JPH11124787A - ニードルフェルト及びその製造方法 - Google Patents

ニードルフェルト及びその製造方法

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JPH11124787A
JPH11124787A JP9306574A JP30657497A JPH11124787A JP H11124787 A JPH11124787 A JP H11124787A JP 9306574 A JP9306574 A JP 9306574A JP 30657497 A JP30657497 A JP 30657497A JP H11124787 A JPH11124787 A JP H11124787A
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Yasuhiko Kobayashi
靖彦 小林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製織によらない基布がニードルパンチの際に
配列が乱れず、糸群やウェッブが部分的な重量斑となる
ことがなく、しかも抄造中における寸法安定性の高いニ
ードルフェルト及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 糸を揃えてなる糸群2をスパイラル状に
周回させ、該糸群をホットメルト系樹脂6により固定し
てなる単層又は複数層の無端状の基布9と、該基布上に
積層したウェッブ状繊維10とをニードルパンチにより
交絡一体化せしめ、糸群を構成する糸同士がホットメル
ト系樹脂により固定されることでニードルパンチの際に
も配列の乱れが生じないように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は抄紙用、或いは濾過
布として使用して好適なニードルフェルト及びその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のニードルフェルトの基布には、通
常、織機により製織されたものが使用されていた。即
ち、製織された基布を用いたニードルフェルトは、基布
の経糸と緯糸とが相互に交絡したしっかりした組織を有
しているので、ニードルパンチの際に糸が針の貫通によ
って乱されたり、糸同士が互いに不規則に重なったり離
れたりすることがないばかりでなく、走行中の寸法安定
性にも優れたものであったが、製織に要する手間や時間
がかかりすぎて製作コストが高つくという大きな問題が
あったため、最近では製織によらない基布を用いたニー
ドルフェルトが提案されている。
【0003】前記製織によらない基布を用いたニードル
フェルトの代表的なものとして、例えば、特公昭54−
712号(出願人:ジョン・フォード:UK)、特公昭
46−3315号(出願人:日本フェルト(株))があ
る。前者は、経糸に相当する糸群と、ステープル繊維か
らなるウェッブとをニードルパンチにより交絡一体化さ
せてなる。
【0004】後者は、平面的に並んだ糸群をスパイラル
状に周回させ、その糸群の幅以上の幅で糸群の上に重な
るようにウェッブ状繊維を結果的にスパイラル状になる
ように連続的に供給し、ニードルパンチにより交絡一体
化してなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、製織に
よらない基布を用いたニードルフェルトの上記二者の技
術にあっては、均一に配列した糸群に繊維ウェッブを均
一に供給しても、ニードルパンチの際に糸群が針の貫通
によって押しのけられ糸配列が乱れたり、また、糸群と
糸群とを幅方向に突き合わせて連結する場合において
も、糸群同士が互いに不規則に重なったり離れたりする
ことで糸群やウェッブが部分的な重量斑となってしま
い、好ましいものではなかった。
