JPH11130682A - 血液凝固第xiii因子の熱安定化法 - Google Patents
血液凝固第xiii因子の熱安定化法Info
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- JPH11130682A JPH11130682A JP9312814A JP31281497A JPH11130682A JP H11130682 A JPH11130682 A JP H11130682A JP 9312814 A JP9312814 A JP 9312814A JP 31281497 A JP31281497 A JP 31281497A JP H11130682 A JPH11130682 A JP H11130682A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】血液凝固第XIII因子(以下、XIII因子とい
う。)含有溶液の加熱によるウイルス不活化処理でグリ
シンと蔗糖を用いる従来法においては得られた溶液に濁
りが生ずる。 【解決手段】本発明においては、XIII因子含有溶液にセ
リンと糖類、特に蔗糖を一定濃度で存在させることによ
り、XIII因子の活性残存率を従来法より低下させること
なく、濁りの発生を減少させることに成功した。
う。)含有溶液の加熱によるウイルス不活化処理でグリ
シンと蔗糖を用いる従来法においては得られた溶液に濁
りが生ずる。 【解決手段】本発明においては、XIII因子含有溶液にセ
リンと糖類、特に蔗糖を一定濃度で存在させることによ
り、XIII因子の活性残存率を従来法より低下させること
なく、濁りの発生を減少させることに成功した。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血液凝固第XIII
因子含有溶液の加熱によるウイルス不活化処理における
第XIII因子の熱安定化法に関する。
因子含有溶液の加熱によるウイルス不活化処理における
第XIII因子の熱安定化法に関する。
【0002】
【従来の技術】血液凝固第XIII因子(以下、単にXIII
因子という。)は、活性化されるとトランスグルタミナ
ーゼに転換され、基質蛋白質間にイソペプチド結合を作
ることにより基質を物理的、化学的に強固な形に変える
酵素前駆物質である。XIII因子は血中のみならず、種
々の組織や体液中に広く分布しており、単にフィブリン
だけでなく、組織蛋白質であるコラーゲン、細胞性フィ
ブロネクチン、血漿フィブロネクチン、α2−プラスミ
ン・インヒビターなどを基質として、これらの分子間に
堅固なイソペプチド結合を作ることが知られている。こ
のXIII因子は、血漿中では活性基をもつa鎖と担体蛋
白としてのb鎖の2種類の蛋白質がそれぞれ2本ずつ結
合したa2b2の形で存在するが、組織ではa鎖のみが2
本結びついたa2の形で分布している。1960年、Duc
kert らは出血に加えて創傷治癒遅延を示す男児の血液
を分析したところ、XIII因子が欠損していることをつ
きとめた。そしてそのXIII因子の欠損によりフィブリ
ンの安定化が障害されて出血と創傷治癒不全につながる
ものと考え、第XIII因子欠損症の存在を指摘した。
因子という。)は、活性化されるとトランスグルタミナ
ーゼに転換され、基質蛋白質間にイソペプチド結合を作
ることにより基質を物理的、化学的に強固な形に変える
酵素前駆物質である。XIII因子は血中のみならず、種
々の組織や体液中に広く分布しており、単にフィブリン
だけでなく、組織蛋白質であるコラーゲン、細胞性フィ
ブロネクチン、血漿フィブロネクチン、α2−プラスミ
ン・インヒビターなどを基質として、これらの分子間に
堅固なイソペプチド結合を作ることが知られている。こ
のXIII因子は、血漿中では活性基をもつa鎖と担体蛋
白としてのb鎖の2種類の蛋白質がそれぞれ2本ずつ結
合したa2b2の形で存在するが、組織ではa鎖のみが2
本結びついたa2の形で分布している。1960年、Duc
kert らは出血に加えて創傷治癒遅延を示す男児の血液
を分析したところ、XIII因子が欠損していることをつ
きとめた。そしてそのXIII因子の欠損によりフィブリ
ンの安定化が障害されて出血と創傷治癒不全につながる
ものと考え、第XIII因子欠損症の存在を指摘した。
【0003】この第XIII因子欠損症の患者は常染色体
性遺伝形式をとり、男女両性に出現するが、臨床症状の
重篤度はさまざまである。ホモ接合体では生後数日以内
に臍帯出血として現れることが多い。また、成長するに
伴い打撲、切創などの外傷により容易に皮下出血が出現
