蓋体を開くこと
なく、被乾燥物を凍結乾燥物にできるので、万一、凍結
乾燥装置が設置された無菌室や、凍結乾燥装置の乾燥庫
内が、細菌やほこり等によって汚染されるといった事態
が生じても、そのような細菌やほこり等は、無菌フィル
ターによって捕捉(トラップ)されるので、コンテナ本
体には、そのような細菌やほこり等が侵入することはな
い。これにより、細菌やほこり等によって汚染されるこ
となく、凍結乾燥物を製造することができる。また、こ
の凍結乾燥製品の製造方法は、新たに、凍結乾燥製品製
造用器具を作製するだけで良いので、例えば、FDAの
厳格な基準を満たすために、新たな凍結乾燥装置を購入
したり、新たな厳格な無菌室を建設するといったような
設備投資をする場合に比べ、設備投資を小さく抑えるこ
とができる。且つ、厳格な無菌管理は、凍結乾燥製品製
造用器具の蓋体を開いた状態にする場所、具体的には、
無菌充填室だけで十分であるので、凍結乾燥工程の無菌
管理が容易となる。
【0181】請求項9に記載の凍結乾燥製品の製造方法
では、凍結乾燥工程の後に、更に、蓋体により蓋をされ
たコンテナ本体の外側を無菌にした後、外側を無菌にさ
れ、蓋体により蓋をされたコンテナ本体の蓋体を無菌環
境下において取り外すようにしているので、蓋体により
蓋をされたコンテナ本体を無菌環境下、即ち、無菌充填
室等に搬入する際に、無菌充填室等が汚染されない。
【0182】請求項10に記載の凍結乾燥製品の製造方
法では、製造用器具内に収容する被乾燥物が収容された
容器として、先端部に注射針取付部を有する注射器外筒
を用い、注射針取付部をキャップで気密に蓋をし、キャ
ップで気密に蓋がされた注射器外筒内に被乾燥物を収容
し、その後、この注射器外筒をコンテナ本体内に収容
し、コンテナ本体を蓋体で蓋をし、その後、凍結乾燥製
品製造用器具の蓋体を開けることなく、被乾燥物を所望
の凍結乾燥物にし、厳格なクリーンな環境で、蓋体を開
けるようにすれば、注射器外筒が細菌等によって汚染さ
れることがないので、注射器外筒の所定の位置に第1の
栓体を気密に取り付けた後、注射器外筒の第1の栓体の
後部を高圧蒸気滅菌等の無菌化処理をすることなく、注
射器外筒の第1の栓体の後部に溶解液を収容することが
できる。
【0183】請求項11に記載の凍結乾燥製品の製造方
法では、凍結乾燥工程の後に、更に、蓋体により蓋をさ
れたコンテナ本体の外側を無菌にしてから、外側を無菌
状態にした蓋体により蓋をされたコンテナ本体を無菌環
境下、即ち、無菌充填室等に搬入するようにしているの
で、蓋体により蓋をされたコンテナ本体を無菌充填室等
に搬入する際に、無菌充填室等が汚染されない。これに
より、より無菌な環境下で、容器兼注射器型の凍結乾燥
製剤を製造できる。
【0184】請求項12に記載の凍結乾燥製品の製造方
法では、凍結乾燥製品を製造する度毎に、凍結乾燥製品
を製造するのに使用した凍結乾燥製品製造用器具の無菌
フィルターの機能検査をするようにしているので、凍結
乾燥製品を製造した凍結乾燥製品製造用器具内の無菌性
が保証される。これにより、凍結乾燥製品製造用器具内
で製造された凍結乾燥製品の無菌性も保証されるので、
従来の凍結乾燥製品の製造方法に比べ、更に一層、無菌
性が保証された凍結乾燥製品の市場への供給が可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る凍結乾燥製品製造用器具の一例を
概略的に示す分解斜視図である。
【図2】本発明に係る凍結乾燥製品製造用器具に用いる
無菌フィルターの構成を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明に係る凍結乾燥製剤の製造方法を概略的
に説明する工程図である。
【図4】本発明に係る凍結乾燥製剤の製造方法に好適な
凍結乾燥装置の一例を概略的に説明する構成図である。
【図5】本発明に係る凍結乾燥製剤の製造方法を凍結乾
燥装置の使用方法を中心に概略的に説明する工程図であ
る。
【図6】本発明に係る凍結乾燥製品製造用器具の他の一
