JPH11138824A - インクジェットヘッドの成形方法 - Google Patents

インクジェットヘッドの成形方法

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JPH11138824A
JPH11138824A JP31227897A JP31227897A JPH11138824A JP H11138824 A JPH11138824 A JP H11138824A JP 31227897 A JP31227897 A JP 31227897A JP 31227897 A JP31227897 A JP 31227897A JP H11138824 A JPH11138824 A JP H11138824A
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ink
resin
jet head
ink jet
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Yukuo Yamaguchi
裕久雄 山口
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高いガスバリア性が保持され、吸水性が低減
され、吸水による封止材料とインクジェットヘッドの構
造部材との接着力の低下が阻止され、インク漏れが防止
され、電気実装部の封止の信頼性の向上するインクジェ
ット記録ヘッドの製造方法の提供。 【解決手段】 インクジェットヘッドの電気実装部分の
封止、同ヘッドの複数の部材の接合からなるインク流路
形成部およびインク液室形成部の封止、同ヘッドの外形
の一部分の形成、を行なうため熱硬化性あるいは熱可塑
性樹脂を金型内部に流し込み、該インクジェットヘッド
の一部分を成形する方法の、樹脂供給ノズルを大気と連
通する開口部を有する金型に該金型開口部を閉塞するこ
となく挿入し、成形樹脂を金型内部に注入してインクジ
ェットヘッドの一部分を成形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、ファクシ
ミリ、ワードプロセッサー、ホストコンピューター等の
出力装置としての、プリンター、ビデオプリンター等に
用いられる液体吐出装置としてのインクジェット記録装
置に関する。
【0002】特に、インクジェット記録ヘッドにおい
て、インク液滴吐出エネルギー発生素子を形成した基板
に、該素子を駆動するための電気信号を付与する電気的
結合部(電気実装部)の封止、およびインク流路やイン
ク供給部よりのインク漏れを来たさぬようにするための
封止、等の封止工程をエポキシ樹脂等の樹脂によって行
なうインクジェット記録ヘッドの成形方法に関する。
【0003】
【従来の技術】インクの小滴を発生させ、該小滴を紙、
布、糸、樹脂、金属等の媒体に付着させてプリントを行
なうインクジェットプリント方式は、プリント時の騒音
が極めて少なく、且つ高速プリントが可能であり、しか
もインクジェットヘッドを極めて小型化できるため、カ
ラー化およびコンパクト化が容易なプリント方式として
広く用いられている。
【0004】インクジェットプリント方式の一種に、発
熱素子によってインクを発泡させ、この気泡の成長を利
用してインクを吐出するタイプがある。このようなタイ
プに用いられるインクジェットヘッドの一例を図12、
13に示す。図12は従来のインクジェットヘッドの吐
出エレメントを示す模式斜視図で、図13は図12の吐
出エレメントを用いたインクジェットヘッドのインク流
路回りの構成を示す模式断面図である。
【0005】インクを吐出するためのエネルギー発生体
である発熱素子を備えたシリコン基板1001はアルミ
等の支持体1004上にダイボンディングされている。
一方、該支持体上にはシリコン基板の他に記録装置との
コンタクトを行うためのプリント配線基板1003が接
着されており、シリコン基板1001とプリント配線基
板1003とはワイヤボンディングによって電気的に接
続されている。
【0006】なお、前記シリコン基板1001上には前
記発熱素子の他に駆動用シフトレジスターおよび配線パ
ターンが設けられており、これらは前記発熱素子ととも
にシリコン形成技術により、あらかじめシリコン基板1
001に作り込まれている。また、プリント配線基板1
003にはインクジェット記録装置とのコンタクトを行
なうコンタクトパッド(不図示)が形成されている。
【0007】1002は、インク流路1002eとなる
凹部およびインク液室1002bが射出成形により一体
に形成される天板であり、該天板1002は前記シリコ
ン基板1001に不図示のバネ等によって固定され、前
記インク流路1002eおよびインク液室1002bが
形成されている。また、天板1002はインク吐出孔を
有しており、天板にレーザー加工を施すことによりイン
ク吐出孔が形成される。
【0008】このようなインクジェットヘッドは、天板
とシリコン基板との接合がバネによってなされているた
め、天板に反りが発生したり、天板とシリコン基板との
間にごみが入ったりしてインク流路を形成するインク流
路壁を均一に基板に密着させることができなくなる恐れ
があり、この場合にはインク漏れが生じてしまうことが
ある。
【0009】このようなインク漏れを防止するために、
天板とシリコン基板との接合界面に封止剤が注入され
る。また、インク流路を形成するインク供給ユニットと
他部材との接合部分にも同様に封止剤が注入される。例
えば、図13に示すように、インク供給ユニット100
5は熱カシメによってベースプレート1004に固定さ
れており、これらの部材の隙間においても封止材料10
06が注入されている。
【0010】従来、このようなインクジェットヘッドお
よびインクジェット記録装置の封止剤としては、1液湿
気硬化型シリコーン樹脂が用いられてきた。これは、シ
リコーン封止材料が高い耐インク性、密着性を有してい
ることだけでなく、湿気硬化が可能であること、および
所望の粘度や所望のタックフリー時間の封止剤を得るこ
とができることに起因している。
【0011】ところで、インクジェットヘッドおよびイ
ンクジェット記録装置における解決課題のひとつに気泡
