JPH1113585A - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

内燃機関の燃料噴射制御装置

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JPH1113585A
JPH1113585A JP9168890A JP16889097A JPH1113585A JP H1113585 A JPH1113585 A JP H1113585A JP 9168890 A JP9168890 A JP 9168890A JP 16889097 A JP16889097 A JP 16889097A JP H1113585 A JPH1113585 A JP H1113585A
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fuel
injector
cylinder
air
intake
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JP9168890A
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English (en)
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Masae Nozawa
野澤  政衛
Yukio Sawada
沢田  行雄
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Original Assignee
Denso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】気筒内に流入する混合気の成層化を図り、混合
気のリーン限界を拡張する。 【解決手段】エンジン1の吸気管2には、エアアシスト
式のインジェクタ18が配設されており、インジェクタ
18による噴射燃料は吸気バルブ14を介して燃焼室1
3内(気筒内)に流入される。このとき、インジェクタ
18による噴射燃料の粒径は10〜30μm程度に微粒
化されている。また、ECU30内のCPU33は、吸
気行程の後期になるほど気筒内への時間当たりの燃料流
入量が増加するようにインジェクタ18の駆動を制御す
る。上記構成によれば、吸気バルブ14の閉弁直前に多
量の噴射燃料が吸入されるため、気筒内にて層状混合気
が形成できる。つまり、点火プラグ周りが燃焼に十分な
空燃比雰囲気となり、全体としてリーン雰囲気であって
も安定した燃焼が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸気バルブの開弁
に伴う吸気行程期間に対応させてインジェクタによる燃
料噴射を実施する内燃機関の燃料噴射制御装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】この種の従来技術として、特開平3−9
50号公報の「内燃機関用混合気供給装置」が提案され
ている。同公報の装置では、気筒への吸入空気量の増減
に比例させて燃料噴射量を増減させ、気筒内に吸入され
る混合気の混合比(空燃比)が吸気行程中のクランク角
に対して常に一定になるようにしていた。そしてこの構
成により、気筒内の混合気の分布が均一になり燃焼が安
定化できる旨が記載されていた。
【0003】その他の従来技術として、特開昭60−1
1652号公報又は特開昭60−122239号公報の
「エンジンの燃料噴射装置」では、インジェクタ(燃料
噴射弁)による燃料噴射時期を吸気行程のほぼ後半と
し、それにより燃料の成層燃焼を行うようにしていた。
また、燃料の成層燃焼を好適に実現する手段として、機
関への吸入空気量が多いほどインジェクタに給送する燃
料の圧力(燃圧)を高くしたり、噴射終了のクランク角
位置を機関運転状態に応じて変更したりするようにして
いた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記特開平
3−950号公報の装置では、吸気バルブが開弁状態と
なる吸気行程の全期間にて気筒内に混合気を吸入させて
いたため、吸気流速が微小な期間にも気筒内への混合気
の吸入が行われる。かかる場合、混合気の均一化が不十
分となるなどの要因から、良好なる燃焼を実現すること
ができなかった。その結果、低燃費、低NOx を狙った
空燃比リーン領域での燃料噴射制御、すなわちリーンバ
ーン制御を支障無く実現することができなかった。
【0005】また、特開昭60−11652号公報又は
特開昭60−122239号公報では、燃料噴射時期を
吸気行程のほぼ後半とすることにより燃料の成層燃焼が
実現できる旨の記載があるが、実際にはインジェクタか
ら噴射供給される燃料の粒径の大きさに起因してポート
ウエット量が増大してしまうという問題があった。つま
り、従来既存の装置では一般に燃料の平均粒径が約15
0〜200μm程度であり、それではポートウェットや
シリンダウェット、更に均質な混合気が得にくいこと等
が原因で燃焼が不完全になり混合気の成層化が適正に実
現できなかった。
【0006】本発明は、上記問題に着目してなされたも
のであって、その目的とするところは、気筒内に流入す
る混合気の成層化を図り、混合気のリーン限界を拡張す
ることができる内燃機関の燃料噴射制御装置を提供する
ことである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明では、インジェクタによる噴
射燃料の粒径を約70μm以下に微粒化する燃料微粒化
手段と、吸気行程の後期になるほど気筒内への時間当た
りの燃料流入量が増加するようにインジェクタの駆動を
制御するインジェクタ駆動制御手段とを備える。なお、
上記燃料微粒化手段としては、 ・エアアシスト式のインジェクタを用い、当該インジェ
