JPH11132A - クロロフィル剤及びその製造方法 - Google Patents

クロロフィル剤及びその製造方法

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JPH11132A
JPH11132A JP9155381A JP15538197A JPH11132A JP H11132 A JPH11132 A JP H11132A JP 9155381 A JP9155381 A JP 9155381A JP 15538197 A JP15538197 A JP 15538197A JP H11132 A JPH11132 A JP H11132A
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chlorophyll
gel
containing fine
heat
agent
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JP9155381A
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Inventor
Yoshihiro Matsuura
善裕 松浦
Tatsuo Sasazaki
達夫 笹崎
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Rengo Co Ltd
Original Assignee
Rengo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸性域から中性域において、熱や光等による
褐変や味の変質が防止されると共に、細胞内の生理活性
物質の有効利用をすることができる緑藻類等からなるク
ロロフィル含有微細物を含有するクロロフィル剤を提供
することである。 【解決手段】 クロロフィル含有微細物、塩基性化合
物、及び未精製糖、糖蜜、廃糖蜜から選ばれる少なくと
も1種の糖類を含む熱安定化クロロフィル含有微細物を
ゲル状物により被覆してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、健康食品や食品
添加物として利用されるクロレラ等の緑藻類やモロヘイ
ヤ等の緑色野菜の乾燥粉砕物等のクロロフィル含有微細
物を含有するクロロフィル剤及びその製造方法に関し、
詳しくは、弱酸性から中性の条件下で加熱をしてもその
緑色を保持するクロロフィル剤に関する。
【0002】
【従来の技術】クロレラ等の緑藻類やモロヘイヤ等の緑
色野菜は、クロロフィルを含有しており、緑藻類や緑色
野菜特有の緑色はこれに起因するものである。このクロ
ロフィルは、中心金属としてマグネシウムを含むキレー
ト化合物であり、熱、酸、光等によってマグネシウムが
遊離して水素等と置換しやすい。このとき、褐変現象を
生じ、また、上記クロロフィルを含有する細胞中のタン
パク質の変質も生ずる。
【0003】クロレラ等の緑藻類やモロヘイヤ等の緑色
野菜の粉砕物は、保存するうえで取扱いの容易な乾燥粉
体や錠剤の形状に加工されるが、このように加工された
製品は、その緑色を保つため光、熱及び湿気を遮断して
保存される。
【0004】また、上記クロレラ等の緑藻類やモロヘイ
ヤ等の緑色野菜に含まれるポリペプチド等の生理活性物
質を利用するため、上記緑藻類や緑色野菜の細胞壁を破
砕し、細胞中の生理活性物質を抽出することも行われて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
乾燥粉体や錠剤は、熱や光等によって品質の変化を受け
やすいため、殺菌処理工程、保存期間、保存方法、使用
用途等が制約される問題があった。また、例えば、酸性
域(pH6.5以下)で加熱した場合、クロロフィル中
のマグネシウムが遊離して褐変を生じたり、フェオフォ
ルバイト等が生成する恐れがある。このフェオフォルバ
イトは、皮膚炎等を発症することが知られており、食品
等中に多量混在することは好ましくない。
