JPH11133365A - 波長可変フィルタおよびその製造方法 - Google Patents

波長可変フィルタおよびその製造方法

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JPH11133365A
JPH11133365A JP29718697A JP29718697A JPH11133365A JP H11133365 A JPH11133365 A JP H11133365A JP 29718697 A JP29718697 A JP 29718697A JP 29718697 A JP29718697 A JP 29718697A JP H11133365 A JPH11133365 A JP H11133365A
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JP
Japan
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region
semiconductor region
film
depletion layer
tunable filter
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JP29718697A
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English (en)
Inventor
Shigeo Yago
栄郎 矢後
Satoshi Endo
智 遠藤
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Yazaki Corp
Original Assignee
Yazaki Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 偏光依存性がなく、かつ応答速度の速い波長
可変フィルタを提供する。 【解決手段】 両側に反射面21,22を設けたエタロ
ンの内部に空乏層13を発生させ、この空乏層13の厚
みdを変えることにより、共振波長を変えて選択的に所
定の波長の光を通過させる。空乏層発生手段はp+ 領域
11およびn領域12とからなるpn接合でもよく、M
OS構造,ショットキー接合等でもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、波長多重された光
信号から任意の波長の光信号を選択的に取り出す波長可
変フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】光通信はLSIと共用され、今や高度情
報社会における通信網の中枢となりつつある。今後は通
信容量の飛躍的な増加が予測されるので光伝送系は、ま
すます大容量化が必要となるであろう。ところで、伝送
路である光ファイバの「伝送可能な周波数帯域幅」は約
200THzあり、現状では伝送速度1.6GB/sが
実用化されつつあるが、帯域としては高々10万分の一
程度しか利用されていない。したがって、伝送容量を飛
躍的に増大させる為に周波数多重化技術が重要となって
きている。この周波数多重化技術においては、多数の周
波数の光パルスの中から選択的に任意の周波数の光のみ
を選び出す波長可変フィルタが必要となる。
【0003】この波長可変フィルタとしてはファブリペ
ロー干渉型フィルターが知られている。ファブリペロー
干渉型フィルターにおいてはエタロンと呼ばれる両面の
平行度のすぐれたガラス板や誘電体の板を用い、このエ
タロンの両側にハーフミラーを配置し、ハーフミラーの
間隔やハーフミラーの間の物質の屈折率を変えることに
より波長可変フィルタを実現している。
【0004】図17に従来の波長可変フィルタの一例と
して液晶を充填したエタロンを有する装置の構成図を示
す。図17において、GS1,GS2はガラス基板、A
RC1,ARC2は無反射コート膜、TEL1,TEL
2は透明電極、M1,M2は誘電体ミラー,ORL1,
ORL2は液晶配向膜、LCは液晶、SP1,SP2は
スペーサ,EW1,EW2は液晶に電圧を印加するため
のリード線である。そしてミラーM1,M2となる薄膜
を蒸着したガラス基板GS1,GS2(裏面に無反射コ
ートARC1,2が施されている)を間隔Lで平行に配
置している。
【0005】液晶LC中の液晶分子LCMは大きな誘電
異方性(ne ,no )を持ち、入射光の偏光方向が液晶
LCの配向方向と一致すると、この光はne の屈折率を
感じる。この状態で電圧を印加すると、液晶分子LCが
立ち上がり、偏光は屈折率がne →no へ変化するのを
感じる。このため、図17に示す波長可変フィルタのピ
ーク波長を液晶層LCへの電圧を印加することによりシ
フトすることができる。しかし、この液晶を用いた波長
可変フィルタはp,s偏光に対して2本のピークが現
れ、その透過率が光の偏波の方向に大きく依存するた
め、光通信への応用のためには特殊なファイバを用いな
くてはならないという欠点があった。
【0006】この液晶の複屈折性に起因した偏波依存性
をなくすために図18に示すような波長可変フィルタが
提案されている(特開平4−248515号公報)。図
18に示す波長可変フィルタは図17に示す波長可変フ
ィルタのガラス基板GS1,GS2の両側を複屈折プリ
ズムDRP1,DRP2ではさんだ構造である。図18
に示すように、液晶層LCは、ホモジニアス配向され、
液晶配向膜ORL1a,ROL2aと液晶配向膜ORL
1b,ROL2bとの表面処理の違いにより、配向方向
が互いに直交するように配向処理されて、二つの層LC
a,LCbに区分けされている。具体的には、液晶層L
Caにおける液晶分子方向はs偏光の電界ベクトル方向
と一致し、液晶層LCbにおける液晶分子の方向はp偏
光の電界ベクトル方向と一致する。このため、p偏光お
よびs偏光は電圧無印加時には液晶の屈折率ne を感
じ、電圧を印加していくと屈折率がne →no へ減少す
るのを感じる。複屈折プリズムDRP1は、外部からの
