JPH11104705A - 熱間圧延方法 - Google Patents

熱間圧延方法

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JPH11104705A
JPH11104705A JP9269798A JP26979897A JPH11104705A JP H11104705 A JPH11104705 A JP H11104705A JP 9269798 A JP9269798 A JP 9269798A JP 26979897 A JP26979897 A JP 26979897A JP H11104705 A JPH11104705 A JP H11104705A
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JP
Japan
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rolling
roll
work
work roll
work rolls
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JP9269798A
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Inventor
Satoshi Murata
早登史 村田
Fumio Fujita
文夫 藤田
Masaaki Yamamoto
雅明 山本
Matsuo Yoshimoto
松男 吉本
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】通板不安定によるワークロール組替え頻度を大
きく減少させて圧延の安定性を飛躍的に高める熱間圧延
方法を提供する。 【解決手段】材料の噛み込み、圧延、尻抜けを繰り返す
バッチ圧延機を用いて、圧延材を熱間圧延する方法にお
いて、前圧延材の尻抜けから次圧延材の噛み込みまでの
間で上下ワークロールが接触する際に、少なくとも圧延
材の尻抜け時に、ワークロール表面に潤滑剤を塗布する
ワークロール潤滑工程を備えたことを特徴とする、熱間
圧延方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は薄板熱間仕上圧延で
特に問題となる通板・尻抜け時の圧延安定性を飛躍的に
高める熱間圧延方法に関する。
【0002】
【従来の技術】複数のスタンドが連続して圧延する薄板
熱間仕上圧延の残された問題点の一つとして通板不安定
がある。これは圧延を開始して材料が圧延機のロールバ
イトに噛み込む時、および圧延を終了して材料が圧延機
のロールバイト内に抜けていく時に材料が幅方向に曲が
って折れ曲がり、噛み込まなくなって圧延を停止せざる
を得なくなったり、板が破断してロールに傷を付けたり
する現象である。これを予防するのに、圧延機の運転者
は前の材料が圧延された時の材料の走行の仕方(曲がり
方)を観察してレベリング(ロールギャップの板幅方向
分布)を調整していた。
【0003】近年、圧延機の作業側、駆動側で検出され
る圧延荷重の差と、板の幅方向への偏りとの間に関連が
ある事に注目して、圧延荷重の差に応じてレベリングを
操作し通板不安定を回避する技術が開発されている(特
開昭61−219411号公報)。また、材料のスタン
ド間での幅方向への偏り量を計測してレベリングを操作
する制御方法も提案されている(特開昭61−1430
16号公報)。
【0004】しかし通板不安定が発生する圧延機のスタ
ンド間は5〜6mであり、一方圧延速度は最高で毎分1
500m程度の高速である。そのためスタンド間を通過
する時間は約0.2秒という非常に短時間であり、上記
の技術によっても効果を上げることは難しい。さらに特
開昭61−219411号公報に関して言えば、圧延荷
重の差を発生させる要因は材料の幅方向への偏りだけで
なく板厚や材料変形抵抗の幅方向分布の偏り、圧延機の
弾性変形特性の作業側、駆動側での差異なども考えら
れ、これらの原因を適切に分類する必要があることが制
御を困難にしていた。また、ワークロール軸受け箱と圧
延機ハウジングメタルの間のクリアランスを一定値以下
に管理するように、ロール軸受け箱の変位を計測して変
位が設定値を超えた時にライナーメタルを交換する特許
が提案されている(特開平4−210808号公報)。
一方、通板性への潤滑の影響についても従来から検討さ
れている。たとえば圧延材噛み込み時のスリップ防止の
ため、前圧延材尻抜け前に潤滑を停止し、圧延材噛み込
み後に潤滑を開始するon−off制御は一般的に知ら
れている。しかし、この制御ではバー間(前の材料の圧
延後〜次の材料の圧延を開始するまでに圧延機が空転し