クタに給送されるエア圧力を調整すること、 ・インジェクタによる燃料噴霧を高温の吸気バルブの傘
部に向けて噴射すること、 ・多孔タイプ(例えば12孔タイプ)のインジェクタを
使用すること、といった構成が採用される。
【0008】上記構成によれば、インジェクタは吸気バ
ルブの開弁に伴う吸気行程期間に対応して駆動され、イ
ンジェクタによる噴射燃料は内燃機関の吸気ポートに噴
射供給された後、気筒内(燃焼室内)に吸入される。こ
の場合、吸気行程の後期になるほど気筒内への時間当た
りの燃料流入量が増加するため、吸気バルブの閉弁直前
には多量の噴射燃料が吸入されることになる。従って、
気筒内にて層状混合気が形成でき、空燃比リーン領域で
も燃焼状態を安定化させることができる。より具体的に
は、点火プラグ周りが燃焼に十分な空燃比雰囲気とな
り、全体としてリーン雰囲気であっても安定した燃焼が
可能となる。また上記構成では、インジェクタによる噴
射燃料を約70μm以下に微粒化したため、気筒内での
燃料の気化が促進され、シリンダウェットによる不完全
燃焼など従来装置のような不具合が抑制できる。
【0009】以上のように本発明では、気筒内に流入す
る混合気の成層化を好適に実現することができ、ひいて
は、混合気のリーン限界を拡張して内燃機関を低燃費域
で運転させることが可能となる。なお、噴射燃料の平均
粒径(ザウタ平均粒径SMD:Sauter's mean diamete
r)の最適範囲は、10〜30μmであることが本発明
者により確認されている。
【0010】ここで、上記の如く吸気行程の後期ほど多
量の燃料を気筒内に流入させる構成において、その効果
を確認するための実験結果を図13を用いて説明する。
図13は、NOx の排出量と燃費とを効果のパラメータ
とした場合において、その効果の程度を燃料粒径SMD
に応じて示す図である。図13によれば、燃料粒径SM
Dが小さくなるほど、NOx 量が低減されると共に、燃
費が向上することが分かる。なおここで、「SMD=7
0μm」のしきい値は、NOx 量や燃費の許容レベルを
基準に設定され、SMD≦70μmであれば、上記の如
く吸気行程の後期ほど多量の燃料を気筒内に流入させる
よう燃料噴射制御を実施しても安定した燃焼状態が確保
できることになる。
【0011】請求項2に記載の発明では、インジェクタ
駆動制御手段は、吸気バルブの開弁からの時間経過に従
い気筒内への燃料流入量の増加率を徐々に大きくする。
この場合、混合気の層状化を図る上で、より一層の効果
が得られるようになる。
【0012】請求項3に記載の発明では、ピエゾ素子を
用いてインジェクタの開弁リフト量を制御可能とした燃
料噴射制御装置において、インジェクタ駆動制御手段
は、ピエゾ素子の伸縮量を調整して気筒内への時間当た
りの燃料流入量を制御する。この構成によれば、ピエゾ
素子を伸縮させてインジェクタの開弁リフト量を増減さ
せることで時間当たりの噴射流量が容易に変更できる。
この発明は、ピエゾ駆動式のインジェクタを使用するこ
とで実現できる。
【0013】また、請求項4に記載の発明では、インジ
ェクタによる噴射燃料の粒径を約70μm以下に微粒化
する燃料微粒化手段と、吸気行程内での燃料流入を複数
回に分割し、吸気行程の後期になるほど前記分割した一
回分の燃料流入量が増加するように前記インジェクタの
駆動を制御するインジェクタ駆動制御手段とを備える。
本請求項の構成においても、上記請求項1の発明と同様
に、気筒内に流入する混合気の成層化を好適に実現する
ことができ、ひいては、混合気のリーン限界を拡張して
内燃機関を低燃費域で運転させることが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)以下、本発明を具体化した第1の
実施の形態を図面に従って説明する。
【0015】本実施の形態の装置は、プラグ着火式多気
筒内燃機関(以下、エンジンという)の燃料噴射量を最
適に制御するものであり、当該エンジンの各気筒には吸
気ポートに配設されたインジェクタによる噴射燃料が空
気と共に吸入される。インジェクタは、マイクロコンピ
ュータを主体とする電子制御装置(以下、ECUとい
う)によりその駆動が制御される。ここで、ECUは、
インジェクタによる噴射燃料と吸入空気とからなる混合
気を気筒内で成層化させるべく、気筒内への時間当たり
の燃料流入量を調整しながらインジェクタの駆動を制御
する。以下には、本装置の詳細を説明する。
【0016】図1は、本実施の形態にかかるエンジンの
燃料噴射制御装置をより詳細に示す構成図である。図1
において、エンジン1には吸気管2と排気管3とが接続
されている。吸気管2には、アクセルペダル4に連動す
るスロットル弁5が設けられ、同スロットル弁5の開度
は、スロットル開度センサ6により検出されるようにな
っている。また、吸気管2のサージタンク7には、吸気
圧センサ8が配設されている。
【0017】エンジン1の気筒を構成するシリンダ9内
には図の上下方向に往復動するピストン10が配設され
ており、同ピストン10はコンロッド11を介して図示
しないクランク軸に連結されている。ピストン10の上
方にはシリンダ9及びシリンダヘッド12にて区画され
た燃焼室13が形成されており、燃焼室13は吸気バル
ブ14及び排気バルブ15を介して前記吸気管2及び排
気管3に連通している。排気管3には、排気ガス中の酸
素濃度(或いは、未燃ガスである一酸化炭素の濃度)に
比例して広域で且つリニアな空燃比信号を出力する、限
界電流式空燃比センサからなるA/Fセンサ16が設け
られている。また、シリンダ9(ウォータジャケット)
には、冷却水温を検出する水温センサ23が配設されて
いる。
【0018】エンジン1の吸気ポート17にはピエゾ駆
動式のインジェクタ18が設けられており、このインジ
ェクタ18には燃料タンク19から燃料(ガソリン)が
供給される。本実施の形態では、吸気マニホールドの各
