JPH11109770A - 転写ローラ及びそれを有する画像形成装置 - Google Patents

転写ローラ及びそれを有する画像形成装置

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JPH11109770A
JPH11109770A JP26886197A JP26886197A JPH11109770A JP H11109770 A JPH11109770 A JP H11109770A JP 26886197 A JP26886197 A JP 26886197A JP 26886197 A JP26886197 A JP 26886197A JP H11109770 A JPH11109770 A JP H11109770A
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transfer
secondary vulcanization
roller
vulcanization
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Hiroko Ogama
裕子 大釜
Hiroto Hasegawa
浩人 長谷川
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  • Rolls And Other Rotary Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 含有成分の滲出を防止するバリア層材料や紙
粉等の付着を防止する高離型性材料などをソリッド転写
ローラの表面にコーティングすることなく、対感光ドラ
ム汚染防止及び搬送力安定性の両立を可能とする転写ロ
ーラを有する画像形成装置を提供する。 【解決手段】 芯金上にソリッドゴム層を成形して一次
加硫した後に、二次加硫を行い、二次加硫後に研磨をし
た後に、UV照射等の表面処理を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真方式のプリ
ンター、複写機および静電記録装置等、特にローラ転写
方式を採用する画像形成装置に関に関し、特に該画像形
成装置に使用される転写ローラの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真方式の画像形成装置の多
くは、有害とされているオゾンの発生が非常に少ない接
触転写方式を採用しており、なかでも転写部での被記録
材搬送性に優れたローラ転写方式が主流となっている。
【0003】ローラ転写方式は、弾性ゴムローラ層を有
する転写ローラを像担持体である感光ドラムに圧接して
転写ニップを形成し、前記転写ニップで被記録材を搬送
しつつ、転写ローラに印加された転写バイアスの作用で
感光ドラム上のトナー像を被記録材上へ転写するもので
ある。
【0004】転写ローラは一般的に、SUS、Fe等の
芯金上にカーボン、イオン導電性フィラー等によりその
抵抗を1×106〜1×1010[Ω]とした導電性スポ
ンジ弾性体層を形成した硬度20〜40度(ASKER
−C)の弾性スポンジローラが用いられている。また近
年、様々な被記録材に印字する市場の要求が高まるに従
い、より搬送性に優れた導電性ソリッドゴムを弾性層と
したソリッド転写ローラを用いた画像形成装置も開発さ
れている。
【0005】ソリッド転写ローラは、その弾性層が高い
復元力を有するソリッド状ゴムであるため、従来のスポ
ンジタイプの転写ローラに比較して転写ニップ部での被
記録材保持力が高く、給紙のバックテンションや、葉書
や厚紙などが被記録材搬送路にこすれて生じる搬送抵抗
などに対しても影響を受けにくく、より安定した被記録
材搬送が行えるというメリットがある。特に、感光ドラ
ムに対して転写ローラを速回し駆動し、被記録材を感光
ドラムよりも速送りすることで感光ドラム上からトナー
を掻き取る効果を持たせて中抜けを防止する、いわゆる
転写速回し系の画像形成装置において、スポンジタイプ
の転写ローラに比べて印字比率の変化による被記録材搬
送速度の変化が少ないという特徴がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ソリッド転写ローラを用いる画像形成装置では以下に示
すような問題があった。
【0007】(1)転写ローラの弾性層を形成するゴム
