JPH11133388A - 液晶表示装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高分子分散型液晶を使った液晶表示装置で高
分子ネットワークを形成するとき、表示エリアの中央と
シール材に接しているところとで、高分子ネットワーク
のでき方が異なり、液晶表示装置の特性に面内分布の不
均一ができる、という問題を解決する。 【解決手段】 画素電極３を有する基板１と対向透明電
極２を有する対向基板３との間に高分子分散型液晶８を
挟んでシール材５によりシールする。シール材５の内側
の面と高分子分散型液晶８との間に高分子分散型液晶８
の高分子ネットワークを形成するのと同種の高分子の膜
６を形成する。一対の基板１，２の互いに対向する面で
あって高分子分散型液晶８と接する領域にも、高分子分
散型液晶８の高分子ネットワークを形成するのと同種の
高分子の膜を形成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は偏光板を必要としな
い高分子分散液晶を使用した液晶表示装置に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】液晶表示装置は、時計、電卓、コンピュ
ータ端末、ワードプロセッサあるいはテレビジョンなど
民生用、産業用を問わずその応用範囲を拡大してきた。

【０００３】従来、液晶表示装置は、液晶パネル内の液
晶分子を９０度捩じった、所謂ツイスト・ネマティック
（ＴＮ）モードを用い、液晶パネルを２枚の偏光板で挟
み、電圧オン、オフによるＴＮモードのシャッター効果
を利用して表示を行っている。

【０００４】最近では、新規表示モードとして、偏光板
を使用しないポリマー（高分子）分散型液晶表示が脚光
を浴びており、これは偏光板を使用することが必須条件
であるＴＮ表示モードに比べて、より明るい表示を実現
することが可能である。

【０００５】上記高分子分散型液晶表示に用いられる液
晶パネルは、通常、図３に示すような工程を経て製造さ
れる。以下に、その一具体例を簡単に説明する。

【０００６】先ず、基板１上に画素電極３を形成し（図
３（ａ））、この基板１上にセルギャップを規定するた
めのスペーサを混合したシール剤５と、上下基板間の導
通をとる為の導通材７を形成する（図３（ｂ），
（ｂ′））。１１は表示領域を示す。

【０００７】次に、この基板１上に、対向透明電極４が
形成された対向基板２を配置した後、加圧ＵＶ照射を施
しシール剤５を硬化させる（図３（ｃ））。

【０００８】次に、屈折率異方性の大きなシアノビフェ
ニル系ネマティック液晶と紫外線硬化型ポリマーを混合
し、この混合液８を上下基板の隙間に充填する（図３
（ｄ））。

【０００９】その後、全面に紫外線を照射し、高分子樹
脂を硬化させ高分子ネットワークを作り、その中に液晶
が分散し、高分子型液晶パネルが完成する（図３
（ｅ））。この時、図３の（ｅ′）に示すように、中央
部に高分子ネットワークが均一な部分１０と外周部９に
不均一な部分が出来てしまう。この不均一さにより表示
特性にムラが発生する。尚、１２は封口材である。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】高分子分散型液晶は、
均一な高分子ネットワークに、液晶を均一に分散させる
ことが大切であり、高分子ネットワークの均一性が面内
分布の均一性を決定し、表示特性を左右する。

【００１１】従って、高分子ネットワークを緻密に、し
かも面内分布よく形成する事が必要となる。しかし、こ
の紫外線を照射させて形成する高分子ネットワークは、
それが接する界面の影響を大変強く受ける。即ち、表示
エリアの中央とシール剤に接している所では、高分子ネ
ットワークの出来方が異なる。それによって、面内での
分布に不均一が生じると言う問題があった。