の侵入防止がある。すなわち、インクジェットヘッド内
のインク流路やインク液室に気泡が入ってくると、吐出
エネルギーが気泡に吸収され安定した吐出を行なえなく
なったり、インク供給が気泡によって遮断されてインク
の供給不良を招いてしまうことがある。
【0012】このため、ヘッド内に気泡が溜まってしま
った場合には、従来インクジェット記録装置本体に具備
された回復ポンプによってインクを吸引することにより
気泡の除去を行っている。ところが、回復ポンプによっ
て一時的に気泡は除去されるものの、気泡の侵入防止措
置が確実に行なわれていなければ、インクジェットヘッ
ドを放置すると徐々に気泡が侵入し前述の不具合が生じ
てしまうことになる。したがって、前述のような不具合
を避けるために、インクジェットヘッドの回復操作は頻
繁に行なわなければならない。
【0013】しかし、近年のように装置の小型化が要求
されるようになると、インクタンクの容量が小さくなる
ばかりでなく、回復ポンプが吸引する廃インクを吸収す
るための部材の容量も小さくなっていることから、前述
の回復操作は極力少なくすることが求められており、こ
のような観点より気泡の侵入防止は重要な課題となって
いる。
【0014】気泡は、主に封止剤部分よりヘッド内に侵
入していることが明らかとなっている。すなわち、従来
封止剤として用いられているシリコーン封止材料である
オルガノシリコーン化合物は、シリコーンと炭素あるい
は他の原子との結合距離が長いためガス透過性が比較的
高く前述の気泡侵入防止の観点では必ずしも優れたもの
ではなかったのである。
【0015】そこで、気泡侵入防止の観点より、ガス透
過性が低い有機高分子化合物を封止剤として用いること
が考えられるが、汎用的な有機高分子化合物はシリコー
ン系高分子化合物に比べてガス透過率が100以上低い
特性を有しているものの、これら有機高分子化合物をそ
のままインクジェットヘッドおよびインクジェット記録
装置の封止材料として用いることはできなかった。この
最も大きな原因は、有機高分子化合物であって湿気硬化
可能な材料は極めて少なく、また湿気硬化が可能であっ
ても耐インク性や部材との密着性等において満足できる
材料はほとんどないからである。
【0016】そこで、前述の気泡侵入の問題に鑑み、特
開平7-232439号ではシリコーン変性した有機高
分子化合物、特にポリエーテルポリオールを基材樹脂に
使用した湿気硬化型1液性材料を封止剤として適用する
ことが提案されている。このシリコーン変性した有機高
分子化合物は、湿気硬化特性を付与するために分子末端
に加水分解しやすいアルコキシ基を有するシリコーン化
合物が付加されている。このアルコキシ基は湿気により
分解してシラノールに変化する。このシラノールは極め
て不安定であるため、シラノールを重合させるべく有機
錫等の触媒を若干量添加することによってシラノールを
ゲル化に至らしめている。
【0017】しかしながら、該変性シリコーンに関して
は、骨格がポリエーテルポリオールの吸水性の高い樹脂
であり、インク等を吸収して電気的絶縁性が低下するた
め、電気実装部に使用することは困難であった。
【0018】勿論、他の疎水性高分子化合物をシリコー
ン変性すれば、前記のインク吸収に関する弊害を防止す
ることは可能であるが、結果として、ガスバリアー性が
高く且つ吸水性も低い湿気硬化型の封止材料は、深部硬
化性が極めて悪く、封止材の硬化に1週間程度を要する
こととなった。
【0019】また、これらのシリコーン系封止剤は、一
般的には低分子シロキサンを含有しており、硬化に際し
て低分子シロキサンがインク流路あるいはインク吐出エ
ネルギー発生素子上等に付着した場合、シリコーンは溌
水特性が極めて高いため、インクの流れや吐出の妨げと
なって、良好な印字が行われなくなる可能性がある。
【0020】さらには、これら湿気硬化型封止剤を使用
する場合においては、液状の封止剤が所望の個所以外に
流出しないように、封止枠となる部品を設ける必要があ
り、この封止枠部材がコストアップの一因となってい
た。
【0021】また、湿気硬化型封止剤の使用に関して
は、封止剤が硬化してインクを注入するまでに、数時間
から数日程度の滞留が必要であり、滞留場所の確保やメ
インラインから滞留場所までの移送装置の配置等、設備
投資が非常に嵩むことになる。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】従来、インクジェット
ヘッドの封止に用いられている封止材料であるシリコー
ン樹脂およびシリコーンを変性した有機高分子化合物
は、比較的高い耐アルカリ性を示すとともに、低粘度で
あることから、前記したようにインクジェットヘッドの
製造に好適であった。
【0023】しかしながら、シリコーン樹脂は湿気硬化
性であることから、硬化反応は樹脂表面から進行し、樹
脂全体が完全に硬化するまでに、常温では数日を必要と
していた。また、生産ラインにおいては、封止されたシ
リコーンが硬化するまでの間、インクジェットヘッドユ
ニットを一時的にメインラインの外へ滞留させるための
滞留スペースを確保する必要があり、この滞留スペース
を配置するために生産ラインの規模が大きくなる傾向に
あった。
【0024】さらに、シリコーン樹脂の表面は容易に硬
化するものの、その内部は硬化しにくいために、全域が
完全に硬化しない可能性があり、未硬化分が残存する
と、封止性能が低下するだけでなく、印字に悪影響を及
ぼすことになる。
【0025】一般に、インクジェットヘッドにおいて封
止が必要となる個所は、インク流路やインク液室を形成
する部材間接合部と、ワイヤボンディング等の電気実装
部であり、部材間接合部はインク漏れを防止するために
封止を行ない、電気実装部は電気的絶縁やワイヤボンデ
ィング周辺を被覆するために封止が必要となる。
【0026】但し、これら封止を必要とする個所は、イ
ンクジェットヘッド内に点在しており、これらすべての
場所をシリコーンで一括して封止するには、硬化時間が
増大するばかりでなく不完全硬化部の発生が懸念される
ことから、現状では封止工程を数工程に分けて行なって
いる。
【0027】このように、従来のシリコーン封止工程は
インクジェットヘッドの製造工数を大きく増やし、製造