内には、ベースポリマーを合成する際に投入する反応開
始剤の残留物やその際に生成する副生成物、ベースポリ
マーの低分子成分、ゴムローラ成型時に添加する加硫剤
や軟化剤、可塑剤等の成分が含まれる。これらの成分
は、感光ドラム表層と反応しやすいものが多く、長時間
転写ローラと感光ドラムを圧接した状態で放置すると、
これらの成分が転写ローラより滲出して感光ドラムに付
着し、反応して感光ドラム表面を改質してしまうという
問題がある。
【0008】特に、ソリッド転写ローラはスポンジ状ゴ
ムを弾性層とするスポンジ転写ローラに比較して硬度が
高く、転写ニップ幅が狭くなるために単位面積当たりの
感光ドラムに対する圧接力が高くなる傾向にある。その
ため、ローラ内に存在する材料ゴムの低分子量成分や加
硫剤・可塑剤等が転写ローラ表面に滲出しやすく、転写
ローラが感光ドラムと圧接固定した状態のまま長時間お
かれた場合、感光ドラム表面に滲出した物質が付着して
画像を乱す、またひどい場合は感光ドラム表面が反応・
改質されて白化してしまい、以降の画像を全て乱してし
まうという問題がある。
【0009】また、ソリッド転写ローラは表面の粘着性
が大きいため、通紙によって紙粉、トナー等が付着して
表面が汚れてしまい、その付着物によってローラの表面
抵抗が変化するために適正な転写電流が均一に流れなく
なって、異常画像が発生するという問題があった。
【0010】これらの問題を解決するために、転写ロー
ラ表面に含有成分が滲出するのを防止するバリア層とな
る物質をコーティングすることが考えられるが、ローラ
が複数層構成となり、材料費が増えること及び製造工程
が複雑になるために転写ローラのコストが高くなるとい
う問題があった。
【0011】また、紙粉の付着に対しても転写ローラ表
面に離型性の良い材料をコーティングすることで付着を
防止することが考えられるが、高離型性材料は一般的に
コストが高く、これも転写ローラコストを高くしてしま
うという問題があった。
【0012】(2)転写速回し系の画像形成装置では、
被記録材が感光ドラムと転写ローラの間でスリップしな
がら搬送されるために、被記録材搬送速度が転写ローラ
の外径変化や表面性の変化、被記録材搬送路内の搬送抵
抗などによって大きくスピードが変化し、中抜けの防止
効果が低下したり、画像が被記録材後端からはみ出して
装置内部を汚すという問題があった。ソリッド転写ロー
ラはローラ自身の搬送力が高く、スポンジタイプの転写
ローラと比較すると転写ニップ部での被記録材搬送速度
は安定しているが、依然として転写ニップ部での被記録
材搬送速度の変化は生じていた。
【0013】この被記録材搬送スピードの変化を小さく
するためには、感光ドラムに対する転写ローラの圧接力
を高くし、転写ニップ部での被記録材保持力を高めるこ
とが有効だが、ソリッド転写ローラは硬度が高く、転写
圧接力を高くすると転写ニップ部での単位面積当たりの
加圧力が急激に上昇し、転写ローラ内部から感光ドラム
を汚染する物質の滲出が増大するため、対感光ドラム汚
染防止と搬送力安定性の両立が困難であった。
【0014】本発明の目的は、含有成分の滲出を防止す
るバリア層材料や紙粉等の付着を防止する高離型性材料
などをソリッド転写ローラの表面にコーティングするこ
となく、対感光ドラム汚染防止及び搬送力安定性の両立
を可能とする転写ローラを有する画像形成装置を提供す
ることにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に、本発明では、芯金上にソリッドゴムからなる弾性層
を成形して一次加硫した後に、二次加硫を行い、該二次
加硫後に研磨をした後に、表面処理を施すことにより、
バリア層材料や高離型性材料などを転写ローラの表面に
コーティングすることなく、対感光ドラム汚染防止及び
搬送力安定性の両立を可能とする転写ローラの提供が可
能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明は、導電性ソリッド転写ロ
ーラを用いるローラ転写方式の転写手段を有する画像形
成装置において、 (1)転写ローラを研磨前に二次加硫処理をし、その後
研磨を行い外径形状を所望の形状とした後に、ゴム部表
面に研磨後にUV処理やオゾン処理等の表面処理を施す
ことで、転写ローラ表面に存在するゴムの低分子成分
や、加硫剤等の添加物を二次加硫によって飛ばすと共
