JPH11116272A - 高周波用ガラス粉末およびそれを用いた電気絶縁層 - Google Patents

高周波用ガラス粉末およびそれを用いた電気絶縁層

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JPH11116272A
JPH11116272A JP28635797A JP28635797A JPH11116272A JP H11116272 A JPH11116272 A JP H11116272A JP 28635797 A JP28635797 A JP 28635797A JP 28635797 A JP28635797 A JP 28635797A JP H11116272 A JPH11116272 A JP H11116272A
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insulating layer
glass powder
point
glass
sio
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JP28635797A
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Hirotsugu Kawakami
弘倫 川上
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電極材料等の他材料との反応性を小さくし得
る比較的低い温度で焼成されても、空隙率が低く緻密
で、高周波におけるQの高い電気絶縁層を形成できる、
高周波用ガラス粉末を提供する。 【解決手段】 〔(粒子投影像における最大粒径相当の
円の面積/粒子投影面積)×100〕を球形度としたと
き、高周波用ガラス粉末の球形度を、100〜200、
より好ましくは100〜150の範囲に選び、粉末粒子
の形態を球形により近づける。これによって、当該ガラ
ス粉末を比較的低い温度で焼結させても、得られた電気
絶縁層4は、内部に気孔が少なく、緻密になり、高周波
におけるQが高められる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、高周波回路に関
連して電気絶縁材料として用いられる高周波用ガラス粉
末およびそれを焼結させることによって得られる電気絶
縁層に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子機器の高密度化および/または高速
信号化に伴い、これら電子機器に備える高周波回路に関
連して用いられる電気絶縁材料は、低誘電率であること
が求められている。このような高周波の分野における絶
縁材料の用途としては、たとえば、アルミナなどの絶縁
基板の表面上に電気絶縁層を形成するための用途があ
り、この電気絶縁層に接するように所望の電極または伝
送線路が形成される。
【0003】従来、低誘電率を必要とする電気絶縁層
は、典型的には、ガラス粉末を焼結させてなる焼結体で
構成され、このようなガラス粉末としては、たとえば特
開平8−273437号公報等に記載されるように、高
珪酸ガラスからなる粉末が主に用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ガラス
粉末を焼結させる場合、ガラスが十分な粘度低下を起こ
す焼結雰囲気でこれを行なわなければ、得られた電気絶
縁層内に気泡が取り込まれてしまい、そのため、絶縁破
壊電圧の低下、高周波におけるQ値の劣化を引き起こす
ことがある。
【0005】他方、電気絶縁層に気泡が取り込まれない
ようにするため、ガラス粉末を焼結させる際、気泡が十
分に抜ける焼結温度にまで上げると、電極材料等の他の
材料との反応性が大きくなるという問題に遭遇する。そ
こで、この発明の目的は、上述した課題を解決しようと
するもので、低誘電率であって、しかも高緻密で、それ
ゆえ、絶縁破壊電圧が高く、かつ高いQ値を与えること
が可能であり、また、電気絶縁層等を形成するために焼
