JPH11117038A - 加工性と耐肌荒れ性および耐リジング性に優れた冷延鋼板 - Google Patents

加工性と耐肌荒れ性および耐リジング性に優れた冷延鋼板

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JPH11117038A
JPH11117038A JP27678797A JP27678797A JPH11117038A JP H11117038 A JPH11117038 A JP H11117038A JP 27678797 A JP27678797 A JP 27678797A JP 27678797 A JP27678797 A JP 27678797A JP H11117038 A JPH11117038 A JP H11117038A
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金晴 奥田
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良和 河端
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坂田  敬
Takashi Obara
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 深絞り性のほか、耐肌荒れ性および耐リジン
グ性に優れた冷延鋼板を提供する。 【構成】 C:0.01wt%以下、Si:2.0 wt%以下、Mn:
3.0 wt%以下、P:0.15wt%以下、Al:0.01〜0.20wt
%、N:0.01wt%以下を含有し、残部はFeおよび不可避
的不純物の成分組成からなり、{100}方位コロニー
の断面面積率と平均直径とが、下記 (1)および (2)式を
満足する鋼板とする。 記 f/D≧0.0005 …… (1) (2.8 −r)/250 ≦f/D≦(4.0 −r)/250 …
… (2) ここで、f:{100}方位コロニーの断面面積率 D:{100}方位コロニーの平均直径(μm) r:平均r値(ただし、r≧1.5 )

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動車用鋼板等
の使途に好適な冷延鋼板(表面処理原板を含む。以下同
じ)に関し、とくに、深絞り性などの加工性の他に耐肌
荒れ性および耐リジング性に優れた冷延鋼板に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】自動車のパネル等に使用される冷延鋼板
には、深絞り性が必要であり、機械的特性として、高い
r値(ランクフォード値)と高い延性(El)が要求され
る。このような深絞り用冷延鋼板は、一般に、Ar3変態
点以上で熱間圧延した後、冷間圧延により最終板厚の薄
板とし、再結晶焼鈍することにより製造されていた。
【0003】さて、一般に、17%Crステンレス鋼のよう
なフェライト系ステンレス鋼には、「日本金属学会誌,
Vol.3 ,No.4,(1967),P.519 」や「日本金属学会
誌,Vol.31,No.6,(1967),P.717 」に開示されてい
るように、「リジング」と呼ばれる特異な現象を生じる
性質があることが知られている。これは薄板に引張りや
深絞りなどの変形を加えたとき、圧延方向に沿って細か
い筋状のしわを生ずる現象である。上記リジング現象
は、従来、ステンレス鋼に特有のものであると思われて
いたが、一般の冷延鋼板でも、熱延工程の省エネルギー
や歩止り向上による低コスト化などを指向して、Ar3
態点以下で熱間仕上圧延を終了する場合に、発生しやす
いことが知られるようになってきた。このようなリジン
グ欠陥が発生すると、ステンレス鋼板や自動車用鋼板な
どでは、機械的特性と並び重要な、表面の平滑さや美麗
さを損なうことになり、製品価値のうえで致命傷になる
ことがある。また、冷延鋼板において、r値等の加工性
を確保しようとすると、プレス成形時に鋼板表面の粗度
が著しく増大する、「肌あれ」と呼ばれる外観不良を生
じることが知られている。
【0004】従来、深絞り用鋼板において、リジングの
