JPH11144717A - 粉末層の高密度化方法と圧延用ロール - Google Patents

粉末層の高密度化方法と圧延用ロール

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JPH11144717A
JPH11144717A JP9310760A JP31076097A JPH11144717A JP H11144717 A JPH11144717 A JP H11144717A JP 9310760 A JP9310760 A JP 9310760A JP 31076097 A JP31076097 A JP 31076097A JP H11144717 A JPH11144717 A JP H11144717A
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roll
layer
elastic modulus
rolling
carrier
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JP9310760A
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Yoshihisa Ohashi
善久 大橋
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21BROLLING OF METAL
    • B21B27/00Rolls, roll alloys or roll fabrication; Lubricating, cooling or heating rolls while in use
    • B21B27/02Shape or construction of rolls
    • B21B27/03Sleeved rolls
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21BROLLING OF METAL
    • B21B27/00Rolls, roll alloys or roll fabrication; Lubricating, cooling or heating rolls while in use

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  • Reduction Rolling/Reduction Stand/Operation Of Reduction Machine (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 板状担体にバインダを含有する粉末(例、水
素吸蔵合金粉末) の層が付着した素材1を、表面割れを
生ずることなく、圧延により高密度化する。 【解決手段】 (a) 芯材2の周囲に低弾性率材料の内層
3とその外側に高弾性率材料の層4とを備えた複層ロー
ル5を使用するか、または(b) 芯材2の周囲に低弾性率
材料3を配したロール5を使用してロールと素材との間
に高弾性率材料シート6を挟んで圧延を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばNi−水素二
次電池用電極における水素吸蔵合金の充填密度を増大さ
せるために行う、板状担体上に付着させたバインダを含
有する粉末層のロール圧延による高密度化方法と、この
方法に使用するロールおよびこの方法で圧延された素材
からなる電極とに関する。
【0002】
【従来の技術】水素ガスをエネルギー源として使用する
技術は、既に実用化されているNi−水素二次電池を始
め、電気自動車、ヒートポンプ、電力貯蔵システム等多
方面の分野にわたり、それぞれの分野で水素ガス貯蔵体
として使用するために、より一層優れた特性を持つ水素
吸蔵合金の開発が活発に行われている。
【0003】例えば、MmNi5 系合金等のAB5 型合金や
