JPH11116594A - スズ化合物、その製法、及びこれを用いたポリ(3−ヒドロキシ酪酸)類の製造方法 - Google Patents

スズ化合物、その製法、及びこれを用いたポリ(3−ヒドロキシ酪酸)類の製造方法

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JPH11116594A
JPH11116594A JP28037997A JP28037997A JPH11116594A JP H11116594 A JPH11116594 A JP H11116594A JP 28037997 A JP28037997 A JP 28037997A JP 28037997 A JP28037997 A JP 28037997A JP H11116594 A JPH11116594 A JP H11116594A
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Yasushi Hori
容嗣 堀
Yoshiharu Gonda
嘉治 権田
Hideyuki Hongo
英之 本郷
Toshimitsu Hagiwara
利光 萩原
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Takasago International Corp
Original Assignee
Takasago International Corp
Takasago Perfumery Industry Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリ(3−ヒドロキシアルカン酸)類製造用
の新規触媒を開発し、その製造方法を提供し、さらにそ
の触媒の存在下、高分子量のポリ(3−ヒドロキシアル
カン酸)類を、微生物を用いずに工業的に有利に製造す
る方法を提供する。 【解決手段】 アルドヘキソース誘導体とジ置換スズオ
キシドとを反応させて得られる特定の新規スズ化合物で
ある。また、このスズ化合物の存在下、β−ブチロラク
トン単独、或いはβ−ブチロラクトンと他のラクトン
類、ラクチド類及び環状カーボネート類からなる群から
選ばれた一種とを開環重合、或いはランダム開環共重合
させることによって、高分子量のポリ(3−ヒドロキシ
アルカン酸)類を高収率で得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スズ化合物、その
製造方法、及びこれを用いたポリ(3−ヒドロキシ酪
酸)類の製造方法に関する。更に詳しく言えば、アルド
ヘキソース誘導体とジ置換スズオキシドとを反応させて
得られる新規スズ化合物、その製造方法、更に該スズ化
合物存在下、β−ブチロラクトン単独、或いはβ−ブチ
ロラクトンと他のラクトン類、ラクチド類及び環状カー
ボネート類からなる群から選ばれた一種とを、開環重
合、或いはランダム開環共重合させることによりポリ
(3−ヒドロキシ酪酸)類を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、(R)−3−ヒドロキシ酪酸(以
下、(R)−3HBと略記する。)のポリマーを菌体内
に蓄積する微生物が知られている。
【0003】更に、種々の(R)−3−ヒドロキシアル
カン酸ユニット(以下、(R)−3HAと略記する。)
を菌体内に蓄積する微生物は数多く存在することが知ら
れている(P.A.Holmes,Phys.Technol.,1985,(16),32ペー
ジ;生分解性高分子材料、26頁、土肥義治著、工業調査
会1990年発行参照)。一般に、微生物が合成するポリ
[(R)−3−ヒドロキシ酪酸](以下、P[(R)−
3HB]と略記する。)は数平均分子量が10万乃至1
00万に達する高分子量の熱可塑性樹脂である(Microbi
al Polyesters、2頁、土肥義治著、VCH Publishers、1990
年発行)。
【0004】これらのポリマーは、生分解性、即ち酵素
分解性、加水分解性、及び生体適合性の特性を持つため
に新しいタイプの機能性材料として注目されている(生
分解性高分子材料、19頁、土肥義治著、工業調査会1990
年発行、特開平4−292619号公報参照)。しか
し、これら微生物学的合成法は、微生物または酵素反応
を利用するため、菌体からのポリマーの分離等の繁雑な
工程を必要とし、製造原価が高く、また、生産されるポ
リマーは(R)−3HAユニットを含むものがほとんど
である。
【0005】一方、ラセミ体のβ−ブチロラクトン(以
下、rac−β−BLと略記する。)の開環重合によって
ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)(以下、rac−P(3H
B)と略記する。)を製造する方法として、トリエチル
アルミニウム/水からなる触媒系を用いる方法(R.A.Gr
ossら、Macromolecules,Vol.21,1988,pp.2657〜2668)、
ジエチル亜鉛/水からなる触媒系を用いる方法(Y.Zhan
gら、Macromolecules,Vol.23,1990,pp.3206〜3212;N.Ta
nahashiら、Macromolecules, Vol.24,1991,pp.5732〜57
33)、アルミニウム−ポルフィリン錯体を触媒として用
いる方法(S.AsanoらMacromolecules,Vol.18,1985,pp.20
57〜2061)、重合開始剤としてカリウム溶液または他の
カリウム化合物を用いる方法(Z.Jedlinskiら、Macromol
ecules,Vol. 18,1985,pp.2679〜2683)、重合開始剤とし
てマグネシウムやスズ等の金属のアルコキシドを用いる
方法(H.R. Kricheldorfら、Macromolecules,Vol.21, 19
88,pp.286〜293)などが知られている。
【0006】また、かかるスズ化合物としては、6員環
の環状スズ化合物、スピロ環状スズ化合物及びジスタノ
キサン化合物などが知られている。
【0007】例えば、重合開始剤として6員環の環状ス
ズ化合物またはスピロ環状スズ化合物を用いて、rac−
β−BLの重合が行なわれている(H.R. KricheldorfらM
