JPH11103881A - 高純度エリスリトール結晶の製造方法 - Google Patents
高純度エリスリトール結晶の製造方法Info
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- JPH11103881A JPH11103881A JP29028497A JP29028497A JPH11103881A JP H11103881 A JPH11103881 A JP H11103881A JP 29028497 A JP29028497 A JP 29028497A JP 29028497 A JP29028497 A JP 29028497A JP H11103881 A JPH11103881 A JP H11103881A
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Abstract
に包含するプロセスより成り、そして、クロマト分離工
程および/または晶析工程を効率的に行い得る様に改良
された高純度エリスリトール結晶の製造方法を提供す
る。 【解決手段】(1)菌体分離工程とクロマト分離工程と
の間および/または(2)クロマト分離工程と晶析工程
との間に操作圧力70〜300torで液温度45〜8
0℃の条件による濃縮工程を設ける。
Description
ール結晶の製造方法に関する。
リトール)は、甘味料として、更には医薬品や工業薬品
などの中間体として有用な物質である。エリスリトール
は、工業的には、例えばブドウ糖を原料とし、水性培地
中の好気的条件下でエリスリトール生産菌を培養して得
られる。
の液体状または固体状の不純物を含有している。すなわ
ち、液体状不純物として、グリセリン等の副生物の他、
澱粉の酵素糖化法などで得られた精製ブドウ糖を原料と
した場合は、原料ブドウ糖中に含まれる二糖以上のオリ
ゴ糖、その反応生成物、ブドウ糖が主な構成成分である
β−1,4結合を持つ多糖類などを含有し、固体状不純
物として、菌体の他に微小懸濁物質を含有している。
クロマト分離、晶析の各工程を順次に包含するプロセス
で上記の培養液を処理することにより得られる。斯かる
プロセスの一例は、エリスリトール含有培養液からのエ
リスリトールの分離・回収方法として、例えば、特公平
7−34748号公報に開示されている。
業的に有利な製造方法においては、上記の各工程を効率
的に行なうことが重要である。すなわち、菌体分離工程
から得られる清澄液中のエリスリトールの濃度は、通常
5〜30重量%であり、また、クロマト分離工程から回
収されるエリスリトール画分中のエリスリトールの濃度
は、通常5〜30重量%であるため、菌体分離工程後の
クロマト分離工程やクロマト分離工程後の晶析工程を効
率的に行なうためには、予め、処理液を濃縮するのが望
ましい。
体分離工程から得られる清澄液やクロマト分離工程から
回収されるエリスリトール画分の濃縮操作に関する十分
な検討が行われていない状況にある。例えば、特公平7
−34748号公報においては、上記の濃縮に操作に関
する具体的な開示は何らなされていない。
鑑みなされたものであり、その目的は、菌体分離、クロ
マト分離、晶析の各工程を順次に包含するプロセスより
成り、そして、クロマト分離工程および/または晶析工
程を効率的に行い得る様に改良された高純度エリスリト
ール結晶の製造方法を提供することにある。
的を達成すべく種々検討を重ねた結果、次の様な知見を
得た。すなわち、菌体分離工程から得られる清澄液に
は、前述した各種の液体状不純物が含まれており、特
に、グルコースとアミノ酸とのメイラード反応で着色成
分が生成する。斯かる着色成分の生成は加熱時間によっ
て促進される。また、可溶性蛋白質の影響により、濃縮
時に発泡現象が現れて清澄液の安定した濃縮は必ずしも
容易ではない。一方、クロマト分離工程から回収される
エリスリトール画分にも、少量ではあるが、グルコー
ス、アミノ酸、蛋白質などが含まれるため、上記と同様
の問題がある。何れにしても、特に、蛋白質の影響によ
