JPH11131048A - 紫外線遮蔽性複合微粒子 - Google Patents

紫外線遮蔽性複合微粒子

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JPH11131048A
JPH11131048A JP4401998A JP4401998A JPH11131048A JP H11131048 A JPH11131048 A JP H11131048A JP 4401998 A JP4401998 A JP 4401998A JP 4401998 A JP4401998 A JP 4401998A JP H11131048 A JPH11131048 A JP H11131048A
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JP
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particles
ultraviolet
refractive index
composite fine
fine particles
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JP4401998A
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English (en)
Inventor
Yoshinobu Imaizumi
義信 今泉
Shunji Ozaki
俊二 小崎
Kazuo Taguchi
和男 田口
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】紫外線遮蔽能及び可視光透明性を広範囲にコン
トロールした紫外線遮蔽性複合微粒子を提供すること。 【解決手段】大粒子:1次粒子の平均粒径が0.1〜
5.0μmであり、かつバンドギャップエネルギーが
2.7〜4.0eVである紫外線遮蔽能を有する無機物
質粒子、及び小粒子:1次粒子の平均粒径が0.001
〜0.1μmである1種又は2種以上の無機物質粒子、
とが複合化した複合微粒子からなる紫外線遮蔽性複合微
粒子、該紫外線遮蔽性複合微粒子の製造方法、及び該紫
外線遮蔽性複合微粒子の紫外線遮蔽能及び可視光透明性
のコントロール方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、屈折率の大小関係
に基づいて、粒子を複合化することにより紫外線遮蔽能
及び可視光透明性をコントロールした紫外線遮蔽性複合
微粒子に関する。
【0002】
【従来の技術】地球上に届く太陽光(赤外線、可視光線
及び紫外線)のうち、5〜6%が紫外線である。紫外線
は波長が短く、従ってエネルギーの高い電磁波であり、
多くの物質に対して分解性をもち、広く生体に障害を及
ぼすことが知られている。
【0003】従って、紫外線遮蔽剤は、例えば化粧品中
に配合して皮膚を紫外線による炎症や皮膚癌から守った
り、塗料に混ぜて顔料が紫外線で分解して退色するのを
防いだりする用途等に用いられている。このとき可視光
線域での透明性を高めることによって、化粧品の場合で
は白浮きになるのを防ぎ、また塗料の場合では顔料によ
る色彩を損なうことを防ぐことができるため、可視光線
域での透明性を維持しつつ、紫外線防御を行うことが望
ましい。
【0004】有機化合物を有効成分として用いる紫外線
遮蔽剤は、組成物の紫外線に対する特性吸収によりその
透過を防ぐものである。しかしながら、有機系の紫外線
遮蔽剤は、紫外光を吸収すると同時にその作用を受けて
分解するという難点があり、このため経時的に遮蔽能が
減衰する欠点を有する。また化粧品への応用において
は、人体への影響の点から配合できる種類、配合量にも
規制があり、規制内で高い機能を発現させることが困難
である。
【0005】一方、無機化合物を用いる紫外線遮蔽剤
は、無機物質微粒子を組成物として配合し、組成物が有
する紫外線吸収能及び紫外線散乱能によってその透過を
防ぐものである。このような無機系の紫外線遮蔽剤は、
組成物が経時的に劣化していくことがなく、また人体へ
の影響が少ないという点で有機系紫外線遮蔽剤よりも優
れている。しかし、有機系の紫外線遮蔽剤に対して、無
機系の紫外線遮蔽剤は粒子形態を有しているため、従来
から無機系の紫外線遮蔽剤は、可視光線域での高透明性
を維持しつつ、紫外線防御を行うのは困難とされてき
た。
【0006】可視光線域(波長400 〜800nm )での高い
透明性を維持しながら紫外線域での遮蔽能を有効に発現
させる方法として、組成物を超微粒子化して高分散状態
にする方法がある。しかし、この方法は超微粒子が有す
る凝集性に起因する低い分散安定性、及び超微粒子が有
する触媒活性が問題となる。又、無機物質粒子が有する
紫外線遮蔽能は紫外線吸収能及び紫外線散乱能の組み合
わせにより発現するものであるが、超微粒子を高分散さ
せると粒子の有する紫外線散乱能が損なわれることにな
り、吸収端が短波長側にシフトしてしまう等、総合的な
紫外線遮蔽能は低下してしまうといった問題もある。
【0007】紫外線散乱能を損なわないようにするため
には0.1μm以上の微粒子サイズにて紫外線遮蔽剤を
利用することが好ましいが、この場合には紫外線を散乱
すると同時に可視光も散乱してしまうため、透明性が損
なわれるといった問題がある。
【0008】以上の金属酸化物微粒子を用いた紫外線遮
蔽剤における種々の課題を解決する為に、紫外線遮蔽性
複合微粒子、その製造方法、及び化粧料(国際公開第9
5/09895号パンフレット、特開平8−12961
号公報)では、紫外線遮蔽能を有する微粒子(子粒子)
と子粒子を分散含有させる母体としての微粒子凝集体
(母粒子)を複合化し、両者のバンドギャップエネルギ
ーに着目してその大小関係に基づいて組み合わせを決定
することにより、超微粒子が有する光学特性を最大限に
発揮させることを可能とし、高い可視光透明性及び紫外
線に対する高遮蔽性を有する紫外線遮蔽剤が開示されて
いる。この紫外線遮蔽剤の特徴は、それら以外に、母/
子粒子の材種及び比率を変えて屈折率の広範囲な制御が
可能である為、種々の媒体中に分散させても高透明性を
発現し、形状に左右されずに高透明性を発現すること、
微粒子域の大きさの為にハンドリング(輸送、表面処
理、配合等)が容易であること、また、色彩を損ねない
ので化粧料に使用可能であること等である。但し、この
紫外線遮蔽剤は紫外線遮蔽能を有する粒子の割合が少な
く、紫外線遮蔽能を特に大きくしたい場合には紫外線遮
蔽剤の配合量を多くする必要がある。また、屈折率を制
御することにより、超微粒子の有する紫外線吸収能は引
き出されているが、それに伴って紫外線散乱能が損なわ
れている。
【0009】前記公報以外では、金属化合物含有中実多
孔質シリカビーズ、その製造方法及び粉末消臭剤(特開
平4−65312号公報)、酸化亜鉛−ポリマー複合体
微粒子、その製造方法及びその用途(特開平8−600
22号公報)、さらに、亜鉛に特定の金属元素が添加さ
れた結晶性共沈物からなる複合化された酸化亜鉛系微粒
子、その製造方法及び用途(特開平8−253317号
公報)等があるが、前記公報では、前記と同様に、これ
らの複合微粒子を化粧料に用いて紫外線遮蔽能を大きく
したい場合には複合微粒子の配合量を多くする必要があ