ZrV2系合金で代表されるAB2 型合金を始めとする各種
の水素吸蔵合金がこれまでに開発されており、水素吸蔵
量や他の特性の向上を目指した研究が続いている。
【0004】一方、例えば、Ni−水素二次電池は、規格
により体積が決まっているため、電池の充放電容量は、
水素吸蔵合金が同じであれば、電極の単位体積当たりの
水素吸蔵合金の充填量、即ち、充填密度に依存する。そ
の他の用途でも、やはり水素吸蔵合金の充填密度が高く
なると、製品または装置の小型化および/または高性能
化が可能となり、有利である。そのため、水素吸蔵合金
の充填密度を高める技術開発も同時に行われてきた。
【0005】例えば、特開平3−116655号公報には、球
形の合金粉末を用いて水素ガス貯蔵体における水素吸蔵
合金の充填密度を向上させることが提案されている。特
開平7−180926号公報には、そのような合金の粒度分布
を調整して、合金の充填密度をさらに向上させることが
提案されている。
【0006】水素ガス貯蔵体は、粉末状の水素吸蔵合金
を粉末冶金の手法で成形・焼結させるか、或いは水素吸
蔵合金の粉末をバインダを用いて成形することにより製
造される。焼結には高温を必要とすること、および酸化
により合金粉末の活性が失われるという問題があること
から、バインダを用いた成形が主流となっている。
【0007】例えば、Ni−水素二次電池の電極は、集電
体として機能する金属製の板状担体に、水素吸蔵合金粉
末とバインダと溶媒を含むペースト状混合物を塗布し、
乾燥して溶媒を除去した後、担体に付着したバインダを
含有する水素吸蔵合金粉末層をロール圧延して、この粉
末層を圧縮により高密度化し、次いで所定寸法に裁断す
ることにより形成されている。
【0008】この圧延技術に関して、特開平3−77270
号公報には、被圧延素材の圧延方向への延伸を抑制して
集電体の破損を防止する目的で、直径3cm以上のローラ
を使用することを提案している。しかし、圧延による充
填密度の向上についての具体的手段は開示されていな
い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、板状担体に
付着させたバインダを含有する粉末(例、水素吸蔵合金
粉末) の層を安定して (即ち、被圧延素材の割れなどを
引き起こさずに) 高密度化することができる圧延方法
と、それに用いる圧延用ロールを開発することを課題と
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく、担体上に付着させたバインダ含有粉末層の
ロール圧延による高密度化について検討した。その結
果、圧延ロールの芯材の周囲に低弾性率の材料からなる
層を配置し、さらに圧延中に、この低弾性率材料と圧延
される粉末との間に高弾性率の材料が介在するように、
ロールの低弾性率材料の層の外側に高弾性率の材料の層
を配置して複層ロールにするか、或いは高弾性率の材料
からなるシートを挟んでロール圧延を行うことが有効で
あることが判明し、本発明に到達した。
【0011】ここに、本発明は、板状担体にバインダ含
有粉末層を付着させた素材をロールで圧延して粉末層を
高密度化する方法において、 該ロールが、芯材の周囲に低弾性率材料の層と、その
外側に高弾性率材料の層とを配置した複層ロールである
か、或いは 該ロールが、芯材の周囲に低弾性率材料を配置したロ
ールであり、このロールと素材との間に高弾性率材料か
らなるシートを挟んで圧延を行う、ことを特徴とする、
板状担体上の粉末層の高密度化方法である。
【0012】本発明によれば、上記方法により高密度化
された板状担体上の粉末層から構成された電極、および
上記の複層ロールからなる板状担体にバインダ含有粉末
層を付着させた素材を圧延するためのロールも提供され
る。好適態様にあっては、上記複層ロールの高弾性材料
は高弾性率の繊維からなる。
【0013】担体上に付着させた粉末層のロール圧延に
より高密度化を達成するには、ロール表面を低弾性率の