し、血腫の形成や出血障害も観察される。このような出
血症状が外傷後しばらくして出現することも本症に特徴
的とされ、したがって傷の治りも遅延することが多い。
また外傷に伴う頭蓋内出血をみる頻度は比較的高く、し
ばしばこれが死因となる。XIII因子は血漿中に約1m
g/dlの濃度で存在する。先天性第XIII因子欠損症
の出血に対しては0.5〜2%のレベルで十分奏功する
ので従来から血漿輸注が試みられてきているが、創傷治
癒不全に対してはさらに高い値が必要とされる場合があ
る。そして、HBウイルス、HIVウイルスなどのウイ
ルス感染を予防するため60℃、10時間の液状加熱処
理をしたXIII因子濃縮製剤が既に市販されている。
性遺伝形式をとり、男女両性に出現するが、臨床症状の
重篤度はさまざまである。ホモ接合体では生後数日以内
に臍帯出血として現れることが多い。また、成長するに
伴い打撲、切創などの外傷により容易に皮下出血が出現
し、血腫の形成や出血障害も観察される。このような出
血症状が外傷後しばらくして出現することも本症に特徴
的とされ、したがって傷の治りも遅延することが多い。
また外傷に伴う頭蓋内出血をみる頻度は比較的高く、し
ばしばこれが死因となる。XIII因子は血漿中に約1m
g/dlの濃度で存在する。先天性第XIII因子欠損症
の出血に対しては0.5〜2%のレベルで十分奏功する
ので従来から血漿輸注が試みられてきているが、創傷治
癒不全に対してはさらに高い値が必要とされる場合があ
る。そして、HBウイルス、HIVウイルスなどのウイ
ルス感染を予防するため60℃、10時間の液状加熱処
理をしたXIII因子濃縮製剤が既に市販されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしこの液状加熱処
理は、XIII因子の大幅な収率低下を伴う。そこでこれ
までこの加熱処理によるXIII因子の収率低下を防ぐた
め種々の提案がなされてきた。それらの方法の中には、
たとえばXIII因子含有溶液にグリシン、アラニン等の
アミノ酸、グルコース、マンニトールなどの糖類を10
〜20重量%添加する方法(特開昭53−59018
号)、グリシンと蔗糖を併用する方法(特開昭55−1
45615号)などが知られている。しかしグリシンと
蔗糖の存在下で加熱処理を行った場合、XIII因子の熱
分解はかなり防止しうるが、得られたXIII因子含有液
が濁るという現象が見られる。この濁りの本体が何であ
るかについてはまだ充分には解明されていないが、濁り
が生ずるということは、少なくともその中の何かの物質
が凝集していることを示すものであり、この濁りを除去
するための濾過、精製処理工程においてXIII因子の収
率の低下は免れない。
理は、XIII因子の大幅な収率低下を伴う。そこでこれ
までこの加熱処理によるXIII因子の収率低下を防ぐた
め種々の提案がなされてきた。それらの方法の中には、
たとえばXIII因子含有溶液にグリシン、アラニン等の
アミノ酸、グルコース、マンニトールなどの糖類を10
〜20重量%添加する方法(特開昭53−59018
号)、グリシンと蔗糖を併用する方法(特開昭55−1
45615号)などが知られている。しかしグリシンと
蔗糖の存在下で加熱処理を行った場合、XIII因子の熱
分解はかなり防止しうるが、得られたXIII因子含有液
が濁るという現象が見られる。この濁りの本体が何であ
るかについてはまだ充分には解明されていないが、濁り
が生ずるということは、少なくともその中の何かの物質
が凝集していることを示すものであり、この濁りを除去
するための濾過、精製処理工程においてXIII因子の収
率の低下は免れない。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者は、XII
I因子含有溶液の加熱処理工程に数多くの化合物の単独
および混合物を安定化剤として用いた実験を繰り返し、
そのウイルス不活化度、XIII因子の熱安定化度ならび
に得られた溶液の性状等について種々検討を重ねた結
果、従来安定化剤として用いられることのなかったセリ
ンを糖類等と共に溶液中に存在させると、ウイルスの不
活化度は勿論のこと、XIII因子の熱安定化度は従来法
に比して全く遜色なく、しかも得られたXIII因子含有
液の濁りが減少することを知見した。そしてこの新知見
に基づいて更に研究を重ねて本発明を完成した。すなわ
ち、本発明は、(1)血液凝固第XIII因子含有溶液の
加熱によるウイルス不活化処理に際し、溶液中にセリ
ン、ならびに単糖類、寡糖類および糖アルコールからな
る糖類の少なくとも1種を存在させることを特徴とする
第XIII因子の熱安定化法、(2)セリンを0.5〜3.