【0006】特に、製織によらない基布を用いたニード
ルフェルトを抄紙用として使う場合において、走行中の
寸法安定性は緯糸に相当する交絡する糸群がないため、
経糸とウェッブとの弱い交絡となり、悪くならざるを得
なかった。
【0007】本発明は、製織によらない基布を用いたニ
ードルフェルトの上記の利点を活かすとともに、当該ニ
ードルフェルトが抱えている上記諸問題を一挙に解消す
るためのものである。即ち、本発明は、製織によらない
基布を用いたニードルフェルトでありながら、ニードル
パンチの際に糸配列が乱れず、糸群やウェッブが部分的
な重量斑となることもなく、しかも、抄造中における寸
法安定性の優れたニードルフェルト及びその製造方法を
提供することを目的とするものである。
【0008】
【問題点を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、糸を揃えてなる糸群をスパイラル状に周
回させ、該糸群をホットメルト系樹脂により固定してな
る単層又は複数層の無端状の基布と、該基布上に積層し
たウェッブ状繊維とをニードルパンチにより交絡一体化
せしめ、糸群を構成する糸同士がホットメルト系樹脂に
より固定されることでニードルパンチの際にも配列の乱
れが生じないように構成した。
【0009】また、請求項2に記載の発明は、前記糸群
の周回角度が、実質的なMD方向に対して5°以下の角
度に制限することで走行安定性に優れ、しかもホットメ
ルト系樹脂による固化された糸同士のズレがより起こり
難くなるように構成した。
【0010】さらに、請求項3に記載の発明は、前記複
数層の無端状の基布が、MD方向に対して5°以下の角
度を有する第1層と、MD方向に対して−5°以下の角
度を有する第2層との間に、緯糸をCMD方向に並べた
ことを特徴とし、CMD方向の強度を増大させた複数層
の無端状の基布が簡易に得られるように構成した。
【0011】さらに、請求項4に記載の発明は、糸を揃
えてなる糸群をスパイラル状に周回させ、該糸群に周回
時にホットメルト系樹脂を溶融状態でスプレー散布し、
該樹脂散布により固定された糸群よりなる単層又は複数
層の無端状の基布の上にウェッブ状繊維を積層してニー
ドルパンチを施すことを特徴とし、糸群のホットメルト
系樹脂による固定に要する手間や時間をかけず、製作コ
ストを低く抑え得るように構成した。
【0012】
【発明の実施の態様】次に、本発明の実施態様につい
て、添付図面に基づいて具体的に説明するが、これに総
て拘束されるものではない。第一の例として、図1の如
く、筬1を通して複数糸を引き揃えて糸群2とし、該糸
群2の端部3を、一定間隔を隔てて対峙させた一対の平
行なロール4a、4bに、予め掛入ておいた糸群ガイド
用の無端状ベルト5に結着する。
【0013】次いで、前記ロール4a、4bを矢印イ方
向に回転させると、無端状ベルト5に端部3を結着した
糸群2は引き込まれるから、糸群2を少しづつ幅方向、
即ち矢印ロ方向にズラしながら供給し、スパイラル状に
周回させる。この糸群2の周回時、溶融状態にあるホッ
トメルト系樹脂6をスプレー装置7により散布して固定
し、固定糸群8を得る。
【0014】前記ホットメルト系樹脂6の塗布方法とし
ては、ノズルスプレー、ロールコーティング、ドクター
ブレード等の方法があるが、本発明ではノズルスプレー
法を選択した。即ち、糸群に溶融した樹脂を蛇行糸状ま
たは綿状に散布することにより糸群に通気性を付与でき
ること、換言すれば、糸群の通気性を阻害するフィルム
化を生じさせないことのためである。
【0015】前記ノズルスプレー法によるホットメルト
系樹脂6の塗布方法として用いるスプレー装置7のノズ
ル7aの数は、糸群2の幅Hが50cmあれば、15個
程度配置することが好ましい。
【0016】前記糸群2がスプレー装置7による散布を
受けつつ一対の平行なロール4a、4b間を1周して元