ている間)でロール表面の油分をほとんど無い状態とし
ており、後述する通板阻害要因に対しては悪影響を及ぼ
す。
【0005】また圧延ロールの摩擦係数を常時検出し、
ロール表面への潤滑油付着量を調整する方法が提案され
ている(特開昭57−199501号公報)。さらに、
上下のワークロールを交差させる圧延機に関して、低温
で潤滑効果を有するが高温では潤滑効果を有しない鉱物
油を用いてバー間のワークロール潤滑と材料噛み込み時
の通板安定性を両立させる方法も提案されている(特開
昭59−169608号公報)。加えて、噛み込み時に
被圧延材板端部領域、あるいはワークロール端部にのみ
潤滑を施す圧延方法も提案されている(特開平3−52
704号公報、特開平3−77701号公報、特開平5
−277521号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
4−210808号公報のワークロール軸受け箱と圧延
機ハウジングメタルの間のクリアランスを一定値以下に
管理する技術によれば軸受け箱の変位を拘束すれば圧延
の安定化が得られるが、板厚制御のためのロールギャッ
プ変更やロール組替え時のスムースさなどからある程度
のクリアランスは必要であり、さらにどのような状況で
ロール軸受け箱が移動するかが明確でなく、無駄な設備
管理工事が多くなる可能性がある。またロール軸受け箱
とワークロールの間に存在するクリアランスは全く拘束
していない状態であるための圧延ロールの位置を完全に
安定化させているわけではない。
【0007】一方、特開昭57−199501号公報の
潤滑油付着量を調整する方法を実現するには圧延ロール
の摩擦係数を常に検出する装置を設置する必要があり高
価である。また、特開昭59−169608号公報の方
法を用いる際には、潤滑本来の目的である圧延時の摩擦
係数低減のために新たな潤滑油およびその配管系統を持
たざるを得ず、圧延機の機構が複雑になる。さらに、特
開平3−52704号公報、特開平3−77701号公
報、及び特開平5−277521号公報の圧延方法には
ロール端部あるいは板端部のみを潤滑する特別な配管系
統を有する必要があり配管が複雑になる。特に圧延材の
板幅変化に対応するためには複雑な配管系統が必要にな
る場合がある。
【0008】本発明の目的は、上記の問題点に鑑み、通
板不安定によるワークロール組替え頻度を大きく減少さ
せて圧延の安定性を飛躍的に高める熱間圧延方法を提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決し、目的
を達成するために本発明は以下に示す手段を用いてい
る。 (1)本発明の方法は、材料の噛み込み、圧延、尻抜け
を繰り返すバッチ圧延機を用いて、圧延材を熱間圧延す
る方法において、前圧延材の尻抜けから次圧延材の噛み
込みまでの間で上下ワークロールが接触する際に、少な
くとも圧延材の尻抜け時に、ワークロール表面に潤滑剤
を塗布するワークロール潤滑工程を備えたことを特徴と
する、熱間圧延方法である。 (2)本発明の方法は、前記ワークロール潤滑工程にお
いて、材料噛み込み前のロール回転速度におけるワーク
ロール潤滑点からワークロール同士の接触点までのロー
ル回転時間をt秒としたときに、少なくとも材料噛み込
み前t秒から材料噛み込みまでの間はワークロール潤滑
を停止することを特徴とする、上記(1)に記載の熱間
圧延方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明者らは、通板不安定による
ワークロール組替え頻度を大きく減少させて圧延の安定
性を飛躍的に高める熱間圧延方法を得るために鋭意研究
を重ねた結果、以下の知見を得るに至った。本発明者ら
が実圧延機にて調査した結果、および特開平4−210
808号公報から、ワークロールが安定した位置にあっ
て、圧延前後または圧延中に軸方向、圧延方向に動かな
ければ上記のような通板不安定は飛躍的に改善されるこ
とが分かった。
【0011】図3に示すように装置上、ワークロール1
はオフセットといわれる、控えロール2に対して圧延方
向に相対的にずらせた配置(XO)を取るように設定さ
れている。このオフセット量(XO)は軸受けの強度に
もよるが通常5mm以上の量である。オフセットを与え
ることでワークロール1と控えロール2との接触力に水
平成分が発生し、ワークロール1はオフセットを与えら
れた方向に押し付けられ安定すると考えられている。し
かしながら本発明者らが実圧延を調査した結果、特に材
料が圧延機に噛み込む時、尻抜けする時にワークロール
が圧延方向に動く場合があることが観測された。図4は
ワークロールが控えロールに対して圧延方向出側にオフ
セットしており、上側のワークロール径が下側より0.