材料から構成することが有利である。これは、低弾性率
の材料の圧縮変形により粉末材料のかみ込み性の向上と
接触面積の増大が得られるためである。しかし、ロール
表面の低弾性率の材料が大きく圧縮変形すると、それに
伴ってロールの周方向へ大きな伸びが生じる。その結
果、粉末層がその伸びに追随できずに割れてしまい、製
品の欠陥となる。
【0014】そこで、圧縮変形してもロールの周方向へ
の伸びを生じないようにするため、本発明では、低弾性
率材料と被圧延素材との間に高弾性率の材料を介在さ
せ、素材に接触するのは高弾性率の材料となるようにす
る。それにより、低弾性率の材料が圧縮変形しても、高
弾性率の材料が被圧延素材の表面の伸びを強く抑制する
ため、素材表面での割れが解消される。材料の伸びは幅
方向にも生じるが、一般には圧延方向、即ち、ロール周
方向の伸びが著しい。従って、高弾性率の材料は少なく
とも周方向の弾性率が大きければよい。
【0015】高弾性率の材料は、圧延ロールの低弾性率
材料と固着した状態で (即ち、ロール表面が高弾性率の
材料となる複層ロールの形態で) 使用しても、或いは分
離した状態で (即ち、高弾性率の材料からなるシートを
低弾性率層を配置したロールと粉末層との間に介在させ
て) 使用してもよい。固着させた場合は、低弾性率の材
料の変形形態が多少変化するが、粉末層の密度を向上さ
せる効果にはほとんど影響がない。一方、分離させた場
合には、部分的に低弾性率の材料と高弾性率の材料が滑
ることになるが、この滑りもやはり粉末層の密度を向上
させる効果にほとんど影響を生じない。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明は、板状担体にバインダ含
有粉末層を付着させた素材のロール圧延方法に関する。
このようなロール圧延は、例えば、Ni−水素二次電池の
電極の製造において、集電体となる金属板 (例、ニッケ
ル製またはニッケルめっき製の有孔板) に水素吸蔵合金
粉末を付着させた素材について行われている。本発明
は、もちろんこの場合の圧延に適用しうるが、適用例は
これに限られるものではない。
【0017】従って、板状担体の種類とこれに付着させ
た粉末の種類は、いずれも特に制限されるものではな
く、ロール圧延に耐えるものであれば、いずれも任意の
材料から構成することができる。例えば、他の適用例と
して、合金粉末溶材を原料とする溶接肉盛用のフープ材
などが挙げられる。
【0018】粉末層は、バインダ含有液中に粉末を分散
させたスラリを板状担体に塗布することにより形成する
のが一般的であるが、粉末層の形成方法も特に制限され
るものではなく、板状担体に付着したバインダ含有粉末
層が形成できる方法であれば、他の方法も採用できる。
粉末層の厚みも特に制限されないが、通常はロール圧延
前で 0.5〜0.7 mm程度が適当であろう。
【0019】このような素材を、担体上の粉末層の充填
密度を高めるためにロール圧延する。本発明によれば、
芯材の周囲に低弾性率材料を配置したロールを使用し、
さらに高弾性率の材料をロール表面に配置して複層ロー
ルとして圧延を行うか、或いは高弾性率の材料からなる
シートをロールと粉末層との間に介在させて圧延を行
う。即ち、芯材の周囲に低弾性率材料の層を備えたロー
ルを使用するが、被圧延素材と接触するのは高弾性率の
材料となるようにして、ロール圧延を行う。
【0020】ロールの芯材の周囲に配する低弾性率の材
料は、鉄の弾性率210 GPa の数十分の1以下 (例えば、
4GPa 以下) の弾性率を持つ材料が好ましい。その具体
例としては、天然ゴムやシリコーンゴム、ウレタンゴム
などの合成ゴムといったエラストマー、さらにはポリ塩
化ビニル、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボ
ネート、アラミドといった各種の合成樹脂が挙げられ
る。特に、ウレタン系ゴムは、圧縮強度が高く、ロール
に用いる低弾性率材料として好適である。
