JPH11124655A - 超微細粒を有する鋼線、線材及び棒鋼並びにそれらの製造方法 - Google Patents

超微細粒を有する鋼線、線材及び棒鋼並びにそれらの製造方法

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JPH11124655A
JPH11124655A JP28954797A JP28954797A JPH11124655A JP H11124655 A JPH11124655 A JP H11124655A JP 28954797 A JP28954797 A JP 28954797A JP 28954797 A JP28954797 A JP 28954797A JP H11124655 A JPH11124655 A JP H11124655A
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英子 安原
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正彦 森田
Osamu Furukimi
古君  修
Susumu Okada
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 中、低炭素鋼に関して、均質な組織によっ
て高強度化、高延性化および高靱性化を達成した、新規
な鋼線、線材及び棒鋼を提案する。 【解決手段】 フェライトを主相とし、平均フェライト
粒径が2μm 未満、フェライト粒のアスペクト比が1.5
未満であることを特徴とする超微細粒を有する鋼線、線
材、棒鋼、条鋼。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、条鋼のなかでも
中、低炭素鋼の鋼線や、鋼線の材料である線材、更には
鋼棒の分野に関するものであり、特に高強度、高延性、
高加工性を有する材料を、その有利な方法と共に提案し
ようとするものである。
【0002】
【従来の技術】中、低炭素の線材、棒鋼は、例えば、蛇
かご用ワイヤー、高力ボルト(80kgf/mm2 、100 kgf/mm
2 )やPC鋼棒に使用される。これらの用途において
は、強度および延性などに優れることが肝要であり、特
に、ある程度の高強度化を得ながら、延性、靱性に優れ
る材料の要求が強い。
【0003】このような中低炭素鋼の鋼線に関して、高
強度、高延性の鋼線を製造する方法が特公平2−337
72号公報に開示されている。この特公平2−3377
2号公報に記載された発明は、鋼線の素材となる線材に
ついて、針状マルテンサイト、ベイナイトまたはこれら
の混合組織からなる低温変態生成相が、フェライト相に
対して所定体積分率でフェライト相中に分散されてなる
複合組織の線材を用いることとし、この線材に高い減面
率での冷間伸線を加熱処理と組み合わせて行う方法であ
る。つまり、所定組織の線材を用いることによって線材
の加工限界を高め、これにより二次加工における加工度
を高めて3000N/mm2 前後の引張り強さを有する高い強
度の鋼線を得ている。しかし、この特公平2−3377
2号公報の発明は、鋼線を得る際に高強度を得べく、高
い加工率の伸線加工を施しているため、得られる金属線
の径は当然に小さくなるのであって、上記公報では線径
が概ね数百μm 乃至数十μm といった極細鋼線を製造す
るものである。なお、一般的な高強度鋼線の強度レベル
は 5mmφのピアノ線で2000N/mm2、1mmφのもので
最大2500N/mm2 程度が得られているが、延性に劣るこ
とが問題となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】中低炭素鋼の鋼線にお
いて、ピアノ線ほどの高強度でなくとも、従来の合金組
成から期待される以上の強度が得られる技術に対する基
本的な要望が依然として存在している。そのような高強
度鋼線においても、延性に優れていることへの要請は強
く、高強度で延性に優れるという、両立し難い特性を兼
ね備えた鋼線が望まれるところである。
【0005】また、鋼線ばかりでなく、線材(鋼線素
材)においても高強度で延性等に優れているならば、こ
の線材を材料とした鋼線等の二次加工製品も高強度、延
性等の優れた機械的性質が得られ易いため、線材の分野
においても、高強度や高延性の線材を得ること求められ
ている。更に、棒鋼の分野や、条鋼の分野においても高
強度で延性に優れる材料が得られるならば、新たな用途
開拓も可能となるため、このような材料が望まれている
ところである。
【0006】そこで、この発明は、均質な組織によって
高強度化および高延性化を達成した、新規な鋼線、線材
及び棒鋼を提案することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明の要旨構成は次
のとおりである。 ・ フェライトを主相とし、平均フェライト粒径が2μ
m 未満、フェライト粒のアスペクト比が1.5 未満である
ことを特徴とする超微細粒を有する鋼線。 ・ フェライトを主相とし、平均フェライト粒径が2μ
m 未満、フェライト粒のアスペクト比が1.5 未満である
ことを特徴とする超微細粒を有する線材。 ・ フェライトを主相とし、平均フェライト粒径が2μ
m 未満、フェライト粒のアスペクト比が1.5 未満である
ことを特徴とする超微細粒を有する棒鋼。 ・ フェライトを主相とし、平均フェライト粒径が2μ
m 未満、フェライト粒のアスペクト比が1.5 未満である
ことを特徴とする超微細粒を有する条鋼。 ・線材に伸線加工を施す際、動的再結晶域での加工を5
回以上行うことを特徴とする超微細粒を有する鋼線の製
造方法。 ・ 線材用素材に熱間加工を施す際、動的再結晶域での
加工を連続して5回以上行うことを特徴とする超微細粒
を有する線材の製造方法。 ・ 棒鋼用素材に熱間加工を施す際、動的再結晶域での
加工を連続して5回以上行うことを特徴とする超微細粒
を有する棒鋼の製造方法。 この発明の鋼線、線材は、C:0.05〜0.15wt%、Si:2.