5モル/リットル、ならびに糖類の少なくとも1種を2
0〜60w/w%存在させる前記(1)記載の方法、
(3)さらにグリシンを0.3モル/リットル以上で且
つセリンとの合計が3.5モル/リットル以下となる範
囲で存在させる前記(2)記載の方法、(4)糖類が蔗
糖である前記(1)、(2)または(3)記載の方法、
および(5)セリンを0.7〜2.5モル/リットル、グ
リシンを0.3〜1.0モル/リットルおよび蔗糖を20
〜50w/w%存在させる前記(3)記載の方法、であ
る。
I因子含有溶液の加熱処理工程に数多くの化合物の単独
および混合物を安定化剤として用いた実験を繰り返し、
そのウイルス不活化度、XIII因子の熱安定化度ならび
に得られた溶液の性状等について種々検討を重ねた結
果、従来安定化剤として用いられることのなかったセリ
ンを糖類等と共に溶液中に存在させると、ウイルスの不
活化度は勿論のこと、XIII因子の熱安定化度は従来法
に比して全く遜色なく、しかも得られたXIII因子含有
液の濁りが減少することを知見した。そしてこの新知見
に基づいて更に研究を重ねて本発明を完成した。すなわ
ち、本発明は、(1)血液凝固第XIII因子含有溶液の
加熱によるウイルス不活化処理に際し、溶液中にセリ
ン、ならびに単糖類、寡糖類および糖アルコールからな
る糖類の少なくとも1種を存在させることを特徴とする
第XIII因子の熱安定化法、(2)セリンを0.5〜3.
5モル/リットル、ならびに糖類の少なくとも1種を2
0〜60w/w%存在させる前記(1)記載の方法、
(3)さらにグリシンを0.3モル/リットル以上で且
つセリンとの合計が3.5モル/リットル以下となる範
囲で存在させる前記(2)記載の方法、(4)糖類が蔗
糖である前記(1)、(2)または(3)記載の方法、
および(5)セリンを0.7〜2.5モル/リットル、グ
リシンを0.3〜1.0モル/リットルおよび蔗糖を20
〜50w/w%存在させる前記(3)記載の方法、であ
る。
【0006】
【発明の実施の形態】ウイルス不活化のための加熱処理
の対象となるXIII因子含有溶液は、通常ヒトの血漿又
は胎盤由来のXIII因子含有液である。血漿由来の加熱
処理用溶液を調製するには、たとえば次の方法がある。
コーン低温エタノール分画の画分を採取し、0.02M
クエン酸緩衝液(pH7.5)を加え、ミキサーで画分
を十分に撹拌して溶解させる。この溶液を遠心分離器に
より20℃で15分間遠心分離し上清を得る。この上清
に、1Mクエン酸緩衝液(pH7.5)をゆっくりと加
え、撹拌後20℃で1時間放置する。この溶液を再び遠
心分離器にて10℃で15分間遠心分離して沈澱物を採
取する。この沈澱物を0.02Mクエン酸緩衝液(pH
7.5)に溶解し、さらに56℃、3分間加熱処理して
熱変性物を分離し上清を得る。このようにして得られた
溶液は本発明の処理対象のXIII因子含有溶液の1つで
ある。胎盤由来のXIII因子含有溶液はたとえば次の方
法により得ることができる。まず凍結したヒトの胎盤を
0.5%食塩溶液を用いて抽出し、組織を含まない上澄
みからアクリジン塩基を用いてXIII因子を析出させ
る。2.5%食塩水を用いてアクリジン付加物を溶解さ
せ、セチルピリジニウムクロリドによりXIII因子含有
溶液から酸性の付随蛋白と脂質を除く。再度アクリジン
塩基を用いてXIII因子を析出させ、2.5%食塩水で抽
出し、抽出液を硫安を用いる沈殿およびゲル濾過により
精製する。XIII因子活性フラクションを合し、濾過ま
たは中性塩沈澱法によりさらに濃縮してXIII因子濃縮
物とする。
の対象となるXIII因子含有溶液は、通常ヒトの血漿又
は胎盤由来のXIII因子含有液である。血漿由来の加熱
処理用溶液を調製するには、たとえば次の方法がある。
コーン低温エタノール分画の画分を採取し、0.02M
クエン酸緩衝液(pH7.5)を加え、ミキサーで画分
を十分に撹拌して溶解させる。この溶液を遠心分離器に
より20℃で15分間遠心分離し上清を得る。この上清
に、1Mクエン酸緩衝液(pH7.5)をゆっくりと加
え、撹拌後20℃で1時間放置する。この溶液を再び遠