る濃縮時の発泡現象は、濃縮操作において解決しなけれ
ばならない重要な問題である。
を重ねた結果、特定の操作条件を採用するならば、特に
濃縮時の発泡現象を抑えて濃縮操作を安定に行なうこと
が出来るとの知見を得た。
ものであり、その要旨は、エリスリトール含有培養液を
原料液とし、少なくとも、培養液から菌体を分離する菌
体分離工程、当該菌体分離工程から回収された上澄液を
クロマト分離するクロマト分離工程、当該クロマト分離
工程から回収されたエリスリトール区画分を晶析してエ
リスリトール結晶を析出させる晶析工程を順次に包含す
るプロセスで分離・精製処理することにより、高純度エ
リスリトール結晶を製造するに当たり、(1)菌体分離
工程とクロマト分離工程との間および/または(2)ク
ロマト分離工程と晶析工程との間に操作圧力70〜30
0torで液温度45〜80℃の条件による濃縮工程を
設けたことを特徴とする高純度エリスリトール結晶の製
造方法に存する。
原料液として使用されるエリスリトール含有培養液は、
水性培地中で好気的条件下にエリスリトール生産菌を培
養することにより得られる。培養方法は、特に制限され
ず、従来公知の方法を採用することが出来る。
結晶ブドウ糖の他、澱粉の酵素糖化法などで得られた精
製ブドウ糖を使用することが出来る。なお、精製ブドウ
糖は、通常、ブドウ糖含有率が93〜97重量%であ
り、残余は、二糖類、三糖類およびそれ以上のオリゴ糖
である。
ーレオバシディウム属(特開昭61−31091号公
報)、モニリエラ・トメントサ・バール・ポリニス(特
開昭60−110295〜8号公報)、キャンジダ・ゼ
イライデス(ATCC15585)、トルロプシス・フ
ァマタ(ATCC1586)等(特開昭49−1188
89号公報)、キャンジダ・リポリティカ(米国特許第
3,756,917号明細書)、トリゴノプシス属、キ
ャンジダ属(特公昭47−41549号公報)等を使用
することが出来る。
PO4 、MgSO4 、CaCl2 、K2 SO4 、CaS
O4 、FeSO4 、MnSO4 、ZnSO4 、(NH
4 )2HPO4 等、窒素源としては、(NH4 )2SO
4 、CO(NH4 )2、NH4 Cl、NH4NO3 等、栄
養源としては、コーン・スティープリカー、大豆粉、各
種アミノ酸、ペプトン、チアミン、酵母エキス等が挙げ
られる。
結晶を製造するため、上記の様な培養液を原料液とし、
少なくとも、培養液から菌体を分離する菌体分離工程、
当該菌体分離工程から回収された清澄液をクロマト分離
するクロマト分離工程、当該クロマト分離工程から回収
されたエリスリトール画分を晶析してエリスリトール結
晶を析出させる晶析工程を順次に包含するプロセスで分
離・精製処理する。
離工程後の清澄液は、好ましくは軟化工程で処理された
後に濃縮工程で処理され、クロマト分離工程に供給され
る。また、クロマト分離工程から回収されたエリスリト
ール画分は、好ましくは活性炭処理工程および/または
脱塩工程を経由した後に濃縮工程で処理され、晶析工程
に供給される。そして、その後、晶析工程で分離された
エリスリトール結晶は、乾燥工程および篩分工程で処理
されて高純度製品とされる。
本発明者らの知見に従い、セラミック膜または有機膜に
よるクロスフロー濾過法を使用し且つ被処理液の温度を
50〜90℃に維持して行なうのが好ましい。その理由
は次の通りである。
の液体状または固体状の不純物を含有しているエリスリ
トール含有培養液に対し、固体状不純物の除去を効率的
かつ高度に行ない得るのみではなく、回収された清澄液
をクロマト分離の効率アップのために濃縮せんとした場
合にも発泡現象が著しく軽減される。従って、菌体分離
工程においてセラミック膜または有機膜によるクロスフ
ロー濾過法を使用することにより、高純度エリスリトー
ル結晶を工業的有利に製造することが出来る。
も完全に不純物を分離することは困難であり、菌体分離
後の清澄液には依然として雑菌の栄養源となる各種の不
純物が含有されている。そのため、菌体分離工程におけ
る被処理液の温度が低い場合は、雑菌が繁殖する。その
