JPH1113000A - 成形型及びその製造方法 - Google Patents

成形型及びその製造方法

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JPH1113000A
JPH1113000A JP9156761A JP15676197A JPH1113000A JP H1113000 A JPH1113000 A JP H1113000A JP 9156761 A JP9156761 A JP 9156761A JP 15676197 A JP15676197 A JP 15676197A JP H1113000 A JPH1113000 A JP H1113000A
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papermaking
mold
molding
molding die
reinforcing
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JP9156761A
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English (en)
Inventor
Junichi Kuzusako
淳一 葛迫
Eijiro Tagami
英二郎 田上
Sachiro Koi
幸朗 控井
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D-MEC KK
Sony Corp
D Mec Ltd
Original Assignee
D-MEC KK
Sony Corp
D Mec Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】光効果樹脂法等の積層造形法により製造される
パルプモールド用成形型の機械的強度向上、製造時間短
縮、パルプモールドの生産性向上等を達成する。 【解決手段】成形型を、3mm径以下の空孔を多数有す
る0.5mm厚以上の抄紙部と、この抄紙部で囲まれた
空洞内に設けた抄紙部の空孔よりも大径の空孔を有する
補強格子部とにより構成する。 【効果】補強格子部を設けたことにより、成形型の機械
的強度が向上するとともに、成形型内部の製造時間が短
縮され、また、空洞部を真空吸引する際の抵抗が減少す
るので抄紙部の抄紙面における実効抄紙圧が向上し、パ
ルプモールドの生産性が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維質材料の成形
に用いられる成形型及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】繊維質材料の成形方法として、例えば、
パルプモールディングと称されるパルプ繊維を使った方
法が知られている。このパルプモールディングは、例え
ば、古紙等を使用して、リサイクルや省資源化に貢献し
且つ環境を汚染することの無い梱包材等を製造する際に
利用されている。
【0003】このパルプモールディングにおいては、例
えば、水中に攪拌懸濁されたパルプ繊維に、必要に応じ
て熱硬化性樹脂の初期縮合物等を添加して懸濁、付着さ
せた後、所定形状の成形型(金型)を通して減圧吸引を
行い、この予備成形後、乾燥工程等を経て、更に、圧縮
成形又は加熱硬化を行い、最終的にパルプ成形品を得
る。
【0004】このパルプモールディングの成形型として
は、従来、例えば、図19に示すような抄型と呼ばれる
ものが主流であった。
【0005】この抄型と呼ばれる成形型50は、例え
ば、鋳物により凸形ブロック状に形成されていて、その
本体58には上方に開口した凹部51が形成されてお
り、その凹部51の上部開口52が蓋体53により閉塞
されるとともに、凹部51内が吸引管55を介して真空
吸引装置54により減圧されるようになっている。
【0006】成形型50には、凹部52と外部とを連通
する多数の吸引孔56が形成されている。
【0007】この成形型50には、その本体表面を覆う
ように金網57が取り付けられる。この時、成形型50
の形状が複雑な場合には、図示の如く、成形型50が型
分割されて、複数の型部分58A、58B、58C、…
から構成され、各型部分58A、58B、58C、…に
夫々金網57が取り付けられる。なお、金網57の孔径
(通常1mm以下)は、吸引孔56の孔径に比し充分小
さく選択されている。
【0008】図20に、図19の成形型50を用いた、
パルプモールディングによる成形方法を概略的に示す。
【0009】液槽59内には、個々の長さが数mm程度
のパルプ繊維を含む溶液60が満たされており、金網5
7に覆われた成形型50をこの溶液60中に浸した後、
成形型50の凹部51内を真空吸引して、成形型50の
表面、即ち、金網57にパルプ繊維を吸着させ、予備成
形を行う。この予備成形後、乾燥等の所定の工程を経
て、成形型50の形状に対応した形状を有するパルプ成
形品を得る。
【0010】しかしながら、このパルプモールディング
に用いられる従来の成形型50においては、その表面を
金網57により覆う作業(金網張り作業)が必要であ
り、その作業性の効率化や短時間化を図るのが難しいと
いう問題が有った。
【0011】例えば、成形型50の形状が複雑であり、
表面側の凹凸の度合いが大きい場合には、その表面を金
網57で覆うことは、成形型の表面からの金網57の浮
き上がり等により簡単な作業ではなかった。また、成形
型50の本体58を幾つかの部分58A、58B、58
C、…に分割した場合には、金網57を別々に取り付け
ることを始め、成形型50の或る場所では金網57を延
伸したり、更には余分な金網57を切断するといった面
倒な手作業を要し、また、これらの作業には作業者に高
い熟練度が必要であった。
【0012】しかも、設計変更等に伴って成形型の金網
張り作業をやり直す場合には、上述の作業プロセスを再
び繰り返す必要が有り、作業時間やコスト面で問題が有
った。
【0013】そこで、本出願人は、いわゆる積層造形法
により、パルプ繊維の如き繊維質材料の型成形(例え
ば、パルプモールド)に用いられる成形型として最適な
構造を持つ金型を短時間且つ自動的に一体成形すること
が可能となる発明を、特開平8−226100号として
既に提案した。
【0014】この先願発明によれば、例えば、光硬化樹
脂法を用いた積層造形法により得られる成形型におい
て、積層材料の各層に材料の欠落部分を形成し、その各
層を順次積層していくことにより、多数の吸引孔を有す
る成形型を形成する。
【0015】即ち、この先願発明では、成形型に多数の
吸引孔を各層の積層時に形成することにより、上述した
従来の抄型に設けられる吸引孔と金網との両機能を兼ね
備えた代替手段としての、多数の吸引孔を有する成形型
を容易に形成することができる。
【0016】このため、例えば、成形型の形状が複雑な
場合でも、成形型を幾つかの部分に分割して形成する必