入射光をp偏光とs偏光に分離し、p偏光を液晶層LC
bに入射させると共に、s偏光を液晶層LCaに入射さ
せ、一方、複屈折プリズムDRP2は各液晶LCaおよ
びLCbを通過したp偏光およびs偏光を合成すること
によって偏波依存性をなくしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図18に示す
波長可変フィルタは液晶層LCを二つの層LCa,LC
bに区分けし、さらに複屈折プリズムDRP1,DRP
2を配置するという複雑な構造を有しており、製造コス
トが高くなり、また装置が大型化するという問題を有し
ている。また、2つの交流電源ASa,ASbを用いて
液晶層LCa,LCbに対して個別に電圧印加制御を行
う必要があり、駆動回路等の周辺装置も複雑化するとい
う欠点を有していた。
【0008】さらに液晶は応答速度が遅く、光通信への
応用等には一定の制限があるという問題点を有してい
た。
【0009】上記問題点に鑑み本発明は応答速度が速
く、かつ偏波依存性のない波長可変フィルタを提供する
ことである。
【0010】本発明のさらに他の目的は、構造が簡単
で、小型化が可能な波長可変フィルタを提供することで
ある。
【0011】本発明のさらに他の目的は、光集積回路と
してモノリシック化が可能な波長可変フィルタを提供す
ることである。
【0012】本発明のさらに他の目的は、製造歩留まり
が高く、かつ安価に製造でき、しかも偏波依存性のない
波長可変フィルタの製造方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の第1の特徴はエタロン部を構成する半導体
領域の内部に空乏層を発生する手段を具備し、空乏層の
厚みを変化させることにより所望の波長の光を通過させ
るファブリペロー干渉型波長可変フィルタであることで
ある。空乏層を発生する手段はpn接合、ショットキー
接合、あるいはMOS構造、MNOS構造もしくはMI
S構造等の絶縁ゲート構造のいずれかでもかまわない。
【0014】まず、図1および図2を用いて本発明の第
1の特徴に係る波長可変フィルタの基本構造および動作
原理を説明する。本発明の第1の特徴はファブリペロー
干渉型フィルターのエタロン部の少なくとも一部に空乏
層を発生する手段により空乏層領域13を発生させる。
空乏層領域13は前述したようにpn接合によるもの、
ショットキー接合によるもの、あるいはMOS構造、M
NOS構造、MIS構造等の絶縁ゲート構造によるもの
のいずれでもよい。禁制帯幅の異なる2つの半導体のヘ
テロ接合を用いたHEMT類似の構造も絶縁ゲート構造
と見なすことが可能である。図1はp+ 領域11とn領
域12とからなるpn接合による空乏層13を形成した
場合を示す。
【0015】図1のpn接合の両側にはハーフミラーを
構成するように金属薄膜や誘電体多層膜からなる反射面
21,22が形成され、さらにその両側に透明電極2
3,24が形成されている。金属薄膜21,22の内面
間の距離Dがエタロンの厚さを規定している。図1にお
いてはハーフミラーは電極を兼ねているので金属薄膜が
好ましいが、より一般にはハーフミラーとしては誘電体
多層膜を用いることが可能である。たとえば絶縁ゲート
構造の場合はゲート絶縁膜として誘電体多層膜を用い、
ハーフミラーとして機能させることができる。またpn
接合の場合でも、別にオーミックコンタクト用の電極が
設けられている時はp型、n型半導体領域に接するハー
フミラーとして誘電体多層膜を採用できる。図1に示す
ような片側階段接合において透明電極23,24間に逆
バイアスとなるように電圧Vを印加した場合の空乏層の
厚さdは、
【数1】 d=(2ε(Vbi−V)/(qND ))1/2 …… (1) で与えられることが知られている。ここでεは半導体領
域の誘電率、qは電子の電荷、Vbiは拡散電位、ND
n領域12のドナー密度である。
【0016】空乏層領域13の屈折率nd は空乏化して
いない、すなわち中性のn領域12における屈折率nn
よりも小さい。したがって光軸方向の光路長は(nn
d)dだけ変化する。このため図1に示すハーフミラ
ー21,22による共振波長λr
【数2】 λr =2(np ・dp +nd ・d+nn ・dn )/m…… (2) で与えられる。ここでnp は中性のp+ 領域の屈折率、
p は中性のp+ 領域の厚み、dn は中性のn領域の厚
み、mは自然数である。Dを共振器の間隔とすると D=dp +d+dn …… (3) となり、dp ,dn はdの関数となる。(2)式を図示
すると図2のようになる。ただし、図2はpn接合が片
側階段接合の場合であり、dp は一定とみなすことがで
きる。傾斜接合ならば空乏層の厚さの変化はゆるやかな
変化を示す。両側階段接合ならば空乏層はpn接合界面
から両方向に拡がり、dp ,dn は共に、バイアス電圧
の増大に従い短くなる。また超階段接合にすれば空乏層
の厚さは電圧に対して急峻な変化を示すことになる。す
なわち階段接合ならば(1)式に示すように(Vbi
V)1/2 に比例する形で、空乏層の厚さdが変化し、傾
斜接合ならば(Vbi−V)1/3 に比例する形でdが変化
する。超階段接合の場合は(Vbi−V)1/2 〜(Vbi
V)7 に比例する形でdが変化する。超階段接合はpn
接合界面の不純物密度分布を急峻な所定のプロファイル
となるように制御して形成すればよい。
【0017】以上の説明からわかるように、図1および
図2は一例であり、接合の種類を適宜選ぶことにより、
波長可変フィルタにおける共振波長λr の電圧依存性は
種々のものを設計できる。
【0018】本発明の第1の特徴においては電圧で空乏
層の厚みを変化させているので、空乏層領域の充放電に
必要な時定数で決まる応答速度が得られ、ギガヘルツ帯
以上の高速な応答速度が簡単に得られる。
【0019】なお、空乏層を発生する手段はpn接合、
絶縁ゲート構造、およびショットキー接合のうちの少な
くとも2つの組み合わせを用いて、半導体領域中に複数
の空乏層を発生するようにしてもよい。このような複数
の空乏層を用いても波長可変フィルタとして動作する