る。
【0010】そこで、前記の配合上限に起因して紫外線
遮蔽能に限界が生じるという課題を解決する為に、紫外
線遮蔽性複合微粒子、その製造方法、及び化粧料(特開
平9−100112号公報)では、前記の紫外線遮蔽性
複合微粒子(国際公開第95/09895号パンフレッ
ト、特開平8−12961号公報)の設計コンセプト
に、さらに、紫外線遮蔽性複合微粒子の平均粒径を小さ
くすることにより粉体の感触をなくして配合上限を引き
上げて配合の自由度を格段に広げること、また、触媒活
性を実質的に有さない無機物質で複合微粒子表面を被覆
することにより複合微粒子の触媒活性を実質的に抑制す
るということを加え、それらの課題を解決した。しかし
ながら、この公報(特開平9−100112号公報)に
おいて、紫外線遮蔽性微粒子が超微粒子化されることに
より、粒子の本来有する紫外線散乱能を損なうという欠
点を有する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】紫外線遮蔽能を有する
1次粒子の平均粒径が0.1〜5.0μmの無機物質粒
子を使用した場合、該無機物質粒子は、吸収のみならず
散乱によっても紫外線を遮蔽するため、その紫外線遮蔽
効果は高いが、同時に可視光も散乱し、可視光透明性を
低下させる。必要とされる紫外線遮蔽能及び可視光透明
性はその用途によって変わってくるため、一概に可視光
透明性が高ければ高いほど良いというわけでなく、紫外
線の散乱と可視光の散乱のバランスが目的に応じて自由
にコントロールできるというのが最も望ましい状態では
あるが、散乱の強さは、粒径及び物質の有する物性値、
特に屈折率の2つのパラメータによって決まってしま
う。粒径は粉砕の程度によってコントロールする事は可
能であるが、屈折率の方は、物質固有の物性値であるた
め、物質そのものをかえるといった方法しかない。粒径
のみしかコントロールできない場合、そのコントロール
可能な範囲は狭く、目的に応じてコントロールすること
はかなり困難である。物性値のコントロールを行うため
には複酸化物化等による新規物質の生成等の方法もある
が、それでは物質そのものが異なってしまうため、目的
とする物性値にコントロールすることはやはり困難であ
る。
【0012】本発明は、このような紫外線遮蔽剤におけ
る種々の課題を解決するものである。
【0013】即ち、本発明の目的は、紫外線遮蔽能及び
可視光透明性を広範囲にコントロールした紫外線遮蔽性
複合微粒子を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の要旨は、
(1) 大粒子:1次粒子の平均粒径が0.1〜5.0
μmであり、かつバンドギャップエネルギーが2.7〜
4.0eVである紫外線遮蔽能を有する無機物質粒子、
及び 小粒子:1次粒子の平均粒径が0.001〜0.1μm
である1種又は2種以上の無機物質粒子、とが複合化し
た複合微粒子からなる紫外線遮蔽性複合微粒子、 (2) 大粒子:1次粒子の平均粒径が0.1〜5.0
μmであり、かつバンドギャップエネルギーが2.7〜
4.0eVである紫外線遮蔽能を有する無機物質粒子、
及び 小粒子:1次粒子の平均粒径が0.001〜0.1μm
である1種又は2種以上の無機物質粒子、とを用いて複
合化させることを特徴とする、前記大粒子と小粒子とが
複合化した複合微粒子からなる紫外線遮蔽性複合微粒子
の製造方法、並びに (3) 大粒子:1次粒子の平均粒径が0.1〜5.0
μmであり、かつバンドギャップエネルギーが2.7〜
4.0eVである紫外線遮蔽能を有する無機物質粒子、
及び 小粒子:1次粒子の平均粒径が0.001〜0.1μm
である1種又は2種以上の無機物質粒子、とを用いて大
粒子の屈折率と小粒子の屈折率(但し、小粒子が2種以
上の無機物質粒子の場合は、平均屈折率)の大小関係に
基づき複合化させることを特徴とする、紫外線遮蔽性複
合微粒子の紫外線遮蔽能及び可視光透明性のコントロー
ル方法、に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0016】1.本発明の紫外線遮蔽性複合微粒子 本発明の紫外線遮蔽性複合微粒子は、 大粒子:1次粒子の平均粒径が0.1〜5.0μmであ
り、かつバンドギャップエネルギーが2.7〜4.0e
Vである紫外線遮蔽能を有する無機物質粒子、及び 小粒子:1次粒子の平均粒径が0.001〜0.1μm
である1種又は2種以上の無機物質粒子、とが複合化し
た複合微粒子からなり、大粒子の屈折率と小粒子の平均
屈折率の大小関係に基づいて、所望の紫外線遮蔽能及び
可視光透明性にコントロールされたものである。
【0017】即ち、紫外線遮蔽能を有する大粒子に、大
粒子と比較してほぼ同等かあるいは異なった屈折率を有
する小粒子を複合化することによって、粒子による光散
乱を制御し、紫外線遮蔽能及び可視光透明性の割合をコ
ントロールする事が可能である。なお、小粒子として2
種以上の無機物質粒子を用いる場合、小粒子の平均屈折
率が大粒子より大きいか小さいかによって、可視光透明
性及び紫外線散乱能が決まることになる。
【0018】具体的には、次のような3つの態様が挙げ
られる。
【0019】(1)大粒子の屈折率と比較して小粒子の
屈折率(但し、小粒子が2種以上の無機物質粒子の場合
は、平均屈折率)が大きく、大粒子の屈折率と小粒子の
屈折率との差が0.1以上、好ましくは0.2以上の紫
外線遮蔽性複合微粒子 これは紫外線吸収能と紫外線散乱能を併せ持った大粒子
に、より大きい屈折率を有する小粒子を複合化した場合
であり、この場合、可視光透明性を大きく損なうことな
く、大粒子の有する紫外線散乱能をさらに高めることが
できる。大粒子より屈折率の大きな小粒子として、例え
ば、TiO2 が挙げられる。前記TiO 2 は非常に大き
い屈折率を有し、また物質自身が強い紫外線吸収能を有
するため、紫外線吸収能、紫外線散乱能共に向上する。
【0020】(2)大粒子の屈折率と比較して小粒子の
屈折率(但し、小粒子が2種以上の無機物質粒子の場合
は、平均屈折率)が小さく、大粒子の屈折率と小粒子の
屈折率との差が0.1以上、好ましくは0.2以上の紫
外線遮蔽性複合微粒子 これは紫外線吸収能と紫外線散乱能を併せ持った大粒子
に、より小さい屈折率を有する小粒子を複合化した場合
であり、この場合、大粒子の有する紫外線散乱能を大き
く損なうことなく、可視光透明性を向上させることがで
きる。大粒子より屈折率の小さな小粒子として、例え
ば、SiO2 及びAl2 3 が挙げられる。SiO2
びAl2 3 の粒子は小さい屈折率を有し、可視光透明
性の向上には好ましい。特にSiO2 は、無機物質とし
ては非常に小さい屈折率を有する物質であるため、非常
に有効である。
【0021】(3)大粒子の屈折率と小粒子の屈折率
(但し、小粒子が2種以上の無機物質粒子の場合は、平
均屈折率)の差が±0.1未満の紫外線遮蔽性複合微粒
子 これは大粒子と小粒子の屈折率がほぼ同等のものを用い
た場合であり、この場合、紫外線遮蔽性複合微粒子の屈
折率は、ほぼ大粒子と変わらないことになり、紫外線散
乱能及び可視光透明性はあまり変化しない。
【0022】また、小粒子は、1種又は2種以上の無機
物質粒子が使用されるが、小粒子のうち少なくとも1種
に紫外線吸収能を有する無機物質を用いることにより、