0 wt%以下、Mn:1.0wt%以下、P:0.05wt%以下、
S:0.05wt%以下を含み、残部は実質的に鉄の組成を代
表組成として挙げることができ、また、棒鋼において
は、C:0.05〜0.35wt%、Si:2.0 wt%以下、Mn:1.0
wt%以下、S:0.05wt%以下を含有し、残部は実質的に
鉄の組成を代表組成として挙げることができる。
【0008】この発明において、フェライト粒のアスペ
クト比とは、フェライト粒の長径と短径との比をいう。
実用上は、フェライト粒は加工方向に伸びるので、加工
方向断面上の長径と短径の比で代用される。また、この
発明において、フェライト粒の平均粒径は、常法に従
い、加工方向断面における平均粒径とする。また、この
発明における主相とは、フェライト相が体積分率で50%
以上有することをいう。
【0009】
【発明の実施の形態】さて、発明者らは、高強度で延性
に優れる鋼線を得べく結晶粒の微細化に着目して鋭意研
究を重ねた結果、線材を熱間加工する際、Ar3 変態点以
上の動的再結晶域での加工を5回以上連続して繰り返す
ことにより、フェライトを超微細粒にすることができる
ことを見出した。しかも、そのフェライト粒のアスペク
ト比が1.5 未満であるため、機械的特性の異方性も解消
されることを併せて見出した。このようにフェライト粒
が微細かつ、球状になるのは、おそらく、動的再結晶に
より結晶粒が生成し、成長しようとするときに加工を繰
り返されるために、従来では得られなかったような超微
細な結晶粒が得られ、かつ加工による変形をほとんど受
けないためにアスペクト比が小さいものと考えられる。
【0010】上記のような平均のフェライト粒径が2μ
m 未満、フェライト粒のアスペクト比が1.5 未満である
鋼線は、結晶粒が微細であるから、強度、じん性、延性
などの機械的特性が特に優れているばかりでなく、その
異方性も少ない。
【0011】なお、強度と延性を両立する手法として組
織の細粒化が知られ、この細粒化には伸線加工の加工量
を増加する方法が有効であるが、このような従来技術で
は細粒化が十分ではないので、強度、延性も不十分であ
るばかりか、伸線加工の加工量の増大により、却って延
性が劣化する場合もみられた。これに対し、この発明で
は、平均フェライト粒径2μm 未満という、極微細な粒
を得ているため、優れた強度、延性が得られる。図1に
線材におけるフェライト粒径と降伏強度及び延性との関
係を示す。ここで、粒径2μm 未満の線材は、この発明
の方法により製造した。
【0012】上記の知見から、更に、線材や棒鋼を熱間
加工により製造する際においても、その熱間加工時に、
動的再結晶域での加工を連続して5回以上行うことによ
り、フェライトを主相とし、平均フェライト粒径が2μ
m 未満、フェライト粒のアスペクト比が1.5 未満での超
微細粒を有する線材や棒鋼が得られることを見いだし
た。
【0013】かかる超微細粒を有する線材や棒鋼は、高
強度かつ高延性、高靱性を有するため、これらを素材と
した二次加工製品(鋼線)も高強度かつ高延性、高靱性
を有することができ、しかも、粒径が2μm 以上の鋼線
に比べて粒界面積が大きいため、固溶Cが結晶粒界に多
くトラップされる。したがって、その後の伸線加工時に
かかる固溶Cが粒内に拡散して転位を固着するために更
なる高強度が得られるのである。また、例えばPC鋼棒
などとして、そのまま用いても優れた機械的性質を発揮
することができる。
【0014】以上のような特質を具備するこの発明に従
う鋼線、中低炭素鋼線として、幅広い分野、用途に適用
することが可能である。したがって、フェライト単相又
は第2相として少量のパーライトないしはセメンタイト
を含有する組織になる鋼線ばかりでなく、複合組織を有
する鋼線にも適用することができる。
【0015】この発明の鋼線、線材の成分組成は、従来
から鋼線、線材として用いられている成分組成範囲であ
れば良いが、代表的な組成範囲を挙げると次のとおりで
ある。C:0.05〜0.15wt%、Si:2.0 wt%以下、Mn:1.