が、複数の空乏層により光路長を大きく変化できるので
波長可変範囲が増大する。
【0020】本発明の第2の特徴はSOI(シリコン・
オン・インシュレータ;Silicon OnInsulator)構造を
形成する埋め込み絶縁膜の上部に形成された第1導電型
の第1の半導体領域と、第1の半導体領域の第1の主表
面の上部に形成された第2導電型の第2の半導体領域
と、第2の半導体領域の上部に接して形成された第1の
反射膜と、第1の半導体領域の第2の主表面に接して形
成された第2の反射膜とから少なくとも構成されたエタ
ロン部を具備し、この第1および第2の半導体領域の間
に印加する電圧を変化することにより所望の波長の光を
通過させる波長可変フィルタであることである。ここで
第1導電型はn型でもp型でもよい。第1導電型をn型
とすれば第2導電型はp型となり,第1導電型をp型と
すれば,第2導電型はn型となる。第1の主表面とは平
板構造の表面もしくは裏面のいずれか一方、第2の主表
面はその反対の面を意味することはもちろんである。
【0021】好ましくは、第2の反射膜はSOI構造を
構成する支持基板中に形成された開口部を介して、第1
の半導体領域の第2の主表面に接するようにすればよ
い。
【0022】第2の特徴によればSOI構造でエタロン
の膜厚を規定することができるので高精度なエタロンが
形成できる。またエタロンとして必要な平面性(平坦
度)および平行性も十分に担保される。また第1の特徴
と同様に高速な波長選択動作が可能となる上に、構造が
簡単なので小型化・軽量化も容易である。
【0023】より好ましくは、第2の特徴において第1
の反射膜に接して第1の保護膜を、第2の反射膜に接し
て第2の保護膜を設ければ、より信頼性の高い波長可変
フィルタが実現できる。
【0024】第1の半導体領域の表面には第1導電型
で、第1の半導体領域よりも高不純物密度のコンタクト
領域を有することが好ましい。このコンタクト領域に接
して第1の電極を形成し、第2の半導体領域に接して第
2の電極を形成し、第1と第2の電極間に所定の極性の
電圧を印加すれば第1の半導体領域中に空乏層が拡が
る。コンタクト領域を設けることにより、第1の電極と
低いオーミック抵抗での接触が可能となり、より効率的
に空乏層の厚みの制御が可能となる。第1および第2の
電極は第1の反射膜および第1の保護膜を貫通して設け
られたコンタクトホールを介して設ければよい。
【0025】本発明の第3の特徴は第2の特徴で述べた
波長可変フィルタの製造方法に係る。すなわち、本発明
の第3の特徴は (イ)支持基板、支持基板の上の埋め込み絶縁膜、埋め
込み絶縁膜の上の第1の半導体領域とからなるSOI構
造を形成する工程; (ロ)この第1の半導体領域の上部に第1の半導体領域
とは反対導電型の第2の半導体領域を形成する工程; (ハ)この第2の半導体領域の表面に第1の反射膜を形
成する工程; (ニ)SOI構造を形成している支持基板の一部に開口
部を形成し、SOI構造の埋め込み絶縁膜の一部を露出
する工程; (ホ)この露出した埋め込み絶縁膜を除去し、第1の半
導体領域の底面の一部を露出させる工程;および (ヘ)露出した第1の半導体領域の底面に第2の反射膜
を形成する工程 とを少なくとも含む波長可変フィルタの製造方法である
ことである。SOI構造はSIMOX法(セパレーショ
ン・バイ・インプランテッド・オキシジャン;Separati
on by Implanted Oxygen)法、直接接合法等により形成
すればよい。第2の半導体領域は第1の半導体領域の上
部に局所的に形成してもよく、第1の半導体領域の上部
全面に形成してもよい。また第1と第2の半導体領域と
の間に他の半導体領域を形成してもよい。さらに第1の
半導体領域と外部の電源とを接続するためにオーミック
コンタクト用の高不純物密度領域をさらに追加してもよ
いことはもちろんである。
【0026】本発明の第3の特徴の波長可変フィルタは
上記(イ)〜(ヘ)の工程から明らかなように極めて簡
単であり、製造コストが低くなり、製造歩留りも高い。
【0027】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施
の形態を説明する。以下の図面においては同一部分には
同一の符号を付している。またこれらの図面は模式的な
ものであり、水平方向と垂直方向の寸法の比率や、半導
体装置を構成している各薄膜の相互の比率等は現実の比
率とは異なっている場合が含まれていることに留意され
たい。より具体的な薄膜の厚み等は以下の説明により明
らかとなるであろう。
【0028】[第1の実施の形態]図3は本発明の第1
の実施の形態に係る波長可変フィルタの構造を示す模式
的な断面図である。図3に示すように本発明の第1の実
施の形態に係る波長可変フィルタは埋め込み絶縁膜(埋
め込み酸化膜)31を第1の半導体領域(n領域)12
となるn型Si層と支持基板となるn型又はp型のSi
基板で挟んだSOI構造を用いている。そしてn領域1
2の上部に第2の半導体領域(p+ 領域)11が形成さ
れ、n領域12とp+ 領域11との界面から所定のバイ
アスで空乏層13が延び、この空乏層13の厚さを変化
することにより式(2)に示す共振波長λr を変化させ
るように構成されている。さらにn領域12の表面には
+ 領域11を挟んでn+ コンタクト領域16,17が
形成されれている。平面図を省略しているが、n+ コン
タクト領域16,17はリング状に一体の領域として形
成され、p+ 領域11はその中央部に同心状に配置され
ている。リングは円形でも、矩形でもよい。
【0029】p+ 領域11の上部には第1の反射膜25
および第1の保護膜32が形成されている。p+ 領域1
1直下の埋め込み酸化膜31および支持基板15は除去
され、n領域12の底面に第2の反射膜26,第2の保
護膜33が形成されている。つまり第1および第2の反
射膜25,26で挟まれたp+ 領域11およびn領域1
2とでエタロンを構成している。第1の反射膜25,第
2の反射膜26はTiO,SiO2 ,Ta2 5 などの