要が無くなり、また、上述した従来の抄型のように金網
を用いる必要が無いので、成形型に金網を取り付ける作
業等が全く不要となり、このために作業者に高い熟練度
が要求されることもなく、成形型を効率的且つ短時間で
作製することが可能となる。更に、設計変更や型の追加
製造等に対しても迅速に対応することができる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】このように先願発明は
顕著に優れた利点を有しているが、本発明者らが検討を
加えた結果、改善すべき点がなお存在していることが判
明した。
【0018】即ち、繊維質材料の成形型の空孔への目詰
まりや成形型内への繊維質材料の過剰な透過が生じるこ
とがあり、成形型の寿命やパルプモールディング等の成
形時の生産性の面でなお改善すべき問題が有った。
【0019】そこで、本出願人は、先願発明を改良し
て、フリーネス値が400〜600ml程度で且つ繊維
長が0.3〜3mm程度である繊維質材料成形用の成形
型において、その空孔径を3mm以下とする発明を提案
した(特願平8−148717号:平成8年5月20日
出願:以下、「第2の先願発明」と称する。)。これに
より、繊維質材料による成形型空孔の目詰まりや成形型
内への繊維質材料の過剰な透過が防止され、成形型の寿
命やパルプモールディング等の成形時の生産性が大きく
改善された。
【0020】しかしながら、本発明者らの更なる検討に
より、この第2の先願発明にも、なお改善すべき次のよ
うな問題の有ることが分かった。
【0021】即ち、この第2の先願発明に従い製造され
る成形型に、既述した図19及び図20に示す凹部51
のような空洞部を設けると、成形型全体の機械的強度が
弱くなり、例えば、繰り返し使用による変形等のために
成形型の寿命が短くなるという問題が有った。
【0022】一方、成形型全体の機械的強度を向上させ
るために、成形型に、凹部51のような空洞部を設けな
いか、或いは、設けても、その大きさを小さくすると、
相対的に、成形型全体、或いは、その大部分を、繊維質
材料の吸着面(以下、「抄紙面」と称する。)と同じ比
較的目の細かい構造(以下、「抄紙部構造」と称す
る。)で構成しなければならなくなるため、真空吸引時
の抵抗が大きくなって、抄紙面における実効抄紙圧が低
下し、この結果、パルプモールディング等の繊維質材料
の成形時間が長くなって、生産性が悪いという問題が有
った。また、成形型自体の製造時間も長くなるという問
題も有った。
【0023】そこで、本発明の目的は、例えば、積層造
形法による繊維質材料成形(例えば、パルプモールド)
用の成形型及びその製造方法において、先願発明及び第
2の先願発明の上述した特長を生かしつつ、成形型自体
の機械的強度を改善して、成形型の耐久性、寿命並びに
成形時の生産性の向上等を達成することができる成形型
及びその製造方法を提供することである。
【0024】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
本発明の成形型は、抄紙面及びその抄紙面に繊維質材料
を吸着して成形するための多数の空孔を有する抄紙部
と、前記抄紙部に隣接し且つ前記空孔より大径の空孔を
有する補強部と、を備える。
【0025】また、本発明の成形型の製造方法では、抄
紙面及びその抄紙面に繊維質材料を吸着して成形するた
めの多数の空孔を有する抄紙部と、前記抄紙部に隣接し
且つ前記空孔より大径の空孔を有する補強部とを備えた
成形型を、積層造形法により積層材料を層状に順次積層
して製造する。
【0026】また、本発明の別の態様による成形型の製
造方法では、抄紙面及びその抄紙面に繊維質材料を吸着
して成形するための多数の空孔を有する抄紙部と、前記
抄紙部に隣接し且つ前記空孔より大径の空孔を有する補
強部とを備えた成形型の構造を、少なくとも前記抄紙部
の厚み、前記抄紙部における空孔径及び前記補強部に前
記抄紙部と一体に設ける補強格子の幅を含む製造パラメ
ータに基づいて決定し、その決定された前記成形型の構
造に基づいて、積層造形法により積層材料を層状に順次
積層して前記成形型を製造する。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明を好ましい実施の形
態に従い説明する。
【0028】この実施の形態は、積層造形法を利用する
ことにより、多数の吸引孔を有する成形型を得るもので
あり、また、この成形型を用いて繊維質材料から種々の
成形品を得ることができるようにしたものである。
【0029】ここで、「積層造形法」とは、積層される
材料に加圧や加熱硬化等の所定の処理を施すことにより
所望の形状を形成する方法のことであり、後述する光硬
化樹脂法(紫外線又は可視光硬化樹脂法等)、粉末溶着
法、溶融紡糸堆積法、薄板積層法等の各種の方法を挙げ
ることができ、2次元断面形状を所定の方向に沿って積
層することにより3次元物体を形成する方法が全て含ま
れる。
【0030】図1に、積層造形法として、光硬化性樹脂
(光によって硬化の度合いが変化する性質をもった樹脂
であり、例えば、ウレタンアクリレートの如き紫外線硬
化樹脂等が含まれる。)を用いた光硬化樹脂法を適用し
た場合の光学的造形装置1を概略的に示す。
【0031】例えば、3次元CAD(Computer Aided De
sign)システムにより作成された形状モデルに関するデ
ータ(以下、「形状データ」と称する。)は、まず、デ
ィジタルコンピュータ等からなる計算機2に取り込まれ
る。
【0032】計算機2は、造形装置1において、製造に
おける各種パラメータの設定等、データ加工の指令中枢
となるものである。
【0033】計算機2は、上記形状データから断面形状
データへの変換処理や編集作業を行うのに必要とされ
る。即ち、対象物を、その形状データに基づき所定の積
層軸に沿って切断することにより、その対象物の断面形
状データ(例えば、積層軸を鉛直方向に選んだ場合に
は、等高断面でのデータであり、以下、これを「等高断
面データ」と称する。)を得、このデータに対してプロ
グラム処理によるデータ加工を施すことができる。
【0034】製造対象である成形型の製造に際しては、
フリーネス値等の成形される繊維質材料のデータや、成
形型の抄紙部に形成される多数の吸引孔の径、抄紙部の
厚み、内部補強格子幅等を含む各種パラメータ(以下、
これを「製造パラメータ」と称する。)が必要であり、
この製造パラメータに基づいて計算機2は、成形型の構
造に係るデータを自動的に作成する。
【0035】そして、計算機2は、それらの等高断面デ
ータや製造パラメータに応じた制御情報を後段の制御部
3に送出する。
【0036】制御部3は、計算機2からの制御情報に基
づき光走査部4や移動機構5等の制御を行う。
【0037】光走査部4は、光源6からの光を自在に走
査させて、樹脂液槽7内の光硬化性樹脂8の液面8a上
の所望の位置に光Lを照射するために設けられる。
【0038】例えば、図2に示すように、光源6として