acromolecules,Vol.28, 1995,pp.6718〜6725、H.R.Krich
eldorfら、Macromolecules,Vol.29,1996,pp.8689〜869
5)。しかしながら、この方法で得られるrac−P(3H
B)の分子量は39000以下であり、低分子量であっ
た。
【0008】また、ジスタノキサン触媒を用いたrac−
P(3HB)または光学活性のP−[(R)−3HB]
の製造方法が特開平6−256482号公報に開示され
ている。さらに、光学活性な(R)−または(S)−β
−ブチロラクトン(以下、(R)−β−BL、(S)−
β−BLと略記する。)と種々のラクトン類との開環共
重合によるポリ[(R)−3−ヒドロキシアルカン酸]
(以下、P[(R)−3HA]と略記する。)類または
ポリ[(S)−3−ヒドロキシアルカン酸](以下、P
−[(S)−3HA]と略記する。)類及びこれらの製
造方法が特開平6−329768号及び特開平7−53
694号の各公報に開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに開環重合による方法では、得られるポリ(3−ヒド
ロキシアルカン酸)(以下、P(3HA)と略記す
る。)類は、いずれの方法を用いても微生物による重合
法と比較すると分子量が低いので、高粘度を必要とする
製品の物性に達しないことがある等、工業的には多くの
問題点があった。
【0010】従って、本発明の目的は、P(3HA)類
製造用の新規触媒を開発し、その製造方法を提供し、さ
らに高分子量のP(3HA)類の、微生物を用いない工
業的に有利な製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究を行った結果、β−ブチロラクトン
単独、或いはβ−ブチロラクトンと他のラクトン類、ラ
クチド類及び環状カーボネート類からなる群から選ばれ
た一種とを、開環重合、或いはランダム開環共重合にお
いて、新たに開発した特定のスズ化合物を触媒として用
いることによって、高分子量のP(3HA)類を高収率
で得ることができることを見いだし、本発明を完成する
に至った。
【0012】即ち、本発明の第1発明は、下記一般式
(1) (式中、Rは炭素数1乃至12の分岐鎖を有していて
もよいアルキル基、炭素数5乃至7のシクロアルキル
基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有
していてもよいベンジル基、又は置換基を有していても
よいナフチル基であり、Rは炭素数1乃至12の分岐
鎖を有していてもよいアルキル基である。)で表される
スズ化合物である。
【0013】ここで、好ましくは、Rが炭素数1乃至
10の分岐鎖を有していてもよいアルキル基、Rが炭
素数1乃至4の低級アルキル基である。
【0014】また、本発明の第2発明は、下記一般式
(2) (式中、Rは炭素数1乃至12の分岐鎖を有していて
もよいアルキル基である。)で表わされるアルドヘキソ
ース誘導体と下記一般式(3) RSnO (3) (式中、Rは炭素数1乃至12の分岐鎖を有していて
もよいアルキル基、炭素数5乃至7のシクロアルキル
基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有
していてもよいベンジル基、又は置換基を有していても
よいナフチル基である。)で表されるジ置換スズオキシ
ドとを反応させることを特徴とする下記一般式(1) (式中、Rは炭素数1乃至12の分岐鎖を有していて
もよいアルキル基、炭素数5乃至7のシクロアルキル
基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有
していてもよいベンジル基、又は置換基を有していても
よいナフチル基であり、Rは炭素数1乃至12の分岐
鎖を有していてもよいアルキル基である。)で表される
スズ化合物の製造方法である。
【0015】更に、本発明の第3発明は、前記記載のス
ズ化合物の存在下、β−ブチロラクトン単独、或いはβ
−ブチロラクトンと他のラクトン類、ラクチド類及び環
状カーボネート類からなる群から選ばれた一種とを、開
環重合、或いはランダム開環共重合させることを特徴と
するポリ(3−ヒドロキシ酪酸)類の製造方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。本発明のスズ化合物の原料である前記一般式(2)
で表わされるアルドヘキソース誘導体は、市販品を用い
るか、又は公知の方法(例えば、Helferichら、Org.Sy
n.coll.vol.I,(2nd ed.,1941)364;Chem.Eng.News 33,45
92(1955))に従い、アルコールとアルドヘキソース類と
を縮合反応させ、合成したものを用いてもよい。
【0017】上記アルドヘキソース誘導体におけるR
は炭素数1乃至12の分岐鎖を有していてもよいアルキ
ル基である。
【0018】ここで炭素数1乃至12の分岐鎖を有して
いてもよいアルキル基としては、例えば、メチル基、エ
チル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル
基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、
n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n
−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウン
デシル基、n−ドデシル基等が挙げられるが、特にメチ
ル基、n−オクチル基が好ましい。
【0019】また、アルドヘキソース類としては、例え
ば、D−グルコース、D−ガラクトース、D−マンノー
ス等が挙げられる。
【0020】前記一般式(2)で表わされるアルドヘキ
ソース誘導体としては、例えば、メチル−α−D−グル
コピラノシド、1−O−n−オクチル−β−D−グルコ
ピラノシド、メチル−α−D−ガラクトピラノシド、メ
チル−α−D−マンノピラノシド等が挙げられる。
【0021】また、本発明のスズ化合物合成の原料であ
る前記一般式(3)で表わされるジ置換スズオキシドに
おけるRは炭素数1乃至12の分岐鎖を有していても
よいアルキル基、炭素数5乃至7のシクロアルキル基、