結されるときに他材料との反応性が小さい、高周波用ガ
ラス粉末、およびそれを用いた電気絶縁層を提供しよう
とすることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、ガラス粉末
粒子の形態に着目してなされたもので、より特定的に
は、ガラス粉末粒子の形態を球形に近づけることによ
り、上述した技術的課題を解決しようとするものであ
る。すなわち、この発明に係る高周波用ガラス粉末は、
〔(粒子投影像における最大粒径相当の円の面積/粒子
投影面積)×100〕を球形度としたとき、球形度が1
00〜200であることを特徴としている。
【0007】この発明は、また、上述した高周波用ガラ
スを用いて構成された電気絶縁層にも向けられる。この
電気絶縁層は、上述したように、球形度が100〜20
0である高周波用ガラス粉末の焼結体を含んでいること
を特徴としている。この発明において、高周波用ガラス
粉末は、その球形度が100〜150であることがより
好ましい。
【0008】また、この発明において、高周波用ガラス
粉末は、好ましくは、珪酸塩ガラスからなる。上述した
珪酸塩ガラスは、より好ましくは、SiO2 とB2 3
およびK2 Oの少なくとも一方とを含み、これらSiO
2 とB2 3 とK2 Oとの重量組成比(SiO2 ,B2
3 ,K2 O)は、添付の図1に示す3元組成図におい
て、点A(65,35,0)、点B(65,20,1
5)、点C(85,0,15)および点D(85,1
5,0)で囲まれた領域内にあるように選ばれる。
【0009】さらに好ましくは、上述のSiO2 とB2
3 とK2 Oとの重量組成比(SiO2 ,B2 3 ,K
2 O)は、添付の図1に示す3元組成図において、点E
(75,24.5,0.5)、点F(75,22,
3)、点G(85,12,3)および点H(85,1
4.5,0.5)で囲まれた領域内にあるように選ばれ
る。また、この発明において、高周波用ガラス粉末が珪
酸塩ガラスからなるとき、この珪酸塩ガラスは、SiO
2 とB2 3 およびK2 Oの少なくとも一方とからなる
主成分100重量部に対して、Li2 O、Na2 O、M
gO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Al2 3
La2 3 、Ta2 5 、Nd2 3 、およびこれらの
化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種を5重量
部以下含んでいてもよい。
【0010】また、この発明に係る電気絶縁層は、好ま
しくは、厚膜印刷多層回路またはシート多層回路を含む
電子部品における電気絶縁層を形成するために用いられ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】この発明に係る高周波用ガラス粉
末は、前述したように、球形度が100〜200である
ことを特徴としている。球形度は、〔(粒子投影像にお
ける最大粒径相当の円の面積/粒子投影面積)×10
0〕により求められるもので、ガラス粒子が、真球状、
断面楕円状、断面星状、等のいずれの形態にあってもよ
い。この球形度は、100に近いほど、より球形に近く
なる。
【0012】なお、このような球形度を有するようにガ
ラス粒子を球形化するための方法としては、ガラス粉末
を高熱下へ噴霧し急冷する方法、ガラス粉末をエッチン
グ処理する方法、ガラス粉末の溶液またはゾルを火炎雰
囲気中に噴霧し急冷する方法等がある。上述した球形度
の好ましい範囲は、後述する実験例1に基づいて求めら
れる。すなわち、実験例1において記載したように、ガ
ラス粉末の球形度を低下させ、ガラス粒子を球形により
近づけると、これに伴って、空隙率が低下する。これ
は、当該ガラス粉末を焼結させて得られた電気絶縁層内
部の気孔が減少していることを示している。したがっ
て、高緻密な電気絶縁層が得られ、高周波でのQを向上
させることができる。実験例1によれば、球形度100
〜200の範囲のものは、球形度400のものに比べ