【0021】複層ロールの外側の層として配置するか、
または圧延中に別のシートとして使用する、高弾性率の
材料は、圧延途中にあっては、粉末層が付着している担
体材料と同等以下の伸びとなるようにする。圧延中に複
層ロール表面が担体より大きく伸びると、担体に塗布さ
れた粉末層が複層ロール表面の伸びに引っ張られ、破断
して割れとなるためである。
【0022】複層ロールの場合、その寸法、低弾性率材
料および高弾性率材料の弾性率やそれらの層の厚み、圧
延時の圧下率、圧延速度、担体材料の弾性率やその厚み
および幅、粉末層の種類などの組合わせに応じて、担体
材料と高弾性率材料の伸びが上記条件を満たすようにす
ればよい。シートの場合も同様である。
【0023】圧延すべき板状担体と粉末層の材料および
寸法は通常は予め決まっており、またロールの芯材も予
め材料および寸法が決まっていることが多い。従って、
実際の複層ロールの設計にあたっては、圧延条件を考慮
して上記条件を満たすように低弾性率および高弾性率の
各材料の種類とその厚みを選択する。この選択は、例え
ば下記のようにして行うことができる。
【0024】まず、圧延に際してかみ込み性と接触面積
が得られるように、採用する圧延条件下における変形形
状や材料強度を考慮して、低弾性率材料の種類と層の厚
みを決定する。その後、高弾性率材料層の圧延時の伸び
が圧延時の担体の伸びと同等以下になるように、弾性率
と厚みを考慮して高弾性率材料の種類と層の厚みを決め
る。高弾性率材料層の伸び抑制効果は、弾性率と厚みに
比例する。高弾性率材料の層があまり厚くなると、低弾
性率材料の層の柔軟性を損ない、初期の圧延時のかみ込
み性と接触面積の増大という所期の効果を失う結果とな
るので、一般的には、できるだけ大きな弾性率を持つ材
料を選択して、その層の厚みを小さくするのが望まし
い。この場合、高弾性率材料を担体材料の弾性率より大
きな材料群から選択するのは便宜的な方法である。
【0025】このようにして設計・試作した複層ロール
を用いて、所定の寸法の担体材料を所定条件で圧延し、
高弾性率材料層の伸びが担体材料の伸びと同じか、それ
より小さいことを確認しておくことが望ましい。この確
認の方法を次に説明する。
【0026】担体材料の表面に転写用の塗料を一定間隔
で塗布し、これを試作した複層ロールで所定の圧延条件
下で圧延する。圧延後、この複層ロールの表面に転写さ
れた塗料の間隔と、圧延後の担体材料の塗料の間隔を測
定し、前者の間隔が後者の間隔と同じであれば、高弾性
率材料層の伸びが担体材料の伸びと同等であることが確
認できる。
【0027】ここで言う伸びとは、弾性伸びと永久伸び
または塑性伸びの双方を加えた伸びである。しかし、高
弾性率材料が永久伸びまたは塑性伸びを生じることは、
その耐久性や圧延精度を考慮すると望ましくはない。従
って、高弾性率材料は圧延時に加わる応力で永久伸びま
たは塑性伸びを生じないような降伏強度を持つことが望
ましい。
【0028】高弾性率材料として適当な例は、ポリプロ
ピレン、ポリカーボネートなどの合成樹脂、さらには炭
素繊維、ボロン繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等の補
強用に使用される各種の繊維が挙げられる。特に、炭素
繊維以下の繊維材料は、極めて高い弾性率を示すことか
ら、高弾性率の材料として有利である。
【0029】高弾性率の材料として、担体材料より弾性
率が高ければ、例えば鉄鋼のような金属を使うことも可
能である。ただし、降伏強度に関して上に説明したよう
に、ロールを繰り返し使用する場合、鉄の弾性変形域の
範囲内の条件で使用するのが望ましい。圧延中に塑性域
に達すると、高弾性率材料に永久変形が残るため、圧延
された製品の表面性状が悪くなる。
【0030】高弾性率材料の強度に異方性がある場合
(例えば、延伸等による分子配向を示す材料であるか、
繊維の配向状態に異方性がある場合)、弾性率が高い方
向をロール周方向になるように配置することが好まし