【0006】また、これを解決するため、単純にアルカ
リ処理を施すと、乾燥粉体や錠剤中に含まれるタンパク
質は変質を生じやすく、味を変質させるので好ましくな
い。
【0007】さらに、抽出により細胞中の生理活性物質
を使用する場合、変質を防止するうえで加熱条件が限ら
れているため、クロロフィルが細胞壁側等の非抽出液側
に残りやすく、抽出液は緑色に呈色しにくいと共に、抽
出されない生理活性物質が多く残る問題がある。
【0008】さらにまた、加工食品業界においては、食
品の加工時の液性は、アルカリ域よりも酸性域のものが
多く、アルカリ域となる食品加工剤の使用範囲は限られ
ている。
【0009】そこで、この発明の課題は、酸性域から中
性域において、熱や光等による褐変や味の変質が防止さ
れると共に、細胞内の生理活性物質の有効利用をするこ
とができる緑藻類等からなるクロロフィル含有微細物を
含有するクロロフィル剤を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明にかかるクロロフィル剤は、クロロフィル
含有微細物、塩基性化合物、及び未精製糖、糖蜜、廃糖
蜜から選ばれる少なくとも1種の糖類を含む熱安定化ク
ロロフィル含有微細物をゲル状物により被覆してなる。
【0011】また、上記ゲル状物を、アルギン酸金属塩
のゲル、又はβ−1,3−グルカンのゲルの少なくとも
1種とすることができる。
【0012】さらに、この発明にかかる熱処理クロロフ
ィル剤は、上記のクロロフィル剤の水懸濁液のpHを
4.0〜10.5に調整した後、60〜135℃に加熱
してなる。
【0013】熱安定化クロロフィル含有微細物をゲル状
物で被覆したので、得られたクロロフィル剤を酸性域に
おいても、クロロフィルが直接、酸性液と接触しないの
で、褐変等が生じるのを防止できる。
【0014】また、クロロフィル剤中の熱安定化クロロ
フィル含有微細物は、塩基性化合物を含むので、クロロ
フィル剤を酸性域から中性域で加熱しても、加熱により
生じる脂肪酸等がこの塩基性化合物によって捕獲され
る。このため、内部のクロロフィルが酸性状態となるこ
とが防止され、褐変や味の変質等が生じるのを防止でき
る。
【0015】さらに、上記熱安定化クロロフィル含有微
細物は、クロロフィル含有微細物及び塩基性化合物に、
未精製糖、糖蜜、廃糖蜜から選ばれる少なくとも1種の
糖類を加えたものなので、熱安定化クロロフィル含有微
細物中のクロロフィルからマグネシウムが遊離しにくく
なり、褐変を防止することができる。
【0016】さらにまた、上記糖類を添加することで、
塩基性化合物のみで処理した場合に褐変防止と変質防止
が可能となる高いpHかつ狭いpH域という生産上、管
理困難な条件を、低いpHかつ広いpH域に改善するこ
とができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を説明
する。
【0018】この発明にかかるクロロフィル剤は、クロ
ロフィル含有微細物、塩基性化合物、及び、未精製糖、
糖蜜、廃糖蜜から選ばれる少なくとも1種の糖類を含む
熱安定化クロロフィル含有微細物をゲル状物により被覆
してなる。
【0019】上記のクロロフィル含有微細物は、緑藻
類、ラン藻類、緑色豆粉砕物、緑色野菜粉砕物等のクロ
ロフィルを含む微細な物質をいう。上記の緑藻類やラン
藻類は簡単な構造を有し、クロロフィル類を多量に含む
色素体をもつ緑色の藻類をいい、その例として、緑藻類
としてはクロレラ、ユーグレナ等をあげることができ、
ラン藻類としてはスピルリナ等をあげることができる。
また、上記の緑色豆や緑色野菜は、クロロフィルを多量
に含有する豆や野菜であり、その例として、グリーンピ
ースやモロヘイヤ、ケール等をあげることができる。上
記の緑藻類又はラン藻類は、それ自身が微細なため特に
粉砕工程は必要でなく、これを乾燥した乾燥粉末をクロ
ロフィル含有微細物として使用することができる。これ
に対し、上記の緑色豆又は緑色野菜は、一般的に粉末状
でないため、乾燥し、粉砕することによりクロロフィル