【００１２】そこで、本発明は、高分子分散型液晶を使
った液晶表示装置で高分子ネットワークを形成すると
き、表示エリアの中央とシール材に接しているところと
で、高分子ネットワークのでき方が異なり、液晶表示装
置の特性に面内分布の不均一ができる問題を解決するこ
とを目的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段および作用】本発明によれ
ば、以上の如き目的を達成するものとして、一対の基板
間に高分子分散型液晶を挟んでシール材によりシールす
る液晶表示装置において、シール材の内側の面と前記高
分子分散型液晶との間に前記高分子分散型液晶の高分子
ネットワークを形成するのと同種の高分子の膜を形成し
た事を特徴とする液晶表示装置、が提供される。

【００１４】本発明においては、前記一対の基板の互い
に対向する面であって前記高分子分散型液晶と接する領
域にも、前記高分子分散型液晶の高分子ネットワークを
形成するのと同種の高分子の膜を形成することができ
る。

【００１５】このような本発明によれば、高分子分散型
液晶と接する部分に、高分子ネットワークを形成する樹
脂と同一または同種の材質の部材が形成されている為、
高分子ネットワークが均一に形成される。

【００１６】従って、面内の散乱能が均一と成り、液晶
の電気表示特性分布も改善され表示特性が格段に改善し
た。更に、従来では、不均一さのために非表示領域を広
く取る必要があったが、この構造により非表示領域を狭
くする事が可能となり、基板面積が縮小され製造コスト
が低下した。

【００１７】更に、シールが二重構造となるため、外部
からの水分等の侵入も防止効果も向上し、信頼性が向上
した。

【００１８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を示し、
本発明を詳細に説明する。

【００１９】［実施形態１］本実施形態の高分子分散型
液晶表示装置をその製造方法とともに、図１を用いて説
明する。

【００２０】先ず、基板１上に画素電極３を形成する
（図１（ａ））。

【００２１】この基板１上にセルギャップを規定するた
めのスペーサを混合した紫外線硬化型シール剤５（ワー
ルドロックＸ７０６）をパターン形成し、更に所定の位
置にＡｇペーストからなる上下基板導通材７をディスペ
ンサーにより塗布し、シール５と、上下基板間の導通を
とるための導通材７を形成する。

【００２２】シール剤としては、例えばエポキシ樹脂、
アクリル樹脂が用いられる。これらの樹脂は、その硬化
方法により熱硬化型樹脂、ＵＶ硬化型樹脂、ＵＶ熱硬化
併用型樹脂に分類される。ＵＶ熱硬化併用樹脂として
は、主成分が変性アクリル樹脂である協立化学産業
（株）製ワールドロックＸ７０６、エポキシ樹脂である
長瀬チバ（株）社製ＸＮＲ５６１４、（株）スリーボン
ド社製３０Ｙ−１８４Ｋなどが用いられる。

【００２３】更に、前記したシール５の内側の領域に、
高分子材料６（メルク社製ＰＮ３９３）を極細のニード
ルを用いて少量、シール５に接するように塗布する（図
１（ｂ））。

【００２４】次に、この基板１上に、対向透明電極４が
形成された対向基板２を配置した後、加圧、ＵＶ照射を
施しシール５を硬化させる（図１（ｃ））。

【００２５】液晶（例えばメルク社製ＴＬ２１３）と高
分子材料６と同種の高分子材料（メルク社製ＰＮ３９
３）の混合物８をセル内に注入し、次に封口剤にて注入
口を封口する。

【００２６】その後、全面に紫外線を照射し、高分子樹
脂を硬化させ高分子ネットワークを作り、その中に液晶
が分散し、高分子型液晶パネルが完成する（図（ｅ），
（ｅ′））。尚、１２は封口材である。

【００２７】本実施形態の場合には、シール５の内側表
面に高分子ネットワークを形成するのと同種の樹脂の層
が形成されているため、不均一領域が非常に限定され、
均一部が大きく広げられる。従って、高分子ネットワー
クの不均一に起因する表示ムラは改善される。

【００２８】更に、高分子ネットワークの不均一部分が
狭くなるため、従来のように表示領域の外縁からシール
を大きく離す必要が無くなり、基板面積が縮小出来た。
このことにより、大幅なコストダウンが可能となった。

