JPH11108933A - Elisaによる血清中胆汁酸類の測定による大腸癌及び直腸癌の決定法 - Google Patents
Elisaによる血清中胆汁酸類の測定による大腸癌及び直腸癌の決定法Info
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- JPH11108933A JPH11108933A JP27110597A JP27110597A JPH11108933A JP H11108933 A JPH11108933 A JP H11108933A JP 27110597 A JP27110597 A JP 27110597A JP 27110597 A JP27110597 A JP 27110597A JP H11108933 A JPH11108933 A JP H11108933A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 ELISAによる血清中胆汁酸類の測定によ
る大腸癌および直腸癌疾患を決定する方法を提供する。 【解決手段】 胆汁酸の活性エステルを製造し、牛血清
アルブミン溶液と反応させ、透析し、上記透析された物
を抗原としてヒト以外の哺乳動物を免疫することにより
抗胆汁酸抗体を作製し;上記活性エステルを酵素と反応
させて酵素標識胆汁酸を酵素標識抗原として作成し;第
二抗体固相化プレートに測定対象の血清の希釈液と抗胆
汁酸抗体液、酵素標識抗原液を加えて反応させ、さらに
基質を加えて反応させ;該反応物の吸光度の測定を行な
い、同時測定の標準曲線よりそれぞれの胆汁酸の濃度を
求め;得られたデオキシコール酸(DCA)とコール酸
(CA)の濃度より、その濃度比(DCA/CA)を求
め;および得られたこのDCA/CA比を健常者につい
て設定した該比の基準範囲と比較することにより大腸癌
および直腸癌を決定する。
る大腸癌および直腸癌疾患を決定する方法を提供する。 【解決手段】 胆汁酸の活性エステルを製造し、牛血清
アルブミン溶液と反応させ、透析し、上記透析された物
を抗原としてヒト以外の哺乳動物を免疫することにより
抗胆汁酸抗体を作製し;上記活性エステルを酵素と反応
させて酵素標識胆汁酸を酵素標識抗原として作成し;第
二抗体固相化プレートに測定対象の血清の希釈液と抗胆
汁酸抗体液、酵素標識抗原液を加えて反応させ、さらに
基質を加えて反応させ;該反応物の吸光度の測定を行な
い、同時測定の標準曲線よりそれぞれの胆汁酸の濃度を
求め;得られたデオキシコール酸(DCA)とコール酸
(CA)の濃度より、その濃度比(DCA/CA)を求
め;および得られたこのDCA/CA比を健常者につい
て設定した該比の基準範囲と比較することにより大腸癌
および直腸癌を決定する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ELISA(Enzy
me linked immunosorbent a
ssay)による血清中胆汁酸類の測定結果に基づいて
大腸癌および直腸癌を決定する方法に関する。
me linked immunosorbent a
ssay)による血清中胆汁酸類の測定結果に基づいて
大腸癌および直腸癌を決定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】大腸癌および直腸癌は我が国でも急速に
増加している。その成因として、疫学や実験面から胆汁
酸の関与が指摘されている。
増加している。その成因として、疫学や実験面から胆汁
酸の関与が指摘されている。
【0003】胆汁酸は胆汁の主成分の一つである。肝細
胞においてアセチル−coA(coemzyme A)
からコレステロールが生成され、さらに一次胆汁酸(コ
ール酸(CA)およびケノデオキシコール酸(CDC
A))ができる。グリシンあるいはタウリンと抱合した
一次胆汁酸は腸管内において腸内細菌により7αの脱水
酸化をうけ、二次胆汁酸(デオキシコール酸(DCA)
およびリトコール酸(LCA))が生成される。この時
