JPH11103894A - Dnaの特異的検出方法 - Google Patents

Dnaの特異的検出方法

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JPH11103894A
JPH11103894A JP27172897A JP27172897A JPH11103894A JP H11103894 A JPH11103894 A JP H11103894A JP 27172897 A JP27172897 A JP 27172897A JP 27172897 A JP27172897 A JP 27172897A JP H11103894 A JPH11103894 A JP H11103894A
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dna
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dna fragment
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Application number
JP27172897A
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English (en)
Inventor
Koichiro Matsuda
耕一郎 松田
Hiroshi Matsumoto
浩 松本
Toratetsu Kobayashi
寅▲てつ▼ 小林
Mitsunobu Shimazu
光伸 島津
Toshiharu Yamamori
俊治 山森
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Mitsubishi Kagaku Bio-Clinical Laboratories Inc
Original Assignee
Mitsubishi Kagaku Bio-Clinical Laboratories Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 目的遺伝子の重要な情報を簡便且つ特異的
に、さらには定量的に検出する方法を提供する。 【解決手段】 検出すべき標的塩基を有するDNA断片の
検出方法であって、前記DNA断片の標的塩基の5'側近傍
の塩基配列と相補的な配列を3'末端にもつ検出プライマ
ーを前記DNA断片と対合させ、前記標的塩基に対応し且
つ標識連鎖終止ヌクレオチドをDNAポリメラーゼにより
前記検出プライマーの3'末端側に取り込ませ、生成物を
前記DNA断片から遊離させることを繰り返すことにより
標識連鎖終止ヌクレオチドの取り込み反応を行い、次い
で取り込まれた標識物を、必要により定量的に、検出す
ることを含む検出方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリメラーゼチェー
ンリアクション(PCR)法等で調製されたDNA断片に含ま
れる重要な遺伝情報を簡便且つ特異的に、さらには定量
的に検出する方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】目的
遺伝子の塩基配列に含まれる重要な遺伝情報の取得は、
その塩基配列の一部を調べることで十分であることが多
い。従って、目的遺伝子の重要な遺伝情報を持っている
領域をPCR法により増幅し、増幅調製されたDNA断片にお
いて、その塩基配列の全てを調べなくとも、一部を調べ
ることで目的遺伝子が持っている情報を得ることができ
る。すなわち、この重要な情報の取得のためには塩基配
列の全てを決定しなくてもよいことが多く、既知の配列
に対し、ある特定の塩基が変化していることを検出する
ことで十分に有用であることが多い。
【0003】この特定の塩基の変化を調べる方法として
は、臨床DNA診断法(監修編集 古庄敏行 井村裕夫199
5年7月1日第1刷発行 金原出版)に記載があるように制
限酵素が特定の塩基配列を認識してDNAを切断する特性
を利用する方法、ミスマッチPCR法、アリル特異的なオ
リゴヌクレオチドを用いるPCRASO法などが知られてい
る。また特定塩基の変化のみならず、既知の配列と異な
ることにより、調べようとしているDNAを一本鎖にした
ときの高次構造が既知の配列とは変化することを利用す
るSSCP法や変性条件の違いを利用するDEEG TGGE法、ミ
スアニーリングを利用するヘテロデュプレックス法など
が知られている。しかしながら、これらの方法は、塩基
配列の変化形態により、検出するのに不適当である場合
がある。従って、塩基配列の変化形態により、様々な方
法を使い分ける必要があり、方法の同一化による検出の
簡便化が計りにくい。さらに、特定の塩基の変化を有す
るDNA鎖を固相に固定化し、当該塩基の直ぐ上流の領域
に結合するプライマーを用いて標識ヌクレオチドを取り
込ませ、取り込まれた標識物を検出する固相ミニシーク
エンス法(Genomics 8, 684-692 (1990); Genomics 12,
590-595 (1992))が知られている。しかしながら、こ
の方法では、DNA鎖がマイクロタイタープレートなどの
固相に固定化されているので、反応のコントロールが難
しいため、ミスアニーリングが起こりやすく、検出感度
及び精度に劣ることがある。
【0004】PCR法でサイクル数を制御してDNAを増幅し
た場合、PCR産物は鋳型となったDNAもしくはcDNAの量を
反映していると考えられており、このPCR産物を定量す
ることで、生体内に存在する微量な物質の量的な情報を
得ることができる。DNAを定量する方法としては、目的
遺伝子と相補的塩基配列をもつプローブを標識した後、
ハイブリダイゼーションを行いプローブとハイブリダイ
ゼーションしたDNA量を標識したプローブ量として測定
する方法、エチジウムブロマイド等の蛍光物質で染色
後、その取り込み蛍光量を測定する方法、核酸のもつ分
子吸光をUV分光光度計で測定する方法、予めPCR産物に
ジゴキシゲニン等の標識物を取り込ませ、その取り込み
量を測定する方法、などが知られている。これらの方法