レーザーを用いて、レーザー光Lを走査させる場合に
は、レーザー9、音響光学変調器(以下、「AOM」と
略記する。)10a及びその駆動制御のためのAOMド
ライバー10b、フォーカス制御部11、スキャニング
部12や、これらを統括して制御するレーザースキャン
制御部13等が設けられる。
【0039】即ち、レーザー光Lは、レーザー9からミ
ラーMを介し、AOM10aを通った後、フォーカス制
御部11、スキャニング部12を介して光硬化性樹脂8
の液面8a上を走査する。その際、レーザースキャン制
御部13は、制御部3からの指令を受けて、AOMドラ
イバー10bを介しAOM10aの変調制御を行い、ま
た、フォーカス制御部11の制御やスキャニング部12
でのガルバノミラーGMの回動制御等を行う。
【0040】移動機構5は、光硬化性樹脂8の積層段階
に応じて、光硬化性樹脂液槽7内に配置されたステージ
14を移動させるためのものであり、図には、ステージ
14を鉛直方向に移動させるエレベータ機構として、ボ
ールネジを用いた機構を例示する。即ち、ステッピング
モーター15により回転駆動される送りネジ16aが鉛
直方向に延びており、これにナット16bが螺合して、
そのナット16bの移動に伴いステージ14が上下方向
に移動する。
【0041】この時、ナット16bの位置情報が、位置
検出部16cから制御部3に送出され、その制御部3か
らの制御信号によりステッピングモーター15が制御さ
れて、ステージ14の位置制御が行われるようになって
いる。
【0042】なお、移動機構5は、ステージ14上で上
述の光走査により硬化した樹脂槽を所定の方向に沿って
積層させるために、ステージ14を積層方向に沿って段
階的に移動させることができるものであれば、如何なる
構成のものでも構わない。
【0043】また、図2の例では、レーザー9を光源と
したために、光源6と光走査部4とを別個に構成した
が、例えば、図3に示す面照射による露光方式によれ
ば、陰極線管(以下、「CRT」と略記する。)17を
用いることにより、光源6と光走査部4とを一部品で構
成することができる。
【0044】即ち、図3に示すように、CRT17のパ
ネル面17aを光硬化性樹脂8の液面8aの上方に配置
し、CRT17内の電子ビーム17bを偏向コイル等に
より制御して蛍光面上を走査させ、電子ビーム17bの
エネルギーをその螢光面で光エネルギーに変化させて、
その光を直接又はレンズ等の光学素子を介して光硬化性
樹脂8の液面8aに照射する。
【0045】図1〜図3に示すように、液面8aにおけ
る光硬化性樹脂8の光照射による硬化と、移動機構5に
よるステージ14の送りとを繰り返すことにより、硬化
樹脂からなる所定形状の積層成形物18を形成すること
ができる。なお、図1及び図2は、夫々、ステージ14
を下降させた状態(成形物18の完成状態)を示し、図
3は、実線位置から仮想線位置へとステージ14を下降
させる状態を示している。
【0046】次に、図4〜図8を参照して、成形型の構
造に係るデータの作成手順を説明する。なお、理解を容
易にするために、説明では、成形型の基本形状が、図4
に示すような凸形ブロック状をなしているものとする。
【0047】(1)基本形状の設定 まず、図4に示すように、凸形ブロック状をした成形型
の基本形状19を設計データとして用意する。なお、こ
こでは、基本形状19に対する直交座標系の設定におい
て、凸部19aが突設された方向をZ軸方向とし、これ
に直交するX軸、Y軸については、基本形状19のベー
ス部19bの長手方向をX軸方向に選んでいる。
【0048】(2)等高断面データの作成 次に、図5に示すように、Z軸方向に対して直交するX
−Y面に沿って基本形状19を切断することにより、Z
軸方向に所定のピッチ(例えば、0.1mm又は0.2
mm)でスライシング処理を行う。即ち、Z軸方向に対
して直交し且つZ軸方向に沿って所定のピッチで配置さ
れる多数の平面20で基本形状19を切断することによ
り、各平面20での基本形状19の等高断面データを作
成する。
【0049】(3)型構造データの作成 図6は、基本形状19に対し、X軸、Y軸、Z軸の各方
向に延びる多数の吸引孔21aを形成することにより得
られる成形型21を示している。これらの吸引孔21a
は、繊維質材料を吸着させるために必要なものである。
【0050】図7及び図8は、例えば、図6に示す円形
のA部における吸引孔21aの形成の要領を示すもので
あり、図7は、X−Y平面に対して平行な平面において
孔を形成する要領を、図8は、Z−X平面又はZ−Y平
面に対して平行な平面において孔を形成する要領を夫々
示している。
【0051】図7(a)は、Z軸方向から見て縦横に延
びる、例えば、直線状の棒状体により構成される網目状
の格子22を示している。なお、図中、Nは孔径を示
し、nは格子幅を示している。ここで、幅nの格子部分
22aは、光硬化性樹脂8のうち光走査により硬化した
部分であり、この例では、一辺Nの正方形状の孔がX軸
やY軸方向に沿って配列され、隣接する孔同士が肉厚n
の壁により仕切られている。
【0052】なお、図13(a)に、この図7(a)と
同様のX−Y平面に対して平行な平面における格子22
を、図13(b)に、図13(a)のA−A線に沿った
断面図を夫々示す。図13(b)中のN′は、Z軸方向
における孔径(後述する図8のMに相当する。)を示
す。
【0053】図7(b)は、図7(a)において示す長
円のB部について格子を形成する時の状況を概念的に示
すものである。
【0054】同図において、小円23はレーザースポッ
トを示しており、その直径Dがスポット径を示してい
る。格子幅nは、横並びに配列された複数の小円23の
数とそれらの重なり具合により決まる。
【0055】例えば、レーザースポットの照射間隔をL
(L≦D)とした時、隣接し合う小円の中心間距離が一
律にLに等しい場合には、格子幅nはLの整数倍にDを
加えた長さとなる。特に、図示の例のように、L=Dの
場合には、小円23が一列に連接した状態となり、格子
幅nを得るのに必要なビームスポットの数、即ち、X軸
方向に沿う単位格子当たりの照射数はn/Dとなる。
【0056】なお、図7(b)中のSKはスキップ幅を
示しており、この区間においては、孔の形成のためにレ
ーザー光の照射を一時的に停止する。従って、このスキ
ップ幅SKは孔径Nに等しい。
【0057】また、SDはスキップ間隔(周期)を示し
ており、孔径Nに格子幅nを加えた長さに等しい。即
ち、スキップ間隔SDは、格子幅nの区間について光走
査を開始してから、スキップ幅SKを置いて、次の区間
について光走査を開始するまでの間隔(周期)である。
【0058】例えば、パルプモールディングにおいて、
パルプ繊維がフリーネス値400〜600ml、長さが
0.3〜3mm程度(例えば、2〜3mm程度)である
場合には、X−Y平面における吸引孔21aの孔径N
は、それ以下の値である3mm以下(好ましくは、0.