例を概略的に示す分解斜視図である。
【図7】本発明に係る凍結乾燥製剤の製造方法に好適な
凍結乾燥装置の一例を概略的に説明する構成図である。
【図8】図6に示す凍結乾燥製品製造用器具を用いた、
凍結乾燥製剤の製造方法を概略的に説明する工程図であ
り、図8(a)、図8(b)及び図8(c)の各図は、
図中、VI−VI線に従う概略的な断面図である。
【図9】本発明に係る凍結乾燥製品製造用器具を用い
て、容器兼注射器型凍結乾燥製品を製造する工程を概略
的に示す工程図である。
【図10】本発明に係る凍結乾燥製品製造用器具を用い
て、容器兼注射器型凍結乾燥製品を製造する工程を概略
的に示す工程図である。
【図11】本発明に係る凍結乾燥製品製造用器具の他の
一例を概略的に示す分解斜視図である。
【図12】本発明に係る凍結乾燥製品製造用器具の他の
一例を概略的に示す分解斜視図である。
【図13】本発明に係る凍結乾燥製品製造用器具の他の
一例を概略的に示す分解斜視図である。
【図14】本発明に係る凍結乾燥製品製造用器具の他の
一例を概略的に示す分解斜視図である。
【図15】本発明に係る凍結乾燥製品製造用器具の搬送
を行う際の好ましい搬送装置の構成の一例を模式的に示
す構成図である。
【図16】図6に示す搬送装置の使用方法を説明する説
明図である。
【図17】本発明に係る凍結乾燥製品製造用器具の搬送
を行う際の好ましい装置の構成の他例を模式的に説明す
る断面図である。
【図18】本発明に係る凍結乾燥製品製造用器具の搬送
を行う際の好ましい装置の構成の他例を模式的に説明す
る断面図である。
【図19】図17及び図18に示す凍結乾燥製品製造用
器具の搬送装置の機構を模式的に説明する断面図であ
る。
【図20】本発明に係る凍結乾燥製品製造用器具を用
い、且つ、図17及び図18に示した搬送装置を用い
た、凍結乾燥製剤の製造方法の一例を概略的に示す工程
図である。
【図21】本発明に係る凍結乾燥製品製造用器具を用
い、且つ、図17及び図18に示した搬送装置を用い
た、凍結乾燥製剤の製造方法の一例を概略的に示す工程
図である。
【図22】所望の凍結乾燥物が収容されたバイアルの各
々にゴム栓を全打栓する、最後の工程に用いる装置の好
ましい例を概略的に説明する斜視図である。
【図23】容器兼注射器型の凍結乾燥製剤の構成を概略
的に示す断面図であり、図23(a)は、保存状態の容
器兼注射器の構成を概略的に示す断面図であり、また、
図23(b)は、使用時の容器兼注射器の構成を概略的
に示す断面図である。
【図24】従来の一般に用いられる凍結乾燥装置の構成
を概略的に示す構成図である。
【図25】従来の凍結乾燥工程を概略的に示す工程図で
ある。
【図26】従来の凍結乾燥装置の使用方法を概略的に示
す説明図である。
【図27】従来の容器入りの凍結乾燥製剤の製造方法を
概略的に示す工程図である。
【図28】従来の容器入りの凍結乾燥製剤の製造方法を
概略的に示す工程図である。
【符号の説明】
1、1A、1B、1C、1D 凍結乾燥製品製造用器具 2 コンテナ本体 2a 底板 2b、2c、2d、2e 側面 2f 溝 2p 係止片 2s 上面 P2a 底板のはみ出し部分(四周枠部) 2B、2C トレイ 3、3B 蓋体 3p 係止手段 3s 下端面 h3 空気流通孔 h3a 油圧シリンダー挿通孔 h6c 中空 h9 開口部 4 無菌フィルター取付手段 4a 空気流通配管 4b 鍔体 5 無菌フィルター 6 ハウジング 6a 上蓋体 6b 下蓋体 6c 管 6d 周壁 7 伸縮部材 8 板体 9 ケース体 Mr 被乾燥物 Mf 凍結乾燥物 c ゴム栓 S6a ハウジングの上面 S6b ハウジングの底面 h6a 開口部 v バイアル

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】凍結乾燥すべき被乾燥物が収容された容器
    を収容するためのコンテナ本体と、 前記コンテナ本体に、開閉自在に設けられ、且つ、閉じ
    た状態では、前記コンテナ本体との接合部を気密にする