紫外線遮蔽性複合微粒子の紫外線吸収能を高めることも
可能である。この紫外線吸収能は大粒子と小粒子の屈折
率の大小関係に関係なく向上させることができる。
【0023】これらの特性を考慮して大粒子と小粒子と
を任意に組み合わせることにより、紫外線散乱能、紫外
線吸収能及び可視光透明性のバランスを、目的に応じて
所望の性質になるようにコントロールすることが可能で
ある。
【0024】例えば、小粒子として2種以上の無機物質
粒子を使用する場合、紫外線遮蔽能を持ち大きい屈折率
を有する小粒子と小さい屈折率を有する小粒子を用いて
大粒子との複合化を行うと、得られた紫外線遮蔽性複合
微粒子は、紫外線遮蔽能を持ち大きい屈折率を有する小
粒子によって、紫外線散乱能を大きく損なうことなく、
紫外線吸収能も向上させることができる。さらに小さい
屈折率を有する小粒子によって可視光透明性も向上さ
れ、紫外線遮蔽能及び可視光透明性共に向上させた紫外
線遮蔽性複合微粒子を得ることが可能である。より具体
的には、例えば、ZnO微粒子に紫外線吸収能を付加
し、さらに可視光の散乱を減少させたい場合には、小粒
子としてTiO2 超微粒子とSiO2 超微粒子を用い、
その平均屈折率がZnOより小さくなるようなTiO2
とSiO2 の配合比で複合化することができる。この場
合、小粒子の平均屈折率がZnOの屈折率より小さいた
め、紫外線遮蔽性複合微粒子は、可視光透明性が向上さ
れ、さらにTiO2 によって紫外線吸収能が付加され
る。
【0025】なお、紫外線B及びA領域を同時に遮蔽す
るには、大粒子が(ZnO、CeO 2 、BaTiO3
CaTiO3 、SrTiO3 、SiC)よりなる群から
選択される無機物質粒子であり、小粒子の少なくとも1
種にTiO2 を使用することが好ましい。大粒子より屈
折率の大きな小粒子を用いる場合、大粒子にZnO、小
粒子にTiO2 を使用することがより好ましい。大粒子
より屈折率の小さい又はほぼ同等の小粒子を用いる場
合、小粒子にTiO2 とSiO2 及び/又はAl 2 3
とを組み合わせて使用することがより好ましく、小粒子
にTiO2 、SiO2 を組み合わせて使用することが更
に好ましい。大粒子にZnO、小粒子にTiO2 とSi
2 を組合せて使用するのが最も好ましい。
【0026】また、本発明の紫外線遮蔽性複合微粒子
は、該紫外線遮蔽性複合微粒子表面を変性シリコーン及
び/又は反応性シリコーンからなるシリコーン化合物で
被覆することにより、触媒活性を実質的に持たない紫外
線遮蔽性複合微粒子とすることができる。即ち、該紫外
線遮蔽性複合微粒子表面は変性シリコーン及び/又は反
応性シリコーン系分散剤で覆われているので、紫外線遮
蔽能を有する無機物質粒子の触媒活性又は光触媒活性に
より、紫外線遮蔽性複合微粒子のまわりにある物質を劣
化させることはない。尚、シリコーン化合物に代えて無
機物質で被覆してもよい。
【0027】本発明の紫外線遮蔽性複合微粒子の粉末の
大きさ、形状は特に限定されない。使用場面に応じて様
々な大きさ、形状のものが用いられる。
【0028】例えば、化粧品用の粉体に用いられる紫外
線遮蔽性複合微粒子の粉末の大きさとしては、紫外線散
乱効果を発揮させる観点から、平均粒径が、0.1μm
以上、好ましくは0.2μm以上、より好ましくは0.
25μm以上であり、可視光透明性を発揮させる観点か
ら、1.0μm以下、好ましくは0.5μm以下であ
る。
【0029】前記化粧品用の粉体に用いられる紫外線遮
蔽性複合微粒子の形状としては、感触の良さ、ハンドリ
ングの良さ等の観点から、球状粒子が好ましく、皮膚へ
の付き具合、皮膚上での伸びの良さ、ハンドリングの良
さ等の観点から板状粒子が好ましい。
【0030】本発明の紫外線遮蔽性複合微粒子の形態観
察には透過型電子顕微鏡を用いた直接観察法により行う
ことができる。また分散粒径の測定には光散乱式粒径測
定器(体積基準)を使用することができる。
【0031】また、本発明の紫外線遮蔽性複合微粒子
は、後述のように、油剤中への分散体、又は紫外線遮蔽
性複合微粒子の粉末として調製することができるが、こ
れらの光学特性は、例えば、紫外線・可視光分光分析に
よる光透過率の測定により、その定量化が可能である。
このような紫外線・可視光分光分析による評価は、具体
的には以下のようにして行われる。
【0032】本発明の紫外線遮蔽性複合微粒子の分散
体、又は紫外線遮蔽性複合微粒子の粉末を任意の媒体中
に加えて懸濁し、任意の濃度の紫外線遮蔽性複合微粒子
懸濁液を調製する。懸濁液が均一になるように、攪拌す
るとともに超音波分散器等を用いて該紫外線遮蔽性複合
微粒子をよく分散させる。光路長1mmの光学セルを用
意し、この中に懸濁液を満たす。光学セルは紫外及び可
視光線域で吸収や散乱のないもので、例えば石英セル等
が用いられる。紫外可視分光光度計を用いてこの光学セ
ルを透過する光の透過率を測定する。このとき同等の光
学セルに紫外線遮蔽性複合微粒子懸濁前の媒質のみ満た
したものを対照として用い、バックグラウンドの除去を
行う。
【0033】また、本発明の紫外線遮蔽性複合微粒子の
触媒活性能は、例えば、次のようにして確認することが
できる。紫外線遮蔽性複合微粒子を白色ワセリン中に無
機物質粒子濃度が1重量%となるように分散させ、得ら
れた分散体に、紫外線光源(SPECTRONICS 社製、ENB
−260C/J)を用いて中心波長312nmの紫外線
を60分照射し、白色ワセリンの変色の有無を確認す
る。触媒活性により白色ワセリンが劣化する場合、白色
ワセリンが茶色へと変色し、この方法により簡便に確認
することができる。
【0034】したがって、本明細書において「触媒活性
を実質的に持たない紫外線遮蔽性複合微粒子」とは、触
媒活性が抑制されて実用上触媒活性が問題にならない程
度になっている紫外線遮蔽性複合微粒子を意味し、例え
ばかかる方法によりワセリンの変色が確認されないもの
をいう。
【0035】2.紫外線遮蔽性複合微粒子の原料 次に、本発明の製造に用いる各原料について説明する。
【0036】(1)大粒子:1次粒子の平均粒径が0.
1〜5.0μm、かつバンドギャップエネルギーが2.
7〜4.0eVである紫外線遮蔽能を有する無機物質粒
子 紫外線遮蔽性複合微粒子を構成する大粒子としての無機
物質粒子は、紫外線遮蔽能を有するものであり、さらに
は可視光線域において吸収がなく、紫外線散乱能を有す
る程度の大きさを有していることが好ましい。該無機物
質粒子は、十分に紫外線散乱効果を発揮させる観点か
ら、1次粒子の平均粒径が、0.1μm以上、好ましく
は0.2μm以上、より好ましくは0.25μm以上で
あり、実用上に必要な可視光透明性を十分に発揮させる
観点から、5.0μm以下、好ましくは1.0μm以
下、より好ましくは0.5μm以下である。
【0037】なお、大粒子の平均粒径の測定には、電子
顕微鏡を用いた直接観察法(個数基準)を用いることが
できる。また、小粒子の平均粒径の測定においても同様
の方法を用いることができる。
【0038】大粒子の粒径の選び方は、紫外線遮蔽性複
合微粒子の使用目的によるが、例えば、化粧料のように
可視光透明性を重視する場合には、粒径が、透明性を損
なわずに高い紫外線遮蔽能を有する程度の大きさである
ことが好ましい。かかる場合においては、1次粒子の平
均粒径は、紫外線散乱効果を発揮させる観点から、0.