0 wt%以下、P:0.05wt%以下、S:0.05wt%以下を含
み、残部は実質的に鉄の組成。これらの成分組成によ
り、微細なフェライト粒を有するフェライト−パーライ
トの組織が得られる。
【0016】(C:0.05〜0.15wt%、Cは、鋼線、線材
の強度を向上させるのに特に有利な成分であり、必要な
強度を得るために0.05wt%以上を含有させることが好ま
しい。また、C量が0.05wt%に満たないと、結晶粒が粗
大化し、この発明で目的とするフェラト平均結晶粒径2
μm 以下が達成できないこともある。一方、0.15wt%を
超えるような多量添加では、過剰なセメンタイトが生
じ、延性が劣化して、加工時に破断することもあるの
で、0.15wt%程度以下にすることが好ましい。
【0017】(Si:2.0 wt%以下)Siは、フェライトに
固溶し、固溶強化により強度が上昇し、また、γ→α変
態に際し、フェライト分率を増加させ、更に、固溶体と
してα結晶粒界の移動を妨げ、微細化に寄与する。しか
し、2wt%を超えて含有すると動的再結晶が起こりにく
いうえ、延性も劣化する。
【0018】(Mn:1.0 wt%以下)Mnは、鋼線や線材の
強度を向上させるために有用であり、また、有害な固溶
SをMnS として無害化する作用を有するが、あまりに多
量の添加はパーライトの分率を多くし鋼が硬化して延性
を劣化させ、また介在物が多くなって伸線性が低下する
ので上限を1.0 wt%とする。
【0019】(P:0.05wt%以下)Pは、粒界に偏析
し、加工性や脆性劣化の原因となるため、上限は0.05wt
%とする。 (S:0.05wt%以下)Sは非金属介在物を形成する有害
な成分であり、異方性を助長するため、できるだけ少な
くする方が好ましいことから、上限を0.05wt%とする。
【0020】以上の成分の他、所望の強度に応じ、Ti、
Nb、Cu等の以下の成分を含有させることができる。Ti、
Nb、V、Moは、炭窒化物を形成して結晶粒を微細化する
ため、2μm 未満という超微細な組織を得るこの発明に
おいても有用な成分であり、また、析出強化により強度
を向上させる作用もある。これらの作用を発揮させるた
めには、0.01wt%以上を含有されるのが好ましく、あま
りに多量の添加では、作用が飽和する他にコストアップ
の要因になるので、上限は0.3 wt%、より好ましくは0.