コストを上げる要因となっていた。さらに、常温におい
て、前記シリコーン樹脂および変性シリコーン樹脂は液
状であるため、図12に示すように、封止枠として外枠
部材(インク供給ユニット1005)を組み付ける必要
があり、部品点数が増加し、コストアップの要因となっ
ていた。
【0028】本発明は、上記に鑑みなされたものであっ
て、その目的は、例えば、エポキシ樹脂を封止材料とし
て用いることにより、高いガスバリア性が保持され、さ
らには前記した吸水性が低減され、吸水によりもたらさ
れる封止材料とインクジェットヘッドの構造部材との接
着力の低下が阻止され、インク漏れが防止され、さらに
は電気実装部の封止の信頼性の向上する、インクジェッ
ト記録ヘッドの製造方法を提供することにある。
【0029】また本発明は、各部材間接合部、電気実装
部を一括して封止することにより、封止工程の工数が削
減され、製造コストおよび設備費の削減され、また、封
止部分とインクジェットヘッドの外形部分とを同時に成
形して、前記封止プロセスに封止外枠部材が不要とな
り、部品コストが削減され、工程の簡素化されたインク
ジェット記録ヘッドの製造方法を提供することを目的と
する。
【0030】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、以下に示
す本発明によって達成される。すなわち本発明は、イン
クジェットヘッドにおける電気実装部分の封止と、同ヘ
ッドにおける複数の部材の接合からなるインク流路形成
部およびインク液室形成部の封止と、同ヘッドにおける
外形の一部分の形成と、を行なうため熱硬化性あるいは
熱可塑性樹脂を金型内部に流し込み、該インクジェット
ヘッドの一部分を成形する方法において、樹脂供給ノズ
ルを大気と連通する開口部を有する金型に該金型開口部
を閉塞することなく挿入し、成形樹脂を金型内部に注入
してインクジェットヘッドの一部分を成形することを特
徴とするインクジェットヘッドの成形方法を開示するも
のである。
【0031】本発明のインクジェットヘッドの成形方法
は、インクジェットヘッドのインク吐出孔形成面を金型
内面に密着させることを特徴とし、また前記インク吐出
孔形成面と密着する金型内面を該インク吐出孔形成面に
対して垂直方向に移動可能に構成してなる金型を用いて
成形することを特徴とし、さらに前記金型内部の成形樹
脂充填領域外の位置にインクジェットヘッドのインク供
給口が配設されるようインクジェットヘッドユニットを
金型内にセットすることを特徴とし、また前記金型内部
の成形樹脂充填領域外の位置にインクジェットヘッドの
インク吐出孔面が配設されるようインクジェットヘッド
ユニットを金型内にセットすることを特徴とし、さらに
前記金型内に注入される樹脂の供給量を規制するための
検出手段を金型内に設けてなることを特徴とし、また前
記金型内に注入される樹脂がエポキシ樹脂であることを
特徴とし、さらに前記エポキシ樹脂がエポキシの主剤と
硬化剤の2液からなる液状樹脂であって且つ両者を予め
混合して金型内に注入することを特徴とするものであ
る。
【0032】本発明におけるインクジェットヘッドの成
形方法は以下のような方法である。
【0033】(1)インクジェットヘッドにおける電気
実装部分の封止と、インクジェットヘッドにおける複数
の部材の接合からなるインク流路形成部およびインク液
室形成部の封止と、インクジェットヘッドにおける外形
の一部分の形成と、を行なうために、熱硬化性あるいは
熱可塑性の樹脂を金型内部に流し込んで、インクジェッ
トヘッドの一部分を成形する方法において、樹脂供給ノ
ズルが大気と連通する開口部を有する金型に、該金型開
口部を閉塞することなく挿入されて、成形樹脂を金型内
部に注入してインクジェットヘッドの一部分を成形する
ような構成にしたことを特徴とするインクジェットヘッ
ドの成形方法である。
【0034】(2)インクジェットヘッドのインク吐出
孔形成面を金型内面に密着させるようにしたことを特徴
とする(1)項に記載されたインクジェットヘッドの成
形方法である。
【0035】(3)該インク吐出孔形成面と密着する金
型内面が該インク吐出孔形成面に対して垂直方向に移動
可能に構成された金型を用いて成形されることを特徴と
する(2)項に記載されたインクジェットヘッドの成形
方法である。
【0036】(4)金型内部の成形樹脂充填領域外の位
置にインクジェットヘッドのインク供給口が配設される
ように、インクジェットヘッドユニットが金型内にセッ
トされるような構成にしたことを特徴とする(1)項な
いし(3)項に記載されたインクジェットヘッドの成形
方法である。
【0037】(5)金型内部の成形樹脂充填領域外の位
置にインクジェットヘッドのインク吐出孔面が配設され
るように、インクジェットヘッドユニットが金型内にセ
ットされるような構成にしたことを特徴とする(1)項
に記載されたインクジェットヘッドの成形方法である。
【0038】(6)金型内に注入される樹脂の供給量を
規制するための検出手段を金型内に設けたことを特徴と
する(1)項ないし(5)項に記載されたインクジェッ
トヘッドの成形方法である。
【0039】(7)金型内に注入される樹脂はエポキシ
樹脂であることを特徴とする(1)項ないし(6)項に
記載されたインクジェットヘッドの成形方法である。
【0040】(8)該エポキシ樹脂はエポキシの主剤と
硬化剤の2液からなる液状樹脂で、両者を予め混合して
から金型内に注入するようにしたことを特徴とする
(1)項ないし(7)項に記載されたインクジェットヘ
ッドの成形方法である。
【0041】また、本発明において使用される封止材料
は通常エポキシ樹脂が適しており、エポキシ樹脂の硬化
剤は耐インク性に優れるカチオンや酸無水物等を主体と
する硬化剤が好ましい。カチオンや酸無水物等を主体と
する硬化剤は、アミン硬化型エポキシ樹脂に比べて、電
気実装個所への腐食性も極めて高く、安定した信頼性の
高い封止を行なうことができる。
【0042】エポキシ樹脂としては、フェノール型とし
てビスフェノールA、ビスフェノールF、テトラブロモ
ビスフェノールA、テトラフェニロールエタン、フェノ
ールノボラック、o-クレゾールノボラック等、アルコ
ール型としてポリプロピレングリコール、水添ビスフェ