3mm大きいときのワークロール軸受け箱の圧延方向移
動状況を測定した結果であり、ワークロールの移動に伴
って軸受け箱も圧延方向に移動していると考えられる。
【0012】通常の力の関係では考えられない挙動であ
るため、従来はその原因が明らかにされなかったが、本
発明者らが詳細に実圧延を観察した結果、この現象が以
下のような原因によることを明らかにした。
【0013】すなわち、実圧延で上下ワークロールの回
転数が同じでありワークロール径がわずかに異なる場合
には、上下ワークロールの速度は微妙に異なる。材料が
圧延機から抜けた後に上下ワークロールが接触すること
によって、上下ワークロールの速度の微妙な差に応じ
た、それぞれ逆方向のトルク(以下循環トルクと呼ぶ)
が発生し、上下いずれかのワークロールが圧延中に押し
付けられていた方向と逆方向に移動するという現象であ
る。
【0014】この現象は、圧延機が弾性体であり、圧延
中の大きな圧延荷重によってロールギャップが広がり、
圧延が終了した途端にこの弾性変形が元に戻ってロール
ギャップが小さくなることによって発生するものであ
り、圧延材の仕上板厚が薄い、あるいは圧延荷重が高い
ためにロールギャップ設定値が小さい時に発生しやす
い。 さらに上下ワークロール接触によって発生する循
環トルクから計算した水平力は図5、図6に示すように
上下ワークロールの径差と圧延機の設定ギャップ値、ま
たは上下ワークロールの径差と上下ワークロール接触荷
重で整理できることがわかった。控えロールとのオフセ
ットによって生じる押し付け力は、通常接触荷重の1%
程度である。図7に示すように、循環トルクによるワー
クロールの押し付け力(上下ワークロール接触時の水平
力)はオフセットによる押し付け力(上下ワークロール
接触時の荷重の1%程度)の数倍になることが確認され
ており、オフセットによる押し付け力と逆向きに働けば
ワークロールおよび軸受け箱は容易に移動してしまう。
【0015】図8にワークロールが控えロールに対して
圧延方向出側にオフセットしておりかつ上ワークロール
が大きい時の、(a)バー間(圧延材尻抜け後かつ次材
圧延前)、および(b)圧延時の、ワークロールに働く
圧延方向水平力およびワークロール移動方向を示す。図
8(b)に示すように、材料3を噛み込んで圧延を開始
するとロールギャップが開き、上下ワークロール1が離
れるため循環トルクがなくなるので、オフセットと逆向
きに移動したワークロール1及び軸受け箱はオフセット
により生じる押し付け力の方向に移動する。
【0016】一方、熱間仕上圧延機内では材料の先後端
は矩形を保たず、舌状、魚の尾状の形状となることが知
られている。又前述のように圧延材はさまざまな幅方向
の非対称を持っているため圧延機にかみ込みあるいは尻
抜けする時には幅方向同時に圧延が開始されない。この
ためかみ込み時には上下ワークロール同士が接触してい
る状態からの非接触がロール胴長方向で同時に起こると
は限らず、作業側、駆動側のどちらかだけが先にオフセ
ット方向に動かされる場合がある。
【0017】同様に尻抜け時には、上下ワークロール同
士の接触が同じに始まらず作業側、駆動側のどちらかだ
けが先にオフセットと逆方向に動かされる。またワーク
ロールからハウジングまでのクリアランス(たとえばワ
ークロールからワークロールチョック、ワークロールチ
ョックからチョック支持部=ハウジングまでのクリアラ
ンス)は、作業側と駆動側および上側と下側で等しくな
いのが一般的である。したがってワークロールの圧延方
向位置が変化することによって上下、左右(駆動、作業
側)の圧延方向ロール位置が変化することになる。
【0018】たとえばワークロールが控えロールに対し
圧延方向出側にオフセットしている場合を考える。上下
ワークロールは定常圧延中、圧延方向出側に押し付けら
れている。しかしロールギャップの設定が小さい場合、
圧延をしていない時には圧延荷重がないため上下のワー
クロールが接触して、大径側のワークロールが圧延方向
入側に押し付けられるように移動する。ワークロールが