て、3GHzの高周波でのQを1.5倍以上に向上させ
ることができる。
【0013】より好ましくは、上述の高周波用ガラス粉
末の球形度は、100〜150の範囲に選ばれる。この
ように球形度を選ぶことにより、実験例1によれば、球
形度400のものに比べて、3GHzの高周波でのQを
2倍以上に向上させることができる。また、この発明に
おいて、高周波用ガラス粉末は、珪酸塩ガラスからなる
ことが好ましい。
【0014】上述した珪酸塩ガラスは、より好ましく
は、SiO2 とB2 3 およびK2 Oの少なくとも一方
とを含み、これらSiO2 とB2 3 とK2 Oとの重量
組成比(SiO2 ,B2 3 ,K2 O)は、図1に示す
3元組成図において、点A(65,35,0)、点B
(65,20,15)、点C(85,0,15)および
点D(85,15,0)で囲まれた領域内にあるように
選ばれる。
【0015】このような珪酸塩ガラスの好ましい組成
は、後述する実験例2および3に基づいて求められる。
このように、珪酸塩ガラスの組成を選ぶことにより、ガ
ラスの軟化点を700〜1050℃の範囲にすることが
でき、そのため、電極材料等、他の材料との反応性が小
さく、たとえば1100℃以下といった比較的低い焼成
温度にて、焼結体を得ることができるようになり、これ
によって形成した電気絶縁層の絶縁性を優れたものと
し、また、良好な加工性も実現することができる。ま
た、ガラスの比誘電率を7.0未満と低くすることがで
き、高周波回路を有する基板や電子部品への用途に適し
たものとすることができる。
【0016】さらに好ましくは、図1に示す3元組成図
において、SiO2 とB2 3 とK 2 Oとの重量組成比
(SiO2 ,B2 3 ,K2 O)が、点E(75,2
4.5,0.5)、点F(75,22,3)、点G(8
5,12,3)および点H(85,14.5,0.5)
で囲まれた領域内にあるように選ばれる。このように、
珪酸塩ガラスの組成を選ぶことにより、後述する実験例
2および3からわかるように、ガラスの軟化点を750
〜940℃の範囲内にもたらすことができるので、電気
絶縁層を形成するため、たとえば1050℃以下のより
低い温度で焼成して、焼結させることができる。したが
って、加工性が一層良好となり、電極材料等、他の材料
との反応性をさらに小さくすることができる。
【0017】また、この発明において、高周波用ガラス
粉末が珪酸塩ガラスからなるとき、この珪酸塩ガラス
は、SiO2 とB2 3 およびK2 Oの少なくとも一方
とからなる主成分100重量部に対して、Li2 O、N
2 O、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、A
2 3 、La2 3 、Ta2 5 、Nd2 3 、およ
びこれらの化合物からなる群から選ばれた少なくとも1
種を5重量部以下添加されてもよい。
【0018】このような添加剤を5重量部以下で添加し
ても、後述する実験例2および3からわかるように、十
分に7未満の低い比誘電率を得ることができる。また、
この発明に係る電気絶縁層は、好ましくは、厚膜印刷多
層回路またはシート多層回路を含む電子部品における電
気絶縁層を形成するために用いられる。以下に、この発
明に係る高周波用ガラス粉末およびそれを用いた電気絶
縁層を得るために実施したいくつかの実験例について説
明する。
【0019】
【実験例1】ガラス成分の出発原料として、SiO2
2 3 、およびK2 CO3 をそれぞれ準備し、これら
を、SiO2 /B2 3 /K2 Oが79/19/2(重
量部)のガラス組成となるように混合した後、得られた
混合物を1700℃の温度下で溶融させて溶融ガラスを
作製した。そして、各溶融ガラスを冷却ロールにて急冷
した後、粉砕して、ガラス粉末を作製した。
【0020】さらに、以下の表1に示すような種々の球
形度になるように、得られたガラス粉末を、条件を変え
て、高熱下へ噴霧し急冷する処理を行なった。
【0021】
【表1】
【0022】次に、表1に示したように種々の球形度を
