JPH11108868A - 熱分析制御型ラマン分光測定方法および装置 - Google Patents
熱分析制御型ラマン分光測定方法および装置Info
- Publication number
- JPH11108868A JPH11108868A JP28906197A JP28906197A JPH11108868A JP H11108868 A JPH11108868 A JP H11108868A JP 28906197 A JP28906197 A JP 28906197A JP 28906197 A JP28906197 A JP 28906197A JP H11108868 A JPH11108868 A JP H11108868A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- sample
- temperature
- spectrum
- raman
- heat
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Investigating Or Analyzing Materials Using Thermal Means (AREA)
- Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)
Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】 熱分析による試料の物性変化の検出と同時
に、所望の温度における試料の分子構造等の分析を高い
精度で行う。 【解決手段】 レーザー光源部2と、レーザー光を試料
加熱冷却部4内の試料に集光するための光学系と試料か
ら誘発したラマン散乱光を集光するための光学系を有す
るプローブ部およびラマン散乱光を分光する光学系を有
しスペクトル強度を検知する分光検出部を有するラマン
分光光度計3と、試料の温度を変化させる温度調節器
6、試料の温度を検出する温度検出器7、ラマン分光光
度計3で測定したラマン分光スペクトルの変化を検出す
るスペクトル解析部8、温度調節器6を制御して温度検
出器7で検出された温度から試料の吸熱・発熱量を算出
し、かつ、スペクトル解析部8で検出された分光スペク
トルの変化に応じて温度制御信号を温度調節器6に発す
る演算制御部5とを備えたものとする。
に、所望の温度における試料の分子構造等の分析を高い
精度で行う。 【解決手段】 レーザー光源部2と、レーザー光を試料
加熱冷却部4内の試料に集光するための光学系と試料か
ら誘発したラマン散乱光を集光するための光学系を有す
るプローブ部およびラマン散乱光を分光する光学系を有
しスペクトル強度を検知する分光検出部を有するラマン
分光光度計3と、試料の温度を変化させる温度調節器
6、試料の温度を検出する温度検出器7、ラマン分光光
度計3で測定したラマン分光スペクトルの変化を検出す
るスペクトル解析部8、温度調節器6を制御して温度検
出器7で検出された温度から試料の吸熱・発熱量を算出
し、かつ、スペクトル解析部8で検出された分光スペク
トルの変化に応じて温度制御信号を温度調節器6に発す
る演算制御部5とを備えたものとする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、試料の定量熱分析
とラマン分光測定とを同時に行うとともに、ラマンスペ
クトルの変化に応じて試料温度制御も行う熱分析制御型
ラマン分光測定方法とその装置に関する。
とラマン分光測定とを同時に行うとともに、ラマンスペ
クトルの変化に応じて試料温度制御も行う熱分析制御型
ラマン分光測定方法とその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】試料を加熱して吸熱量あるいは発熱量を
測定する示差熱分析、示差走査熱量分析、および、加熱
による質量変化を測定する熱重量分析等の熱分析と、試
料の分子振動、分子回転に基いて放出あるいは吸収され
る赤外スペクトルを測定して分子構造等を分析する赤外
スペクトル分析とを組み合わせ、同一試料について同時
に上記の2種の分析を行う方法、装置が提案されている
(特公平6−23697号等)。この分析方法および装
置では、試料を加熱して特定波長の光強度が急変する温
度およびその前後の温度で試料の赤外スペクトル測定が
行われ、加熱による材料構造変化を確認することができ
る。
測定する示差熱分析、示差走査熱量分析、および、加熱
による質量変化を測定する熱重量分析等の熱分析と、試
料の分子振動、分子回転に基いて放出あるいは吸収され
る赤外スペクトルを測定して分子構造等を分析する赤外
スペクトル分析とを組み合わせ、同一試料について同時
に上記の2種の分析を行う方法、装置が提案されている
(特公平6−23697号等)。この分析方法および装
置では、試料を加熱して特定波長の光強度が急変する温
度およびその前後の温度で試料の赤外スペクトル測定が
行われ、加熱による材料構造変化を確認することができ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
分析方法および装置では、熱分析と赤外スペクトル分析
とを共に高い精度で行うことが困難であるという問題が
ある。すなわち、熱分析において精密に発熱や吸熱ある
いは比熱の変化を定量的に把握しようとすると、、検出
限界よりも多くの試料を必要とするが、このような定量
的な熱分析に必要な試料量は赤外スペクトル分析には過
剰なものであり、試料における赤外光の吸収が強すぎて
赤外分光光度計の検知器に到達する光量が不充分なもの
となり、分子結合や構造変化を解析するのに必要な明瞭
な赤外スペクトルの測定が困難となる。特に、高分子系
の熱挙動のように微量な熱の出入りで構造変化を起こす
ものについては、測定不能となることが多い。
分析方法および装置では、熱分析と赤外スペクトル分析
とを共に高い精度で行うことが困難であるという問題が
ある。すなわち、熱分析において精密に発熱や吸熱ある
いは比熱の変化を定量的に把握しようとすると、、検出
限界よりも多くの試料を必要とするが、このような定量
的な熱分析に必要な試料量は赤外スペクトル分析には過