に、表面処理によって弾性層表面を滲出防止層に改質
し、転写ローラ表面へのゴム内部物質の滲出を防止す
る。
【0017】また、転写ローラゴム部表面を研磨後に表
面処理して転写ローラ表面をRz=10μm以下の平滑
な面とすることで、研磨目の方向や表面粗さのばらつき
による被記録材搬送速度の変化をおさえると共に、ロー
ラ表面への紙粉やトナーの付着を防止して、長期に亘り
良好な画像を維持するものである。
【0018】(2)転写ローラを研磨前に二次加硫処理
をし、その後研磨を行い外径形状を所望の形状とした後
に、ゴム部表面に研磨後にUV処理やオゾン処理等の表
面処理を施すことで、転写ローラ表面に存在するゴムの
低分子成分や、加硫剤等の添加物を二次加硫によって飛
ばし、高い転写圧接力をかけても転写ローラ内部から感
光ドラムに対して汚染物質が滲出するのを防止し、転写
ニップ部での被記録材搬送安定性と対感光ドラム汚染防
止の両立を可能とするものである。
【0019】以下、本発明について詳細に説明する。 (1)画像形成装置 図1は本発明を適用する画像形成装置の略断面図であ
る。図1において、1は像担持体たる感光ドラムであ
り、OPC、アモルファスSi等の感光材料をアルミニ
ウムやニッケル等のシリンダ状の基体上に形成して構成
されており、駆動手段Aにより矢示の時計方向aに所定
の周速度で回転駆動される。
【0020】2は回転する感光ドラム1の周囲を所定の
極性・電位に一様に帯電処理する帯電手段であり、図1
では帯電ローラを使用した接触帯電装置を示している。
【0021】3は画像情報露光手段であり、本例ではレ
ーザービームスキャナーを用いている。このスキャナー
3は、半導体レーザー、ポリゴンミラー、F−θレンズ
等を有してなり、不図示のホスト装置から送られてきた
画像情報に応じてON/OFF制御されたレーザービー
ムLを出射して感光ドラム1の一様に帯電された表面を
走査露光し、静電潜像を形成する。図中3aは折り返し
ミラーである。
【0022】4は現像装置であり、感光ドラム1上の静
電潜像をトナー像として現像する。現像方法としては、
ジャンピング現像法、2成分現像法等が用いられ、イメ
ージ露光と反転現像との組み合わせで用いられることが
多い。
【0023】5は弾性層を有する回転体形状の接触帯電
部材としての転写ローラであり、感光ドラム1に対して
加圧接触させて転写ニップ部Nを形成させてあり、駆動
手段Bにより矢示の反時計方向bに所定の周速度で回転
駆動される。この転写ローラ5の構成・作用等について
は次の(2)項において詳述する。
【0024】回転感光ドラム1上に形成されたトナー像
は、転写ニップ部Nにおいて、給紙部7から給紙経路9
を介して給紙された被記録材P(被転写材)に対して順
次静電転写される。8は給紙ローラーである。
【0025】給紙部7又は14から給紙ローラ8又は1
5によって給紙された被記録材Pは、プレフィードセン
サ10で待機した後に、レジストローラ11、レジスト
センサ12、転写前ガイド13を介して転写ニップ部N
(画像形成部)に給紙される。被記録材Pは、レジスト
センサ12によって、感光ドラム1の表面に形成された
トナー像と同期取りされて、感光ドラム1と転写ローラ
5とで形成される転写ニップ部Nに供給される。
【0026】転写ニップ部Nにおいてトナー像の転写を
受け、転写ニップ部Nを通過した被記録材Pは、感光ド
ラム1の面から分離され、シートパス17を通って定着
装置18へ搬送される。本例の定着装置18は加熱ロー
ラ18aと加圧ローラ18bの圧接ローラ対からなるヒ
ートローラ定着装置であり、トナー像を保持した被記録
材Pは加熱ローラ18aと加圧ローラ18bの圧接部で
ある定着ニップ部Tで狭持搬送されて加熱・加圧を受け
ることでトナー像が被記録材P上に定着され永久画像と
なる。トナー像が定着された被記録材Pは排出ローラー
19を介して排紙トレー20に排紙されて機外に排出さ
れる。
【0027】一方、被記録材Pに対するトナー像転写後
の感光ドラム1の表面は、クリーニング装置6により転
写残留トナーの除去を受けて清掃されて繰り返して作像
に供される。本例のクリーニング装置6はブレードクリ
ーニング装置であり、6aはそのクリーニングブレード
である。
【0028】(2)転写ローラ5 図2は転写ローラ部分の一端側の拡大側面模式図、図3
は転写ローラの途中部分省略の正面模式図である。
【0029】転写ローラ5は鉄、SUS等の芯金5a上