    ことができるようにされた蓋体とを備え、 前記蓋体には、空気流通孔が設けられ、且つ、 前記空気流通孔には、無菌フィルターが設けられてい
    る、凍結乾燥製品製造用器具。
  2. 【請求項2】前記コンテナ本体が、 一側面に開口部を有するケース体と、前記ケース体に出
    し入れ可能に設けられるトレイとを備え、 前記蓋体が、前記ケース体に設けられた開口部に取り付
    けられるようになっている、請求項1に記載の凍結乾燥
    製品製造用器具。
  3. 【請求項3】前記蓋体に設けられた空気流通孔に、前記
    蓋体の外側へ突設するように無菌フィルター取付手段を
    更に設け、 前記無菌フィルター取付手段は、 前記空気流通孔に気密に取り付けられる空気流通配管
    と、 前記空気流通配管の先端部に気密に取り付けられ、且
    つ、前記空気流通配管の外方に形成された鍔体とを備
    え、 前記無菌フィルターは、 その上面に開口部を有し、 その底面には、前記底面から突設するように設けられ、
    前記空気流通配管の内周に気密に取り付けられるように
    された外周を有する管を備え、且つ、 その底面が、前記鍔体に気密に取り付けられるようにな
    っているハウジング内に収容されており、 前記ハウジングの管を前記空気流通配管に差し込んで気
    密に取り付け、且つ、 前記ハウジングの底面を前記鍔体に気密に取り付けるよ
    うにした、請求項1又は請求項2に記載の凍結乾燥製品
    製造用器具。
  4. 【請求項4】前記ハウジングの上面に設けられた開口部
    に、前記開口部を取り囲むように起立した周壁を更に設
    けている、請求項3に記載の凍結乾燥製品製造用器具。
  5. 【請求項5】前記蓋体に設けられた空気流通孔に、前記
    蓋体の外側へ突設するように無菌フィルター取付手段を
    更に設け、 前記無菌フィルター取付手段は、 前記空気流通孔に気密に取り付けられる空気流通配管
    と、 前記空気流通配管の先端部に気密に取り付けられ、且
    つ、前記空気流通配管の外方に形成された鍔体とを備
    え、 前記無菌フィルターを前記無菌フィルター取付手段の鍔
    体の上に載置し、更に、 前記無菌フィルターが載置された前記無菌フィルター取
    付手段の鍔体の上に、 前記無菌フィルター取付手段の鍔体と気密に接合可能な
    鍔体を有し、且つ、その上面には、開口部を有する蓋体
    を、前記無菌フィルター取付手段の鍔体と前記蓋体の鍔
    体とを気密に取り付けるようにした、請求項1又は請求
    項2に記載の凍結乾燥製品製造用器具。
  6. 【請求項6】前記蓋体の上面の開口部に、前記開口部を
    取り囲むように起立した周壁を更に設けている、請求項
    5に記載の凍結乾燥製品製造用器具。
  7. 【請求項7】前記蓋体に、凍結乾燥装置の乾燥庫内に上
    下方向に移動自在に設けられた油圧シリンダーが差し込
    まれる油圧シリンダー挿通孔を設け、 前記蓋体内部に、前記油圧シリンダー挿通孔を気密に密
    閉するとともに、前記油圧シリンダーが前記油圧シリン
    ダー挿通孔から前記蓋体内に差し込まれるにつれ、それ
    に伴って、下方向に伸び、前記油圧シリンダーが前記油
    圧シリンダー挿通孔から前記蓋体外へ出るにつれ、それ
    に伴って、上方向に縮む伸縮自在な伸縮部材を設け、且
    つ、 前記伸縮部材の下端に、前記コンテナ本体内に半打栓状
    態で収容される容器のゴム栓を全打栓するための板体を
    設けた、請求項1〜6のいずれかに記載の凍結乾燥製品
    製造用器具。
  8. 【請求項8】無菌環境下において、容器内に凍結乾燥す
    る被乾燥物を収容し、 前記被乾燥物が収容された容器をコンテナ本体に収容
    し、前記コンテナ本体を無菌フィルターが設けられた空
    気流通孔を有する蓋体により、前記コンテナ本体と前記
    蓋体との接合部を気密に密閉する工程と、 前記蓋体により蓋をされた前記コンテナ本体を凍結乾燥