有する試料1〜5に係る各ガラス粉末に、有機バインダ
および溶剤としてのトルエンを含む有機ビヒクルを添加
混合して、ボールミルにて十分混練し、ガラス粉末を均
一に分散させたスラリーを得た。次いで、各スラリーを
減圧下で脱泡処理した。次いで、各スラリーから、ドク
ターブレードを用いたキャスティング法により、フィル
ム上に厚み0.2mmのガラスグリーンシートを作製し、
乾燥させた後、フィルムから剥がし、これを打ち抜い
て、所定の大きさのグリーンシートを得た。そして、こ
れらグリーンシートを複数枚積層した後、プレス成形し
て、ガラス成形体を得た。
【0023】次に、各ガラス成形体を、200℃/hr
の速度で昇温し、900℃の温度で2時間焼成して、ガ
ラス焼結体を得た。これら試料1〜5に係るガラス焼結
体について、比誘電率、Q、および空隙率をそれぞれ評
価した。より具体的には、50mm×50mm×0.635
mmの試料を用い、接動法にて、3GHzの条件で、比誘
電率(εr )およびQを評価し、断面観察により、断面
積と空隙面積とを求め、(空隙面積/断面積)×100
を空隙率〔%〕とした。
【0024】これら比誘電率、Q、および空隙率が以下
の表2に示されている。
【0025】
【表2】
【0026】表1および表2において、試料番号に*を
付したものは、この発明の範囲外のものである。表2か
ら明らかなように、この発明の範囲内にある試料3〜5
は、低誘電率でありながら、空隙率が低く、緻密であ
り、この発明の範囲外にある試料1および2に比べて、
3GHzの高周波でのQを1.5倍以上に向上させるこ
とができる。
【0027】また、ガラス粉末の球形度が100〜15
0の範囲に選ばれた試料4および5によれば、この発明
の範囲外にある試料1および2に比べて、3GHzの高
周波でのQを2倍以上に向上させることができる。
【0028】
【実験例2】ガラス成分の出発原料として、SiO2
2 3 、K2 CO3 、Li2 CO 3 、Na2 CO3
MgO、CaO、SrO、BaCO3 、ZnO、Al2
3、La2 3 、Ta2 5 、およびNd2 3 をそ
れぞれ準備し、これらを以下の表3に示すようなガラス
組成となるように混合した。そして、各混合物を150
0〜1750℃の温度下で溶融させて、表3に示すよう
なガラス組成をそれぞれ有する試料6〜35に係る溶融
ガラスを作製した。そして、各溶融ガラスを冷却ロール
にて急冷した後、粉砕して、ガラス粉末を作製した。
【0029】
【表3】
【0030】表3に示されたガラスの軟化点は、「JI
S R3104 ガラスの軟化点測定方法」に基づき求
めたものである。表3に示した試料6〜35のうち、S
iO2 とB2 3 およびK2 Oの少なくとも一方とのみ
からなるガラス組成を有する試料の各試料番号6〜20
が、図1の3元組成図に記入されている。
【0031】次に、前述のようにして得られた試料6〜
35に係る各ガラス粉末の一部を、実験例1と同様の方
法により、球状化処理し、球形度が100〜150にな
るようにした。次いで、試料6〜35の各々について、
球状化処理していないガラス粉末と球状化処理をしたガ
ラス粉末との各々を用いて、実験例1と同様の方法に従
って、ガラス焼結体を作製した。なお、ガラス焼結体を
得るためにガラス成形体を焼成する温度に関しては、以
下の表4に示す焼成温度を採用した。
【0032】
【表4】
【0033】表4には、実験例1と同様の方法により評
価された比誘電率(εr )、Q、および空隙率〔%〕が
それぞれ示されている。前述したように、この発明に係
る高周波用ガラス粉末が、珪酸塩ガラスからなるとき、
この珪酸塩ガラスは、SiO2 とB2 3 およびK2
の少なくとも一方とを含み、これらSiO2 とB2 3
とK2 Oとの重量組成比(SiO2 ,B 2 3 ,K
2 O)は、図1に示す3元組成図において、点A(6
5,35,0)、点B(65,20,15)、点C(8
5,0,15)および点D(85,15,0)で囲まれ
た領域内にあるように選ばれるのが好ましい。
【0034】表3および表4において、試料番号に*を