圧延方向入側に移動すると、控えロールとのオフセット
により、ワークロールが控えロールに乗り上げる形とな
るためロールギャップも変化する。本発明者らはこれを
防止する方法を検討し、さらに詳細な調査を行った。
【0019】図9に、バー間の上下ワークロール接触に
よって生じた循環トルクに対するワークロールチョック
の移動量を示す。循環トルクが小さい時、あるいは循環
トルクが発生しない(バー間でワークロール同士が接触
していない)ときはワークロール位置は安定しており軸
受け箱位置も安定している。しかし循環トルクが大きく
なるとワークロールが大きく圧延方向入側に移動し、そ
れとともに軸受け箱も大きく移動している。基本的に上
記のようなメカニズムでワークロールの移動が発生する
ならば、上下ワークロールが接触した際に、循環トルク
を抑制すればバー間のワークロールの圧延方向移動が防
止でき、上下ワークロールとも常にワークロールのオフ
セット方向に押し付けた状態で安定させることができる
と考えた。
【0020】図10は本発明者らが実験圧延機を用いて
調査した結果である。上下のワークロールトルクを測定
できる実験圧延機で、上下のロール速度を微少に変化さ
せた状態でワークロール同士を接触させた(図10のA
部)。次にO.1秒以下のごくわずかの時間、潤滑油をワ
ークロールに塗布した(B部)ところ、上下のワークロ
ール間に働くトルクは空転に要するトルクのみとなり、
循環トルクは解消されることがわかった。つまり空転状
態ではごく少量の潤滑油をワークロールに塗布するだけ
で循環トルクを解消(あるいは減少)できる。なお、潤
滑油をいろいろと変えて試験した結果、鉱油系、合成エ
ステル系、鉱油・合成エステルの混合油および潤滑油中
に固体潤滑剤を混合したもの、いずれでもほぼ同様な効
果が得られた。
【0021】圧延中に塗布した潤滑油は、材料との接触
により蒸発あるいは材料に付着して拭い去られてしま
い、圧延終了後の循環トルク減少には役立たない。した
がって循環トルクを抑制するためには圧延終了時にも潤
滑油を塗布している必要がある。 一方、従来発明で考
えられていたように、材料噛み込み時にロールに潤滑油
が付着しているとスリップと呼ばれる噛み込み時の通板
トラブルが発生するといわれている。しかし本発明者ら
の調査の結果、スリップと呼ばれるトラブルは、(1)
摩擦係数が低く、かつ圧下量が大きいために噛み込み不
良が発生する、(2)噛み込み時にロールに付着した潤
滑油膜が不均一なため材料の進行速度が幅方向均等にな
らず蛇行が発生する、という2つに分類できることがわ
かった。しかし本発明で対象としている、上下ワークロ
ールが接触するような圧延条件は熱間仕上げ圧延後段に
相当し、圧下量はそれほど大きくないため(1)のよう
な噛み込み不良はほとんど発生しない。
【0022】また図11のA部に示すように潤滑油を塗
布したままの状態では、潤滑油の付着が不均一なため、
材料を噛み込むと幅方向で摩擦係数が分布するため材料
が幅方向均等に噛み込まれず蛇行する可能性がある。し
かし接触する2ロール1間を通った後は図11のB部の
ように潤滑油はほぼ均一な薄い膜状となって幅方向の摩
擦係数分布は小さくなる。特に上下ワークロール1が接
触しているときには上下ワークロール1間、およびワー
クロール1と控えロール2間の2個所で潤滑油が均さ
れ、薄く均一な膜となるため蛇行はほとんど発生しない
ことがわかった。
【0023】噛み込み時に、ロールに付着する潤滑油膜
を図11のB部のような状態とするためには、材料噛み
込み前のロール回転速度における潤滑点からワークロー
ル同士の接触点までのロール回転時間をt秒としたとき
に、材料噛み込み前t秒から材料噛み込みまでの間はワ
ークロール潤滑を停止すればよい。以上の知見に基づ
き、本発明者らは、前圧延材の尻抜けから次圧延材の噛
み込みまでの間(バー間)で上下ワークロールが接触す
る際に、少なくとも材料の尻抜け時にワークロール潤滑
を行うようにして、バー間での循環トルクを減少させワ
ークロールの移動を防止してロールギャップを一定に保
ち、また、少なくとも材料噛み込み前の潤滑点から材料