分岐管毎に1つずつインジェクタ18を有するマルチポ
イントインジェクション(MPI)システムが構成され
ており、各気筒毎のインジェクタ18はデリバリパイプ
25により連結されている。なお、本実施の形態では、
4孔タイプのエアアシスト式インジェクタ18を採用し
ており、その詳細な構成については後述する。燃料タン
ク19とインジェクタ18との間には、燃料圧力(燃
圧)を調整しつつ燃料をデリバリパイプ25に供給する
燃料ポンプ26が配設されている。この場合、吸気管上
流から供給される新気とインジェクタ18による噴射燃
料とが吸気ポート17にて混合され、その混合気が吸気
バルブ14の開弁動作に伴い燃焼室13内(気筒内)に
流入される。
【0019】シリンダヘッド12に配設された点火プラ
グ27は、イグナイタ28からの点火電圧により発火す
る。イグナイタ28には、点火電圧を各気筒の点火プラ
グ27に分配するためのディストリビュータ20が接続
され、同ディストリビュータ20にはクランク軸の回転
状態に応じて720°CA毎にパルス信号を出力するク
ランク角センサ21と、より細かなクランク角毎(例え
ば、30°CA毎)にパルス信号を出力する回転角セン
サ22が配設されている。
【0020】一方、ECU30は例えばマイクロコンピ
ュータシステムを中心に構成され、A/D変換器31、
入出力インターフェース(I/O)32、CPU33、
ROM34、RAM35、バックアップRAM36等を
備える。前記吸気圧センサ8の検出信号、A/Fセンサ
16の検出信号及び水温センサ23の検出信号は、A/
D変換器31に入力され、A/D変換された後にバス3
7を介してCPU33に入力される。また、前記スロッ
トル開度センサ6の検出信号、クランク角センサ21の
パルス信号、及び回転角センサ22のパルス信号は、入
出力インターフェース32及びバス37を介してCPU
33に入力される。CPU33は、各検出信号に基づい
て吸気圧PM、空燃比(A/F)、冷却水温Tw、スロ
ットル開度、基準クランク位置(G信号)及びエンジン
回転数Neを検知する。
【0021】このとき、CPU33は、G信号に基づき
燃料噴射制御時の噴射気筒の判別を実施する。また、C
PU33は、エンジン運転状態を表す上記の各種検出信
号に基づいてインジェクタ18による燃料噴射量を制御
する。このCPU33の燃料噴射制御により、エンジン
1が排気行程から吸気行程に移行する所定期間内に燃料
が噴射され、この噴射燃料が吸気行程での吸気バルブ1
4の開弁に伴い気筒内(燃焼室13内)に流入される。
【0022】次に、図2を用いてインジェクタ18の詳
細な構成を説明する。なお本実施の形態のインジェクタ
18は、ピエゾ駆動式の常閉弁として構成されるもので
ある。
【0023】図2のインジェクタ18において、バルブ
ボディ82はケース部82a及びノズル部82bを有
し、それら各部材82a,82bはリテーニングリング
82cにより一体化されている。ノズル部82bには、
摺動孔83、燃料室84及び噴射口85が形成されてお
り、前記摺動孔83には、ニードル形状の弁体86がそ
の軸線方向へ摺動可能に嵌挿されている。ケース部82
aには摺動孔83と連通する背圧室87が形成され、同
背圧室87にはコイルスプリング88が収容されてい
る。従って、コイルスプリング88の弾性力により弁体
86は常時、ノズル部82bの先端側(図の下側)に付
勢される。これにより、通常(非通電時)においてスプ
リング88の弾性力により弁体86がノズル部82bの
先端と接触し、噴射口85を閉鎖する。
【0024】ノズル部82bの先端には、エアアシスト
アダプタ44が装着されており、このエアアシストアダ
プタ44が噴射口85より噴射される燃料の微粒化を促
進すると共にその噴射燃料を吸気管2内に案内する役目
を果たす。
【0025】より詳しくは、当該アダプタ44には、燃
料噴霧を促進するための補助空気を導入するためのエア
導入孔48が複数箇所に設けられると共に、前記噴射口
45から噴射される燃料とエア導入孔48から導入され
る補助空気との混合気を所定角度にて複数方向に分岐し
て噴射させる分岐通路49が設けられている。かかる場
合、分岐通路49は、各気筒2個ずつの吸気バルブ14
の傘部中心に向くよう構成されている。なお因みに、本
実施の形態のインジェクタ18では、エアアシストアダ
プタ44の分岐通路49が4方向に分岐されており、そ
の下端面に4つの噴射孔が形成されることから前記イン
ジェクタ18を「4孔タイプインジェクタ」と称する。
【0026】また、エアアシストアダプタ44のエア導
入孔48には、この孔48に供給するエアの圧力を調整
するためのプレッシャレギュレータ71が接続されてお
り、エアの供給圧は吸気管2のスロットル弁下流の圧力
に対して一定の差圧が生じるよう調整される。さらに、
このプレッシャレギュレータ71には、IGキーのオン
操作に伴い駆動されるエア供給ポンプ72が接続されて
いる。よって、スロットル弁下流の吸気負圧に対して所
定の差圧を有するエアがエア導入孔48から導入される
ことで、前記噴射口45から噴射される燃料噴霧の微粒
化が促進されるようになる。本実施の形態では、前記プ
レッシャレギュレータ71及びエア供給ポンプ72によ
りエア導入孔48に3kg/cm^2程度の加圧エアが連
続的に給送されるよう構成されている。
【0027】なお、加圧エアの供給方法としては、燃料
噴射のタイミングに同期させてエア供給ポンプ72によ
るエア加圧を行うようにしてもよく、かかる場合には例
えば噴射開始直前からエア加圧を開始し、噴射終了と共
に加圧を停止すればよい。こうした方法によっても、燃
料の微粒化には十分な効果が得られる。
【0028】また、前記ケース部82a内には、電圧の
印加に伴い伸縮するピエゾスタック89が配設されてい
る。このピエゾスタック89は、ピエゾ素子としての多
数のPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を積層して構成さ
れるものであって、ECU30により所定の電圧が印加
される。なお、ピエゾ素子として圧電セラミックの一種
であるPLZT(チタン酸ジルコン酸ランタン酸鉛)を
使用することも可能である。このピエゾスタック89の
下端面には、移動体90及びピストン91が固定連結さ
れており、同ピストン91はピエゾスタック89の歪み
変形に伴って移動する。また、ピストン91の図の下方
には圧力制御室92が形成され、この圧力制御室92と
前記背圧室87との間は連通路93により連通されてい
る。
【0029】一方、バルブボディ82のケース部82a
には燃料供給通路94が形成され、その通路94の一端
は燃料タンク19内の燃料を汲み上げるための燃料ポン
プ26に連結されている。また、燃料供給通路94の他
端はノズル部82bの燃料室84に連通している。
【0030】そして、インジェクタ18による燃料噴射
時には、ECU30からの電圧信号によりピエゾスタッ
ク89が収縮方向に変形してピストン91の後退(図の
上方向への移動)が許容される。それにより、圧力制御
室92内に負圧が発生し、弁体86がコイルスプリング
88の弾性力に抗して上方に移動する。その結果、弁体
86とノズル部82b先端との接触が解除され、噴射口
85並びにエアアシストアダプタ44の分岐通路49を
介して燃料が吸気管2内に噴射される。また、ピエゾス
タック89が逆方向(伸長方向)に変形してピストン9
1が前進すると、弁体86が前進して噴射口85が閉鎖
される。
【0031】上記構成によれば、ピエゾスタック89に
印加する電圧を変えることで、前記弁体86のリフト量
を任意の値に設定することができる。つまり、燃料の通
過面積が可変となり、結果として燃圧を変更せずに時間
当たりの燃料の噴射流量を変化させることができるよう
になる。具体的には通常、0〜500(ボルト)の直流
電圧をピエゾスタック89に印加してリフト量を制御す
る。図3は、ピエゾスタック89への印加電圧とインジ
ェクタ18の弁体リフト量との関係を示し、図4は、ピ
エゾスタック89への印加電圧とインジェクタ18の単
位時間当たりの噴射流量との関係を示す。
【0032】次に、上記の如く構成される本実施の形態
の燃料噴射制御装置の作用を説明する。本実施の形態の
装置では、(イ)吸気行程の後期になるほど、気筒内に
流入される燃料の量を増加させること(燃料量可変の処
理)、(ロ)気筒内への燃料流入時期を吸気行程初期の
特定時期に調整すること(燃料の流入時期調整)、
(ハ)気筒内に流入される燃料を微粒化すること(噴射
燃料の微粒化)、を要旨としており、以下には、上記
(イ)〜(ハ)の詳細について順を追って説明する。
【0033】先ずは、(イ)に記した「燃料量可変の処
理」について図5を用いて説明する。図5は、吸気及び
排気バルブ14,15の開弁に伴うバルブリフト量と、
インジェクタ18の燃料噴射時期と、インジェクタ18
の弁体リフト量と、吸気バルブ14の開弁に伴う吸気流
速の変化と、筒内への燃料流入量とを表すタイムチャー
トであり、図中の横軸にはピストン10の1サイクル中
のTDC(上死点)及びBDC(下死点)を示してい
る。なお実際には、吸気バルブ14の開弁のタイミング
よりも若干遅れて吸気流速が増加し始めるが、便宜上、
同図ではこれら両タイミングを同期させて示す。
【0034】排気バルブ15はBDCの直前に開弁し、
TDC(吸気TDC)の直後に閉弁している。また、吸
気バルブ14は吸気TDCの直前に開弁し、BDC直後
に閉弁している。このとき、吸気バルブ14の開弁に伴
って吸気流速が所定のしきい値Vrを越える期間は、同
図の「T」で表され、この「T期間」は吸気バルブ14
のバルブリフト量が全開時(リフト量=100%時)に
対して約20%以上となる期間に相当する。なおここ
で、吸気流速は、吸気バルブ14の開弁当初において急
峻に上昇し、ピーク値に達した後は徐々に下降する傾向
にある。
【0035】さらに、前記インジェクタ18による燃料
噴射期間において、弁体リフト量は図示の如く変化し、
この弁体リフト量の波形に対応して時間当たりの筒内へ
の燃料流入量が変化する。詳細には、前記のT期間内に
おいて、当初は少しずつ燃料流入量が増加し、吸気行程
が進むにつれて徐々に増加率が大きくなる。つまり、吸
気行程の後期になるほど、時間当たりの筒内への燃料流
入量が増大する。この場合、筒内への燃料流入時期は前
記「T」のほぼ全期間にかかり、上述した通り弁体リフ
ト量は前記図2のピエゾスタック89への印加電圧によ
り可変に制御される(図3,図4参照)。
【0036】上述の燃料供給法によれば、筒内に吸入さ
れた混合気が層状化され、インジェクタ18の噴射方向
に位置する点火プラグ27の周辺がリッチ雰囲気とな
る。それにより、混合気の空燃比がリーン領域で設定さ
れるような場合であっても、混合気を適正に燃焼させる
ことができ、燃料噴射制御の空燃比領域をリーン側に拡
張させることが可能となる。
【0037】次に、(ロ)に記した「燃料の流入時期調
整」について図6を用いて説明する。要するに、エンジ
ン気筒内への吸入空気の充填効率を高めるには、吸気行
程の初期にインジェクタ18による噴射燃料を気筒内に
流入させるのが望ましい。これは、以下の理由による。
つまり、吸気行程初期に燃料を吸入させると燃料の気化
が早められ、この時の気化熱により空気温度が低下し
て、気筒内に吸入される空気の単位体積当たりの重量
(密度)が増加する。その結果、吸入空気の充填効率が
高められると共に、燃料噴射状態を安定させることがで
き、エンジン出力トルクが向上する。
【0038】より具体的に説明すれば本実施の形態の装
置では、図6(b)に示すように、前記T期間の初期
「T/3」の期間にて、気筒内への燃料流入を行なわせ
る。このとき、インジェクタ18により噴射された霧化