含有微細物として使用される。
【0020】上記の塩基性化合物は、特に限定されるも
のではないが、例えば、水酸化カリウム等のアルカリ金
属の水酸化物や、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウ
ム等のアルカリ土類金属の水酸化物等をあげることがで
きる。これらの中でも、食品添加物として認定されてい
る点から水酸化カルシウムが好ましい。さらに、上記の
ような塩基性化合物を含有する混合物であってもよい。
また、食品に使用する点を考慮し、天然物から得られる
塩基性化合物を用いることもできる。
【0021】この天然物から得られる塩基性化合物の混
合物としては、動物由来のカルシウム含有物の焼結体が
あげられる。動物由来のカルシウム含有物を焼結する
と、主成分として酸化カルシウムを含み、他の成分とし
てカリウムやリンの酸化物、その他微量成分を含有す
る。動物由来のカルシウム含有物の例としては、真珠
貝、牡蠣等の貝殻、牛や豚等の獣の骨や魚の骨等の動物
骨、卵の殻、魚鱗等をあげることができる。これらを細
かく砕いて粉末とし、これを500〜1800℃で、1
0〜120分間焼結することにより焼結体を得ることが
できる。
【0022】上記塩基性化合物として、動物由来のカル
シウム含有物の焼結体を用いた場合は、塩基性を示す主
成分としての酸化カルシウム以外に、多くの微量成分を
含むので、水酸化カルシウム等の1種の塩基性化合物を
使用する場合と比べて、使用量を減らして、得られるク
ロロフィル含有微細物懸濁液のpHをより中性近くにす
ることができ、クロロフィル含有微細物中のタンパク質
の変性を防ぐことが可能となる。特に、真珠貝、牡蠣等
の貝殻由来のカルシウム含有物の焼結体は、各分野にお
いて抗菌性を有するとの報告があり、食品分野での利用
の面からより好ましい。
【0023】上記の糖類は、未精製糖、糖蜜、廃糖蜜か
ら少なくとも1種選ばれる。未精製糖とは、十分に精製
されていない糖類であり、例えば、黒糖、二温糖、三温
糖等をあげることができる。すなわち、黒糖は、甘蔗等
の搾汁を調整した分蜜しない含蜜液を濃縮固化したもの
や、しぼり汁を限外ろ過法で分離した糖類であり、他の
二温糖、三温糖等は、精製工程で生じる各種着色糖があ
げられる。さらに、糖蜜は、甘蔗等の黒糖や原料糖を分
蜜したときに結晶と分離された液状分である。結晶析出
工程は数段階あり、各段階毎に糖蜜が分離されるが、こ
れらの糖蜜のなかでも、最終工程での糖蜜分、すなわち
廃糖蜜を用いることもでき、これを用いると最も安価と
なる。これらの糖類は、原料が有するアミノ酸系の不純
分を含んでおり、このため、抗酸化力を有し、かつ、鉄
分を筆頭に多種の無機物を含んでいる。よって、糖類を
上記懸濁液に加えると、これらの抗酸化力によって、熱
処理等の際のタンパク質の変性を抑止することができ
る。
【0024】また、鉄分がクロロフィルのマグネシウム
の一部と置換し、中心金属として鉄を含有するクロロフ
ィリンが生成することが考えられる。この置換錯化合物
は、少し黄褐色の色調を帯びるものの、緑色を保持して
いる。さらに、中心金属がマグネシウムの場合に比べて
錯体として安定しているので、熱や光等に対して安定性
が増すと考えられる。
【0025】上記の黒糖中の鉄分の含有率は、平均5〜
20ppmであり、廃糖蜜中の鉄分の含有率は、平均1
00〜500ppmである。
【0026】上記熱安定化クロロフィル含有微細物は、
上記のクロロフィル含有微細物、塩基性化合物及び糖類
を水に懸濁させ、乾燥したものである。上記クロロフィ
ル含有微細物、塩基性化合物、及び糖類の混合比は、特
に限定されるものではなく、これらからなる懸濁液のp
Hが8.5〜10を示し、糖類の効果を示す量を加えれ
ば十分である。そのような量としては、クロロフィル含
有微細物:塩基性化合物:糖類=100:1〜4:2〜
6(重量比)が好ましく、100:2〜3:3〜4がよ
り好ましい。
【0027】上記糖類の添加量が上記の範囲より少ない