1 wt%以下とする。
【0021】Cr、Cu、NiもMn同様に強化成分として必要
に応じて含有させることができるが、あまりに多量の添
加ではかえって強度−延性バランスを劣化させるので上
限は1.0 wt%程度とする。なお、その作用効果を十分に
発揮させるためには、0.01wt%程度は含有させるのが好
ましい。
【0022】Ca、REM 、Bは、硫化物の形状制御や粒界
強度の上昇を通じて加工性を改善する効果があるため、
必要に応じて含有させることができるが、過剰な添加で
は清浄性や再結晶性に悪影響を及ぼすおそれがあるの
で、0.01wt%程度以下が好ましい。
【0023】次に、この発明の棒鋼の成分組成は、従来
から棒鋼として用いられている成分組成範囲であれば良
いが、例えば、PC鋼棒の用途に好適な組成範囲を挙げ
ると次のとおりである。C:0.05〜0.35wt%、Si:2.0
wt%以下、、Mn:1.0 wt%以下、S:0.05wt%以下を含
有し、残部は実質的に鉄の組成。これらの成分組成によ
り、超微細なフェライト粒を有する、フェライト−パー
ライトの組織が得られる。
【0024】(C:0.05〜0.35wt%)Cは、強度を向上
させる成分であるため、0.05wt%以上を含有させるが、
0.35wt%を超えるような多量の添加では、加工性が劣化
するので、0.05〜0.35wt%程度にすることが好ましい。
【0025】(Si:2.0 wt%以下)Siはi は、フェライ
トに固溶し、固溶強化により強度が上昇し、また、γ→
α変態に際し、フェライト分率を増加させ、更に、固溶
体としてα結晶粒界の移動を妨げ、微細化に寄与する。
しかし、2wt%を超えて含有すると動的再結晶が起こり
にくいうえ、延性も劣化する。
【0026】(Mn:1.0 wt%以下)Mnは棒鋼の強度を向
上させるために有用であり、また、有害な固溶SをMnS
として無害化する作用を有するが、あまりに多量の添加
はパーライトの分率を多くし鋼が硬化して延性を劣化さ
せ、また介在物が多くなって加工性が低下するので上限
を1.0 wt%とする。
【0027】(S:0.05wt%以下)Sは非金属介在物を
形成する有害な成分であり、異方性を助長するため、で
きるだけ少なくする方が好ましいことから、上限を0.05
wt%とする。
【0028】上記以外の成分は、次のとおりである。
【0029】Pは、粒界に偏析し、加工性や脆性劣化の
原因となるため、上限は0.05wt%とする。Ti、Nb、V、
Moは、炭窒化物を形成して結晶粒を微細化するため、2
μm 以下という超微細な組織を得るこの発明において有
用な成分であり、また、析出強化により強度を向上させ
る作用もある。これらの作用を発揮させるためには、0.
01wt%以上を含有されるのが好ましく、あまりに多量の
添加では、作用が飽和する他にコストアップの要因にな
るので、上限は1.0 wt%、より好ましくは0.5 wt%以下
とする。
【0030】Cr、Cu、NiもMn同様に強化成分として必要
に応じて含有させることができるが、あまりに多量の添
加ではかえって強度−延性バランスを劣化させるので上
限はCuは3.0 wt%、NiやCrは1.0 wt%程度とする。な
お、その作用効果を十分に発揮させるためには、0.01wt
%程度は含有させるのが好ましい。Ca、REM 、Bは、硫
化物の形状制御や粒界強度の上昇を通じて加工性を改善
する効果があるため、必要に応じて含有させることがで
きるが、過剰な添加では清浄性や再結晶性に悪影響を及
ぼすおそれがあるので、0.01wt%程度以下が好ましい。
【0031】上述のような所定の成分組成に調製した出
発材に熱間加工を施して、鋼線、線材、棒鋼を製造す
る。熱間加工は、この発明の鋼材を製造するうえで最も
重要な点である。すなわち、鋼線を製造する場合におい
ては、熱間加工を、Ar3 変態点以上の動的再結晶域で、
5回以上の熱間加工にて行うことが、この発明で所期し
たフェライト平均結晶粒径2μm 未満、アスペクト比1.