にEPDM、シリコーン、NBR、ウレタン等のソリッ
ド状の中抵抗弾性層5bを形成したソリッドゴムローラ
で、本発明では、1kg荷重時のASKER−C硬度4
0〜80度、好ましくは50〜70度、抵抗値106
1010Ωの範囲のものを使用する。転写ローラ5の弾性
体層5bは、一次加硫後に二次加硫し、その後表面を研
磨して外径形状を所望の寸法とし、更に表面処理したも
のを用いる。
【0030】一次加硫は、ゴムのベースポリマーの種
類、添加する加硫剤や軟化剤、可塑剤等によって、適宜
最適な加硫が行われる条件を設定すればよいが、通常1
00〜200℃程度の温度で10〜60分程度行う。ま
た、二次加硫は、一次加硫温度に近い温度もしくはそれ
よりも高い温度であれば良い。一次加硫温度に近い場合
としては、一次加硫温度と二次加硫温度の差が40℃以
下、特に20℃以下が好ましい。通常二次加硫温度は、
120℃〜200℃、好ましくは130℃〜200℃の
間に設定することが望ましい。また、二次加硫時間は、
一次加硫よりも長い時間行えば良く、二次加硫温度によ
っても異なるが、通常は30分以上、好ましくは40分
以上行うのが望ましい。但し、あまり長い時間二次加硫
を行うと、それだけゴムの劣化が進行するため、上限と
しては120分程度、好ましくは80分程度である。
【0031】二次加硫後にローラを室温に放置して自然
冷却した後に、弾性層の研磨を行い、外径を所望の値に
する。一次加硫後に研磨をし、その後に二次加硫をした
場合は感光ドラム汚染に対する効果は高いものの、二次
加硫時の加熱により外径が収縮してしまい、量産時の外
径精度が±0.1〜±0.15[mm]と大きくなって
しまう。ソリッド転写ローラの外径精度は、転写部での
被記録材搬送スピードを安定させるために±0.05
[mm]以内に抑えることが好ましく、研磨後に二次加
硫をする製造方法では外径精度を抑えるのが困難であ
る。本発明のように二次加硫を外径研磨前に行うこと
で、量産時の外径精度を±0.05[mm]以内とする
ことが容易となる。
【0032】弾性層の研磨方法は、特に限定されるもの
ではなく、従来公知の方法、例えば、円筒研磨法、セン
タレス研磨法等によって実施することができる。
【0033】表面処理方法としては、紫外線(UV)照
射処理、オゾン照射処理など使用する弾性層に適した処
理を選択すればよい。該処理を施すと、転写ローラ表面
が架橋反応を起こし、ゴム表面のスキン層が硬化し、転
写ローラ表面はRz=10μm以下の平滑な面となる。
その結果、研磨目の方向や表面粗さのばらつきによる被
記録材搬送速度の変化をおさえると共に、ローラ表面へ
の紙粉やトナーの付着を防止して、長期に亘り良好な画
像を維持することができ、更に転写ローラ内部から感光
ドラムを汚染する物質の滲出を防止することができる。
【0034】紫外線照射処理としては、200〜450
nmの波長の光をローラ表面に均一に照射する。処理時
間は1〜10分程度行えばよい。
【0035】紫外線の照射は転写ローラのゴム表面に均
一に照射させる必要があり、紫外線光源に対してローラ
を回転させるか、ローラをコンベアーで送りながら上下
方向から紫外線を照射するなどの方法を用いる。
【0036】光源としては前記波長範囲の紫外線を照射
できるものであれば特に限定されないが、例えば、水素
ランプ、重水素ランプ、ハロゲンランプ、キセノンラン
プ等の公知の光源が使用でき、例えば、ランプ出力80
W/cm、定格電力4000Wのものを使用するのが好
ましい。
【0037】オゾン照射処理は、例えばオゾン濃度10
〜30pphm(×10-2)、温度35〜45℃の雰囲
気に、転写ローラを0.5〜2時間程度放置する方法が
挙げられる。
【0038】転写ローラ5の抵抗測定法は、図7に示す
ように、アルミシリンダー71ヘ総圧1000g(片側
500g)で転写ローラ5を当接させて回転させ、任意
の電圧(たとえば+2.0kV)を直流高圧電源72よ
り転写ローラ芯金5aに印加したときに抵抗74の両端
に発生する電圧値の最大値、最小値を電圧計73で読み
とる。読みとった電圧値から回路中に流れる電流値の平
均値を求め、転写ローラの抵抗値を算出する(測定環境
はN/N・20℃60%)。
【0039】図3に示すように、転写ローラ5は感光ド
ラム1に平行して配置され、芯金5aの両端部を軸受け
部材5cによって回転自在に保持させるとともに、加圧