ノールA等いずれも使用することができる。
【0043】本来、本発明において成形に使用されるエ
ポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と硬化剤を主成分と
するが、その他必要に応じて無機充填剤、硬化促進剤、
安定剤、シランカップリング剤、難燃剤、各種フィラー
等を適宜含有することができる。また、フィラーの例と
しては、カーボンブラック、シリカ、酸化チタン等が挙
げられる。
【0044】なお、本発明におけるインクジェット記録
ヘッドにおいては、ICやLSIのモールドの封止成形
と異なり、インク吐出孔形成個所、インク供給個所等、
樹脂を充填してはならない個所が存在し、このような個
所には樹脂の回り込み防止処理(所謂マスキング処理)
が必要となる。つまり、樹脂を充填してはならない個所
と金型とが十分に密着するように、金型にて対処し、こ
れらの個所に樹脂が回り込まないようにしなければなら
ない。
【0045】トランスファー成形や射出成形では、密閉
された金型内部の全域に樹脂が充填されるため、仮に、
これらの成形方法でインクジェット記録ヘッドの封止成
形を行なう場合には、マスキング処理が非常に難しくな
ることから、金型は非常に複雑な構造となり、成形サイ
クルが長くなる要因となる。また、樹脂の注入圧力は必
然的に大きくなり、マスキング処理部の隙間から樹脂が
回り込まないようにするために、樹脂の注入圧力はでき
る限り小さくする必要があり、さらに、樹脂の注入圧力
は厳密に制御して行かなければならない。
【0046】これに対して、本発明のように常時大気と
連通する開放部を持つ金型に樹脂を注入する成形方法に
よれば、金型の上方に設けられる開放部から低圧注入さ
れた樹脂は、金型の底面へ流れ、漸次注入面を上昇させ
ながら金型内に充填されて行くことから、成形樹脂の供
給量によって、注入面の高さ、すなわち、注入容積が容
易に制御できる。言い換えれば、金型内に樹脂の充填さ
れない領域が形成されることになる。この樹脂が充填さ
れない領域にインク吐出孔形成個所あるいはインク供給
個所が配設されれば、金型に細工をしなくても、樹脂の
回り込みを簡単に防ぐことができるようになる。
【0047】したがって、金型の細工によるマスキング
処理が必要となる個所が削減でき、且つ非常に簡単な金
型構造によってマスキングが行なえるようになる。例え
ば、インク供給口が樹脂の非充填部に配設されれば、一
方のインク吐出孔面のみ金型に密着させてマスキング処
理を行なえばよいことになる。なお、インクジェットヘ
ッドにはプリンター本体との電気的接続を行なうための
コンタクト部を設ける必要があり、このようなコンタク
ト部においても樹脂の回り込みを防止する形態としてお
くことが好ましい。
【0048】(作用)本発明によれば、常時大気と連通
する金型内部にインクジェットヘッドユニットをセット
して、金型内に例えばニードル状の供給ノズルを挿入し
て所定量の樹脂を流し込んで、インクジェットヘッドに
おける電気実装部分の封止と、インクジェットヘッドに
おける複数の部材の接合からなるインク流路形成部およ
びインク液室形成部の封止と、インクジェットヘッドに
おける外形の一部分の形成と、を行なうことによって、
トランスファー成形や射出成形のように、密閉された金
型内部に樹脂を高圧力で流し込んで封止成形を行なうよ
うな場合と異なり、成形樹脂の供給量制御により、金型
内部において樹脂が充填されない領域を形成することが
可能となり、この非充填領域にインク吐出孔形成個所や
インク供給個所あるいは電気的コンタクト部等を配設し
て、成形時に樹脂が回り込まないようにすることができ
る。
【0049】また、金型内部は大気と連通しているた
め、成形時の樹脂の注入圧力は小さくなり、マスキング
部の隙間から樹脂が回り込むことはなく、金型内部とマ
スキング面との密着力は小さくでき、且つ簡単な構造に
よってマスキング処理ができるようになる。したがっ
て、トランスファー成形や射出成形を利用して封止成形
を行なう場合に困難とされていたマスキング処理が簡単
な金型の細工で行なえるようになる。また、インクジェ
ットヘッドにおいて、マスキングを必要とするような個
所が削減できる。
【0050】つまり、樹脂の回り込みを避けたい箇所が
仮にインク供給口とインク吐出孔形成面であるような場
合、インク供給個所を樹脂の非充填領域に配設すれば、
一方のインク吐出孔形成面は金型の内面に向けて加圧
し、インク吐出孔形成部面と金型内面とを密着させてマ
スキングを行なえばよいことになる。このとき、インク
吐出孔形成面を加圧する手段は、金型の外部に設ければ
よく、金型の外部から金型の開放部を通じて、金型内部
にあるインク吐出孔形成面を金型の密着面に向けて押圧
させることができる。
【0051】したがって、金型密閉式の成形方法(トラ
ンスファー成形や射出成形等)のような金型内部に加圧
機構を設けなければならないような場合と異なり、金型
内部に細工を施す必要はなく、簡単な加圧機構を金型の
外部に設けるだけでマスキング処理をすることができ
る。また、金型内に注入される樹脂の供給量を規制する
ための検出手段を金型内に設けることによって、樹脂の
注入量の制御が容易にできるようになり、安定した成形
品の形成が可能となる。
【0052】また、マスキング面となる金型の駒がマス
キング面に対して垂直方向に移動できるような金型構成
とすることによって、マスキング面(例えばインク吐出
孔形成面)が損傷することなく、インクジェットヘッド
ユニットを離型させることができる。さらに、マスキン
グ面となる金型の駒の位置制御によってマスキング面の
密着力が制御できるような金型構造にすることにより、
より簡単な構造によってマスキング処理ができるように
なる。
【0053】また、エポキシ樹脂を使用して成形するこ
とにより、注入時の樹脂粘度を容易に変えることができ
るようになり、所望の隙間に樹脂を充填する目的の封止
と、密着性を向上させて樹脂の流れ込みを阻止する目的
のマスキング、という相反する流動制御が、エポキシ樹
脂の粘度調整によって比較的簡単に行なうことができる
ようになる。
【0054】また、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂
は成形時に非常に低粘度となることから、低圧注入であ
って、成形樹脂は所定の隙間に回り込んで確実に封止を
行なうことができる。また、エポキシ主剤と硬化剤によ
る2液タイプの液状エポキシ樹脂を用いて成形ることに
より、硬化時間の短縮が図られ、成形サイクルを短くす
ることができるようになる。
【0055】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施態様について
具体的に説明する。
【0056】
【実施例】以下、本発明を実施例により図面に基づいて
詳細に説明するが、本発明がこれらによってなんら限定
されるものではない。
【0057】[実施例1]図1ないし図7は、本発明の
実施例1に係るインクジェットヘッドの成形方法を表す
摸式図であり、図1は本発明の封止成形方法の一例を示
す概略斜視図、図2は本発明の封止成形に適用される金
型構成の一例を示す概略斜視図、図3および図4は本発
明の封止成形方法を説明するための部分断面図、図5お
よび図6は本発明に適用されるインクジェットヘッドユ
ニットの構成の一例を示す断面図、図7はインクジェッ
トヘッドユニットのインク吐出孔周辺を示す部分斜視図
である。
【0058】以下に本発明の実施例1について図1ない
し図7に基づいて説明する。まず、インクジェットヘッ
ドユニットの構成について説明する。図5〜図8におい
て、51はインクジェットヘッドユニットを示すもので
あり、まず、インクジェットヘッドユニット51の構成
について説明する。
【0059】1はインクを吐出するためのエネルギー発
生体である電気熱変換体(吐出ヒータ)と吐出ヒータヘ
電力を供給する配線とが、シリコン成膜プロセスにより
シリコン基板上に形成されてなるヒータボードであり、
2はヒータボード1に対する配線とインクジェット記録
装置本体に対する電気的コンタクトとを、行なうための
配線基板で、ガラエポ基板に銅やニッケルにて配線パタ
ーンを形成したPCB基板やフレキシブルフィルム等に
配線パターンを形成したTABフィルム等が用いられ
る。
【0060】3はヒータボード1と配線基板2とを接続
する配線で、例えばワイヤーボンディングにより電気的
に接続される。4はアルミニウム等によって形成される
支持基板(以下、ベースプレートと称する)であり、ベ
ースプレート4は駆動に伴って生じるヒータボード1の
熱を放熱冷却するヒートシンクとしても機能する。
【0061】また、2a(図1,8参照)はインクジェ
ット記録装置本体と電気的接続をするためのコンタクト
部で、コンタクト部2aがベースプレート4に隠されな
いようにベースプレート4を逃がしてある。ヒータボー
ド1と配線基板2はベースプレート4上に接合されてお
り、ヒータボード1はベースプレート4上にダイボンデ
ィングされ、また、配線基板2はベースプレート4上に
粘着剤等によって接着されている。
【0062】5はインク流路を形成する天板で、天板5
は、インクを被記録媒体へ吐出するためのインク吐出孔
6bを所望の数量だけ有するオリフィスプレート6、天
板5の底面に凹状に形成されてインク吐出孔6bと連通
するインク流路としてのノズル7、天板5の底面に凹状
に形成されてノズル7へインクを供給するサブタンクと
しての役割をもつインク液室8、不図示のインク貯蔵タ
ンクからインク液室8にインクを供給するためのインク
供給口9、とから構成されている。
【0063】このような天板5はポリサルフォン、ポリ
エーテルサルフォン、ポリプロピレン、変性ポリフェニ
レンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポ
リマー等の樹脂あるいはニッケル、シリコン等の材料に
よって形成される。インク吐出面6aとインク供給口9
の相対向きは、インク貯蔵タンクの着脱方向や着脱方
式、被記録媒体へのインク吐出方向等、インクジェット
記録装置本体の製品仕様によって異なるが、実施例1
は、インク吐出面6aとインク供給口9が対向して配設
される形態である。
【0064】また、天板5は、上記オリフィスプレート
6、ノズル7、インク液室8、インク供給口9の全てを
一体にした構成、オリフィスプレート6のみを別体にし
た構成、インク供給口9のみを別体にした構成、ノズル
7とインク液室8を境界として2分割にした構成、全て
を分離して4分割にした構成等、様々な分割形態が採ら
れており、本発明はあらゆる形態の天板5において適応
できる。
【0065】10はヒータボード1上の吐出ヒータと天
板5上のノズル7とを密着させるための押えバネで、相
対する吐出ヒータとノズル7とが完全に合致するように
アライメント調整された後に、押えバネ10がノズル7
の真後ろに相当する天板5の溝部5aより天板5を押圧
する。この押えバネ10の押圧によってノズル7の壁は
ヒータボード1へ完全に密着し、これによって各ノズル
7間は完全に仕切られることになる。また、オリフィス
プレート6は図7に示すようにベースプレート4の前端
面に前垂れのように配設される。
【0066】このようにヒータボード1と天板5とは押
えバネ10の押圧によって圧接されていることから各ノ
ズル間は完全に仕切られるが、インク液室8の外壁、オ
リフィスプレート6とヒータボード1前端面との境界
面、等は押えバネ10の押圧が十分に作用しないことか
ら密着が不十分となる。
【0067】さらに、天板5に反りが発生していたり、
ヒータボード1と天板5との間にごみが入ったりすると
接合面が浮いてしまうことになる。このように、密着不
十分の個所が存在すると、ここからインク漏れが生じて
しまい、インクジェットヘッドとしての役割が果たせな
くなる。
【0068】そこで、このようなインク漏れを防止する
ために、ヒータボード1と天板5との接合界面に封止剤
を注入して隙間を埋める必要がある。本発明にいては、
インクジェットヘッドユニットがセットされた金型にエ
ポキシ樹脂等の低粘度樹脂を注入して、ヒータボード1
と天板5との接合界面の封止、ヒータボード1と配線基
板2の電気的接合部(ワイヤーボンディング周辺部)の
封止、外形の一部形成、を目的とした成形加工を行なう
ものである。
【0069】但し、インク吐出孔6bとインク供給口9