置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有して
いてもよいベンジル基、又は置換基を有していてもよい
ナフチル基である。
【0022】ここで、炭素数1乃至12の分岐鎖を有し
ていてもよいアルキル基としては、例えば、メチル基、
エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチ
ル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル
基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル
基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n
−ウンデシル基、n−ドデシル基等が挙げられるが、特
にメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル
基、n−オクチル基、n−ドデシル基が好ましい。
【0023】また、炭素数5乃至7のシクロアルキル基
としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル
基、シクロヘプチル基等が挙げられる。
【0024】更に、置換基を有していてもよいフェニル
基、置換基を有していてもよいベンジル基、又は置換基
を有していてもよいナフチル基における置換基として
は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t
ert−ブチル基などの炭素数1乃至4の低級アルキル
基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原
子、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ
基などの炭素数1乃至4の低級アルコキシ基、トリフル
オロメチル基、トリクロロメチル基などのハロゲン化メ
チル基を例示することができる。
【0025】前記一般式(3)で表わされるジ置換スズ
オキシドとしては、例えば、ジメチルスズオキサイド、
ジエチルスズオキサイド、ジプロピルスズオキサイド、
ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、
ジドデシルスズオキサイド、ジベンジルスズオキサイ
ド、ジフェニルスズオキサイド、ジ−p−クロロフェニ
Zルスズオキサイド、ジ−p−メトキシフェニルスズオ
キサイド、ジ−1−ナフチルスズオキサイド、ジ−2−
ナフチルスズオキサイドなどが挙げられる。
【0026】前記一般式(1)で表わされる本発明のス
ズ化合物は、例えば、前記一般式(2)で表わされるア
ルドヘキソース誘導体と、前記一般式(3)で表わされ
るジ置換スズオキシドとをアルコール(例えば、メタノ
ール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノー
ル、エチレングリコール、プロピレングリコールなどが
例示される。)中70℃で10時間以上還流して縮合さ
せることによるか、或いは芳香族炭化水素(例えば、ベ
ンゼン、トルエン、キシレンなどが例示される。)中で
80〜150℃で10時間以上共沸脱水して縮合させる
ことにより容易に合成することができる。
【0027】一般式(1)で表わされるスズ化合物とし
て、例えば、グルコピラノシド誘導体としては、メチル
2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジメチルスタニレン)−α−D
−グルコピラノシド、メチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジ
エチルスタニレン)−α−D−グルコピラノシド、メチ
ル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジプロピルスタニレン)−α
−D−グルコピラノシド、メチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス
(ジブチルスタニレン)−α−D−グルコピラノシド、
メチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジオクチルスタニレン)
−α−D−グルコピラノシド、メチル 2,3-O-, 4,6-O-
ビス(ジドデシルスタニレン)−α−D−グルコピラノ
シド、メチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジシクロヘキシル
スタニレン)−α−D−グルコピラノシド、メチル 2,3
-O-, 4,6-O-ビス(ジフェニルスタニレン)−α−D−
グルコピラノシド、メチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジベ
ンジルスタニレン)−α−D−グルコピラノシド、メチ
ル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジ−2−ナフチルスタニレ
ン)−α−D−グルコピラノシド、オクチル 2,3-O-,
4,6-O-ビス(ジブチルスタニレン)−α−D−グルコピ
ラノシド、オクチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジオクチル
スタニレン)−α−D−グルコピラノシドなどが挙げら
れる。
【0028】また、ガラクトピラノシド誘導体として
は、メチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジメチルスタニレ
ン)−α−D−ガラクトピラノシド、メチル 2,3-O-,
4,6-O-ビス(ジエチルスタニレン)−α−D−ガラクト
ピラノシド、メチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジプロピル
スタニレン)−α−D−ガラクトピラノシド、メチル
2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジブチルスタニレン)−α−D−
ガラクトピラノシド、メチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジ
オクチルスタニレン)−α−D−ガラクトピラノシド、
メチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジドデシルスタニレン)
−α−D−ガラクトピラノシド、メチル 2,3-O-, 4,6-O
-ビス(ジシクロヘキシルスタニレン)−α−D−ガラ
クトピラノシド、メチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジフェ
ニルスタニレン)−α−D−ガラクトピラノシド、メチ
ル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジベンジルスタニレン)−α
−D−ガラクトピラノシド、メチル 2,3-O-, 4,6-O-ビ
ス(ジ−2−ナフチルスタニレン)−α−D−ガラクト
ピラノシド、オクチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジブチル
スタニレン)−α−D−ガラクトピラノシド、オクチル
2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジオクチルスタニレン)−α−
D−ガラクトピラノシド、メチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス
(ジメチルスタニレン)−β−D−ガラクトピラノシ
ド、メチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジエチルスタニレ
ン)−β−D−ガラクトピラノシド、メチル 2,3-O-,
4,6-O-ビス(ジプロピルスタニレン)−β−D−ガラク
トピラノシド、メチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジブチル
スタニレン)−β−D−ガラクトピラノシド、メチル
2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジオクチルスタニレン)−β−D
−ガラクトピラノシド、メチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス
(ジドデシルスタニレン)−β−D−ガラクトピラノシ
ド、メチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジシクロヘキシルス
タニレン)−β−D−ガラクトピラノシド、メチル 2,3
-O-, 4,6-O-ビス(ジフェニルスタニレン)−β−D−
ガラクトピラノシド、メチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジ
ベンジルスタニレン)−β−D−ガラクトピラノシド、
メチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジ−2−ナフチルスタニ
レン)−β−D−ガラクトピラノシド、オクチル 2,3-O
-, 4,6-O-ビス(ジブチルスタニレン)−β−D−ガラ
クトピラノシド、オクチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジオ
クチルスタニレン)−β−D−ガラクトピラノシドなど
が挙げられる。
【0029】さらに、マンノピラノシド誘導体として
は、メチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジメチルスタニレ
ン)−α−D−マンノピラノシド、メチル 2,3-O-, 4,6
-O-ビス(ジエチルスタニレン)−α−D−マンノピラ
ノシド、メチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジプロピルスタ
ニレン)−α−D−マンノピラノシド、メチル 2,3-O-,
4,6-O-ビス(ジブチルスタニレン)−α−D−マンノ
ピラノシド、メチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジオクチル
スタニレン)−α−D−マンノピラノシド、メチル 2,3
-O-, 4,6-O-ビス(ジドデシルスタニレン)−α−D−
マンノピラノシド、メチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジシ
クロヘキシルスタニレン)−α−D−マンノピラノシ
ド、メチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジフェニルスタニレ
ン)−α−D−マンノピラノシド、メチル 2,3-O-, 4,6
-O-ビス(ジベンジルスタニレン)−α−D−マンノピ
ラノシド、メチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジ−2−ナフ
チルスタニレン)−α−D−マンノピラノシド、オクチ
ル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジブチルスタニレン)−α−
D−マンノピラノシド、オクチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス
(ジオクチルスタニレン)−α−D−マンノピラノシド
などが挙げられる。
【0030】これらスズ化合物は、少なくとも1種を使
用し、必要に応じ数種を併用することができる。このよ
うにして得られた前記一般式(1)で表わされるスズ化
合物は、原料モノマーに対し1/1000〜1/400
00倍モルの量で使用され、好ましくは、1/2000
〜1/20000倍モルの量で使用される。
【0031】本発明の重合反応で得られるポリマーの原
料の1つである光学活性な(R)−または(S)−β−
BLは、特開平6−128245号公報、特開平7−1
88201号公報または特開平7−206885号公報
に開示されている方法、すなわちジケテンをルテニウム
−光学活性ホスフィン錯体を触媒として不斉水素化をお
こなうことにより容易に得ることができる。rac−β−
BLは市販品を使用することができる。また、光学純度
の高いβ−ブチロラクトン(以下、β−BLと略記す
る。)から低いものまで用いることができる。