の位置に戻って1周目の固定糸群8が作られたら、図2
の如く、糸群2は2周目に入り、これに対応して幅方向
(矢印ロ方向)に移動したスプレー装置7による散布を
受けて2周目の固定糸群8′が作られる。この時に僅か
にオーバーラップスプレーが行われ、1周目の固定糸群
8と2周目の固定糸群8′とは幅方向に連結することと
なる。
【0017】前記スプレー装置7を移動しつつ糸群2の
固定操作を必要な基布幅まで繰り返し行うことにより、
図3の如く、単層又は複数層の無端状の製織されていな
い基布9が得られることとなる。該基布9は糸群に乱れ
のない、しかも低坪量のものとなる。なお、前記スプレ
ー装置7の移動は、現実にはノズル群が糸群2の周回に
合わせて一緒に移動するようになっている。
【0018】前記糸群2を幅方向にスパイラル状に周回
させる際に、当然、該固定糸群8、8′…8n は基布9
の実質的なMD方向(破線で示す)に対して一定の傾斜
角度Rを持つことになるが、この傾斜角度Rはロール4
a、4b間の距離Kと糸群2の幅Hで規定される。
【0019】本実施例では前記傾斜角度Rを、5°以下
の角度に制限した。即ち、5°以下の角度では走行安定
性に優れ、しかもホットメルト系樹脂6による固定され
た固定糸群8、8′…8n からなる基布9は、図4の如
く、一体化するためにズレを起こし難くなるからであ
る。換言すれば、前記傾斜角度Rが5°を超える角度に
なると、走行方向の力に対しての抗力が低下することと
なり、好ましくない。
【0020】次いで、前記糸群2をスパイラル状に周回
し、これにホットメルト系樹脂6を溶融状態でスプレー
装置7により散布しながら固定して基布9となし、該基
布9の上に、図5の如く、糸群2の幅Hと同幅ないし2
倍幅H2 を有している80〜200g/m2 の繊維ウェ
ッブ10をその巻玉11より巻き戻しつつ供給し、ニー
ドルパンチ装置12を用いてニードルパンチを行うこと
によって、該繊維ウェッブ10と前記糸群2(固定糸群
8、8′…8n からなる基布9)とを交絡一体化させれ
ば所望のニードルフェルトが製造できる。
【0021】また、基布9は上記方法以外の別の方法
(第2の例)で製造できる。この第2の例について、具
体的に説明すると、まず、上記方法と同様に、一対の平
行なロール4a、4bに無端状ベルト5をガイドとして
糸群2をスパイラル状に供給して周回させ、該糸群2に
溶融状態にあるホットメルト系樹脂6をスプレー装置7
によりスプレー散布して固定糸群8を得る。該固定糸群
8がロールを1周して元の位置に戻ったら2周目の糸群
2を、同様にスプレー散布しつつ固定するとともに、僅
かにオーバーラップスプレーを行って1周目の固定糸群
8と2周目の固定糸群8′とを幅方向に連結する。
【0022】こうして連結した直後、1周目と2周目の
固定糸群8、8′上に、これらを覆うように80〜20
0g/m2 の繊維ウェッブ10を供給し、該供給ウェッ
ブ部分のみをニードルパンチ装置12によりニードルパ
ンチを行い、前記繊維ウェッブ11と固定糸群8、8′
とを交絡一体化させて帯状体13を得る。この帯状体1
3を必要幅になるまで繰り返してウェッブ付き基布9′
を得る。
【0023】さらに、第3の例を説明する。第3の例と
しては、基布の機械的強度を高める必要性により寸法安
定性に優れた複数層の基布9″が求められる場合、図6
の如く、固定糸群8、8′…をスパイラル状に5°以下
の傾斜角度Rで周回させて第1層(下布)となる無端状
の基布9Aを得たのち、その上に第2層(上布)となる
基布9Bを重ねる。
【0024】この場合、第2層(上布)の基布9Bの傾
斜角度R′は、第1層の基布9Aの傾斜角度Rが、実質
的なMD方向に対して5°であったとすると、−5°以
下の角度となす。この複数層の基布9″の断面図を図7
に示している。同様にして3重或いは4重の複数層の基
布を得ることがもできる。