ウルソデオキシコール酸(UDCA)もできる。
胞においてアセチル−coA(coemzyme A)
からコレステロールが生成され、さらに一次胆汁酸(コ
ール酸(CA)およびケノデオキシコール酸(CDC
A))ができる。グリシンあるいはタウリンと抱合した
一次胆汁酸は腸管内において腸内細菌により7αの脱水
酸化をうけ、二次胆汁酸(デオキシコール酸(DCA)
およびリトコール酸(LCA))が生成される。この時
ウルソデオキシコール酸(UDCA)もできる。
【0004】胆汁酸は腸管内で脂溶性物質の吸収を助け
たのち、そのほとんどが回腸末端から再吸収され門脈を
経て肝臓に戻る閉鎖的な腸肝循環を繰り返している。胆
汁酸の体内プールは約3〜5gであり、そのほとんどは
胆のうと腸に存在する。ごく微量の胆汁酸が腸肝循環を
逸脱して血液大循環に洩れ、健常者の早朝空腹時で末梢
血中に約2μg/mlほどの微量濃度として存在してい
る。また、血中胆汁酸濃度は食事に伴う日内変動が存在
し早朝空腹時がもっとも低く、朝、昼、夕の食後にそれ
ぞれ上昇する。就寝時に減少して早朝空腹時値にもど
る。
たのち、そのほとんどが回腸末端から再吸収され門脈を
経て肝臓に戻る閉鎖的な腸肝循環を繰り返している。胆
汁酸の体内プールは約3〜5gであり、そのほとんどは
胆のうと腸に存在する。ごく微量の胆汁酸が腸肝循環を
逸脱して血液大循環に洩れ、健常者の早朝空腹時で末梢
血中に約2μg/mlほどの微量濃度として存在してい
る。また、血中胆汁酸濃度は食事に伴う日内変動が存在
し早朝空腹時がもっとも低く、朝、昼、夕の食後にそれ
ぞれ上昇する。就寝時に減少して早朝空腹時値にもど
る。
【0005】胆汁酸と消化器疾患との研究報告では大腸
癌と糞便中胆汁酸(下記文献一覧表の文献1)ー2)参
照)や血中胆汁酸と肝疾患(該一覧表の文献3)参照)
などが多く占めている。特に肝疾患については血清中胆
汁酸が微量にしか存在しないことからGLC(気ー液ク
ロマトグラフィー)(該一覧表の文献4)参照)やHP
LC(高速液体クロマトグラフィー)(該一覧表の文献
5)参照)などの機器分析法が多く用いられて測定され
ている。いずれも分析操作が煩雑で高度な知識と技術を
必要としている。
癌と糞便中胆汁酸(下記文献一覧表の文献1)ー2)参
照)や血中胆汁酸と肝疾患(該一覧表の文献3)参照)
などが多く占めている。特に肝疾患については血清中胆
汁酸が微量にしか存在しないことからGLC(気ー液ク
ロマトグラフィー)(該一覧表の文献4)参照)やHP
LC(高速液体クロマトグラフィー)(該一覧表の文献
5)参照)などの機器分析法が多く用いられて測定され
ている。いずれも分析操作が煩雑で高度な知識と技術を
必要としている。
【0006】また、一方3α−ヒドロキシステロイドデ
ヒドロゲナーゼ(3α−HSD)を用いた血清胆汁酸の
酵素による測定法が報告(該一覧表の文献6)参照)さ
れ、近年では重要な肝機能検査として日常的に実施され
るようになったが、測定対象は総胆汁酸である。
ヒドロゲナーゼ(3α−HSD)を用いた血清胆汁酸の
酵素による測定法が報告(該一覧表の文献6)参照)さ
れ、近年では重要な肝機能検査として日常的に実施され
るようになったが、測定対象は総胆汁酸である。
【0007】なお、血清中の各胆汁酸を測定し、その組
成比により肝疾患を決定する方法は、本出願人の特許第
2638521号として登録されている。
成比により肝疾患を決定する方法は、本出願人の特許第
2638521号として登録されている。
【0008】
【発明が解決すべき課題】上述のように、従来は、胆汁
酸によって消化器疾患を調べるには、機器分析法が多く
用いられて測定され、いずれも分析操作が煩雑で高度な
知識と技術を必要としている上、血清胆汁酸の酵素によ
る測定法の測定対象は総胆汁酸であったし、また、血清
中の各胆汁酸を測定し、その組成比により肝疾患を決定
する方法はすでに特許登録されているが、大腸癌および
直腸癌の診断に応用する方法はなかった。
酸によって消化器疾患を調べるには、機器分析法が多く
