JPH11142421A - カンチレバー - Google Patents

カンチレバー

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JPH11142421A
JPH11142421A JP30443497A JP30443497A JPH11142421A JP H11142421 A JPH11142421 A JP H11142421A JP 30443497 A JP30443497 A JP 30443497A JP 30443497 A JP30443497 A JP 30443497A JP H11142421 A JPH11142421 A JP H11142421A
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probe
lever
force
lever portion
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JP30443497A
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Katsuhiro Matsuyama
克宏 松山
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Olympus Corp
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Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】レバー部に支持された探針に加わるレバー部延
出方向の力の正確な検出を可能にするカンチレバーを提
供する。 【解決手段】カンチレバー10は、支持部18から延出
した反り変形し得る外側レバー部11と、その内側に位
置する、同じく支持部18から延出した内側レバー部1
2を有している。外側レバー部11は、その先端に探針
13が設けられており、先端近くには、内側に向かって
等間隔で櫛状に延出した複数の棒14を有し、棒14と
支持部18の間には、レバー部延出方向に伸縮し得るV
字形状のバネ部17を有している。また、内側レバー部
12は、外側レバー部11の棒14に対応して、外側に
向かって等間隔で櫛状に延出した複数の棒15を有して
いる。棒14と棒15は等しいピッチを有し、両者は交
互に並んで位置し、バネ部17の伸縮に応じてピッチが
変化するグレーティング16を構成している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走査型プローブ顕
微鏡用のカンチレバーに関する。加えて、本発明は、細
胞や超微粒子等の小さな物体の基板への付着状態を測定
する付着力測定装置で用いられる触針に関する。本発
明、垂直壁を画像化する新しい走査型プローブ顕微鏡法
に用いられるカンチレバーに関する。
【0002】
【従来の技術】BinnigとRohrerらにより発明された走査
型トンネル顕微鏡(STM)におけるサーボ技術を始め
とする要素技術を利用しながら、STMでは測定し難い
絶縁性の試料を原子オーダーの精度で観察することので
きる顕微鏡として原子間力顕微鏡(AFM)が提案され
ている。
【0003】AFMの構造はSTMに類似しており、走
査型プローブ顕微鏡(SPM)の一つとして位置づけら
れる。AFMでは、自由端に鋭い突起部分(探針部)を
持つカンチレバーを試料に対向させて近接させ、探針の
先端の原子と試料の表面の原子との間に働く相互作用力
(原子間力や接触力等)により変位するカンチレバーの
動きを電気的あるいは光学的にとらえて測定しつつ、試
料あるいはカンチレバーをXY方向に走査し、カンチレ
バーの探針部と試料の位置関係を相対的に変化させるこ
とによって、試料の凹凸情報などを三次元的にとらえる
ことができる。
【0004】このようなSPMに用いられるカンチレバ
ーは、Thomas R. AlbrechtとCalvinF. Quate による
「原子間力顕微鏡による非導電体の原子的解像度の画像
形成」に記載されているように、半導体IC製造プロセ
スを応用して作製されるSiO2 カンチレバーが提案さ
れて以来、ミクロンオーダーの高精度で非常に再現性良
く作製できると共に、バッチプロセスを用いることによ
りコスト的にも優れているとの理由から、このIC製造
プロセスを応用して作製したものが主流となっている。