い。その場合には、他の方向の弾性率が担体材料より低
くてもよい。
【0031】圧延ロールを構成する芯材は、中実または
中空の円筒である。芯材は金属 (例、鉄鋼) 製であるこ
とが多いが、金属に限定されるものではなく、他の高強
度材料も使用できる。この芯材の外周に、図1に示すよ
うに、低弾性率の材料を配置する層。低弾性率材料から
なる層の厚みは、少なくとも3mmとすることが好まし
い。この層の厚みはより好ましくは3〜15 mm の範囲内
である。この低弾性率の材料は、例えばウレタンゴムの
場合には、芯材の周囲に鋳込むといった手法で芯材の外
周に配置することができる。
【0032】高弾性率の材料を、図1に示すように、低
弾性率の材料を内層として、その周囲に外層として配置
し、複層ロールにする場合には、この高弾性率の材料か
らなる外層の厚みは2mm以内とすることが好ましい。外
層の厚みが厚すぎると、低弾性率の材料からなる内層に
よる高密度化の作用が十分に得られなくなる。この複層
ロールを使用した圧延形態を図2(a) に示す。図中、1
は被圧延素材、2は芯材、3は低弾性率材料の層、4は
高弾性率材料の層、5は圧延ロールである。
【0033】高弾性率の材料からなる外層の形成は、例
えば、この材料がシート状の場合には、シートまたはテ
ープ形態のものを内層の低弾性率材料の周囲に巻付け、
接着剤または加熱により内層と接合させればよい。この
材料が連続繊維 (フィラメント) 状の場合には、フィラ
メントワインディング (FW) 法により低弾性率材料の
内層の周囲に、樹脂含浸された繊維からなる高弾性率層
材料の層を形成することができる。FW法の場合、ロー
ルの周方向の弾性率が高くなるように、フィラメントの
巻付けをロール軸と垂直方向またはこの方向と比較的小
さい角度で斜めに巻付けを行うことが好ましい。
【0034】別の方法として、この繊維からなるシート
状基材 (例、織布、不織布、マット等) に樹脂を含浸さ
せた材料 (一般にプリプレグと呼ばれる) を用意し、こ
れを内層の周囲に巻付ける手法も採用できる。FW法と
プリプレグ法のいずれも、含浸用の樹脂は、厚み方向の
柔軟性をもたせるため、ウレタンを含むゴム系や、ポリ
エステル、ポリエチレン、ポリカーボネート等が好まし
い。
【0035】図1には、低弾性率材料の内層と高弾性率
材料の外層がいずれも1層づつの例を示したが、各層と
も2層またはそれ以上から形成してもよい。その場合、
高弾性率材料の層の内部に低弾性率材料の層が少なくと
も1層存在すれば、層の順序には特に制限はない。例え
ば、芯材周囲の最内層を高弾性率材料の層とし、その外
周に低弾性率材料の層を1または2層以上形成し (場合
により、その間に高弾性率材料の層を介在させ) 、最外
層を高弾性率材料の層にしたロール構成を採用すること
も可能である。ロールの表面平滑化やくい込み性の向上
のために、最外層として別に薄いコーティングを施すこ
とも可能である。
【0036】高弾性率の材料は、圧延ロールに外層とし
て配置する代わりに、ロールとは分離して、高弾性率の
材料からなるシートを圧延時にロールと圧延素材との間
に介在させて圧延を行ってもよい。この場合の圧延形態
を図2(b) に示す。図中、6は高弾性率材料のシートで
あり、他の番号は前述の通りである。
【0037】この図に示すように、高弾性率材料のシー
トは、素材の両側ともに配置することが好ましい。しか
し、素材が板状担体の片面だけに粉末層を有する場合に
は、担体に接する側だけに高弾性率材料のシートを配置
することでも、かなりの効果が得られる。
【0038】このシートは、高弾性率の材料が繊維の場
合には、樹脂を含浸させてシート状にすればよい。シー
トの厚みは特に制限されるものではないが、 0.1〜0.5
mmの範囲内とすることが好ましい。
【0039】このように、高弾性率材料のシートを介在
させてロール圧延する場合には、圧延用ロールは、芯材
の周囲に低弾性率材料の層を配したロールを使用する。