結果、甘味料や医薬品として使用される高純度エリスリ
トール結晶においては好ましくないばかりか、例えば、
クロマト分離工程における樹脂カラムの閉塞や熱交換器
における焦げ付きの原因となる。そこで、本発明におい
ては、雑菌の繁殖防止のため被処理液の温度を50℃以
上に維持して菌体分離を行なう。処理液の温度が90℃
を超える場合は、処理液の着色度が急激に増加すると言
う不利益がある。
限されず、例えば、単層構造の他、細粒層と支持層との
二層構造であってもよい。細粒層の平均細孔は、通常
0.1〜1μm、好ましくは0.1〜0.5μmに設定
される。また、セラミック膜の材質としては、シリカ、
アルミナ、シリカ−アルミナ、ムライト、ジルコニア、
カーボン、コージェライト、炭化ケイ素などが挙げられ
る。有機膜の構造は、特に制限されないが、その材質と
しては、後述する温度(50〜90℃)において十分な
耐熱性を有するものを使用する必要がある。斯かる有機
膜としては、例えば、ポリオレフィンやポリエーテルス
ルフォン等が挙げられる。
ク、ポンプ、内部に濾過膜を備えた分離エレメント及び
濾液受槽から成る設備が使用され、これらにより処理液
の循環路が形成される。そして、上記の循環路の途中に
は熱交換器を設けるのが好ましい。
は、膜フィルター表面に濾過対象液を平行に流しながら
濾過を行い、平行流によるせん断力により堆積ケーク層
を最小に保持する濾過法である。従って、濾過膜に包囲
された流路の一端から供給された濾過対象液(原液)
は、流れながら濾過され、濾液は、濾過膜を通過して流
路と直交する方向に排出され、濃縮液は、流路の一端か
ら排出される。
で行われ、本発明においては、(A)菌体濃縮濾過、
(B)加水濾過、(C)追加濃縮濾過、(D)水洗、
(E)再生を順次に行なって1操作を終了する。特に、
追加濃縮濾過は、本発明においては、好ましい態様とし
て行われる。
す菌体分離工程(クロスフロー濾過装置)の循環タンク
(1)にエリスリトール含有培養液を一定量供給した
後、ポンプ(2)の駆動により、濾過膜(3)と熱交換
器(6)とを通して再び循環タンク(1)に戻す培養液
の循環を開始し、濾過膜(3)を透過した清澄液(濾
液)を濾液受槽(5)に受ける。そして、所定の濃縮率
に到達した時点で菌体濃縮濾過を終了する。なお、循環
タンク(1)に供給する前のエリスリトール含有培養液
は、必要に応じて前記の温度範囲に加熱され、また、循
環液は、熱交換器(6)により前記の温度範囲に維持さ
れる(以下の加水濾過(B)及び追加濃縮濾過(C)に
おいても同じ)。
(1)内の濃縮液にその液面レベルを一定に保持しなが
ら連続的に水を供給して上記と同様の循環操作を行な
い、濾過膜(3)を通過した清澄液(濾液)を濾液受槽
(5)に受ける。なお、供給水は、循環タンク(1)に
供給する前に必要に応じて前記の温度範囲に加熱され
る。
のために行われ、加水濾過(B)における循環タンク
(1)内への水の供給を停止して更に上記と同様の循環
操作を行ない、濾過膜(3)を通過した清澄液(濾液)
を濾液受槽(5)に受ける。
行われ、再生剤としては、例えば、0.5重量%のNa
OHと0.2重量%のNaClOを含有する水溶液を使
用することが出来る。操作温度は、通常、約50〜70
℃とされる。
(B)及び追加濃縮濾過(C)においては、通常、循環
流速1〜10m/s、膜間差圧0.1〜10Kg/cm
2の条件下で行われる。そして、菌体濃縮濾過(A)及
び加水濾過(B)における透過流速は、通常100〜2
00L/m2・Hrとされる。そして、追加濃縮濾過
(C)においては、次第に上記の透過流速は低下してい
くが、本発明においては、透過流速が約50L/m2・
Hrに到達した時点で追加濃縮濾過を終了し、水洗
(D)及び再生(E)に移行するのが好ましい。すなわ
ち、本発明者らの知見によれば、エリスリトール含有培
養液の場合、上記の範囲を超えて追加濃縮濾過を行なっ
た場合は、濾過膜(3)における閉塞状態が急激に悪化
し、次の菌体分離操作に支障を来すことがある。
供するエリスリトール含有培養液のpHは3.5〜5.