【0005】また、Yves Martin やH. Kumar Wickramas
inghe はApply. Phys. Lett. Vol.64 No.19(1994) pp.2
498-2500において垂直壁を画像化する新しい走査型プロ
ーブ顕微鏡を提案している。これに関する特許として日
本国特許第2501282号がある。このような走査型
プローブ顕微鏡を用いれば、垂直壁部分を含めた測定試
料の形状を三次元的に正確に測定することができ、垂直
壁部分を測定することが出来ない特開昭62−1303
02号などに開示されている従来のAFMと比較したと
きの大きな利点である。このような試料の垂直壁の測定
を可能にしているのは、次に述べるように、ブーツ型形
状をした探針を使い、そのフレアー部分と試料表面との
間隔が一定になるように探針位置を制御していることに
よっている。このような探針の作製法については特開平
3−104136号に開示されている。
【0006】なお同論文では、探針と試料間の距離を一
定に保って走査を行なうため引力検出モードAFMを応
用した測定方法を採用しており、カンチレバーを振幅1
nmで振動させると同時に試料を横方向(X方向)に振
動させて、探針が試料に近づいたときのカンチレバーの
振動状態の変化を検出して、側壁の面荒れの状態をコン
ピューター等の画像処理装置で三次元画像化している。
さらにその情報からパターン間隔などを測定できるとし
ている。
【0007】また、細胞などの微小体の基板への付着力
を測定する付着力測定装置が特開平9−145725号
に提案されている。その構成を図12に示す。L字型の
カンチレバー128は、その先端に触針128aを有
し、面法線方向のみならず、触針の試料面方向にも変位
し得る。触針128aが試料に横方向から押し付けられ
たとき、その試料が試料基板へ付着している力の反作用
によりL字型のカンチレバーが横方向に変位する。そし
て、この横方向の変位量を変位計132で測定すること
により、L字型のカンチレバーの横方向の変位に対する
バネ定数からフックの法則を用いて付着力が求められ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】特開平9−14572
5号の装置においては、触針128aにより微小体12
6を押したとき、触針128aが横方向に変位できるよ
うにL字型のカンチレバー128を採用しているが、力
を受けたカンチレバー128は平行に動くだけでなく、
反る動作も同時に起こり、これが測定誤差の要因となっ
ている。
【0009】また、L字型のカンチレバーを作製するに
は、金属製の板バネを直角に折り曲げることにより簡単
に作製できる。この場合、垂直になっている板バネ12
8cが微小な力に対して敏感に変位するようにさせるに
は、柔らかくする必要があるが、柔らかく剛性の低い構
造体は、一般に共振周波数が低く、外部振動ノイズに対
して弱い。そのような構造体を微小体の付着力測定装置
に取り付けて測定を行なった場合、S/Nがあまり上が
らないという不具合が生じる。微弱な変位や力を問題に
する装置においては、S/N向上のための工夫が不可欠
であり、微小体の小さな付着力を測定するそのような装
置においては、外部振動に強い構造とすることが求めら
れている。
【0010】さらに、L字型のカンチレバーの剛性を高
めるためには小型化することが有効である。しかしなが
ら、その場合にはカンチレバーの小型化に応じて変位検
出のための検出機構も小型化しなければ、限られた空間
にそのような機構を収めることが出来ない。検出機構を
含めた小型化が課題となっている。
【0011】同様に、R. J. Warmack らの論文(R. J.
Warmack, X.-Y. Zheng, T. Thundatand D. P. Allison,
"Friction effects in the deflection of atomic for
cemicroscope cantilevers", Rev. Sci. Instrum., Vo
l.65, (1994) pp.394-399)に示されるように原子間力
顕微鏡においても、カンチレバーの走査による探針先端
と試料表面の摩擦に起因してカンチレバーの反り変形を
起こしている。このため、本来、表面形状に応答した探
針の変位の変化に起因したカンチレバーの反り変形に、
カンチレバーの走査による探針先端と試料表面の摩擦に