場合は、上記糖類の添加効果が現れにくい。また、上記
の範囲より多い場合は、加熱中のpH低下が適正範囲よ
り大きくなりすぎることがある。さらに、この糖類を含
む懸濁液をそのまま食品等に供与する場合、上記糖類自
体が有する色により緑色が見えにくくなる場合が生ず
る。また、甘味が強くなりすぎる問題も生ずる。
【0028】調整されたクロロフィル含有微細物懸濁液
中のクロロフィル含有微細物の存在量は、特に限定され
るものではなく、例えば、15〜20重量%としてもよ
い。
【0029】上記熱安定化クロロフィル含有微細物を被
覆するゲル状物は、特に限定されるものではなく、常態
でゲル状をなし、上記熱安定化クロロフィル含有微細物
を包み込むことができるものであればよい。そのような
例として、アルギン酸塩、β−1,3−グルカン、ゼラ
チン、寒天、カラギーナン、キサンタンガム、ローカス
トビーンガム、グアガム、ローメトキシペクチン、マン
ナン、フアセラン等があげられる。これらの中でも、被
覆後、高温処理を施してもゲル状態を保持することがで
きる、アルギン酸塩又はβ−1,3−グルカンを用いる
のが好ましい。
【0030】上記アルギン酸塩は、所定の塩の水溶液の
ときにゲル状態を示すことができる。すなわち、アルギ
ン酸塩の水溶液のうち、アルギン酸、アルギン酸ナトリ
ウム又はアルギン酸アンモニウムの水溶液はゾル状態で
あり、アルギン酸のカルシウム塩やマグネシウム塩等、
ナトリウム塩及びアンモニウム塩以外の塩は、ゲル状態
となる。したがって、この場合は、熱安定化クロロフィ
ル含有微細物をアルギン酸又はそのナトリウム塩の水溶
液に懸濁させ、次いで、塩化カルシウム等のナトリウム
塩やアンモニウム塩以外の金属塩水溶液を添加すること
により、熱安定化クロロフィル含有微細物をアルギン酸
塩からなるゲル状物で被覆でき、この発明にかかるクロ
ロフィル剤を得ることができる。
【0031】上記のβ−1,3−グルカンは、一般にア
ルカリ処理や加熱処理によってゲル化させることがで
き、D−グルコースを構成糖とし、β−1,3−グリコ
シド結合してなる。例えば、カードラン、ラミナラン等
をあげることができる。その起源は、微生物、動物、植
物等、特に限定されない。加熱によって凝固し、ゲル状
態となるβ−1,3−グルカンとしては、カードランを
あげることができる。このカードランは、加熱によって
ゲル状にしたとき、pH2〜4程度の強酸性下において
もゲル状態を保持し得るので、熱安定化クロロフィル含
有微細物を被覆するのに特に好ましい。
【0032】このβ−1,3−グルカンを熱安定化クロ
ロフィル含有微細物に被覆する方法は、特に限定され
ず、例えば、β−1,3−グルカンの水溶液に熱安定化
クロロフィル含有微細物を懸濁させ、その懸濁液を50
〜100℃で加熱処理したり、アルカリ処理したり、4
0〜180℃の熱風を用いて噴霧乾燥することにより、
β−1,3−グルカンをゲル化させ、熱安定化クロロフ
ィル含有微細物を被覆させることができる。
【0033】このクロロフィル剤は、表面がゲル状物で
被覆されるので、酸性の液につけても内部のクロロフィ
ルが直接、酸性の液と接触せず、褐変を防止できる。
【0034】次に、この発明にかかるクロロフィル剤の
製造方法について説明する。上記クロロフィル含有微細
物を、上記塩基性化合物、及び上記糖類と共に水に懸濁
させ、クロロフィル含有微細物懸濁液を生成する。この
添加の順番は特に限定されるものではないが、まず、上
記クロロフィル含有微細物と塩基性化合物とを水に懸濁
させるのが好ましい。これは、塩基性化合物がクロロフ
ィル含有微細物に効果的に含浸し、結果として、最終懸
濁液のpHをより低くすることができるからである。例
えば、上記クロロフィル含有微細物を、上記塩基性化合
物と共に水に懸濁して、pHを8.5〜10.5に調整
する。この調整は、上記塩基性化合物の量によって行う
ことができる。pHが8.5未満だと、得られたクロロ
フィル含有微細物懸濁液を熱処理する際、クロロフィル
中のマグネシウムが遊離したり、生成する遊離脂肪酸を