5の範囲に調節するのが好ましい。すなわち、培養工程
から得られるエリスリトール含有培養液のpHを等電点
に近い上記の範囲に調節するならば、培養液中の溶解蛋
白質が析出してフロック状になりその分離が一層容易と
なる。上記のpH調節には、例えば、苛性ソーダー等の
適当なアルカリ物質の水溶液が使用される。
程における分離性能の維持を目的とした工程である。イ
オン交換樹脂としては、スルホン酸型強酸性カチオン交
換樹脂またはカルボン酸型弱酸性カチオン交換樹脂がN
a型で使用される。そして充填塔に清澄液を通してその
中のCaイオンやMgイオンをNaイオンと交換させて
除去し、Ca型および/またはMg型に変ったカチオン
交換樹脂をNa型に再生して繰り返し使用する。スルホ
ン酸型樹脂の場合は、NaCl水溶液で再生し、カルボ
ン酸型樹脂の場合は、HCl又はH2 SO4 等の強酸で
H型に変換後、NaOH水溶液で再生する。これらの二
つの方法の中では、カルボン酸型弱酸性カチオン交換樹
脂(Na型)を使用する方法が好ましい。
発明者らの知見に従い、50〜90℃の温度に清澄液を
保持して行なうのが好ましい。その理由は次の通りであ
る。
栄養源となる各種の不純物が含有されているために雑菌
が繁殖する。従って、プロセスの初期の段階において、
雑菌の繁殖を十分に抑制するならば、エリスリトール結
晶への混入防止とは別途に、例えば、クロマト分離工程
における樹脂カラムの閉塞や熱交換器における焦げ付き
を防止して高純度エリスリトール結晶を工業的有利に製
造することが出来る。
℃の温度保持は、上記の充填塔に加熱手段を配置し、更
には、必要に応じ、軟化工程に供給される清澄液を予め
加熱することにより行われる。清澄液の温度が50℃未
満の場合は、清澄液中への雑菌の混入や混入した雑菌の
繁殖防止が十分ではなく、一方、清澄液の温度が90℃
を超える場合は、処理液の着色や樹脂の劣化が促進さ
れ、何れの場合も好ましくない。
型またはアンモニウム型の強酸性カチオン交換樹脂を充
填した分離塔に清澄液を通し、次いで、水で溶離流出さ
せ、その流出液からエリスリトールを主成分とする画分
を分取することから成る。エリスリトールを主成分とす
る画分は、通常、3〜30重量%の濃度として分取され
る。
工程は、着色成分、臭気成分、塩類などの除去を目的と
した工程である。これらの工程の順序は任意に選択する
ことが出来る。使用する活性炭は粉末または粒状の何れ
でもよい。脱塩工程は、カチオン交換樹脂塔、アニオン
交換樹脂塔、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂との
両樹脂の混床塔より成る。
本発明者らの知見に従い、次の様に行なうのが好まし
い。すなわち、晶析開始時の晶析原液中のエリスリトー
ル濃度を30〜60重量%に調節し、20℃/Hr以下
の冷却速度を採用し、冷却晶析途中でエリスリトールの
種結晶を添加し、20℃以下の温度まで冷却した後、析