3〜1.2mm、例えば、0.5mm)とする。なお、
後述する図8のMに相当する吸引孔21aのZ軸方向に
おける孔径N′は、孔径Nの1〜2倍程度が良く、例え
ば、0.8mm程度とする。また、レーザースポット径
Dは、例えば、0.1mm程度である。
【0059】なお、フリーネス値が400〜600ml
であり且つ繊維長が0.3〜3mm程度である繊維質材
料は、パルプ繊維が好適であるが、その他にも紙や植
物、金属繊維等であっても良い。ここで、「フリーネス
値」とは、濾水度(繊維の水切れの程度を示す数値)で
あって、その測定法はJIS P8121,TAP・P
I T227,ISO 5267/1〜2,SCAN
M3,4等に示されている。
【0060】また、使用するレーザーは、例えば、アル
ゴンレーザー(波長約360nm)やヘリウムカドミウ
ムレーザー(波長約325nm)で良く、また、これら
以外にも、種々の半導体レーザー、CO2 レーザー、Y
AGレーザー等を用いることができる。そして、これら
のレーザーにより、例えば、ビーム径1mm程度以下、
エネルギー1W/cm2 程度以上で照射を行うことがで
きる。
【0061】このようにX−Y平面に対して平行な面に
おける孔の形成に際しては、例えば、孔径N、格子幅
(肉厚)n及びレーザースポット径Dに基づいて各種の
パラメータ値を決定することができ、この格子22をZ
軸方向に積層していくことにより、Z軸方向に延びる、
例えば、連続した角孔を形成することができる。
【0062】図8は、X軸又はY軸に対して直交する平
面(即ち、Y−Z平面又はX−Z平面に平行な平面)に
おける孔の形成について示すものであり、図中、r(1)
…r(c) は、X軸方向の光走査により形成される筋状の
樹脂部を示し、r(c+1) …r(2c)は、Y軸方向の光走査
により樹脂部r(c) 上に順次積層される筋状の樹脂部を
示し、また、r(2c+1)…r(3c)は、X軸方向の光走査に
より樹脂部r(2c)上に順次積層される筋状の樹脂部を示
している。
【0063】樹脂部r(1) …r(c) のZ軸方向における
各厚みZp は、各樹脂層の積層ピッチ(1回の光走査で
形成される厚み)を示しており、これらの樹脂部r(1)
…r( c) に沿って形成されるX軸方向に延びる孔のZ軸
方向での孔径Mは、積層ピッチZp が一定値の場合、そ
の整数倍の長さとなる。例えば、樹脂部r(1) …r(c)
により形成される孔の孔径Mは、積層ピッチZp に樹脂
部r(1) …r(c) の積層数cを掛けたものに等しい。
【0064】このことは、樹脂部r(c+1) …r(2c)に沿
って形成されるY軸方向に延びる孔の孔径についても同
様である。
【0065】また、例えば、X軸方向に延びる孔のZ軸
方向における形成間隔(即ち、樹脂層r(c) とr(2c+1)
との間の間隔)は、Y軸方向に延びる樹脂部r(c+1)
(2c)の積層数(即ち、c)により決まる。
【0066】このように、Z−Y平面やZ−X平面に平
行な平面における孔の孔径Mは、積層ピッチZp 及び積
層数cに基づいて決定することができ、これにより、X
軸又はY軸方向に延びる、例えば、連続した角孔を形成
することができる。
【0067】図9は、上述した手順により、成形型21
の全体を抄紙部構造とした場合のZ−X平面に平行な平
面における断面図である。この構造では、図19及び図
20に示すような空洞51を有する構造とは異なり、成
形型21の機械的強度は向上するが、成形型21の全体
が、微小な孔を有する抄紙部構造であるために、抄紙面
における実効抄紙圧が低下し、抄紙効率が悪くなる。ま
た、成形型21の成形にも時間がかかるという問題が有
る。
【0068】そこで、本実施の形態では、図10に示す
ように、成形型21を、比較的微小な孔21aを有する
抄紙部70と、この抄紙部70により囲まれる空洞部7
3内に設けた補強格子74とにより構成している。この
ような補強格子74は、積層造形法により抄紙部70と
一体に成形することが可能である。或いは、図11に示
すように、樹脂、金属、セラミック等からなる別部材の
補強格子74を、成形型21の空洞部73に嵌め込んで
形成することも可能である。
【0069】この時、抄紙部70としては、その厚み
(即ち、Z方向の厚みTZ 、X方向の厚みTX 及び図に
は示していないがY方向の厚みTY )が0.5mm以上
であるのが好ましい。その理由は、抄紙部70を構成す
る各格子の幅n及び孔径Nが、夫々、通常、0.1〜
0.2mm程度であり、また、抄紙部70における吸着
性を確保するためには、図10及び図11に示すよう
に、最低でも2段の空孔層が必要だからである。この結
果、抄紙部70に必要な最低厚みとして、0.1×5=
0.5〔mm〕が導かれる。
【0070】一方、補強格子74の格子幅(即ち、Z方
向の格子幅FZ 、X方向の格子幅FX 及び図には示して
いないがY方向の格子幅FY )は、図10に示すよう
に、その強度の点から、抄紙部70の格子の複数個に跨
がるのが好ましく、従って、N=nの時、pを2以上の
整数として、補強格子74の格子幅は抄紙部70におけ
る格子幅nの(2p−1)倍であるのが好ましい。この
時、実用的な範囲としては、2≦p≦26の範囲である
のが好ましく、2≦p≦6の範囲であるのがより好まし
い。この補強格子74の格子幅があまり大き過ぎると、
成形型21の製造に時間がかかり過ぎる虞が有る。
【0071】また、この補強格子74の部分における空
孔径N″は、真空吸引の際の抵抗を小さくして抄紙圧を
向上させるという目的から、抄紙部70における空孔径
Nよりも大きいことが必要である。また、その好ましい
範囲は、実用上、N<N″≦10Nであり、2N≦N″
≦5Nであるのがより好ましい。この補強格子74の部
分における空孔径N″があまり大き過ぎると、相対的に
補強格子74の格子幅が小さくなって、強度改善の効果
が得られなくなる虞が有る。
【0072】なお、特に、図11の例のように、補強部
を別部材で構成する場合には、その補強部は、補強格子
74のような格子状のものに限られず、メッシュ状その
他の多孔質構造のもので良い。
【0073】図12は、上述した手順(3)を含む成形
型作製の流れを示すフローチャートである。