に樹脂が回り込むとインクの通路が閉塞されてしまうた
め、これらの個所に樹脂が回り込まないような処理を施
してから、成形を行なわなければならない。さらに、当
然のことながら、配線基板2のコンタクト部2a(図
1,8参照)にも樹脂が回り込まないような処理を施さ
なければならない。
【0070】次に本発明におけるインクジェットヘッド
の成形方法について説明する。図1および図2におい
て、11,12はインクジェットヘッドユニット51の
封止成形を行なうための金型で、図2に示すように型締
め後であっても金型の上方は開放される(図1、図2参
照)ようになっている。
【0071】13はベースプレート4を挟持するための
クランプ、14はクランプ13を保持するためのベース
部材、15はクランプ13が保持するインクジェットヘ
ッド51を移送するための移送部材、16はベース部材
14に固定され、クランプ13を移送部材15に対して
上下動させるための案内となるガイド軸で、このガイド
軸16は移送部材15の穴15aを摺動する。
【0072】また、17はガイド軸16に沿って配設さ
れる圧縮バネで、クランプ13は圧縮バネ17の付勢力
によって下方へ押し下げられ、ガイド軸16のフランジ
16aと移送部材15との接触によって下降するのを規
制している。
【0073】図1のように、クランプ13によって挟持
されたインクジェットヘッドユニット51が、移送部材
15に移送されて、型締めされた金型11,12の上方
に搬送されると、移送部材15は下降して、インクジェ
ットヘッド51を金型11,12の上方にある開放部1
1aより金型内部へ挿入する。
【0074】このとき、ベースプレート4の側面4a
は、金型の型締めによって形成される溝部11bによっ
て規制されるため、インクジェットヘッドユニット51
は金型内部の所定の位置へ正確に導かれて行く。
【0075】その後、インクジェットヘッドユニット5
1が下降を続けて、オリフィスプレート6上のインク吐
出面6a(図8参照)と金型11の内底面11cとが突
き当たると、移送部材15のさらなる下降により、イン
ク吐出面6aは、圧縮バネ17の弾性回復力によって金
型11の内底面11cに押圧されて、インク吐出面6a
と金型11の内底面11cは圧着する(図3参照)よう
になる。このときの圧着力は圧縮バネ17の弾性回復力
すなわち移送部材15が下降停止する位置により制御さ
れる。
【0076】インクジェットヘッドユニット51が金型
11,12の所定の位置にセットされると、成形樹脂の
供給ノズルが金型11,12の開放部11aより金型内
部に注入される。図4において、21は成形樹脂を供給
するためのシリンジ、22は成形樹脂を金型11,12
内部へ導くためのニードル、23はノズルである。シリ
ンジ21とクランプ13部が干渉しないように、ニード
ル22は金型11の案内溝11dを通じて金型内部へ挿
入される。
【0077】ノズル23が金型11,12内部の所定の
深さまで進入すると、ノズル23から成形樹脂が噴出し
て金型内部に樹脂を流して、成形が行なわれる。金型内
部では、流し込まれた樹脂の注入面は、インク吐出面6
a部より徐々に上昇しながらインクジェットヘッドユニ
ット51部を浸して行くので、樹脂の供給量を漸次増や
していけば、インクジェットヘッドユニット51の成形
領域は徐々に増加することになる。
【0078】反面、樹脂の注入面が上昇しすぎると、樹
脂がインク供給口9やコンタクト部2aに到達するた
め、樹脂の注入面が所望の高さ範囲を超えないように、
樹脂の供給量は成形樹脂供給系20によって適宜制御さ
れている。一方、インク吐出面6aは金型11の内底面
11cに圧着されているため、樹脂がオリフィスプレー
ト6のインク吐出面6aに回り込んでインク吐出孔6b
(図7参照)を閉塞するようなことはない。
【0079】金型内の樹脂が硬化して封止成形が完了す
るとインクジェットヘッドユニット51は金型開放部か
ら上方へ容易に引き上げることができるので、突き出し
ピン等を使用する成形方法と異なり、離型の際に、成形
品に対し衝撃を与えるようなことはなく、安定した封止
成形を行なうことができる。図6はこのような成形方法
によって封止成形されたインクジェットヘッドユニット
51の状態を示すもので、25は金型内に注入された樹
脂によって成形された領域を示すものである。
【0080】以上に、本発明の実施例1におけるインク
ジェットヘッドの成形方法を示したが、金型内に注入さ
れる樹脂の供給量を規制するための検出手段を金型内に
設けることにより、樹脂の注入量が正確に制御できるよ
うになり、安定した成形品の形成が可能となり、成形品
の品質が格段に向上するようになる。
【0081】また、エポキシ樹脂を使用して成形するこ
とにより、注入時の樹脂粘度を容易に変えることができ
るようになり、所望の隙間に樹脂を充填する目的の封止
と、密着性を向上させて樹脂の流れ込みを阻止する目的
のマスキング、という相反する流動制御がエポキシ樹脂
の粘度調整によって比較的簡単、且つ容易ににできるよ
うになる。また、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂は
成形時に非常に低粘度となることから、低圧注入であっ
ても、成形樹脂は所定の隙間へ確実に回り込み、安定し
た封止が可能となるので、簡単な構造の成形装置にする
ことができる。
【0082】一方、熱可塑性樹脂であっても、ポリフェ
ニレンサルファイド等のような溶融粘度の低い樹脂であ
れば、同様の効果が期待できる。また、エポキシ主剤と
硬化剤による2液タイプの液状エポキシ樹脂によって成
形すれば、硬化時間の短縮が図れて、成形サイクルを短
くすることができるようになる。
【0083】なお、本実施例では、インク吐出孔面を金
型に密着させてマスキング処理を行なう構成にしている
が、インク吐出孔面ではなく、インク供給口を金型に密
着させてマスキング処理を行なうような構成にしてもよ
い。ただし、インク供給口にマスキングを施す場合は、
インク吐出孔面が樹脂の非充填領域に配設されるように
なる。
【0084】[実施例2]図8ないし図11は本発明の
実施例2に係るインクジェットヘッドの成形方法を表す
摸式図であり、図8は本発明の実施例2に適用される封