発生を抑制する手段としては、「鉄と鋼vol.77,No.8,
(1991)p.84」や「鉄と鋼vol.78,No.4,(1992)p.12
4 」に開示されるような対策、すなわち、熱間粗圧延に
おけるパス間時間を長くするとか、熱延板焼鈍あるいは
パス間焼鈍をするといった提案などが、また、肌荒れ性
を防止する手段として、仕上げ圧延後直ちに冷却する手
法が知られている。しかし、とくにリジング発生の主要
因については統一された見解がなく、どのような指標を
もとに製造条件を最適化するべきかは知られていないた
めに、これらの手段によつても、耐リジング性、耐肌荒
れ性、深絞り性を安定して両立させることは困難であっ
た。さらに、リジング性と相関する有効な指標がないた
めに、上記の従来の方法においては対策が過剰気味とな
り、不必要な生産性の低下を強いるものであった。
【0005】また、肌荒れ性については、冷延・再結晶
焼鈍後の結晶粒径が粗大化することが原因であると言わ
れている。しかし、具体的状況になると、やはり肌あれ
発生の有無を分ける要因がつかみきれていないのが現状
である。
【0006】一方、深絞り性については板面に{11
1}方位の粒を形成することがよいとされ、逆に{10
0}は、r値を低下させる方位として知られている。こ
れまで、深絞り性に好ましい{111}を発達させ、
{100}成分を低下させる方向で技術的進歩がなさ
れ、平均r値の整理も、専らX線インバース強度の比I
{111}/I{100}で行われてきた。ここに、X
線測定は、結晶粒の分布状況の情報を含まない、いわば
平均的マクロ的な情報でしかなく、このI{111}/
I{100}の指標によってr値を評価できても、高r
値と両立させなければならない耐リジング性, 耐肌荒れ
性の評価ができないという問題が残っていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の冷延鋼板の製造技術では、省エネルギー、省工程、低
コスト、高生産性などを満足しつつ、深絞り加工性、耐
リジング性、耐肌荒れ性のいずれの特性も優れた製品を
製造することができなかった。その基本的な原因とし
て、これら材質を適正に制御するための要因、指標が必
ずしも明らかではなかったことが考えられる。この発明
の目的は、従来技術が抱えていた上記の問題を有利に解
決するためのものであり、優れた加工性(特に深絞り
性)とともに、耐肌荒れ性および耐リジング性を安定し
て両立させる冷延鋼板を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者らは、冷延鋼板の
耐リジング性や肌荒れ性を改善させるべく、その{10
0}コロニーに着目して鋭意研究を重ねた。その結果、
冷延鋼板中のコロニーの存在状態を規制することによ
り、深絞り性と耐リジング性、さらに耐肌荒れ性をとも
に向上させることが可能となり、しかも、その実現は熱
間圧延工程における生産性を阻害することなく可能であ
るとの知見を得た。この発明は上記知見に基づいて完成
したものであり、その要旨は次のとおりである。
【0009】(1)C:0.01wt%以下、Si:2.0 wt%以
下、Mn:3.0 wt%以下、P:0.15wt%以下、Al:0.01〜
0.20wt%、N:0.01wt%以下を含有し、残部はFeおよび
不可避的不純物の成分組成からなり、{100}方位コ
ロニーの断面面積率と平均直径とが、下記 (1)および
(2)式を満足することを特徴とする加工性と耐肌荒れ性
および耐リジング性に優れた冷延鋼板。 記 f/D≧0.0005 …… (1) (2.8 −r)/250 ≦f/D≦(4.0 −r)/250 …… (2) ここで、f:{100}方位コロニーの断面面積率 D:{100}方位コロニーの平均直径(μm) r:平均r値(ただし、r≧1.5 )
【0010】(2)C:0.01wt%以下、Si:2.0 wt%以
下、Mn:3.0 wt%以下、P:0.15wt%以下、Al:0.01〜
0.20wt%、N:0.01wt%以下を含み、かつTi:0.001 〜
0.2 wt%、Nb:0.001 〜0.2 wt%の1種または2種を含