【0025】また、複数層の基布9″を得る場合におい
ては、第1層(下布)の基布9Aの糸本数に対して、こ
れに重なる第2層(上布)の基布9Bの糸本数を1〜3
0本/cm多く配列して密度を高くすることが有効であ
る。
【0026】その理由は、該複数層の基布9″に、繊維
ウェッブを被せてニードルパンチ機で短繊維を交絡一体
化させて得られるニードルフェルト表面の緻密性、平滑
性が改善され、繊維の抜け毛防止などの効果を発揮させ
得るからである。
【0027】さらに、複数層の無端状の基布9″を形成
するに際し、MD方向に対して5°以下の角度を有する
第1層(下布)の基布9Aと、MD方向に対して−5°
以下の角度を有する第2層(上布)の基布9Bとの間
に、図8の如く、緯糸Yを1〜30本/cmの範囲でC
MD方向に並べても良い(この場合の緯糸Yは、経糸と
は接結ないし交絡しない)。かくすることによりCMD
方向の強度をより増大させた複数層の無端状の基布が簡
易に得られる利点がある。
【0028】本発明で使用できる糸は、単糸(モノフィ
ラメント、マルチフィラメント、紡績糸)、或いは撚糸
(モノフィラメントとマルチフィラメント、モノフィラ
メントと紡績糸、マルチフィラメントと紡績糸、モノフ
ィラメントと低融点マルチフィラメントなど複数種の糸
種類を組合わせて撚糸したもの)、或いは編み糸等があ
る。
【0029】本発明で使用できるホットメルト系樹脂6
は、糸群2への接着強度やオープンタイムを考慮して適
宜決定すべきであるが、通常市販されているポリウレタ
ン、ポリオレフィン、SBR、ポリアミド、ポリエステ
ル、EVAなどがある。
【0030】また、ホットメルト系樹脂6として、圧縮
回復性の向上にゴム弾性を有する熱可塑性エラストマー
を使用することもできる。本発明で製作された基布の含
有されるホットメルト系樹脂の総量は、固定糸群の強度
や該固定糸群同士がスプレー散布のオーバーラップによ
って固定される強度及び糸種類、糸密度(糸本数)を考
慮して決定されるが、概ね10〜100g/m2 の範囲
で使用できる。
【0031】上記実施の態様で示した、本発明に係る製
織によらない基布を用いたニードルフェルトは、製織さ
れた基布を用いたニードルフェルトに比して多くのメリ
ットを具備している。特に、製織に要する労力やコスト
が低減されるばかりでなく、経糸、緯糸の接結点がない
ため、抄紙用として使用した時の圧力分布が均一とな
り、搾水性の向上や紙製品の平滑性が向上する。しか
も、従来の製織されない基布を用いたニードルフェルト
が抱えている最大の問題点である糸の配列の乱れが解消
できるものである。
【0032】
【実施例1】今、ポリアミドステープルと、羊毛を混合
した5番手の紡績糸を用い、糸本数10本/cmに調節
した50cm幅の糸群を、予め整経用ボビンに巻き、こ
れより引き出した糸群2の端部を二本の並行ロールに掛
け入れた全長20mの無端状ベルトに結着した。
【0033】次に、糸群の幅方向に振りながら、融点1
15°CのEVA系ホットメルト樹脂を15g/m2
プレーで散布し、糸群を固定しつつ、これと同時に平行
ロールを分速5mで駆動させ無端ベルトと共に糸群を周
回させてスパイラル状に巻くことで全長20m、幅3m
のニードルフェルト用基布を得た。
【0034】このようにして得たニードルフェルト用基
布を、ニードルマシンに掛入れ、常法によりポリアミド
ステープルからなる15dのウェッブ状繊維を乗せ、ニ
ードルパンチにより交絡一体化した後、乾燥、毛焼きを
行って所望のニードルフェルトを得た。
【0035】
【実施例2】1000dのポリアミドマルチフィラメン
ト撚糸を用い、糸本数25本/cmに調整した50cm
幅の糸群を、実施例1と同様に整経用ボビンを巻き、こ
れより引き出した糸群の端部を二本の並行ロールに掛け
入れた全長20mの無端状ベルトに結着した。
【0036】次に、糸群の幅方向に振りながら、軟化点