バネ5dにより感光ドラム方向に加圧付勢させて弾性層
5bを感光ドラム1に総圧0.5〜2.0kgで加圧圧
接させて転写ニップ部Nを形成させてある。
【0040】図3中の5eは転写ローラ5の芯金5aの
一端部に固着させたギアであり、このギアに不図示のド
ライブギアを噛み合わせてあり、ドライブギアの回転力
がギア5eに伝達されて転写ローラ5が図2の矢示の反
時計方向bに所定の周速度で回転駆動される。
【0041】21は転写バイアス印加電源であり、この
電源21から導電性の加圧バネ5d・軸受け部材5c・
芯金5aを介して転写ローラ5に対して転写バイアスが
印加される。給紙部から所定の制御タイミングで転写ニ
ップ部Nに給紙された被記録材Pは転写ニップ部Nで狭
持搬送される間、転写バイアス印加電源21より転写ロ
ーラ5に対して感光ドラム上のトナー像と逆極性の所望
の電圧が印加されて、転写ニップ部N内で被記録材Pに
電荷が付与されて感光ドラム1上のトナー像が被記録材
P側に順次静電転写される。
【0042】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるもので
はない。
【0043】実施例1 本例で使用した転写ローラ5は、φ6[mm]のFeの
芯金5a上に、5×108[Ω]NBR系のイオン導電
性ソリッドゴムからなる弾性層(中抵抗弾性層)5bを
形成し、ローラ硬度65度(ASKER−C/総荷重1
000g時)、外径をφ18[mm]としたソリッド
(充填肉質)の導電性・弾性ローラである。
【0044】図4に本例の転写ローラ5の製造工程の概
略フローを示す。まず、芯金上に弾性層としてNBR系
イオン導電性ゴムをインジェクション成形、プレス成
形、押し出し成形後芯金へ圧入等の成型方法で形成し、
一次加硫を行う。本例ではインジェクション成形によっ
てで弾性層を成形し、インジェクション成形型内で14
0℃30分間の加熱条件で一次加硫を行っている。
【0045】次に成型機から転写ローラを取り出し、一
次加硫温度と同等、もしくはそれ以上の温度で二次加硫
を行う。二次加硫はバッチ炉で行った。
【0046】表1及び表2に、二次加硫時の加熱条件と
対感光ドラム汚染のテスト結果を示す。表1が加熱時間
60分一定で加熱温度を種々変更した場合の結果、表2
が温度150℃一定で加熱時間を種々変更した場合の結
果である。対感光ドラム汚染テストは、二次加硫後に研
磨・UV処理を行った転写ローラを感光ドラムに対して
総圧1kgの加圧力で圧接固定し、温度50℃・湿度9
5%の過酷条件に設定した恒温槽に1週間放置した後
に、該感光ドラムを用いて画像確認を行った結果であ
る。上記過酷条件での放置テスト後にベタ黒画像の画出
しを行い、画像上に転写ローラ弾性層内部からの物質の
滲出による白スジが発生した場合をNGレベル(×)、
白スジの発生が多少みられるものを(△)、全くみられ
ないものを(○)として評価した。比較例として二次加
硫を行わずに研磨・UV処理だけを行った転写ローラの
テスト結果も比較例1として示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】表1及び表2から、二次加硫を行わない転
写ローラ(比較例1)では、転写ローラからの滲出物質
により感光ドラムが汚染され、ベタ黒に白いスジ上の画
像乱れが発生するのに対し、二次加硫を行うと白スジの
発生レベルが良くなる(画像上のスジが薄くなり、認識
しづらくなる)、もしくは白スジの発生が防止されるこ
とがわかる。これは、二次加硫によって、感光ドラムを
汚染する原因物質である一次加硫時の反応副生成物や、
加硫剤の未反応残存成分、ゴムの未架橋低分子成分等が
弾性層内部から除去されるためである。
【0050】また表1から、二次加硫時の加熱温度が1
30℃付近から感光ドラム汚染に対して効果が高くなる
ことがわかる。各種材料で転写ローラを成形し、同様の
テストを行ったところ、一次加硫時の温度付近かそれ以
上の温度で二次加硫を行うことで感光ドラム汚染に対し
て高い効果が現れることがわかった。また、表2より、
二次加硫の時間については、加熱時間が長いほうが感光
ドラム汚染に対する効果が高いことがわかる。
【0051】図5に、二次加硫時の加熱温度と転写ロー
ラ抵抗値の関係を示す。二次加硫時間を60分の一定時
間とし、加熱温度を種々変更して二次加硫を行った場
合、二次加硫温度に応じて転写ローラの抵抗値が図5に