5 未満の組織を得るために肝要である。ここで、動的再
結晶域での加工は、次式
【数1】 で表される数値で定義して、Z≧1019となる範囲で達成
できる。かかる動的再結晶域での熱間加工を加えるに
は、例えば、連続圧延機での熱間加工の際に、素材の温
度低下を極力防止しながら連続する5回以上での圧延を
加えることが有効であり、その際、その最初の圧延機の
入側と最後の圧延機の出側の鋼線の温度差が60℃以下、
より好ましくは30℃以下にすると良い。
【0032】良好なアスペクト比を得るためには、動的
再結晶域での熱間圧延は、最終の圧延機を含むことが好
ましい。また、容易に動的再結晶域での加工を実現する
ために、Ar3 変態点直上で、圧下を加えるのが望まし
い。動的再結晶域での圧延加工の圧下率は、合計で60%
以上が好ましい。これは、動的再結晶による細粒化を十
分進行させるためであり、圧下率が60%に満たないと、
目的のフェライト粒径を安定して得るのが困難になり、
また、アスペクト比が増大する傾向を示す。
【0033】線材、棒鋼を製造する際は、熱間加工を施
す際、動的再結晶域での加工を連続して5回以上行うこ
とが肝要である。すなわち、これらの鋼材を製造する場
合においては、熱間圧延などの熱間加工を、Ar3 変態点
以上の動的再結晶域で、連続した5回以上の加工工程
(圧延)にて行うことが、この発明で所期したフェライ
ト平均結晶粒径2μm 未満、アスペクト比1.5 未満の組
織を得るために肝要である。ここで、動的再結晶域での
加工は、次式
【数2】 で表される数値で定義して、Z≧1019となる範囲で達成
できる。かかる動的再結晶域での熱間加工を加えるに
は、例えば、連続する圧延スタンドでの熱間加工におい
て、圧延素材の温度低下を極力防止しながら連続する5
回以上での加工を加えることが有効であり、その際、そ
の最初の圧延機の入側と最後の圧延機の出側の鋼線の温
度差が60℃以下、より好ましくは30℃以下にすると良
い。例えば、PC鋼棒を製造する際には、連続ロール伸
線により熱間加工を行う。良好なアスペクト比を得るた
めには、動的再結晶域での熱間加工は、最終の圧延スタ
ンドを含むことが好ましい。また、容易に動的再結晶域
での加工を実現するために、Ar3 変態点直上で、圧下を
加えるのが望ましい。動的再結晶域での熱間加工の圧下
率は、合計で60%以上が好ましい。これは、動的再結晶
による細粒化を十分進行させるためであり、圧下率が60
%に満たないと、目的のフェライト粒径を安定して得る
のが困難になり、また、アスペクト比が増大する傾向を
示す。
【0034】熱間加工後の鋼線、線材、棒鋼は、常法に
従って処理を行う。この発明の線材は、高強度で加工性
が良く、しかも靱性に優れているので、その後の冷間伸
線工程により、高強度鋼線を製造することができる。以
上、この発明を、条鋼のなかでも中、低炭素鋼の鋼線
や、鋼線の材料である線材、更には鋼棒に基づいて説明
したが、この発明は、条鋼のうち、形鋼にも適用するこ
とができ、この場合にも、熱間圧延の際、動的再結晶域
での圧下を連続する5スタンド以上で行うことにより、
超微細フェライト粒を有する形鋼を製造することがで
き、そのような超微細粒を有する形鋼は、高強度で延
性、靱性に優れている。
【0035】
【実施例】
(実施例1)C:0.25wt%、Si:0.4 wt%、Mn:0.79wt
%、P:0.015 wt%、S:0.008 wt%を含み、残部は実
質的に鉄の組成になる線材を用意した。この線材を減面
率:20%の熱間加工を7スタンドの連続圧延機により、
最初の圧延機の入側の鋼線の温度が850 ℃、最後の圧延
機の出側の鋼線の温度が820 ℃の条件で施し(合計減面
率:78%)、φ9.0 mmの鋼線を得た。また、比較鋼とし
て、同じ材料を、圧延機入り側温度970 ℃、出側温度90
0 ℃の条件で鋼線とした。かくして得られた鋼線の断面
組織を走査型電子顕微鏡で観察して粒径を測定するとと
もに、その径方向における硬さ、長手方向における強度
及び延性について評価した。その測定および評価結果を
表1に示す。なお、強度及び延性は、通常の引張試験に
よる引張強さで評価した。
【0036】
【表1】
【0037】(実施例2)C:0.12wt%、Si:0.50wt
%、Mn:0.35wt%、P:0.017 wt%、S:0.013 wt%を
含み、残部は実質的に鉄の組成になる線材用素材を900
℃に加熱したのち、粗圧延、中間圧延を施したのち、仕
上げ圧延機で圧延するに際して、圧延加工を8スタンド
の連続圧延機により、最初の圧延機の入側の材料の温度
が840 ℃、最後の圧延機の出側の材料の温度が860 ℃の
条件で施し(合計減面率:81%)、φ10mmの線材を得
た。また、比較鋼として、同じ材料を、圧延機入り側温
度970 ℃、出側温度900 ℃の条件で線材とした。かくし