【0032】また、本発明に使用するβ−BLは、予め
混在する酸類をアルカリ金属、アルカリ土金属等の酸化
物、炭酸塩または炭酸水素塩により除去した後、乾燥
剤、例えば、水素化カルシウム、酸化マグネシウムまた
は酸化バリウムを加えて蒸留する操作を1回以上繰り返
して精製し、使用前まで不活性ガス中で保存したものが
使用される。
【0033】本発明において、β−BLとの開環共重合
に使用されるβ−BL以外の原料であるラクトン類は、
4乃至17員環までのものを使用することができる。例
えば、4員環のβ−プロピオラクトン、α−メチル−β
−プロピオラクトン、α,α−ジメチル−β−プロピオ
ラクトン、α,β−ジメチル−β−プロピオラクトン、
β−エチル−β−プロピオラクトン、β−プロピル−β
−プロピオラクトン、β−ブチル−β−プロピオラクト
ン、β−ペンチル−β−プロピオラクトン、β−ペンタ
デシル−β−プロピオラクトン、5員環のγ−ブチロラ
クトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル
−γ−ブチロラクトン、γ−メチル−γ−ブチロラクト
ン、6員環のδ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バ
レロラクトン、7員環のε−カプロラクトン、7−メチ
ル−1,4−ジオキセパン−5−オン、12員環の11
−ウンデカノリド、16員環の15−ペンタデカノリ
ド、17員環の16−ヘキサデカノリド、9−ヘキサデ
セン−16−オリド、12−オキサ−16−ヘキサデカ
ノリド、11−オキサ−16−ヘキサデカノリド及び1
0−オキサ−16−ヘキサデカノリドなどが挙げられ
る。
【0034】前記ラクトン類は、市販品あるいは合成品
を使用できるが、精製したもの、例えば、水素化カルシ
ウム、酸化マグネシウムまたは酸化バリウムを加えて蒸
留する操作を1回以上繰り返し、使用前まで不活性ガス
中で保存したものが使用される。
【0035】本発明において、β−BLとの開環共重合
に使用されるラクチド類としては、例えば、グリコリ
ド、L−ラクチド、DL−ラクチドなどが挙げられる。
【0036】前記ラクチド類は、市販品あるいは合成品
を使用できるが、精製したもの、例えば、水素化カルシ
ウム、酸化マグネシウムまたは酸化バリウムを加えて蒸
留する操作を1回以上繰り返すか、あるいは、乾燥した
酢酸エチルやトルエン等の溶媒から再結晶し、使用前ま
で不活性ガス中で保存したものが使用される。
【0037】本発明において、β−BLとの開環共重合
に使用される環状カーボネート類は、5乃至7員環まで
のものを使用することができる。例えば、5員環の2,
5−ジオキサシクロペンタノン、3−メチル−2,5−
ジオキサシクロペンタノン、6員環の2,6−ジオキサ
シクロヘキサノン、3−メチル−2,6−ジオキサシク
ロヘキサノン、3,5−ジメチル−2,6−ジオキサシ
クロヘキサノン、4,4−ジメチル−2,6−ジオキサ
シクロヘキサノン、7員環の2,7−ジオキサシクロヘ
プタノンなどが挙げられる。
【0038】前記環状カーボネート類は、市販品あるい
は合成品を使用できるが、精製したもの、例えば、水素
化カルシウム、酸化マグネシウムまたは酸化バリウムを
加えて蒸留する操作を1回以上繰り返すか、あるいは、
乾燥した酢酸エチルやトルエン等の溶媒から再結晶し、
使用前まで不活性ガス中で保存したものが使用される。
【0039】本発明に使用する開環共重合に付されるβ
−BLとラクトン類、β−BLとラクチド類またはβ−
BLと環状カーボネート類との割合は、前者:後者のモ
ル%比で、1乃至99:99乃至1である。なお、必要
に応じて、ほかのモノマーユニットを共存させることも
可能である。
【0040】本発明において、β−BLとラクトン類、
β−BLとラクチド類またはβ−BLと環状カーボネー
ト類との開環共重合により、ランダム共重合ポリエステ
ルまたはランダム共重合ポリ(エステル−カーボネー
ト)を得ることができる。
【0041】ランダム共重合ポリエステルまたはランダ
ム共重合ポリ(エステル−カーボネート)は、具体的に
は、β−BLとラクトン類、β−BLとラクチド類また
はβ−BLと環状カーボネート類とを上記範囲内の適宜
の比率で、不活性溶媒中または無溶媒で、窒素又はアル
ゴン等の不活性気体下にて反応容器に仕込み、これに本
発明のスズ化合物を触媒として加え、常圧で40〜10
0℃の温度で1時間乃至7日間反応させて得ることがで
きる。
【0042】
【実施例】以下、実施例および試験例により本発明をさ
らに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定さ
れるものではない。なお、実施例で使用した分析機器お
よび生分解性試験で使用した機器は下記のとおりであ
る。 1)核磁気共鳴スペクトル(NMR):AM−400型
装置 (400MHz)(ブルカー社製) 2)正イオンマススペクトル(SIMS):日立M−2
000A型装置 (日立製作所(株)製) 3)ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)類の分子量:D−25
20 GPC Integrator (日立製作所(株)製) 4)示差走査熱量計(DSC):DSC50 (島津製
作所(株)製)
【0043】実施例1 メチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジブチルスタニレン)−
α−D−グルコピラノシド(methyl 2,3-O-, 4,6-O-bis
(dibutylstannylene)-α-D-glucopyranoside)の合成 500mLの反応容器にメチル−α−D−グルコピラノ
シド(methyl-α-D-glucopyranoside)4.86g(25
ミリモル)、ジブチルスズオキサイド6.22g(25
ミリモル)、メタノール100mLを70℃で6時間攪
拌した。室温で一晩静置したのち、上澄みをろ過した。
ろ液を減圧乾燥した。乾燥後の白色粉末に、ジブチルス
ズオキサイド5.63g(22.6ミリモル)、メタノ
ール200mLを加え、70℃で4時間攪拌した。室温
で一晩静置したのち、上澄みをろ過した。ろ液のメタノ
ールを減圧留去し、残渣を60℃で5時間減圧乾燥する
ことにより標題のスズ化合物13.70g(収率83.