【0074】まず、ステップS1において、図7で説明
したように、X−Y平面に平行な平面における抄紙部の
形成に必要なデータ(例えば、X−Y平面に平行な平面
における孔の孔径N、抄紙部の厚みTX 、TY 等)の入
力が行われ、一方、ステップS2において、図8で説明
したように、Z−X平面及びZ−Y平面に平行な平面に
おける抄紙部の形成に必要なデータ(例えば、Z軸方向
における孔径M、抄紙部の厚みTZ 等)の入力が行われ
る。
【0075】次に、ステップS1に続くステップS3に
おいて、X−Y平面における抄紙部の光走査のための各
パラメータを、ステップS1における入力データから自
動的に設定する。これらのパラメータは、光走査部4に
よる抄紙部のレーザー光走査のための基礎情報となる。
例えば、ステップS1において入力された孔の孔径Nに
基づいて、図7(b)に示すスキップ幅SKが決定さ
れ、また、このスキップ幅SKに基づいてスキップ間隔
SDが決定される(例えば、SD=2SK)。
【0076】一方、ステップS2に続くステップS4で
は、抄紙部の積層方向の制御に必要な各パラメータを、
ステップS2における入力データから自動的に設定す
る。これらのパラメータは、移動機構5によるステージ
14の制御のための基礎情報となる。例えば、ステップ
S2において入力された孔の孔径Mに基づいて、図8に
示す各樹脂部の積層数cが決定される。
【0077】次に、ステップS3に続くステップS5に
おいて、X−Y平面に平行な平面における内部補強格子
の形成に必要なデータ(即ち、X方向における補強格子
幅FX 、Y方向における補強格子幅FY 等)の入力が行
われ、一方、ステップS4に続くステップS6におい
て、Z−X平面及びZ−Y平面に平行な平面における内
部補強格子の形成に必要なデータ(即ち、Z方向におけ
る補強格子幅FZ 等)の入力が行われる。
【0078】なお、この時、ステップS5又はS6にお
いて入力された補強格子幅FX 、FY 、FZ のデータの
うち、いずれか1つでもゼロの場合には、内部補強格子
の形成は行われず、その場合には、図11に示すよう
に、別部材の補強部が用いられる。なお、この場合、F
X 、FY 、FZ のいずれかがゼロであるか否かを判別す
るステップを設けて、その結果により、夫々、次のステ
ップS7及びS8をスキップするようにプログラムを構
成することもできる。
【0079】次に、ステップS5に続くステップS7に
おいて、X−Y平面における補強部の光走査のための各
パラメータを、ステップS5における入力データから自
動的に設定する。一方、ステップS6に続くステップS
8では、補強部の積層方向の制御に必要な各パラメータ
を、ステップS6における入力データから自動的に設定
する。
【0080】上述したステップS3、S4、S7及びS
8で得られた各パラメータは、ステップS9において、
製造パラメータの一部として組み込まれる。この製造パ
ラメータには成形型21の作製に必要な全情報が含まれ
ており、従って、この製造パラメータの情報を計算機2
においてデータベース化することにより、データの蓄積
が可能である。これにより、例えば、既存の蓄積データ
を適宜に選択することができることは勿論、蓄積データ
の編集やCAE(Computer Aided Engineering)を活用
した成形型の最適設計のための基礎データとして利用す
ることができる。
【0081】次に、ステップS10において、ステップ
S9で作成された製造パラメータに基づく制御情報が制
御部3にデータ転送され、この制御部3の指示により光
走査部4や移動機構5が制御される。
【0082】そして、次のステップS11において、例
えば、移動機構5によりステージ14が1段階ずつ下降
する度にレーザー光の走査により断面体(積層体)の形
成が行われ、幾層もの薄い断面体が積層された結果とし
て、成形型21が次第に形成されていく。
【0083】この後、ステージ14を光硬化性樹脂液槽
7から引き上げ、更に、得られた積層成形品に対し所定
の処理(例えば、紫外線硬化処理等)を施して、成形型
21を完成する。
【0084】以上に説明した積層造形法によれば、例え
ば、図6に示すような成形型21の多数の吸引孔21a
を、積層する各層における材料の欠落部分として形成す
ることにより、多孔質の構造を有する成形型21を極め
て簡便に作製することができる。
【0085】なお、上述の例では、レーザー光の走査に
より筋状の樹脂を積層していく方法を説明したが、例え
ば、図3に示すような面照射方式の場合には、図7のよ
うな格子縞に対応する画像情報をCRT17に送り、そ
のパネル面17aに格子縞のパターンを表示させれば良
い。
【0086】また、上述の例では、成形型21の基本形
状19に対し直交座標系を設定して、各軸に沿う方向に
孔を形成するようにしたが、例えば、孔を斜め方向に形
成するような場合には、成形型の基本形状に対し斜交座
標系を設定して、そのデータ処理を簡単にすることもで
きる。更に、孔の中心点を所定の曲線に沿って移動させ
ることにより、孔の形成方向をより自由に設定する等の
方法を採ることもできる。また、孔の形状についても、
上述の角孔に限られるものではなく、積層造形法上、支
障を来さない範囲において、各種の形状(円孔、六角孔
等)を選択することができることは勿論である。
【0087】更に、上述の例では、装置1内において製
造パラメータを作成し、これを制御部3に転送する構成
としたが、例えば、製造パラメータを外部の計算機上で
作成することができる場合には、その外部の計算機上で
作成したデータをオフライン又はオンラインにより装置
1に転送し、これを制御部3での制御情報として利用す
るように構成することもできる。この場合、装置1にお
ける計算機2は、無くても良い。
【0088】また、成形型21の作製に当たっては、可
視光又は紫外線に反応する光硬化性樹脂(例えば、ウレ
タンアクリレート、エポキシアクリレート、ビニルエー
テル樹脂、エポキシ樹脂等)を使った方法に限らず、電
子ビームや放射線等の他の波長に反応する積層材料を用
いる方法や、既述したような各種の積層造形法を用いる
ことができるが、光硬化性樹脂法を用いることの利点と
して、材料費及び装置コストが安いことや作製時間が短