1μm以上、好ましくは0.2μm以上、より好ましく
は0.25μm以上であり、可視光透明性を発揮させる
観点から、1 .0μm以下、好ましくは0.5μm以下
である。
【0039】また、例えば、顔料等のように紫外線の散
乱だけでなく可視光の散乱もある程度必要である場合に
は、粒径の比較的大きい無機物質粒子を選択して、目的
とする屈折率になるようにコントロールして、可視光散
乱能を調整すれば良い。かかる場合、1次粒子の平均粒
径は、1 .0μm以上であり、発色性を発揮させる観点
から、5.0μm以下、好ましくは3.0μm以下であ
る。
【0040】なお、大粒子の形状は、特に限定されない
が、球状、板状又は針状等が挙げられる。
【0041】大粒子としての無機物質粒子を構成する無
機物質としては、紫外線の吸収性を有し、好ましくは可
視光線域において吸収がないという要件から、バンドギ
ャップエネルギーに基づく励起子吸収端が紫外線の波長
領域内に存在するような物質が好ましい。
【0042】即ち、バンドギャップエネルギーが、可視
光透明性を発揮させる観点から、2.7eV以上、好ま
しくは、3.1eV以上であり、紫外線吸収性を発揮さ
せる観点から、4.0eV以下、好ましくは3.9eV
以下である半導体化合物が好ましい。
【0043】例えば、TiO2 、ZnO、CeO2 、B
aTiO3 、CaTiO3 、SrTiO3 、SiC等が
その性質を強く示し、これらの群より選ばれた少なくと
も1種の無機物質粒子が好ましい。さらに、TiO2
ZnO及びCeO2 が一般的に紫外線遮蔽剤としてよく
用いられており、これらからなる群より選ばれたものが
特に好ましい。特に紫外線A領域(320〜400n
m)まで遮蔽するためにはZnO、CeO2 等が有効で
あり、紫外線B領域(280〜320nm)の遮蔽には
TiO2 が有効である。
【0044】TiO2 を用いる場合において、所望によ
り5価以上の元素(例えばW、P、Ta、Nb、Sb、
Mo等)、又は3価以下の元素(例えばZn、Al、M
g、Ca等)を不純物ドープとして含有させることによ
り、紫外線B領域内で発現する紫外線遮蔽能を紫外線A
領域まで拡張することが可能である。
【0045】紫外線遮蔽性複合微粒子中における大粒子
の割合は、20重量%以上が好ましく、より好ましくは
40重量%以上、最も好ましくは60重量%以上であ
る。
【0046】(2)小粒子:1次粒子の平均粒径が0.
001〜0.1μmである1種又は2種以上の無機物質
粒子 複合化の際、小粒子として用いる無機物質粒子は、可視
光線域において吸収がなく、可視光線を散乱することの
ない程度の大きさを有していることが好ましい。触媒活
性を低下させる観点から小粒子の1次粒子の平均粒径
が、好ましくは0.001μm以上、好ましくは0.0
05μm以上であり、可視光透明性を発揮させる観点か
ら、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.0
5μm以下である。
【0047】小粒子として用いる無機物質粒子として
は、特に限定されないが、大粒子と小粒子の屈折率に差
を持たせる場合には、大粒子と比較してより大きい屈折
率差を有する無機物質粒子を選ぶことにより、少量の小
粒子の使用で屈折率を大きく変化させることができ、よ
り効果的である。
【0048】2種以上の小粒子を用いる場合、紫外線吸
収能を向上させるために、屈折率の大小関係に関わら
ず、小粒子のうち少なくとも1種として紫外線吸収能を
有する無機物質を用いればよい。
【0049】紫外線遮蔽性複合微粒子中における小粒子
の割合は80重量%以下が好ましく、より好ましくは6
0重量%以下、最も好ましくは40重量%以下である。
【0050】(3)触媒活性を実質的に抑制するための
紫外線遮蔽性複合微粒子表面を被覆するシリコーン化合
物 触媒活性を実質的に抑制するための紫外線遮蔽性複合微
粒子表面の被覆には、変性シリコーン、反応性シリコー
ン、シリコーン変性コポリマー、ジメチルシリコーン、
ジフェニルシリコーン及びメチルフェニルシリコーンか
らなる群から選ばれた1種以上のシリコーン化合物を用
いることができる。本発明においては、被覆処理の容易
さの観点から、かかるシリコーン化合物のなかでは、変
性シリコーン及び反応性シリコーンが好ましい。
【0051】変性シリコーンとしては、例えば、アミノ
変性シリコーン、オキサゾリン変性シリコーン、ポリエ
ーテル変性シリコーン、アルキル・アラルキル変性シリ
コーン、アルキル・アラルキル・ポリエーテル変性シリ
コーン、アルキル・高級アルコール変性シリコーン、ア
ルコール変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、長鎖
アルキル基変性シリコーン、フロロアルキル基変性シリ
コーン、アルキレンオキシド基変性シリコーン等が挙げ
られる。
【0052】反応性シリコーンとしては、例えば、オキ
サゾリン変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アミ
ノ・ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコ
ーン、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーン、カルボ
キシル変性シリコーン、カルボキシル・ポリエーテル変
性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、メルカプ
ト変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、ハイド
ロジェン変性、ビニル変性シリコーン、ヒドロキシ変性
シリコーン等が挙げられる。
【0053】シリコーン変性コポリマーには、例えば、
アルキレンオキシド変性シリコーンコポリマー、シルフ
ェニレン変性シリコーンコポリマー、エチレン変性シリ
コーンコポリマー、α−メチルスチレン変性シリコーン
コポリマー、カルボラン変性シリコーンコポリマー、ビ
スフェノールAカーボネート変性シリコーンコポリマ
ー、アルコキシシラン変性シリコーンコポリマー、ポリ
アルコキシシロキサン等が挙げられる。
【0054】前記シリコーン化合物のうち、特に被覆が
容易なものとしては、オキサゾリン変性シリコーン、ア
ミノ変性シリコーン及びポリエーテル変性シリコーンが
挙げられる。さらに化粧料への応用の場合、皮膚への安
全性及び粒子への被着力の点からオキサゾリン変性シリ
コーン及びアミノ変性シリコーンが好ましく、特にオキ
サゾリン変性シリコーンが好ましい。
【0055】但し、本発明におけるシリコーン化合物に
よる被覆処理法については、原理的には、粒子表面とシ
リコーン化合物との静電気力等を利用した化学吸着、又
は粒子を核としたシリコーン化合物の有核凝縮等を利用
した物理吸着を用いることができる。
【0056】3.紫外線遮蔽性複合微粒子の製造方法 本発明においては、大粒子の屈折率と、小粒子の屈折率
(但し、小粒子が2種以上の無機物質粒子の場合は、平
均屈折率)の大小関係に基づいて、紫外線遮蔽能及び可
視光透明性をコントロールすることにより各種用途に応
じた所望性質を持つ紫外線遮蔽性複合微粒子を得ること
ができる。即ち、紫外線遮蔽性を持った大粒子に、同等
かあるいは異なった屈折率(但し、小粒子が2種以上の
無機物質粒子の場合は、平均屈折率)を持つ小粒子を複