6%)を得た。 融点:DSCによる測定結果より、mp=134℃であ
った。 分子量:SIMSによる測定結果より、分子イオン(M
=658)にプロトンが付加したイオンm/z=65
9が検出された。それ以外に、同位体のイオン(M
656,654)にそれぞれプロトンが付加したイオン
m/z=657,655が検出された。m/z=657
は同位体存在比が一番大きいので測定デ−タでも大きく
検出された。1 H-NMR(400MHz,CDCl3)δppm:0.8〜1.0 (12H,br)、1.0〜
2.2(24H,m)、2.9〜3.9(9H,m)、4.6〜4.8(1H,m)13 C-NMR(100Mhz,CDCl3)δppm:13.7(m)、26.0〜28.0(m)、5
5.3(m)、65.4(m)、70.8(m)、73.4(m)、77.2(m)、77.5(m)、10
0.3(m)
【0044】実施例2 メチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジブチルスタニレン)−
α−D−グルコピラノシド(methyl 2,3-O-, 4,6-O-bis
(dibutylstannylene)-α-D-glucopyranoside)の合成 500mLの反応容器にメチル−α−D−グルコピラノ
シド(methyl-α-D-glucopyranoside)4.86g(25
ミリモル)、ジブチルスズオキサイド6.22g(25
ミリモル)、メタノール100mLを70℃で6時間攪
拌した。溶液を減圧濃縮乾燥し、乾燥後の白色粉末に、
ジブチルスズオキサイド5.63g(22.6ミリモ
ル)、メタノール200mLを加え、70℃で4時間攪
拌した。室温で一晩静置したのち、上澄みをろ過した。
ろ液のメタノールを減圧留去し、残渣を60℃で5時間
減圧乾燥することにより標題のスズ化合物14.15g
(収率86.3%)を得た。
【0045】実施例3 メチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジブチルスタニレン)−
α−D−グルコピラノシド(methyl 2,3-O-, 4,6-O-bis
(dibutylstannylene)-α-D-glucopyranoside)の合成 500mLの反応容器にメチル−α−D−グルコピラノ
シド(methyl-α-D-glucopyranoside)9.75g(50
ミリモル)、ジブチルスズオキサイド12.45g(5
0ミリモル)、メタノール200mLを80℃で4時間
攪拌した。メタノ−ルを減圧留去した。反応容器にディ
ーンスターク管を付け、乾燥後の白色粉末に、ジブチル
スズオキサイド12.45g(50ミリモル)、ベンゼ
ン200mLを加え、90℃で19.5時間共沸脱水を
行った。ベンゼンを減圧留去し、残渣を60℃で5時間
減圧乾燥することにより標題のスズ化合物32.80g
(収率100%)を得た。
【0046】実施例4 メチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジオクチルスタニレン)
−β−D−ガラクトピラノシド(methyl 2,3-O-, 4,6-O-
bis(dioctylstannylene)-β-D-galactopyranoside)の合
成 500mLの反応容器にメチル−β−D−ガラクトピラ
ノシド(methyl-β-D-galactopyranoside)4.86g
(25ミリモル)、ジオクチルスズオキサイド18.0
6g(50ミリモル)、トルエン 300mLを、ディ
ーンスターク管を付けて、130℃で20時間共沸脱水
を行った。トルエンを減圧留去し、残渣を60℃で5時
間減圧乾燥することにより標題のスズ化合物27.81
g(収率100%)を得た。 融点:DSCによる測定結果より、mp=81,170
℃であった。 分子量:SIMSによる測定結果より、分子イオン(M
=880)にプロトンが付加したイオンm/z=85
1が検出された。それ以外に、同位体のイオン(M
878,876)にそれぞれプロトンが付加したイオン
m/z=879,877が検出された。m/z=879
は同位体存在比が一番大きいので測定デ−タでも大きく
検出された。1 H-NMR(400MHz,CDCl3)δppm:0.8〜0.93(12H,m)、0.93〜
1.8(56H,m)、3.1〜4.2 (10H,m)13 C-NMR(100MHz,CDCl3)δppm:14.1 (s)、22.7(s)、25.5〜
26.2(m)、29.3〜29.7(m)、32.0(m)、34.3〜35.0(m)、56.0
(s)、57.0(s)、63.1(br)、70〜74.0(m)、74.7(m)、75.5(s)、7
7.2(s)、103.9(s)
【0047】実施例5 メチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジオクチルスタニレン)
−α−D−グルコピラノシド(methyl 2,3-O-, 4,6-O-bi
s(dioctylstannylene)-α-D-glucopyranoside)の合成 1Lの反応容器にメチル−α−D−グルコピラノシド(m
ethyl-α-D-gluco-pyranoside)4.86g(25ミリモ
ル)、ジオクチルスズオキサイド18.06g(50ミ