いことを挙げることができる。
【0089】更に、上述の例では、1個の成形型を作製
するものとして説明したが、積層造形法を用いる利点と
して、複数個又は複数種の成形型を同時に作製すること
ができる点が挙げられる。即ち、複数の個体について断
層面の形状を夫々設定すれば、同じ積層工程で複数の個
体を同時に作製することができ、生産効率を上げること
ができる。
【0090】本実施の形態では、空孔径が3mm程度以
下で且つ厚みが0.5mm程度以上の抄紙部70と、こ
の抄紙部70により囲まれた空洞内に設けた抄紙部70
よりも空孔径の大きい補強部とにより成形型21を構成
しているので、成形型21の全体を抄紙部構造とした場
合と比較して、抄紙圧の向上により、約30%もの生産
性向上(抄紙時間の短縮等)が実現可能である。
【0091】また、本実施の形態では、抄紙部70の空
孔径を繊維質材料(通常、フリーネス値400〜600
ml程度、繊維長0.3〜3mm程度)に対して3mm
程度以下とし、繊維質材料の成形型への目詰まりや、成
形型内への繊維質材料の過剰な透過を回避するととも
に、この抄紙部70と補強部とを組み合わせることによ
り、下記効果を奏することができる。
【0092】(1)抄紙部における繊維質材料の成形性
を維持しつつ、補強部により、成形型の劣化(変形等)
が防止され、成形型の寿命の短縮が防止される。 (2)繊維質材料の成形型への目詰まりによる繊維質材
料の成形型への吸着むらの発生が回避され、繊維質材料
の成形型への均一な吸着を可能とし、成形品の品質が向
上する。 (3)繊維質材料の成形型への目詰まりによる成形型の
補修作業に伴う生産ラインからの型おろし工程が不要と
なり、連続稼働を可能としたことにより、生産性が向上
する。 (4)繊維質材料の成形型への過剰な透過を抄紙部で回
避することにより、成形時の繊維質材料の使用量が軽減
され、生産性が向上する。 (5)繊維質材料の抄紙時間を抄紙圧の向上により短縮
でき、生産性が向上する。 (6)成形型全体を抄紙部構造とした場合に比し、補強
部における造形時間が短くて済むので、成形型全体の製
造時間が短縮される。 (7)各種繊維質材料の特性(例えば、フリーネス値
等)に適した抄紙部の空孔径、補強格子幅等を製造パラ
メータにより設定したり、データを蓄積することが可能
なため、熟練者でなくても最適な成形型の作製が可能で
ある。
【0093】なお、抄紙部における空孔径は3mm程度
以下とするのが良いが、あまり小さいと、コーティング
材や繊維質材料による目詰まりが生じ易いので、その下
限は0.1mm程度とするのが良い。また、用いる繊維
質材料の繊維長は0.3mm未満であると空孔を通過し
易くなり、3mmを超えると、目詰まりを生じ、成形性
が悪くなり易いので、0.3〜3mm程度とするのが良
い。
【0094】なお、上述の例では、積層造形法として光
硬化樹脂法を用いたが、これに代えて、粉末溶着法、溶
融紡糸堆積法又は薄板積層法を用いて、同様の成形型を
作製することもできる。
【0095】例えば、粉末溶着法(例えば、DTM社の
Sinter Station を使用)による場合には、図14に示
すように、処理槽87の両側に配した容器80、81に
粉末成形材料(例えば、熱可塑性の粉末樹脂)88を収
容し、一方の容器80の表面域にある材料88を矢印8
3方向のローラー82の転動により処理槽87内のステ
ージ84上に搬入して分布させ、ローラー82を他方の
容器81まで移動させた後に逆方向84に再び転動させ
て容器81内の材料88をステージ84上に搬入して分
布させる。
【0096】このようにしてステージ84上に分布させ
た粉末成形材料88に対し、レーザー光L′(例えば、
CO2 レーザー光)を選択的に照射して材料88の照射
部分を所定パターンに焼き固め、これを、上述した光硬
化樹脂法の場合と同様の制御情報に基づいて順次行い、
これに応じてステージ84を下降させることにより、図
6に示した如き成形型を作製する(なお、非照射部分の
材料88は適当な方法で除去する。)。
【0097】この粉末溶着法では、材料88を短時間に
成形型に仕上げることができるとともに、種々の材料を
選べ、樹脂以外に金属も使用可能であって、樹脂製の成
形型のみならず、金属製の金型も作製可能である。
【0098】一方、溶融紡糸堆積法(例えば、株式会社
丸紅ハイテック・コーポレーション販売の3D MOD
ELERを使用)によれば、図15に示すように、巻回
した線状の成形材料(例えば、熱可塑性の樹脂ワイヤ)
98を、X−Y平面で移動可能なノズル97へ供給し、
ノズル97を所定温度に加熱して材料98を溶かし、こ
の溶融材料98Aを支持台90上に吐出させて固化させ
る。この操作を、上述したと同様の制御情報に基づいて
行うことにより、図6に示した如き成形型を作製する。
【0099】更に、薄板積層法(例えば、株式会社吉良
鉄工所製のKIRA Solid Centerを使用)は、図16
に示すように、上述したと同様の制御情報に基づいて予
めスライシングし、孔を加工した紙又は金属板108を
順次ホットプレスで積層していく方法であり、これも、
図6に示した如き成形型の作製を可能とする。
【0100】以上に説明したように、本実施の形態で
は、多数の吸引孔21aを有する多孔質構造の成形型2
1を、積層造形法を用いて作製するので、従来のような
型分割の必要が必ずしも無く、また、金網を用いる必要
が無くなる。即ち、金網の孔及び成形型の吸引孔に等価
な小孔を最初から成形型に形成することができるので、
成形型の形状が複雑な場合でも、型分割の必要が無くな
り、成形型の表面に金網を取り付けるという熟練度を要
する作業や、成形型の設計変更に伴う面倒な金網張りの
作業から解放され、成形型の作製時間を短縮して低コス
ト化を達成することができる。
【0101】例えば、電気製品等の梱包材について、そ
の成形型の作製に要する時間を、従来の方法を用いた場
合と、本実施の形態の方法を用いた場合とで比較する
と、前者では数週間の日数を要するのに対し、後者によ
れば十数時間程度で済み、作製時間を大幅に短縮するこ
とができる。
【0102】また、従来の抄型を用いる場合には、上述
の実施の形態の成形型21の吸引孔21aと違って、比