合化させることによって、得られた紫外線遮蔽性複合微
粒子による光散乱を制御することが可能であり、その紫
外線遮蔽能と可視光透明性の割合をコントロールするこ
とができる。
【0057】本発明の紫外線遮蔽性複合微粒子の製造方
法については特に限定されないが、例えば以下に挙げる
方法がある。
【0058】即ち、 (1)製造法1 (a)1次粒子の平均粒径が0.1〜5.0μm、かつ
バンドギャップエネルギーが2.7〜4.0eVである
紫外線遮蔽能を有する無機物質粒子を含有するゾル及び
/又は該無機物質粒子粉末からなる大粒子原料と、平均
粒径が0.001〜0.1μmである無機物質粒子を1
種又は2種以上含有するゾル及び/又は該無機物質粒子
を1種又は2種以上含有する粉末からなる小粒子原料と
の混合物を含有する原料混合液を調製し、該原料混合液
をミキサー処理、ミル処理及び高圧分散処理のうち、1
種又は2種以上の処理を行ない、大粒子及び小粒子から
なる紫外線遮蔽性複合微粒子を含有する分散液を得る工
程、(b)工程(a)で得られる紫外線遮蔽性複合微粒
子に、シリコーン化合物、無機物質等により表面処理を
行なう工程、及び(c)工程(b)で得られる表面処理
された紫外線遮蔽性複合微粒子を乾燥及び/又は粉砕す
る工程。
【0059】以上の工程により紫外線遮蔽性複合微粒子
粉末を得ることができる。
【0060】なお、工程(b)は任意の工程であり、表
面処理を行わない場合は、工程(b)は省略される。
【0061】(2)製造法2 (a)1次粒子の平均粒径が0.1〜5.0μm、かつ
バンドギャップエネルギーが2.7〜4.0eVである
紫外線遮蔽能を有する無機物質粒子を含有するゾル及び
/又は該無機物質粒子粉末からなる大粒子原料と、平均
粒径が0.001〜0.1μmである無機物質粒子を1
種又は2種以上含有するゾル及び/又は該無機物質粒子
を1種又は2種以上含有する粉末からなる小粒子原料と
の混合物を含有する原料混合液を調製し、該原料混合液
に、ミキサー処理、ミル処理及び高圧分散処理のうち、
1種又は2種以上の処理を行ない、大粒子及び小粒子か
らなる紫外線遮蔽性複合微粒子を含有する分散液を得る
工程、(b’)工程(a)で得られる紫外線遮蔽性複合
微粒子を、変性シリコーン、反応シリコーン、シリコー
ン変性コポリマー、ジメチルシリコーン、ジフェニルシ
リコーン及びメチルフェニルシリコーンからなる群より
選ばれた1種以上のシリコーンで被覆する工程、及び
(c’)工程(b’)で得られるシリコーンで被覆され
た紫外線遮蔽性複合微粒子を油剤中に分散させる工程。
【0062】以上の工程により、紫外線遮蔽性複合微粒
子の油分散体を得る。
【0063】又、工程(b’)のシリコーンによる被覆
工程では、エタノール等のシリコーンの良溶媒中に工程
(a)で得られた液相中の複合微粒子を分散させてシリ
コーン被覆する方法が好適である。
【0064】(3)製造法3 (a’)1次粒子の平均粒径が0.1〜5.0μm、か
つバンドギャップエネルギーが2.7〜4.0eVであ
る紫外線遮蔽能を有する無機物質粒子を含有するゾル及
び/又は該無機物質粉末からなる大粒子原料と、平均粒
径が0.001〜0.1μmである無機物質粒子を1種
又は2種以上含有するゾル及び/又は該無機物質粒子を
1種又は2種以上含有する粉末からなる小粒子原料と、
変性シリコーン、反応性シリコーン、シリコーン変性コ
ポリマー、ジメチルシリコーン、ジフェニルシリコー
ン、メチルフェニルシリコーンからなる群より選ばれた
1種以上のシリコーン系分散剤と、シリコーン油を含有
する混合原料液とを、ミキサー処理、ミル処理及び高圧
分散処理のうち、1種又は2種以上の処理を行なうこと
により、紫外線遮蔽性微粒子の分散体を生成させる工
程。
【0065】以上の工程により、紫外線遮蔽性複合微粒
子のシリコーン油分散体を得ることができる。
【0066】前記製造工程の混合原料溶液の調製におい
て、シリコーン油に対して相溶性のよい極性溶剤をさら
に添加してもよい。これにより、無機物質粒子への分散
剤の被覆が行われやすくなる。これは、例えば、極性溶
剤が分散剤の極性部位に作用して、粒子表面への吸着性
を高める等の効果によると推定されるためである。
【0067】さらに、混合原料液をミキサー処理、ミル
処理及び高圧分散処理のうち、1種又は2種以上の処理
中もしくは処理後に極性溶剤を添加してもよい。特に、
その極性溶剤としてエタノールを使用することが、安定
性及び安全性の面からより好ましい。
【0068】又、極性溶剤の分散体中での濃度は30重
量%以下が好ましい。
【0069】又、上記の混合原料液をミキサー処理、ミ
ル処理及び高圧分散処理のうち、1種又は2種以上の処
理を行なう工程において、シリコーン系分散剤を分割添
加してもよい。これにより、前記シリコーン油分散体の
安定性が向上される。シリコーン系分散剤を分割添加す
る方法は、特に限定されないが、無機物質粒子、シリコ
ーン系分散剤及びシリコーン油の組み合わせ、またそれ
らの使用量に応じて、適宜実施すれば良い。また、前記
混合原料液に、ミキサー処理、ミル処理及び高圧分散処
理のうち、1種又は2種以上の処理を行なう工程におい
て、前記混合原料液に、シリコーン系分散剤を連続添加
しても良く、その方法は特に限定されないが、無機物質
粒子、シリコーン系分散剤及びシリコーン油の組み合わ
せ、またそれらの使用量に応じて、適宜実施すれば良
い。
【0070】(4)製造法4 (a’’)製造法2又は製造法3で得られる紫外線遮蔽
性微粒子の分散体を乾燥及び/又は粉砕させる工程、以
上の工程により、紫外線遮蔽性複合微粒子粉末を得る。
【0071】本発明の工程(a)又は(a’)において
は、所望の可視光透明性、紫外線散乱能等を考慮して、
大粒子原料と小粒子原料を選択し、その混合物を含有す
る原料混合液を調製し、該原料混合液に、ミキサー処
理、ミル処理及び高圧分散処理のうち、1種又は2種以
上の処理を行ない、大粒子及び小粒子からなる紫外線遮
蔽性複合微粒子を含有する分散液を得ることができる。
この場合、大粒子原料及び小粒子原料の配合量は、所望
の紫外線遮蔽性複合微粒子の大粒子及び小粒子の割合と
なるよう適宜調整される。
【0072】分散処理には、例えば、ミキサー、ミル、
高圧分散装置等を用いることができる。前記ミキサーと
しては、例えば、ホモミキサー、ホモジナイザー等が挙
げられる。また、前記ミルとしては、例えば、ビーズミ
ル、サンドミル、ボールミル、攪拌ミル等が挙げられ、
前記高圧分散装置としては、マイクロフルイダイザー、
ナノマイザー等が挙げられる。
【0073】また、大粒子及び小粒子の表面は、複合化
を容易にするために、予め他の物質で被覆及び/又はシ
リコーン化合物を用いて被覆してもよい。電荷を発生さ
せ、親水性、疎水性を付与する観点から、例えば、該粒
子の表面を他の物質で被覆する場合には、Al、Si、
Zr、Mg、Zn、Ce、Ti及びFeからなる群より
選ばれた1種以上の酸化物又は水酸化物を用いることが
でき、また、シリコーン化合物を用いて被覆する場合に
は、メチルヒドロジェンポリシロキサン等のシリコーン
化合物によりシリコーン処理することができる。
【0074】得られた原料混合液に、ミキサー処理、ミ
ル処理及び高圧分散処理からなる群より選ばれた1種以
上の処理を行ない、大粒子及び小粒子からなる紫外線遮
蔽性複合微粒子を含有する分散液を得ることができる。