は何れも、操作が煩雑であったり、検出感度や検出精度
が低かったり、測定に際して、特殊な設備を必要とした
り、種々の問題点を有している。
【0005】従って、目的遺伝子の重要な情報を担って
いる領域を簡便且つ特異的に、さらには定量的に検出す
る方法が望まれている。
【0006】
【課題を解決するための手段】目的遺伝子の重要な情報
を持っている塩基(標的塩基)を効率的に検出するため
の方法とDNA量の定量、特にPCR法により増幅されたDNA
の増幅度を検出するための定量法について鋭意研究を行
い、本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、検出すべき標的塩基
を有するDNA断片の検出方法であって、前記DNA断片の標
的塩基の5'側近傍の塩基配列と相補的な配列を3'末端に
もつ検出プライマーを前記DNA断片と対合させ、前記標
的塩基に相補的な塩基を有する標識連鎖終止ヌクレオチ
ドをDNAポリメラーゼにより前記検出プライマーの3'末
端側に取り込ませ、生成物を前記DNA断片から遊離させ
ることを繰り返すことにより標識連鎖終止ヌクレオチド
の取り込み反応を行い、次いで取り込まれた標識物を検
出することを含む検出方法(以下、本発明の方法ともい
う)を提供する。
【0008】上記の検出すべき標的塩基を有するDNA断
片は、好ましくは、塩基配列に一塩基以上差異のあるDN
A断片の混合物に含まれるものである。本発明の方法に
おいて、好ましくは、標識連鎖終止ヌクレオチドの取り
込み反応を行う前に検出すべき標的塩基を有するDNA断
片を含む溶液を熱不安定性を有するアルカリフォスファ
ターゼで前処理する。
【0009】検出プライマーの3'末端は、好ましくは、
検出するDNA断片の標的塩基から一塩基分5'上流であ
る。また、検出プライマーは、好ましくは、10から40塩
基のオリゴヌクレオチドである。
【0010】本発明の方法において、標識連鎖終止ヌク
レオチドの標識物は、ジゴキシゲニン又は蛍光物質であ
り、さらに、取り込み反応時に標識連鎖終止ヌクレオチ
ドとは異なる未標識の連鎖終止ヌクレオチドを存在させ
ることが好ましい。
【0011】DNAポリメラーゼは、好ましくは、耐熱性D
NAポリメラーゼである。検出すべき標的塩基を有するDN
A断片は、好ましくは、β3-アドレナリンレセプター、
ビタミンD3レセプター及びアンジオテンシノーゲンの
遺伝子多型を含む領域を有する。また、検出すべき標的
塩基を有するDNA断片は、好ましくは、薬剤耐性化にか
かわるDNAジャイレースA遺伝子である。さらに、検出
すべき標的塩基を有するDNA断片は、好ましくは、BCR-A
BLキメラ遺伝子由来転写産物である。
【0012】本発明においては、検出プライマーが、そ
の5'末端でビオチンにより標識されており、標識連鎖終
止ヌクレオチドの標識物がビオチン以外のものであり、
取り込まれた標識物の検出を、遊離した検出プライマー
をアビジンをコートした固相に結合させ、結合した検出
プライマー中の取り込み標識を定量的に検出することに
よって行うことが好ましい。
【0013】連鎖終止ヌクレオチドは、好ましくはダイ
デオキシヌクレオチドである。本発明の方法は、PCRに
より増幅調製することなどによって得られる一塩基以上
の塩基配列に差異のあるDNA断片の混合物に含まれてい
る、検出するDNA断片を、この差異の一塩基対を利用し
て本DNA混合物から目的DNA断片を検出することを可能に
するものである。特に、目的遺伝子の重要な情報を持っ
ている領域をPCR法により増幅しそのDNA断片の重要な情
報を担う標的塩基を調べる方法において本発明を利用す
ることにより、簡便且つ特異的に重要な情報をもってい
る塩基配列を検出でき、さらにPCR法により増幅した産
物の定量的検出も高精度で可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の方法を、以下に詳細に説
明する。検出すべき標的塩基を有するDNA断片(以下、
検出するDNA断片ともいう)は、目的遺伝子の重要な情
報を担う標的塩基を有する限り、特に制限はない。目的
遺伝子の重要な情報を得るためや、目的遺伝子を同定す
るためには、塩基配列の全てを決定しなくても既知の配
列に対し、ある特定の塩基が変化していることや、既知
の配列と一部が同一であることを検出することで十分で
ある。本明細書において、標的塩基とは、この特定の塩
基や同一性を示す塩基を意味する。
【0015】検出するDNA断片の例としては、リスクフ
ァクター解析等に用いられる遺伝子多型部位(例えば、
β3-アドレナリンレセプター、ビタミンD3レセプター
及びアンジオテンシノーゲンの遺伝子多型を含む領
域)、癌遺伝子、薬剤耐性化遺伝子(例えば、DNAジャ
イレースA遺伝子)および先天性疾患の責任遺伝子にお
けるホットスポット変異領域、特異的な細胞の存在を示
す遺伝子(例えば白血病細胞の特異的検出に用いられる
キメラ遺伝子BCR/ABL)などを有するものが挙げられ
る。
【0016】また、検出するDNA断片を定量的に検出す
る場合、PCR法等で増幅されたDNAの定量が簡便且つ精度
良く行うことができるので、本発明の方法の適用例とし
ては生体内の微量なmRNAを定量的逆転写-PCRにより増幅
して得られた増幅DNAの定量(例えば、サイトカインのm
RNA定量)や微少残存病変量の検出(例えば、白血病の
場合、キメラ遺伝子BCR/ABLの定量)などが挙げられ
る。
【0017】検出するDNA断片は、通常には、PCR産物で
ある。すなわち、細胞や組織から、常法によりゲノムDN
AやmRNAを取得し、PCR法や逆転写PCR法により増幅した
ものである。PCR法として複数組のプライマーを同一の
反応系に加えるマルチプレックスPCRを用いた場合、ゲ
ノムDNAやmRNAが複数の細胞に由来する場合、複数のゲ
ノムを有する生物のものである場合などには、PCR産物
は、塩基配列に1塩基以上差異のあるDNA断片の混合物
となることがあるが、本発明の方法は、このような混合
物に含まれる検出するDNA断片の検出にも適用できる。
さらに、混合物に複数の検出するDNA断片が存在する場
合にも適用できる。
【0018】PCR産物は、通常には、PCR反応後の反応液