有し、残部はFeおよび不可避的不純物の成分組成からな
り、{100}方位コロニーの断面面積率と平均直径と
が、下記 (1)および (2)式を満足することを特徴とする
加工性と耐肌荒れ性および耐リジング性に優れた冷延鋼
板。 記 f/D≧0.0005 …… (1) (2.8 −r)/250 ≦f/D≦(4.0 −r)/250 …… (2) ここで、f:{100}方位コロニーの断面面積率 D:{100}方位コロニーの平均直径(μm) r:平均r値(ただし、r≧1.5 )
【0011】(3)C:0.01wt%以下、Si:2.0 wt%以
下、Mn:3.0 wt%以下、P:0.15wt%以下、Al:0.01〜
0.20wt%、N:0.01wt%以下、B:0.0001〜0.008 wt%
を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の成分組成か
らなり、{100}方位コロニーの断面面積率と平均直
径とが、下記 (1)および (2)式を満足することを特徴と
する加工性と耐肌荒れ性および耐リジング性に優れた冷
延鋼板。 記 f/D≧0.0005 …… (1) (2.8 −r)/250 ≦f/D≦(4.0 −r)/250 …… (2) ここで、f:{100}方位コロニーの断面面積率 D:{100}方位コロニーの平均直径(μm) r:平均r値(ただし、r≧1.5 )
【0012】(4)C:0.01wt%以下、Si:2.0 wt%以
下、Mn:3.0 wt%以下、P:0.15wt%以下、Al:0.01〜
0.20wt%、N:0.01wt%以下、B:0.0001〜0.008 wt%
を含み、かつTi:0.001 〜0.2 wt%、Nb:0.001 〜0.2
wt%の1種または2種を含有し、残部はFeおよび不可避
的不純物の成分組成からなり、{100}方位コロニー
の断面面積率と平均直径とが、下記 (1)および (2)式を
満足することを特徴とする加工性と耐肌荒れ性および耐
リジング性に優れた冷延鋼板。 記 f/D≧0.0005 …… (1) (2.8 −r)/250 ≦f/D≦(4.0 −r)/250 …… (2) ここで、f:{100}方位コロニーの断面面積率 D:{100}方位コロニーの平均直径(μm) r:平均r値(ただし、r≧1.5 )
【0013】
【発明の実施の形態】まず、本発明の基礎となった研究
結果について説明する。表1に示す成分組成のシートバ
ーを950 ℃に加熱一均熱後、仕上げ圧延温度を900 〜70
0 ℃に変化させ、3パスで合計圧下率90%とする熱間圧
延を行った後、700 ℃、1時間のコイル巻取り処理を施
した。その後、圧下率75%で冷間圧延し、760 〜880
℃、20sec で再結晶焼鈍を行った。図1に、得られた冷
延鋼板のうち、平均r値がほぼ2のものについて、耐肌
荒れ性および耐リジング性とf/Dとの関係を調べた結
果を示す。ここで、fは{100}方位コロニーの断面
面積率であり、Dは{100}方位コロニーの平均直径
(μm)である。なお、コロニー内の方位集中度は、El
ectron Back Scattering Diffraction Patern にて板厚
断面の鋼板の結晶方位を結晶粒ごとに測定し、隣接する
結晶粒間の角度が15度以内の結晶粒群をコロニーとみな
し、そのコロニーの平均結晶方位が{100}方位±1
5°以内のものを{100}方位コロニーとして扱っ
た。なお、周辺に角度15°以内の結晶粒が存在しない
場合は、単一の粒でコロニーを形成しているとみなし
た。以下においても同様である。また、図中のリジング
評価指数は、JIS5号引張試験片に15%の引張歪を与
え、これを目視観察により評価したものである。リジン
グ評価指数が2以下のものは実用上問題のないリジング
のレベルといえる。図1から、f/Dが小さいと、耐肌
荒れ性が低下し、耐リジング性も低下すること、r≒2
のときにこれらの欠陥を回避するためにはf/Dを0.00
3 以上にする必要があることがわかる。
【0014】このような関係を種々のr値レベルにいつ
いて整理した結果を図2に示す。図2によれば、冷延鋼
板は、f/Dを0.0005以上とし、かつ平均r値(ただ