付したものは、上述の好ましい範囲から外れている。好
ましい組成範囲から外れた試料6が属する領域Xでは、
表3に示すように、ガラスの軟化点が700℃未満と低
く、電極材料等、他の材料との反応性が大きくなること
が予想される。また、試料9が属する領域Yでは、表4
に示すように、ガラス焼結体の比誘電率が7.0以上と
高く、高周波回路を有する基板や電子部品への用途には
向かない。また、試料16が属する領域Zでは、表3に
示すように、ガラスの軟化点が1050℃を超えるた
め、表4に示すように、1050℃で焼成しても、焼結
が困難であり、適正な焼結体が得られず、そのため、こ
れによって形成した電気絶縁層の絶縁性が損なわれ、ま
た、加工性が悪い。
【0035】これに対して、好ましい組成範囲にある試
料7、8、10〜15、および17〜20では、表3に
示すように、ガラスの軟化点が700〜1050℃の範
囲にあり、電極材料等、他の材料との反応性が小さく、
表4に示すように、たとえば900〜1050℃の焼成
温度にて、焼結体が得られ、そのため、これによって形
成した電気絶縁層は優れた絶縁性を示し、また、加工性
も良好である。また、ガラスの比誘電率が7.0未満と
低く、高周波伝送線路を有する基板や電子部品への用途
に適している。
【0036】より好ましくは、図1に示す3元組成図に
おいて、SiO2 とB2 3 とK2Oとの重量組成比
(SiO2 ,B2 3 ,K2 O)が、点E(75,2
4.5,0.5)、点F(75,22,3)、点G(8
5,12,3)および点H(85,14.5,0.5)
で囲まれた領域内にあるように選ばれる。このように、
珪酸塩ガラスの組成を選ぶことにより、試料11、1
2、および17〜20のように、ガラスの軟化点を75
0〜940℃の範囲内にもたらすことができるので、電
気絶縁層を形成するため、900〜1000℃の温度で
焼成して、焼結させることができる。したがって、加工
性が一層良好となり、電極材料等、他の材料との反応性
をさらに小さくすることができる。
【0037】また、表3に示した試料21〜35のよう
に、ガラス粉末を構成する珪酸塩ガラスが、SiO2
2 3 およびK2 Oの少なくとも一方とからなる主成
分100重量部に対して、Li2 O、Na2 O、Mg
O、CaO、SrO、BaO、ZnO、Al2 3 、L
2 3 、Ta2 5 、およびNd2 3 からなる群か
ら選ばれた少なくとも1種を5重量部以下添加されてい
ても、表4に示すように、十分に7未満の低い比誘電率
を得ることができる。
【0038】表4において、各試料について、球状化処
理していないガラス粉末と球状化処理をしたガラス粉末
とを比較したとき、後者のガラス粉末の焼結体は、前者
のガラス粉末の焼結体に比べて、Qおよび空隙率に関し
て大幅な改善が見られる。また、それにも関わらず、比
誘電率(εr )に関しては、球状化処理をしたガラス粉
末の焼結体は、球状化処理していないガラス粉末の焼結
体とほぼ同等の値を維持している。
【0039】特に、前述した好ましいガラス組成を有す
る試料7、8、10〜15、および17〜20、ならび
に21〜35によれば、球状化処理をすることにより、
1050℃以下の比較的低い温度で焼成しても、空隙率
が小さく、緻密で、そのため、高周波におけるQの大き
い、ガラス焼結体からなる電気絶縁層を得ることができ
る。
【0040】
【実験例3】実験例2と同様、前掲の表3に示す試料6
〜35に係るガラス粉末を準備するとともに、これら試
料6〜35に係る各ガラス粉末の一部を球状化処理し、
球形度が100〜150になるようにした。次いで、試
料6〜35の各々について、球状化処理していないガラ
ス粉末と球状化処理をしたガラス粉末との各々を用い
て、図2に示すような厚膜多層回路装置1を以下のよう
な方法で作製した。
【0041】すなわち、球状化処理していないガラス粉
末と球状化処理をしたガラス粉末とのそれぞれについ
て、各ガラス粉末100重量部に対して、アクリル樹脂
をα−テルピネオールに溶解してなる有機ビヒクルを4