よる変形も加わっている。このことから、AFM測定に
より出力された凹凸像には探針先端と試料表面の摩擦の
影響が加わり、正確な表面形状が検出されないといった
影響がでていた。
【0012】また、Yves Martin らのApply. Phys. Let
t. Vol.64 No.19 (1994) pp.2498-2500 、特許第250
1282号、特開平6−194154号やVirgil Eling
s らの特開平7−270434号に記載の垂直壁を画像
化する走査型プローブ顕微鏡法においては、いずれの方
法においてもカンチレバーのねじれ変形と反り変形から
垂直壁や溝の二次元輪郭描写しかできなかった。
【0013】上述した問題は、AFMを中心に前述のよ
うな測定装置に用いられる従来のカンチレバーが支持部
から延出した片持ち梁であり、探針に加わった力による
その変形が反り変形とねじれ変形の二種類しかなく、レ
バー部延出方向の力に対しては、既に試料表面の形状を
表したり、探針と試料間の距離を示す反り変形に重なっ
てしまうことに起因している。
【0014】従って、本発明の主な目的は、探針の当て
付けもしくはレバー部延出方向の力に対してレバー部が
反らず、かつ、レバー部延出方向の力が検出可能なカン
チレバーを提供することである。
【0015】本発明の別の目的は、探針と試料との間に
働く力を独立した三種類の力として検出し、これらを独
立した三つの画像もしくは三次元画像として表示するこ
とを可能にするカンチレバーを提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明のカンチレバー
は、支持部と、支持部から延出した反り変形し得るレバ
ー部とを有するカンチレバーであり、レバー部はその延
出方向に伸縮し得るバネ部を含み、バネ部の伸縮に応じ
てピッチが変化するグレーティングを有している。
【0017】また、本発明の別のカンチレバーは、支持
部と、支持部から延出した反り変形し得るレバー部とを
有し、レバー部が、その延出方向に伸縮し得るバネ部
と、バネ部の伸縮に応じてピッチが変化するグレーティ
ングを含んでいる。
【0018】このカンチレバーにおいて、グレーティン
グは、例えば、レバー部の延出方向を中心に左右対称な
ジグザグ形状のバネ部と、ジグザグ形状のバネ部の頂点
を結ぶ複数の棒によって構成されている。
【0019】このようなカンチレバーにおいて、レバー
部の伸縮は、グレーティングに光を照射し、この光照射
により発生する1次以上の反射回折光の射出方向の変化
を調べることにより求められる。また、レバー部の反り
変形は、前述の光照射により発生する0次反射回折光の
反射方向の変化を調べることにより求められる。さら
に、レバー部のねじれも0次反射回折光の反射方向の変
化を調べることにより求められる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施の形態について説明する。図1は、第一の実施の
形態のカンチレバーの全体の形状を示しており、図2
は、このカンチレバーの断面形状を模式的に示してい
る。
【0021】図1に示すように、このカンチレバー10
は、支持部18と、そこから延出した反り変形し得る外
側レバー部11を有し、さらに、外側レバー部11の内
側に位置する、支持部18から延出した内側レバー部1
2を有している。
【0022】外側レバー部11は、その先端に探針13
が設けられており、先端近くには、内側に向かって等間
隔で櫛状に延出した複数の棒14を有し、棒14と支持
部18の間に、レバー部延出方向に伸縮し得るV字形状
のバネ部17を有している。
【0023】また、内側レバー部12は、外側レバー部
11の棒14に対応して、外側に向かって等間隔で櫛状
に延出した複数の棒15を有している。外側レバー部1
1の棒14と内側レバー部12の棒15は等しいピッチ
を有し、両者は交互に並んで位置している。この棒14
と棒15は、バネ部17の伸縮に応じてピッチが変化す
るグレーティング16を構成している。
【0024】探針13にレバー部延出方向の力が加わる
と、V字状のバネ部17がレバー部延出方向に伸縮し、
外側レバー部11がレバー部延出方向に移動する。この
ため、図2に示すように、探針13に加えられた力に対
応して、外側レバー部11の棒14が平行移動する。内
側レバー部12の棒15は移動しないため、棒14と棒
15の間隔が変化する。
【0025】グレーティング16にレバー部延出方向に