し、r≧1.5 )との関係を、(2.8 −r)/250 ≦f/
Dとすることにより、加工性と耐肌荒れ性および耐リジ
ング性のいずれもが優れたものとすることができるとい
える。また、平均r値は、{100}方位コロニーの絶
対値ともある程度の相関があり、f/Dが大きくなる
と、現実的に、(4.0 −r)/250 <f/Dを達成でき
なくなる。このため、f/Dは、(2.8 −r)/250 ≦
f/D≦(4.0 −r)/250 の範囲とすればよいことに
なる。なお、平均r値は、次式のrで表されるものであ
る。 r=(rL +2rD +rC )/4 ここで、rL 、rD 、rC は、それぞれ、圧延方向、圧
延45°方向、圧延直角方向のランクフォード値を表す。
【0015】以下、本発明の各構成要件を前記範囲に限
定した理由について説明する。 1){100}方位コロニー {100}方位コロニーは、本発明において最も重要な
要件であり、優れた加工性と冷延−焼鈍後の耐肌荒れ、
耐リジング性を改善するためには、上述したように、
{100}方位コロニーの面積率と平均直径の比、f/
Dを制御することが重要である。発明者らは、フェライ
ト域(Ar3変態点以下)で熱延した鋼板の耐肌荒れ性、
耐リジング性に関して、種々検討を行った結果、これら
の特性に最も影響を与える因子として、{100}方位
コロニー(隣接する結晶粒間の角度が15°以内の結晶粒
群)であることを、Electron Back Scattering Diffrac
tion Patern を用いた研究により明らかにした。そして
耐リジング性を改善するためには、コロニーの大きさと
分率を制御することが最も有効であることを見い出し
た。
【0016】具体的には、{100}コロニーの断面面
積率fおよび直径D(μm)としたとき、f/D≧0.00
05で、平均r値との関係を (2.8 −r)/250 ≦f/D≦(4.0 −r)/250 とすることが必要である。{100}コロニーは、熱延
板の集合組織によっても影響を受け、f/Dが(2.8 −
r)/250 よりも小さいと、リジング性が低下する。こ
のように、{100}は深絞りに好適な{111}マト
リクスの変形を阻害する、いわば析出物のような役割を
果たしているといえ、その面積率だけでなく、コロニー
径をも考慮して分布状態を総合的に制御する必要があ
る。
【0017】ここで、f/Dは{100}コロニーの分
布状況を表すと考えられる。すなわち、f/Dが大の場
合、粗大な{100}コロニーが疎らに分布している状
態を表し、f/Dが小の場合、微小な{100}コロニ
ーが比較的密に分布している状態を表す。リジングの発
生を抑えるには、粗大なコロニーの疎らな分布は好まし
くなく、f/Dが大きい、具体的にはf/D≧(2.8 −
r)/250 であることが必要である。なお、ここで、f
/Dがr値の関数となる理由は、r値が高いほど成形時
に板厚方向の変形が少ないため、f/Dが小さくてもリ
ジング発生が抑制されるためではないかと推測される。
ただし、f/Dはr値に応じてむやみに小さくできるわ
けではない。図1および2に示すように、f/Dが小さ
くなるとr値の低い鋼板では肌荒れが発生しやすくなる
傾向にある。本発明者らのさらなる調査によると、とく
にf/D<0.0005となるとr値が(2.8 −r)/250<
0.0005 を満たすほど高くても肌荒れが発生するように
なる。これは、f/Dが小さくなってコロニーの大きさ
と疎らさのバランスがある領域を超えると肌荒れが発生
しやすくなり、とくにf/D<0.0005ではr値の向上に
よる加工性の向上による肌荒れ発生しにくさ (リジング
と同様減厚しにくいためと推定される) を上回るのでは
ないかと推測される。
【0018】一方、f/Dは (4.0 −r)/250 以下と
する。すなわち、f/Dが大きくなることは、{10
0}コロニー面積率が高くなることを意味し、分率より
も{100}の絶対量が加工性に影響を与え、現実的
に、平均r値をその値にできなくなるため、(4.0 一
r)/250 をf/Dの上限値とした。
【0019】2)鋼成分 本発明において、鋼成分も重要な要件であり、その限定