0重量部加え、これらを混練し、ガラスペーストを作製
した。他方、図2に示すように、Al2 3 からなる基
板2を用意し、その上に金属ペーストをスクリーン印刷
し、900℃で焼成し、コンデンサの一方の電極となる
直径8mmの円板状の下層導体3を形成した。なお、この
下層導体3となるべき上述の金属ペーストとして、試料
13、14および15については、Ptペーストを用
い、その他の試料については、Agペーストを用いた。
【0042】次に、先に作製した各ガラスペーストを、
下層導体3上にスクリーン印刷し、後の表5で示す焼成
温度にて焼成して、下層導体3上に直径6mmの円板状の
ガラス焼結体からなる電気絶縁層4を形成した。次に、
各電気絶縁層4の上に、熱硬化性のAgペーストをスク
リーン印刷し、150℃にてこれを硬化させ、コンデン
サの他方の電極となる直径4mmの上層導体5を形成し
た。
【0043】このようにして得られた評価用の厚膜多層
回路装置1を用いて、電気絶縁層4を構成する試料6〜
35に係るガラス焼結体の比誘電率、Q、および空隙率
をそれぞれ評価した。より具体的には、LCRメーター
にて、1MHzの条件で、比誘電率(εr )およびQを
評価し、また、空隙率については、実験例1と同様の方
法で評価した。
【0044】これら比誘電率、Q、および空隙率が以下
の表5に示されている。
【0045】
【表5】
【0046】表5において、*を付した試料6、9およ
び16は、前述の実験例2の説明において述べたよう
に、用いられたガラス粉末を構成する珪酸塩ガラスのS
iO2とB2 3 とK2 Oとの重量組成比(SiO2
2 3 ,K2 O)が、図1に示す3元組成図におい
て、点A(65,35,0)、点B(65,20,1
5)、点C(85,0,15)および点D(85,1
5,0)で囲まれた領域から外れているものである。
【0047】このように好ましい組成範囲から外れた試
料6は、表3に示すように、ガラスの軟化点が700℃
未満と低いため、表5に示すように、この焼結体によっ
て構成された電気絶縁層4とAgからなる下層導体3と
の反応が比較的激しく生じていた。また、試料9は、表
5に示すように、電気絶縁層4の比誘電率が7.0以上
と高く、高周波回路を有する基板や電子部品への用途に
は向かない。また、試料16は、表3に示すように、ガ
ラスの軟化点が1050℃を超えるため、表5に示すよ
うに、1050〜1100℃で焼成しても、焼結が困難
であり、適正な電気絶縁層4の形成が不可能であった。
【0048】これに対して、好ましい組成範囲にある試
料7、8、10〜15、および17〜20では、表3に
示すように、ガラスの軟化点が700〜1050℃の範
囲にあり、下層導体3との反応性が小さく、表5に示す
ように、1100℃以下の焼成温度にて、焼結体が得ら
れ、そのため、これによって形成した電気絶縁層4は優
れた絶縁性を示し、また、加工性も良好である。また、
ガラスの比誘電率が7.0未満と低い。
【0049】また、電気絶縁層4を形成するためのガラ
ス粉末を構成する珪酸塩ガラスが、SiO2 とB2 3
およびK2 Oの少なくとも一方とからなる主成分100
重量部に対して、Li2 O、Na2 O、MgO、Ca
O、SrO、BaO、ZnO、Al2 3 、La
2 3 、Ta2 5 、およびNd2 3 からなる群から
選ばれた少なくとも1種を5重量部以下添加されてい
る、試料21〜35によっても、表5に示すように、十
分に7未満の低い比誘電率を得ることができる。
【0050】表5において、各試料について、球状化処
理していないガラス粉末と球状化処理をしたガラス粉末
とを比較したとき、球状化処理をしたガラス粉末の焼結
体からなる電気絶縁層4は、球状化処理していないガラ
ス粉末の焼結体からなる電気絶縁層4に比べて、それぞ
れ50℃だけ高い焼成温度で焼結されたことにも関連す
ると考えられるが、Qおよび空隙率に関して大幅な改善
が見られる。また、それにも関わらず、比誘電率
(εr )に関しては、球状化処理をした電気絶縁層4
は、球状化処理していない電気絶縁層4とほぼ同等の値