剰なものであり、試料における赤外光の吸収が強すぎて
赤外分光光度計の検知器に到達する光量が不充分なもの
となり、分子結合や構造変化を解析するのに必要な明瞭
な赤外スペクトルの測定が困難となる。特に、高分子系
の熱挙動のように微量な熱の出入りで構造変化を起こす
ものについては、測定不能となることが多い。
【0004】本発明は、上記のような事情に鑑みてなさ
れたものであり、熱分析による試料の物性変化の検出と
同時に、所望の温度における試料の分子構造等の分析を
高い精度で行うことができ、かつ、加熱や冷却によって
もたらされた可逆的あるいは非可逆的な分子構造に関わ
る変化をラマン分光法でとらえ、試料の加熱・冷却のプ
ログラムを適宜変化させて、熱の出入りにより生じる材
料構造の変化を促進または維持、抑制または逆行させる
ことができる熱分析制御型ラマン分光測定方法とその装
置を提供することを目的とする。
れたものであり、熱分析による試料の物性変化の検出と
同時に、所望の温度における試料の分子構造等の分析を
高い精度で行うことができ、かつ、加熱や冷却によって
もたらされた可逆的あるいは非可逆的な分子構造に関わ
る変化をラマン分光法でとらえ、試料の加熱・冷却のプ
ログラムを適宜変化させて、熱の出入りにより生じる材
料構造の変化を促進または維持、抑制または逆行させる
ことができる熱分析制御型ラマン分光測定方法とその装
置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明の熱分析制御型ラマン分光測定方法
は、試料の温度を変化させながら該試料の吸熱・発熱量
を定量的に計測し、同時に、試料にレーザー光を照射し
て誘発されたラマン散乱光の分光スペクトルを測定し、
該分光スペクトルの変化に応じて試料の温度制御プログ
ラムを変化させるような構成とした。
るために、本発明の熱分析制御型ラマン分光測定方法
は、試料の温度を変化させながら該試料の吸熱・発熱量
を定量的に計測し、同時に、試料にレーザー光を照射し
て誘発されたラマン散乱光の分光スペクトルを測定し、
該分光スペクトルの変化に応じて試料の温度制御プログ
ラムを変化させるような構成とした。
【0006】また、本発明の熱分析制御型ラマン分光測
定装置は、レーザー光源部と、レーザー光を試料加熱冷
却部内の試料に集光するための光学系と前記試料から誘
発したラマン散乱光を集光するための光学系を有するプ
ローブ部およびラマン散乱光を分光する光学系を有し分
光スペクトルを測定する分光検出部を備えるラマン分光
光度計と、試料の温度を変化させる温度調節器と、試料
の温度を検出する温度検出器と、ラマン分光光度計で測
定したラマン分光スペクトルの変化を検出するスペクト
ル解析部と、温度検出器で検出された温度から試料の吸
熱・発熱量を算出し、かつ、スペクトル解析部で検出さ
れた分光スペクトルの変化に応じて温度制御信号を温度
調節器に発する演算制御部と、を備えるような構成とし
た。
定装置は、レーザー光源部と、レーザー光を試料加熱冷
却部内の試料に集光するための光学系と前記試料から誘
発したラマン散乱光を集光するための光学系を有するプ
ローブ部およびラマン散乱光を分光する光学系を有し分
光スペクトルを測定する分光検出部を備えるラマン分光
光度計と、試料の温度を変化させる温度調節器と、試料
の温度を検出する温度検出器と、ラマン分光光度計で測
定したラマン分光スペクトルの変化を検出するスペクト
ル解析部と、温度検出器で検出された温度から試料の吸
熱・発熱量を算出し、かつ、スペクトル解析部で検出さ
れた分光スペクトルの変化に応じて温度制御信号を温度
調節器に発する演算制御部と、を備えるような構成とし
た。
【0007】このような本発明では、熱分析において試
料温度を変化させながら試料の吸熱量・発熱量が定量的
に計測算出され、これと同時に、各試料温度において、
試料に照射されたレーザー光により誘発されたラマン散
乱光の分光スペクトルをラマン分光光度計の検出光学系
の焦点領域に限定して測定することにより試料の分子構
造等の分析を行うので、試料量を熱分析に必要な量まで
増量しても安定してラマン分光測定を行うことができ、
さらに、本発明では、安定的に得られた分光スペクトル
のピークの波長、位置、形状や強度、バンド幅等の温度
や時間に対する変化を検出する演算を行い、変化温度に
対応して所望のタイミングで試料への熱の出入りが制御
される。
料温度を変化させながら試料の吸熱量・発熱量が定量的
に計測算出され、これと同時に、各試料温度において、
試料に照射されたレーザー光により誘発されたラマン散
乱光の分光スペクトルをラマン分光光度計の検出光学系
の焦点領域に限定して測定することにより試料の分子構
造等の分析を行うので、試料量を熱分析に必要な量まで
増量しても安定してラマン分光測定を行うことができ、
さらに、本発明では、安定的に得られた分光スペクトル
のピークの波長、位置、形状や強度、バンド幅等の温度
や時間に対する変化を検出する演算を行い、変化温度に
対応して所望のタイミングで試料への熱の出入りが制御
される。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
て図面を参照して説明する。
【0009】本発明の熱分析制御型ラマン分光測定方法
は、試料温度を変化させながら試料の吸熱量・発熱量を
定量的に計測して熱分析を行うことにより試料の結晶構
造変化を検出するとともに、試料にレーザー光を照射し
て誘発されたラマン散乱光の分光スペクトルを測定して
試料の分子構造等の分析を行うラマン分光測定を、各試
料温度において行うものである。熱分析における試料量
は、精密な定量分析を行う場合、その検出限界よりも多
くの試料量に設定するが、本発明では、試料について検
出光学系の焦点領域のみのラマン分光スペクトルを得る
ので、上記のように熱分析における精密な結晶構造分析
を可能とする比較的多量の試料であっても、高い精度で
分子構造等の分析を行うことができる。
は、試料温度を変化させながら試料の吸熱量・発熱量を
定量的に計測して熱分析を行うことにより試料の結晶構
造変化を検出するとともに、試料にレーザー光を照射し
て誘発されたラマン散乱光の分光スペクトルを測定して