理由を以下に述べる。 C:0.01wt%以下 Cは、深絞り性向上の上から少なければ少ないほど好ま
しいが、その含有量が0.01wt%以下ではさほど悪影響を
およぼさないので0.01wt%以下とする。
【0020】Si:2.0 wt%以下 Siは、鋼を強化する作用があり、所望の強度に応じて必
要量添加されるが、その添加量が2.0 wt%を超えると深
絞り性が劣化するので2.0 wt%以下とする。
【0021】Mn:3.0 wt%以下 Mnは、鋼を強化する作用があり、所望の強度に応じて必
要量添加されるが、その添加量が3.0 wt%を超えると深
絞り性が劣化するので3.0 wt%以下とする。
【0022】P:0.15wt%以下 Pは、鋼を強化する作用があり、所望の強度に応じて必
要量添加されるが、その添加量が0.15wt%を超えると深
絞り性が劣化するので0.15wt%以下とする。
【0023】S:0.05wt%以下 Sは、少なければ少ないほど深絞り性が向上するので好
ましいが、その含有量が0.05wt%以下ではさほど悪影響
をおよぼさないので0.05wt%以下とする。
【0024】Al:0.01〜0.20wt% Alは、脱酸作用を有し、炭窒化物形成元素の歩留まり向
上のために添加されるが、その含有量が0.01wt%未満で
は添加効果がなく、一方0.20wt%を超えて添加しても脱
酸効果が飽和するので、0.01〜0.20wt%とする。
【0025】N:0.01wt%以下 Nは、深絞り性が向上の上から少なければ少ないほど好
ましいが、その含有量が0.01wt%以下ではさほど悪影響
をおよぼさないので0.01wt%以下とする。
【0026】Ti:0.001 〜0.2 wt% Tiは、鋼中の固溶Cを炭化物として析出固定して低減
し、固溶Cによる深絞り性の劣化を防止する効果があ
る。その添加量が0.001 wt%未満では添加効果がなく、
一方、0.2 wt%を超えて添加してもそれ以上の効果が得
られず、かえって深絞り性の劣化を招くので0.001 〜0.
2 wt%とする。
【0027】Nb:0.001 〜0.2 wt% Nbは、鋼中の固溶Cを炭化物として析出固定して低減
し、固溶Cによる深絞り性の劣化を防止する効果があ
る。その添加量が0.001 wt%未満では添加効果がなく、
一方、0.2 wt%を超えて添加してもそれ以上の効果が得
られず、かえって深絞り性劣化につながるので0.001 〜
0.2 wt%とする。
【0028】B:0.0001〜0.0080wt% Bは、鋼の耐二次加工脆性の改善のために添加される
が、その添加量が0.0001wt%未満では添加効果がなく、
一方、0.0080wt%を超えて添加するとかえって深絞り性
劣化につながるので0.0001〜0.0080wt%とする。
【0029】次に、本発明による冷延鋼板の製造方法に
ついて説明する。熱間圧延の素材は、連続鋳造スラブを
再加熱したもののほか、省エネルギー化のために、連続
鋳造後Ar3変態点以下に降温することなく直ちに、もし
くは保温処理したものを使用することができる。スラブ
加熱は、省エネルギー化の点から1200℃以下の温度で行
うのが好ましく、より好ましくは1100℃以下とするのが
よい。また、コロニー内の結晶粒をランダム化するため
には、フェライト域圧延中において加工一再結晶を繰り
返すことが重要であるので、粗圧延温度をAr3変態点以
下にすることが好ましく、また、仕上げ圧延中の高温域
で高圧下率圧延を施すことが好ましい。
【0030】耐リジング性を向上させるためには、フエ
ライト域熱延板に形成されるコロニーをランダム化する
必要がある。そのため、コロニー内の結晶拉をランダム
化、分散化することが重要である。発明者らの実験によ
れば、フェライト域での熱間圧延中において加工一再結
晶を2回以上繰り返すことにより、コロニー内の結晶粒
をランダム化、分散化させることができる。このような
フェライト域圧延中において加工一再結晶を2回以上繰
り返すためには、例えば、粗圧延の少なくとも1パスを
フエライト域にて行うことが有効である。このような粗
圧延を行えば、粗圧延と仕上げ圧延の間および仕上げ圧