芯材の周囲に低弾性率材料の1層だけを配した単層ロー
ルで十分であり、コスト面からはこのような単層ロール
が好ましいが、高弾性率材料の層および/または他の低
弾性率材料の層をさらに配した複層ロールも使用でき
る。
【0040】ロール圧延の条件は、担体材料や粉末の種
類に応じて適当に選択する。本発明によれば、ロール周
方向の素材の伸びが抑制されるため、低弾性率材料の単
層ロールを使用した場合に比べて、圧下力をより高くし
ても素材の割れが起こりにくい。そのため、割れを生ず
ることなく、粉末層の充填密度の高くすることが可能と
なる。
【0041】
【実施例】MmNi3.55Co0.75Mn0.4Al0.3の組成をもつ水素
吸蔵合金のガスアトマイズ球形粉末(平均粒子径30μ
m) に、合金粉末の重量に基づいて、バインダのメチル
セルロースを2重量%、水を10重量%添加してスラリー
を調製した。板状担体として厚さ0.1 mm、幅400 mm、孔
径5mmの帯状のパンチングプレート (パンチングで穿孔
した鋼板をニッケルメッキしたもの) を用意し、この担
体の両面に、片面当たりの塗布厚みが0.3 mmになるよう
に上記スラリーを塗布し、120 ℃で乾燥して、担体の両
面にバインダを含有する粉末層が形成された被圧延素材
を作製した。
【0042】この素材を、直径250 mmの2本ロールによ
り圧延した。圧延はいずれも、全体の粉末層厚み (両面
の合計が0.6 mm) が0.45 mm になるようにロール間隙を
調節して行った。
【0043】圧延に用いたロールは、直径230 mmの炭素
鋼製芯材の周囲に、ショア硬度(Hs)が9のウレタンゴム
からなる低弾性率材料の厚み10 mm の層を配した単層ロ
ールを基本ロールとし、この基本ロールに、下記A〜D
のように高弾性率材料の外層を配して複層ロールとする
か、或いは高弾性率材料のシートを介して圧延を行っ
た。
【0044】A:基本ロールに外層として厚さ0.5 mmの
樹脂含浸炭素繊維の織物シートを接着した複層ロールを
使用; B:基本ロールに外層として厚さ0.5 mmの樹脂含浸アラ
ミド繊維 (登録商標:ケブラー) の織物シートを接着し
た複層ロールを使用; C:単層の基本ロールを使用し、両ロールと素材の間
に、厚さ0.5 mmの樹脂含浸炭素繊維の織物シートを挟ん
で圧延; D:基本ロールに、外層として厚さ0.5 mmの炭素鋼製の
外層を施した複層ロールを使用。
【0045】さらに比較例として、下記E〜Fのロール
でも圧延を行った。 E:単層の基本ロールをそのまま、素材と直接接触させ
て使用; F:全体が炭素鋼製の直径250 mmのロール (全体が高弾
性率材料からなる) を使用。
【0046】上記のロールの各材料および担体であるパ
ンチングメタルの弾性率と降伏強度(繊維材料の場合は
繊維単独での測定値) を次の表1にまとめて示す。
【0047】
【表1】
【0048】圧延前後の粉末層の充填密度を次のように
して測定した。測定用試料を秤量した後、その周囲全体
に体積が既知の溶融ワックスを被覆して内部に液体が侵
入しないようにしてから、アルキメデス法により体積を
測定し、ワックスの体積を差し引いて、試料の体積を求
める。次に試料の重量と体積から、担体の重量および体
積を差し引いて、粉末層の重量と体積を求め、充填密度
を算出する。こうしてり求めた粉末層の圧延前の充填密
度はいずれも約4.5 g/ccであった。圧延後の粉末層の充
填密度を、圧延後の粉末層の表面割れの有無 (目視判
定)と共に表2に示す。
【0049】また、ロール圧延後の材料から電極を作製
し、この電極を負極として、負極容量規制型のNi−水素
二次電池を作製した。負極は活物質 (水素吸蔵合金) の
担持量が3gとなるように面積調整し、正極には容量12
00 mAhの水酸化ニッケルを使用し、電解質は30wt%水酸
化カリウム水溶液、セパレータはポリプロピレン不織布
であった。この二次電池を、充電電流200 mAにて電池電
圧が1.35Vに達するまで充電し、放電電流200 mAにて0.