酸化物薄膜や他の誘電体多層膜で形成している。第1の
保護膜32、第2の保護膜33も同様な酸化物薄膜によ
り形成されている。そして第1の反射膜25、第1の保
護膜32を貫通するコンタクトホールを介してn+ コン
タクト領域16,17には第1の電極(n側電極)4
2,43、p+ 領域11には第2の電極(p側電極)が
オーミック接触するように形成されている。平面パター
ンを省略しているが、n型電極42,43は互いに電気
的に接続されたC型又はコの字型形状をなし、さらに所
定のボンディングパッド部に接続されている。同様にp
側電極はn側電極42,43のすき間を通ってボンディ
ングパッド部に接続されている。
【0030】第1および第2の保護膜32、33は省略
可能であるが、保護膜32、33を設けることでより信
頼性の高い波長可変フィルタが実現できる。
【0031】n領域12の厚さDは光路長が対象とする
共振波長λr の半分程度になるように選ぶのが望まし
い。すなわち図2からわかるようにm=1のモードが最
も共振波長λr の印加電圧依存性が大きくなるからであ
る。共振波長λr が1.0μm付近ならばn領域12の
厚さは150nm付近に選定することが好ましい。また
n領域12の不純物密度ND はn側電極42,43と、
p側電極41との間の印加する電圧V=0ボルトにおい
て、n領域12が全部空乏化しないような不純物密度N
D を選べばよい。式(1)からわかるように拡散電位V
biのみでn領域12が完全に空乏化していれば、電圧V
を印加しても空乏層の厚さdは変化しないからである。
【0032】ただし、V=0ボルトで完全に空乏化させ
ておき拡散電位Vbi以下の順方向バイアスをp側電極4
1とn側電極42,43の間に加えて空乏層幅を変化さ
せる動作も可能である。この場合はn領域12の不純物
密度ND を十分低くしておけばよい。
【0033】またm=2以上の高次のモードを用いる場
合はn領域12の厚さDをさらに厚くしてもよいことは
もちろんである。
【0034】図4および図5を用いて本発明の第1の実
施の形態に係る波長可変フィルタの製造方法を説明す
る。
【0035】(イ)まず図4(a)に示すように支持基
板15上に埋め込み酸化膜31を介してn領域12を形
成し、いわゆるSOI構造を実現する。このSOI構造
はSIMOX法、直接接合法、あるいはエピタキシャル
成長法のいずれで形成してもよい。
【0036】SIMOX法について説明すると、たとえ
ばn型Si基板15に対して1.8×1018cm-2
2.0×1018cm-2のドーズ量で、加速電圧190−
200KeVで16+ イオンを打ち込み、0.5%の酸
素含有のアルンゴン中で1325℃、5時間熱処理を行
えばよい。この結果,表面側に厚み180nmのn領域
12が形成され、その下に厚み450nmの埋め込み酸
化膜31が得られる。
【0037】また直接接合による場合は以下のようにす
ればよい。すなわち、支持基板15となるn型又はp型
のSi基板上に第1の貼り合わせ用酸化膜を形成し、そ
の表面を鏡面に研磨する。一方n領域12となるn型S
i基板を別に用意し、この表面に第2の貼り合わせ用酸
化膜を形成しその表面を鏡面に研磨し、先に用意した第
1の貼り合わせ用酸化膜の鏡面と互いに貼り合わせる。
貼り合わせた状態で800℃〜1100℃程度の所定の
温度で熱処理すれば直接接合基板が完成する。この場
合、第1および第2の貼り合わせ用酸化膜が埋め込み酸
化膜となる。なお貼り合わせ後、所望の厚さのn領域1
2が得られるように研削,研磨を行えばよい。研磨は化
学的機械研磨(CMP)法等を用いればよい。
【0038】SIMOX法と直接接合法の両方の特徴を
組み合わせたスマート・カット(Smart−cut)
法を用いてもよい。この場合は、まず、酸化膜を通して
水素イオンを注入したウエーハともう1枚のウェーハを
貼り合わせ400〜600℃で熱処理する。すると、注
入面で2枚のウェーハは完全分離し、最終結合のため1
100℃で熱処理を行うとSOIウェーハができ上が
る。
【0039】エピタキシャル成長法による場合は、支持
基板15となるn型又p型のSi基板上に埋め込み酸化
膜31を形成し、その上にn領域12をエピタキシャル
成長すればよい。埋め込み酸化膜31の上が多結晶化す
る場合は、電子ビーム(EB)アニールやレーザアニー
ル等により再結晶化すればよい。
【0040】(ロ)次にフォトレジストをマスクとして
75As+ 又は11+ をドーズ量3×1015〜2×1016
cm-2で選択的にイオン注入する。イオン注入のマスク
として酸化膜を用いてもよいことはもちろんである。そ
の後図4(b)に示すように所望の拡散深さが得られる
ようにアニールして,n+ コンタクト領域16,17を
形成する。
【0041】(ハ)同様にフォトレジスト等の所定のマ
スクを用いて11+ 又は49BF2 +をドーズ量3×10
15〜2×1016cm-2で選択的にイオン注入し、アニー
ルにより活性化し、図4(c)に示すようにp+ 領域1
1を形成する。
【0042】(ニ)次に図4(d)に示すようにp+
域11の上に第1の反射膜25、さらにその上に第1の
保護膜32を形成する。これらの膜としてはTiO,S
iO2 ,Ta2 5 などの酸化物薄膜を用いればよい。
【0043】(ホ)次に第1の反射膜25、第1の保護
膜32を貫通してn+ コンタクト領域16,17、p+
領域11に達するコンタクトホールをRIE法などによ
り形成する。このコンタクトホールを開孔後Al,Al
−Si,Al−Cu−Si等の金属を真空蒸着法又はス
パッタリング法を用いて堆積する。そしてフォトリソグ
ラフィおよびRIE法等のドライエッチング、もしくは
3 PO4 /HNO3/CH3 COOH溶液等のエッチ
ャントを用いたウエットエッチングを用いて図5(e)
に示すようにp側電極41,n型電極42,43をパタ
ーニングする。
【0044】(ヘ)次に図5(f)に示すように支持基
板15のp+ 領域11の直下に相当する部分を除去し、
凹部49を形成する。凹部49の形成は水酸化カリウム
(KOH),ヒドラジン(N2 4 ),エチレンジアミ