試料の分子構造等の分析を行うラマン分光測定を、各試
料温度において行うものである。熱分析における試料量
は、精密な定量分析を行う場合、その検出限界よりも多
くの試料量に設定するが、本発明では、試料について検
出光学系の焦点領域のみのラマン分光スペクトルを得る
ので、上記のように熱分析における精密な結晶構造分析
を可能とする比較的多量の試料であっても、高い精度で
分子構造等の分析を行うことができる。
【0010】また、本発明の熱分析制御型ラマン分光測
定方法では、測定した分光スペクトルの変化に応じて試
料の温度制御プログラムを変化させる。すなわち、加熱
や冷却によってもたらされた可逆的あるいは非可逆的な
分子構造に関わる変化を、安定的に得られた分光スペク
トルのピークの波長、位置、形状や強度、バンド幅等の
温度や時間に対する変化としてとらえ、これを基に試料
の加熱・冷却のプログラムを適宜変化させて、熱の出入
りにより生じる材料構造の変化を促進または維持、抑制
または逆行させる。これにより、熱による試料の構造変
化を測定するのみでなく、所望の材料構造をより効率的
に迅速に獲得するための制御方法についての知見を得る
ことができ、また、熱的に不安定な材料構造の維持も可
能となる。
定方法では、測定した分光スペクトルの変化に応じて試
料の温度制御プログラムを変化させる。すなわち、加熱
や冷却によってもたらされた可逆的あるいは非可逆的な
分子構造に関わる変化を、安定的に得られた分光スペク
トルのピークの波長、位置、形状や強度、バンド幅等の
温度や時間に対する変化としてとらえ、これを基に試料
の加熱・冷却のプログラムを適宜変化させて、熱の出入
りにより生じる材料構造の変化を促進または維持、抑制
または逆行させる。これにより、熱による試料の構造変
化を測定するのみでなく、所望の材料構造をより効率的
に迅速に獲得するための制御方法についての知見を得る
ことができ、また、熱的に不安定な材料構造の維持も可
能となる。
【0011】次に、本発明の熱分析制御型ラマン分光測
定装置について説明する。
定装置について説明する。
【0012】図1は本発明の熱分析制御型ラマン分光測
定装置の一実施形態を示す概略構成図である。図1にお
いて、熱分析制御型ラマン分光測定装置1は、レーザー
光源部2、ラマン分光光度計3、試料加熱冷却部4、演
算制御部5、温度調節器6、温度検出器7、スペクトル
解析部8、表示装置9およびプリンタ10とを備えてい
る。
定装置の一実施形態を示す概略構成図である。図1にお
いて、熱分析制御型ラマン分光測定装置1は、レーザー
光源部2、ラマン分光光度計3、試料加熱冷却部4、演
算制御部5、温度調節器6、温度検出器7、スペクトル
解析部8、表示装置9およびプリンタ10とを備えてい
る。
【0013】レーザー光源部2は、例えば、Nd:YA
Gレーザー、Nd:YLFレーザー、He:Neレーザ
ー、Arレーザー、Krレーザー等の各特性波長を使用
することができる。このレーザー光源部2から後述する
光学系までの光路には第2高調波を発生する非線形光学
材料(例えば、リン酸2水素カリウム(KDP)系等)
で構成された高調波発生器を配設してもよい。
Gレーザー、Nd:YLFレーザー、He:Neレーザ
ー、Arレーザー、Krレーザー等の各特性波長を使用
することができる。このレーザー光源部2から後述する
光学系までの光路には第2高調波を発生する非線形光学
材料(例えば、リン酸2水素カリウム(KDP)系等)
で構成された高調波発生器を配設してもよい。
【0014】ラマン分光光度計3は、図2に示されるよ
うに、レーザー光源部2からのレーザー光を試料加熱冷
却部4内の試料Sに集光するための光学系(集光光学
系)と試料Sから誘発したラマン散乱光を集光するため
の光学系(検出光学系)とを有するプローブ部11、お
よび、ラマン散乱光を分光する光学系を有し分光スペク
トルを測定する分光検出部21からなるものである。
うに、レーザー光源部2からのレーザー光を試料加熱冷
却部4内の試料Sに集光するための光学系(集光光学
系)と試料Sから誘発したラマン散乱光を集光するため
の光学系(検出光学系)とを有するプローブ部11、お
よび、ラマン散乱光を分光する光学系を有し分光スペク
トルを測定する分光検出部21からなるものである。
【0015】プローブ部11および分光検出部21にお
ける光学系は、レーザー光源部2から光ファイバーf1
を介して導光されたレーザー光を試料加熱冷却部4内の
試料Sに集光させ、同時に、試料Sから誘発されたラマ
ン散乱光を捕捉して集光するためのレンズ12、このレ
ンズ12から光ファイバーf2を介して導光されたラマ
ン散乱光をスリット16に集光するためのレンズ13、
15、スリット16を介して分光検出部21に導光され
たラマン散乱光を平行化して回折格子23に入光させる
レンズ22、回折格子23で分光されたラマン散乱光を
検出器25に集光するためのレンズ24により構成され
ている。
ける光学系は、レーザー光源部2から光ファイバーf1
を介して導光されたレーザー光を試料加熱冷却部4内の
試料Sに集光させ、同時に、試料Sから誘発されたラマ
ン散乱光を捕捉して集光するためのレンズ12、このレ
ンズ12から光ファイバーf2を介して導光されたラマ
ン散乱光をスリット16に集光するためのレンズ13、
15、スリット16を介して分光検出部21に導光され
たラマン散乱光を平行化して回折格子23に入光させる
レンズ22、回折格子23で分光されたラマン散乱光を
検出器25に集光するためのレンズ24により構成され
ている。
【0016】上記の光学系の基本構造に加えて、光ファ
イバーf1から射出されるレーザー光を平行化するため
のレンズ、および、導光されたレーザー光の励起線以外
の照射を除去するためのバンドパスフィルターを上記レ
ンズ12に至る入射光路に配設してもよい。また、図示
例では、レーリー散乱光を除去するためのノッチフィル
タ14がレンズ13とレンズ15との間に配設されてい
る。
イバーf1から射出されるレーザー光を平行化するため
のレンズ、および、導光されたレーザー光の励起線以外
の照射を除去するためのバンドパスフィルターを上記レ
ンズ12に至る入射光路に配設してもよい。また、図示
例では、レーリー散乱光を除去するためのノッチフィル
