JPH11129402A - 複合構造シート - Google Patents
複合構造シートInfo
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- JPH11129402A JPH11129402A JP29873097A JP29873097A JPH11129402A JP H11129402 A JPH11129402 A JP H11129402A JP 29873097 A JP29873097 A JP 29873097A JP 29873097 A JP29873097 A JP 29873097A JP H11129402 A JPH11129402 A JP H11129402A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 ABS樹脂を基層とする複合構造シートにお
いて、耐薬品性を損なうことなく、ABS樹脂の表面性
状の欠点を改善すると共に、回収再利用を容易にする。 【解決手段】 ABS樹脂よりなる基層に、アクリロニ
トリル含有量30〜45重量%のSAN樹脂の表層を設
けた複合構造シート。 【効果】 アクリロニトリル含有量の多いSAN樹脂は
耐薬品性に優れるため、耐薬品性に優れた複合構造シー
トを提供できる。SAN樹脂は、表面硬度が高く、ま
た、光沢も良好であるため、複合構造シートの表面性状
も良好なものとなる。SAN樹脂は基層のABS樹脂と
構成成分が共通するため、分別回収の必要はなく、回収
再利用も容易である。
いて、耐薬品性を損なうことなく、ABS樹脂の表面性
状の欠点を改善すると共に、回収再利用を容易にする。 【解決手段】 ABS樹脂よりなる基層に、アクリロニ
トリル含有量30〜45重量%のSAN樹脂の表層を設
けた複合構造シート。 【効果】 アクリロニトリル含有量の多いSAN樹脂は
耐薬品性に優れるため、耐薬品性に優れた複合構造シー
トを提供できる。SAN樹脂は、表面硬度が高く、ま
た、光沢も良好であるため、複合構造シートの表面性状
も良好なものとなる。SAN樹脂は基層のABS樹脂と
構成成分が共通するため、分別回収の必要はなく、回収
再利用も容易である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は複合構造シートに係
り、特に、優れた耐薬品性と表面硬度を有し、リサイク
ル性にも優れた複合構造シートに関する。
り、特に、優れた耐薬品性と表面硬度を有し、リサイク
ル性にも優れた複合構造シートに関する。
【0002】
【従来の技術】ABS(アクリロニトリル−ブタジエン
−スチレン)樹脂シートは耐衝撃性、機械的強度、着色
性、塗装性などの特性に優れる上に、押し出し成形や真
空成形などの二次加工性にも優れている。しかし、AB
S樹脂はゴム強化樹脂であるために、ABS樹脂シート
は、表面硬度が不足する;深みのある発色が困難であ
る;表面光沢が不足するなどの問題を本質的に持ってい
る。
−スチレン)樹脂シートは耐衝撃性、機械的強度、着色
性、塗装性などの特性に優れる上に、押し出し成形や真
空成形などの二次加工性にも優れている。しかし、AB
S樹脂はゴム強化樹脂であるために、ABS樹脂シート
は、表面硬度が不足する;深みのある発色が困難であ
る;表面光沢が不足するなどの問題を本質的に持ってい
る。
【0003】このような問題を解決するために、従来
は、MMA(メチルメタクリレート)樹脂のような透明
性樹脂をABS樹脂シートにラミネートして表皮層を形
成し、複合構造シートとしたものが採用されている。
は、MMA(メチルメタクリレート)樹脂のような透明
性樹脂をABS樹脂シートにラミネートして表皮層を形
成し、複合構造シートとしたものが採用されている。
【0004】ところで、各種樹脂製品においては、日常
生活で使用される薬品類等、例えば、洗剤、艶出し剤、
化粧品、殺菌剤、除菌剤、洗髪剤、アルコール飲料など
との接触でクラックやクレージングが発生すると、外観
を損なうばかりでなく、クラックの拡大により本来の機
能を損ない、著しい場合には破損に至るため、これらの
薬品類等に対する耐久性が必要とされる。家庭で使用さ
れる薬剤の影響力は近年増々大きいものとなっており、