十分に捕獲できないため、褐変したり、味の変質を生じ
やすい。
【0035】また、上記懸濁液のpHが10.5を越え
るときは、食品等に多量に用いた場合、塩基性化合物に
よる舌の味蕾のざらつきが生じやすく、pHを10.5
以下にするほうが好ましい。
【0036】したがって、上記懸濁液のpHを上記の範
囲内の塩基性とした場合、他の添加物等による保護や緩
衝がなくて直接接触しても、上記クロロフィル含有微細
物中のタンパク質の変性を生ぜず、かつ、クロロフィル
中のマグネシウムが遊離するのが防止される。また、得
られたクロロフィル含有微細物懸濁液を熱処理すること
によって遊離脂肪酸が生じても、この塩基性化合物によ
って十分に捕獲することができるので、味の変質を防止
することができる。
【0037】次に、上記のクロロフィル含有微細物と塩
基性化合物との懸濁液に、上記糖類を加えてクロロフィ
ル含有微細物懸濁液を生成する。この糖類を加えること
によって、クロロフィル含有微細物中のタンパク質の変
性を防止し、クロロフィルの緑色を保持することが可能
となる。
【0038】得られたクロロフィル含有微細物懸濁液
を、所定の方法によって乾燥することにより、熱安定化
クロロフィル含有微細物が得られる。乾燥の方法は、多
量の熱量が加わらない乾燥法であれば任意の方法を採用
できる。例えば、真空乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥、プレ
ート乾燥、流動乾燥等があげられる。
【0039】得られた熱安定化クロロフィル含有微細物
にゲル状物を加えて被覆させる。ゲル状物として、アル
ギン酸カルシウムを用いる場合は、まず、得られた熱安
定化クロロフィル含有微細物とアルギン酸ナトリウムと
を水に加えて懸濁させる。アルギン酸ナトリウムの熱安
定化クロロフィル含有微細物に対する添加量は、10〜
80重量%がよく、30〜50重量%が好ましい。10
重量%未満だと得られる被覆の厚みが薄くなり、外部の
液性に対して、内部のクロロフィルを十分保護しにく
い。また、80重量%を越えた場合は十分な被覆が得ら
れるが、得られるクロロフィル剤中の熱安定化クロロフ
ィル含有微細物の存在割合が低下し、クロロフィル剤の
使用時の使用量を増加させることとなる。次いで、25
重量%以上の塩化カルシウム水溶液を添加してゲル化さ
せる。その後、水に浸漬することにより、生成する塩分
を除去する。
【0040】なお、上記の熱安定化クロロフィル含有微
細物とアルギン酸ナトリウムとの水懸濁液に、キトサン
やポリペプチド等を加えることにより、ゲルの強度を高
めることができる。
【0041】また、ゲル状物として、カードランを用い
る場合は、上記の得られた熱安定化クロロフィル含有微
細物とカードランとを水に加えて懸濁させる。カードラ
ンの熱安定化クロロフィル含有微細物に対する添加量
は、10〜80重量%がよく、20〜50重量%が好ま
しい。10重量%未満だと得られる被覆の厚みが薄くな
り、外部の液性に対して、内部のクロロフィルを十分保
護しにくい。また、得られる被覆の厚みが薄いため強度
が不十分となり、加えられる力によっては、内部のクロ
ロフィルが外部にでてくる場合がある。また、80重量
%を越えた場合は十分な強度を有する被覆が得られる
が、得られるクロロフィル剤中の熱安定化クロロフィル
含有微細物の存在割合が低下し、クロロフィル剤の使用
時の使用量を増加させることとなる。上記カードランを
水に加えて懸濁させるときの濃度は、特に限定されない
が、噴霧乾燥を行う場合は、水に対してカードラン1〜
3重量%とすることが好ましい。
【0042】次いで、40〜180℃の熱風を用いて噴
霧乾燥を行う。これにより、所定の粒径を有するクロロ
フィル剤を得ることができる。この粒径は、噴霧乾燥時
の風速を調整することにより、調節することができる。
なお、ゲル状物としてカードランを用いると、塩分除去
の工程を省略することができる。
【0043】ところで、必要に応じて、上記の得られた
クロロフィル剤を水に懸濁させ、pHを4.0〜10.