燃料は、吸気バルブ開弁時の初期において吸入空気の流
れに乗って筒内に流入する。かかる場合には、インジェ
クタ18の弁体リフト量が固定値として設定され、単位
時間当たりの燃料流入量は一定に保たれる。
【0039】本実施の形態では便宜上、前記(イ)に記
したように筒内への時間当たりの燃料流入量を可変とす
るモードを「燃料量可変モード」と称し、前記(ロ)に
記したように筒内への時間当たりの燃料流入量を固定と
するモードを「燃料量固定モード」と称する。各モード
の燃料流入時期を比較すると、燃料量可変モードでは図
6(a)に示すように、前記「T」の期間内で全燃料
(100%)が気筒内に流入し、燃料量固定モードでは
図6(b)に示すように、前記「T/3」の期間内で全
燃料が気筒内に流入する。
【0040】さらに、前記(ハ)に記した「噴射燃料の
微粒化」について図7及び図8を用いて説明する。すな
わち本実施の形態では、上述したようにエアアシスト式
のインジェクタ18を用いており、同インジェクタ18
に給送される加圧エアを調整すること、並びに燃料噴霧
を高温の吸気バルブ14の傘部に向けて噴射すること
で、所定範囲内の燃料粒径SMDを生成するようにして
いる。なおここで、燃料粒径SMDは、インジェクタ1
8の加圧エア圧力に対して図7に示す関係を有し、加圧
エア圧力が大きくなるほど、燃料粒径SMDは小さくな
り微粒化されるようになる。
【0041】図8は、燃料粒径SMDがトルクアップに
対してどのような効果を持っているかを実機で試験的に
確認した結果を示す。同図では、Ne=2000rp
m,WOT(全負荷)という条件下でインジェクタ18
へのエア圧力の調整(0〜500kPa)により燃料粒
径SMDを変化させた時のトルクアップ率を縦軸に示し
ている。図8に示すように、燃料粒径SMDが小さくな
るほど、トルクアップ率は増加する(数%程度)。ま
た、燃料粒径SMDとして、気化熱効果を最大限引き出
すためには最適値があると考えられ、このグラフの結果
等から推定してSMDの最適値が10〜30μm程度で
あることを導き出した。
【0042】次に、上記のような燃料供給動作を制御す
るために、ECU30内のCPU33により実施される
各種演算処理について図9,図10のフローチャートを
用いて説明する。ここで、図9は最終の燃料噴射時間で
あるTAUの算出ルーチンを、図10はインジェクタ1
8の駆動制御ルーチンをそれぞれに示すフローチャート
である。図9のTAU算出ルーチンは、各気筒の燃料噴
射に同期して(本実施形態では180°CA毎に)CP
U33により実行され、図10のルーチンは所定周期の
タイマ割り込みでCPU33により実行されるようにな
っている。
【0043】さて、図9のTAU算出ルーチンがスター
トすると、CPU33は、先ずステップ101でROM
34内に予め格納されている基本噴射マップを用い、そ
の時のエンジン回転数Ne及び吸気圧PMに応じた燃料
の基本噴射時間Tpを算出する。また、CPU33は、
ステップ102で周知の空燃比F/B条件が成立してい
るか否かを判別する。空燃比F/B条件とは、冷却水温
Twが所定温度以上であること、高回転・高負荷状態で
ないこと、A/Fセンサ16が活性状態であること等を
含む。
【0044】この場合、ステップ102が否定判別され
れば、CPU33はステップ104に進んで、F/B補
正係数FAFを「1.0」とする。つまり、FAF=
1.0となることは、空燃比がオープン制御されること
を意味する。また、ステップ102が肯定判別されれ
ば、CPU33はステップ104に進んでF/B補正係
数FAFを設定する。
【0045】ここで本実施の形態では、現代制御理論に
基づく空燃比フィードバック(F/B)制御を実施す
る。従って、現代制御理論に基づく空燃比F/B制御の
実施時には(ステップ102がYESの場合)、A/F
センサ16の検出結果を目標空燃比に一致させるための
F/B補正係数FAFを次の式(1),(2)を用いて
算出する。なお、このF/B補正係数FAFの設定手順
については特開平1−110853号公報に開示されて
いる。
【0046】 FAF=K1 ・λ+K2 ・FAF1 + ・・・+Kn+1 ・FAFn +ZI …(1) ZI=ZI1 +Ka・(λTG−λ) …(2) 上記式(1),(2)において、λはA/Fセンサ16
による検出電流の空燃比変換値を、λTGは目標空燃比
を、K1 〜Kn+1 はF/B定数を、ZIは積分項を、K
aは積分定数をそれぞれに表す。また、添字iはサンプ
リング開始からの制御回数を示す変数である。
【0047】FAF値の設定後、CPU33は、ステッ
プ105で次の(3)式を用い、基本噴射時間Tp、F
/B補正係数FAF、その他の補正係数FALL(水
温、エアコン負荷等の各種補正係数)及び無効噴射時間
Tvから最終の燃料噴射時間TAUを算出する。
【0048】 TAU=Tp・FAF・FALL+Tv …(3) 燃料噴射時間TAUの算出後、CPU33は、本ルーチ
ンを一旦終了する。また、図10のインジェクタ駆動制
御ルーチンが所定周期(例えば、4msec)のタイマ
割り込みにより起動されると、CPU33は、先ずステ
ップ201でエンジン回転数Ne,吸気圧PM,冷却水
温Tw等のエンジン運転状態を読み込み、続くステップ
202で上記読み込んだ運転状態に基づいてインジェク
タ18による燃料噴射のモードを決定する。このモード
決定時には、基本的に図11のマップを用い、エンジン
回転数Neが低回転域、中回転域及び高回転域のいずれ
にあるか、或いはエンジン負荷(吸気圧PM)が低負荷
域、中負荷域及び高負荷域のいずれにあるかに応じて
「燃料量可変モード」又は「燃料量固定モード」のいず
れかが選定される。
【0049】図11は、前記図6(a)に示す「燃料量
可変モード」と、図6(b)に示す「燃料量固定モー
ド」とを選別するためのエンジン1の回転域及び負荷域
を示すマップである。同図において、低中回転域及び低