示すように変化する。これは、二次加硫によって弾性層
の表面が反応・劣化し表面抵抗が上昇するためである。
二次加硫に伴う弾性層表面の劣化による表面抵抗の変化
は一定ではなく、弾性層表面の劣化が進みすぎると、転
写ローラの抵抗値の再現性が製造上低下する原因とな
る。このために、二次加硫による表面の劣化は極力少な
くする必要がある。したがって、二次加硫の温度はこの
表面層の劣化による転写ローラ弾性層の強度低下と、弾
性層表面の劣化部分での抵抗値上昇による転写ローラ抵
抗値の変化を考慮して決定する。
【0052】前述の説明でも示したように、二次加硫温
度が130℃付近から対感光ドラム汚染防止の効果が現
れる。しかし、二次加硫温度が200℃を越えると弾性
層そのものの劣化が進みすぎるため転写ローラの抵抗値
が変動しやすくなる。また、劣化が進むために通紙耐久
により転写ローラ外径が磨耗して小さくなるという弊害
がある。したがって、二次加硫温度は130℃〜200
℃の間に設定することが望ましい。
【0053】本例では、二次加硫による対感光ドラム汚
染の効果、及びゴム劣化と転写ローラ抵抗値の上昇、量
産性を考慮して、温度180℃60分で二次加硫を行っ
た。
【0054】図6には研磨しろ量と転写ローラ抵抗値の
関係を示す。
【0055】図6に示したように、二次加硫後の転写ロ
ーラの抵抗値は、研磨によって削り取られる研磨しろ量
によっても変化する。これは二次加硫によって反応・劣
化し抵抗値が上昇した弾性層の最表面を削り取るため
で、二次加硫による転写ローラ抵抗値のばらつきを抑え
るためには、研磨しろ量を肉厚0.1mm以上に設定す
ることが望ましい。但し、研磨しろ量を大きくしすぎた
場合、二次加硫後も弾性層のより中心部に近いところに
残存している感光ドラム汚染物質が滲出し易くなるた
め、対感光ドラム汚染の観点からは研磨しろを肉厚0.
4m以下とすることが望ましい。本例では研磨しろは約
0.15mmとした。
【0056】最後に本発明では、弾性層成形・一次加硫
・二次加硫・研磨全ての工程後に、仕上げとしてUV処
理やオゾン被爆処理によって転写ローラ弾性層に表面処
理を行う。この表面処理は、弾性層表面の凹凸を小さく
し、研磨による表面性のばらつきを吸収して被記録材搬
送性を安定させる効果がある。また、表面の粘着性が低
下するために印字による紙粉の付着やトナーの付着を防
止でき、表面に異物が付着することで転写ローラ表面の
抵抗値が長期の使用によって変化する事に起因する画像
の劣化を防止することができる。本例では表面処理とし
て、波長が250nm近傍の紫外線ランプを3分間照射
するUV処理を行った。
【0057】以上説明したように、弾性層としてソリッ
ド状ゴムを用いた単層のソリッド転写ローラにおいて、
一次加硫後に転写ローラを130〜200℃で一次加硫
時間よりも長い時間二次加硫する事で、一次加硫後に転
写ローラ弾性層内に残留する滲出成分を除去することが
でき、対感光ドラム汚染を防止することが可能となる。
また、二次加硫後に外径研磨を行うことで、高い外径精
度で転写ローラを製造することができ、更にこの研磨に
よって二次加硫時に生じる弾性層表面の劣化部分をある
程度除去して、転写ローラの抵抗値を安定化させること
が可能となる。また、仕上げとしてUV処理・オゾン照
射処理等の表面処理を行うことで被記録材搬送安定性に
優れ、また表面に異物が付着しにくい転写ローラを得る
ことが可能となる。
【0058】実施例2 本実施例では、転写ローラを転写速回し系の画像形成装
置で使用した例を示す。
【0059】画像形成装置の構成は、基本的には図1と
同一であり、感光ドラムと転写ローラの駆動スピードだ
けが異なる。具体的には、本例での感光ドラムの外周速
はプロセススピードに対して99%で駆動されており、
感光ドラム・転写ローラの外径と両部材を駆動するギア
のギア比から求められる転写ローラの計算上の外周速
は、プロセススピードに対して102%とした。このよ
うに、転写ローラを感光ドラムに対して速回しし、被記
録材を感光ドラムの外周速に対してスピード差を付けて
搬送することで、感光ドラム上のトナーを掻き取る効果
を持たせ、中抜けを防止している。本発明では、感光ド
ラムに対し転写ローラを+0.5〜6%の周速度の範囲
で回転駆動させることができる。
【0060】このような転写速回し系の画像形成装置で
は、転写ニップ部で常に被記録材が感光ドラム・転写ロ