また、前記処理には、ミキサー、ミル、高圧分散装置等
を用いることができるが、前記のものを同様に用いるこ
とができる。
【0075】本発明において使用され得るシリコーン化
合物としては、前記紫外線遮蔽性複合微粒子の原料の項
で挙げた、変性シリコーン、反応性シリコーン、シリコ
ーン変性コポリマー、ジメチルシリコーン、ジフェニル
シリコーン、メチルフェニルシリコーンからなる群より
選ばれた1種以上のシリコーン化合物が同様に挙げられ
る。
【0076】紫外線遮蔽性複合微粒子を乾燥及び/又は
粉砕する工程においては、乾燥法、粉砕法は特に限定さ
れないが、例えば、乾燥法では、熱風乾燥、トッピング
等が、粉砕法では、サンドミル、ブレード式ミル等が用
いられる。粉砕後得られた紫外線遮蔽性複合微粒子を、
分級して粒子径を揃えて使用してもよい。
【0077】シリコーン被覆された紫外線遮蔽性複合微
粒子を油剤中に分散させる工程においては、油剤中への
分散法は特に限定されないが、例えば、シリコーン被覆
された紫外線遮蔽性複合微粒子を含む分散液と油剤とを
混合させた後、分散液がエタノール等の揮発性である場
合はトッピング等を用いることができ、分散液が揮発性
でない場合は通常の溶媒置換法等を用いることができ
る。
【0078】前記したように、製造された本発明の紫外
線遮蔽性複合微粒子は、1次粒子の平均粒径が0.1〜
5.0μmであり、かつバンドギャップエネルギーが
2.7〜4.0eVである紫外線遮蔽能を有する無機物
質粒子である大粒子と、1次粒子の平均粒径が0.00
1〜0.1μmである1種又は2種以上の無機物質粒子
からなる小粒子との複合微粒子であるため、紫外線遮蔽
性複合微粒子の粒径が0.1μm以上であり、紫外線遮
蔽性複合微粒子が超微粒子化されることにより、粒子本
来の紫外線散乱能が損なわれることがないため、結果と
して微粒子単位重量当たりの紫外線遮蔽能が増加する。
このように、本発明によれば、紫外線遮蔽性微粒子が超
微粒子化されることにより、粒子本来の紫外線散乱能が
損なわれるという特開平9−100112号公報におけ
る問題点を解決することが可能となった。
【0079】4.紫外線遮蔽性複合微粒子の紫外線遮蔽
能及び可視光透明性のコントロール方法 本発明の紫外線遮蔽性複合微粒子の紫外線遮蔽能及び可
視光透明性のコントロール方法によれば、紫外線遮蔽性
複合微粒子の紫外線遮蔽能及び可視光透明性は、大粒
子:1次粒子の平均粒径が0.1〜5.0μmであり、
かつバンドギャップエネルギーが2.7〜4.0eVで
ある紫外線遮蔽能を有する無機物質粒子、及び小粒子:
1次粒子の平均粒径が0.001〜0.1μmである1
種又は2種以上の無機物質粒子とを用いて、前記紫外線
遮蔽性複合微粒子の製造方法の場合と同様に、大粒子の
屈折率と小粒子の屈折率(但し、小粒子が2種以上の無
機物質粒子の場合は、平均屈折率)の大小関係に基づき
複合化させることにより、紫外線遮蔽性複合微粒子の紫
外線遮蔽能及び可視光透明性をコントロールすることが
できる。
【0080】なお、小粒子及び紫外線遮蔽性複合微粒子
の平均屈折率は、各成分の屈折率と体積分率の積の総和
として計算される。
【0081】
【実施例】以下に本発明の実施例及び比較例を示し、本
発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施
例等によって限定されるものではない。
【0082】実施例1 小粒子としてシリカゾル(日産化学工業(株)製、ST
−C、SiO2 濃度:20.5重量%、平均1次粒子
径:0.01μm、屈折率:1.46)268.3g、
酸化チタン超微粒子(石原産業(株)製、TTO−51
(A)、ルチル型、平均1次粒子径:0.01μm、屈
折率:2.71)50.0gを用い、これを水と混合し
て1Lとし、小粒子原料の混合液とした。即ち、当該混
合液のSiO2 及びTiO2 の濃度はそれぞれ0.92
mol/L及び0.62mol/Lであり、当該混合液
は小粒子混合物を11重量%含有するものである。
【0083】調製した混合液を、ダイノーミル(Wil
ly A Bachofen AG製、KDL−PIL
OT)を用いて、翼回転数3600r.p.m.、溶
液:メディア比600cc:1200cc、8分間×3
回の分散処理を行い、SiO2/TiO2 超微粒子凝集
体の分散液を生成させた。
【0084】上記分散液188g、エタノール1400
g、テトラエトキシシラン32.6gを混合し、ウォー
ターバス中にて50℃に昇温した。この分散液の温度が
50℃に到達した後、1N塩酸1.56mlとエタノー
ル600gとの混合溶液を滴下した。滴下後、50℃で
2時間30分反応を行い、SiO2 /TiO2 複合微粒
子の表面に、さらにSiO2 超微粒子を付着させた。以
上の工程は全て溶液を撹拌しつつ行った。小粒子として
のSiO2 /TiO2 複合微粒子の平均屈折率は1.7
4であった。
【0085】この分散液をロータリーエバポレーターを
用いて、エタノール、及び水を75℃でトッピングして
約10倍に濃縮し濃縮液を得、これを小粒子原料とし
た。次いで、微粒子酸化亜鉛(花王(株)製、D−FZ
N、平均1次粒子径:0.25μm、屈折率:1.9
9)60.0gを大粒子として用いて、これをエタノー
ル478.8gと混合し大粒子原料の混合液(1.20
mol/L)とした。該大粒子原料の混合液は、ミキサ
ー((株)日本精機製作所製、バイオミキサー)を用い
て30分間の分散処理を行い、前記小粒子原料を滴下し
て加え、さらにミキサーで30分間の分散処理を行い原
料混合液を得た。その後、135℃で乾燥させ、生成し
た粉体をミル(IKA社製、A10)で5分×2回粉砕
し、SiO2/TiO2 によって複合化された酸化亜鉛
からなる紫外線遮蔽性複合微粒子を得た。
【0086】生成した紫外線遮蔽性複合微粒子を水に分
散させ、レーザードップラー型粒子径測定器(堀場製作
所(株)製、LA−910)を用いて、紫外線遮蔽性複
合微粒子の粒子径測定を行ったところ、平均粒径(体積
基準)は0.8μmであった。
【0087】乾燥・粉砕後の紫外線遮蔽性複合微粒子は
白色で、走査型電子顕微鏡を用いて観察した結果、Si
2 /TiO2 の小粒子及びZnOの大粒子からなり、
平均粒径は0.8μmであった。
【0088】上記の紫外線遮蔽性複合微粒子の屈折率は
原料混合液の組成比から計算して、1.86である。
【0089】実施例2 チタニアゾル(多木化学(株)製、チタニアゾル、Ti
2 濃度:6重量%、平均1次粒子径:0.01μm、
屈折率:2.52)41.7gを小粒子として、微粒子
酸化亜鉛(実施例1に同じ)15.0gを大粒子として
用い、これをエタノール243.3gと混合し原料混合
液とした。即ち、当該原料混合液のTiO2 及びZnO
の濃度はそれぞれ0.09mol/L及び0.52mo
l/Lであり、当該原料混合液は大粒子及び小粒子から
なる混合物を5.8重量%含有するものである。
【0090】調製した原料混合液をホモジナイザー(特
殊機化(株)製、T.K.−ROBOMICS)を用い
て、12000r.p.m.の分散処理を行った。その
後、135℃で乾燥させ、生成した粉体をミル(実施例
1に同じ)で5分×2回粉砕し、TiO2 によって複合
化された酸化亜鉛からなる紫外線遮蔽性複合微粒子を得
た。
【0091】生成した紫外線遮蔽性複合微粒子を水に分
散させ、レーザードップラー型粒子径測定器(実施例1