として提供されるが、一般にこの反応液には未反応のデ
オキシヌクレオチド(dNTP)が含まれているので、標識連
鎖終止ヌクレオチドの取り込み反応の障害とならないよ
うに、当該取り込み反応の前に未反応のdNTPを除く必要
がある。未反応のdNTPを除く方法としては、アガロース
ゲル電気泳動、透析、酵素分解などが挙げられるが、検
出するDNA断片を含む溶液を熱不安定性を有するアルカ
リフォスファターゼで処理する方法が好ましい。熱不安
定性の酵素を使用することで、熱処理により容易に酵素
を失活させることができ、標識連鎖終止ヌクレオチドの
取り込み反応に影響しないようにすることができる。こ
のような熱不安定性の酵素としては、エビ由来アルカリ
フォスファターゼ(ベーリンガー マンハイム)が挙げ
られる。
【0019】検出プライマーは、検出するDNA断片の標
的塩基の5'側近傍の塩基配列と相補的な配列を3'末端に
もつオリゴヌクレオチドである。5'側近傍の塩基配列と
は、その塩基配列の3'末端と標的塩基との間に標的塩基
と同じ塩基が存在しない塩基配列をいう。検出プライマ
ーの3'末端は、好ましくは、標的塩基から1塩基分5'上
流、すなわち、標的塩基の5'側に隣接する塩基に相補的
である。検出プライマーの長さは、検出するDNA断片の
標的塩基の5'側近傍の塩基配列に特異的に結合する長さ
であれば、特に制限はないが、好ましくは10〜40塩
基、さらに好ましくは16〜30塩基である。また、こ
の特異的な結合が起こる限り、検出プライマーの塩基配
列と5'側近傍の塩基配列とは完全に相補的である必要は
ない。なお、検出プライマーは、検出プライマーを、検
出するDNA断片に対合させる条件下で検出プライマー間
で対合して2量体が形成されるような相補的な配列がな
いように設計する。
【0020】検出プライマーは、好ましくは、その5'末
端がビオチンで標識される。オリゴヌクレチドの5'末端
をビオチンで標識する方法は公知である。ビオチンで標
識しておくと、標識連鎖終止ヌクレオチドの取り込み反
応後に標識物を検出する際に、検出プライマーを容易に
アビジンをコートした固相に固定することができ、取り
込まれた標識物の検出が容易になる。また、あらかじめ
検出プライマーをストレプトアビジンをコートした磁性
ビーズなどに固相化し標識物の検出を容易にしてもよ
い。このビオチンとアビジンの組合せは、同様な作用を
する物質の組合せと置き換えてもよい。
【0021】標識連鎖終止ヌクレオチドは、標的塩基と
相補的な塩基を有する連鎖終止ヌクレオチドを、検出プ
ライマーの3'末端側への取り込みが妨げられないように
標識したものである。連鎖終止ヌクレオチドは、DNAポ
リメラーゼの天然基質であるヌクレオシド三リン酸のア
ナログであって、取り込まれるとそれ以上のDNA鎖の伸
長を妨げるヌクレオチドである。連鎖終止ヌクレオチド
の塩基は、標的塩基と相補的に結合し得且つDNA鎖に取
り込まれ得る限り、A、T、G及びC以外の塩基であっ
てもよく、また、修飾されたものであってもよい。ま
た、連鎖終止ヌクレオチドの糖部分は、DNA鎖に取り込
まれ得る限り、リボース骨格を有さなくてもよい。連鎖
終止ヌクレオチドは、好ましくは2',3'-ダイデオキシリ
ボースを含むダイデオキシヌクレオチドである。
【0022】連鎖終止ヌクレオチドの標識は、標識物を
直接あるいはリンカーを介して連鎖終止ヌクレオチドに
結合させることによって行うことができる。このような
結合方法は公知である。標識としては、抗体が特異的に
結合可能な物質(例えば、ジゴキシゲニン)や蛍光物質
が挙げられる。標識連鎖終止ヌクレオチドとして、具体
的には、ジゴキシゲニン-11-ダイデオキシヌクレオチ
ド、フルオレセイン-12-ダイデオキシヌクレオチドなど
が挙げられる。
【0023】標識連鎖終止ヌクレオチドの取り込み反応
は、検出プライマーを検出するDNA断片と対合させ(ア
ニーリング工程)、標識連鎖終止ヌクレオチドをDNAポ
リメラーゼにより検出プライマーの3'末端側に取り込ま
せ(伸長工程)、生成物をDNA断片から遊離させる(変
性工程)ことを繰り返すことにより行われる。
【0024】アニーリング工程は、検出プライマーを検
出DNA断片の標的塩基の5'側近傍の塩基配列に結合させ
る工程である。DNA断片がPCR産物のように2本鎖となっ
ている場合には、最初のアニーリング工程の前に、2本
鎖を1本鎖にするのに充分な変性条件(一般には後記の
変性工程と同様の条件)でDNA断片を1本鎖にする。ア
ニーリング工程の温度は、検出プライマーの塩基組成、
長さ、濃度に依存するが、通常には、プライマーのTm
より5℃程度低い温度に設定する。プライマーの濃度
は、通常、100〜800nMである。
【0025】伸長工程は、検出するDNA断片を鋳型と
し、検出プライマーをプライマーとしてDNAポリメラー
ゼにより伸長させ、標識連鎖終止ヌクレオチドを検出プ
ライマーの3'末端側に取り込ませる工程である。DNAポ
リメラーゼとしては、耐熱性のDNAポリメラーゼ(例え
ば、Taq DNAポリメラーゼ)を用いることが好ましい。
伸長工程の時間は、増幅したい部分の量及び温度による
が、1個または数個の塩基分だけ伸長すればよいので、
短時間(例えば、Taq DNAポリメラーゼの至適温度72℃
で約30秒間)で充分である。標的塩基が複数の種類から
なる場合には、標識連鎖終止ヌクレオチドを複数使用で
きる。また、標的塩基以外の塩基に相補的な塩基を有す
る未標識ダイデオキシヌクレオチドを反応液に加えても
よい。さらに、検出プライマーの3'末端が、標的塩基か
ら1塩基分5'上流でない場合には、検出プライマーが標
的塩基の直前まで伸長するのに必要なデオキシヌクレオ
チドも反応液に加える。上述のように、検出プライマー
は、その塩基配列の3'末端と標的塩基との間に標的塩基
と同じ塩基が存在しないように設定するので、このデオ
キシヌクレオチドは、標識連鎖終止ヌクレオチドと同じ
塩基を有するものは含まない。また、DNAポリメラーゼ
の活性に必要な物質(例えば、緩衝剤、Mg2+など、)
があれば、このような物質も存在させてよい。
【0026】変性工程は、生成物すなわち標識連鎖終止