リモル)、ベンゼン600mLを、ディーンスターク管
を付けて、90℃で20時間共沸脱水を行った。ベンゼ
ンを減圧留去し、残渣を60℃で6時間減圧乾燥するこ
とにより標題のスズ化合物27.81g(収率100
%)を得た。 融点:DSCによる測定結果より、mp=134℃であ
った。 分子量:SIMSによる測定結果より、分子イオン(M
=880)にプロトンが付加したイオンm/z=88
1が検出された。それ以外に、同位体のイオン(M
878,876)にそれぞれプロトンが付加したイオン
m/z=879,877が検出された。m/z=879
は同位体存在比が一番大きいので測定デ−タでも大きく
検出された。1 H-NMR(400MHz,CDCl3)δppm:0.8〜0.93(12H,m)、0.93〜
1.8(56H,m)、2.9〜3.9(9H,m)、4.5〜4.9(1H,m)13 C-NMR(100MHz,CDCl3)δppm:14.1(s)、22.7(m)、25.1〜2
5.7(m)、29.1〜29.7(m)、31.9〜32.2(m)、33.8〜35.0(m)、5
5.2〜55.4(m)、65.5(br)、70.4〜70.9(m)、73.2〜73.6(m)、
77.2(m)、78.2(m)、100.0〜100.3(m)
【0048】以下の実施例中、コポリマ−中のモノマ−
の含有比、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(M
w)、ガラス転移点(Tg)、融点(Tm)のデ−タは
表1にまとめて示した。
【0049】実施例6 rac−β−BLの開環重合によるrac−P(3HB)の合
成 250mLの反応容器にrac−β−BL 34.44g
(0.40モル)、実施例1で得たメチル 2,3-O-, 4,6
-O-ビス(ジブチルスタニレン)−α−D−グルコピラ
ノシド32.1 mg(0.05ミリモル)をアルゴン
雰囲気下、90℃で2時間攪拌した。乾燥トルエンを2
0mL加えてさらに90℃で、38時間重合させた。生
成物を塩化メチレンに溶解してヘキサン溶媒に投入し、
再沈殿することにより標題のポリマー34.08g(収
率99.0%)を得た。
【0050】実施例7 (R)−β−BLの開環重合によるP[(R)−3H
B]の合成 250mLの反応容器に(R)−β−BL21.60g
(0.25モル)、実施例1で得たメチル 2,3-O-, 4,6
-O-ビス(ジブチルスタニレン)−α−D−グルコピラ
ノシド20.4mg(0.031ミリモル)をアルゴン
雰囲気下、90℃で24時間重合させた。生成物を塩化
メチレンに溶解してヘキサン溶媒に投入し、再沈殿する
ことにより標題のポリマー20.22g(収率93.6
%)を得た。
【0051】実施例8 (R)−β−BLの開環重合によるP[(R)−3H
B]の合成 250mLの反応容器に(R)−β−BL17.22g
(0.20モル)、実施例3で得たメチル 2,3-O-, 4,6
-O-ビス(ジブチルスタニレン)−α−D−グルコピラ
ノシド16.1 mg(0.0245ミリモル)をアル
ゴン雰囲気下、90℃で45時間重合させた。生成物を
塩化メチレンに溶解してヘキサン溶媒に投入し、再沈殿
することにより標題のポリマー15.47g(収率8
9.9%)を得た。
【0052】実施例9 (R)−β−BLとε−カプロラクトン(以下、ε−C
Lと略記する。)とからの開環共重合によるコポリエス
テルの合成 250mLの反応容器に(R)−β−BL15.50g
(0.18モル)、ε−CL2.28g(0.02モ
ル)、実施例2で得たメチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジ
ブチルスタニレン)−α−Dグルコピラノシド 16.
4 mg(0.025ミリモル)をアルゴン雰囲気下、
90℃で3時間攪拌した。乾燥トルエンを3mL加えて
さらに1.5時間重合させた。さらに乾燥トルエンを7
mL加えて90℃で4日間重合させた。生成物を塩化メ
チレンに溶解してヘキサン溶媒に投入し、再沈殿するこ
とにより標題のコポリエステル15.78g(収率8
8.8%)を得た。
【0053】実施例10 (R)−β−BLとε−CLとからの開環共重合による
コポリエステルの合成 250mLの反応容器に(R)−β−BL1.72g
(0.02モル)、ε−CL20.55g(0.18モ
ル)、実施例2で得たメチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジ
ブチルスタニレン)−α−D−グルコピラノシド16.
4 mg(0.025ミリモル)をアルゴン雰囲気下、
90℃で20分間攪拌した。乾燥トルエンを20mLを
30分間で加えてさらに18時間重合させた。生成物を
塩化メチレンに溶解してヘキサン溶媒に投入し、再沈殿
することにより標題のコポリエステル20.46g(収
率91.88%)を得た。
【0054】実施例11 (R)−β−BLとε−カプロラクトンとからの開環共
重合によるコポリエステルの合成 250mLの反応容器に(R)−β−BL2.58g
(0.03モル)、ε−CL30.82g(0.27モ
ル)、実施例1で得たメチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス(ジ
ブチルスタニレン)−α−D−グルコピラノシド32.