用いられて測定され、いずれも分析操作が煩雑で高度な
知識と技術を必要としている上、血清胆汁酸の酵素によ
る測定法の測定対象は総胆汁酸であったし、また、血清
中の各胆汁酸を測定し、その組成比により肝疾患を決定
する方法はすでに特許登録されているが、大腸癌および
直腸癌の診断に応用する方法はなかった。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、下
記のような工程からなる、簡便で多数検査処理可能な血
清胆汁酸分画測定のELISA法を確立した:胆汁酸の
活性エステルを製造し、牛血清アルブミン溶液と反応さ
せ、透析し、上記透析された物を抗原としてヒト以外の
哺乳動物を免疫することにより抗胆汁酸抗体を作製し;
上記活性エステルを酵素と反応させて酵素標識胆汁酸を
酵素標識抗原として作成し;第二抗体固相化プレートに
測定対象の血清の希釈液と抗胆汁酸抗体液、酵素標識抗
原液を加えて反応させ、さらに基質を加えて反応させ;
該反応物の吸光度の測定を行ない、同時測定の標準曲線
よりそれぞれの胆汁酸の濃度を求める。
記のような工程からなる、簡便で多数検査処理可能な血
清胆汁酸分画測定のELISA法を確立した:胆汁酸の
活性エステルを製造し、牛血清アルブミン溶液と反応さ
せ、透析し、上記透析された物を抗原としてヒト以外の
哺乳動物を免疫することにより抗胆汁酸抗体を作製し;
上記活性エステルを酵素と反応させて酵素標識胆汁酸を
酵素標識抗原として作成し;第二抗体固相化プレートに
測定対象の血清の希釈液と抗胆汁酸抗体液、酵素標識抗
原液を加えて反応させ、さらに基質を加えて反応させ;
該反応物の吸光度の測定を行ない、同時測定の標準曲線
よりそれぞれの胆汁酸の濃度を求める。
【0010】本発明の上記測定方法を使用して、健常者
を対象にコール酸およびデオキシコール酸(CAおよび
DCA)の濃度を測定後DCA/CA比を求め、それぞ
れの基準範囲(平均値±SD)を設定した。
を対象にコール酸およびデオキシコール酸(CAおよび
DCA)の濃度を測定後DCA/CA比を求め、それぞ
れの基準範囲(平均値±SD)を設定した。
【0011】本発明者らは、このような基準範囲を参照
すれば、肝疾患のみならず大腸癌および直腸癌の決定を
行うことができることを見い出し、次のような大腸癌お
よび直腸癌の決定方法を創出した:胆汁酸の活性エステ
ルを製造し、牛血清アルブミン溶液と反応させ、透析
し、上記透析された物を抗原としてヒト以外の哺乳動物
を免疫することにより抗胆汁酸抗体を作製し;上記活性
エステルを酵素と反応させて酵素標識胆汁酸を酵素標識
抗原として作成し;第二抗体固相化プレートに測定対象
の血清の希釈液と抗胆汁酸抗体液、酵素標識抗原液を加
えて反応させ、さらに基質を加えて反応させ;該反応物
の吸光度の測定を行ない、同時測定の標準曲線よりそれ
ぞれの胆汁酸の濃度を求め;これらの胆汁酸の測定値よ
りデオキシコール酸(DCA)/コール酸(CA)比を
算出した。
すれば、肝疾患のみならず大腸癌および直腸癌の決定を
行うことができることを見い出し、次のような大腸癌お
よび直腸癌の決定方法を創出した:胆汁酸の活性エステ
ルを製造し、牛血清アルブミン溶液と反応させ、透析
し、上記透析された物を抗原としてヒト以外の哺乳動物
を免疫することにより抗胆汁酸抗体を作製し;上記活性
エステルを酵素と反応させて酵素標識胆汁酸を酵素標識
抗原として作成し;第二抗体固相化プレートに測定対象
の血清の希釈液と抗胆汁酸抗体液、酵素標識抗原液を加
えて反応させ、さらに基質を加えて反応させ;該反応物
の吸光度の測定を行ない、同時測定の標準曲線よりそれ
ぞれの胆汁酸の濃度を求め;これらの胆汁酸の測定値よ
りデオキシコール酸(DCA)/コール酸(CA)比を
算出した。
【0012】得られたこの比を健常者について設定した
該比の基準範囲と比較することにより大腸癌および直腸
癌を決定する。
該比の基準範囲と比較することにより大腸癌および直腸
癌を決定する。
【0013】本発明の方法により、上行結腸癌、横行結