【００２９】また、シール５の内側に樹脂部６が形成さ
れるため、外部からの水等の侵入による特性劣化が少な
くなり、信頼性が向上する。

【００３０】［実施形態２］本実施形態の高分子分散型
液晶表示装置を、図２を用いて説明する。この図２にお
いて上記図１におけると同様な機能を有する部材には同
一の符号が付されている。

【００３１】本実施形態では、実施形態１と同様にして
液晶表示装置を製造するに際して、高分子材料６として
アクリレート系の紫外線重合性組成物（光重合開始剤は
メルク社製ダロキュア１１１６を使用）を用い、該紫外
線重合性組成物を実施形態１と同様にしてシール５の内
側の領域に塗布する。その後、対向基板２を配置し、加
圧し、シール部のみにＵＶ照射し、シール５を硬化させ
る。本実施形態では、シール硬化のためのＵＶ照射がシ
ール５のみに対してなされ、高分子材料６にはＵＶ照射
がなされないために、高分子材料６は未硬化のままであ
る。

【００３２】次に、１００℃で加熱処理を行うことによ
り、高分子材料が揮発、拡散し、基板１の表面（画素電
極３を含む）、対向基板２の表面（対向透明電極４の表
面を含む）に、揮発、拡散した高分子材料が再度付着
し、薄膜２０を形成する。

【００３３】次に、前記アクリレート系紫外線重合性組
成物と液晶組成物（ＢＤＨ社製Ｅ８）を均一に溶解し、
セル中に注入し、ＵＶ照射し高分子分散型液晶を完成さ
せる。

【００３４】本実施形態の場合、高分子分散型液晶が接
する全ての部分で高分子材料から成る薄膜６，２０が形
成されている為、高分子のネットワークがセル内に一層
高い均一性をもって形成される。

【００３５】

【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、通
常のシールの内側、即ち高分子分散液晶と接する部分
に、高分子ネットワークを形成する樹脂と同一または同
種の材質からなる部材を形成しているため、高分子ネッ
トワークがシールの近傍からより均一に形成される。

【００３６】更に、高分子ネットワークを形成する樹脂
が液晶注入前にセルの内壁に拡散付着し、薄膜を形成す
ることにより、より均一な高分子ネットワークの形成が
可能となる。

【００３７】従って、面内の液晶表示散乱能が均一とな
り、液晶の電気光学特性分布も改善され表示特性が格段
に改善される。更に、従来では、不均一さのために非表
示領域を広く取る必要があったが、この構造により非表
示領域を狭くする事が可能となり、基板面積が縮小され
製造コストが低下する。

【００３８】更に、シールが二重構造となるため、外部
からの水分等の侵入の防止効果も向上し、信頼性が向上
する。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施形態１にて示す本発明の液晶表示装置及び
その製造方法を説明するための模式図である。

【図２】実施形態２にて示す本発明の液晶表示装置を説
明するための模式図である。

【図３】液晶表示装置の製造方法の従来例を説明するた
めの模式図である。

【符号の説明】

１ 基板 ２ 対向基板 ３ 画素電極 ４ 対向透明電極 ５ シール ６ 樹脂 ７ 導通材 ８ 混合液 ９ 不均一部 １０ 均一部 １１ 表示領域 １２ 封口材 ２０ 付着樹脂層

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一対の基板間に高分子分散型液晶を挟ん
   でシール材によりシールする液晶表示装置において、 シール材の内側の面と前記高分子分散型液晶との間に前
   記高分子分散型液晶の高分子ネットワークを形成するの
   と同種の高分子の膜を形成した事を特徴とする液晶表示
   装置。
2. 【請求項２】 前記一対の基板の互いに対向する面であ
   って前記高分子分散型液晶と接する領域に、前記高分子
   分散型液晶の高分子ネットワークを形成するのと同種の
   高分子の膜を形成した事を特徴とする、請求項１に記載
   の液晶表示装置。