タ14がレンズ13とレンズ15との間に配設されてい
る。
【0017】尚、本発明では、上記のような光ファイバ
ーf1、f2の代わりに、レンズやミラーで構成された
光学系を用いることもできる。
ーf1、f2の代わりに、レンズやミラーで構成された
光学系を用いることもできる。
【0018】分光検出部21の検出器25はCCDセン
サーで構成することができるが、より高感度とするため
に電子冷却等の手段で低温化することが好ましい。ま
た、分光検出部21においてラマン散乱光を分光するた
めの回折格子23の代わりにプリズムを使用してもよ
い。
サーで構成することができるが、より高感度とするため
に電子冷却等の手段で低温化することが好ましい。ま
た、分光検出部21においてラマン散乱光を分光するた
めの回折格子23の代わりにプリズムを使用してもよ
い。
【0019】上記のようなラマン分光光度計3の検出器
25にはスペクトル解析部8が接続されており、このス
ペクトル解析部8は演算制御部5に接続されている。ス
ペクトル解析部8では、ラマン分光光度計3において測
定された分光スペクトルのピークの波長、位置、形状や
強度、バンド幅等の変化が検出される。
25にはスペクトル解析部8が接続されており、このス
ペクトル解析部8は演算制御部5に接続されている。ス
ペクトル解析部8では、ラマン分光光度計3において測
定された分光スペクトルのピークの波長、位置、形状や
強度、バンド幅等の変化が検出される。
【0020】尚、本発明の熱分析制御型ラマン分光測定
装置では、対象とする試料の様々な構造変化に対応する
ために、蛍光の影響が比較的少ない光源、例えば、YA
Gレーザー等の近赤外から赤外領域のレーザーを使用す
ることができる。さらに、フーリエ変換型ラマン分光光
度計を使用することもできる。
装置では、対象とする試料の様々な構造変化に対応する
ために、蛍光の影響が比較的少ない光源、例えば、YA
Gレーザー等の近赤外から赤外領域のレーザーを使用す
ることができる。さらに、フーリエ変換型ラマン分光光
度計を使用することもできる。
【0021】試料加熱冷却部4は、所定量の試料Sを載
置するための試料セル4a、この試料セル4a内の試料
Sを加熱するためのヒーター4b、試料セル4aを密封
するための石英透明窓板4cで構成されている。
置するための試料セル4a、この試料セル4a内の試料
Sを加熱するためのヒーター4b、試料セル4aを密封
するための石英透明窓板4cで構成されている。
【0022】この試料加熱冷却部4の試料セル4aには
温度検出器7が接続されており、この温度検出器7は演
算制御部5に接続されている。
温度検出器7が接続されており、この温度検出器7は演
算制御部5に接続されている。
【0023】また、試料加熱冷却部4のヒーター4b
は、温度調節器6を介して演算制御部5に接続されてい
る。
は、温度調節器6を介して演算制御部5に接続されてい
る。
【0024】尚、上記の試料加熱冷却部4をX−Y方向
に移動可能なステージ、あるいは、水平面内で回転可能
なステージ上に配設し、ステージ駆動部を演算制御部5
により制御してレーザー光の集光位置(集光光学系の焦
点位置)や検出光学系の焦点位置を試料S上において走
査できるようにしてもよい。また、ラマン分光光度計3
の集光光学系と検出光学系の各焦点を一致させた共焦点
系とすることにより、測定操作をより簡便なものとする
ことができる。
に移動可能なステージ、あるいは、水平面内で回転可能
なステージ上に配設し、ステージ駆動部を演算制御部5
により制御してレーザー光の集光位置(集光光学系の焦
点位置)や検出光学系の焦点位置を試料S上において走
査できるようにしてもよい。また、ラマン分光光度計3
の集光光学系と検出光学系の各焦点を一致させた共焦点
系とすることにより、測定操作をより簡便なものとする
ことができる。
【0025】演算制御部5は、温度調節器6を制御して
ヒーター4bにより試料Sを所定の昇温速度で加熱した
り一定温度に維持したり、あるいは加熱を停止して冷却
する。また、演算制御部5は、温度検出器7で検出され
た試料Sの温度から吸熱量・発熱量を計測し、さらに、
温度検出器7で検出された温度に基づいて各温度におい
て試料Sから誘発したラマン散乱光の分光スペクトルを
ラマン分光光度計3で検知させるものである。
ヒーター4bにより試料Sを所定の昇温速度で加熱した
り一定温度に維持したり、あるいは加熱を停止して冷却
する。また、演算制御部5は、温度検出器7で検出され
た試料Sの温度から吸熱量・発熱量を計測し、さらに、
温度検出器7で検出された温度に基づいて各温度におい
て試料Sから誘発したラマン散乱光の分光スペクトルを
ラマン分光光度計3で検知させるものである。
【0026】上記の演算制御部5による試料Sの温度制
御は、スペクトル解析部8で検出された分光スペクトル
の変化に応じて演算制御部5が温度制御信号を温度調節
器6に発して試料Sへの熱の出入りを制御することによ
り行われる。すなわち、演算制御部5は、スペクトル解
析部8で検出された分光スペクトルのピークの波長、位
置、形状や強度、バンド幅等の変化を温度や時間に対す
る変化として検出する演算を行い、変化温度に対応して
所望のタイミングで温度制御信号を温度調節器6に発し
て試料Sへの熱の出入りを制御する。これにより、熱に
よる試料Sの構造変化を測定するのみでなく、所望の材
料構造をより効率的に迅速に獲得するための制御方法に
ついての知見を得ることができ、かつ、熱的に不安定な
構造の維持も可能となる。
御は、スペクトル解析部8で検出された分光スペクトル
の変化に応じて演算制御部5が温度制御信号を温度調節
器6に発して試料Sへの熱の出入りを制御することによ
り行われる。すなわち、演算制御部5は、スペクトル解
析部8で検出された分光スペクトルのピークの波長、位
置、形状や強度、バンド幅等の変化を温度や時間に対す
る変化として検出する演算を行い、変化温度に対応して
所望のタイミングで温度制御信号を温度調節器6に発し
て試料Sへの熱の出入りを制御する。これにより、熱に
よる試料Sの構造変化を測定するのみでなく、所望の材
料構造をより効率的に迅速に獲得するための制御方法に
ついての知見を得ることができ、かつ、熱的に不安定な