心分離器にて10℃で15分間遠心分離して沈澱物を採
取する。この沈澱物を0.02Mクエン酸緩衝液(pH
7.5)に溶解し、さらに56℃、3分間加熱処理して
熱変性物を分離し上清を得る。このようにして得られた
溶液は本発明の処理対象のXIII因子含有溶液の1つで
ある。胎盤由来のXIII因子含有溶液はたとえば次の方
法により得ることができる。まず凍結したヒトの胎盤を
0.5%食塩溶液を用いて抽出し、組織を含まない上澄
みからアクリジン塩基を用いてXIII因子を析出させ
る。2.5%食塩水を用いてアクリジン付加物を溶解さ
せ、セチルピリジニウムクロリドによりXIII因子含有
溶液から酸性の付随蛋白と脂質を除く。再度アクリジン
塩基を用いてXIII因子を析出させ、2.5%食塩水で抽
出し、抽出液を硫安を用いる沈殿およびゲル濾過により
精製する。XIII因子活性フラクションを合し、濾過ま
たは中性塩沈澱法によりさらに濃縮してXIII因子濃縮
物とする。
【0007】XIII因子含有溶液の活性は、たとえば、
ダンシルカダベリン法(Tromb. Res., 36巻,123-131頁
(1984))、クロット溶解法(J. Biol.Chem.,236巻,26
25-2633(1961))などの方法により測定することができ
る。本発明においては、これらXIII因子含有溶液の加
熱によるウイルス不活化に際して、セリンおよび糖類を
存在させることによりXIII因子を加熱に対し安定化さ
せる。XIII因子含有溶液のセリンの濃度は好ましくは
0.5〜3.5モル/リットル、さらに好ましくは0.7
〜2.5モル/リットルである。セリンに加えさらにグ
リシンを好ましくは0.3モル/リットル以上で且つセ
リンとの合計が3.5モル/リットル以下となる量、さ
らに好ましくは0.3〜1.0モル/リットル存在させる
と、XIII因子の安定化および加熱処理液の濁りの抑制
のためにより効果的である。本発明に用いられる糖類に
は、単糖類、寡糖類および糖アルコールが含まれる。単
糖類としては、たとえばグルコース、フラクトースなど
が、寡糖類としては、蔗糖、麦芽糖、乳糖、トレハロー
スなどの二糖類が、糖アルコールとしては、マンニトー
ル、ソルビトールなどがあげられる。これらの中では蔗
糖が最も適している。これらの糖類の被処理液中の濃度
は20〜60w/w%が好ましく、20〜50w/w%
がさらに好ましい。溶液のpHは6.5〜8.0の範囲が
好ましい。本発明の最も好ましい形態としては、XIII
因子含有溶液中にセリンを0.7〜2.5モル/リット
ル、グリシンを0.5〜1.0モル/リットル、蔗糖を2
0〜50w/w%存在させることである。各成分をこの
範囲内で添加したものは、一般的に行われている熱によ
るウイルス不活化処理において、XIII因子の失活また
は変性が最小限に抑制され、且つ得られた加熱処理液の
濁りが最も少ないという結果が得られている。ウイルス
不活化のための加熱処理は50〜100℃、1〜48時
間、好ましくは55〜80℃、3〜24時間である。こ
のようにして得られたXIII因子含有溶液は、必要によ
りさらに慣用の生化学的方法により精製してもよく、さ
らに血清アルブミン、グルコース、塩化ナトリウム等を
安定化剤として加えて凍結乾燥してもよい。
ダンシルカダベリン法(Tromb. Res., 36巻,123-131頁
(1984))、クロット溶解法(J. Biol.Chem.,236巻,26
25-2633(1961))などの方法により測定することができ
る。本発明においては、これらXIII因子含有溶液の加
熱によるウイルス不活化に際して、セリンおよび糖類を
存在させることによりXIII因子を加熱に対し安定化さ
せる。XIII因子含有溶液のセリンの濃度は好ましくは
0.5〜3.5モル/リットル、さらに好ましくは0.7
〜2.5モル/リットルである。セリンに加えさらにグ
リシンを好ましくは0.3モル/リットル以上で且つセ
リンとの合計が3.5モル/リットル以下となる量、さ
らに好ましくは0.3〜1.0モル/リットル存在させる
と、XIII因子の安定化および加熱処理液の濁りの抑制
のためにより効果的である。本発明に用いられる糖類に