較的少数の大径の吸引孔56(図16参照)を通して繊
維が吸着されるため、吸引孔56の位置を適切に選ばな
いと、吸引孔56に近い場所と吸引孔56から遠い場所
とで繊維の成長の度合いに差が生じ、均一な成長を得る
のが難しい場合が有る。これに対し、上述の実施の形態
の成形型21によれば、小径の多数の吸引孔21aによ
り、型表面における繊維の成長を均一化させることが可
能となり、また、吸引孔21aの分布や孔径等を、成形
型の形状及び吸引圧力に応じて比較的自由に設計するこ
とができる。
【0103】更に、型の成形に積層造形法を用いること
により、型の設計変更や追加製造等に対し迅速且つ柔軟
に対応することができる。
【0104】次に、図17及び図18を参照して、上述
した積層造形法により作製された成形型21を用いた繊
維質材料の成形(例えば、パルプモールディング)方法
を説明する。
【0105】成形型21には、積層成形により、その抄
紙部70に多数の吸引孔21aが形成されており、これ
らが、図20に示した従来法における金網57と吸引孔
56との双方の機能を兼ね備えている。
【0106】図17に示すように、まず、凸形ブロック
状をした成形型21を上下逆にして、即ち、補強格子7
4が設けられた空洞部73を上側にして、液槽59内の
パルプ繊維の溶液60中に沈め、その成形型21の上方
に開放した開口72を蓋体53により閉塞して、成形型
21の空洞部73内を吸引管55を介して真空吸引装置
54により減圧する。この結果、液槽59内のパルプ繊
維の溶液60が、成形型21の抄紙部70の吸引孔21
aに侵入するとともに、抄紙部70の表面(抄紙面)に
パルプ繊維が吸着されて堆積し、予備成形生成物が成長
する。
【0107】この予備成形による生成物は、液槽59か
ら取り出された後、成形型21に対応する雌型(不図
示)により整形され、乾燥等の所定の工程を経て、成形
型21から取り外される。このようにして、図18に示
すような、成形型21の形状に対応した形状を有する梱
包材等のパルプ成形品75が製造される。
【0108】以上、本発明を好ましい実施の形態に従い
説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるも
のではない。
【0109】例えば、上述の実施の形態では、抄紙部で
囲まれた空洞内に補強部を設けたが、例えば、凹状の抄
紙面で抄紙を行うような場合、抄紙部の外側(抄紙面と
反対の側)に補強部を設けても良い。
【0110】また、成形型材料、更には成形される繊維
質材料の材質をはじめ、そのサイズ、形状等は様々に変
更して良く、成形型の積層造形時の製造条件も上述した
ものに限定されることはない。
【0111】更に、成形型の吸引孔(空孔)の形状、サ
イズ、分布状態等や、成形型の形状も様々であって良
い。
【0112】
【実施例】次に、上述の実施の形態による積層造形法
(例えば、光硬化樹脂法)で得られた成形型21につい
て、図19に示した従来法による成形型50の場合及び
成形型全体を抄紙部構造とした場合と比較しながら行っ
た実施例を説明する。
【0113】上述した実施の形態による方法で、CD−
ROM用梱包材をパルプモールディングするのに用いる
成形型21を作製したところ、下記の結果が得られた。
【0114】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 作業内容 型全体抄紙部 補強格子有り (時間) (時間) ────────────────────────────────── パラメーター設定 0.1 0.1 型構造データ作成 0.1 0.1 型作製(光造形) 8.0 5.6 (30%短縮) 後処理(後硬化等) 8.0 8.0 ────────────────────────────────── 合計 16.2時間 13.8時間(約15%短縮) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0115】このように、本発明により型内部に補強部
を設けた構造では、型全体を抄紙部とした構造に比較し
て、短時間に成形型を作製することができた(これは成
形型材料としてウレタン系、エポキシ系のいずれでも同
様)。なお、図19に示した従来法による場合には、成
形型の作製に約3〜4週間も要した。
【0116】また、こうして作製された成形型を用い
て、図17に示した如くにパルプモールドの成形(抄
紙)を行ったところ、本発明により型内部に補強部を設
けた構造では、型全体を抄紙部とした構造に比較して、
抄紙圧の向上により、約30%も生産性が向上(抄紙時
間の短縮等)した。
【0117】更に、本発明により型内部に補強部を設け
た成形型は、10万ショットの成形に対しても良好な結
果を示した。
【0118】
【発明の効果】本発明の成形型は、抄紙面及びその抄紙
面に繊維質材料を吸着して成形するための多数の空孔を
有する抄紙部と、前記抄紙部に隣接し且つ前記空孔より
大径の空孔を有する補強部とを備えているので、成形型
の機械的強度が向上するとともに、成形型の全体を抄紙
部構造とした場合と比べて、抄紙圧の向上により繊維質
成形品の生産性が向上し、また、成形型自体の製造時間
も短縮される。
【0119】また、成形型を積層造形法により製造する
ことで、例えば、成形型の形状が複雑な場合でも、成形
型を幾つかの部分に分割する必要が無くなり、また、抄
紙面に金網を用いる必要が無いので、成形型に金網を取
り付ける作業等が全く不要となり、作業者に高い熟練度
が要求されることなく、成形型を効率的且つ短時間で製
造することができる。しかも、設計変更や型の追加製造
等に対しても迅速に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態で用いる光硬化樹脂法によ
る積層造形装置を示す概略図である。
【図2】積層造形装置の光走査部と移動機構を示す概略
図である。
【図3】積層造形を面照射方式で行う時の状況を示す概
略図である。
【図4】構造データとして用いる成形型の基本形状の一
例を示す斜視図である。
【図5】成形型の基本形状を等高断面で切断した状態を
示す斜視図である。
【図6】多数の吸引孔が形成された成形型を示す斜視図