延終了後に、それぞれ加工一再結晶が行われ、フェライ
ト域にて加工一再結晶を2回以上繰り返すことが可能と
なる。その結果、{100}コロニーは分散し、同じ
{100}コロニー存在量fをもつならば、f/Dは大
きくなる。ただし、{100}の存在量fそのものは、
熱延板の固溶炭素や析出物の存在によっても低下するた
め、それによる平均r値の変化を考慮しなくてはならな
い。例えば、熱間圧延段階での析出物の量と形態の変
化、また、仕上げ圧延前での保持時間による固溶炭素量
の変化などである。また、鋼成分の純度が高い場合に
は、粒成長しやすくなり、仕上げ圧延前の組織が変化す
ることをも考慮することが必要となる。以上のように、
フェライト域での圧延一再結晶を2回以上繰り返すこと
により、コロニーは分散化され、リジングは解消され
る。
【0031】巻取りは、仕上圧延後の巻取段階において
熱延板を再結晶させるために、550℃以上の温度で行う
ことが好ましい。この工程も圧延一再結晶によりコロニ
ー内の結晶粒をランダム化させるために有用である。な
お、このときに、熱延板が完全再結晶する必要はなく、
部分的に再結晶してもその効果はある。また、これに続
いて、熱延板を焼鈍してもよい。なお、熱延板の再結晶
を促進する仕上げ圧延後段での強圧下は、耐リジング性
改善には有効な手段である。また、仕上げ圧延時に潤滑
圧延を施すことは、圧延組織の均一化、圧延荷重の減少
に有効である。
【0032】冷間圧延工程は、高いr値を得るために必
須であり、冷延圧下率は50〜95%の範囲とすることが好
ましい。冷問圧延工程を経た冷延鋼帯には、再結晶焼鈍
を施す必要がある。焼鈍には、連続型焼鈍炉および連続
溶融亜鉛めっきラインのいずれの設備を用いてもよい。
焼鈍温度は700 〜920 ℃の範囲が好ましい。焼鈍後の鋼
帯には形状矯正、表面粗度等の調整のために、10%以下
の調質圧延を加えてもよい。なお、本発明の冷延鋼板
は、そのまま加工しても使用できるが、加工用表面処理
鋼板の原板としても適用できる。表面処理としては、亜
鉛めっき(合金系を含む)、すずめっき、ほうろう等の
いずれであってもよい。なお、本発明鋼板には、焼鈍後
または亜鉛めっき後、特殊な処理を施して、化成処理
性、溶接性、プレス成形性および耐食性等の改善を行な
ってもよい。
【0033】
【実施例】表1に示す組成の鋼スラブを、1050℃で加熱
一均熱後、表2に示す熱延条件にて、板厚3.5 mmの熱
延鋼帯にした。続いて、冷間圧延により板厚0.8 mmの
冷延鋼帯とし、表2に示す温度で再結晶焼鈍を行った。
得られた冷延鋼板について、圧延方向に切断した断面1
mm2 以上の領域にわたって各粒の方位をEBSDを使っ
て{100}コロニーの断面面積率と大きさを画像解析
により調査するとともに、次の材料特性を測定した。引
張特性にはJIS 5号引張試験片を使用し、r値は15
%引張予歪みを与えた後、3点法にて測定し、圧延方
向、圧延方向に45°方向および圧延方向に90°方向の各
r値から、その平均値をr=(rL +2rD +rC )/
4(ここで、rL 、rD 、rC は、それぞれ、圧延方
向、圧延45°方向、圧延直角方向のランクフォード値)
により求めた。また、耐リジング性は、リジング評価指
数を用いて判定し、JIS 5号引張試験片に加工した
鋼板に15%引張歪を与え、目視により評価して求めた。
リジング評価指数が2以下のものは実用上問題のないリ
ジングレベルである。耐肌荒れ性は、液圧バルジ試験を
行い (120 mmφ) 、目視により判定した。これらの結果
を、表2に併せて示す。表1および表2から、本発明に
よる冷延鋼板は、比較例に比べて、優れた耐リジング性
と深絞り性を有することがわかる。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
成分組成と{100}コロニーの分率と大きさを所定の
範囲に規制することにより、生産性を過度に落とすこと
なく安定して耐リジング性、耐肌荒れ性、深絞り性を両
立させることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】耐リジング性、耐肌荒れ性に及ぼすf/Dの影