ン・ピロカテコール(NH2(CH2 2 NH2 −C6
4 (OH)2 )、あるいはTMAH溶液等の所定のエ
ッチング液を用いて異方性エッチングを行えばよい。さ
らに、Siの異方性エッチングに続いて図5(f)に示
すように凹部の底に露出した埋め込み酸化膜31もエッ
チングにより除去する。
【0045】(ト)そしてこの凹部49の表面に図5
(g)に示すようにTiO,SiO2,Ta2 5 など
の酸化物薄膜を用いて第2の反射膜26,第2の保護膜
33を形成すれば本発明の第1の実施の形態に係る波長
可変フィルタが完成する。
【0046】上記のようにSOI構造を採用することで
エタロンとなるn領域12の厚さの精度および平面精度
を十分高くできる。
【0047】図6は本発明の第1の実施の形態の変形例
に係る波長可変フィルタの構造を示す。図3に示す構造
に加えてn領域12の底部にn+ 埋め込み領域19を形
成している。n+ 埋め込み領域19を形成することによ
りpn接合界面からの空乏層の拡がりが一様になり、光
フィルタとして、よりシャープな特性が得られる。
【0048】[第2の実施の形態]図7は本発明の第2
の実施の形態に係る波長可変フィルタの構造を示す断面
図である。n+ 埋め込み領域19と支持基板15とで埋
め込み酸化膜31を挾んだSOI構造であること、およ
び支持基板の一部に開口部(凹部)が設けられ、凹部の
表面に第2の反射膜26,第2の保護膜33が設けられ
ている点は第1の実施の形態と同様である。
【0049】しかし、本発明の第2の実施の形態におい
てはn+ 埋め込み領域19の上部にn- 領域18、n+
超階段領域14が設けられ、n+ 超階段領域14の上部
にp+ 領域が設けられている点が第1の実施の形態とは
異なる。n+ 超階段領域14の不純物密度プロファイル
は一定ではなく、図8に示すような急峻な変化を示す特
殊なプロファイルである。ただしn+ 超階段領域14の
ピークドナー密度NDOはp+ 領域のアクセプタ密度NA
よりも低く設定され、よりn- 領域18側に空乏層が拡
がるように設計されている。
【0050】p+ 領域11の表面には第1の反射膜2
5、第1の保護膜32が形成されている点は第1の実施
の形態と同様である。しかしエタロンとなるp+ 領域を
最上層とする積層領域の周辺部にはn+ 埋め込み領域1
9に達する溝部が形成され、この溝部の表面に第1の反
射膜25,第1の保護膜32が形成されている。第1の
反射膜25および第1の保護膜32を貫通するコンタク
トホールを介してp+ 領域11に達するp側電極41,
+ 埋め込み領域19に達するn側電極42,43が形
成されている。
【0051】なお、第1および第2の保護膜32、33
は省略可能である。
【0052】図8に示すような不純物密度プロファイル
とすることによりp+ 領域11とn+ 超階段領域14と
の間で超階段接合が形成される。したがって空乏層の厚
みdは(Vbi−V)1/2 〜(Vbi−V)7 に比例する形
で変化するので、共振波長λr は印加電圧に対してより
急峻な変化を示す。
【0053】本発明の第2の実施の形態に係る波長可変
フィルタは図9に示すような工程で製造できる。
【0054】(イ)まず図9(a)に示すようにSIM
OX法、直接接合法等を用いて埋め込み酸化膜31をn
+ 埋め込み領域19と支持基板15とで挾んだSOI構
造を形成する。
【0055】(ロ)次にn+ 埋め込み領域19の上に図
9(b)に示すように80nmのn- 領域18、40n
mのn+ 超階段領域14、および50nmのp+ 領域1
1を連続エピタキシャル成長する。連続エピタキシャル
成長は超高真空減圧エピタキシャル成長法、分子線エピ
タキシャル法(MBE法)、あるいは分子層エピタキシ
ャル法(MLE法)を用いればよい。特に連続エピタキ
シャル成長の膜厚が薄い場合は分子層単位の膜圧制御が
表面吸着反応によって自動的になされるMLE法が望ま
しい。MLE法を行うには基板温度815〜850℃に
おいてジクロルシラン(SiH2 Cl2 )および水素
(H2 )のガスを交互に基板表面に供給すればよい。こ
の際p型ドーパントとしてジボラン(B2 6 ),n型
ドーパントとしてアルシン(AsH3 )等を適宜パルス
的に流せば、所定の分子層に所定の不純物が所定の量導
入される。したがって図8に示すような不純物プロファ
イルが容易に実現できる。
【0056】(ハ)連続エピタキシャル成長後フォトレ
ジスト又は酸化膜をマスクとしてCl2 ,SiCl4
PCl3 ,BCl3 等のガスを用いたRIE法;あるい
はECRイオンエッチング法によりp+ 領域11,n+
超階段領域14,n- 領域18を貫通し、n+ 埋め込み
領域19に達する溝部48を形成する。
【0057】(ニ)そしてp+ 領域11の上部および溝
部48の内部に第1の反射膜25,第1の保護膜32を
図9(d)に示すように堆積する。
【0058】(ホ)この後の工程は例えば図5(e)〜
(g)に示した第1の実施の形態の工程と同様であり、
説明を省略する。
【0059】[第3の実施の形態]図10は本発明の第
3の実施の形態に係る波長可変フィルタの構造を示す断
面図である。第1および第2の実施の形態ではpn接合
を用いた場合について説明したが、第3の実施の形態で
はpn接合以外の空乏層発生手段により、空乏層13を
形成し、共振波長λr を変える場合について説明する。
【0060】すなわち、図10は半導体領域(n領域)
12の上部に形成した第1の反射膜25を絶縁ゲート
(ゲート絶縁膜)に用い、この第1の反射膜25の上部
にゲート電極44aとなる多結晶シリコン膜、酸化錫
(SnO2 )膜、あるいはITO(InSnO2 )膜等
の透明電極44aが形成されている。ゲート絶縁膜(絶
縁ゲート)として誘電体多層膜を用いれば、電気的絶縁
性と光学的な反射特性を同時に供することができる。透
明電極44aの上部には第1の保護膜32が形成され、
第1の保護膜32中のコンタクトホールを介してAl,
Al−Si,Al−Cu−Si等のゲート金属44bが
接続されている。ゲート金属44bは図示を省略したボ