140°Cのポリウレタン系熱可塑性エラストマー樹脂
を溶融し80g/m2 をスプレーで散布し、糸群を固定
し、同時に、並行ロールを分速2mで駆動させて無端状
ベルトと共に糸群を周回させスパイラル状に巻くことで
全長20m、4.5m幅のニードルフェルト用基布を作
り、以降、常法によりポリアミドステープルからなる1
0dのウェッブ状繊維を乗せてニードルパンチし、続い
て実施例1と同様の仕上工程を経て所望のニードルフェ
ルトを得た。
【0037】
【実施例3】800dポリアミドマルチフィラメント撚
糸を用い、糸本数10本/cmに調整した50cm幅の
糸群を、実施例1と同様に整経用ボビンに巻き、実施例
1に記述した方法と同じくこれより引き出した糸群端部
を二本の並行ロールに掛入れた全長20mの無端状ベル
トに結着した。
【0038】次に、糸群2の幅方向に振りながら、融点
115°CのEVA系ホットメルト樹脂を15g/m2
スプレーで散布し、糸群を固定し、同時に、並行ロール
を分速2mで駆動させ無端状ベルトと共に糸群を進行方
向左手から右手に移動しながら周回させスパイラル状に
巻き全長20m、幅3mの糸群からなる第1層(下布)
を形成し、更に、予め整経用ボビンに巻いて準備してお
いた糸本数16本/cmに調整した500dのポリアミ
ドマルチフィラメント撚糸よりなる50cm幅の糸群を
同じ方法にてEVA系ホットメルト樹脂で固定すると同
時に、上記第1層(下布)上に被せるように進行方向右
手から左手に移動しながら周回させてスパイラルに巻い
て第2層(上布)を形成した。
【0039】この第1層の基布(下布)は実質的なMD
方向に対して約1.4°の角度を持ち、第2層の基布
(上布)は第1層と対照的に約−1.4°の角度を持た
せて重ねられて複数層の基布を得、この上にポリアミド
ステープルからなる10dのウェッブ状繊維を乗せ、ニ
ードルパンチにより交絡一体化させ、続いて実施例1と
同様な仕上工程を経て所望のニードルフェルトを得た。
【0040】
【実施例4】330dのポリアミドモノフィラメント6
本、17番手紡績糸1本、110dホットメルトマルチ
フィラメント2本の撚糸を用い、糸本数8本/cmで糸
を並べて糸群とし、実施例1に記述した方法と同じく糸
群端部を2本の平行ロール間に掛けた全長20m無端ベ
ルトに結着した。
【0041】次に、2本の平行ロールを分速10mで回
転して糸群にポリアミド系ホットメルト樹脂を20g/
2 をスプレー散布しながら糸群を2本の平行ロール状
に幅3m巻き広げた。このようにして並べた糸の上にウ
ェッブ状繊維をニードルパンチして熱セットして仕上げ
た。
【0042】この場合、経糸に使用しているホットメル
トマルチフィラメントの融点が、ポリアミド系ホットメ
ルト樹脂の融点より低いものを使用することにより、仕
上げ時の熱セットにおいてホットメルトマルチフィラメ
ントを溶融させることによりウェッブ状繊維との固着性
が堅固となる。
【0043】
【比較例1】1000dポリアミドマルチフィラメント
撚糸を用い、糸本数25本/cmに調節した幅50cm
の糸群を、実施例1と同様に、予め整経用ボビンに巻
き、これより引き出した糸群の端部を二本の並行ロール
に掛け入れた全長20mの無端状ベルトに結着した。
【0044】ロールを分速2mが回転させながら糸群幅
の1または2倍の幅の80〜200g/m2 の繊維ウェ
ッブを供給し、ニードルパンチを行い80〜200g/
2のウェッブ状繊維と糸群が一体となったニードルフ
ェルト用基布を作り、以降、常法によりポリアミドステ
ープルからなる10dのウェッブ状繊維とニードリン
グ、続いて仕上げ工程を行いニードルフェルトを得た。
【0045】上記実施例1〜4及び比較例1のニードル
フェルトのニードリング時の針の貫通衝撃での糸本数
(密度)の乱れの有無、実施例1〜4及び比較例1のニ
ードルフェルトのプレス部での搾水後の湿紙水分、目視