止成形の金型構成の一例を示す概略斜視図、図9および
図10は実施例2の封止成形方法を説明するための部分
断面図、図11は実施例2におけるインクジェットヘッ
ドユニットの構成の一例を示す断面図である。本実施例
による封止成形方法はインク吐出面6aとインク供給口
9とが直角に配設されるようなインクジェットヘッドユ
ニットに適応できるものである。
【0085】以下に本発明の実施例2について前記実施
例と同一の部分には同一の番号を付して説明する。同図
において、52はインク吐出面6aとインク供給口9と
が直角に配設されているインクジェットヘッドユニット
で、31,32,33はインクジェットヘッドユニット5
2の封止成形を行なうための金型で、インクジェットヘ
ッドユニット52は金型31の凹部31aに位置決めし
てセットされる。
【0086】金型31,32の型締め後、このインクジ
ェットヘッドユニット52は矢印左右方向に移送可能な
ように凹部31aの深さとヒータボード1(図11参
照)の厚みとのクリアランスは最適な値となっている。
金型33はスライド駒であり、金型31,32に対して
矢印方向に独立的に可動するようになっている。また、
32aは型締め後に樹脂の供給ノズルを進入させるため
の開放部である。
【0087】34は金型31の凹部31aを矢印方向に
摺動可能なように配設される移動部材で、移動部材34
には吸引穴34aが配設されており、配線基板2のコン
タクト部2aはこの吸引穴34aより真空吸引されて、
移送部材34の上面34bに圧着されるようになってい
る。35は移動部材34の一端に固定され、移動部材3
4を矢印方向に移送するための移動軸、36は移動軸3
5に沿って配設される圧縮バネ、37は制御部材で、移
動軸34は制御部材37の穴(不図示)を摺動しながら
矢印左右方向に移動する。
【0088】移動部材34は圧縮バネ36の付勢力によ
って常時矢印左方向に移送されるようになっており、イ
ンクジェットヘッド52が金型内にセットされると、こ
の移動部材34により金型33の側面33aに向けて押
圧されるため、インク吐出面6aと金型33の側面33
aとは圧着するようになる。したがって、インク吐出面
6aと金型33の側面33aとの密着力は制御部材37
の停止位置によって制御される。
【0089】このように、インクジェットヘッドユニッ
ト52が金型内の所定の位置にセットされると、成形樹
脂の供給ノズル23が金型の開放部32aより金型内部
に注入される。
【0090】前記実施例同様に、樹脂がインク供給口9
からインクジェットヘッド内部へ流れ込まないように、
樹脂の供給量は成形樹脂供給系20によって確実に制御
されている。また、配線基板2のコンタクト部2aも移
動部材34の上面34bに吸引圧着されているため、樹
脂がコンタクト面2aに流れ込むことはない。
【0091】また、インク吐出面6aは金型33の側面
33aに圧着されているため、樹脂がオリフィスプレー
ト6のインク吐出面6aに回り込んでインク吐出孔6b
を閉塞するようなことはない。金型内の樹脂が硬化して
封止が完了すると、まず金型33が開き、インク吐出面
6aのマスキングを開放するため、インク吐出面6aは
摺擦等による損傷を起こすことはなく、インクジェット
ヘッドユニット52は金型31と金型32の離型時に離
型抵抗なく簡単に分離される。
【0092】図11はこのような成形方法によって封止
成形されたインクジェットヘッドユニット52の状態を
示すもので、38は金型内に注入された樹脂によって成
形された領域を示すものである。
【0093】以上に、本発明の実施例2におけるインク
ジェットヘッドの成形方法を示したが、本実施例では移
動部材34による押圧によって、インク吐出面のマスキ
ング処理を行なっているが、本実施例以外の方法とし
て、インクジェットヘッドユニットは金型内に完全に固
定して、スライド駒33の押圧力によってマスキング面
の圧着力を制御するような構成にしてもよい。
【0094】
【発明の効果】上記のように、本発明のインクジェット
ヘッドの成形方法により、以下に列記するような顕著な
効果が奏される。
【0095】(1)例えばエポキシ樹脂を封止材料とし
て用いることにより、インクジェットヘッドにおいて高
いガスバリア性を保持することができる。
【0096】(2)また、エポキシ樹脂を封止剤に用い
ることによって、吸水性を低減させ、吸水による封止材
料とインクジェットヘッドの構造部材との接着力の低下
を低減せしめ、インク漏れを防止し、さらには電気実装
部の封止の信頼性を向上させることができる。
【0097】(3)また、各部材間接合部、電気実装部
を一括して封止することにより、封止工程の工数削減
と、製造コストおよび設備投資の削減と可能となる。
【0098】(4)また、封止部分とインクジェットヘ
ッドの外形部分とを一括して成形することにより、従来
の封止プロセスに用いられた封止外枠部材が不要とな
り、インクジェットヘッドの部品コストを削減し、工程
の簡素化を図ることができる。
【0099】(5)また常時大気と連通する金型を用い
て成形するため、金型内部に樹脂が充填されない領域を
容易に形成することができ、このような非充填領域にイ
ンク吐出孔形成個所やインク供給個所あるいは電気的コ
ンタクト部等を配設すれば、このようなインク流路部へ
の樹脂の回り込みを簡単に阻止することができる。
【0100】(6)また、成形時の樹脂の注入圧力が小
さいことから、マスキング処理部の隙間から樹脂が回り
込むことはなく、金型とマスキング面との密着力を小さ
くすることができるため、インクジェットヘッドユニッ
トの損傷を押さえることができる。
【0101】(7)したがって、トランスファー成形や
射出成形を利用して封止成形を行なう場合に困難とされ
ていたマスキング処理が簡単な金型構造で行なえるよう
になり、さらに、金型の細工を利用してマスキング処理
をするような個所が削減される。
【0102】(8)また、金型内に注入される樹脂の供
給量を規制するための検出手段を金型内に設けることに
よって、樹脂の注入量の制御が正確に行なえるようにな
り、安定した成形品の形成が可能となる。
【0103】(9)また、マスキング面となる金型の駒
がマスキング面に対して垂直方向に移動できるような金