である。
【図7】抄紙部における格子と孔の形成方法を示す平面
図である。
【図8】抄紙部における格子の積層方法を示す斜視図で
ある。
【図9】成形型全体を抄紙部構造とした場合の成形型の
断面図である。
【図10】成形型の内部空洞に補強格子を設けた場合の
成形型の断面図である。
【図11】成形型の内部空洞に別部材による補強格子を
設ける場合の成形型の断面図である。
【図12】本発明の実施の形態による成形型の製造手順
を示すフローチャートである。
【図13】抄紙部における格子と孔の形成方法を示す平
面図及び断面図である。
【図14】粉末溶着法による積層造形装置を示す概略断
面図である。
【図15】溶融紡糸堆積法による積層造形装置を示す概
略断面図である。
【図16】薄板積層法による積層造形装置を示す概略断
面図である。
【図17】本発明の実施の形態による成形型を用いたパ
ルプモールディングの方法を示す概略断面図である。
【図18】パルプモールディングで得られたパルプ成形
品の断面図である。
【図19】従来の抄型の概略断面図である。
【図20】従来のパルプモールディングの方法を示す概
略断面図である。
【符号の説明】
4…光走査部、5…移動機構、8…光硬化性樹脂、14
…ステージ、18…積層成形物、19…基本形状、20
…平面、21…成形型、21a…吸引孔、22…格子、
22a…格子部分、23…スポット、53…蓋体、54
…真空吸引装置、55…吸引管、57…金網、60…パ
ルプ繊維溶液、70…抄紙部、73…空洞部、74…補
強格子、75…パルプ成形品
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 控井 幸朗 大阪市旭区赤川2丁目8番23号 株式会社 ウツヰ内

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抄紙面及びその抄紙面に繊維質材料を吸
    着して成形するための多数の空孔を有する抄紙部と、 前記抄紙部に隣接し且つ前記空孔より大径の空孔を有す
    る補強部と、を備えた、成形型。
  2. 【請求項2】 前記抄紙部の厚みが0.5mm以上であ
    る、請求項1に記載の成形型。
  3. 【請求項3】 フリーネス値が400〜600mlで且
    つ繊維長が0.3〜3mmである繊維質材料を成形する
    ための成形型であって、前記抄紙部における空孔径が3
    mm以下である、請求項1に記載の成形型。
  4. 【請求項4】 前記補強部が、前記抄紙部により囲まれ
    た空洞内に設けられた補強格子部である、請求項1に記
    載の成形型。
  5. 【請求項5】 積層造形法により、前記補強格子部が前
    記抄紙部と一体に成形されている、請求項4に記載の成
    形型。
  6. 【請求項6】 前記補強格子部における格子幅が、前記
    抄紙部における格子幅の(2p−1)倍(p:2以上の
    整数)である、請求項5に記載の成形型。
  7. 【請求項7】 前記補強格子部が、前記抄紙部とは別部
    材で構成されている、請求項4に記載の成形型。
  8. 【請求項8】 抄紙面及びその抄紙面に繊維質材料を吸
    着して成形するための多数の空孔を有する抄紙部と、前
    記抄紙部に隣接し且つ前記空孔より大径の空孔を有する
    補強部とを備えた成形型を、積層造形法により積層材料
    を層状に順次積層して製造する、成形型の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記補強部として、前記抄紙部により囲
    まれた空洞内に補強格子部を形成する、請求項8に記載
    の成形型の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記積層造形法として、光硬化樹脂法
    を用いる、請求項8に記載の成形型の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記積層造形法として、粉末溶着法、
    溶融紡糸堆積法及び薄板積層法からなる群より選ばれた
    1種を用いる、請求項8に記載の成形型。
  12. 【請求項12】 前記積層材料の各層に材料の欠落部分
    を形成しつつそれらの層を順次積層することにより、前
    記欠落部分としての多数の前記空孔を前記成形型に形成
    する、請求項8に記載の成形型の製造方法。
  13. 【請求項13】 抄紙面及びその抄紙面に繊維質材料を
    吸着して成形するための多数の空孔を有する抄紙部と、
    前記抄紙部に隣接し且つ前記空孔より大径の空孔を有す
    る補強部とを備えた成形型の構造を、少なくとも前記抄
    紙部の厚み、前記抄紙部における空孔径及び前記補強部
    に前記抄紙部と一体に設ける補強格子の幅を含む製造パ
    ラメータに基づいて決定し、その決定された前記成形型
    の構造に基づいて、積層造形法により積層材料を層状に
    順次積層して前記成形型を製造する、成形型の製造方
    法。
  14. 【請求項14】 前記積層造形法として、光硬化樹脂法
    を用いる、請求項13に記載の成形型の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記積層造形法として、粉末溶着法、
    溶融紡糸堆積法及び薄板積層法からなる群より選ばれた
    1種を用いる、請求項13に記載の成形型。
  16. 【請求項16】 前記積層材料の各層に材料の欠落部分
    を形成しつつそれらの層を順次積層することにより、前
    記欠落部分としての多数の前記空孔を前記成形型に形成
    する、請求項13に記載の成形型の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記補強格子の幅のパラメータがゼロ
    の時、前記補強部として、前記補強格子を形成せず、前
    記抄紙部とは別部材の補強手段を用いる、請求項13に
    記載の成形型の製造方法。
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