構造の維持も可能となる。
【0027】また、演算制御部5は、熱分析データ、ラ
マン散乱光の分光スペクトル測定データを表示装置9に
表示するとともに、必要に応じてプリンタ10に出力さ
せるものである。
マン散乱光の分光スペクトル測定データを表示装置9に
表示するとともに、必要に応じてプリンタ10に出力さ
せるものである。
【0028】ここで、本発明の熱分析制御型ラマン分光
測定方法にしたがって上述の熱分析制御型ラマン分光測
定装置1を使用した測定操作を説明する。
測定方法にしたがって上述の熱分析制御型ラマン分光測
定装置1を使用した測定操作を説明する。
【0029】まず、試料加熱冷却部4の試料セル4aに
所定量(通常、数mg)の試料Sを載置し、演算制御部
5により予め設定した昇温速度で試料Sを加熱し、同時
に、レーザー光源部2から発振されたレーザー光を光フ
ァイバーf1に導光し、レンズ12で集光して石英透明
窓板4cを介して試料Sに照射させる。加熱温度の上昇
に伴う試料Sの吸熱量、発熱量は、温度検出器7で検出
された試料Sの温度から演算制御部5において計測さ
れ、一方、試料Sからは照射されたレーザー光によりラ
マン散乱光が誘発される。試料Sで誘発されたラマン散
乱光は、レンズ12により集光されて光ファイバーf2
を介しレンズ13に導光され、ノッチフィルタ14を通
ってレンズ15によりスリット16に集光される。この
スリット16から分光検出部21に入光したラマン散乱
光は、レンズ22により平行化され回折格子23で分光
された後、レンズ24により検出器25に集光される。
そして、各温度、例えば、昇温10℃ごとに演算制御部
5からの指令により検出器25にて分光スペクトルが測
定され、この分光スペクトルの変化がスペクトル解析部
8にて検出される。このようにして測定された熱分析デ
ータおよびラマン散乱光の分光スペクトルの測定データ
は表示装置9に表示される。尚、試料Sへのレーザー光
照射は、連続ではなくラマン分光測定を行うときのみと
してもよい。上記のようにスペクトル解析部8にて検出
された分光スペクトルの変化、例えば、ピークの波長、
位置、形状や強度、バンド幅等の変化は、演算制御部5
において試料Sの加熱・冷却のプログラム決定に用いら
れる。すなわち、演算制御部5では、前スペクトルとの
差の演算、注目ピークの時間微分、スペクトル全体の多
変量解析パラメーターの変化、スペクトルの二次元相関
法等、スペクトルマッチングや比較法を目的に応じて採
用することにより試料Sの加熱・冷却のプログラムが決
定され、温度制御信号が温度調節器6に発せられる。
所定量(通常、数mg)の試料Sを載置し、演算制御部
5により予め設定した昇温速度で試料Sを加熱し、同時
に、レーザー光源部2から発振されたレーザー光を光フ
ァイバーf1に導光し、レンズ12で集光して石英透明
窓板4cを介して試料Sに照射させる。加熱温度の上昇
に伴う試料Sの吸熱量、発熱量は、温度検出器7で検出
された試料Sの温度から演算制御部5において計測さ
れ、一方、試料Sからは照射されたレーザー光によりラ
マン散乱光が誘発される。試料Sで誘発されたラマン散
乱光は、レンズ12により集光されて光ファイバーf2
を介しレンズ13に導光され、ノッチフィルタ14を通
ってレンズ15によりスリット16に集光される。この
スリット16から分光検出部21に入光したラマン散乱
光は、レンズ22により平行化され回折格子23で分光
された後、レンズ24により検出器25に集光される。
そして、各温度、例えば、昇温10℃ごとに演算制御部
5からの指令により検出器25にて分光スペクトルが測
定され、この分光スペクトルの変化がスペクトル解析部
8にて検出される。このようにして測定された熱分析デ
ータおよびラマン散乱光の分光スペクトルの測定データ
は表示装置9に表示される。尚、試料Sへのレーザー光
照射は、連続ではなくラマン分光測定を行うときのみと
してもよい。上記のようにスペクトル解析部8にて検出
された分光スペクトルの変化、例えば、ピークの波長、
位置、形状や強度、バンド幅等の変化は、演算制御部5
において試料Sの加熱・冷却のプログラム決定に用いら
れる。すなわち、演算制御部5では、前スペクトルとの
差の演算、注目ピークの時間微分、スペクトル全体の多
変量解析パラメーターの変化、スペクトルの二次元相関
法等、スペクトルマッチングや比較法を目的に応じて採
用することにより試料Sの加熱・冷却のプログラムが決
定され、温度制御信号が温度調節器6に発せられる。
【0030】
【実施例】次に、具体的な実施例を挙げて本発明を更に
詳細に説明する。 (実施例1)図1および図2に示した構造の熱分析制御
型ラマン分光測定装置を用い、Nd:YAGレーザー発
振器をレーザー光源部2とし、波長532nmのレーザ
ー光を試料Sに照射するようにした。
詳細に説明する。 (実施例1)図1および図2に示した構造の熱分析制御
型ラマン分光測定装置を用い、Nd:YAGレーザー発
振器をレーザー光源部2とし、波長532nmのレーザ
ー光を試料Sに照射するようにした。
【0031】試料Sとしてポリ塩化ビニル粉末約12m
gをアルミニウム製試料セルに秤量して載置し、雰囲気
を窒素ガス(ガス流量50ml/分)として昇温速度1
0℃/分で試料Sを250℃まで加熱した。これととも
に、試料Sから誘発されたラマン散乱光の分光スペクト
ルを昇温10℃ごとに検出器25にて測定した。ラマン
散乱光は回折格子で分光を行い、電子冷却CCDセンサ
ーで分光スペクトルを測定した。
gをアルミニウム製試料セルに秤量して載置し、雰囲気
を窒素ガス(ガス流量50ml/分)として昇温速度1
0℃/分で試料Sを250℃まで加熱した。これととも
に、試料Sから誘発されたラマン散乱光の分光スペクト
ルを昇温10℃ごとに検出器25にて測定した。ラマン
散乱光は回折格子で分光を行い、電子冷却CCDセンサ
ーで分光スペクトルを測定した。
【0032】図3はこのように測定したポリ塩化ビニル
の熱分析データを示す図であり、また、図4は同一試料
の10℃ごとのラマン散乱光の分光スペクトルを示す図
である。図3では、約172℃から急激な発熱が観察さ
れるが、これより低温側の約120℃付近(矢印で示す