このため、樹脂製品に要求される耐薬品性の重要性は増
々増大している。
生活で使用される薬品類等、例えば、洗剤、艶出し剤、
化粧品、殺菌剤、除菌剤、洗髪剤、アルコール飲料など
との接触でクラックやクレージングが発生すると、外観
を損なうばかりでなく、クラックの拡大により本来の機
能を損ない、著しい場合には破損に至るため、これらの
薬品類等に対する耐久性が必要とされる。家庭で使用さ
れる薬剤の影響力は近年増々大きいものとなっており、
このため、樹脂製品に要求される耐薬品性の重要性は増
々増大している。
【0005】また、省資源やゴミ問題から、樹脂製品に
ついては回収再利用可能なリサイクル性が要求されてい
る。
ついては回収再利用可能なリサイクル性が要求されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ABS樹脂を基層とし
MMA樹脂を表層とする従来の複合構造シートでは、A
BS樹脂の良好な耐薬品性をMMA樹脂の表層が覆い隠
してしまうこととなり、複合構造シートとしての耐薬品
性が劣るという欠点がある。即ち、従来の複合構造シー
トは、MMA樹脂の表層により、ABS樹脂の表面硬度
の不足、深みのある発色の困難性、表面光沢の不足など
の問題点を解決しているが、反面、耐薬品性の低下で製
品の応用範囲を制限する結果となっている。
MMA樹脂を表層とする従来の複合構造シートでは、A
BS樹脂の良好な耐薬品性をMMA樹脂の表層が覆い隠
してしまうこととなり、複合構造シートとしての耐薬品
性が劣るという欠点がある。即ち、従来の複合構造シー
トは、MMA樹脂の表層により、ABS樹脂の表面硬度
の不足、深みのある発色の困難性、表面光沢の不足など
の問題点を解決しているが、反面、耐薬品性の低下で製
品の応用範囲を制限する結果となっている。
【0007】また、ABS樹脂とMMA樹脂という本質
的に異なった材料の複層構造とされた従来の複合構造シ
ートでは、回収再利用に当り、両樹脂を分別して回収す
る必要があるが、これらを分別回収することは極めて困
難であるため、回収再利用が容易ではないという欠点が
ある。
的に異なった材料の複層構造とされた従来の複合構造シ
ートでは、回収再利用に当り、両樹脂を分別して回収す
る必要があるが、これらを分別回収することは極めて困
難であるため、回収再利用が容易ではないという欠点が
ある。
【0008】本発明は上記従来の問題点を解決し、AB
S樹脂を基層とする複合構造シートにおいて、耐薬品性
を損なうことなく、ABS樹脂の表面性状の欠点を改善
した複合構造シートであって、回収再利用も容易な複合
構造シートを提供することを目的とする。
S樹脂を基層とする複合構造シートにおいて、耐薬品性
を損なうことなく、ABS樹脂の表面性状の欠点を改善
した複合構造シートであって、回収再利用も容易な複合
構造シートを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の複合構造シート
は、ゴム強化スチレンアクリロニトリル共重合樹脂より
なる基層に、透明又は透光性の表層が形成された複合構
造シートにおいて、該表層が、アクリロニトリル含有量
が30〜45重量%のスチレンアクリロニトリル共重合
樹脂よりなることを特徴とする。
は、ゴム強化スチレンアクリロニトリル共重合樹脂より
なる基層に、透明又は透光性の表層が形成された複合構
造シートにおいて、該表層が、アクリロニトリル含有量
が30〜45重量%のスチレンアクリロニトリル共重合
樹脂よりなることを特徴とする。
【0010】アクリロニトリル含有量が30重量%以上
と、通常のスチレンアクリロニトリル共重合樹脂(SA
N樹脂)よりもアクリロニトリル含有量の多いSAN樹
脂は、耐薬品性が良好であるため、耐薬品性に優れた複
合構造シートを提供できる。
と、通常のスチレンアクリロニトリル共重合樹脂(SA
N樹脂)よりもアクリロニトリル含有量の多いSAN樹
脂は、耐薬品性が良好であるため、耐薬品性に優れた複
合構造シートを提供できる。
【0011】なお、SAN樹脂は、表面硬度が高く、ま
た、光沢も良好であるため、複合構造シートの表面性状
も良好なものとなる。
た、光沢も良好であるため、複合構造シートの表面性状
も良好なものとなる。
【0012】しかも、SAN樹脂は、基層のゴム強化ス