による紙表面の平滑性、基布製作時間について比較した
ところ、次表の結果を得た。
【0046】 表 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 糸本数の乱れ 搾水後の湿紙水分 紙表面の平滑性 基布製作時間 実施例1 なし 56% 良好 32分 実施例2 なし 55% 良好 110分 実施例3 なし 55% 良好 160分 実施例4 なし 56% 良好 16分 比較例1 有り 57% マーク発生有り 110分 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0047】上表より、実施例1〜4のものは、ホット
メルト樹脂で固定されているためニードリングの際、針
が貫通する衝撃で糸本数(密度)が乱れることがなく、
そのためプレス部での圧力分布が均一となり従来の製織
品で搾水後の湿紙水分57%であったのに対し、これら
は総て約55〜56%と搾水性が優れ、かつ経糸と緯糸
の接結点がないため紙表面が平滑となり印刷適性の向上
も見られた。さらに、実施例1の場合、従来品の製作時
間に比べ約1/10時間で基布を作ることができ、大幅
に工数を削減できた。
【0048】特に、実施例2のものにあっては、基布準
備時間も短縮できた上に、ポリアミドの糸と繊維ウェッ
ブで構成したニードルフェルトに比較的ゴム弾性に優れ
るポリウレタン系熱可塑性エラストマー樹脂を構成する
ことで圧縮回復性の改良が見られ、搾水時の圧力下密度
が高くなり湿紙から搾水量がより向上した。
【0049】また、実施例3のものにあっては、MD方
向に対し左右対称の角度のついた第2層(上布)と第1
層(下布)の構造によって、単独で基布に使用した場合
に比べ、抄造時の寸法安定及び走行安定性が向上した。
【0050】さらに、実施例3のものは、第1層(下
布)に対して第2層(上布)に比較的細いデニールのマ
ルチフィラメント撚糸をより緻密に配置することで下布
のマークを消し、より均一な圧力分布が得られ、マーク
性が向上した。しかも、基布の厚み方向に緻密な上布
と、過疎な下布の密度差をつけることで圧力下で基布中
に水圧差が生じ湿紙からの搾水性が向上した。
【0051】さらに、実施例4のものにあっては、ニー
ドルパンチによりウェッブ状繊維で糸を固着した後の糸
の配列の乱れが少なく、かつ熱加工して仕上げた製品の
繊維ウェッブの固着が堅固であった。
【0052】
【発明の効果】以上、説明した如く、本発明は、糸を揃
えてなる糸群をスパイラル状に周回させ、該糸群をホッ
トメルト系樹脂により固定してなる単層又は複数層の無
端状の基布と、該基布上に積層したウェッブ状繊維とを
ニードルパンチにより交絡一体化せしめたことを特徴と
しているから、製織によらない基布を用いたニードルフ
ェルトでありながら、ニードルパンチの際に糸配列が乱
れず、糸群やウェッブが部分的な重量斑となることもな
く、しかも、緯糸に相当する交絡する糸群がないため、
抄造時の加圧下の圧力分布が均一になり、搾水性、マー
ク性、平滑性が向上するという優れた効果を奏するもの
である。
【0053】また、本発明は、従来の製織によらない基
布を用いたニードルフェルトと異なり寸法安定性が高い
ため、抄紙機パートで使用できるとともに、製織した基
布を用いたニードルフェルトに比し、製織に係わる労力
やコストが大幅に削減できるという効果を奏するもので
ある。
【0054】さらに、請求項2に記載の発明は、前記糸
群の周回角度が、実質的なMD方向に対して5°以下の
角度を有していることを特徴としているから、より走行
安定性に優れ、しかもホットメルト系樹脂による固化さ
れた糸同士のズレが、より起こり難くなるという優れた
効果を奏するものである。
【0055】さらにまた、請求項3に記載の発明は、前
記複数層の無端状の基布が、MD方向に対して5°以下