腸癌、下行結腸癌またはS状結腸癌ならびに直腸癌の患
者を対象に血清中の胆汁酸濃度を測定後、健常者と同様
に各成分の濃度比を求め、得られた濃度比を健常者につ
いて設定した基準範囲と比較し、それぞれの病態との関
係を検討し新らしい知見結果を得た。詳細は以下の実施
例に述べる。
腸癌、下行結腸癌またはS状結腸癌ならびに直腸癌の患
者を対象に血清中の胆汁酸濃度を測定後、健常者と同様
に各成分の濃度比を求め、得られた濃度比を健常者につ
いて設定した基準範囲と比較し、それぞれの病態との関
係を検討し新らしい知見結果を得た。詳細は以下の実施
例に述べる。
【0014】
【実施例】参考例1 抗コール酸および抗デオキシコール酸の抗血清の作製: 抗デオキシコール酸ー24−牛血清アルブミンーウサギ
血清 : (a)デオキシコール酸(DCA)(40mg)をジオ
キサン1.0mlで溶かし、N−ヒドロキシコハク酸イ
ミド23mgと1−エチル−3−(3−ジメチルアミノ
プロピル)カルボジイミド塩酸塩38mgを加え3時間
反応させる。 (b)この反応液に酢酸エチル4mlと水4mlを加え
胆汁酸を抽出する。水層を除去後酢酸エチル層を酢酸ナ
トリウムで脱水し、蒸発乾固させて、デオキシコール酸
活性エステルを得た。 (c)次に、乾固物であるデオキシコール酸活性エステ
ルを1.0mlのジメチルホルムアミドに溶解後、25
mg/ml牛血清アルブミン溶液(BSA)10mlに
ゆっくりと加え1N NaOHでpH7.0に調整し
た。 (d)30分間放置し、さらに水に対して一昼夜透析
後、抗原(DCA活性エステル)を生成する。 (e)得られた抗原を1回当り1mgをウサギに4ケ月
にわたり授与して免疫した。ウサギ体内で抗デオキシコ
ール酸を産生させ、これを採取して抗デオキシコール酸
ー24−牛血清アルブミンーウサギ血清(以下DCA抗
体)を得た。DCA抗体を20,000倍希釈したもの
を測定に使用した。
血清 : (a)デオキシコール酸(DCA)(40mg)をジオ
キサン1.0mlで溶かし、N−ヒドロキシコハク酸イ
ミド23mgと1−エチル−3−(3−ジメチルアミノ
プロピル)カルボジイミド塩酸塩38mgを加え3時間
反応させる。 (b)この反応液に酢酸エチル4mlと水4mlを加え
胆汁酸を抽出する。水層を除去後酢酸エチル層を酢酸ナ
トリウムで脱水し、蒸発乾固させて、デオキシコール酸
活性エステルを得た。 (c)次に、乾固物であるデオキシコール酸活性エステ
ルを1.0mlのジメチルホルムアミドに溶解後、25
mg/ml牛血清アルブミン溶液(BSA)10mlに
ゆっくりと加え1N NaOHでpH7.0に調整し
た。 (d)30分間放置し、さらに水に対して一昼夜透析
後、抗原(DCA活性エステル)を生成する。 (e)得られた抗原を1回当り1mgをウサギに4ケ月
にわたり授与して免疫した。ウサギ体内で抗デオキシコ
ール酸を産生させ、これを採取して抗デオキシコール酸
ー24−牛血清アルブミンーウサギ血清(以下DCA抗
体)を得た。DCA抗体を20,000倍希釈したもの
を測定に使用した。
【0015】抗コール酸ー24−牛血清アルブミンーウ
サギ血清:抗コール酸ー24−牛血清アルブミンーウサ
ギ血清(以下CA抗体)は以下のように免疫学的寛容を
用いて作製した。 (a)CDCA活性エステルとDCA活性エステル各1
5mgをそれぞれ1.0mlのジメチルホルムアミドで
溶かし25mg/mlポリ−D−グルタミン酸−D−リ
ジン溶液4mlにそれぞれ、ゆっくり加え30分放置し
た。 (b)水に対して一昼夜透析後、免疫学的寛容抗原を得
た。 (c)免疫学的寛容抗原2mgをウサギの腹腔内に注入
し、その3日後より1回当り1mgのCA−BSA抗原
を4ケ月にわたりウサギに授与して免疫してCA抗体を
得た。 (d)得られたCA−抗体を15,000倍に希釈して
測定に用いた。
サギ血清:抗コール酸ー24−牛血清アルブミンーウサ
ギ血清(以下CA抗体)は以下のように免疫学的寛容を
用いて作製した。 (a)CDCA活性エステルとDCA活性エステル各1
5mgをそれぞれ1.0mlのジメチルホルムアミドで