チレンアクリロニトリル共重合樹脂と構成成分が共通す
るため、表面と基層とを分別回収する必要がなく、回収
再利用も容易である。
チレンアクリロニトリル共重合樹脂と構成成分が共通す
るため、表面と基層とを分別回収する必要がなく、回収
再利用も容易である。
【0013】本発明において、表層は、上記高アクリロ
ニトリル含有量のSAN樹脂と10重量%以下のゴム強
化スチレンアクリロニトリル共重合樹脂との混合樹脂よ
りなるものでもよく、ゴム強化スチレンアクリロニトリ
ル共重合樹脂の配合により耐薬品性をより一層高めるこ
とができる。
ニトリル含有量のSAN樹脂と10重量%以下のゴム強
化スチレンアクリロニトリル共重合樹脂との混合樹脂よ
りなるものでもよく、ゴム強化スチレンアクリロニトリ
ル共重合樹脂の配合により耐薬品性をより一層高めるこ
とができる。
【0014】本発明において、基層のゴム強化スチレン
アクリロニトリル共重合樹脂としては、ABS(アクリ
ロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、ASA(ア
クリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル)樹脂
又はAES(アクリロニトリル−EPDM(エチレンプ
ロピレンジエン共重合体)−スチレン)樹脂が挙げられ
る。
アクリロニトリル共重合樹脂としては、ABS(アクリ
ロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、ASA(ア
クリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル)樹脂
又はAES(アクリロニトリル−EPDM(エチレンプ
ロピレンジエン共重合体)−スチレン)樹脂が挙げられ
る。
【0015】なお、以下において、基層のゴム強化スチ
レンアクリロニトリル共重合樹脂を「AXS樹脂」と称
す。
レンアクリロニトリル共重合樹脂を「AXS樹脂」と称
す。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を詳細
に説明する。
に説明する。
【0017】本発明の複合構造シートの基層を構成する
AXS樹脂としては、ABS樹脂、ASA樹脂又はAE
S樹脂、或いはこれらの樹脂の2種以上の混合樹脂が挙
げられ、これらのAXS樹脂に、耐熱性の向上のため
に、更にアルファメチルスチレンやノルマルフェニルマ
レイミドを共重合させたもの、或いは、剛性向上のため
にガラス繊維等の補強繊維を配合したもの、或いは、耐
熱性及び耐衝撃性向上のためにポリカーボネートを配合
したもの、その他の変性AXS樹脂であっても良い。
AXS樹脂としては、ABS樹脂、ASA樹脂又はAE
S樹脂、或いはこれらの樹脂の2種以上の混合樹脂が挙
げられ、これらのAXS樹脂に、耐熱性の向上のため
に、更にアルファメチルスチレンやノルマルフェニルマ
レイミドを共重合させたもの、或いは、剛性向上のため
にガラス繊維等の補強繊維を配合したもの、或いは、耐
熱性及び耐衝撃性向上のためにポリカーボネートを配合
したもの、その他の変性AXS樹脂であっても良い。
【0018】なお、AXS樹脂中のアクリロニトリル含
有量は15〜30重量%、スチレン含有量は55〜65
重量%。ブタジエン等のゴム成分含有量は15〜30重
量%であることが好ましい。
有量は15〜30重量%、スチレン含有量は55〜65
重量%。ブタジエン等のゴム成分含有量は15〜30重
量%であることが好ましい。
【0019】このようなAXS樹脂で構成される基層の
厚さは、薄過ぎると強度が不足し、厚過ぎると成形性及
びシート成形が困難となるため、基層の厚さは1〜10
mmの範囲であることが好ましい。
厚さは、薄過ぎると強度が不足し、厚過ぎると成形性及
びシート成形が困難となるため、基層の厚さは1〜10
mmの範囲であることが好ましい。
【0020】一方、表層を構成するSAN樹脂は、アク
リロニトリル含有量が30〜45重量%と、通常のSA
N樹脂よりもアクリロニトリル含有量の多いものであ
る。
リロニトリル含有量が30〜45重量%と、通常のSA
N樹脂よりもアクリロニトリル含有量の多いものであ
る。