対して傾斜した方向から光を入射させると、正反射する
0次反射回折光が発生すると共にグレーティング16の
周期に対応した射出角で反射回折光が発生する。この反
射回折光は、射出角は飛び飛びの値を持ち、小さい方か
ら順にφ1,φ2 とした場合、射出角φ1 に対する反射回
折光は1次反射回折光、射出角φ2 に対する反射回折光
は2次反射回折光と呼ばれる。
【0026】反射回折光の強度は棒15に対する棒14
の移動に対応して変化する。従って、反射回折光たとえ
ば光量の多い1次反射回折光の強度を調べることによ
り、棒14の移動量を知ることができる。この移動量と
バネ部17のバネ定数に基づいて、探針13の先端に加
わったレバー部延出方向の力を求めることができる。
【0027】また、1次反射回折光と2次反射回折光の
両方の強度を調べ、その強度比に基づいて棒14の移動
量を知ることもでき、この場合には移動量が更に高い精
度で求められる。
【0028】探針13の軸方向の力は、従来のAFMと
同様に、0次反射回折光に基づいて外側レバー部11の
反り変形を調べ、この反り変形量と外側レバー部11の
反りに関するバネ定数から求められる。
【0029】また、探針13の軸方向とレバー部延出方
向の両方に直交する方向の力は、従来のLFMと同様
に、0次反射回折光に基づいて外側レバー部11のねじ
れ変形を調べ、このねじれ変形量と外側レバー部11の
ねじれに関するバネ定数から求められる。
【0030】以上の説明から分かるように、本実施形態
のカンチレバーでは、探針13に加わる力を、レバー部
延出方向と探針13の軸方向とその両方に直交する方向
の三方向の各々に関して独立に検出することができる。
【0031】従って、本実施形態のカンチレバーにおい
ては、探針で試料を一度走査するだけで、探針と試料と
の間に働く力を三種類の独立した力として検出でき、こ
れらの独立した三つの画像もしくは三次元画像を得るこ
とができる。
【0032】加えて、本実施形態のカンチレバーにおい
ては、レバー部延出方向の力は、外側レバー部11の平
行移動を引き起こし、反り変形にはほとんど影響を与え
ない。このため、SPM測定のカンチレバー走査の引き
ずり等の影響を取り除くことが可能となり、より正確な
表面形状が測定できる。
【0033】また、図3は本実施形態のカンチレバーの
探針の変形例を示している。この変形例では、探針33
は外側レバー部11の先端に位置し、外側レバー部11
の面に垂直な端面34を有している。このような探針3
3を備えたカンチレバーは、特開平9−145725号
に示すような付着力測定装置への適用に特に好適であ
り、外部振動に強い構造を有している。加えて、付着力
測定の際に探針33に加わる力は、外側レバー部11を
反らせ難く、主に外側レバー部11の平行移動を生じさ
せるので、より正確な付着力の測定が行なえる。
【0034】また、本実施形態のカンチレバーの探針
を、特許第2501282号に記載されているように先
端が長靴形の横断面を持つ探針に変更し、これを垂直壁
を画像化する走査型プローブ顕微鏡法に適用することに
より、従来では二次元の輪郭描写しかできなかったが、
本実施の形態によれば、カンチレバーのねじれの変形お
よび反りの変形の影響が軽減され、三次元の輪郭描写を
可能にする。
【0035】本実施形態では、V字形状のバネ部17に
ついて説明したが、バネ部の形状はこれに限らず、左右
のバネ部がレバー部の中心を通る長手軸に対して対称で
あれば、どのような形状であってもよい。例えば、バネ
部は、図4に符号17’で示されるようにU字形状であ
ってもよく、あるいはジグザグ形状であってもよい。
【0036】バネ部17の大きさは、測定対象の力の大
きさや外側レバー部11の移動距離を参酌して決められ
る。例えば、20μNまでの力の測定に対して、棒14
と15の間隔を2μm、外側レバー部11の厚さを3μ
mとした場合、V字状のバネ部17は、底辺が12μ
m、高さが30μmの二等辺三角形で、V字の幅が2μ
mとなる。
【0037】また、本実施形態のグレーティング16の
ピッチおよび可動棒14と固定棒15の間隔はμmオー
ダーであり、その正確な数字は、測定対象の大きさ、例
えば付着力や垂直壁の測定に対するレバー部延出方向の
バネ定数により決定される。
【0038】図5は、第二の実施の形態のカンチレバー
の全体の形状を示しており、図6は、このカンチレバー
の断面形状を模式的に示している。図5に示すように、