ヌクレオチドが取り込まれた検出プライマーをDNA断片
から遊離させる工程である。変性が不十分であると、検
出感度に劣ることがある。この際、DNAポリメラーゼの
失活についても考慮する。TaqDNAポリメラーゼなどの耐
熱性のDNAポリメラーゼを用いれば殆どないことである
が、反応の途中でDNAポリメラーゼをさらに加えなくて
はならない場合もある。
【0027】これらの工程は、一つの反応液を用いて、
PCR法と同様にサーマルサイクラーにより行うことがで
きる。代表的な反応液の組成を挙げれば、以下の通りで
ある。 DNA断片 1.0×109〜1.0×1011分子 検出プライマー 500nM 標識連鎖終止ヌクレオチド 25μM(複数の場合は、各25μM) Taq DNAポリメラーゼ 0.3単位 Tris-HCl(pH 8.3) 10mM MgCl2 1.5mM KCl 50mM ゼラチン 0.01% (最終液量:20μl)
【0028】また、代表的な取り込み反応の温度サイク
ルを挙げれば、以下の通りであり、この温度サイクルを
通常1〜50回繰り返す。 (1) アニーリング、60℃、10〜60秒 (2) 伸長、72℃、10〜60秒 (3) 変性、94℃、10〜60秒
【0029】取り込み反応は、上記の工程のいずれの工
程で終了させてもよい。標識物の検出方法としては特に
制限はなく、未反応の標識連鎖終止ヌクレオチドを分離
した後、標識物の物理化学的性質を利用した検出、標識
物に特異的に結合する抗体を利用した検出など、標識物
に適合した公知の定性的及び定量的方法により行うこと
ができる。
【0030】未反応の標識連鎖終止ヌクレオチドと検出
プライマーとの分離は、公知の方法で行うことができ、
例えば、標識物が取り込まれた検出プライマーを固相に
固定化し、固相を洗浄することによって行うことができ
る。固定化の方法としては、上述のように検出プライマ
ーの5'末端にビオチンを結合させておき、アビジンをコ
ートした固相に固定化する方法が挙げられる。このビオ
チンとアビジンの組合せは、同様な作用をする物質の組
合せと置き換えてもよい。また、オリゴヌクレオチド
(検出プライマー)に特異的に結合する物質をコートし
た固相を用いてもよい。
【0031】標識物の物理化学的性質を利用した検出と
しては、例えば、標識物として蛍光物質を用い蛍光を測
定することによる検出を挙げることができる。標識物に
特異的に結合する抗体を利用した検出としては、アルカ
リフォスファターゼやペルオキシダーゼ等の酵素で標識
された抗標識物抗体を標識物に結合させ、発色基質など
を用いて酵素の活性を測定することによる検出を挙げる
ことができる。また、標識物に特異的に結合する抗体
と、この抗体に特異的に結合する標識2次抗体とを用い
る方法でもよい。さらに、競合測定法による検出であっ
てもよい。
【0032】複数の標識連鎖終止ヌクレオチドを用いた
場合、すなわち、複数の標識物を用いた場合には、それ
ぞれ異なる発色の得られる検出方法を用いると結果の誤
読を防ぐことができ有利である。例えば、各標識物に対
する抗体を、同じ酵素(例えば、ペルオキシダーゼ)で
標識し、それぞれ異なる発色基質(例えば、ABTSとOP
D)を用いることにより、同様な検出系で異なる呈色を
得ることができる。
【0033】好ましい本発明の方法の一例を挙げれば、
以下の通りである。 1) 重要な情報を担う塩基(標的塩基)が含まれるDNA断
片(検出するDNA断片)をPCR法等で調製し、 2) 標的塩基対の1塩基 5'上流が3'端になるように設計
した5'ビオチン標識オリゴヌクレオチド(検出プライマ
ー)を用意し、 3) 1)で調製したDNA断片を含む溶液を熱不安定性アルカ
リフォスファターゼで処理し、 4) 2)で用意した検出プライマーと3)で得られたDNA断片
とビオチン以外で標識されたダイデオキシヌクレオチド
と任意に標的塩基以外の塩基に相補的な塩基を有する未
標識ダイデオキシヌクレオチドを含む反応液を調製し、
耐熱性DNAポリメラーゼによる繰り返し反応により、ビ
オチン以外で標識されたダイデオキシヌクレオチドを検
出用プライマーに取り込ませ、 5) 4)の反応生成物をストレプトアビジンでコーティン
グされた物質により捕捉し、反応生成物以外の反応液組
成を洗浄により除き、 6) 検出プライマーに取り込まれた標識ダイデオキシヌ
クレオチドの標識物を検出する。
【0034】標識物の検出により、検出するDNA断片が
持つ重要な情報を得ることができ、さらにこの標識物量
を定量化することにより検出するDNA断片の定量ができ
る。本発明の検出方法における標識連鎖終止ヌクレオチ
ドの取り込み反応は、温度制御などによる反応のコント
ロールが容易であり、対合の際にミスアニーリングが起
こりにくい。このため、特異的にかつ高精度で検出を行
うことができる。さらに標識連鎖終止ヌクレオチドの検
出プライマーへの取り込みを繰り返し行うことができる
ので、高感度での検出が可能であり、微少残存病変の検
査のような、組織のごく一部の細胞に存在するDNA断片
の検出にも応用可能である。
【0035】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。以降
の実施例は例を示すためのものであり、本発明を限定す
るものではない。
【0036】
【実施例1】β3-アドレナリンレセプター遺伝子中に存
在する多型の検出 健常人12名より末梢血を採取しDNAエキストラクターWB
キット(和光純薬工業)を用い、添付の操作手順書に従っ
て染色体DNAを抽出した。
【0037】次に、抽出した染色体DNAを鋳型DNAとし
て、配列番号1と2に示した塩基配列のプライマーを用
いて以下に示す反応液組成、増幅反応条件のもとPCRを
行った。反応液組成は10mM Tris-HCl pH 8.3、1.5mM Mg
Cl2、50mM KCl、0.01%ゼラチン、0.2mM dNTPs(dATP、dC
TP、dGTP、dTTP)、200μM 各プライマー、100ngの染色
体DNA、0.75単位のTaq DNAポリメラーゼ(ベーリンガー
マンハイム )であり、最終液量25μlとした。増幅反応
条件は、変性(94℃ 30秒間)、アニーリング(55℃30秒