【0021】SAN樹脂の耐薬品性は、そのアクリロニ
トリル含有量に左右され、アクリロニトリル含有量が多
い程耐薬品性が高い。しかし、アクリロニトリルが30
重量%以上となると溶融時の流動性が低下し、SAN樹
脂の製造が困難になること、溶融成形時に熱による変色
や分解が起こることなどから、従来において、アクリロ
ニトリル含有量が30重量%以上のSANは実用的でな
いとされており、通常のSAN樹脂のアクリロニトリル
含有量は20重量%以上30重量%未満とされていた。
トリル含有量に左右され、アクリロニトリル含有量が多
い程耐薬品性が高い。しかし、アクリロニトリルが30
重量%以上となると溶融時の流動性が低下し、SAN樹
脂の製造が困難になること、溶融成形時に熱による変色
や分解が起こることなどから、従来において、アクリロ
ニトリル含有量が30重量%以上のSANは実用的でな
いとされており、通常のSAN樹脂のアクリロニトリル
含有量は20重量%以上30重量%未満とされていた。
【0022】本発明では、アクリロニトリル含有量を3
0重量%以上と高め、耐薬品性を確保したSAN樹脂に
ついて、複合構造シートの表層樹脂としての応用を見出
した。
0重量%以上と高め、耐薬品性を確保したSAN樹脂に
ついて、複合構造シートの表層樹脂としての応用を見出
した。
【0023】本発明において、この表層のSAN樹脂の
アクリロニトリル含有量は、上述の如く、耐薬品性の確
保のために30重量%以上とする。このアクリロニトリ
ル含有量が45重量%を超えると溶融時の流動性が極端
に低下し、製造が著しく困難になると共に、熱による変
色や分解の問題が生じるため、SAN樹脂のアクリロニ
トリル含有量は25〜45重量%、好ましくは30〜4
3重量%とする。
アクリロニトリル含有量は、上述の如く、耐薬品性の確
保のために30重量%以上とする。このアクリロニトリ
ル含有量が45重量%を超えると溶融時の流動性が極端
に低下し、製造が著しく困難になると共に、熱による変
色や分解の問題が生じるため、SAN樹脂のアクリロニ
トリル含有量は25〜45重量%、好ましくは30〜4
3重量%とする。
【0024】なお、このようにアクリロニトリル含有量
の多いSAN樹脂は、流動性の低下等のために製造が容
易ではないが、本発明では、スチレンとアクリロニトリ
ルの単量体混合物に連鎖移動剤としてメルカプタン,ア
ルファメチルスチレンダイマー,テルペン類等を添加し
懸濁重合することにより、高アクリロニトリル含有量の
SAN樹脂の製造を可能とした。
の多いSAN樹脂は、流動性の低下等のために製造が容
易ではないが、本発明では、スチレンとアクリロニトリ
ルの単量体混合物に連鎖移動剤としてメルカプタン,ア
ルファメチルスチレンダイマー,テルペン類等を添加し
懸濁重合することにより、高アクリロニトリル含有量の
SAN樹脂の製造を可能とした。
【0025】本発明において、表層は、上述のような高
アクリロニトリル含有量のSAN樹脂とゴム強化スチレ
ンアクリロニトリル共重合樹脂、即ちAXS樹脂との混
合樹脂で構成されていても良く、AXS樹脂の配合によ
り耐薬品性をより一層高めることができる。しかし、こ
の場合、AXS樹脂の割合が過度に多いと、ゴム成分が
多くなることで表面硬度が低下するなど、表面性状が損
なわれるため、混合樹脂中のAXS樹脂の割合は10重
量%以下とする。
アクリロニトリル含有量のSAN樹脂とゴム強化スチレ
ンアクリロニトリル共重合樹脂、即ちAXS樹脂との混
合樹脂で構成されていても良く、AXS樹脂の配合によ
り耐薬品性をより一層高めることができる。しかし、こ
の場合、AXS樹脂の割合が過度に多いと、ゴム成分が
多くなることで表面硬度が低下するなど、表面性状が損
なわれるため、混合樹脂中のAXS樹脂の割合は10重
量%以下とする。
【0026】なお、このAXS樹脂としては、前述の基
層を構成するAXS樹脂と同様のABS樹脂、ASA樹
脂、AES樹脂等を用いることができる。
層を構成するAXS樹脂と同様のABS樹脂、ASA樹
脂、AES樹脂等を用いることができる。
【0027】このようなSAN樹脂又はSAN樹脂を主
体とする混合樹脂よりなる表層の厚さは薄過ぎると、耐
薬品性や表面硬度、その他の表面性状の改善効果が十分
に得られず、厚過ぎると加工性に劣るため、通常は0.