溶かし25mg/mlポリ−D−グルタミン酸−D−リ
ジン溶液4mlにそれぞれ、ゆっくり加え30分放置し
た。 (b)水に対して一昼夜透析後、免疫学的寛容抗原を得
た。 (c)免疫学的寛容抗原2mgをウサギの腹腔内に注入
し、その3日後より1回当り1mgのCA−BSA抗原
を4ケ月にわたりウサギに授与して免疫してCA抗体を
得た。 (d)得られたCA−抗体を15,000倍に希釈して
測定に用いた。
【0016】酵素標識ーCAおよび酵素標識−DCAの
作製:西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRPOD)2.
0mgを0.4mlの0.1Mリン酸塩緩衝剤を加えた
生理塩液(PBS)pH7.4で溶解する。CA活性エ
ステル、DCA活性エステル各2μgを40μlのジメ
チルホルムアミドで溶解後、HRPOD−PBS溶液に
ゆっくり加える。30分後、pH7.4 0.1M P
BSに対して一昼夜透析する。得られたHRPOD標識
CA(HRPOD−CA)および他の酵素標準胆汁酸
(HRPOD−DCA)液は150倍に希釈後、測定に
用いた。
作製:西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRPOD)2.
0mgを0.4mlの0.1Mリン酸塩緩衝剤を加えた
生理塩液(PBS)pH7.4で溶解する。CA活性エ
ステル、DCA活性エステル各2μgを40μlのジメ
チルホルムアミドで溶解後、HRPOD−PBS溶液に
ゆっくり加える。30分後、pH7.4 0.1M P
BSに対して一昼夜透析する。得られたHRPOD標識
CA(HRPOD−CA)および他の酵素標準胆汁酸
(HRPOD−DCA)液は150倍に希釈後、測定に
用いた。
【0017】ELISAによる胆汁酸測定:本法の測定
に用いた試薬、機器は表1に示した。
に用いた試薬、機器は表1に示した。
【0018】
【表1】
【0019】また、測定に用いたすべての検体は早朝空
腹時に採血し、血清分離後−20℃以下に保存した。図
1に示した手順のように、第二抗体固相化プレートに各
50μlの希釈血清液と抗胆汁酸抗体液、酵素標識抗原
液を加え25℃で4時間反応させ、洗浄、さらに基質を
加え25℃、30分反応させ、反応停止液を加えたの
ち、492nmフィルターで吸光度の測定を行ない、同
時測定の標準曲線よりそれぞれCAおよびDCAの値を
求めた。また、上記4成分の測定値の総和を総胆汁酸値
(TBA)とした。
腹時に採血し、血清分離後−20℃以下に保存した。図
1に示した手順のように、第二抗体固相化プレートに各
50μlの希釈血清液と抗胆汁酸抗体液、酵素標識抗原
液を加え25℃で4時間反応させ、洗浄、さらに基質を
加え25℃、30分反応させ、反応停止液を加えたの
ち、492nmフィルターで吸光度の測定を行ない、同
時測定の標準曲線よりそれぞれCAおよびDCAの値を
求めた。また、上記4成分の測定値の総和を総胆汁酸値
(TBA)とした。
【0020】対象は健常者120名,18才〜69才、
平均年齢45.3才(男子60名,平均年齢47.1
才,女子60名,平均年齢43.8才)である。なお有
意差検定はt−テストにて行なった。
平均年齢45.3才(男子60名,平均年齢47.1
才,女子60名,平均年齢43.8才)である。なお有
意差検定はt−テストにて行なった。
【0021】結果:本法ELISA法におけるCAおよ
びDCAの標準曲線を図2に示した。図2はELISA
法の典型的な標準曲線を示している。二重測定値も満足
する結果であった。
びDCAの標準曲線を図2に示した。図2はELISA
法の典型的な標準曲線を示している。二重測定値も満足
する結果であった。
【0022】
【表2】
【0023】表2には胆汁酸と抗体との交叉反応が示し
てあり、CA−抗体,DCA−抗体それぞれの各胆汁酸
との交叉率を示した。CA−抗体については遊離−CA
100%に比してグリシンとタウリン複合体でそれぞれ
164%,210%の交叉率、同様にCDCAでは1.