カンチレバー40は、支持部48と、そこから延出した
反り変形し得るレバー部42とを有し、レバー部42の
先端には探針43が設けられている。レバー部42は、
支持部48から平行に延びた二本のレバー基部46と、
その先に設けられたジグザグ形状のバネ部47と、バネ
部47の内側の頂点を結ぶ複数の棒44を含んでいる。
【0039】ジグザグ形状のバネ部47は、レバー部4
2の中心を通る長手軸を基準にして線対称すなわち左右
対称な形状を有し、複数の棒44は、レバー部42の中
心を通る長手軸に直交し、互いに平行に等間隔で並んで
いる。
【0040】このジグザグ形状の二本のバネ部47とそ
の間に延びる複数の棒44は、バネ部47の伸縮に応じ
てピッチが変化するグレーティング45を構成してい
る。これらの棒44は互いに完全に独立しており、バネ
部47の伸縮に対してはなんら影響を与えない。
【0041】探針43にレバー延出方向の力が加わる
と、カンチレバー40のバネ部47がレバー部延出方向
に伸縮変形する。このため、図6に示すように、グレー
ティング45を構成している棒44の各々がレバー部延
出方向に移動する。この結果としてグレーティング45
のピッチが変化する。なお、図6中の破線は、カンチレ
バー40を縮める方向に力が加わった場合のレバー部の
変形の様子を示している。
【0042】グレーティング45に光を入射させると、
正反射する0次反射回折光とグレーティング45の周期
に対応した反射回折光が発生する。図6に示すように、
グレーティング45に入射した光の入射角と0次反射回
折光の反射角をθとし、1次反射回折光の射出角をφと
する。1次反射回折光の射出角φは、グレーティング4
5のピッチに応じて変化する。
【0043】従って、1次反射回折光の射出角φの変化
量を調べることにより、棒44の移動量を知ることがで
き、この棒44の移動量とバネ部47のバネ定数に基づ
いて、探針43の先端に加わったレバー部延出方向の力
が求めることができる。
【0044】探針43の軸方向の力は、第一の実施形態
と同様に、0次反射回折光の反射角θに基づいてレバー
部42の反り変形を調べ、この反り変形量とレバー部4
2の反りに関するバネ定数から求められる。
【0045】また、探針43の軸方向とレバー部延出方
向の両方に直交する方向の力は、0次反射回折光の反射
角の図6の紙面に垂直な方向の角度成分に基づいてレバ
ー部42のねじれ変形を調べ、このねじれ変形量とレバ
ー部42のねじれに関するバネ定数から求められる。
【0046】以上の説明から分かるように、本実施形態
のカンチレバー40では、探針43に加わる力を、レバ
ー部延出方向と探針43の軸方向とその両方に直交する
方向の三方向の各々に関して独立に検出することができ
る。
【0047】従って、本実施形態のカンチレバーにおい
ては、探針で試料を一度走査するだけで、探針と試料と
の間に働く力を三種類の独立した力として検出でき、こ
れらの独立した三つの画像もしくは三次元画像を得るこ
とができる。
【0048】加えて、本実施形態のカンチレバーにおい
ては、レバー部延出方向の力は、レバー部42の伸縮に
作用し、反り変形にはほとんど影響を与えない。このた
め、SPM測定のカンチレバー走査の引きずり等の影響
を取り除くことが可能となり、より正確な表面形状が測
定できる。
【0049】また、第一の実施の形態と同様に、本実施
形態のカンチレバー40の探針43を、図3に示される
形状の探針33に変更してもよい。このような探針33
を備えたカンチレバーは、特開平9−145725号に
示すような付着力測定装置への適用に特に好適であり、
外部振動に強い構造を有している。加えて、付着力測定
の際に探針33に加わる力は、レバー部42を反らせず
に伸縮させるので、より正確な付着力の測定が行なえ
る。
【0050】また、本実施形態のカンチレバー40の探
針43を、特許第2501282号に記載されているよ
うに先端が長靴形の横断面を持つ探針に変更し、これを
垂直壁を画像化する走査型プローブ顕微鏡法に適用して
もよい。これにより、従来では二次元の輪郭描写しかで
きなかったが、本実施の形態によれば、カンチレバーの
ねじれの変形および反りの変形の影響が軽減され、三次
元の輪郭描写が行なえるようになる。
【0051】図5には棒44とバネ部47が強調して描
かれているが、グレーティング45の全体の実際の大き
さは30μm×30μm以上である。また、バネ部47