08〜3mm程度であることが好ましい。
体とする混合樹脂よりなる表層の厚さは薄過ぎると、耐
薬品性や表面硬度、その他の表面性状の改善効果が十分
に得られず、厚過ぎると加工性に劣るため、通常は0.
08〜3mm程度であることが好ましい。
【0028】このような本発明の複合構造シートを製造
する方法には特に制限はなく、従来公知の複合構造シー
トの製造方法を採用することができる。即ち、本発明の
複合構造シートは、ラミネートが可能なあらゆる樹脂成
形製造装置、例えばカレンダー装置、或いは、表層と基
層を同時に押し出し成形できるフィードブロックを持っ
たシート押出成形機や、2層押し出し可能なリングダイ
によるブロー押出成形機等を用いて常法に従って製造す
ることができる。
する方法には特に制限はなく、従来公知の複合構造シー
トの製造方法を採用することができる。即ち、本発明の
複合構造シートは、ラミネートが可能なあらゆる樹脂成
形製造装置、例えばカレンダー装置、或いは、表層と基
層を同時に押し出し成形できるフィードブロックを持っ
たシート押出成形機や、2層押し出し可能なリングダイ
によるブロー押出成形機等を用いて常法に従って製造す
ることができる。
【0029】なお、本発明の複合構造シートは、基層と
表層との間には印刷膜が形成されていても良い。例え
ば、印刷膜を形成する場合、シルクスクリーン印刷法,
オフセットグラビア印刷法等により形成することができ
る。
表層との間には印刷膜が形成されていても良い。例え
ば、印刷膜を形成する場合、シルクスクリーン印刷法,
オフセットグラビア印刷法等により形成することができ
る。
【0030】一般に、このような複合構造シートは、更
に真空成形又は圧空成形等により賦形してかばん,テー
ブルトップ,カウンタートップ,化粧棚,化粧板表皮,
洗面ボウル,浴槽,浴室内パネル,広告板,食品トレ
ー,ベッドパネル,食品コンテナ等として製品化され
る。
に真空成形又は圧空成形等により賦形してかばん,テー
ブルトップ,カウンタートップ,化粧棚,化粧板表皮,
洗面ボウル,浴槽,浴室内パネル,広告板,食品トレ
ー,ベッドパネル,食品コンテナ等として製品化され
る。
【0031】本発明の複合構造シートを用いた製品は、
複合構造シートの表層と基層とを分別回収することな
く、そのまま回収して溶融、成形することができ、これ
により基層を構成するAXS樹脂に表層を構成するSA
N樹脂が均一に分散混合された回収樹脂を得ることがで
きる。基層を構成するAXS樹脂が補強繊維等が配合さ
れた変性AXS樹脂であっても何ら問題なく、回収再利
用可能である。
複合構造シートの表層と基層とを分別回収することな
く、そのまま回収して溶融、成形することができ、これ
により基層を構成するAXS樹脂に表層を構成するSA
N樹脂が均一に分散混合された回収樹脂を得ることがで
きる。基層を構成するAXS樹脂が補強繊維等が配合さ
れた変性AXS樹脂であっても何ら問題なく、回収再利
用可能である。
【0032】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明する。
り具体的に説明する。
【0033】実施例1 まず、懸濁重合法により、高アクリロニトリル含有量の
SAN樹脂を製造した。
SAN樹脂を製造した。
【0034】用いた重合装置は重合の制御に必要な撹拌
装置、温度制御装置、モノマー及び重合助剤の投入のた
めの計量投入装置を備える耐圧重合装置であり、予め、
重合槽に仕込んだモノマー及び重合助剤は次の通りであ
る。
装置、温度制御装置、モノマー及び重合助剤の投入のた
めの計量投入装置を備える耐圧重合装置であり、予め、
重合槽に仕込んだモノマー及び重合助剤は次の通りであ
る。
【0035】 アクリロニトリル 43重量部 スチレン 12重量部 t−ドデシルメルカプタン 0.5重量部 ジ−t−ブチル−p−クレゾール 0.02重量部 アクリル酸−アクリル酸−2−エチルヘキシル共重合体 0.003重量部 臭化ナトリウム 0.4重量部 イオン交換水 70重量部 重合槽内の温度を均一に保つべく撹拌を行いながら10
6℃まで昇温した後、少量のスチレンに溶解した1−t
−アゾ−1−シアノシクロヘキサン0.15重量部を加
えた。重合が開始した後、スチレン45重量部を4時間
30分で定量フィードした。このスチレンの定量フィー
ド時に重合槽内の温度を106℃から128℃に変化さ
せた。スチレンの定量フィードが終了した後、45分を
かけて重合槽内の温度を145℃まで昇温した。重合開
始後5時間15分を経た後、145℃に維持したままで
ストリッピングを1時間行い、残存のモノマーを除去し
た。重合終了後の懸濁液を徐冷したのち、濾過、水洗、