出した結晶を分離する。斯かる晶析方法によれば、従来
法に比して一層純度が高められ且つ結晶形状が改善され
た高純度エリスリトール結晶が得られる。
℃から60℃迄の冷却過程経過後は、更に冷却速度を遅
くし、具体的には10℃/Hr以下とし、20℃以下、
好ましくは15℃以下の温度まで冷却する。また、晶析
槽内の温度がエリスリトールの飽和溶解度に相当する温
度よりも低い温度で且つその温度差が15℃以内の段階
において当該晶析槽にエリスリトールの種結晶を添加す
るのが好ましい。種結晶の添加時期は、晶析槽内の温度
がエリスリトールの飽和溶解度に相当する温度よりも1
〜5℃低い温度の段階が特に好ましい。また、種結晶の
添加量は、特に制限されないが、晶析槽内で析出するエ
リスリトールに対し、好ましくは0.1重量%以下、更
に好ましくは0.001〜0.05重量%の範囲であ
る。
発明者らの知見に従い、濾過面の周方向にスラリーを分
散させて当該濾過面に衝突させる構造の遠心分離装置を
使用するのが好ましい。その理由は次の通りである。
使用した場合、工業的に採用される運転条件下では、単
管ノズルから供給されたエリスリトール結晶含有スラリ
ーが濾過面の全体に行き渡る前に固液分離される。その
結果、エリスリトール結晶が装置内に直ちに偏在して遠
心分離装置の運転に支障が生じることがある。斯かる問
題は、前記の構造の遠心分離装置の使用により回避され
る。前記の構造の遠心分離装置は、例えば、住友重機械
工業(株)の商品「コンタベックス」や「プッシャー」
として容易に入手することが出来る。
の低減化のために出来るだけ高い遠心力による運転が通
常行われる。ところが、本発明者らの知見によれば、エ
リスリトール結晶の硬度が比較的に高いため、過度な遠
心力を採用した場合は、遠心分離装置の内壁面への衝突
により、エリスリトール結晶の破砕が生じる。そこで、
本発明において、50〜500Gの遠心力条件下に結晶
分離を行った後、エリスリトール結晶に対して0.1〜
1重量倍で且つ5〜20℃の洗浄水による振り掛け洗浄
を行なうのが好ましい。
るエリスリトール結晶の含水率が余りにも高すぎて後工
程の乾燥負荷が大きくなる。それだけでなく、母液が十
分振り切れずに製品に付着して品質低下を招く。一方、
遠心力条件が500Gを超える場合は、遠心分離装置の
内壁面への衝突により、エリスリトール結晶の破砕が生
じる。遠心条件の好ましい範囲は100〜300Gであ
る。
び温度は、上記の様な比較的に小さな遠心条件下におい
て、エリスリトール結晶の溶解損失を防止し且つ十分な
洗浄効果を得るとの観点から決定された条件である。す
なわち、洗浄水の使用量が0.1重量倍未満の場合は、
洗浄効果が不足して高純度のエリスリトール結晶が得ら
れない。一方、洗浄水の使用量が5重量倍を超える場合
または洗浄水の温度が10℃を超える場合は、エリスリ
トール結晶の溶解損失が大きく経済的ではない。洗浄水
の好ましい使用量は、エリスリトール結晶に対して0.