ンディングパッドに接続されている。その他の構造は第
1の実施の形態と同様である。第1および第2の保護膜
32、33が省略可能なことも第1の実施の形態と同様
である。
【0061】図10に示す絶縁ゲート構造においてはn
領域12が完全に空乏化する程度までゲート電極44a
にバイアスを印加すればよくn領域12表面に蓄積層が
形成されるまで深くバイアスをする必要はない。
【0062】ゲート絶縁膜(絶縁ゲート)として酸化膜
(SiO2 )、窒化膜(Si3 4)、SiO2 とSi
3 4 との複合膜等を用いる時は、ゲート電極44aに
反射特性の良好な金属薄膜と電気抵抗の低い他の導電性
材料との複合膜を用いゲート電極44aにハーフミラー
の機能をもたせればよい。
【0063】[第4の実施の形態]図11は本発明第4
の実施の形態に係る波長可変フィルタの断面図で、空乏
層13の発生手段としてショットキー接合を用いた場合
である。
【0064】図11においてp+ 領域59と支持基板1
5とで埋め込み酸化膜31を挟んだSOI構造を用いて
いる点、および支持基板15に凹部49が設けられ、凹
部の表面に第2の反射膜26,第2の保護膜33が設け
られている点等は第1〜第3の実施の形態と同様であ
る。しかし本発明の第4の実施の形態においては、p領
域52がp+ 領域59の上部に設けられ、さらにp領域
52の表面には第1の反射膜の機能を兼ねるショットキ
ーゲート金属45aが形成されている。このショットキ
ーゲート金属45aは光に対して半透明になる程度の厚
さの白金(Pt)やチタン(Ti)の薄膜を用いればよ
い。さらにショットキーゲート金属45aの上部には多
結晶シリコン膜,SnO2 膜,ITO膜等の透明電極4
5bが形成されている。透明電極45bの上には第1の
保護膜32が形成され、第1の保護膜32中に形成され
たコンタクトホールを介して、ボンディングパッドに接
続されるAl,Al−Si,Al−Cu−Si等のゲー
ト金属45cが設けられている。またp領域52を貫通
してp+ 埋め込み領域59に達するp+ コンタクト領域
57,58が設けられ、p+ コンタクト領域57,58
にはp側電極46,47が設けられている。
【0065】図11においてショットキーゲート金属4
5aに印加する電圧により空乏層13の厚みを変え、共
振波長λr を変えることができる。
【0066】[第5の実施の形態]第1〜第4の実施の
形態においては個別デバイスとしての波長可変フィルタ
について説明したが、本発明の第5の実施の形態は光集
積回路に搭載する場合の構造について説明する。第1〜
第4の実施の形態とは90°光軸方向が異なり、半導体
基板の主表面と平行方向に光が入射する。このためp+
領域11とn領域12となすpn接合面は半導体基板の
主表面と垂直になる部分を有し、この垂直部分に形成さ
れる空乏層の厚さの変化により共振波長λr を可変とし
ている。
【0067】図12に示す波長可変フィルタはn+ Ga
As基板の一部に形成された凸部をn+ 領域69とし、
このn+ 領域の右横向にn領域12,p+ 領域11を積
層した構造をその一部に有している。すなわちこの積層
構造の両側に形成された反射膜25により波長可変フィ
ルタのエタロン部を構成している。反射膜25のさらに
外側には保護膜32が形成されている。p+ 領域11に
対する電気的な接続は、凹部の底面部の保護膜32、反
射膜25を貫通してp+ 領域に達するコンタクトホール
を介してp側電極41とp+ 領域11とがオーミック接
触をなしている。一方n+ 領域69に対するオーミック
接触は、エタロン部となる薄いn+ 領域69から連続し
た凸部として延長形成され、図12の斜視図(鳥瞰図)
の上方に位置する幅の広いn+ 領域の上部に位置するコ
ンタクトホールを介してn側電極42とn+ 領域とが接
触して構成されている。
【0068】図12に示すような構成においてn側電極
42にp側電極41に対して正電位となる電圧Vを印加
すれば、n領域12中に空乏層が拡がり、電圧Vを変え
ることにより空乏層の厚みが変化し、共振波長λr が変
化する。
【0069】本発明の第5の実施の形態に係る波長可変
フィルターは図13および図14に示すような方法で製
造することができる。
【0070】(イ)まず図13(a)に示すようにRI
E法によりn+ GaAs基板69に溝部を形成し、溝部
と溝部に挟まれた凸部を形成する。n+ 領域69となる
凸部の幅はたとえば0.7μm,深さは1.5μmとす
ればよい。
【0071】(ロ)次に図13(b)に示すようにn+
領域69の側壁部に厚さ80nmのn−GaAs層1
2、厚さ40nmのp+ −GaAs層11を連続エピタ
キシャル成長する。この側壁部への連続エピタキシャル
成長は蒸着を基礎とするMBE法よりも表面吸着反応を
基礎とする減圧エピタキシャル成長法やMLE法が好ま
しい。特にMLE法によれば良好なステップカバレージ
と共に、分子層単位の膜厚制御が可能となる。MLE法
でGaAsを連続エピタキシャル成長するには超高真空
の成長室内において、図13(a)に示すn+ GaAs
基板69を基板温度250°〜300℃に加熱し、この
温度でTEGとAsH3 を交互に導入すればよい。n型
ドーパントとしてはジシラン(Si2 6 ),p型ドー
パントとしてはジエチル亜鉛(DEZn)やビスシクロ
ペンタジイエニルマグネシウム(CP2 Mg)等を用い
ればよい。
【0072】(ハ)次に図13(c)に示すようにCM
P法を用いてn+ GaAs領域69が露出するまで研磨
する。
【0073】(ニ)そしてRIE法を用いて、図13
(d)に示すようにn+ −GaAs領域69の厚みが4
0nmとなるように凸部の左側をエッチング除去する。
【0074】(ホ)次に残ったn+ −GaAs領域6
9,n−GaAs層12,p+ −GaAs層11の上部
および側壁部等に図14(e)に示すように反射膜2
5,保護膜32を形成する。
【0075】(ヘ)最後に図14(f)に示すように凹
部の底部において反射膜25、保護膜32中にコンタク
トホールを開孔し、p+ −GaAs層11に対してオー