乾燥を行い、ビーズ状のスチレンアクリロニトリル共重
合体を得た。この共重合体のアクリロニトリル含有量は
40.2重量%であった。
6℃まで昇温した後、少量のスチレンに溶解した1−t
−アゾ−1−シアノシクロヘキサン0.15重量部を加
えた。重合が開始した後、スチレン45重量部を4時間
30分で定量フィードした。このスチレンの定量フィー
ド時に重合槽内の温度を106℃から128℃に変化さ
せた。スチレンの定量フィードが終了した後、45分を
かけて重合槽内の温度を145℃まで昇温した。重合開
始後5時間15分を経た後、145℃に維持したままで
ストリッピングを1時間行い、残存のモノマーを除去し
た。重合終了後の懸濁液を徐冷したのち、濾過、水洗、
乾燥を行い、ビーズ状のスチレンアクリロニトリル共重
合体を得た。この共重合体のアクリロニトリル含有量は
40.2重量%であった。
【0036】得られたSAN樹脂を表層材料とし、基層
材料のABS樹脂 宇部サイコン(株)製「サイコラッ
ク(登録商標)EX215」を用い、同時押出成形法に
より、表層厚さ0.1mm,基層厚さ3mmの複合構造
シートを製造した。
材料のABS樹脂 宇部サイコン(株)製「サイコラッ
ク(登録商標)EX215」を用い、同時押出成形法に
より、表層厚さ0.1mm,基層厚さ3mmの複合構造
シートを製造した。
【0037】この複合構造シートの耐薬品性を下記方法
により調べ、表面硬度及び光沢の測定結果と共に、結果
を表1に示した。
により調べ、表面硬度及び光沢の測定結果と共に、結果
を表1に示した。
【0038】耐薬品性評価方法 円弧歪み治具により一定の歪みや応力を与えた試験片に
薬品を塗布し、48時間後に割れが発生する最も低い歪
み率を求めた。得られた値は限界歪み率である。薬品と
しては、バスマジックリン((株)花王製)とエタノー
ル(試薬特級)を用いた。なお、これらの薬品はMMA
樹脂に対してクラックやクレージングを発生させ易いも
のである。
薬品を塗布し、48時間後に割れが発生する最も低い歪
み率を求めた。得られた値は限界歪み率である。薬品と
しては、バスマジックリン((株)花王製)とエタノー
ル(試薬特級)を用いた。なお、これらの薬品はMMA
樹脂に対してクラックやクレージングを発生させ易いも
のである。
【0039】実施例2 実施例1で製造したSAN樹脂に、宇部サイコン(株)
製AES樹脂「UCL(登録商標)モデファイヤーレジ
ンE 500N」を混合樹脂中の含有量が10重量%と
なるように混合した樹脂を表層材料としたこと以外は実
施例1と同様にして複合構造シートを製造し、同様に評
価を行って、結果を表1に示した。
製AES樹脂「UCL(登録商標)モデファイヤーレジ
ンE 500N」を混合樹脂中の含有量が10重量%と
なるように混合した樹脂を表層材料としたこと以外は実
施例1と同様にして複合構造シートを製造し、同様に評
価を行って、結果を表1に示した。
【0040】実施例3 実施例1において、SAN樹脂の製造に当り、アクリロ
ニトリルの使用量を若干低減し、アクリロニトリル含有
量35重量%のSAN樹脂を製造し、このSAN樹脂を
表層材料としたこと以外は実施例1と同様にして複合構
造シートを製造し、同様に評価を行って、結果を表1に
示した。
ニトリルの使用量を若干低減し、アクリロニトリル含有
量35重量%のSAN樹脂を製造し、このSAN樹脂を
表層材料としたこと以外は実施例1と同様にして複合構
造シートを製造し、同様に評価を行って、結果を表1に
示した。
【0041】比較例1 実施例1において、SAN樹脂の製造に当り、アクリロ
ニトリルの使用量を低減し、アクリロニトリル含有量2
8重量%のSAN樹脂を製造し、この低アクリロニトリ
ル含有量SAN樹脂を表層材料としたこと以外は実施例
1と同様にして複合構造シートを製造し、同様に評価を
行って、結果を表1に示した。
ニトリルの使用量を低減し、アクリロニトリル含有量2
8重量%のSAN樹脂を製造し、この低アクリロニトリ
ル含有量SAN樹脂を表層材料としたこと以外は実施例
1と同様にして複合構造シートを製造し、同様に評価を
行って、結果を表1に示した。
【0042】
【表1】
【0043】表1より次のことが明らかである。
【0044】比較例1では限界歪み率が小さく、極く僅
かな歪みでも薬品の存在下では割れが発生する。これに
対して、実施例1,2においては、良好な耐薬品性及び
表面性状が得られる。
かな歪みでも薬品の存在下では割れが発生する。これに
対して、実施例1,2においては、良好な耐薬品性及び
表面性状が得られる。