の角度を有する第1層と、MD方向に対して−5°以下
の角度を有する第2層との間に、緯糸をCMD方向に並
べたことを特徴とし、CMD方向の強度を増大させた複
数層の無端状の基布が簡易に得られるという優れた効果
を奏するものである。
【0056】さらにまた、請求項4に記載の発明は、糸
を揃えてなる糸群をスパイラル状に周回させ、該糸群に
周回時にホットメルト系樹脂を溶融状態でスプレー散布
し、該樹脂散布により固定された糸群よりなる単層又は
複数層の無端状の基布の上にウェッブ状繊維を積層して
ニードルパンチを施すことを特徴としているから、抄造
中における寸法安定性の優れたニードルフェルトの製造
方法を提供することが可能となる。しかも、糸群のホッ
トメルト系樹脂による固定に要する手間や時間をかけ
ず、製作コストを低く抑え得るという優れた効果を奏す
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るニードルフェルト用の基布の製造
過程の第一段階を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るニードルフェルト用の基布の製造
過程の第二段階を示す斜視図である。
【図3】本発明に係るニードルフェルト用の基布の全体
図であって、MD方向と糸群の角度を示した斜視図であ
る。
【図4】本発明に係るニードルフェルト用の単層構造の
基布をCMD方向に切断した拡大断面図である。
【図5】本発明に係るニードルフェルト用の基布の製造
過程の第三段階を示す斜視図であって、固定糸群と繊維
ウェッブを一体化しているイメージしたものである。
【図6】本発明に係るニードルフェルト用の複層構造の
基布の全体図である。
【図7】本発明に係るニードルフェルト用の複層構造の
基布をCMD方向に切断した拡大断面図である。
【図8】本発明に係るニードルフェルト用の複層構造の
基布(緯糸入り)をCMD方向に切断した拡大断面図で
ある。
【符号の説明】
1 筬 2 糸群 3 糸群の端部 4a、4b 平行なロール 5 無端状ベルト 6 ホットメルト系樹脂 7 スプレー装置 7a スプレー装置のノズル 8 1周目の固定糸群 8′ 2周目の固定糸群 9 基布 9′ ウェッブ付き基布 9″ 複数層の基布 10 ウェッブ状繊維 11 巻玉 12 ニードルパンチ装置 13 帯状体 K ロール間の距離 H 糸群の幅 H2 糸群の幅の2倍の幅 R 傾斜角度 Y 緯糸

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 糸を揃えてなる糸群をスパイラル状に周
    回させ、該糸群をホットメルト系樹脂により固定してな
    る単層又は複数層の無端状の基布と、該基布上に積層し
    たウェッブ状繊維とをニードルパンチにより交絡一体化
    せしめたことを特徴とするニードルフェルト。
  2. 【請求項2】 前記糸群のスパイラル状の周回角度が、
    実質的なMD方向に対して5°以下の角度を有している
    ことを特徴とする請求項1に記載のニードルフェルト。
  3. 【請求項3】 前記複数層の無端状の基布が、MD方向
    に対して5°以下の角度を有する第1層と、MD方向に
    対して−5°以下の角度を有する第2層との間に、緯糸
    をCMD方向に並べたことを特徴とする請求項1に記載
    のニードルフェルト。
  4. 【請求項4】 糸を揃えてなる糸群をスパイラル状に周
    回させ、該糸群に周回時にホットメルト系樹脂を溶融状
    態でスプレー散布し、該樹脂散布により固定された糸群
    よりなる単層又は複数層の無端状の基布の上にウェッブ
    状繊維を積層してニードルパンチを施すことを特徴とす
    るニードルフェルトの製造方法。
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