を維持している。
【0051】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、高周
波用ガラス粉末の球形度を100〜200に設定して、
ガラス粉末粒子の形態を球形により近づけることが行な
われているので、当該高周波用ガラス粉末を焼結させて
得られた電気絶縁層の空隙率を低下させることができ
る。したがって、高緻密な電気絶縁層が得られ、高周波
でのQを向上させることができる。
【0052】この発明において、高周波用ガラス粉末の
球形度を100〜150の範囲とすることによって、ガ
ラス粉末粒子の形態を球形にさらに近づけると、電気絶
縁層の空隙率をさらに低下させることができ、一層、高
緻密な電気絶縁層が得られ、高周波でのQをさらに向上
させることができる。この発明において、高周波用ガラ
ス粉末が珪酸塩ガラスからなり、この珪酸塩ガラスが、
SiO2 とB2 3 およびK2 Oの少なくとも一方とを
含み、これらSiO2 とB2 3 とK2 Oとの重量組成
比(SiO2 ,B2 3 ,K2 O)が、図1に示す3元
組成図において、点A(65,35,0)、点B(6
5,20,15)、点C(85,0,15)および点D
(85,15,0)で囲まれた領域内にあるように選ば
れると、ガラスの軟化点を700〜1050℃の範囲に
することができ、そのため、電極材料等、他の材料との
反応性が小さく、たとえば1100℃以下の比較的低い
焼成温度にて、焼結体を得ることができるようになり、
これによって形成した電気絶縁層の絶縁性を優れたもの
とし、また、良好な加工性も実現することができる。ま
た、ガラスの比誘電率を7.0未満と低くすることがで
き、高周波伝送線路を有する基板や電子部品への用途に
適したものとすることができる。
【0053】また、この発明において、図1に示す3元
組成図において、SiO2 とB2 3 とK2 Oとの重量
組成比(SiO2 ,B2 3 ,K2 O)が、点E(7
5,24.5,0.5)、点F(75,22,3)、点
G(85,12,3)および点H(85,14.5,
0.5)で囲まれた領域内にあるように選ばれると、ガ
ラスの軟化点を750〜940℃の範囲内にもたらすこ
とができるので、電気絶縁層を形成するため、たとえば
1050℃以下のより低い温度で焼成して、焼結させる
ことができる。したがって、加工性が一層良好となり、
電極材料等、他の材料との反応性をさらに小さくするこ
とができる。
【0054】また、この発明において、高周波用ガラス
粉末が珪酸塩ガラスからなるとき、この珪酸塩ガラス
が、SiO2 とB2 3 およびK2 Oの少なくとも一方
とからなる主成分100重量部に対して、Li2 O、N
2 O、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、A
2 3 、La2 3 、Ta2 5 、Nd2 3 、およ
びこれらの化合物からなる群から選ばれた少なくとも1
種を5重量部以下添加したものであっても、十分に7未
満の低い比誘電率を得ることができる。
【0055】また、この発明に係る電気絶縁層は、厚膜
印刷多層回路またはシート多層回路を含む電子部品にお
ける電気絶縁層を形成するために有利に適用されること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による高周波用ガラス粉
末を構成する珪酸塩ガラスの好ましい重量組成範囲を示
す3元組成図である。
【図2】実験例3において評価用として作製された厚膜
多層回路装置1を図解的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 厚膜回路装置 2 基板 3 下層導体 4 電気絶縁層 5 上層導体

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 〔(粒子投影像における最大粒径相当の
    円の面積/粒子投影面積)×100〕を球形度としたと
    き、球形度が100〜200である、高周波用ガラス粉