【0045】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の複合構造シ
ートによれば、耐衝撃性、機械的強度、着色性、塗装性
等に優れたABS樹脂等のゴム強化スチレンアクリロニ
トリル共重合樹脂よりなる基層に、表面硬度、光沢等の
表面性状に優れ、しかも耐薬品性にも優れた高アクリロ
ニトリル含有量のSAN樹脂よりなる表層を形成するこ
とで、著しく良好な複合構造シートが提供される。しか
も、本発明の複合構造シートは回収再利用も容易であ
り、資源の有効利用、廃棄物の減量の面においても極め
て有利である。
ートによれば、耐衝撃性、機械的強度、着色性、塗装性
等に優れたABS樹脂等のゴム強化スチレンアクリロニ
トリル共重合樹脂よりなる基層に、表面硬度、光沢等の
表面性状に優れ、しかも耐薬品性にも優れた高アクリロ
ニトリル含有量のSAN樹脂よりなる表層を形成するこ
とで、著しく良好な複合構造シートが提供される。しか
も、本発明の複合構造シートは回収再利用も容易であ
り、資源の有効利用、廃棄物の減量の面においても極め
て有利である。
Claims (3)
- 【請求項1】 ゴム強化スチレンアクリロニトリル共重
合樹脂よりなる基層に、透明又は透光性の表層が形成さ
れた複合構造シートにおいて、 該表層が、アクリロニトリル含有量が30〜45重量%
のスチレンアクリロニトリル共重合樹脂よりなることを
特徴とする複合構造シート。 - 【請求項2】 ゴム強化スチレンアクリロニトリル共重
合樹脂よりなる基層に、透明又は透光性の表層が形成さ
れた複合構造シートにおいて、 該表層が、アクリロニトリル含有量が30〜45重量%
のスチレンアクリロニトリル共重合樹脂とゴム強化スチ
レンアクリロニトリル共重合樹脂との混合樹脂よりな
り、該混合樹脂中のゴム強化スチレンアクリロニトリル
共重合樹脂の割合が10重量%以下であることを特徴と
する複合構造シート。 - 【請求項3】 請求項1又は2において、該ゴム強化ス
チレンアクリロニトリル共重合樹脂は、ABS樹脂、A
SA樹脂又はAES樹脂であり、基層の厚さは1〜10
mmであることを特徴とする複合構造シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29873097A JPH11129402A (ja) | 1997-10-30 | 1997-10-30 | 複合構造シート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29873097A JPH11129402A (ja) | 1997-10-30 | 1997-10-30 | 複合構造シート |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11129402A true JPH11129402A (ja) | 1999-05-18 |
Family
ID=17863534
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29873097A Pending JPH11129402A (ja) | 1997-10-30 | 1997-10-30 | 複合構造シート |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11129402A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011219693A (ja) * | 2010-04-14 | 2011-11-04 | Umg Abs Ltd | ポリスチレン系樹脂被覆用樹脂組成物及び被覆成形品 |
-
1997
- 1997-10-30 JP JP29873097A patent/JPH11129402A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011219693A (ja) * | 2010-04-14 | 2011-11-04 | Umg Abs Ltd | ポリスチレン系樹脂被覆用樹脂組成物及び被覆成形品 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20041028 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060705 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20061010 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070220 |