は、単糖類、寡糖類および糖アルコールが含まれる。単
糖類としては、たとえばグルコース、フラクトースなど
が、寡糖類としては、蔗糖、麦芽糖、乳糖、トレハロー
スなどの二糖類が、糖アルコールとしては、マンニトー
ル、ソルビトールなどがあげられる。これらの中では蔗
糖が最も適している。これらの糖類の被処理液中の濃度
は20〜60w/w%が好ましく、20〜50w/w%
がさらに好ましい。溶液のpHは6.5〜8.0の範囲が
好ましい。本発明の最も好ましい形態としては、XIII
因子含有溶液中にセリンを0.7〜2.5モル/リット
ル、グリシンを0.5〜1.0モル/リットル、蔗糖を2
0〜50w/w%存在させることである。各成分をこの
範囲内で添加したものは、一般的に行われている熱によ
るウイルス不活化処理において、XIII因子の失活また
は変性が最小限に抑制され、且つ得られた加熱処理液の
濁りが最も少ないという結果が得られている。ウイルス
不活化のための加熱処理は50〜100℃、1〜48時
間、好ましくは55〜80℃、3〜24時間である。こ
のようにして得られたXIII因子含有溶液は、必要によ
りさらに慣用の生化学的方法により精製してもよく、さ
らに血清アルブミン、グルコース、塩化ナトリウム等を
安定化剤として加えて凍結乾燥してもよい。
【0008】
【実施例】以下実施例および実験例をあげて本発明をさ
らに詳しく説明するが、本発明はこれらによって制限を
受けるものではない。 実施例1 (1)加熱処理用XIII因子含有溶液の調製 コーン低温エタノール分画の画分Iを約1kg採取し、
5リットルの0.02Mクエン酸緩衝液(pH7.5)を
加え、ミキサーにて画分Iを十分に撹拌しながら溶解し
た。この溶液を遠心分離器にて3000×g、15分、
20℃で遠心分離し上清を得た。この上清に、2.5リ
ットルの1Mクエン酸緩衝液(pH7.5)をゆっくり
と添加撹拌し、1時間、20℃で放置した。この溶液を
遠心分離器にて3000×g、15分、10℃で遠心分
離し沈殿を得た。この沈澱を3リットルの0.02Mク
エン酸緩衝液(pH7.5)に溶解し、さらに56℃、
3分間の加熱処理を行い、熱変性物を分離して上清を得
た。この溶液をXIII因子含有加熱処理溶液とした。 (2)XIII因子含有溶液の加熱処理 前記(1)で調製したXIII因子含有溶液を、それぞれ
別表の終濃度となるように安定化剤を添加した。次に6
0℃、15時間の加熱処理を施した。加熱処理前後の活
性残存率および濁度を測定し、その結果を〔表1〕およ
び〔表2〕に掲げた。
らに詳しく説明するが、本発明はこれらによって制限を
受けるものではない。 実施例1 (1)加熱処理用XIII因子含有溶液の調製 コーン低温エタノール分画の画分Iを約1kg採取し、
5リットルの0.02Mクエン酸緩衝液(pH7.5)を
加え、ミキサーにて画分Iを十分に撹拌しながら溶解し
た。この溶液を遠心分離器にて3000×g、15分、
20℃で遠心分離し上清を得た。この上清に、2.5リ
ットルの1Mクエン酸緩衝液(pH7.5)をゆっくり
と添加撹拌し、1時間、20℃で放置した。この溶液を
遠心分離器にて3000×g、15分、10℃で遠心分
離し沈殿を得た。この沈澱を3リットルの0.02Mク
エン酸緩衝液(pH7.5)に溶解し、さらに56℃、
3分間の加熱処理を行い、熱変性物を分離して上清を得
た。この溶液をXIII因子含有加熱処理溶液とした。 (2)XIII因子含有溶液の加熱処理 前記(1)で調製したXIII因子含有溶液を、それぞれ
別表の終濃度となるように安定化剤を添加した。次に6
0℃、15時間の加熱処理を施した。加熱処理前後の活
性残存率および濁度を測定し、その結果を〔表1〕およ
び〔表2〕に掲げた。
【0009】(3)結果
【表1】
【0010】
【表2】 上記〔表1〕および〔表2〕から明らかなように、セリ
ンはグリシンとほぼ同程度のXIII因子の活性残存率を
示す一方、濁度においてはセリンはグリシンより優れた
効果を奏している。
ンはグリシンとほぼ同程度のXIII因子の活性残存率を
示す一方、濁度においてはセリンはグリシンより優れた