ミック接触するp側電極41を形成する。この時、同時
に、エタロン部となる薄いn+ −GaAs領域69から
連続して延長形成された凸部の幅の広い部分に対してコ
ンタクトホールを開孔し、n+ −GaAs領域69に対
してn側電極42を形成する。
【0076】以上の工程により本発明の第5の実施の形
態に係る波長可変フィルターが完成する。なお、上記n
+ GaAs領域69,n−GaAs層12,p+ −Ga
As層11の各層の厚みは光の波長が1.0μm近傍の
場合の一例であり、光の波長が長い場合や、高次のモー
ドを用いる場合はさらに厚くしてもよいことはもちろん
である。p+ −GaAs層11の厚みが比較的厚けれ
ば、図15に示すようにエタロン部の上部においてp側
電極41とp+ −GaAs層11とのオーミック接触、
およびn側電極42とn+ −GaAs領域69とのオー
ミック接触を取ることも可能である。
【0077】図16は本発明の第5の実施の形態の変形
例に係る波長可変フィルタの構造を示す鳥瞰断面図であ
る。図16においては使用する光の波長よりも十分禁制
帯幅(Eg)の大きな半導体基板,たとえばGaN基板
等のワイドバンドギャップ半導体基板66を用いてい
る。そしてこのワイドバンドギャップ半導体基板66中
に凹部を形成し、凹部の側壁に多層反射膜層61,n+
−GaAs層69、p+−GaAs層11、多層反射膜
層62および絶縁膜63を形成した構造を特徴としてい
る。多層反射膜層61,62はGaAs系半導体からな
るブラッグ反射膜を用いればよく、広帯域とするために
は(λ/4n)より若干ずれた膜厚を用いればよい。
【0078】図16においてはp側電極41およびn側
電極42は凹部の底部の広い部分に形成されたコンタク
トホールを介して、それぞれp+ −GaAs層11、n
+ −GaAs層69に対してオーミック接触を取ってい
る。
【0079】図16の構造は両側階段接合であり、空乏
層はpn接合界面から両方向に延び、最終的にはエタロ
ン部が完全に空乏化する。したがって両側階段接合によ
り、屈折率の変化を最も大きくすることが可能である。
また前述の図13(d)に示すようなn+ −GaAs領
域69の厚み調整の工程が不要であり、エピタキシャル
成長時の膜厚制御により構造が決定される。このためよ
り微細な寸法を有した波長可変フィルターが実現でき
る。この点からは図16に示す側壁部への積層構造の実
現は分子層単位の膜厚制御が可能なMLE法で行うのが
最も適している。
【0080】[その他の実施の形態]上記のように、本
発明は第1乃至第5の実施の形態によって記載したが、
この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定す
るものであると理解すべきではない。この開示から当業
者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明
らかとなろう。
【0081】たとえば上記の第1乃至第5の実施の形態
における導電型をすべて逆にしてもよいことはもちろん
である。又半導体材料としてはSiおよびGaAsを中
心に説明したが、これらは一例であり、使用する光の波
長に応じてHgx Cd1-x Te,InSb等のナローバ
ンドギャップ半導体や、ZnSe,SiC等のワイドバ
ンドギャップ半導体等種々の選択ができることはもちろ
んである。
【0082】また第3の実施の形態においてはSiO2
膜を用いたMOS構造、Si3 4膜を用いたMNOS
構造やMIS構造について説明したがAl2 3 等を用
いた他の絶縁ゲート構造も採用できることはもちろんで
ある。さらにAl1-x GaxAsとGaAsとのヘテロ
接合からなるHEMT類似の構造も広義の絶縁ゲート構
造である(ワイドバンドギャップ半導体の禁制帯幅を十
分に大きくした極限が絶縁体である)。
【0083】さらに第1もしくは第2の実施の形態に示
したpn接合、第3の実施の形態に示した絶縁ゲート構
造、および第4の実施の形態に示したショットキー接合
のうち少なくとも2つを組み合わせて、エタロン部を構
成する半導体領域の内部に複数の層の空乏層を形成して
もよい。複数の空乏層を設けることにより光路長の変化
をより大きくすることができる。複数の空乏層は直列的
な組み合わせでもよく、一部が重複するような構造で組
み合わせてもよい。
【0084】このように、本発明はここでは記載してい
ない様々な実施の形態等を包含するということを理解す
べきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な
特許請求の範囲の記載に係る発明特定事項によってのみ
限定されるものである。
【0085】
【発明の効果】本発明によれば応答速度の速い波長可変
フィルタが実現できる。
【0086】本発明によれば、従来の液晶を用いた装置
のような偏光依存性もなく、簡単な構造で波長可変フィ
ルタが実現できる。
【0087】本発明によれば波長可変フィルタの小型化
が容易で、集積化も可能である。
【0088】本発明によれば、応答速度の速い波長可変
フィルタが安価に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を説明する模式的な断面図であ
る。
【図2】本発明による共振波長の印加電圧依存性を説明
する図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る波長可変フィ
ルタの構造を示す模式的な断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る波長可変フィ
ルタの製造方法を説明する工程断面図である(その
1)。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る波長可変フィ
ルタの製造方法を説明する工程断面図である(その
2)。
【図6】本発明の第1の実施の形態の変形例に係る波長
可変フィルタの構造を示す模式的な断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る波長可変フィ