間)、伸長(72℃ 1分間)の順序で行い、これを35サイク
ル繰り返すというものであった。反応終了後、標識ダイ
デオキシヌクレオチド(ddXTP)取り込み反応の前処理を
目的に、検出すべき標的塩基を有するDNA断片を含む本
反応液に2単位のエビ由来アルカリフォスファターゼ(ベ
ーリンガー マンハイム)を加え37℃で30分間保温し、未
反応のdNTPsを分解した。さらに、80℃で15分間加温し
てアルカリフォスファターゼを失活させた。以下、この
処理物を検出するDNA断片とする。
【0038】本遺伝子多型の標的塩基はチミン(T)或い
はシトシン(C)であるので、標的塩基がチミンの場合は
ジゴキシゲニン-11-ddUTPが、塩基がシトシンの場合は
フルオレセイン-12-ddCTPがそれぞれ取り込まれ標識さ
れるように検出プライマーを設定し、標識ddXTP取り込
み反応を実施した。反応液組成は、10mM Tris-HCl pH
8.3、1.5mM MgCl2、50mM KCl、0.01%ゼラチン、25μM
ジゴキシゲニン-11-ddUTP、25μM フルオレセイン-12-d
dCTP、25μM ddGTP、500nM 検出プライマー(配列番号
7)、50ngの検出するDNA断片、0.3単位のTaq DNAポリ
メラーゼであり、最終液量20μlとした。反応条件は、
変性(94℃ 30秒間)、アニーリング(60℃ 30秒間)、取り
込み(72℃ 30秒間)の順序で行い、これを25サイクル繰
り返した。
【0039】次に、ビオチンとアビジンの結合性を利用
して、標識ddXTP取り込み反応後の生成物(5'末端がビオ
チン標識、3'末端がジゴキシゲニン標識またはフルオレ
セイン標識されている)を、ストレプトアビジンコート
した96ウェルホワイトマイクロタイタープレート(ラボ
システムズ)に捕捉する操作を行った。まず、標識ddXTP
取り込み反応終了液 20μlを180μlのPBS緩衝液(137mM
NaCl、2.7mM KCl、10mM Na2HPO4、1.8mM KH2PO4 pH7.
4)と混合した。次に、標的塩基Tと標的塩基Cの検出を行
うために、この混合物の半量を1つのウェルに入れ、残
る半量を隣のウェルに入れた。この操作により、1サン
プル(1つの標識ddXTP取り込み反応物)あたり2ウェル
となった。次に、マイクロプレートを振盪しながら37℃
で30分間保温し、生成物をプレートに捕捉させた。当該
時間経過後に本溶液を除去した後、300μlの緩衝液A (1
00mM Tris-HCl pH9.5、300mM NaCl)を各ウェルに注入し
未反応物を洗浄した。この洗浄操作を2回繰り返した。
洗浄後、捕捉した生成物をアルカリ変性させるため、30
0μlの50mM NaOHを各ウェルに注入し5分間静置した。こ
の操作を3回繰り返した。変性後、300μlの緩衝液Aを各
ウェルに注入しNaOHを洗浄した。この操作を2回繰り返
した。
【0040】次に今回標的塩基Tの検出用抗体となる抗
ジゴキシゲニン-ペルオキシダーゼ標識抗体(ベーリンガ
ー マンハイム)と標的塩基Cの検出用抗体となる抗フル
オレセイン-ペルオキシダーゼ標識抗体(ベーリンガー
マンハイム) をConjugate Buffer, universal(ベーリン
ガー マンハイム)でそれぞれの抗体が150mU/mlの濃度に
なるように希釈した。1サンプル当たり2ウェルとなった
ウェルの一方に、抗ジゴキシゲニン-ペルオキシダーゼ
標識抗体を100μl入れ、標的塩基Tの検出用ウェルと
し、他方に抗フルオレセイン-ペルオキシダーゼ標識抗
体を100μl入れ標的塩基Cの検出用ウェルとした。マイ
クロプレートを振盪しながら37℃で30分間保温し反応さ
せた。当該時間経過後に溶液を除去した後、300μlの緩
衝液Aを各ウェルに注入し未反応抗体を洗浄した。この
操作を3回繰り返した。
【0041】最後に発色基質を加えペルオキシダーゼの
活性で呈色反応を行った。標的塩基Tの検出ウェルには1
00μlのABTS溶液(住友ベークライト)を、また標的塩基C
の検出ウェルには100μlのOPD溶液(住友ベークライト)
を注入し、マイクロプレートを振盪しながら37℃で30分
間保温し反応させた。当該時間経過後に全てのウェルに
100μlの2N H2SO4を加え、反応を停止した。発色反応が
終了した各ウェルの結果は図1に示す。
【0042】本方法に基づき血縁関係のない12人につい
てDNAを検査した結果、β3-アドレナリンレセプターで
はT/Tのホモ接合が7人(58.3%)、T/Cのヘテロ接合が5人
(41.7%)、C/Cのホモ接合が0人(0%)であった。
【0043】
【実施例2】ビタミンD3レセプター遺伝子中に存在す
る多型の検出 ビタミンD3レセプター遺伝子中に存在する多型の検出
方法は、配列番号3と4に示した塩基配列のプライマーを
用いて検出するDNA断片を増幅調製し、配列番号8に示す
塩基配列の検出プライマーを利用することを除いて、実
施例1と同様の方法で行った。発色反応が終了した各ウ
ェルの結果は図2に示す。ビタミンD 3レセプターの多
型は、T/Tのホモ接合が7人(58.3%)、T/Cのヘテロ接合が
4人(33.3%)、C/Cのホモ接合が1人(8.3%)であった。
【0044】
【実施例3】アンジオテンシノーゲン遺伝子中に存在す
る多型の検出 アンジオテンシノーゲン遺伝子中に存在する多型の検出
方法は、配列番号5と6に示した塩基配列のプライマーを
用いて検出するDNA断片を増幅調製し、配列番号9に示す
塩基配列の検出プライマーを利用することを除いて、実
施例1と同様の方法で行った。発色反応が終了した各ウ
ェルの結果は図3に示す。アンジオテンシノーゲンの多
型は、T/Tのホモ接合が0人(0%)、T/Cのヘテロ接合が7人
(58.3%)、C/Cのホモ接合が5人(41.7%)であった。
【0045】
【実施例4】薬剤耐性化遺伝子のDNAジャイレースA(DNA
Gyrase A)遺伝子のコドン91番に対応する塩基の検出 ニューキノロンに対し耐性化を示す機構の一つとして、
DNA Gyrase A遺伝子のコドン91番におけるSerからPheへ
の変異が知られている。この変異は、コドン91番に対応
する塩基配列TCC(Ser)からTTC(Phe)への一塩基置換であ