2〜0.5重量倍であり、洗浄水の好ましい温度は10
〜20℃である。
たエリスリトール結晶中の水分の除去を目的とした工程
であり、通常、流動床式乾燥器が好適に使用される。上
記の篩分工程は、大粒径品の除去を目的とした工程であ
り、通常、1000又は1190mmメッシュの振動篩
装置が好適に使用される。
スにおいて、(1)菌体分離工程とクロマト分離工程と
の間および/または(2)クロマト分離工程と晶析工程
との間に特定の操作条件を採用した濃縮工程を設けた点
にある。
濃縮装置について説明する。一般に、有機物質含有水溶
液の濃縮装置としては、例えば、容器の外壁から水蒸気
にて加熱を行なうジャケット式蒸発缶、加熱管内の液流
速を高めるための循環ポンプを備えた強制循環型蒸発
缶、直立長管型に属する上昇膜型蒸発缶や流下膜型蒸発
缶などが知られている。
は、上記加熱式である限り、その構造は制限されない
が、本発明者らの知見に従い、強制循環型蒸発缶または
膜型蒸発缶が好ましく採用される。特に好ましい濃縮装
置は膜型蒸発缶であり、その中では流下膜型蒸発缶が一
般的に好ましい。その理由は次の通りである。
を抑えて濃縮操作を安定に行なうため、後述する特定の
操作条件を採用する。ところで、上記の発泡現象は、濃
縮装置からの伝熱条件によっても影響を受け、ジャケッ
ト式蒸発缶では、濃縮時の発泡現象を抑制するための伝
熱条件の達成は一般に困難である。これに対し、強制循
環型蒸発缶や膜型蒸発缶によれば、広い範囲の伝熱条件
において、濃縮時の発泡現象を抑制することが出来る。
上、蒸発缶と流下膜形成部とに区分でき、そして、流下
膜形成部としては、(1)プレート方式と(2)シェル
&チューブ形式とがあるが、その何れであってもよい。
使用し、そして、操作圧力70〜300torで液温度
45〜80℃の条件による濃縮操作を行なうことが重要
である。すなわち、操作圧力が上記の範囲より小さい場
合は、発泡が激化して飛沫同伴による損失、ひいては安
定運転が不能になり、また、液温度が低下するため雑菌
汚染も懸念される。操作圧力が上記範囲より大きい場合
は、液温度が上昇して液の着色が促進される。従って、
上記の操作条件の範囲外の濃縮によっては本発明の初期
の目的を達成することが出来ない。
(エリスリトール濃度:通常5〜30重量%)は、クロ
マト分離工程を効率的に行なうとの観点から、通常30
〜70重量%、好ましくは35〜45重量%の濃度にま
で濃縮される。また、クロマト分離工程から回収される
エリスリトール画分(エリスリトール濃度:通常5〜3
0重量%は、晶析工程を効率的に行なうとの観点から、
通常30〜70重量%、好ましくは40〜60重量%の
濃度にまで濃縮される。なお、上記の各濃度は、溶解固
形分濃度を意味する。
するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。
酵母エキス10g/L含む培地に、モニリエラ・トメン
トサ・バール・ポリニスを加え、35℃で48時間振と
う培養して種培地(A)を得た。次いで、無水結晶ブド
ウ糖300g/L(ブドウ糖として)及びコーン・ステ
イープ・リカー37g/Lを含む培地600Lに上記の
種培地(A)1.2Lを加え、通気量300L/mi
n、撹拌速度300rpm、温度35℃、圧力1.0k
g/cm2 Gで48時間培養して種培地(B)を得た。
次いで、無水結晶ブドウ糖400g/L(ブドウ糖とし
て)及びコーン・ステイープ・リカー15g/Lを含む
培地30m3に上記の種培地(B)600Lを加え、通
気量15m3/min、撹拌速度100rpm、温度3
5℃、圧力1.0kg/cm2 Gで90時間培養し、ブ
ドウ糖が完全になくなった時点を確認して培養を停止し
た。そして、直ちに加熱殺菌した後、セラミック膜を利
用したクロスフロー濾過法により、次の条件下で菌体を
分離した。
1に示す菌体分離工程(クロスフロー濾過装置)の循環
タンク(1)に約70℃に加温されたエリスリトール含
有培養液を6m3供給した後、ポンプ(2)の駆動によ
り、濾過膜(3)と熱交換器(6)とを通して再び循環
タンク(1)に戻す培養液の循環を開始し、濾過膜
(3)を透過した清澄液(濾液)を濾液受槽(5)に受
けた。この際、循環液温度は約70℃、循環流速は5m