ーラとスリップしながら搬送されるため、被記録材の厚
さや搬送路内の搬送抵抗、印字比率によって転写部での
被記録材搬送速度が変化する。この搬送速度の変化は、
転写ローラを感光ドラムに圧接する転写圧接力にともな
って変化する傾向がある。紙種などの条件によって搬送
スピードが遅くなった場合は、被記録材と感光ドラムと
の周速差が小さくなって、感光ドラム上からトナー増を
掻き取る効果が得られなくなり中抜けが発生する。ま
た、逆に搬送スピードが速くなった場合は、転写時に画
像が被記録材後端からはみ出してしまい、画像形成装置
内をトナーで汚してしまうという問題がある。
【0061】本例では、転写ローラとしてφ8[mm]
の芯金上に押し出し成形したNBR系イオン導電性高分
子を圧入して形成し、180℃60分の条件で二次加硫
した後に研磨を行い外径をφ16[mm]、ゴム長を2
16[mm]とし、仕上げに表面処理として波長250
nmの紫外線を3分間照射した、硬度60°(ASKE
R−C/1kg荷重時)の導電性ソリッドゴムローラを
用いた。
【0062】表3に、上記転写ローラを用い、転写加圧
力(総圧)を種々変化させた場合のニップ幅と被記録材
搬送速度の変化量を示す。ここで示した被記録材搬送速
度の変化量ΔXは、坪量60〜150[g/m2]の紙
種を用い、印字比率を4%〜50%まで変化させて搬送
した場合の副走査印字倍率の変化量である。副走査印字
倍率は10mm間隔の横ラインデータを印字し、実際に
被記録材上に印字された横ラインの間隔を測定し求め
た。値はパーセント表示であり、副走査印字倍率100
%をプロセススピード100%とした。また、ここで示
した転写ニップ幅は、静止感光ドラム上にトナー、イン
ク等を均一に塗布し、そこに転写ローラの両端に荷重を
加えて感光ドラムに圧接し転写ローラ表面に付着したト
ナーまたはインクの幅の実測値である(長手方向中央部
近傍のニップ幅で表す)。また官製葉書を使用した場合
の中抜けの程度を評価した。評価基準は、以下の通りで
ある。 ○・・・文字の中抜けの発生無し △・・・文字の中抜けの発生率が30〜50% ×・・・文字の中抜けの発生率が50%超
【0063】
【表3】
【0064】表3に示したように、転写加圧力(総圧)
を大きくしニップ幅を広く取った場合、転写ニップ部で
の被記録材と感光ドラム、被記録材を転写ローラとの接
触面積が増すために外部からの搬送抵抗や印字比率によ
って感光ドラム・転写ローラと被記録材とのスリップが
起こりにくくなり、被記録材搬送速度の変化量ΔXが小
さくなって搬送性が安定し、特にスリップの影響で搬送
速度が遅くなりやすい官製葉書などの厚紙で、中抜けの
発生が防止できる。
【0065】表4に本例で示した転写ローラを用い、転
写加圧力を種々変化させた場合の転写ローラ・感光ドラ
ム間の単位面積当たりの圧接力と、その圧接力をかけた
まま転写ローラと感光ドラムを40℃/95%環境に1
週間放置した感光ドラムでの画像評価の結果を示す。比
較例として、上記転写ローラと同一構成で、一次加硫後
に二次加硫を行っていない転写ローラでのテスト結果を
示す。ニップ白スジに対する評価基準は以下の通りであ
る。 ○・・・白スジの発生は全くみられない。 △・・・白スジの発生が若干みられる。 ×・・・白スジの発生が著しい。
【0066】
【表4】
【0067】表4に示すように、本例で示した二次加硫
を行った転写ローラ(実施例2)では、転写総圧1.5
kgまでは感光ドラム上に転写ローラ内部からの含有成
分の滲出による跡は認められず、ベタ黒画像の確認でも
白スジは発生しなかった。
【0068】二次加硫をしない転写ローラ(比較例2)
では、転写総圧1.2kg以上にすると、ベタ黒画像に
転写ローラ内部物質の滲出による白スジが発生した。こ
れは、単位面積当たりの圧接力が4.0g/mm2以上
と高いために転写ローラが感光ドラムに対して強く押し
つけられて、転写ローラからソリッドゴムに含まれるの
低分子成分が滲出しやすくなったためであるが、二次加
硫を行った転写ローラは転写総圧2.0kgまでほぼ滲
出が防止できていることがわかる。
【0069】表3、表4より、従来の二次加硫を行わず
にUV処理だけを行った転写ローラでは、搬送安定性・
葉書での中抜けの防止と、対感光ドラム汚染防止を両立
することが出来ないのに対し、本例で示した二次加硫を
行った転写ローラではこれらの両立が容易にでき、駆動
周差を持たせ高い転写圧接力をかけた条件でも、中抜け