響を示すグラフである。
【図2】耐リジング性、耐肌荒れ性と平均r値、f/D
との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂田 敬 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 小原 隆史 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.01wt%以下、Si:2.0 wt%以下、M
    n:3.0 wt%以下、P:0.15wt%以下、Al:0.01〜0.20w
    t%、N:0.01wt%以下を含有し、残部はFeおよび不可
    避的不純物の成分組成からなり、{100}方位コロニ
    ーの断面面積率と平均直径とが、下記 (1)および (2)式
    を満足することを特徴とする加工性と耐肌荒れ性および
    耐リジング性に優れた冷延鋼板。 記 f/D≧0.0005 …… (1) (2.8 −r)/250 ≦f/D≦(4.0 −r)/250 …… (2) ここで、 f:{100}方位コロニーの断面面積率 D:{100}方位コロニーの平均直径(μm) r:平均r値(ただし、r≧1.5 )
  2. 【請求項2】C:0.01wt%以下、Si:2.0 wt%以下、M
    n:3.0 wt%以下、P:0.15wt%以下、Al:0.01〜0.20w
    t%、N:0.01wt%以下を含み、かつTi:0.001 〜0.2 w
    t%、Nb:0.001 〜0.2 wt%の1種または2種を含有
    し、残部はFeおよび不可避的不純物の成分組成からな
    り、{100}方位コロニーの断面面積率と平均直径と
    が、下記 (1)および (2)式を満足することを特徴とする
    加工性と耐肌荒れ性および耐リジング性に優れた冷延鋼
    板。 記 f/D≧0.0005 …… (1) (2.8 −r)/250 ≦f/D≦(4.0 −r)/250 …… (2) ここで、 f:{100}方位コロニーの断面面積率 D:{100}方位コロニーの平均直径(μm) r:平均r値(ただし、r≧1.5 )
  3. 【請求項3】C:0.01wt%以下、Si:2.0 wt%以下、M
    n:3.0 wt%以下、P:0.15wt%以下、Al:0.01〜0.20w
    t%、N:0.01wt%以下、B:0.0001〜0.008wt%を含有
    し、残部はFeおよび不可避的不純物の成分組成からな
    り、{100}方位コロニーの断面面積率と平均直径と
    が、下記 (1)および (2)式を満足することを特徴とする
    加工性と耐肌荒れ性および耐リジング性に優れた冷延鋼
    板。 記 f/D≧0.0005 …… (1) (2.8 −r)/250 ≦f/D≦(4.0 −r)/250 …… (2) ここで、 f:{100}方位コロニーの断面面積率 D:{100}方位コロニーの平均直径(μm) r:平均r値(ただし、r≧1.5 )
  4. 【請求項4】C:0.01wt%以下、Si:2.0 wt%以下、M
    n:3.0 wt%以下、P:0.15wt%以下、Al:0.01〜0.20w
    t%、N:0.01wt%以下、B:0.0001〜0.008wt%を含
    み、かつTi:0.001 〜0.2 wt%、Nb:0.001 〜0.2 wt%
    の1種または2種を含有し、残部はFeおよび不可避的不
    純物の成分組成からなり、{100}方位コロニーの断
    面面積率と平均直径とが、下記 (1)および (2)式を満足
    することを特徴とする加工性と耐肌荒れ性および耐リジ
    ング性に優れた冷延鋼板。 記 f/D≧0.0005 …… (1) (2.8 −r)/250 ≦f/D≦(4.0 −r)/250 …… (2) ここで、 f:{100}方位コロニーの断面面積率 D:{100}方位コロニーの平均直径(μm) r:平均r値(ただし、r≧1.5 )
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