中負荷域(図の斜線域)では、燃料量可変モードにより
インジェクタ18の燃料噴射が実施され、高回転域又は
高負荷域では、燃料量固定モードによりインジェクタ1
8の燃料噴射が実施されるようになっている。但し本実
施の形態では、例えばエンジン1の低温始動時には上記
2つのモードの燃料噴射を行なわず、「低温モード」に
よる燃料噴射を行うこととしており、前記ステップ20
2のモード決定時には、低温モードを加えた上記3つの
モードの中から1つの燃料噴射のモードが選定される。
【0050】その後、CPU33は、ステップ203で
前記決定した燃料噴射のモードを判定する。この場合、
例えばエンジン1の低温始動時であって「低温モード」
である旨が判別されれば、CPU33はステップ204
に進み、当該低温モードでインジェクタ18を駆動させ
て燃料噴射を実施する。この低温モードでのインジェク
タ駆動とは、吸気行程前に燃料噴射を実施すると共に、
噴射燃料を吸気ポートにて吸入空気と混合し、その混合
気を吸気行程全域にかけて筒内に流入させるものであ
り、この噴射動作は従来既存の装置と同じ動作となる
(時間当たりの燃料量は固定)。
【0051】また、「燃料量可変モード」である旨が判
別された場合、CPU33はステップ205に進み、当
該燃料量可変モードでインジェクタ18を駆動させて燃
料噴射を実施する(図6(a)参照)。さらに、「燃料
量固定モード」である旨が判別された場合、CPU33
はステップ206に進み、当該燃料量固定モードでイン
ジェクタ18を駆動させて燃料噴射を実施する(図6
(b)参照)。
【0052】なお本実施の形態では、エアアシスト式の
インジェクタ18が請求項記載の燃料微粒化手段に相当
し、図10のルーチンがインジェクタ駆動制御手段に相
当する。
【0053】以上詳述した本実施の形態によれば、以下
の効果が得られる。 (a)本実施の形態では、インジェクタ18による噴射
燃料の粒径を10〜30μm程度に微粒化すると共に、
吸気行程の後期になるほど気筒内への時間当たりの燃料
流入量が増加するようにインジェクタ18の駆動を制御
した。上記構成によれば、吸気バルブ14の閉弁直前に
多量の噴射燃料が吸入されるため、気筒内にて層状混合
気が形成できる。つまり、点火プラグ周りが燃焼に十分
な空燃比雰囲気となり、全体としてリーン雰囲気であっ
ても安定した燃焼が可能となる。またこのとき、インジ
ェクタ18による噴射燃料を微粒化したため、気筒内で
の燃料の気化が促進され、シリンダウェットによる不完
全燃焼など従来装置のような不具合が抑制できる。以上
のことから、気筒内に流入する混合気の成層化を好適に
実現することができる。その結果、空燃比リーン領域で
も燃焼状態が安定し、混合気のリーン限界を拡張してエ
ンジン1を低燃費域で運転させることが可能となる。
【0054】(b)特に本実施の形態では、吸気バルブ
14の開弁からの時間経過に従い気筒内への燃料流入量
の増加率を徐々に大きくするようにしたため(図5参
照)、混合気の層状化を図る上で、より一層の効果が得
られるようになる。このとき、前記図5に示すように吸
気流速が吸気行程の後期に遅くなっても、気筒内への燃
料流入を適正に行わせることができる。
【0055】(c)本実施の形態では、ピエゾスタック
89の伸縮量を調整してインジェクタ18から噴射され
る時間当たりの噴射流量を制御するようにした。この構
成によれば、ピエゾスタック89を伸縮させてインジェ
クタ18の開弁リフト量を増減させることで時間当たり
の噴射流量が容易に変更できる。
【0056】(d)また本実施の形態では、エンジン運
転状態の高回転又は高負荷条件下において、吸気バルブ
14の開弁期間内のうち開弁当初の約1/3の時間内に
インジェクタ18による噴射燃料が気筒内に流入するよ
う、当該インジェクタ18の駆動を制御するようにした
(図6(b)参照)。本構成によれば、気筒内への流入
燃料の多くが早期に気化され、吸気バルブ14が閉弁さ
れて吸気が終了するまでに、気筒内の流入燃料の気化が
完了する。このとき、燃料の気化熱により空気温度が低
下することで、吸入空気の単位体積当たりの重量(密
度)が増加する。その結果、吸入空気の充填効率が高め
られると共に、燃料燃焼状態が安定する。また、エンジ
ン1の同一運転条件で比較した場合、従来装置よりも多
くの空気が吸入でき、出力トルクを向上させることが可
能になる。すなわち、高回転又は高負荷状態下では、ト
ルク重視のエンジン運転が可能となる。
【0057】ここで、上記の如く吸気行程の後期ほど多
量の燃料を気筒内に流入させる構成において、その効果
を確認するための実験データを図12及び図13を用い
て説明する。図12では、燃料粒径SMDの異なる3つ
のインジェクタを用い、空燃比制御の目標値をストイキ
(A/F=14.7)から徐々にリーン側に移行させた
場合におけるNOx 排出量と燃費の推移を示しており、
図中の実線はSMD=70μm程度での実験データを、
二点鎖線はSMD=10〜30μmでの実験データを、
破線はSMD=200μmでの実験データを示す。ま
た、各SMDでの点A1,B1,C1は、ストイキを目
標空燃比とした際のNOx 量と燃費とを示し、点A2,
B2,C2はリーン空燃比(例えばA/F=23)を目
標空燃比とした際のNOx 量と燃費とを示す。
【0058】但し、図12のSMD=200μmのデー
タは、吸気行程期間に関係なく均一な燃料噴射を行い吸
気ポート内に滞留する燃料で混合気を形成した後、その
混合気を気筒内に流入させる従来方式の燃料噴射を適用
している。これは、SMD=150〜200μmで本実
施の形態のような混合気の成層化を具体化しようとした
場合、燃料粒径が大きいことから良好な成層化ができに
くく燃焼が不安定となり、リーン領域での空燃比制御が
極めて困難になるためである。
【0059】この場合、SMD=10〜30μmの制御
とSMD=200μmの制御とについて、NOx 量又は