    装置の乾燥庫内に収容した後、前記乾燥庫内を冷却する
    とともに、減圧することにより、前記蓋体により蓋をさ
    れた前記コンテナ本体内に収容された容器内の前記被乾
    燥物に含まれる水分を前記蓋体の空気流通孔に設けられ
    た無菌フィルターを介して排出し、前記蓋体により蓋を
    された前記コンテナ本体内に収容された容器内に収容さ
    れた被乾燥物を凍結乾燥物にする凍結乾燥工程とを備え
    る、凍結乾燥製品の製造方法。
  9. 【請求項9】前記凍結乾燥工程の後に、更に、前記蓋体
    により蓋をされた前記コンテナ本体の外側を無菌にした
    後、 外側を無菌にされ、前記蓋体により蓋をされた前記コン
    テナ本体の前記蓋体を無菌環境下において取り外し、前
    記コンテナ本体内に収容され、凍結乾燥物が収容された
    容器を施栓する工程を備える、請求項8に記載の凍結乾
    燥製品の製造方法。
  10. 【請求項10】無菌環境下において、先端部に注射針取
    付部を有する注射器外筒の注射針取付部に、キャップを
    気密に取り付け、注射針取付部に気密にキャップを取付
    けた注射器外筒を注射針取付部が下方になるように縦に
    して、前記注射器外筒内に、凍結乾燥する被乾燥物を収
    容し、前記注射針取付部に気密にキャップが取付けら
    れ、且つ、前記被乾燥物が収容された注射器外筒を注射
    針取付部が下方になるように縦にして、コンテナ本体に
    収容し、前記コンテナ本体を無菌フィルターが設けられ
    た空気流通孔を有する蓋体により、前記コンテナ本体と
    前記蓋体との接合部を気密に密閉する工程と、 前記蓋体により蓋をされた前記コンテナ本体を凍結乾燥
    装置の乾燥庫内に収容した後、前記乾燥庫内を冷却する
    とともに、減圧することにより、前記蓋体により蓋をさ
    れた前記コンテナ本体内に収容された、注射針取付部に
    気密にキャップを取付けた注射器外筒内の前記被乾燥物
    に含まれる水分を前記蓋体の空気流通孔に設けられた無
    菌フィルターを介して排出し、前記蓋体により蓋をされ
    た前記コンテナ本体内に収容された容器内に収容された
    被乾燥物を凍結乾燥物にする凍結乾燥工程と、 無菌環境下において、 前記蓋体により蓋をされた前記コンテナ本体の前記蓋体
    を取り外す工程と、 前記注射針取付部に気密にキャップが取付けられ、且
    つ、前記凍結乾燥物が収容された注射器外筒の所定の位
    置に、第1の栓体を気密に取り付け、前記注射器外筒内
    の凍結乾燥物を、前記キャップ、前記注射器外筒及び前
    記第1の栓体により形成される気密な空間内に密閉する
    工程と、 前記キャップ、前記注射器外筒及び前記第1の栓体によ
    り形成される気密な空間内に前記凍結乾燥物が密閉され
    た注射器外筒の前記第1の栓体の後部に、前記凍結乾燥
    物を溶解する溶解液を収容し、前記注射器外筒の所定の
    位置に前記注射器外筒に収容された溶解液を気密に密閉
    するように、第2の栓体を取り付ける工程とを備える、
    凍結乾燥製品の製造方法。
  11. 【請求項11】前記凍結乾燥工程の後に、更に、前記蓋
    体により蓋をされた前記コンテナ本体の外側を無菌にし
    てから、外側を無菌状態にした前記蓋体により蓋をされ
    た前記コンテナ本体を前記無菌環境下に搬入する工程を
    備える、請求項10に記載の凍結乾燥製品の製造方法。
  12. 【請求項12】前記凍結乾燥製品を製造する度毎に、前
    記凍結乾燥製品を製造するのに使用した凍結乾燥製品製
    造用器具の無菌フィルターの機能検査をするようにし
    た、請求項8〜11のいずれかに記載の凍結乾燥製品の
    製造方法。
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