ルタの構造を示す模式的な断面図である。
【図8】図7に示す波長可変フィルタの不純物密度プロ
ファイルを示す図である。
【図9】図7に示す波長可変フィルタの製造方法を説明
する工程断面図である。
【図10】本発明の第3実施の形態に係る波長可変フィ
ルタの構造を示す模式的な断面図である。
【図11】本発明の第4実施の形態に係る波長可変フィ
ルタの構造を示す模式的な断面図である。
【図12】本発明の第5実施の形態に係る波長可変フィ
ルタの構造を示す模式的な鳥瞰図である。
【図13】本発明の第5実施の形態に係る波長可変フィ
ルタの製造方法を説明する工程断面図である(その
1)。
【図14】本発明の第5実施の形態に係る波長可変フィ
ルタの製造方法を説明する工程断面図である(その
2)。
【図15】本発明の第5実施の形態の変形例に係る波長
可変フィルタの構造を示す模式的な鳥瞰断面図である。
【図16】本発明の第5実施の形態の他の変形例に係る
波長可変フィルタの構造を示す模式的な鳥瞰断面図であ
る。
【図17】従来の波長可変フィルタを示す模式的な断面
図である。
【図18】他の従来の波長可変フィルタを示す模式的な
断面図である。
【符号の説明】
11 p+ 領域 12 n領域 13 空乏層 14 n+ 超階段領域 15 支持基板 16,17 n+ コンタクト領域 18 n- 領域 19 n+ 埋め込み領域 21,22 金属薄膜(反射面) 23,24 透明電極 25 第1の反射膜 26 第2の反射膜 31 埋め込み酸化膜(埋め込み絶縁膜) 32 第1の保護膜 33 第2の保護膜 41 p側電極(第2の電極) 42,43 n側電極(第1の電極) 44a,44b, MOSゲート電極 45a,45b,45c ショットキーゲート電極 46,47 p側電極 48,49 凹部 52 p領域 57,58, p+ コンタクト領域 59 p+ 埋め込み領域 61,62 多層反射膜層 63 絶縁膜 66 ワイドバンドギャップ半導体基板 69 n+ 領域

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エタロン部を構成する半導体領域の内部
    に空乏層を発生する手段を具備し、 該空乏層の厚みを変化させることにより所望の波長の光
    を通過させることを特徴とする波長可変フィルタ。
  2. 【請求項2】 前記空乏層を発生する手段はpn接合に
    よることを特徴とする請求項1記載の波長可変フィル
    タ。
  3. 【請求項3】 前記空乏層を発生する手段は絶縁ゲート
    構造によることを特徴とする請求項1記載の波長可変フ
    ィルタ。
  4. 【請求項4】 前記空乏層を発生する手段はショットキ
    ー接合によることを特徴とする請求項1記載の波長可変
    フィルタ。
  5. 【請求項5】 前記空乏層を発生する手段はpn接合、
    絶縁ゲート構造、およびショットキー接合のうち少なく
    とも2つの組み合わせからなり、前記半導体領域中に複
    数の空乏層を発生することを特徴とする請求項1記載の
    波長可変フィルタ。
  6. 【請求項6】 SOI構造を形成する埋め込み絶縁膜の
    上部に形成された第1導電型の第1の半導体領域と、 該第1の半導体領域の第1の主表面の上部に形成された
    第2導電型の第2の半導体領域と、 該第2の半導体領域の上部に接して形成された第1の反
    射膜と、 該第1の半導体領域の第2の主表面に接して形成された
    第2の反射膜とから少なくとも構成されたエタロン部を
    具備し、該第1および第2の半導体領域の間に印加する
    電圧を変化することにより所望の波長の光を通過させる
    ことを特徴とする波長可変フィルタ。
  7. 【請求項7】 前記第2の反射膜はSOI構造を構成す
    る支持基板中に形成された開口部を介して、前記第1の
    半導体領域の第2の主表面に接していることを特徴とす
    る請求項6記載の波長可変フィルタ。
  8. 【請求項8】 前記第1の反射膜に接して形成された第
    1の保護膜、および前記第2の反射膜に接して形成され
    た第2の保護膜をさらに有することを特徴とする請求項
    7記載の波長可変フィルタ。
  9. 【請求項9】 前記第1の半導体領域の表面に、第1導
    電型で、前記第1の半導体領域よりも高不純物密度のコ
    ンタクト領域を、さらに有することを特徴とする請求項
    8記載の波長可変フィルタ。
  10. 【請求項10】 前記第1の反射膜および第1の保護膜
    を貫通するコンタクトホールを介して前記コンタクト領
    域に接する第1の電極、および前記第2の半導体領域に
    接する第2の電極を有することを特徴とする請求項9記
    載の波長可変フィルタ。
  11. 【請求項11】 次の各工程を含むことを特徴とする波
    長可変フィルタの製造方法。 (イ)支持基板、埋め込み絶縁膜、第1の半導体領域と
    からなるSOI構造を形成する工程; (ロ)該第1の半導体領域の上部に該第1の半導体領域
    とは反対導電型の第2の半導体領域を形成する工程; (ハ)該第2の半導体領域の表面に第1の反射膜を形成
    する工程; (ニ)前記支持基板の一部に開口部を形成し、前記埋め
    込み絶縁膜の一部を露出する工程; (ホ)前記露出した埋め込み絶縁膜を除去し、前記第1
    の半導体領域の底面の一部を露出させる工程; (ヘ)該露出した第1の半導体領域の底面に第2の反射
    膜を形成する工程
  12. 【請求項12】 前記SOI構造はSIMOX法により
    形成することを特徴とする請求項11記載の波長可変フ
    ィルタの製造方法。
  13. 【請求項13】 前記SOI構造は直接接合法により形
    成することを特徴とする請求項11記載の波長可変フィ
    ルタの製造方法。
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