燃費が最良となる各値を比較すれば、前者の制御ではN
Ox量が図の「W1」分だけ低減されると共に、燃費が
図の「W2」分だけ向上することが分かる。
【0060】また、図13は、NOx の排出量と燃費と
を効果のパラメータとした場合において、その効果の程
度を燃料粒径SMDに応じて示す図である。図13によ
れば、燃料粒径SMDが小さくなるほど、NOx 量が低
減されると共に、燃費が向上することが分かる。なおこ
こで、「SMD=70μm」のしきい値は、NOx 量や
燃費の許容レベルを基準に設定され、SMD≦70μm
であれば、上記の如く吸気行程の後期ほど多量の燃料を
気筒内に流入させるよう燃料噴射制御を実施しても安定
した燃焼状態が確保できる。
【0061】(第2の実施の形態)次に、本発明におけ
る第2の実施の形態を図14を用いて説明する。但し、
第2の実施の形態の構成において、上述した第1の実施
の形態と同等であるものについては図面に同一の記号を
付すと共にその説明を簡略化する。そして、以下には第
1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0062】上記第1の実施の形態では、吸気行程の後
期になるほど気筒内への時間当たりの燃料流入量が増加
するようにインジェクタ18の駆動を制御したが、本実
施の形態では、時間当たりの燃料流入量を均一にすると
共に吸気行程内での燃料流入を複数回に分割し、吸気行
程の後期になるほど前記分割した一回分の燃料流入量が
増加するようにインジェクタ18の駆動を制御する。こ
の場合、インジェクタ18の弁体リフト量は固定(一
定)のまま、弁体リフトの継続時間が調整される。な
お、燃料微粒化の処理は、上記第1の実施の形態と同様
に実施される。
【0063】詳細には、図14のタイムチャートに示す
ように、インジェクタ18による噴射燃料が例えば3回
に分割して実施され、吸気行程の図の「T」期間内にお
いては3分割された燃料が気筒内にそれぞれ吸入され
る。このとき、1回目の燃料流入の時間T1と、2回目
の燃料流入の時間T2と、3回目の燃料流入の時間T3
とは、 T1<T2<T3 の関係にあり、吸気行程の後期になるほど、一回分の燃
料流入量が増加する。従って、吸気バルブ14の閉弁直
前には多量の噴射燃料が吸入され、気筒内にて層状混合
気が形成できる。
【0064】以上本実施の形態においても、上記第1の
実施の形態と同様に、気筒内に流入する混合気の成層化
を好適に実現することができ、ひいては、混合気のリー
ン限界を拡張して内燃機関を低燃費域で運転させること
が可能となる。
【0065】上記第2の実施の形態は、次のように具体
化できる。 ・燃料流入の各時間T1,T2,T3を同一とし、イン
ジェクタ18の弁体リフト量を徐々に大きくすることで
一回分の燃料流入量を調整する。 ・燃料流入の各時間T1,T2,T3を同一とすると共
に、インジェクタ18に供給される燃料の圧力(燃圧)
を可変に制御する。この場合、例えば燃料ポンプを使っ
て燃圧を徐々に大きくすれば、吸気行程の後期になるほ
ど分割した一回分の燃料流入量が増加する。 ・燃料流入を2分割或いは4分割以上としたり、インジ
ェクタとしてピエゾ駆動式以外のものを使用したりして
もよく、要は吸気行程の後期になるほど分割した一回分
の燃料流入量が増加するようインジェクタの駆動が制御
できる構成であればよい。
【0066】なお、本発明の実施の形態は、上記以外に
次の形態にて実現できる。上記実施の形態では、燃料粒
径SMDを10〜30μmに微粒化したが、このSMD
の範囲は約70μm以下であれば適宜変更して設定でき
る。この場合にも既述の各実施の形態と同様に、気筒内
に流入する混合気の成層化を好適に実現することがで
き、空燃比リーン領域でも燃焼状態が安定する。
【0067】上記実施の形態では、エンジン運転状態の
高回転又は高負荷条件下において、吸気バルブ14の開
弁期間内のうち開弁当初の約1/3の時間内にインジェ
クタ18による噴射燃料が気筒内に流入するよう、「燃
料量固定モード」による燃料噴射を実施したが(図6
(b)参照)、この処理を省略して具体化することも可
能である。つまり、エンジンの全運転域で図6(a)に
示す燃料量可変モードの制御を実施する。
【0068】上記第1の実施の形態は、以下の図15や
図16に示す形態にて実施してもよい。これらは時間当
たりの燃料流入量の変化の形態を変更したものであり、
図15では、燃料流入量の増加率(時間当たりの傾き)
を一定とし、図16では、燃料流入量の増加率を徐々に
小さくしている。加えて、気筒内への時間当たりの燃料
流入量をステップ状に増加させるようにしてもよい。
【0069】燃料微粒化手段として、既述の手法以外に
次のように具体化してもよい。多孔タイプ(例えば12
孔タイプ)のインジェクタを使用する。すなわち、既述
の4孔タイプのインジェクタよりも噴射孔の径(具体的
には、前記図2の分岐通路49の開口部の径)を微小化
すると共に、孔数を12個、或いはそれ以上に増やす。
かかる場合、エア圧が比較的低くても燃料微粒化の効果
が得られるため、エア加圧により燃料流速が過剰に大き
くなってシリンダウェット量が増加するといった不都合
も回避できる。この場合には、前記図2のエア供給ポン
プ72によるエア加圧を省略することも可能である。
【0070】また、エンジン1の高回転状態或いは高負
荷状態下において、未燃HCの排出量を抑制することを
目的として、前記「T/3」の期間内で全燃料のうち約
50%を噴射すると共に残りの50%分の燃料を吸気行
程外で噴射するようにしてもよい。この処理は、前記図
6(b)の如く「T/3」の期間内に全燃料を気筒内に
流入させる処理に代えて実施してもよく、或いは図6
(b)の処理と併用してもよい。
【0071】上記実施の形態では、燃料噴射モードの領
域を設定するに当たり、エンジン運転状態を表すパラメ