5〜3.5%であった。また二次胆汁酸のDCAでは
2.0〜4.1%でありリトコール酸(LCA)では
0.1%であった。
てあり、CA−抗体,DCA−抗体それぞれの各胆汁酸
との交叉率を示した。CA−抗体については遊離−CA
100%に比してグリシンとタウリン複合体でそれぞれ
164%,210%の交叉率、同様にCDCAでは1.
5〜3.5%であった。また二次胆汁酸のDCAでは
2.0〜4.1%でありリトコール酸(LCA)では
0.1%であった。
【0024】DCA−抗体については、遊離−DCA1
00%に比してグリシンとタウリン複合体でそれぞれ1
84%,192%の交叉率であった。同様にCAに対し
ては4.9%以下、CDCAに対しては0.8%以下、
LCAでは3.2%以下の交叉率であった。
00%に比してグリシンとタウリン複合体でそれぞれ1
84%,192%の交叉率であった。同様にCAに対し
ては4.9%以下、CDCAに対しては0.8%以下、
LCAでは3.2%以下の交叉率であった。
【0025】これらの各胆汁酸抗体についてはほぼ満足
するものであった。
するものであった。
【0026】表3には健常者における胆汁酸レベルの基
準値範囲の設定が示されている。また、DCA、CAの
胆汁酸測定値より求めたDCA/CA比も表3に示し
た。
準値範囲の設定が示されている。また、DCA、CAの
胆汁酸測定値より求めたDCA/CA比も表3に示し
た。
【0027】
【表3】
【0028】実施例1 治療切除された大腸癌症例の術前(31症例)と術後
(6症例)、および健常者(120症例)の静脈血を採
血して、参考例1と同様にして、血清中の一次胆汁酸と
してコール酸(CA),二次胆汁酸としてデオキシコー
ル酸(DCA)を酵素結合免疫吸着検定(ELISA)
法で測定した。
(6症例)、および健常者(120症例)の静脈血を採
血して、参考例1と同様にして、血清中の一次胆汁酸と
してコール酸(CA),二次胆汁酸としてデオキシコー
ル酸(DCA)を酵素結合免疫吸着検定(ELISA)
法で測定した。
【0029】一次胆汁酸と二次胆汁酸の組成比として、
DCA/CAを算出し検討した。
DCA/CAを算出し検討した。
【0030】上記測定の結果、CA値(μmol/l)
について、健常者では1.79±0.74(平均値±S
D)で大腸癌患者は2.81±1.61(平均値±S
D)と高値傾向を認めた。同様にDCA値(μmol/
l)については、健常者0.30±0.40に比して大
腸癌患者は10.55±5.10と明らかな高値傾向を
認め、有意差(P<0.001)が認められた。
について、健常者では1.79±0.74(平均値±S
D)で大腸癌患者は2.81±1.61(平均値±S
D)と高値傾向を認めた。同様にDCA値(μmol/
l)については、健常者0.30±0.40に比して大
腸癌患者は10.55±5.10と明らかな高値傾向を
認め、有意差(P<0.001)が認められた。
【0031】また、上記結果をDCA/CA比で見る
と、健常者0.18(0.15)に比して、大腸癌患者
は4.19(1.40)と著明な有意差(P<0.00
1)が認められた。一方、大腸癌患者のDCA/CA比
の術前、術後における動態は、術前値4.19±1.4
0に比して術後1.24±1.55と有意な差(P<
0.001)を認めた。
と、健常者0.18(0.15)に比して、大腸癌患者
は4.19(1.40)と著明な有意差(P<0.00
1)が認められた。一方、大腸癌患者のDCA/CA比
の術前、術後における動態は、術前値4.19±1.4
0に比して術後1.24±1.55と有意な差(P<
0.001)を認めた。
【0032】上記所見は、二次胆汁酸と一次胆汁酸との
組成比を大腸癌の診断にも応用できることを明確に示し
た。
組成比を大腸癌の診断にも応用できることを明確に示し
た。
【0033】
【発明の効果】上記の試験値に示されるように、大腸癌
症例でDCA/CA値が非常に高いことから、血清胆汁
酸組成比を求めることが肝疾患のみならず、大腸癌およ
び直腸癌のスクリーニングなどの診断に役立つ可能性が
ある。大腸癌または直腸癌の検体として、従来の糞便で
はなく血清を試料として測定する本発明の方法を用いる
ことは、測定される患者にとっても、測定する側にとっ
ても臨床的に大変利便性があり有用である。今後、さら
に臨床症例データを集積することにより、より正確で緻
密な診断に応用することが可能である。
症例でDCA/CA値が非常に高いことから、血清胆汁
酸組成比を求めることが肝疾患のみならず、大腸癌およ
び直腸癌のスクリーニングなどの診断に役立つ可能性が
ある。大腸癌または直腸癌の検体として、従来の糞便で
はなく血清を試料として測定する本発明の方法を用いる
ことは、測定される患者にとっても、測定する側にとっ
ても臨床的に大変利便性があり有用である。今後、さら
に臨床症例データを集積することにより、より正確で緻