    末。
  2. 【請求項2】 球形度が100〜150である、請求項
    1に記載の高周波用ガラス粉末。
  3. 【請求項3】 珪酸塩ガラスからなる、請求項1または
    2に記載の高周波用ガラス粉末。
  4. 【請求項4】 前記珪酸塩ガラスは、SiO2 とB2
    3 およびK2 Oの少なくとも一方とを含み、これらSi
    2 とB2 3 とK2 Oとの重量組成比(SiO2 ,B
    2 3 ,K2 O)が、添付の図1に示す3元組成図にお
    いて、点A(65,35,0)、点B(65,20,1
    5)、点C(85,0,15)および点D(85,1
    5,0)で囲まれた領域内にある、請求項3に記載の高
    周波用ガラス粉末。
  5. 【請求項5】 前記SiO2 とB2 3 とK2 Oとの重
    量組成比(SiO2,B2 3 ,K2 O)が、添付の図
    1に示す3元組成図において、点E(75,24.5,
    0.5)、点F(75,22,3)、点G(85,1
    2,3)および点H(85,14.5,0.5)で囲ま
    れた領域内にある、請求項4に記載の高周波用ガラス粉
    末。
  6. 【請求項6】 前記珪酸塩ガラスは、前記SiO2 とB
    2 3 およびK2 Oの少なくとも一方とからなる主成分
    100重量部に対して、Li2 O、Na2 O、MgO、
    CaO、SrO、BaO、ZnO、Al2 3 、La2
    3 、Ta25 、Nd2 3 、およびこれらの化合物
    からなる群から選ばれた少なくとも1種を5重量部以下
    含む、請求項4または5に記載の高周波用ガラス粉末。
  7. 【請求項7】 〔(粒子投影像における最大粒径相当の
    円の面積/粒子投影面積)×100〕を球形度としたと
    き、球形度が100〜200である高周波用ガラス粉末
    の焼結体を含む、電気絶縁層。
  8. 【請求項8】 球形度が100〜150である高周波用
    ガラス粉末の焼結体を含む、請求項7に記載の電気絶縁
    層。
  9. 【請求項9】 前記高周波用ガラス粉末が珪酸塩ガラス
    からなる、請求項7または8に記載の電気絶縁層。
  10. 【請求項10】 前記珪酸塩ガラスは、SiO2 とB2
    3 およびK2 Oの少なくとも一方とを含み、これらS
    iO2 とB2 3 とK2 Oとの重量組成比(SiO2
    2 3 ,K2 O)が、添付の図1に示す3元組成図に
    おいて、点A(65,35,0)、点B(65,20,
    15)、点C(85,0,15)および点D(85,1
    5,0)で囲まれた領域内にある、請求項9に記載の電
    気絶縁層。
  11. 【請求項11】 前記SiO2 とB2 3 とK2 Oとの
    重量組成比(SiO 2 ,B2 3 ,K2 O)が、添付の
    図1に示す3元組成図において、点E(75,24.
    5,0.5)、点F(75,22,3)、点G(85,
    12,3)および点H(85,14.5,0.5)で囲
    まれた領域内にある、請求項10に記載の電気絶縁層。
  12. 【請求項12】 前記珪酸塩ガラスは、前記SiO2
    2 3 およびK2Oの少なくとも一方とからなる主成
    分100重量部に対して、Li2 O、Na2O、Mg
    O、CaO、SrO、BaO、ZnO、Al2 3 、L
    2 3 、Ta 2 5 、Nd2 3 、およびこれらの化
    合物からなる群から選ばれた少なくとも1種を5重量部
    以下含む、請求項10または11に記載の電気絶縁層。
  13. 【請求項13】 当該電気絶縁層は、厚膜印刷多層回路
    またはシート多層回路を含む電子部品における電気絶縁
    層を形成するために用いられる、請求項7ないし12の
    いずれかに記載の電気絶縁層。
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