の形状は、レバー部42の反り変形のバネ定数や測定対
象の力の大きさに合わせて設定される。
【0052】図7は本実施形態のグレーティング45の
上面図であり、実際にはバネ部47を形成するV字の長
さLを長く、V字の幅Wを狭く設定して、バネ部47の
伸縮方向のバネ定数を小さくすることが好ましい。
【0053】本実施形態のカンチレバー40において
は、図7に示されるように、グレーティング45は、ジ
グザグ形状のバネ部47と、その内側の各頂点を結ぶ棒
44とで構成されているが、グレーティング45の形状
はこれに限らない。グレーティング45は、探針43が
レバー部延出方向の力を受けたときに、複数の棒44が
等しく伸縮するものであればどのような形状であっても
よい。グレーティング45は、図8に示される形状のグ
レーティング45’や図9に示される形状のグレーティ
ング45”に変更されても一向に構わない。
【0054】また、本実施形態のグレーティングのピッ
チおよび間隔はμmオーダーであり、その正確な数字は
測定対象の力の大きさ、例えば付着力や、垂直壁の測定
に対するレバー部延出方向のバネ定数により決定され
る。
【0055】また、本実施形態においては、1次反射回
折光の射出角の変化量からレバー部延出方向の力を見積
もっているが、所定の位置に固定されたセンサーに対す
る1次反射回折光の光量変化に基づいてレバー部延出方
向の力を求めてもよい。
【0056】図10は、第三の実施の形態のカンチレバ
ーの上面図である。図10に示すように、カンチレバー
50は、支持部58と、そこから延出している反り変形
し得るレバー部52とを有している。レバー部52は、
支持部58から延びたジグザグ形状のバネ部57と、バ
ネ部57の内側の各頂点を結ぶ等間隔で並んだ複数の棒
54と、その先に設けられた先端レバー部51とを含ん
でいる。なお、図10では見えないが、先端レバー部5
1の先端の裏側には探針が設けられている。
【0057】ジグザグ形状のバネ部57はレバー部52
の中心を通る長手軸に対して左右対称な形状を有し、複
数の棒54はレバー部52の長手軸方向に等間隔で並ん
でいる。この二本のバネ部57と複数の棒54はグレー
ティング55を構成しており、このグレーティング55
はバネ部57の伸縮に応じてピッチが変化する。
【0058】本実施形態のカンチレバー50において、
(図示しない)探針の先端にレバー部延出方向の力が加
わると、バネ部57がレバー部延出方向に伸縮変形す
る。その結果、第二の実施の形態と同様に、棒54の間
隔すなわちグレーティング55のピッチが探針に加わっ
た力の大きさに応じて変化する。
【0059】グレーティング55に光を入射させると、
正反射する0次反射回折光とグレーティング55の周期
に対応した反射回折光が発生する。この時、1次反射回
折光の射出角は、グレーティング55のピッチに応じて
変化する。
【0060】従って、1次反射回折光の射出角の変化量
を調べることにより、棒54の移動量を知ることがで
き、この棒54の移動量とバネ部57のバネ定数に基づ
いて、探針の先端に加わったレバー部延出方向の力が求
めることができる。
【0061】探針の軸方向の力は、第一の実施形態と同
様に、0次反射回折光の反射角に基づいてレバー部52
の反り変形を調べ、この反り変形量とレバー部52の反
りに関するバネ定数から求められる。
【0062】また、探針の軸方向とレバー部延出方向の
両方に直交する方向の力は、第二の実施の形態と同様
に、0次反射回折光の反射角の角度成分に基づいてレバ
ー部52のねじれ変形を調べ、このねじれ変形量とレバ
ー部52のねじれに関するバネ定数から求められる。
【0063】また、探針の軸方向とレバー部延出方向の
両方に直交する方向の力は、先端レバー部51の面に垂
直かつ先端レバー部51の延出軸を含む平面からの0次
反射回折光の反射方向のずれを検出し、これに基づいて
レバー部52のねじれ変形を調べ、このねじれ変形量と
レバー部52のねじれに関するバネ定数から求められ
る。
【0064】以上の説明から分かるように、本実施形態
のカンチレバーでは、探針に加わる力を、レバー部延出
方向と探針の軸方向とその両方に直交する方向の三方向
の各々に関して独立に検出することができる。
【0065】従って、本実施形態のカンチレバーにおい
ては、探針で試料を一度走査するだけで、試料と探針と
の間に働く力を三種類の独立した力として検出でき、こ
れらの独立した三つの画像もしくは三次元画像を得るこ