や画像のはみ出しがなく、感光ドラムヘの転写ローラ含
有物の滲出による画像問題のない良好な画像を得ること
が可能となった。
【0070】
【発明の効果】本発明によれば、導電性ソリッド転写ロ
ーラを用いるローラ転写方式の転写手段を有する画像形
成装置において、 (1)転写ローラを研磨前に二次加硫処理をし、その後
研磨を行い外径形状を所望の形状とした後に、ゴム部表
面にUV処理やオゾン処理等の表面処理を施すことで、
転写ローラ表面に存在するゴムの低分子成分や、加硫剤
等の添加物を二次加硫によって飛ばすと共に、表面処理
によって滲出防止層を形成し、転写ローラ表面へのゴム
内部物質の滲出を防止することが可能となった。
【0071】また、転写ローラゴム部表面を研磨後に表
面処理して転写ローラ表面をRz=10μm以下の平滑
な面とすることで、研磨目の方向や表面粗さのばらつき
による被記録材搬送速度の変化を抑えると共に、ローラ
表面への紙粉やトナーの付着を防止して、長期に亘り良
好な画像を維持可能となった。
【0072】(2)転写ローラを研磨前に二次加硫処理
をし、その後研磨を行い外径形状を所望の形状とした後
に、ゴム部表面にUV処理やオゾン処理等の表面処理を
施すことで、転写ローラ表面に存在するゴムの低分子成
分や、加硫剤等の添加物を二次加硫によって飛ばし、高
い転写圧接力をかけても転写ローラ内部から感光ドラム
に対して汚染物質が滲出するのを防止し、転写ニップ部
での被記録材搬送安定性と対感光ドラム汚染防止の両立
が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した画像形成装置の略断面図であ
る。
【図2】転写ローラ部分の一端側の拡大側面模式図であ
る。
【図3】転写ローラの途中部分省略正面模式図である。
【図4】本発明の転写ローラ製造工程の概略を示すフロ
ー図である。
【図5】二次加硫温度と転写ローラ抵抗値の関係を示す
グラフである。
【図6】転写ローラの研磨しろ量と抵抗値の関係を示す
グラフである。
【図7】転写ローラの抵抗値測定方法の概略を示す図で
ある。
【符号の説明】
1:感光ドラム 5:転写ローラ 5a:転写ローラ芯金 5b:弾性層 5c:転写軸受け 5d:転写加圧バネ N:転写ニップ P:被記録材

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯金上にソリッドゴムからなる弾性層を
    成形して一次加硫した後に、二次加硫を行い、該二次加
    硫後に研磨をした後に、表面処理を施したことを特徴と
    する転写ローラ。
  2. 【請求項2】 その表面がRz=10μm以下の平滑な
    面であることを特徴とする請求項1に記載の転写ロー
    ラ。
  3. 【請求項3】 前記二次加硫条件が、二次加硫温度12
    0〜200℃、二次加硫時間30〜120分であること
    を特徴とする請求項1または2に記載の転写ローラ。
  4. 【請求項4】 前記表面処理が、紫外線処理であること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の転写ロー
    ラ。
  5. 【請求項5】 前記弾性層が、硬度が1kg荷重時のA
    SKER−C硬度40度以上80度以下のソリッド状ゴ
    ムからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに
    記載の転写ローラ。
  6. 【請求項6】 像担持体に当接させた、弾性層を有する
    回転体形状の接触転写部材を有し、前記像担持体と前記
    接触転写部材とで形成される転写ニップ部において被記
    録材を狭持搬送させながら前記像担持体上のトナー像を
    被記録材上に転写する転写手段を有する画像形成装置に
    おいて、前記接触転写部材が請求項1〜5のいずれかに
    記載の転写ローラであることを特徴とする画像形成装
    置。
  7. 【請求項7】 前記接触転写部材は、前記像担持体に対
    し、+0.5〜6%の周速度で回転駆動されることを特
    徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
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