て得られた線材の断面組織を走査型電子顕微鏡で観察し
て粒径を測定するとともに、その長手方向における強
度、延性及び靱性について評価した。その測定および評
価結果を表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】次にこれらの線材を素材として、この線材
を1ダイス当たりの減面率:約20%の伸線加工を6スタ
ンドの連続伸線機により伸線し、(合計減面率:73
%)、φ5.2 mmの鋼線を得た。かくして得られた鋼線の
断面組織を走査型電子顕微鏡で観察して粒径を測定する
とともに、その長手方向における強度、延性について評
価した。その測定および評価結果を表3に示す。
【0040】
【表3】
【0041】(実施例3)C:0.25wt%、Si:0.30wt
%、Mn:0.76wt%、P:0.012 wt%、S:0.010wt%を
含み、残部は実質的に鉄の組成になる線材用素材を950
℃に加熱したのち、粗圧延、中間圧延を施した後、仕上
げ圧延機で圧延するに際して、減面率:18%の圧延加工
を7スタンドの連続圧延機により、最初の圧延機の入側
の材料の温度が830 ℃、最後の圧延機の出側の材料の温
度が800 ℃の条件で施し(合計減面率:76%)、20mmφ
の棒鋼を得た。た、比較鋼として、同じ材料を、圧延機
入り側温度970 ℃、出側温度900 ℃の条件で棒鋼とし
た。かくして得られた棒鋼の断面組織を走査型電子顕微
鏡で観察して粒径を測定するとともに、その長手方向に
おける強度、及び延性について評価した。その測定およ
び評価結果を表4に示す。
【0042】
【表4】
【0043】
【発明の効果】この発明によれば、ミクロ的に均質な組
織が得られるため、高強度化そして延性及び靱性の向上
が有利に実現され、諸特性に優れた、鋼線、線材及び棒
鋼を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】線材におけるフェライト粒径と降伏強度及び延
性との関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古君 修 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 岡田 進 東京都千代田区内幸町2丁目2番3号 川 崎製鉄株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェライトを主相とし、平均フェライト
    粒径が2μm 未満、フェライト粒のアスペクト比が1.5
    未満であることを特徴とする超微細粒を有する鋼線。
  2. 【請求項2】 フェライトを主相とし、平均フェライト
    粒径が2μm 未満、フェライト粒のアスペクト比が1.5
    未満であることを特徴とする超微細粒を有する線材。
  3. 【請求項3】 フェライトを主相とし、平均フェライト
    粒径が2μm 未満、フェライト粒のアスペクト比が1.5
    未満であることを特徴とする超微細粒を有する棒鋼。
  4. 【請求項4】 フェライトを主相とし、平均フェライト
    粒径が2μm 未満、フェライト粒のアスペクト比が1.5
    未満であることを特徴とする超微細粒を有する条鋼。
  5. 【請求項5】 C:0.05〜0.15wt%、Si:2.0 wt%以
    下、Mn:1.0 wt%以下、P:0.05wt%以下、S:0.05wt
    %以下を含み、残部は実質的に鉄の組成になる請求項1
    記載の超微細粒を有する鋼線。
  6. 【請求項6】 C:0.05〜0.15wt%、Si:2.0 wt%以
    下、Mn:1.0 wt%以下、P:0.05wt%以下、S:0.05wt
    %以下を含み、残部は実質的に鉄の組成になる請求項2
    記載の超微細粒を有する線材。
  7. 【請求項7】 C:0.05〜0.35wt%、Si:2.0 wt%以
    下、Mn:1.0 wt%、S:0.05wt%以下を含有し、残部は
    実質的に鉄の組成になる請求項3記載の超微細粒を有す
    る棒鋼。
  8. 【請求項8】 線材に伸線加工を施す際、動的再結晶域
    での加工を連続して5回以上行うことを特徴とする超微
    細粒を有する鋼線の製造方法。
  9. 【請求項9】 線材用素材に熱間加工を施す際、動的再
    結晶域での加工を連続して5回以上行うことを特徴とす
    る超微細粒を有する線材の製造方法。
  10. 【請求項10】 棒鋼用素材に熱間加工を施す際、動的
    再結晶域での加工を連続して5回以上行うことを特徴と
    する超微細粒を有する棒鋼の製造方法。
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