密な診断に応用することが可能である。
【0034】文献一覧表 1) Kano M,Wada H,Matsumot
o M,Yamamoto K,Kamano T,M
otegi K,Oguchi K and kano
Y:Hunan tecal bile acids
and fractions with Enzym
e−linked immunosorbent as
say.Showa univ J Med Sci,
5:183−191(1993) 2) Reddy BS and Wynder E
L:Metabolicepidemi−ology
of colon cancer.Fecalbile
acid and neutral sterols
in colon cancer patients
and patients withadenoma
tous polyps.cancer,39:253
3−2539(1977) 3) Kumada T,Nakano S,ohta
H,Sasaki T,Kitamura K,Wa
tahiki H,Takeda I,Okuyama
S,and Takagi K:Clinical
enaluation on deter−minat
ion of individual bile ac
ids in liver disease.seru
m bileacid composition in
fluminant hepatitis and
acute hepatitis.Kanzhs,2
3:364−371(1982)(in Japane
se,Englishabstract) 4) Karlaganis G and paumg
artner G:Detemina−tion of
bile acids in serum by c
apillary gas−liquid chrom
atography.clin chim Acta,
92:19−26(1979) 5) Maruyama K,Tanimura H
and HikasaY:Analysis of c
onjugated bile acidsin bi
le by high pressure liqui
d chromatogrphy.clin chim
Acta,100:47−54(1980) 6) Mashige F,Tanaka N,Mak
i A,Kamei Sand Yamanaka
M:Direct spectrophotometr
y of tatal bile acids in
serum .Clinchem,27:1352−1
356(1981)
o M,Yamamoto K,Kamano T,M
otegi K,Oguchi K and kano
Y:Hunan tecal bile acids
and fractions with Enzym
e−linked immunosorbent as
say.Showa univ J Med Sci,
5:183−191(1993) 2) Reddy BS and Wynder E
L:Metabolicepidemi−ology
of colon cancer.Fecalbile
acid and neutral sterols
in colon cancer patients
and patients withadenoma
tous polyps.cancer,39:253
3−2539(1977) 3) Kumada T,Nakano S,ohta
H,Sasaki T,Kitamura K,Wa
tahiki H,Takeda I,Okuyama
S,and Takagi K:Clinical
enaluation on deter−minat
ion of individual bile ac
ids in liver disease.seru
m bileacid composition in
fluminant hepatitis and
acute hepatitis.Kanzhs,2
3:364−371(1982)(in Japane
se,Englishabstract) 4) Karlaganis G and paumg
artner G:Detemina−tion of
bile acids in serum by c
apillary gas−liquid chrom
atography.clin chim Acta,
92:19−26(1979) 5) Maruyama K,Tanimura H
and HikasaY:Analysis of c
onjugated bile acidsin bi
le by high pressure liqui
d chromatogrphy.clin chim
Acta,100:47−54(1980) 6) Mashige F,Tanaka N,Mak