に同じ)を用いて、紫外線遮蔽性複合微粒子の粒子径測
定を行ったところ、平均粒径(体積基準)は0.8μm
であった。
【0092】乾燥・粉砕後の紫外線遮蔽性複合微粒子は
白色で、走査型電子顕微鏡を用いて観察した結果、Ti
2 の小粒子及びZnOの大粒子からなり、平均粒径は
0.8μmであった。
【0093】上記の紫外線遮蔽性複合微粒子の屈折率は
原料混合液の組成比から計算して、2.13である。
【0094】実施例3 シリカゾル(実施例1に同じ)10.0g、チタニアゾ
ル(実施例2に同じ)41.7g、微粒子酸化亜鉛(実
施例1に同じ)15.0gをエタノール233.3gと
混合し原料混合液とした。(即ち、当該原料液のSiO
2 、TiO2 及びZnOの濃度はそれぞれ0.10mo
l/L、0.09mol/L及び0.53mol/Lで
あり、当該原料混合液は大粒子及び小粒子からなる混合
物を6.5重量%含有するものである。)小粒子として
のSiO2 /TiO2 の平均屈折率は1.98であっ
た。
【0095】調製した原料混合液をホモジナイザー(実
施例2に同じ)を用いて、12000r.p.m.の分
散処理を行った。その後、135℃で乾燥させ、生成し
た粉体をミル(実施例1に同じ)で5分×2回粉砕し、
SiO2 、TiO2 によって複合化された酸化亜鉛から
なる紫外線遮蔽性複合微粒子を得た。
【0096】生成した紫外線遮蔽性複合微粒子を水に分
散させ、レーザードップラー型粒子径測定器(堀場製作
所(株)製、LA−910)を用いて、紫外線遮蔽性複
合微粒子の粒子径測定を行ったところ、平均粒径(体積
基準)は0.8μmであった。
【0097】乾燥・粉砕後の紫外線遮蔽性複合微粒子は
白色で、走査型電子顕微鏡を用いて観察した結果、Ti
2 /SiO2 の小粒子及びZnOの大粒子からなり、
平均粒径は0.8μmであった。
【0098】上記の紫外線遮蔽性複合微粒子の屈折率は
原料混合液の組成比から計算して、2.0である。
【0099】実施例4 大粒子として微粒子酸化亜鉛(花王(株)製、D−FZ
N、平均1次粒子径:0.25μm、屈折率:1.9
9)75.0g、小粒子としてシリカゾル(日産化学工
業(株)製、ST−C、SiO2 濃度:20.5重量
%、平均1次粒子径:0.01μm、屈折率:1.4
6)61.0g及び酸化チタン超微粒子(石原産業
(株)製、TTO−51(A)、ルチル型、平均1次粒
子径:0.01μm、屈折率:2.71)12.5gを
用い、これを水を混合して1Lとし、原料液とした。
(即ち、当該原料液のZnO、SiO2 及びTiO2
濃度はそれぞれ0.92mol/L、0.21mol/
L及び0.16mol/Lであり、当該原料液は粒子混
合物を約10重量%含有するものである。)調製した原
料液を、ダイノーミル(Willy A Bachof
en AG製、KDL−PILOT)を用いて、翼回転
数3350r.p.m.、メディア充填率85%、8分
間×3回の分散処理を行い、ZnO/TiO2 /SiO
2 複合微粒子の分散液を生成させた。
【0100】上記分散液200gをロータリーエバポレ
ーターを用いて水をトッピングして約3倍に濃縮した
後、ホモジナイザーで攪拌しつつ、エタノール2000
gに滴下・分散させ、更に超音波分散器を用いて60分
間分散させた。
【0101】この分散液をホモジナイザーで攪拌しつ
つ、オキサゾリン変性シリコーン(花王(株)製、OS
−96S)3.0gをエタノール372gに溶解させた
溶液を滴下、混合し、ZnO/TiO2 /SiO2 複合
微粒子の被覆処理を行った。
【0102】この分散液をロータリーエバポレーターを
用いて、エタノール、及び水を75℃でトッピングして
約5倍に濃縮した。この分散液を攪拌しつつ、シリコー
ンオイル(東レ・ダウコーニング(株)製、SH24
4、屈折率:1.39)400gを滴下、混合した後、
ロータリーエバポレーターを用いて、エタノール、及び
水を80℃でトッピングした。
【0103】この分散液をホモジナイザーを用いて、9
000r.p.m.で15分間分散を行った後、再びロ
ータリーエバポレーターを用いて、エタノール、水、及
びシリコーンオイルを80℃でトッピングして複合微粒
子をシリコーンオイル中に転相、分散し、複合微粒子分
散シリコーンオイル(複合微粒子含有率:25重量%)
を得た。
【0104】上記生成粒子をシリコーンオイルにて希釈
し、遠心沈降式粒度分布測定器(堀場製作所(株)製、
CAPA−700)を用いて、複合微粒子の粒子径測定
を行ったところ、平均粒径は0.3μmであった。
【0105】透過型電子顕微鏡を用いて観察した結果、
TiO2 /SiO2 の小粒子及びZnOの大粒子が複合
化し、均一に分散・ 固定化された構造をとっていること
がわかり、オキサゾリン変性シリコーンにより被覆され
ているものと考えられた。平均粒径は0.3μmであっ
た。
【0106】上記複合微粒子の屈折率は原料液の組成比
から計算して、約1.96である。
【0107】実施例5 大粒子として微粒子酸化亜鉛(花王(株)製、D−FZ
N、平均1次粒子径:0.25μm、屈折率:1.9
9)171.4g、小粒子として酸化チタン超微粒子
(実施例4に同じ)28.6gを用い、これをオキサゾ
リン変性シリコーン(花王(株)製、OS−88)2
0.0gをエタノール46.7gに溶解させた溶液及び
シリコーンオイル(実施例4に同じ)700gに加え、
原料液とした。(即ち、当該原料液のZnO及びTiO
2 の濃度はそれぞれ17.7重量%及び2.96重量%
であり、当該原料液は粒子混合物を20重量%含有する
ものである。)
【0108】調製した原料液を、ダイノーミル(Wil
ly A Bachofen AG製、KDL−PIL
OT)を用いて、翼回転数3350r.p.m.、メデ
ィア充填率85%、8分間×1回の分散処理を行った
後、更に、オキサゾリン変性シリコーン(上記に同じ)
10gをエタノール23.3gに溶解させた溶液を、攪
拌しつつ滴下して、ZnO/TiO2 複合微粒子の分散
液を生成させた。
【0109】上記生成粒子をシリコーンオイルにて希釈
し、遠心沈降式粒度分布測定器(堀場製作所(株)製、
CAPA−700)を用いて、複合微粒子の粒子径測定
を行ったところ、平均粒径は0.3μmであった。
【0110】透過型電子顕微鏡を用いて観察した結果、
TiO2 の小粒子及びZnOの大粒子が複合化し、均一
に分散・ 固定化された構造をとっていることがわかり、
オキサゾリン変性シリコーンにより被覆されているもの
と考えられた。平均粒径は0.3μmであった。
【0111】上記複合微粒子の屈折率は原料液の組成比
から計算して、約2.13である。
【0112】比較例1 微粒子酸化亜鉛(花王(株)製、D−FZN、平均1次
粒子径:0.25μm、屈折率:1.99)30.0g
をミル(IKA社製:A10)で5分×2回粉砕した。
【0113】粉砕後の粒子を水に分散させ、レーザード
ップラー型粒子径測定器(堀場製作所(株)製、LA−
910)を用いて、微粒子の粒子径測定を行ったとこ
ろ、平均粒径(体積基準)は0.7μmであった。
【0114】粉砕後の微粒子は白色で、走査型電子顕微
鏡を用いて観察した結果、平均粒径は0.7μmであっ
た。
【0115】上記微粒子の屈折率は、1.99である。
【0116】実施例1にて生成した紫外線遮蔽性複合微
粒子10.0mgを90重量%グリセリン水溶液10g
中に分散させた溶液と、比較例1にて生成した粒子6.