箇所)で微小な発熱が観察される。一方、図4では、1
20℃におけるスペクトルで1500cm-1付近にC=
C伸縮による微小なピークが出現し、このピークは試料
温度が上昇するにしたがって徐々に増大し、170℃以
上では急激に増大している。このことから、ポリ塩化ビ
ニルは120℃付近から脱塩化水素反応が始まり、17
0℃以上で激しく熱分解反応が行われることが確認され
た。しかし、従来の熱分析赤外スペクトル分光測定で
は、熱分析データと相関させて120℃付近からの上記
のようなポリ塩化ビニルの挙動を検知することができな
かった。
の熱分析データを示す図であり、また、図4は同一試料
の10℃ごとのラマン散乱光の分光スペクトルを示す図
である。図3では、約172℃から急激な発熱が観察さ
れるが、これより低温側の約120℃付近(矢印で示す
箇所)で微小な発熱が観察される。一方、図4では、1
20℃におけるスペクトルで1500cm-1付近にC=
C伸縮による微小なピークが出現し、このピークは試料
温度が上昇するにしたがって徐々に増大し、170℃以
上では急激に増大している。このことから、ポリ塩化ビ
ニルは120℃付近から脱塩化水素反応が始まり、17
0℃以上で激しく熱分解反応が行われることが確認され
た。しかし、従来の熱分析赤外スペクトル分光測定で
は、熱分析データと相関させて120℃付近からの上記
のようなポリ塩化ビニルの挙動を検知することができな
かった。
【0033】本実施例では、ポリ塩化ビニルの熱挙動と
構造変化を同時にとらえることができた。このデータを
基に、分解ピークの時間微分がプラスに上昇した時点
で、試料の加熱を中止して冷却したところ、分解が停止
し、また、試料温度を上記時点の温度に維持したとこ
ろ、一定の速度で徐々に分解が進むことが判明した。こ
のような結果は、ポリ塩化ビニルの熱分解が非可逆であ
ることを示すとともに、ポリ塩化ビニル樹脂の熱成形時
の温度設定のシミュレーションに有効であった。 (実施例2)試料として、線状低密度ポリエチレン(L
LDPE)13.93mgを使用した他は、実施例1と
同様にして測定を行った。
構造変化を同時にとらえることができた。このデータを
基に、分解ピークの時間微分がプラスに上昇した時点
で、試料の加熱を中止して冷却したところ、分解が停止
し、また、試料温度を上記時点の温度に維持したとこ
ろ、一定の速度で徐々に分解が進むことが判明した。こ
のような結果は、ポリ塩化ビニルの熱分解が非可逆であ
ることを示すとともに、ポリ塩化ビニル樹脂の熱成形時
の温度設定のシミュレーションに有効であった。 (実施例2)試料として、線状低密度ポリエチレン(L
LDPE)13.93mgを使用した他は、実施例1と
同様にして測定を行った。
【0034】図5はこのように測定したLLDPEの熱
分析データを示す図であり、また、図6は同一試料の融
点前後のラマン散乱光の分光スペクトルを示す図であ
る。図5では、110℃付近に融解ピークが出現し、こ
れにともない、図6では、ラマン分光スペクトルにピー
ク(約1130cm-1)の消滅や2900cm-1付近の
強度変化が観測できた。そして、上記の融解開始温度を
スペクトル強度の時間微分で追跡することにより、融解
開始からの熱量の供給の多さに応じて融解完了までの時
間が短縮されることが確認され、また、ラマン分光スペ
クトルにより融解が進んだことを確認できた。一方、試
料の加熱を中止して冷却したところ、放出される熱量が
多くなるにしたがって結晶化が進み、この結晶化は冷却
速度と略相関していること、冷却速度が遅い場合には、
結晶化までの時間が不安定となり、他の要因によっても
結晶化が左右されることが推測された。このような結果
は、ポリエチレンフィルムの成形や、ポリエチレンフィ
ルムどうしのヒートシール時の挙動解析や各々の加工時
の温度条件の設計に有効であった。 (実施例3)試料として、シングルサイトポリエチレン
(SS−PE)10.36mgを使用した他は、実施例
1と同様にして測定を行った。
分析データを示す図であり、また、図6は同一試料の融
点前後のラマン散乱光の分光スペクトルを示す図であ
る。図5では、110℃付近に融解ピークが出現し、こ
れにともない、図6では、ラマン分光スペクトルにピー
ク(約1130cm-1)の消滅や2900cm-1付近の
強度変化が観測できた。そして、上記の融解開始温度を
スペクトル強度の時間微分で追跡することにより、融解
開始からの熱量の供給の多さに応じて融解完了までの時
間が短縮されることが確認され、また、ラマン分光スペ
クトルにより融解が進んだことを確認できた。一方、試
料の加熱を中止して冷却したところ、放出される熱量が
多くなるにしたがって結晶化が進み、この結晶化は冷却
速度と略相関していること、冷却速度が遅い場合には、
結晶化までの時間が不安定となり、他の要因によっても
結晶化が左右されることが推測された。このような結果
は、ポリエチレンフィルムの成形や、ポリエチレンフィ
ルムどうしのヒートシール時の挙動解析や各々の加工時
の温度条件の設計に有効であった。 (実施例3)試料として、シングルサイトポリエチレン
(SS−PE)10.36mgを使用した他は、実施例
1と同様にして測定を行った。
【0035】図7はこのように測定したSS−PEの熱
分析データを示す図であり、また、図8は同一試料の融
点前後のラマン散乱光の分光スペクトルを示す図であ
る。図7では、100℃付近に融解ピークが出現し、こ
れにともない、図8では、ラマン分光スペクトルにピー
ク(約1130cm-1)の消滅があり、構造が大きく変
化する様子が観測できた。そして、上記の融解開始温度
をスペクトル強度の時間微分で追跡することにより、融
解開始からの熱量の供給の多さに応じて融解完了までの
時間が短縮されることが確認され、また、ラマン分光ス
ペクトルにより融解が進んだことを確認できた。一方、
試料の加熱を中止して冷却したところ、放出される熱量
が多くなるにしたがって元のスペクトルに戻り、この変
化は冷却速度と略相関していること、冷却速度が遅い場
合には、この時間が短くなり、SS−PEの場合、比較
的可逆性の強い現象であることが推測された。このよう
な結果は、ポリエチレンフィルムの成形や、ポリエチレ