り、いわゆるホットスポット領域の変異である。
【0046】ニューキノロンに対し耐性を示すNeisseri
a gonorrhoeae 3株と感受性を示す同3株をGC Agar(BBL)
にAmerican systemに準じたサプリメントを加え作製し
た寒天培地で平板培養した。生育後、寒天平板培地より
集菌し常法[マニアティス(T.Maniatis)ら、モレキュラ
ー クローニング(Molecular Cloning)、9.24, (1989)、
コールド スプリング ハーバー ラボラトリー(Cold Spr
ing Harbor Laboratory)]に従い、ゲノムDNAを調製し
た。
【0047】これらのゲノムDNAを鋳型として配列番号1
0、11に示す塩基配列のプライマーを用いてPCR反応を行
った。反応液組成は、10mM Tris-HCl pH 8.3、1.5mM Mg
Cl2、50mM KCl、0.01%ゼラチン、0.2mM dNTPs (dATP、d
CTP、dGTP、dTTP)、200μM各プライマー(配列番号10、
11)、100ngの鋳型DNA、0.75単位のTaq DNAポリメラー
ゼ(ベーリンガー マンハイム)であり、最終液量25μlと
した。増幅反応は、変性(94℃ 30秒間)、アニーリング
(55℃ 30秒間)、伸長(72℃ 1分間)の順序で行い、これ
を35サイクル繰り返した。反応終了後、取り込み反応の
前処理を目的に、検出すべき標的塩基を有するDNA断片
を含む本反応液に2単位のエビ由来アルカリフォスファ
ターゼ(ベーリンガー マンハイム) を加え37℃で30分間
保温し、未反応のdNTPsを分解した。さらに、80℃で15
分間保温してアルカリフォスファターゼを失活させた。
以下、この処理物を検出するDNA断片とする。
【0048】次に、DNA Gyrase A遺伝子のコドン91番近
傍に設計した、配列番号12に示す塩基配列の検出プライ
マーを利用し、標識ddXTP取り込み反応を実施した。反
応液組成は、10mM Tris-HCl pH 8.3、1.5mM MgCl、50mM
KCl、0.01%ゼラチン、25μMジゴキシゲニン-11-ddUT
P、25μM フルオレセイン-12-ddCTP、 500nM 検出プラ
イマー(配列番号12)、50ngの検出するDNA、0.3単位の
Taq DNAポリメラーゼ(ベーリンガー マンハイム )であ
り、最終液量20μlとした。反応条件は、変性(94℃ 30
秒間)、アニーリング(60℃ 30秒間)、取り込み(72℃ 30
秒間)の順序で行い、これを25サイクル繰り返した。
【0049】以降の操作は、実施例1と同様の方法で行
った。発色反応が終了した各ウェルの結果は図4に示
す。ニューキノロン耐性株3株は何れも標的塩基がチミ
ン(T)であり、3株の感受性株は何れも標的塩基がシトシ
ン(C)であることが判明した。さらに、これら6株から得
た検出DNAの全塩基配列を決定したところ標的塩基は耐
性株が何れもTであり、感受性株は何れもがCであった。
さらに、他の塩基配列は、全て既知の塩基配列と同じで
あった。すなわち、耐性株と感受性株の間には標的塩基
がTとCの違いのみ存在し、他には差異はなかった。この
ことにより、標的塩基を含むコドン91番の変化すなわち
TCC(Ser)からTTC(Phe)の変異が、ニューキノロン耐性能
獲得に重要であることと共に、本検出法の有効性が示さ
れた。
【0050】
【実施例5】薬剤耐性株と感受性株の混合系における特
異的検出 実施例4で得たニューキノロン耐性株由来DNAと感受性
株由来DNAの濃度を測定後、感受性株由来DNAと耐性株由
来DNAの混合比を表1に示すようにして混合物を調製
し、実施例4に示したようにPCR法により増幅産物を
得、熱不安定性アルカリフォスファターゼで前処理を行
い、検出するDNA断片を調製した。さらに、標識ddXTPの
取り込み反応を行い、反応生成物をストレプトアビジン
コートのマイクロタイタープレートに捕捉した。
【0051】
【表1】 (単位 %)
【0052】発光基質を用いて標識物を定量するため
に、標的塩基Tの検出抗体となる抗ジゴキシゲニン-アル
カリフォスファターゼ標識抗体(ベーリンガー マンハイ
ム)と標的塩基Cの検出抗体となる抗フルオレセイン-ア
ルカリフォスファターゼ 標識抗体(ベーリンガー マン
ハイム)をConjugate Buffer universal(ベーリンガーマ
ンハイム)で150mU/mlの濃度に希釈した。これを100μl
とり各ウェルに注入後、マイクロプレートを振盪しなが
ら37℃で30分間保温し反応させた。当該時間経過後に溶
液を除去した後、300μlの緩衝液Aを各ウェルに注入し
未反応抗体を洗浄した。この操作を3回繰り返した。
【0053】最後に発光基質である100μlの1mg/ml 4-
メチルウンベリフェリルリン酸溶液(和光純薬)を加えマ
イクロプレートを振盪しながら37℃で10分間保温し反応
させた。当該時間経過後、蛍光プレートリーダー(パー
セプティブバイオシステムズ)を用い、励起波長360nm、
測定波長460nmで各ウェルについて測定した。
【0054】各標的塩基(標的塩基C(感受性株由来DN
A)と標的塩基T(耐性株由来DNA))の検出活性を感受
性株由来DNA或いは耐性株由来DNAが100%のときの検出活
性を100として相対活性で表した結果を図5に示す。感
受性株中に少なくとも5%程度耐性株が含まれていれば耐
性株を検出できることが判明した。
【0055】
【実施例6】フィラデルフィア染色体陽性白血病におけ
る微少残存病変の検出フィラデルフィア染色体陽性白血
病では、9番染色体ABLと22番染色体BCRとの相互転座に
よりBCR/ABLキメラ遺伝子が形成される。このキメラ遺
伝子は、慢性骨髄性白血病(CML)でみられるMajor(M)-BC
R/ABL(BCR切断領域のイントロン2で切断されるタイ
プ、(以下タイプ1)とBCR切断領域のイントロン3で切断
されるタイプ(以下タイプ2))と急性リンパ性白血病(A
LL)でみられるminor(m)-BCR/ABL(以下タイプ3)があ
り、合わせて3種類存在する。これら3種類のBCR/ABLキ
メラ遺伝子を本法により検出した。