85Vに達するまで放電する充放電繰り返し試験を20サイ
クル行い、その間の最大放電容量を求めた。この結果も
表2に一緒に示す。
【0050】
【表2】
【0051】表2からわかるように、鋼製ロールを使用
したFでは、ロール全体が高弾性率材料からなるため、
表面の割れは発生しないが、粉末層の充填密度は、圧延
前の4.5 g/ccから圧延後の4.6 g/ccとわずかしか増大せ
ず、圧延後の粉末層の充填密度が低いため、電池の放電
容量が不足した。
【0052】一方、鋼製のロール芯材の周囲に低弾性率
材料の層だけを配した基本の単層ロールを用いたEで
は、低弾性率材料の層による噛込み性の改善や接触面積
の増大のため圧延は効果的に行われ、圧延後の粉末層の
充填密度は増大したものの、ロール周方向の伸びに粉末
層が追随できないため粉末層の表面に割れが多発し、電
極の作製が困難となった。
【0053】これに対し、本発明に従って、芯材の周囲
の低弾性率材料の層を配し、さらにその外周に高弾性率
材料の外層を被覆した複層ロールを使用したA、B、
D、ならびにEと同じ基本の単層ロールを使用したが、
高弾性率材料のシートをロールと素材の間に挟んで圧延
を行ったCでは、ロールに低弾性率材料の層を配したこ
とにより粉末層の充填密度を上記のEと同様に高めるこ
とができ、しかも高弾性率材料の使用により圧延中の粉
末層の表面割れを防ぐことができた。つまり、高弾性率
材料のシートを介在させても、低弾性率材料層を備えた
ロールによる高密度化の降下に悪影響はなく、表面割れ
を効果的に防止することができた。また、外層が鉄鋼で
あっても、この効果を得ることができた。
【0054】その結果、こうして圧延した材料を電極に
用いて、放電容量の高いNi−水素二次電池が作製でき
た。また、水素吸蔵合金の充填密度が高くなると、Ni−
水素二次電池に一度に流せる電流、つまりレート特性が
向上するという利点もある。
【0055】
【発明の効果】本発明のロール圧延方法によれば、板状
担体にバインダ含有粉末層を付着させた素材を、表面の
割れを生ずることなく、効率よく圧密化することがで
き、高い充填密度の粉末層を得ることができる。
【0056】その結果、例えば、この粉末層が集電体の
上に付着させた水素吸蔵合金粉末の層である場合は、圧
延後の材料を電極として、放電容量の高いNi−水素二次
電池を作製することができる。また、この材料を水素貯
蔵体として他の用途に使用する場合にも、高性能の製品
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る複層ロールの断面構造を示す説明
図。
【図2】図2(a) は複層ロールによる圧延形態を示す説
明図、図2(b) 単層ロールを用い、ロールと素材の間に
高弾性率材料のシートを介在させた圧延形態を示す説明
図。
【符号の説明】
1:被圧延素材、2:芯材、3:低弾性率材料の層、
4:高弾性率材料の層、5:圧延ロール、6:高弾性率
材料のシート

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板状担体にバインダ含有粉末層を付着さ
    せた素材をロールで圧延して粉末層を高密度化する方法
    において、該ロールが、芯材の周囲に低弾性率材料の層
    と、その外側に高弾性率材料の層とを配置した複層ロー
    ルであることを特徴とする、板状担体上の粉末層の高密
    度化方法。
  2. 【請求項2】 バインダを含有する粉末層を板状担体に
    付着させてなる素材をロールで圧延して粉末層を高密度
    化する方法において、該ロールが、芯材の周囲に低弾性
    率材料を配置したロールであり、このロールと素材との
    間に高弾性率材料からなるシートを挟んで圧延を行うこ
    とを特徴とする、板状担体上の粉末層の高密度化方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の方法により高密
    度化された板状担体上の粉末層から構成された電極。
  4. 【請求項4】 芯材の周囲に、低弾性率材料の層と、そ
    の外側に高弾性率材料の層とを配置した複層ロールから
    なることを特徴とする、板状担体にバインダ含有粉末層
    を付着させた素材を圧延するためのロール。
  5. 【請求項5】 前記高弾性材料が高弾性率の繊維からな
    る、請求項4記載のロール。
JP9310760A 1997-11-12 1997-11-12 粉末層の高密度化方法と圧延用ロール Withdrawn JPH11144717A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003051549A1 (en) * 2001-12-19 2003-06-26 Alcan International Limited A work roll for use in cold rolling of metal
JP2011181391A (ja) * 2010-03-02 2011-09-15 Nagano Automation Kk 電池用の電極部材の加圧装置
JP2018078021A (ja) * 2016-11-09 2018-05-17 日産自動車株式会社 二次電池用電極の製造方法
KR20190054917A (ko) * 2017-11-14 2019-05-22 주식회사 엘지화학 이차전지용 압연장치 및 압연방법

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