噛み込み前のロール回転速度における潤滑点からワーク
ロール同士の接触点までのロール回転時間をt秒とした
ときに、材料噛み込み前t秒から材料噛み込みまでの間
はワークロール潤滑を停止するようにして、材料噛み込
み時にロールに付着する潤滑油膜を均一化し、材料の蛇
行発生を防止して、通板・尻抜け時の圧延安定性を飛躍
的に高める熱間圧延方法を見出し、本発明を完成させ
た。以下に本発明の実施形態について説明する。図1は
本発明における潤滑油を塗布する時間的関係の説明図で
ある。(a)は被圧延材3のワークロール1への噛み込
みおよび尻抜けの動作を示し、(b)は被圧延材3のワ
ークロール1への噛み込み及び尻抜け動作時の位置検出
を示し、(c)は圧延時の潤滑剤のスプレー時間を示
す。図2に本発明で用いられる装置の一例を示す。被圧
延材3は圧延機10に送り込まれ、ワークロール1によ
り圧延される。材料噛み込み前のロール回転速度におけ
る潤滑点(すなわち、ワークロール1表面に潤滑剤を塗
布した時点)からワークロール1同士の接触点までのロ
ール回転時間をt秒としたときに、被圧延材3は圧延機
10に送り込まれる前に被圧延材検出器4により位置を
検出され図1(b)に示した信号により、被圧延材3が
ワークロール1に噛み込まれるt秒前に潤滑油スプレー
コントローラ5の指示により潤滑油のスプレーが停止さ
れ、材料が噛み込んだ後に、潤滑油スプレーコントロー
ラ5の指示により潤滑油タンク7内の潤滑油が潤滑油ポ
ンプ6で潤滑ノズル8に送られてワークロール1表面に
スプレーされる。本発明では、図1(a)に示すように
前圧延材の尻抜けから次圧延材の噛み込みまでの間(バ
ー間)でワークロールが接触する際に、少なくとも圧延
材の尻抜け時に、ワークロール表面に潤滑剤を塗布する
(図1(c)の潤滑油スプレーonの状態)ワークロー
ル潤滑工程を備える。少なくとも材料の尻抜け時にワー
クロール潤滑を行う理由は、前述したように、バー間で
の循環トルクを減少させワークロールの移動を防止して
ロールギャップを一定に保つためである。また、図1、
2で説明したように、本発明では、前記ワークロール潤
滑工程において、材料噛み込み前のロール回転速度にお
けるワークロール潤滑点からワークロール同士の接触点
までのロール回転時間をt秒としたときに、少なくとも
材料噛み込み前t秒から材料噛み込みまでの間はワーク
ロール潤滑を停止する。
【0024】少なくとも材料噛み込み前t秒から材料噛
み込みまでの間はワークロール潤滑を停止する理由は、
前述したように、材料噛み込み時にロールに付着した潤
滑油膜を均一化して、材料の蛇行発生を防止するためで
ある。
【0025】なお、ここで使用される潤滑剤は循環トル
クを減少する作用を持てばよく、その種類は鉱油系、合
成エステル系、鉱油・合成エステルの混合油および潤滑
油中に固体潤滑剤を混合したものなど特に制限はない。
以下に、本発明の実施例を挙げ、本発明の効果を立証す
る。
【0026】
【実施例】上下ワークロール回転数が同じとなる駆動系
を持ち、かつ作業側、駆動側の圧下位置が個別に調整可
能な圧延機にて、図2に示すような装置を構成した。具
体的には上下ワークロール1の径差を最大1mmまで変
化させ、潤滑油として合成エステル系の油を用い、圧延
前の空転時に上下ワークロール1が接触するような板厚
の薄い、あるいは変形抵抗の高い材料の圧延を行う1本
前の圧延材3の尻抜け時には潤滑油をスプレーし、次材
の圧延開始5秒前に潤滑油スプレーを停止し、噛み込み
直後から再び潤滑油スプレーを開始した。その結果通板
不安定によるワークロール1組替え頻度は従来の50%
以下に減少し、圧延の安定性を飛躍的に高めることがで
きた。
【0027】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、材料の噛
み込み、圧延、尻抜けを繰り返すバッチ圧延を行う圧延
機であり、ワークロール潤滑装置を有する圧延機におい
て、少なくともバー間(前圧延の尻抜けから次圧延の圧
延開始までの間)で上下ワークロールが接触する際に