ンどうしのヒートシール時の挙動解析や各々の加工時の
温度条件の設計に有効であった。
分析データを示す図であり、また、図8は同一試料の融
点前後のラマン散乱光の分光スペクトルを示す図であ
る。図7では、100℃付近に融解ピークが出現し、こ
れにともない、図8では、ラマン分光スペクトルにピー
ク(約1130cm-1)の消滅があり、構造が大きく変
化する様子が観測できた。そして、上記の融解開始温度
をスペクトル強度の時間微分で追跡することにより、融
解開始からの熱量の供給の多さに応じて融解完了までの
時間が短縮されることが確認され、また、ラマン分光ス
ペクトルにより融解が進んだことを確認できた。一方、
試料の加熱を中止して冷却したところ、放出される熱量
が多くなるにしたがって元のスペクトルに戻り、この変
化は冷却速度と略相関していること、冷却速度が遅い場
合には、この時間が短くなり、SS−PEの場合、比較
的可逆性の強い現象であることが推測された。このよう
な結果は、ポリエチレンフィルムの成形や、ポリエチレ
ンどうしのヒートシール時の挙動解析や各々の加工時の
温度条件の設計に有効であった。
【0036】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば熱
分析において試料温度を変化させながら試料の吸熱・発
熱量が定量的に計測算出され、これと同時に、各試料温
度において、試料に照射されたレーザー光により誘発さ
れたラマン散乱光の分光スペクトルをラマン分光光度計
の検知光学系の焦点領域に限定して測定することにより
試料の分子構造等の分析を行うので、試料量を熱分析に
必要な量まで増量しても安定してラマン分光測定が行え
る。また、本発明では、安定的に得られた分光スペクト
ルのピークの波長、位置、形状や強度、バンド幅等の温
度や時間に対する変化を検出する演算を行い、変化温度
に対応して所望のタイミングで試料への熱の出入りを制
御するので、熱による試料の構造変化を測定するのみで
なく、所望の材料構造をより効率的に迅速に獲得するた
めの制御方法についての知見を得ることができ、かつ、
熱的に不安定な構造の維持も可能となる。
分析において試料温度を変化させながら試料の吸熱・発
熱量が定量的に計測算出され、これと同時に、各試料温
度において、試料に照射されたレーザー光により誘発さ
れたラマン散乱光の分光スペクトルをラマン分光光度計
の検知光学系の焦点領域に限定して測定することにより
試料の分子構造等の分析を行うので、試料量を熱分析に
必要な量まで増量しても安定してラマン分光測定が行え
る。また、本発明では、安定的に得られた分光スペクト
ルのピークの波長、位置、形状や強度、バンド幅等の温
度や時間に対する変化を検出する演算を行い、変化温度
に対応して所望のタイミングで試料への熱の出入りを制
御するので、熱による試料の構造変化を測定するのみで
なく、所望の材料構造をより効率的に迅速に獲得するた
めの制御方法についての知見を得ることができ、かつ、
熱的に不安定な構造の維持も可能となる。
【図1】本発明の熱分析制御型ラマン分光測定装置の一
実施形態を示す概略構成図である。
実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明の熱分析制御型ラマン分光測定装置のラ
マン分光光度計の構成を示す図である。
マン分光光度計の構成を示す図である。
【図3】実施例1において測定したポリ塩化ビニルの熱
分析データを示す図である。
分析データを示す図である。
【図4】図3と同一の試料の10℃ごとのラマン分光ス
ペクトルを示す図である。
ペクトルを示す図である。
【図5】実施例2において測定した線状低密度ポリエチ
レンの熱分析データを示す図である。
レンの熱分析データを示す図である。
【図6】図5と同一の試料の融点前後のラマン分光スペ
クトルを示す図である。
クトルを示す図である。
【図7】実施例3において測定したシングルサイトポリ
エチレンの熱分析データを示す図である。
エチレンの熱分析データを示す図である。
【図8】図7と同一の試料の融点前後のラマン分光スペ
クトルを示す図である。
クトルを示す図である。
1…熱分析制御型ラマン分光測定装置 2…レーザー光源部 3…ラマン分光光度計 4…試料加熱冷却部 5…演算制御部 6…温度調節器 7…温度検出器 8…スペクトル解析部 9…表示部 10…プリンタ 11…プローブ部 12,13,15…レンズ 14…ノッチフィルタ 21…分光検出部 22,24…レンズ 23…回折格子 25…検出器
Claims (2)
- 【請求項1】 試料の温度を変化させながら該試料の吸
熱・発熱量を定量的に計測し、同時に、試料にレーザー
光を照射して誘発されたラマン散乱光の分光スペクトル
を測定し、該分光スペクトルの変化に応じて試料の温度
制御プログラムを変化させることを特徴とする熱分析制
御型ラマン分光測定方法。 - 【請求項2】 レーザー光源部2と、レーザー光を試料
加熱冷却部4内の試料に集光するための光学系と前記試
料から誘発したラマン散乱光を集光するための光学系を
有するプローブ部11およびラマン散乱光を分光する光
学系を有し分光スペクトルを測定する分光検出部21を
備えるラマン分光光度計3と、試料の温度を変化させる
温度調節器6と、試料の温度を検出する温度検出器7
と、ラマン分光光度計3で測定したラマン分光スペクト
ルの変化を検出するスペクトル解析部8と、温度検出器
7で検出された温度から試料の吸熱・発熱量を算出し、
かつ、スペクトル解析部8で検出された分光スペクトル
の変化に応じて温度制御信号を温度調節器6に発する演
算制御部5と、を備えることを特徴とする熱分析制御型
ラマン分光測定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28906197A JPH11108868A (ja) | 1997-10-06 | 1997-10-06 | 熱分析制御型ラマン分光測定方法および装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28906197A JPH11108868A (ja) | 1997-10-06 | 1997-10-06 | 熱分析制御型ラマン分光測定方法および装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11108868A true JPH11108868A (ja) | 1999-04-23 |