3mg(0.046ミリモル)をアルゴン雰囲気下、9
0℃で70時間重合させた。生成物を塩化メチレンに溶
解してヘキサン溶媒に投入し、再沈殿することにより標
題のコポリエステル20.46g(収率91.88%)
を得た。
【0055】実施例12 (R)−β−BLとL−ラクチド(以下、L−LAと略
記する。)とからの開環共重合によるコポリエステルの
合成 250mLの反応容器に(R)−β−BL 12.09
g(0.14モル)、L−LA2.25g(0.015
6モル)、実施例1で得たメチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス
(ジブチルスタニレン)−α−D−グルコピラノシド2
5.6 mg(0.039ミリモル)をアルゴン雰囲気
下、90℃で45時間攪拌した。生成物を塩化メチレン
に溶解してヘキサン溶媒に投入し、再沈殿することによ
り標題のコポリエステル112.91g(収率90.0
%)を得た。
【0056】実施例13 (R)−β−BLと15−ペンタデカノリド(以下、1
5−PDと略記する。)とからの開環共重合によるコポ
リエステルの合成 150mLの反応容器に(R)−β−BL 12.09
g(0.14モル)、15−PD3.75g(0.01
6モル)、実施例2で得たメチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス
(ジブチルスタニレン)−α−D−グルコピラノシド2
5.6 mg(0.039ミリモル)をアルゴン雰囲気
下、95℃で66時間重合させた。生成物を塩化メチレ
ンに溶解してヘキサン溶媒に投入し、再沈殿することに
より標題のコポリエステル13.14g(83.0%)
を得た。
【0057】実施例14 (R)−β−BLとトリメチレンカーボネート(以下、
TMSと略記する。)とからの開環共重合によるコポリ
(エステル−カーボネート)の合成 150mLの反応容器に(R)−β−BL 17.36
g(0.202モル)、TMS2.29g(0.022
4モル)、実施例1で得たメチル 2,3-O-, 4,6-O-ビス
(ジブチルスタニレン)−α−D−グルコピラノシド3
6.7 mg(0.056ミリモル)をアルゴン雰囲気
下、95℃で16時間重合させた。生成物を塩化メチレ
ンに溶解してヘキサン溶媒に投入し、再沈殿することに
より標題のコポリ(エステル−カーボネート)17.2
4g(収率87.8%)を得た。
【0058】実施例15 (R)−β−BLの開環共重合によるP[(R)−3H
B]の合成 250mLの反応容器に(R)−β−BL 34.44
g(0.40モル)、実施例5で得られたメチル 2,3-O
-, 4,6-O-ビス(ジオクチルスタニレン)−α−D−グ
ルコピラノシド29.3 mg(0.033ミリモル)
をアルゴン雰囲気下、95℃で72時間重合させた。生
成物を塩化メチレンに溶解してヘキサン溶媒に投入し、
再沈殿することにより標題のポリマー16.47g(収
率50.5%)を得た。
【0059】
【表1】
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、光学活性体又はラセミ
体のβ−BL単独、或はβ−BLと他のラクトン類等と
を、アルドヘキソース誘導体とジ置換スズオキシドとを
反応させて得られる特定の新規スズ化合物を触媒として
開環重合、あるいは開環共重合させることにより、生分
解性、生体吸収性の機能性高分子材料として有用な高分
子量のP(3HA)類を、容易に工業的に有利な方法で
製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本郷 英之 神奈川県平塚市西八幡1丁目4番11号 高 砂香料工業株式会社総合研究所内 (72)発明者 萩原 利光 神奈川県平塚市西八幡1丁目4番11号 高 砂香料工業株式会社総合研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) (式中、Rは炭素数1乃至12の分岐鎖を有していて
    もよいアルキル基、炭素数5乃至7のシクロアルキル
    基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有
    していてもよいベンジル基、又は置換基を有していても
    よいナフチル基であり、Rは炭素数1乃至12の分岐
    鎖を有していてもよいアルキル基である。)で表される
    スズ化合物。
  2. 【請求項2】 Rが炭素数1乃至10の分岐鎖を有し
    ていてもよいアルキル基、Rが炭素数1乃至4の低級
    アルキル基である請求項1記載のスズ化合物。
  3. 【請求項3】 下記一般式(2) (式中、Rは炭素数1乃至12の分岐鎖を有していて
    もよいアルキル基である。)で表わされるアルドヘキソ
    ース誘導体と下記一般式(3) RSnO (3) (式中、Rは炭素数1乃至12の分岐鎖を有していて
    もよいアルキル基、炭素数5乃至7のシクロアルキル
    基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有
    していてもよいベンジル基、又は置換基を有していても
    よいナフチル基である。)で表されるジ置換スズオキシ
    ドとを反応させることを特徴とする下記一般式(1) (式中、Rは炭素数1乃至12の分岐鎖を有していて
    もよいアルキル基、炭素数5乃至7のシクロアルキル
    基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有
    していてもよいベンジル基、又は置換基を有していても
    よいナフチル基であり、Rは炭素数1乃至12の分岐
    鎖を有していてもよいアルキル基である。)で表される
    スズ化合物の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のスズ化合物の存在下、
    β−ブチロラクトン単独、或いはβ−ブチロラクトンと
    他のラクトン類、ラクチド類及び環状カーボネート類か
    らなる群から選ばれた一種とを、開環重合、或いはラン
    ダム開環共重合させることを特徴とするポリ(3−ヒド
    ロキシ酪酸)類の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004525193A (ja) * 2000-05-15 2004-08-19 ソシエテ・ド・コンセイユ・ド・ルシエルシエ・エ・ダアツプリカーション・シヤンテイフイツク・(エス.セー.エール.アー.エス) 複素環の重合触媒としてスタンニレン及びゲルミレンの使用

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004525193A (ja) * 2000-05-15 2004-08-19 ソシエテ・ド・コンセイユ・ド・ルシエルシエ・エ・ダアツプリカーション・シヤンテイフイツク・(エス.セー.エール.アー.エス) 複素環の重合触媒としてスタンニレン及びゲルミレンの使用

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