効果を奏している。
【0011】
【発明の効果】本発明においては、XIII因子含有溶液
の加熱によるウイルス不活化に際し、溶液中にセリンお
よび糖類の一定量を存在させることにより、XIII因子
の失活または熱変性を抑制するとともに、液の濁りの発
生を減少させることができる。
の加熱によるウイルス不活化に際し、溶液中にセリンお
よび糖類の一定量を存在させることにより、XIII因子
の失活または熱変性を抑制するとともに、液の濁りの発
生を減少させることができる。
Claims (5)
- 【請求項1】血液凝固第XIII因子含有溶液の加熱によ
るウイルス不活化処理に際し、溶液中にセリン、ならび
に単糖類、寡糖類および糖アルコールからなる糖類の少
なくとも1種を存在させることを特徴とする第XIII因
子の熱安定化法。 - 【請求項2】セリンを0.5〜3.5モル/リットル、な
らびに糖類の少なくとも1種を20〜60w/w%存在
させる請求項1記載の方法。 - 【請求項3】さらにグリシンを0.3モル/リットル以
上で且つセリンとの合計が3.5モル/リットル以下と
なる範囲で存在させる請求項2記載の方法。 - 【請求項4】糖類が蔗糖である請求項1、2または3記
載の方法。 - 【請求項5】セリンを0.7〜2.5モル/リットル、グ
リシンを0.3〜1.0モル/リットルおよび蔗糖を20
〜50w/w%存在させる請求項3記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9312814A JPH11130682A (ja) | 1997-10-28 | 1997-10-28 | 血液凝固第xiii因子の熱安定化法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9312814A JPH11130682A (ja) | 1997-10-28 | 1997-10-28 | 血液凝固第xiii因子の熱安定化法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11130682A true JPH11130682A (ja) | 1999-05-18 |
Family
ID=18033740
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9312814A Pending JPH11130682A (ja) | 1997-10-28 | 1997-10-28 | 血液凝固第xiii因子の熱安定化法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11130682A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001327592A (ja) * | 2000-05-22 | 2001-11-27 | Aventis Behring Gmbh | 抗癒着特性が改善された組織接着剤 |
WO2019182123A1 (ja) * | 2018-03-23 | 2019-09-26 | 味の素株式会社 | トランスグルタミナーゼを含有する液体製剤 |
-
1997
- 1997-10-28 JP JP9312814A patent/JPH11130682A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001327592A (ja) * | 2000-05-22 | 2001-11-27 | Aventis Behring Gmbh | 抗癒着特性が改善された組織接着剤 |
WO2019182123A1 (ja) * | 2018-03-23 | 2019-09-26 | 味の素株式会社 | トランスグルタミナーゼを含有する液体製剤 |
JPWO2019182123A1 (ja) * | 2018-03-23 | 2021-04-08 | 味の素株式会社 | トランスグルタミナーゼを含有する液体製剤 |
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