/s、膜間差圧は1Kg/cm2に調節した。その結
果、平均透過流速は130L/m2・Hrであった。
内の清澄液が24m3となった時点において、循環タン
ク(1)内の濃縮液6m3にその液面レベルを一定に保
持しながら連続的に水を供給しながら、上記と同様の循
環操作を行ない、清澄液(濾液)を濾液受槽(5)に受
けた。なお、供給水は、循環タンク(1)に供給する前
に必要約70℃に加熱した。供給水は、全量で18m3
であり、加水濾過により、濾液受槽(5)に受けた清澄
液(濾液)は、全量で18m3であった。
供給を停止した後も更に上記と同様の循環操作を行な
い、清澄液(濾液)を濾液受槽(5)に受けた。そし
て、透過流速が約50L/m2・Hrに低下した時点で
追加濃縮濾過を終了し、次の菌体分離のため、クロスフ
ロー濾過装置の水洗・再生を行なった。追加濃縮濾過に
より、濾液受槽(5)に受けた清澄液(濾液)は、全量
で2m3であった。
m3であり、エリスリトール121g/L及びグリセリ
ン0.3g/Lを含有していた。
(三菱化学株式会社商品名ダイヤイオンWK−20)の
Na型を充填した塔に上記の清澄液を44m3通し、C
a及びMg等の硬度成分をNaイオンと交換した。この
際、清澄液の温度は、70℃に保持した。
るまで濃縮した(一次濃縮)。濃縮装置としては、流下
膜形成部にシェル&チューブを備えた4重効用缶を使用
した。そして、操作圧力は74〜220torr、液温
度は46〜70℃の範囲とした。この際、減圧濃縮時に
おける液の発泡は全く認められず、濃縮操作は、安定に
行なうことが出来た。
ンスルホン酸のNa型樹脂(三菱化学株式会社商品名ダ
イヤイオンUBK−550)を22m3充填した分離塔
(直径2000mm×高さ7000mm)の塔頂から、
上記の濃縮液(温度70℃)を1.44m3供給した。
分離塔の温度は70℃に保持し、濃縮液の供給速度は1
1.6m3/hrとした。
給し、流出液床容量0.54を境にして前段と後段の二
つの画分に分けた。画分の液量は、前段が4.8m3で
あり、後段が3.4m3であった。そして、後段の流出
液としてエリスリトール及びグリセリンを回収した。こ
の操作を10回繰り返し、後段流出液として合計34m
3を得た。その液組成は、エリスリトール濃度96.5
g/L、グリセリン濃度0.2g/L、不明物濃度2.
0g/Lであった。
交換樹脂(三菱化学式会社商品名ダイヤイオンSK1
B)を充填した塔、OH型の弱塩基性アニオン交換樹脂
(三菱化学株式会社商品名ダイヤイオンWA30)を充
填した塔、および、前記のH型強酸性カチオン交換樹脂
とOH型強塩基性アニオン交換樹脂(三菱化学株式会社
商品名ダイヤイオンPA408)を充填した混床塔で上
記の後段流出液を順次に処理した。なお、上記の後段流
出液には、H型強酸性カチオン交換樹脂塔に供給するに
先立ち、後述の結晶分離工程(遠心分離装置)から発生
する洗浄水を含む晶析母液8m3を予め混合した。これ
は、上記の様に晶析母液を循環することにより、その中
に含まれるエリスリトールを回収するためである。次い
で、得られた処理液に粉末活性炭3.4Kgを加えて3
0分間撹拌した後、活性炭を濾過して濾液を得た。
53重量%(エリスリトール濃度:48.0重量%)に
なるまで上記の濾液を濃縮した(二次濃縮)。濃縮装置
としては、流下膜形成部にシェル&チューブを備えた4
重効用缶を使用した。そして、操作圧力は74〜220
torr、液温度は46〜70℃の範囲とした。この
際、減圧濃縮時における液の発泡は全く認められず、濃
縮操作は、安定に行なうことが出来た。
/Hrの速度で15℃まで徐冷し、その冷却途中の42
℃(飽和温度との温度差:−3℃)の段階で380g
(析出結晶に対する割合:0.01重量%)の種晶を添
加して結晶を成長させてエリスリトール結晶含有スラリ
ーを得た。
業(株)の商品「コンタベックス」を使用し、167G
の遠心条件を採用し且つ湿潤エリスリトール結晶に対し
て0.2重量倍の15℃の洗浄水を使用し、結晶の分離
と洗浄を行なった。すなわち、濾過面の周方向にエリス
リトール結晶含有スラリーを分散させて当該濾過面に衝
突させながら結晶を濾別しつつ振り掛け洗浄を行なっ
た。そして、エリスリトール結晶3.5Tonを得た。
エリスリトール結晶の純度は99.9%、含水率は2.