i A,Kamei Sand Yamanaka
M:Direct spectrophotometr
y of tatal bile acids in
serum .Clinchem,27:1352−1
356(1981)
【図1】本法ELISA法におけるCA,DCAの測定
手順を示す図式である。
手順を示す図式である。
【図2】本法ELISA法におけるCA,DCAの標準
曲線を示すグラフである。
曲線を示すグラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】 胆汁酸の活性エステルを製造し、牛血清
アルブミン溶液と反応させ、透析し、上記透析された物
を抗原としてヒト以外の哺乳動物を免疫することにより
抗胆汁酸抗体を作製し;上記活性エステルを酵素と反応
させて酵素標識胆汁酸を酵素標識抗原として作成し;第
二抗体固相化プレートに測定対象の血清の希釈液と抗胆
汁酸抗体液、酵素標識抗原液を加えて反応させ、さらに
基質を加えて反応させ;該反応物の吸光度の測定を行な
い、同時測定の標準曲線よりそれぞれの胆汁酸の濃度を
求め;得られたデオキシコール酸(DCA)とコール酸
(CA)の濃度より、その濃度比(DCA/CA)を求
め;および得られたこのDCA/CA比を健常者につい
て設定した該比の基準範囲と比較することからなる大腸
癌および直腸癌の決定方法。 - 【請求項2】 酵素が西洋ワサビペルオキシダーゼで、
基質がo−フェニレンジアミンであり、免疫される哺乳
動物がウサギである請求項1の方法。 - 【請求項3】 第二抗体固相化プレートが抗−ウサギI
gGELISAプレートで、492nmフィルターを使
用して測定する請求項1の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27110597A JPH11108933A (ja) | 1997-10-03 | 1997-10-03 | Elisaによる血清中胆汁酸類の測定による大腸癌及び直腸癌の決定法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27110597A JPH11108933A (ja) | 1997-10-03 | 1997-10-03 | Elisaによる血清中胆汁酸類の測定による大腸癌及び直腸癌の決定法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11108933A true JPH11108933A (ja) | 1999-04-23 |
Family
ID=17495420
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27110597A Pending JPH11108933A (ja) | 1997-10-03 | 1997-10-03 | Elisaによる血清中胆汁酸類の測定による大腸癌及び直腸癌の決定法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11108933A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108700572A (zh) * | 2016-02-29 | 2018-10-23 | 富士胶片株式会社 | 用于定量生物试样中的胆汁酸的试剂盒及定量生物试样中的胆汁酸的方法 |
CN111474288A (zh) * | 2020-01-07 | 2020-07-31 | 美康生物科技股份有限公司 | 一种用于准确测定血清中胆汁酸浓度的质谱试剂盒 |
-
1997
- 1997-10-03 JP JP27110597A patent/JPH11108933A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108700572A (zh) * | 2016-02-29 | 2018-10-23 | 富士胶片株式会社 | 用于定量生物试样中的胆汁酸的试剂盒及定量生物试样中的胆汁酸的方法 |
US10883986B2 (en) | 2016-02-29 | 2021-01-05 | Fujifilm Corporation | Kit for quantitatively determining bile acid in biological sample, and method for quantitatively determining bile acid in biological sample |
CN111474288A (zh) * | 2020-01-07 | 2020-07-31 | 美康生物科技股份有限公司 | 一种用于准确测定血清中胆汁酸浓度的质谱试剂盒 |
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