【0056】フィラデルフィア染色体陽性白血病タイプ
1、タイプ2、タイプ3患者末梢血10mlよりISOGEN RNA
抽出キット(和光純薬工業)を用い、添付の操作手順書に
従ってRNA抽出した。抽出RNAの5μgよりcDNA合成キット
(ベーリンガーマンハイム)を用い、添付の操作手順書に
従って、最終液量20μlの系でcDNAを合成した。
【0057】次に、このcDNAを鋳型としてPCR反応を行
った。反応液組成は、10mM Tris-HClpH 8.3、1.5mM MgC
l2、50mM KCl、0.01%ゼラチン、0.2mM dNTPs(dATP、dCT
P、dGTP、dTTP)、200μM 各プライマー(タイプ1、タ
イプ2は配列番号13と15、タイプ3は配列番号14と1
5)、1μlのcDNA合成液、0.75単位のTaq DNAポリメラー
ゼ(ベーリンガー マンハイム)であり、最終液量25μlと
した。増幅反応条件は、変性(94℃ 30秒間)、アニーリ
ング(55℃ 30秒間)、伸長(72℃ 1分間)の順序で行い、
これを35サイクル繰り返した。
【0058】反応終了後、取り込み反応の前処理を目的
に、本反応液に2単位のエビ由来アルカリフォスファタ
ーゼ(ベーリンガー マンハイム)を加え37℃で30分間保
温し、未反応のdNTPsを分解した。さらに、80℃で15分
間加温してアルカリフォスファターゼを失活させた。
【0059】次に、これらの前処理液をそれぞれ10倍ず
つ105倍まで滅菌蒸留水で希釈し、これらをキメラ遺伝
子のタイプ別に表2に示す反応液組成で標識ddXTP取り
込み反応を実施した。尚、タイプ1には配列番号16、タ
イプ2には配列番号17、タイプ3には配列番号18の検出
プライマーを用い、反応条件は、変性(94℃ 30秒間)、
アニーリング(60℃ 30秒間)、取り込み(72℃ 30秒間)の
順序で行い、これを25サイクル繰り返した。
【0060】
【表2】
【0061】標識ddXTPを取り込んだ検出プライマーの
ストレプトアビジンコートしたマイクロタイタープレー
トへの捕捉操作は実施例1と同様に行った。検出プライ
マーに取り込まれた標識物の検出は実施例5と同様の方
法で行った。この結果は図6に示す。
【0062】本方法に基づくフィラデルフィア染色体陽
性白血病における微少残存病変について、検出DNA(BCR
/ABLキメラ遺伝子)を104倍希釈した後も検出可能であ
った。このことは検出DNAが数pgから数10pgあれば、有
意差をもって検出できることを示し、さらに、フィラデ
ルフィア染色体陽性白血病細胞が少なくとも104倍に希
釈された後も検出可能であることを示している。従っ
て、フィラデルフィア染色体陽性白血病における微少残
存病変の検出に有効であることが確認された。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
目的遺伝子の重要な情報を簡便且つ特異的に、さらには
定量的に検出する方法が提供される。
【0064】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列 TGGGAGGCAA CCTGCTGGTC AT 22
【0065】配列番号:2 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列 AGTGGCCAGT CAGCGCCAAG GT 22
【0066】配列番号:3 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列 CAGAGCATGG ACAGGGAGCA AG 22
【0067】配列番号:4 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列 GTGAGGAGGG CTGCTGAGTA G 21
【0068】配列番号:5 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列 TTGGAAGGAC AAGAACTGCA CCTC 24
【0069】配列番号:6 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列 CTTGGAAGTG GACGTAGGTG 20
【0070】配列番号:7 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列 TGGTCATCGT GGCCATCGCC 20
【0071】配列番号:8 配列の長さ:19 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列 TGCAGGACGC CGCGCTGAT 19
【0072】配列番号:9 配列の長さ:25 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列 GGATGGAAGA CTGGCTGCTC CCTGA 25
【0073】配列番号:10 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列 CGCGATGCAA CGAGCTGAAA AA 22
【0074】配列番号:11 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列 ATTTCGGTAT AGCGCATGGC TG 22
【0075】配列番号:12 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列 GTAAATACCA CCCCCACGGC GATT 24
【0076】配列番号:13 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列 GGAGCTGCAG ATGCTGACCA AC 22
【0077】配列番号:14 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列 CGCATGTTCC GGGACAAAAG C 21
【0078】配列番号:15 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列 GGTCATTTTC ACTGGGTCCA GC 22