47重量%であった。洗浄水を含む晶析母液は、エリス
リトールの回収のため一旦タンクに回収した。
した。平均粒径を測定した結果、750μmであり、遠
心分離前の平均粒径(750μm)との比較から結晶破
砕はないことが判った。結晶形状は単結晶が主体であっ
た。また、上記のクロマト分離前の濃縮工程から得られ
た清澄液について、後述の方法により吸光度の測定を行
なった。結果を表1に示す。
縮)及び晶析工程の直前の濃縮工程(二次濃縮)におい
て、操作条件を30tor(液温度30℃)に変更した
以外は、実施例1と同様にエリスリトール結晶の製造を
行なった。何れの濃縮工程においても被処理液の激しい
発泡現象が観察された。また、上記の各濃縮工程から得
られた清澄液について、実施例1と同様に吸光度の測定
を行ない、結果を表1に示す。
縮)及び晶析工程の直前の濃縮工程(二次濃縮)におい
て、操作条件を600tor(液温度93℃)に変更し
た以外は、実施例1と同様にエリスリトール結晶の製造
を行なった。何れの濃縮工程においても被処理液の発泡
現象が観察されなかったが、各濃縮後の液色が実施例1
に比して著しく濃かった。上記の各濃縮工程から得られ
た清澄液について、実施例1と同様に吸光度の測定を行
ない、結果を表1に示す。
(株)製「UVIDEC−340」)を使用し、420
nmの波長で1cm石英セルによる吸光度を測定した。
離、晶析の各工程を順次に包含するプロセスより成り、
そして、クロマト分離工程および/または晶析工程を効
率的に行い得る様に改良された工業的に有利な高純度エ
リスリトール結晶の製造方法が提供される。
説明図
Claims (2)
- 【請求項1】 エリスリトール含有培養液を原料液と
し、少なくとも、培養液から菌体を分離する菌体分離工
程、当該菌体分離工程から回収された上澄液をクロマト
分離するクロマト分離工程、当該クロマト分離工程から
回収されたエリスリトール区画分を晶析してエリスリト
ール結晶を析出させる晶析工程を順次に包含するプロセ
スで分離・精製処理することにより、高純度エリスリト
ール結晶を製造するに当たり、(1)菌体分離工程とク
ロマト分離工程との間および/または(2)クロマト分
離工程と晶析工程との間に操作圧力70〜300tor
で液温度45〜80℃の条件による濃縮工程を設けたこ
とを特徴とする高純度エリスリトール結晶の製造方法。 - 【請求項2】 薄膜型または強制循環型の蒸気加熱濃縮
装置を使用する請求項1に記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29028497A JP4103158B2 (ja) | 1997-10-07 | 1997-10-07 | 高純度エリスリトール結晶の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29028497A JP4103158B2 (ja) | 1997-10-07 | 1997-10-07 | 高純度エリスリトール結晶の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11103881A true JPH11103881A (ja) | 1999-04-20 |
JP4103158B2 JP4103158B2 (ja) | 2008-06-18 |
Family
ID=17754159
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29028497A Expired - Lifetime JP4103158B2 (ja) | 1997-10-07 | 1997-10-07 | 高純度エリスリトール結晶の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4103158B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023066140A1 (zh) * | 2021-10-19 | 2023-04-27 | 浙江华康药业股份有限公司 | 一种赤藓糖醇发酵液的连续式膜过滤系统及过滤方法 |
-
1997
- 1997-10-07 JP JP29028497A patent/JP4103158B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023066140A1 (zh) * | 2021-10-19 | 2023-04-27 | 浙江华康药业股份有限公司 | 一种赤藓糖醇发酵液的连续式膜过滤系统及过滤方法 |
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JP4103158B2 (ja) | 2008-06-18 |
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