ータとしてエンジン回転数Neと吸気圧PMとを用いた
が、これらパラメータは上記Ne,PM以外でもよく、
例えばエンジン負荷を表すパラメータとしてスロットル
開度や吸入空気量を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態におけるエンジンの燃料噴射
制御装置の概要を示す構成図。
【図2】ピエゾ駆動式のインジェクタを示す構成図。
【図3】ピエゾスタックへの印加電圧と弁体リフト量と
の関係を示すグラフ。
【図4】ピエゾスタックへの印加電圧と噴射流量との関
係を示すグラフ。
【図5】燃料量可変の処理において、吸気及び排気バル
ブの開弁に伴うバルブリフト量と、インジェクタの燃料
噴射時期と、インジェクタの弁体リフト量と、吸気バル
ブの開弁に伴う吸気流速の変化と、筒内への燃料流入量
とを表すタイムチャート。
【図6】燃料量可変モードと燃料量固定モードとの概要
を説明するための図。
【図7】インジェクタの加圧エア圧力と燃料粒径SMD
との関係を示すグラフ。
【図8】燃料粒径SMDとトルクアップ率との関係を示
すグラフ。
【図9】TAU算出ルーチンを示すフローチャート。
【図10】インジェクタの駆動制御ルーチンを示すフロ
ーチャート。
【図11】エンジン運転状態に応じた燃料噴射モードを
示すマップ。
【図12】効果を確認するための実験データを示すグラ
フ。
【図13】効果を確認するための実験データを示すグラ
フ。
【図14】第2の実施の形態において、吸気及び排気バ
ルブの開弁に伴うバルブリフト量と、インジェクタの燃
料噴射時期と、吸気バルブの開弁に伴う吸気流速の変化
と、筒内への燃料流入量とを表すタイムチャート。
【図15】他の実施の形態において、筒内への燃料流入
量の変化を示すタイムチャート。
【図16】他の実施の形態において、筒内への燃料流入
量の変化を示すタイムチャート。
【符号の説明】
1…エンジン(内燃機関)、13…燃焼室、14…吸気
バルブ、17…吸気ポート、18…燃料微粒化手段を構
成するエアアシスト式のインジェクタ、19…燃料タン
ク、26…燃料ポンプ、33…インジェクタ駆動制御手
段を構成するCPU、89…ピエゾスタック。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F02M 51/08 F02M 51/08 L H J 61/18 340 61/18 340E 360 360G 69/00 310 69/00 310A 69/04 69/04 R G

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】吸気ポートに配設されたインジェクタを有
    するプラグ着火式の内燃機関に適用され、吸気バルブの
    開弁に伴う吸気行程期間に対応させて前記インジェクタ
    による燃料噴射を実施する燃料噴射制御装置であって、 前記インジェクタによる噴射燃料の粒径を約70μm以
    下に微粒化する燃料微粒化手段と、 吸気行程の後期になるほど気筒内への時間当たりの燃料
    流入量が増加するように前記インジェクタの駆動を制御
    するインジェクタ駆動制御手段とを備えることを特徴と
    する内燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 【請求項2】前記インジェクタ駆動制御手段は、吸気バ
    ルブの開弁からの時間経過に従い気筒内への燃料流入量
    の増加率を徐々に大きくする請求項1に記載の内燃機関
    の燃料噴射制御装置。
  3. 【請求項3】ピエゾ素子を用いてインジェクタの開弁リ
    フト量を制御可能とした燃料噴射制御装置において、 前記インジェクタ駆動制御手段は、ピエゾ素子の伸縮量
    を調整して気筒内への時間当たりの燃料流入量を制御す
    る請求項1又は請求項2に記載の内燃機関の燃料噴射制
    御装置。
  4. 【請求項4】吸気ポートに配設されたインジェクタを有
    するプラグ着火式の内燃機関に適用され、吸気バルブの
    開弁に伴う吸気行程期間に対応させて前記インジェクタ
    による燃料噴射を実施する燃料噴射制御装置であって、 前記インジェクタによる噴射燃料の粒径を約70μm以
    下に微粒化する燃料微粒化手段と、 吸気行程内での燃料流入を複数回に分割し、吸気行程の
    後期になるほど前記分割した一回分の燃料流入量が増加
    するように前記インジェクタの駆動を制御するインジェ
    クタ駆動制御手段とを備えることを特徴とする内燃機関
    の燃料噴射制御装置。
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DE19821217A DE19821217A1 (de) 1997-05-13 1998-05-12 Einspritzsystem zur Steuerung der Kraftstoffeinspritzung für eine Brennkraftmaschine

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6668794B2 (en) 2000-12-28 2003-12-30 Hitachi, Ltd. Fuel injection device for internal combustion engine
US7240661B2 (en) 2000-12-28 2007-07-10 Hitachi, Ltd. Fuel injection device for internal combustion engine
JP2020133591A (ja) * 2019-02-26 2020-08-31 ダイハツ工業株式会社 内燃機関の制御装置

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