とができる。
【0066】加えて、本実施形態のカンチレバーにおい
ては、レバー部延出方向の力は、レバー部52の伸縮に
作用し、反り変形にはほとんど影響を与えない。このた
め、SPM測定のカンチレバー走査の引きずり等の影響
を取り除くことが可能となり、より正確な表面形状が測
定できる。
【0067】また、本実施形態のカンチレバー50の探
針は図3に示される形状であってもよい。このような探
針33を備えたカンチレバーは、特開平9−14572
5号に示すような付着力測定装置への適用に特に好適で
あり、外部振動に強い構造を有している。加えて、付着
力測定の際に探針33に加わる力は、レバー部52を反
らせずに伸縮させるので、より正確な付着力の測定が行
なえる。
【0068】また、本実施形態のカンチレバー50の探
針を、特許第2501282号に記載されているように
先端が長靴形の横断面を持つ探針に変更し、これを垂直
壁を画像化する走査型プローブ顕微鏡法に適用してもよ
い。これにより、従来では二次元の輪郭描写しかできな
かったが、本実施の形態によれば、カンチレバーのねじ
れの変形および反りの変形の影響が軽減され、三次元の
輪郭描写が行なえるようになる。
【0069】もちろん、本実施の形態の探針として、第
一の実施の形態で示した探針13を用いてもよい。本実
施形態のカンチレバー50においては、図10に示され
るように、グレーティング55は、ジグザグ形状のバネ
部57と、その内側の各頂点を結ぶ棒54とによって構
成されているが、グレーティング55の形状はこれに限
らない。グレーティング55は、探針がレバー部延出方
向の力を受けたときに、棒44が等しく伸縮するもので
あればどのような形状であってもよい。例えば、グレー
ティングは図11に符号55’で示されるように、レバ
ー部延出方向に対して左右対称なジグザグ形状のバネ部
57’と、バネ部57’の内側と外側の両方の各頂点を
結ぶ等間隔で並んだ複数の棒54’とで構成されてもよ
い。
【0070】なお、上述の全ての実施の形態におけるカ
ンチレバーは、シリコンウェハを加工するICプロセス
を用いて作製される。また、その特徴となるグレーティ
ングを有するレバー部の形状は、シリコンウェハ上にレ
バー形状に合わせたマスク(例えばシリコン窒化膜)を
施し、マスクが施されていない部分をエッチング除去す
ることにより得られる。
【0071】すなわち、レバーの形状を決定するマスク
形状を変更するだけで、本願発明のような作用および効
果を有するカンチレバーを作製することができる。本発
明は上述した実施の形態に何等限定されるものではな
く、その要旨を逸脱しない範囲で行なわれるすべての実
施を含んでいる。
【0072】
【発明の効果】本発明によれば、レバー部に支持された
探針にレバー部延出方向の力が加わったときに、レバー
部が反り変形を伴なわずに伸縮変形するカンチレバーが
提供される。これにより、探針に対してレバー部延出方
向に加わる力を独立に高い精度で検出ことが出来るよう
になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態によるカンチレバー
の斜視図である。
【図2】図1に示したカンチレバーの断面を模式的に示
す図である。
【図3】図1のカンチレバーの変形例における探針の形
状を示す図である。
【図4】図1のカンチレバーのバネ部に関する変形例の
斜視図である。
【図5】本発明の第二の実施の形態によるカンチレバー
の斜視図である。
【図6】図5に示したカンチレバーの断面を模式的に示
す図である。
【図7】図5のカンチレバーのグレーティングの上面図
である。
【図8】図7のグレーティングに代わりに図5のカンチ
レバーに適用可能なグレーティングの上面図である。
【図9】図7のグレーティングに代わりに図5のカンチ
レバーに適用可能な別のグレーティングの上面図であ
る。
【図10】本発明の第三の実施の形態によるカンチレバ
ーの上面図である。
【図11】図10に示したカンチレバーの変形例の上面
図である。
【図12】従来例に係る付着力測定装置におけるカンチ
レバー周辺部の斜視図である。
【符号の説明】
10 カンチレバー 11 外側レバー部 12 内側レバー部 13 探針 14、15 棒 16 グレーティング 17 バネ部 18 支持部
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年12月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明のカンチレバー