Family
ID=17738324
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28906197A Pending JPH11108868A (ja) | 1997-10-06 | 1997-10-06 | 熱分析制御型ラマン分光測定方法および装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11108868A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006113021A (ja) * | 2004-10-18 | 2006-04-27 | Univ Waseda | ラマン分光装置、及び分光装置 |
JP2006200987A (ja) * | 2005-01-19 | 2006-08-03 | Nikon Corp | 解析装置、顕微鏡、および、解析プログラム |
US20150168367A1 (en) * | 2013-12-18 | 2015-06-18 | Thermo Scientific Portable Analytical Instruments Inc. | Sample analysis |
CN106525809A (zh) * | 2016-09-30 | 2017-03-22 | 中国人民解放军第二军医大学 | 一种鉴定止咳平喘类中药中是否添加茶碱咖啡因可可碱中的一种或多种化学药品的方法 |
-
1997
- 1997-10-06 JP JP28906197A patent/JPH11108868A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006113021A (ja) * | 2004-10-18 | 2006-04-27 | Univ Waseda | ラマン分光装置、及び分光装置 |
JP4565119B2 (ja) * | 2004-10-18 | 2010-10-20 | 学校法人早稲田大学 | ラマン分光装置 |
JP2006200987A (ja) * | 2005-01-19 | 2006-08-03 | Nikon Corp | 解析装置、顕微鏡、および、解析プログラム |
US20150168367A1 (en) * | 2013-12-18 | 2015-06-18 | Thermo Scientific Portable Analytical Instruments Inc. | Sample analysis |
US9400271B2 (en) * | 2013-12-18 | 2016-07-26 | Thermo Scientific Portable Analytical Instruments Inc. | Method and apparatus for temperature control during sample analysis |
CN106525809A (zh) * | 2016-09-30 | 2017-03-22 | 中国人民解放军第二军医大学 | 一种鉴定止咳平喘类中药中是否添加茶碱咖啡因可可碱中的一种或多种化学药品的方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP0176625B1 (en) | Method of laser emission spectroscopical analysis of steel and apparatus therefor | |
US4505586A (en) | Laser Raman spectrophotometry system and adjustment thereof | |
JPH0682098B2 (ja) | 応力評価装置 | |
US20240302284A1 (en) | Raman spectroscopy based measurement system | |
WO1994025861A1 (en) | Raman analysis apparatus and methods | |
JPH11108868A (ja) | 熱分析制御型ラマン分光測定方法および装置 | |
JPS62112322A (ja) | レ−ザアニ−ル装置 | |
JP2006300808A (ja) | ラマン分光測定装置 | |
JPH08327550A (ja) | ラマン分光測定装置 | |
JP4146697B2 (ja) | 温度計測方法および温度計測装置 | |
JP4679591B2 (ja) | 歪み測定装置 | |
JP4156534B2 (ja) | 薄膜結晶層の歪み測定方法および測定装置 | |
JPH10267845A (ja) | 試料表面のその場分析装置ならびに鋼板の酸化皮膜の形態制御装置 | |
JP2000055809A (ja) | 顕微ラマン分光装置及び顕微ラマン分光測定方法 | |
JPH0875651A (ja) | レーザ発光分光分析方法 | |
JPH08219891A (ja) | 鋼板の表面性状測定方法及び鋼板温度測定方法 | |
JPH1082699A (ja) | 流体の2次元温度分布の測定方法及び装置 | |
WO2023084946A1 (ja) | ラマン散乱光測定システム、ラマン散乱光測定方法 | |
JP2011247906A (ja) | 薄膜半導体結晶層の歪み測定方法および測定装置 | |
JPH09145619A (ja) | 散乱光等の分光測定方法及び装置 | |
JPH0623697B2 (ja) | 熱分析・顕微分光方法及びその装置 | |
JPS58219440A (ja) | レ−ザ発光分光分析方法 | |
JPH07225186A (ja) | 蛍光/ラマン分光光度計 | |
JP2996020B2 (ja) | 赤外線mtf測定装置 | |
JP3322539B2 (ja) | レーザー波長設定装置 |