7mgを90重量%グリセリン水溶液10g中に分散さ
せた溶液の光透過率を、紫外/可視分光光度計(島津製
作所(株)製、UV−160A)を用いて光路長1mm
のセルで測定した。結果を図1に示す。比較例1と比べ
て実施例1の紫外線遮蔽性複合微粒子はTiO2 による
紫外線遮蔽能の増加と、平均屈折率の低い小粒子を複合
化したことによる可視光透明性の向上が見られる。
【0117】実施例2にて生成した紫外線遮蔽性複合微
粒子7.0mgを90重量%グリセリン水溶液10g中
に分散させた溶液と、比較例1にて生成した粒子6.7
mgを90重量%グリセリン水溶液10g中に分散させ
た溶液の光透過率を、紫外/可視分光光度計(島津製作
所(株)製、UV−160A)を用いて光路長1mmの
セルで測定した。結果を図2に示す。比較例1と比べて
実施例2の紫外線遮蔽性複合微粒子はTiO2 による紫
外線吸収能の増加と、屈折率の高いTiO2 を複合化し
たことによる紫外線散乱能の増加が見られる。
【0118】実施例3にて生成した紫外線遮蔽性複合微
粒子8.0mgを90重量%グリセリン水溶液10g中
に分散させた溶液と、比較例1にて生成した粒子6.7
mgを90重量%グリセリン水溶液10g中に分散させ
た溶液の光透過率を、紫外/可視分光光度計(島津製作
所(株)製、UV−160A)を用いて光路長1mmの
セルで測定した。結果を図3に示す。比較例1と比べて
実施例3の紫外線遮蔽性複合微粒子は、小粒子の平均屈
折率が大粒子の屈折率とほぼ等しいため、可視光透明性
及び紫外線散乱能はほぼ変わらず、TiO2 による紫外
線吸収能の増加のみが見られる。
【0119】実施例4にて生成した紫外線遮蔽性複合微
粒子のシリコーン油分散体を、シリコーンオイル(東レ
・ダウコーニング(株)製、SH244)にて、それぞ
れ300倍に希釈した溶液の光透過率を、紫外/可視分
光光度計(島津製作所(株)製、UV−160A)を用
いて光路長1mmのセルで測定した結果を図4に示す。
本文中の製造法2によって、実施例1〜3で得られた紫
外線遮蔽性複合微粒子と同様の光学特性を有する紫外線
遮蔽性複合微粒子の油分散体が得られた。
【0120】実施例5にて生成した紫外線遮蔽性複合微
粒子のシリコーン油分散体を、シリコーンオイル(東レ
・ダウコーニング(株)製、SH244)にて、それぞ
れ300倍に希釈した溶液の光透過率を、紫外/可視分
光光度計(島津製作所(株)製、UV−160A)を用
いて光路長1mmのセルで測定した結果を図5に示す。
本文中の製造法3によって、実施例1〜3で得られた紫
外線遮蔽性複合微粒子と同様の光学特性を有する紫外線
遮蔽性複合微粒子の油分散体が得られた。
【0121】
【発明の効果】本発明の紫外線遮蔽性複合微粒子は、
0.1〜5.0μmの大粒子に光散乱の影響の少ない
0.001〜0.1μmの無機物質粒子からなる小粒子
を複合化させたものである。
【0122】本発明では大粒子の屈折率と、小粒子の屈
折率、そしてその配合比を決めることにより、任意の屈
折率にコントロールすることができ、既知の屈折率の物
質を目的の屈折率になるような量比で複合化することに
より、従来コントロールが困難であった屈折率を自由に
コントロールすることにより、粒径コントロールと併せ
て紫外線の散乱と可視光の散乱のバランスを容易に、そ
して広範囲にコントロールでき、目的の用途に応じた光
学性能を発現させることができる。
【0123】さらにこの紫外線遮蔽性複合微粒子は粒子
表面を変性シリコーン又は反応性シリコーンで被覆する
ことにより、無機物質粒子が有する触媒活性を実質的に
抑制することができる。被覆された紫外線遮蔽性複合微
粒子は粒子のまわりにある物質が紫外線遮蔽能を有する
無機物質粒子が有する触媒活性又は光触媒活性により自
己劣化することがなく、安全性、安定性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1で得られた紫外線遮蔽性複合
微粒子及び比較例1で得られた酸化亜鉛微粒子の紫外可
視分光光度計による光透過率の測定結果を示すチャート
図である。
【図2】図2は、実施例2で得られた紫外線遮蔽性複合
微粒子及び比較例1で得られた酸化亜鉛微粒子の紫外可
視分光光度計による光透過率の測定結果を示すチャート
図である。
【図3】図3は、実施例3で得られた紫外線遮蔽性複合
微粒子及び比較例1で得られた酸化亜鉛微粒子の紫外可
視分光光度計による光透過率の測定結果を示すチャート
図である。
【図4】図4は、実施例4で得られた紫外線遮蔽性複合
微粒子の紫外可視分光光度計による光透過率の測定結果
を示すチャート図である。
【図5】図5は、実施例5で得られた紫外線遮蔽性複合
微粒子の紫外可視分光光度計による光透過率の測定結果
を示すチャート図である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大粒子:1次粒子の平均粒径が0.1〜
    5.0μmであり、かつバンドギャップエネルギーが
    2.7〜4.0eVである紫外線遮蔽能を有する無機物
    質粒子、及び 小粒子:1次粒子の平均粒径が0.001〜0.1μm
    である1種又は2種以上の無機物質粒子、とが複合化し
    た複合微粒子からなる紫外線遮蔽性複合微粒子。
  2. 【請求項2】 大粒子の屈折率と比較して小粒子の屈折
    率(但し、小粒子が2種以上の無機物質粒子の場合は、
    平均屈折率)が小さく、大粒子の屈折率と小粒子の屈折
    率との差が0.1以上である請求項1記載の紫外線遮蔽
    性複合微粒子。
  3. 【請求項3】 大粒子の屈折率と比較して小粒子の屈折
    率(但し、小粒子が2種以上の無機物質粒子の場合は、
    平均屈折率)が大きく、大粒子の屈折率と小粒子の屈折
    率との差が0.1以上である請求項1記載の紫外線遮蔽
    性複合微粒子。
  4. 【請求項4】 大粒子の屈折率と小粒子の屈折率(但
    し、小粒子が2種以上の無機物質粒子の場合は、平均屈
    折率)との差が±0.1未満である請求項1記載の紫外
    線遮蔽性複合微粒子。
  5. 【請求項5】 小粒子のうち少なくとも1種が紫外線吸
    収能を有する無機物質である請求項1〜4いずれか記載
    の紫外線遮蔽性複合微粒子。
  6. 【請求項6】 該複合微粒子表面が変性シリコーン及び
    /又は反応性シリコーンからなるシリコーン化合物で被
    覆されている構造を持ち、触媒活性を実質的に持たない
    ものである請求項1〜5いずれか記載の紫外線遮蔽性複
    合微粒子。
  7. 【請求項7】 大粒子:1次粒子の平均粒径が0.1〜
    5.0μmであり、かつバンドギャップエネルギーが
    2.7〜4.0eVである紫外線遮蔽能を有する無機物
    質粒子、及び 小粒子:1次粒子の平均粒径が0.001〜0.1μm
    である1種又は2種以上の無機物質粒子、とを用いて複
    合化させることを特徴とする、前記大粒子と小粒子とが
    複合化した複合微粒子からなる紫外線遮蔽性複合微粒子
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 大粒子:1次粒子の平均粒径が0.1〜
    5.0μmであり、かつバンドギャップエネルギーが
    2.7〜4.0eVである紫外線遮蔽能を有する無機物
    質粒子、及び 小粒子:1次粒子の平均粒径が0.001〜0.1μm
    である1種又は2種以上の無機物質粒子、とを用いて大
    粒子の屈折率と小粒子の屈折率(但し、小粒子が2種以
    上の無機物質粒子の場合は、平均屈折率)の大小関係に
    基づき複合化させることを特徴とする、紫外線遮蔽性複
    合微粒子の紫外線遮蔽能及び可視光透明性のコントロー
    ル方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003022954A1 (en) * 2001-09-10 2003-03-20 Japan Represented By President Of Tokyo Institute Of Technology Method for producing ultraviolet absorbing material
JP2004182729A (ja) * 2002-11-21 2004-07-02 Toshiki Pigment Kk 表面処理粉体の製造方法、アミノ変性シリコーン処理粉体及び化粧料
WO2004089316A1 (ja) * 2003-04-08 2004-10-21 Fujikasei Co., Ltd. 化粧料用顔料及びそれを含有する化粧料
WO2008004694A1 (fr) * 2006-07-07 2008-01-10 Shiseido Company Ltd. Agrégat pulvérulent oxyde de titane-oxyde de zinc et son procédé de fabrication
JP2011506451A (ja) * 2007-12-12 2011-03-03 エイボン プロダクツ インコーポレーテッド 加工されたマクロ粒子を使用して皮膚の外観を改善する方法

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