【0079】配列番号:16 配列の長さ:26 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列 GCTGAAGGGC TTCTTCCTTA TTGATG 26
【0080】配列番号:17 配列の長さ:26 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列 GCTGAAGGGC TTTTGAACTC TGCTTA 26
【0081】配列番号:18 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸、合成DNA 配列 GCTGAAGGGC TTCTGCGTCT CCAT 24
【図面の簡単な説明】
【図1】β3−アドレナリンレセプター遺伝子多型の検
出における発色反応の結果を示す模式図である。
【図2】ビタミンD3レセプター遺伝子多型の検出にお
ける発色反応の結果を示す模式図である。
【図3】アンジオテンシノーゲン遺伝子多型の検出にお
ける発色反応の結果を示す模式図である。
【図4】DNA Gyrase A遺伝子コドン91変異の検出におけ
る発色反応の結果を示す模式図である。
【図5】各標的塩基(標的塩基C(感受性株由来DNA)と
標的塩基T(耐性株由来DNA))の検出活性を、感受性株
由来DNA或いは耐性株由来DNAが100%のときの検出活性を
100として相対活性で表した結果を示す。
【図6】検出プライマーに取り込まれた標識物の検出の
結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 島津 光伸 東京都板橋区志村3丁目30番1号 株式会 社三菱化学ビーシーエル内 (72)発明者 山森 俊治 東京都板橋区志村3丁目30番1号 株式会 社三菱化学ビーシーエル内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 検出すべき標的塩基を有するDNA断片の
    検出方法であって、前記DNA断片の標的塩基の5'側近傍
    の塩基配列と相補的な配列を3'末端にもつ検出プライマ
    ーを前記DNA断片と対合させ、前記標的塩基に相補的な
    塩基を有する標識連鎖終止ヌクレオチドをDNAポリメラ
    ーゼにより前記検出プライマーの3'末端側に取り込ま
    せ、生成物を前記DNA断片から遊離させることを繰り返
    すことにより標識連鎖終止ヌクレオチドの取り込み反応
    を行い、次いで取り込まれた標識物を検出することを含
    む検出方法。
  2. 【請求項2】 検出すべき標的塩基を有するDNA断片
    が、塩基配列に一塩基以上差異のあるDNA断片の混合物
    に含まれるものであることを特徴とする、請求項1に記
    載の方法。
  3. 【請求項3】 標識連鎖終止ヌクレオチドの取り込み反
    応を行う前に検出すべき標的塩基を有するDNA断片を含
    む溶液を熱不安定性を有するアルカリフォスファターゼ
    で前処理することを特徴とする、請求項1又は2に記載
    の方法。
  4. 【請求項4】 検出プライマーの3'末端が、検出するDN
    A断片の標的塩基から一塩基分5'上流であることを特徴
    とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 検出プライマーが10から40塩基のオリゴ
    ヌクレオチドであることを特徴とする、請求項1〜4の
    いずれか1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 標識連鎖終止ヌクレオチドの標識物が、
    ジゴキシゲニン又は蛍光物質であり、さらに、取り込み
    反応時に標識連鎖終止ヌクレオチドとは異なる未標識の
    連鎖終止ヌクレオチドを存在させることを特徴とする、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 【請求項7】 DNAポリメラーゼが、耐熱性DNAポリメラ
    ーゼであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか
    1項に記載の方法。
  8. 【請求項8】 検出すべき標的塩基を有するDNA断片
    が、β3-アドレナリンレセプター、ビタミンD3レセプ
    ター及びアンジオテンシノーゲンの遺伝子多型を含む領
    域を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか
    1項に記載の方法。
  9. 【請求項9】 検出すべき標的塩基を有するDNA断片
    が、薬剤耐性化にかかわるDNAジャイレースA遺伝子で
    あることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に
    記載の方法。
  10. 【請求項10】 検出すべき標的塩基を有するDNA断片
    がBCR-ABLキメラ遺伝子由来転写産物であることを特徴
    とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  11. 【請求項11】 検出プライマーが、その5'末端でビオ
    チンにより標識されており、標識連鎖終止ヌクレオチド
    の標識物がビオチン以外のものであり、取り込まれた標
    識物の検出を、遊離した検出プライマーをアビジンをコ
    ートした固相に結合させ、結合した検出プライマー中の
    取り込み標識を定量的に検出することによって行うこと
    を特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の
    方法。
  12. 【請求項12】 連鎖終止ヌクレオチドがダイデオキシ
    ヌクレオチドである請求項1〜11のいずれか1項に記
    載の方法。
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