5に調整した後、60〜135℃で加熱処理をして、熱
処理クロロフィル剤を製造することができる。また、上
記の得られたクロロフィル剤を他の食品に添加した後に
60〜135℃で加熱処理することができる。この加熱
処理方法は、特に限定されるものではなく、例えばオー
トクレーブを用いれば、どの温度にも加熱することがで
きる。また、加熱温度が100℃未満のときは、湯煎、
電熱器等により加熱することもできる。上記のオートク
レーブは、蒸気式のものであっても電気式のものであっ
てもよい。この熱処理によって、クロロフィルの緑色は
保持されるので、上記クロロフィル剤又は熱処理クロロ
フィル剤は、緑色を有する食品添加用に利用することが
できる。
【0044】特に、pH4.0〜6.0の強酸性から弱
酸性の水に懸濁させることができるので、加熱処理後、
液性を弱酸性から中性に保持させることが可能となり、
各種の食品に添加させることができる。
【0045】上記の緑色とは、一般的に緑味を帯びた色
相をいい、吸収スペクトルが480nm〜575nmの
青緑、緑、黄緑、薄茶緑等をいう。この中でも、吸収ス
ペクトルが495nm〜565nmの緑色はより鮮やか
な色調である。また、色の三属性のうち、色相以外の明
度や彩度は、特に限られるものではなく、色相が緑味を
帯びていれば、明るい色でも暗い色でも、また、鮮やか
な色であってもなくてもよい。
【0046】
【実施例】以下、この発明の実施例について示す。
【0047】熱安定化クロロフィル含有微細物の製造 クロレラ(レンゴー(株)製:クロレラFA)のクロロ
フィル含有微細物10重量部に、牡蠣の貝殻の粉砕焼結
物(カイホウ社製:ハイセアーS;以下「貝焼結物」と
称する。)2重量部を加えて混合し、これに水道水(水
温20℃)を230重量部加えて十分に攪拌した後、5
分間放置した。
【0048】次いで、黒糖(日新カップ社製)35部を
水20部に溶解させ、上記懸濁液に加えて混練し、20
分間放置した。
【0049】そして、水を用いて上記混練した懸濁液の
濃度を18重量%に希釈し、スプレードライヤ(入口温
度120〜140℃、出口温度80〜90℃)を用いて
噴霧乾燥し、熱安定化クロロフィル含有微細物を得た。
【0050】〔実施例1〜9〕アルギン酸カルシウムからなる被覆を有するクロロフィ
ル剤の製造 上記の熱安定化クロロフィル含有微細物2gに、純水2
5ml(25℃)とアルギン酸ナトリウム(ナカライ社
製:試薬;表1において、「アルギン酸Na」と称す
る。)をそれぞれ表1に記載の量加え、攪拌した。
【0051】得られた懸濁液は粘性を有しており、これ
を500mlビーカーの内壁に均一な厚さとなるように
塗布した。
【0052】次いで、表1に記載の量の塩化カルシウム
(ナカライ社製:試薬;表1において、「CaCl2
と称する。)を純水10mlに溶解させ、これを上記ビ
ーカーに注ぎ込んだ。そして、ビーカーを振ることによ
り、ビーカーの内壁に塗布した懸濁液に塩化カルシウム
水溶液を接触させ、懸濁液をゲル化させた。
【0053】30分間放置後、得られたクロロフィル剤
を2日間又は半日間、水に浸漬して脱塩を行い、風乾
後、粉砕した。
【0054】クロロフィル剤の加熱処理 上記のそれぞれのクロロフィル粉末2gを、表1に記載
のpHを有する硫酸水溶液(表1において、「硫酸液」
と称する。)100mlに懸濁し、20分間放置後、オ
ートクレーブで121℃、10分間加熱処理した。な
お、オートクレーブ処理前後における懸濁液のpHを表
1に示した。
【0055】得られた熱処理クロロフィル剤について、
下記の方法にしたがって、香味、色調を観察した。ま
た、クロロフィル剤を製造して粉砕する段階でのクロレ
ラ流失度を観察した。その結果を表1に示す。
【0056】香味・色調・クロレラ流失度の観察 香味 熱処理クロロフィル粉末の香りを下記の基準で判定し
た。 ○:異臭せず △:かすかに異臭を感じる ×:異臭を感じる 色調 加熱処理前の緑色を基準に、色の変化を観察した。 ○:色の変化が見られない △:少し黄味を帯びる ×:褐変するクロレラ 流失度 クロロフィル剤の粉砕時、クロレラの流失の様子を観察
した。 ○:流失なし △:少しの流失がある ×:多量の流失がみられる
【0057】〔比較例1〜2〕上記の熱安定化クロロフ
ィル含有微細物2gを硫酸水溶液10mlに浸漬し、p
Hを7.0又は6.0に調整した。20分間放置後、オ
ートクレーブで121℃、10分間加熱処理した。
【0058】得られた熱安定化クロロフィル含有微細物
について、上記の方法にしたがって、香味及び色調を観