は、材料の尻抜け時にワークロール潤滑を行うことによ
って、バー間での循環トルクを減少させワークロールの
移動を防止してロールギャップを一定に保ち、また材料
の噛み込み前のロール回転速度における潤滑点からワー
クロール同士の接触点までのロール回転時間をt秒とし
たときに、少なくとも材料噛み込み前t秒から材料噛み
込みまでの間はワークロール潤滑を停止することによっ
て材料噛み込み時の材料の蛇行を防止したため通板不安
定によるワークロール組替え頻度を大きく減少させて圧
延の安定性を飛躍的に高めることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る被圧延材に潤滑油を
塗布する時間的関係を示す説明図。(a)は被圧延材の
ワークロールへの噛み込みおよび尻抜けの動作を示す
図。(b)は被圧延材のワークロールへの噛み込み及び
尻抜け動作時の位置検出を示す図。(c)は圧延時の潤
滑油のスプレー時間を示す図。
【図2】本発明の実施の形態に係る圧延装置の構成図。
【図3】オフセットの説明図。
【図4】圧延中のワークロールチョック圧延方向移動状
況の一例を示す図。
【図5】上下ワークロール接触時の水平力と設定ギャッ
プ値の関係を示す図。
【図6】上下ワークロール接触時の水平力と荷重の関係
を示す図。
【図7】上下ワークロール接触時の水平力と荷重の関係
の一例を示す図。
【図8】ワークロールに働く圧延方向水平力及びワーク
ロール移動方向の説明図(上ワークロール大の時)。
(a)は上下ワークロール接触時(バー間)の圧延方向
水平力及びワークロール移動方向の説明図。(b)は圧
延時の圧延方向水平力の説明図。
【図9】上下ワークロール接触時の循環トルクとロール
チョック移動量の関係を示す図。
【図10】実験圧延機による上下ワークロールに働くト
ルクの時間変化を示す図。
【図11】上下ワークロールの潤滑油付着状態を示す模
式図。
【符号の説明】
1…ワークロール、2…控えロール、3…圧延前の被圧
延材、4…被圧延材検出器、5…潤滑油スプレーコント
ローラ、6…潤滑油ポンプ、7…潤滑油タンク、8…潤
滑油用ノズル、10…圧延機。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉本 松男 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 材料の噛み込み、圧延、尻抜けを繰り返
    すバッチ圧延機を用いて、圧延材を熱間圧延する方法に
    おいて、 前圧延材の尻抜けから次圧延材の噛み込みまでの間で上
    下ワークロールが接触する際に、少なくとも圧延材の尻
    抜け時に、ワークロール表面に潤滑剤を塗布するワーク
    ロール潤滑工程を備えたことを特徴とする、熱間圧延方
    法。
  2. 【請求項2】 前記ワークロール潤滑工程において、 材料噛み込み前のロール回転速度におけるワークロール
    潤滑点からワークロール同士の接触点までのロール回転
    時間をt秒としたときに、少なくとも材料噛み込み前t
    秒から材料噛み込みまでの間はワークロール潤滑を停止
    することを特徴とする、請求項1に記載の熱間圧延方
    法。
JP9269798A 1997-10-02 1997-10-02 熱間圧延方法 Pending JPH11104705A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010137252A (ja) * 2008-12-11 2010-06-24 Mitsubishi Alum Co Ltd 圧延材の製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010137252A (ja) * 2008-12-11 2010-06-24 Mitsubishi Alum Co Ltd 圧延材の製造方法

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