は、支持部と、前記支持部から延出するレバー部とから
なるカンチレバーであって、前記カンチレバーの先端部
に設けられた探針と試料との間に働く力を独立した3種
類の力として検出することを可能にする。また、本発明
の別のカンチレバーは、支持部と、支持部から延出した
反り変形し得るレバー部とを有するカンチレバーであ
り、レバー部はその延出方向に伸縮し得るバネ部を含
み、バネ部の伸縮に応じてピッチが変化するグレーティ
ングを含んでいる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正内容】
【0034】また、本実施形態のカンチレバーの探針
を、特許第2501282号に記載されているように先
端が長靴形の横断面を持つ探針に変更し、これを垂直壁
を画像化する走査型プローブ顕微鏡法に適用することに
より、従来ではレバー部延出方向の力が探針と試料間の
距離を示すカンチレバーの反り変形に重なるため、二次
元の輪郭描写しかできなかったが、本実施の形態によれ
ば、レバー部延出方向の力をカンチレバーの反り変形と
独立した力として検出でき、三次元の輪郭描写を可能に
する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正内容】
【0050】また、本実施形態のカンチレバー40の探
針43を、特許第2501282号に記載されているよ
うに先端が長靴形の横断面を持つ探針に変更し、これを
垂直壁を画像化する走査型プローブ顕微鏡法に適用して
もよい。これにより、従来ではレバー部延出方向の力が
探針と試料間の距離を示すカンチレバーの反り変形に重
なるため、二次元の輪郭描写しかできなかったが、本実
施の形態によれば、レバー部延出方向の力をカンチレバ
ーの反り変形と独立した力として検出でき、三次元の輪
郭描写を可能にする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正内容】
【0068】また、本実施形態のカンチレバー50の探
針を、特許第2501282号に記載されているように
先端が長靴形の横断面を持つ探針に変更し、これを垂直
壁を画像化する走査型プローブ顕微鏡法に適用してもよ
い。これにより、従来ではレバー部延出方向の力が探針
と試料間の距離を示すカンチレバーの反り変形に重なる
ため、二次元の輪郭描写しかできなかったが、本実施の
形態によれば、レバー部延出方向の力をカンチレバーの
反り変形と独立した力として検出でき、三次元の輪郭描
写を可能にする。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持部と、 支持部から延出した反り変形し得るレバー部とを有する
    カンチレバーであり、 レバー部はその延出方向に伸縮し得るバネ部を含み、 バネ部の伸縮に応じてピッチが変化するグレーティング
    を有しているカンチレバー。
  2. 【請求項2】 支持部と、 支持部から延出した反り変形し得るレバー部とを有し、 レバー部が、その延出方向に伸縮し得るバネ部と、バネ
    部の伸縮に応じてピッチが変化するグレーティングを含
    んでいるカンチレバー。
  3. 【請求項3】 請求項2において、グレーティングは、
    レバー部の延出方向を中心に左右対称なジグザグ形状の
    バネ部と、ジグザグ形状のバネ部の頂点を結ぶ複数の棒
    によって構成されている請求項2に記載のカンチレバ
    ー。
JP30443497A 1997-11-06 1997-11-06 カンチレバー Pending JPH11142421A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022057276A1 (zh) * 2020-09-16 2022-03-24 中国科学院沈阳自动化研究所 一种原子力显微镜多探针同时独立运动测量方法与装置

Cited By (2)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022057276A1 (zh) * 2020-09-16 2022-03-24 中国科学院沈阳自动化研究所 一种原子力显微镜多探针同时独立运动测量方法与装置
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