察した。
【0059】
【表1】
【0060】〔実施例10〕カードランからなる被覆を有するクロロフィル剤の製造 純水(5℃)60mlに上記の熱安定化クロロフィル含
有微細物4gを少しずつ入れ、プロペラ攪拌機で懸濁さ
せ、次いで、カードラン(武田薬品工業社製)1.5g
を加え、攪拌した。
【0061】得られた懸濁液を、スプレードライヤ(入
口温度120〜140℃、出口温度80〜90℃)を用
いて噴霧乾燥し、クロロフィル剤を得た。
【0062】クロロフィル剤の加熱処理 上記のクロロフィル粉末2gを、pH5の硫酸水溶液1
00mlに分散させ、20分間放置後、オートクレーブ
で121℃、10分間加熱処理した。
【0063】得られた熱処理クロロフィル剤について、
上記の方法にしたがって、香味、色調を観察したとこ
ろ、いずれも良好であった。
【0064】
【発明の効果】この発明によれば、熱安定化したクロロ
フィル含有微細物をゲル状物で被覆したので、弱酸性か
ら中性の水溶液に懸濁しても、クロロフィルが直接、酸
性液と接触せず、緑色が保持される。このため、弱酸性
から中性の液性を示す食品にクロロフィル剤を添加し、
その後に加熱殺菌処理を施すことが可能となる。
【0065】また、クロロフィル剤中の熱安定化クロロ
フィル含有微細物は、塩基性化合物を含むので、クロロ
フィル剤を酸性域から中性域で加熱しても、加熱により
生じる脂肪酸等がこの塩基性化合物によって捕獲され
る。このため、内部のクロロフィルが酸性状態となるこ
とが防止され、褐変や味の変質等が生じるのを防止でき
る。
【0066】さらに、クロロフィル剤に用いる熱安定化
したクロロフィル含有微細物は、クロロフィル含有微細
物、塩基性化合物、及び未精製糖、糖蜜、廃糖蜜から選
ばれる少なくとも1種の糖類からなるので、クロロフィ
ル含有微細物中のクロロフィルからマグネシウムが遊離
しにくくなり、また、遊離しても上記糖類中に含まれる
鉄分が置換することが考えられる。このため、加熱によ
る褐変を防止することができる。
【0067】さらにまた、この発明により得られるクロ
ロフィル剤を用いると、弱酸性下での処理やより強度の
加熱処理を行うことができ、効率的にクロロフィル含有
微細物に含まれる生理活性物質等の有効成分を取り出す
ことができる。
【0068】また、この発明によるクロロフィル剤を健
康ドリンク等のドリンク剤に使用でき、牛乳その他の飲
料との混合が可能となり、新たな飲料の開発が可能とな
る。
【0069】さらに、クロロフィル剤の緑色を生かし、
かつ、クロロフィル剤中の生理活性物質、各種タンパク
質、鉄分をはじめとする各種ミネラル等をそのまま利用
して栄養価を向上させる添加剤として、高含水率のムー
ス、プリン等の和洋菓子、豆腐、コンニャク等の食品
や、低含水率の羊かん、蒸し菓子等の食品、乾燥食品、
ゲル又はペースト状の調味食材に使用することができ、
さらに、乾燥粉体や錠剤の形状で使用することもでき
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロロフィル含有微細物、塩基性化合
    物、及び未精製糖、糖蜜、廃糖蜜から選ばれる少なくと
    も1種の糖類を含む熱安定化クロロフィル含有微細物を
    ゲル状物により被覆してなるクロロフィル剤。
  2. 【請求項2】 上記ゲル状物は、アルギン酸金属塩のゲ
    ル、又はβ−1,3−グルカンのゲルの少なくとも1種
    である請求項1に記載のクロロフィル剤。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のクロロフィル剤
    の水懸濁液のpHを4.0〜10.5に調整した後、6
    0〜135℃に加熱してなる熱処理クロロフィル剤。
JP9155381A 1997-06-12 1997-06-12 クロロフィル剤及びその製造方法 Pending JPH11132A (ja)

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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003015539A1 (fr) * 2001-08-13 2003-02-27 Susumu Takayama Procede de production d'une boisson contenant de la chlorophylle
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