型構成とすることによって、インクジェットヘッドのマ
スキング面を損傷することなく、離型させることができ
る。
【0104】(10)さらに、マスキング面となる金型
の駒の位置制御によってマスキング面の密着力が制御で
きるよう構成することにより、より簡単な構造によって
マスキング処理がで可能となる。
【0105】(11)また、エポキシ樹脂を使用して成
形することにより、注入時の樹脂粘度を容易に変えるこ
とができ、所望の隙間を充填する目的の封止と、双方の
面を圧着して流入を阻止する目的のマスキング、という
相反する流動制御を、エポキシ樹脂の粘度調整によって
比較的簡単に行なうことができる。
【0106】(12)また、エポキシ樹脂のような熱硬
化性樹脂は成形時に非常に低粘度となることから、トラ
ンスファー成形や射出成形のような高圧注入をせずに、
成形樹脂を所定の隙間に回り込ませ安定した封止が可能
となるので、簡単な構造の成形装置にすることができ
る。
【0107】(13)また、エポキシ主剤と硬化剤によ
る2液タイプの液状エポキシ樹脂によって成形すること
により、硬化時間の短縮が図られ、成形サイクルを短く
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明(実施例1)における封止成形方法の一
例を示す概略斜視図。
【図2】本発明(実施例1)における封止成形方法に適
用される金型の一例を示す概略斜視図。
【図3】本発明(実施例1)においてインクジェットヘ
ッドユニットが金型にセットされた状況を示す部分断面
図。
【図4】本発明(実施例1)において樹脂が金型に注入
される状況を示す部分断面図。
【図5】本発明(実施例1)に適用されるインクジェッ
トヘッドユニットを示す摸式断面図。
【図6】本発明(実施例1)によって成形されたインク
ジェットヘッドユニットを示す摸式断面図。
【図7】インクジェットヘッドユニットのインク吐出孔
周辺を示す部分斜視図。
【図8】本発明(実施例2)における封止成形方法の一
例を示す概略斜視図。
【図9】本発明(実施例2)においてインクジェットヘ
ッドユニットが金型にセットされた状況を示す部分断面
図。
【図10】本発明(実施例2)において樹脂が金型に注
入される状況を示す部分断面図。
【図11】本発明(実施例2)によって成形されたイン
クジェットヘッドユニットを示すインクジェットヘッド
ユニットの摸式断面図。
【図12】従来例のインクジェットヘッドユニットのイ
ンク吐出孔周辺部を示す摸式斜視図。
【図13】従来例のインクジェットヘッドユニットの封
止を説明するための摸式断面図。
【符号の説明】
1 ヒータボード 2 配線基板 3 配線 4 ベースプレート 5,1002 天板 6 オリフィスプレート 7,23 ノズル 8 インク液室 9 インク供給口 10 押えバネ 11,12,31,32,33 金型 13 クランプ 14 ベース部材 15 移送部材 16 ガイド軸 17,36 圧縮バネ 20 樹脂供給系 21 シリンジ 22 ニードル 25,38 注入樹脂形成領域 34 移動部材 35 移動軸 37 制御部材 51,52 インクジェットヘッドユニット 1001 シリコン基板 1003 プリント配線基板 1004 支持体、ベースプレート 1005 インク供給ユニット 1006 封止材料

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクジェットヘッドにおける電気実装
    部分の封止と、同ヘッドにおける複数の部材の接合から
    なるインク流路形成部およびインク液室形成部の封止
    と、同ヘッドにおける外形の一部分の形成と、を行なう
    ため熱硬化性あるいは熱可塑性樹脂を金型内部に流し込
    み、該インクジェットヘッドの一部分を成形する方法に
    おいて、樹脂供給ノズルを大気と連通する開口部を有す
    る金型に該金型開口部を閉塞することなく挿入し、成形
    樹脂を金型内部に注入してインクジェットヘッドの一部
    分を成形することを特徴とするインクジェットヘッドの
    成形方法。
  2. 【請求項2】 前記インクジェットヘッドのインク吐出
    孔形成面を、金型内面に密着させることを特徴とする請
    求項1記載のインクジェットヘッドの成形方法。
  3. 【請求項3】 前記インク吐出孔形成面と密着する金型
    内面を、該インク吐出孔形成面に対して垂直方向に移動
    可能に構成してなる金型を用いて成形することを特徴と
    する請求項2記載のインクジェットヘッドの成形方法。
  4. 【請求項4】 前記金型内部の成形樹脂充填領域外の位
    置にインクジェットヘッドのインク供給口が配設される
    よう、インクジェットヘッドユニットを金型内にセット
    することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記
    載のインクジェットヘッドの成形方法。
  5. 【請求項5】 前記金型内部の成形樹脂充填領域外の位
    置にインクジェットヘッドのインク吐出孔面が配設され
    るよう、インクジェットヘッドユニットを金型内にセッ
    トすることを特徴とする請求項1記載のインクジェット
    ヘッドの成形方法。
  6. 【請求項6】 前記金型内に注入される樹脂の供給量を
    規制するための検出手段を、金型内に設けてなることを
    特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のインク
    ジェットヘッドの成形方法。
  7. 【請求項7】 前記金型内に注入される樹脂が、エポキ
    シ樹脂であることを特徴とする請求項1ないし6のいず
    れかに記載のインクジェットヘッドの成形方法。
  8. 【請求項8】 前記エポキシ樹脂が、エポキシの主剤と
    硬化剤の2液からなる液状樹脂であって、且つ両者を予
    め混合して金型内に注入することを特徴とする請求項1
    ないし7のいずれかに記載のインクジェットヘッドの成
    形方法。
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