JPH11102833A - 積層セラミックコンデンサにおける内部電極用水性インクの製造方法 - Google Patents

積層セラミックコンデンサにおける内部電極用水性インクの製造方法

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JPH11102833A
JPH11102833A JP27809897A JP27809897A JPH11102833A JP H11102833 A JPH11102833 A JP H11102833A JP 27809897 A JP27809897 A JP 27809897A JP 27809897 A JP27809897 A JP 27809897A JP H11102833 A JPH11102833 A JP H11102833A
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匡邦 納谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インク組成物中における固形分の分離沈澱が
抑制され、かつ機械的分散処理を施すことにより簡単に
再利用が可能な積層セラミックコンデンサにおける内部
電極用水性インクの製造方法を提供する。 【解決手段】 誘電体シートにより形成された複数の誘
電体層と内部電極とが交互に積層されたコンデンサ本体
と、コンデンサ本体外側に設けられ上記内部電極群に接
続された一対の外部電極とを備える積層セラミックコン
デンサの作成時にインクジェット印刷方式にて製膜され
ると共に、金属粉末、水溶性樹脂、及び、水と水溶性有
機溶剤との混合溶剤を主成分とした積層セラミックコン
デンサにおける内部電極用水性インクの製造方法であっ
て、金属粉末、水溶性樹脂、及び、上記混合溶剤を主成
分とするインク組成物を調製した後、このインク組成物
を50〜70℃の条件で3〜40分間加熱処理を施すこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の誘電体層と
内部電極が交互に積層されたコンデンサ本体と、コンデ
ンサ本体外側に設けられかつ内部電極群に接続された一
対の外部電極とを備える積層セラミックコンデンサ(以
下、MLCCと略称する)の作成時にインクジェット印
刷方式により製膜される内部電極用水性インクに係り、
特に、インク組成物中における固形分の分離沈澱が抑制
され、たとえ固形分の分離沈澱が起ってもホモジナイザ
ー等の機械的分散処理を施すことにより簡単に再利用が
可能となる積層セラミックコンデンサにおける内部電極
用水性インクの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ビデオカメラ等で代表されるよう
に電子機器の小型化が進み、これ等電子機器に搭載され
るMLCCについても小型化、高容量化の要求がますま
す高まりつつある。このため、チップサイズを小型化す
ると共に、上記誘電体層と内部電極の積層数を増加させ
る等してMLCCにおける高容量化の要望に応える努力
がなされている。
【0003】ところで、この種のMLCCとして、例え
ば、図1(A)〜(B)に示すような構造のものが従来
知られている。すなわち、このMLCC(積層セラミッ
クコンデンサ)aは、複数の誘電体層bと内部電極が交
互に積層されたコンデンサ本体dと、このコンデンサ本
体dの外側に設けられその一方が奇数番目の内部電極c1
群に接続され他方が偶数番目の内部電極c2群に接続され
た一対の外部電極e1、e2とでその主要部が構成されてい
るものである。
【0004】そして、このMLCCは、従来、以下のよ
うにして製造されている。まず、粉末化されたチタン酸
バリウム等の誘電体とポリビニルブチラール等の有機質
バインダーが含まれる組成物をドクターブレード法によ
りシート状(一般には誘電体シートと呼ばれている)に
形成した後、この表面にNi等の金属粉末と有機ビヒク
ルを主成分とする内部電極用金属ペーストを製膜しかつ
乾燥させる。
【0005】次に、上記内部電極用金属ペーストが製膜
された誘電体シートを所定の枚数重ね合わせると共にこ
れ等を熱圧着させた後、この熱圧着体をチップ状に切断
する。続いてチップ状に切断された積層体を電気炉に搬
入し、積層体における誘電体シート内の有機質バインダ
ーや内部電極用金属ペーストの有機ビヒクル等のバーン
アウト(完全燃焼)と内部電極及び誘電体の焼結を目的
として上記積層体を焼成する。
【0006】次に、この様にして得られた複数の誘電体
層と内部電極が交互に積層された積層チップ(コンデン
サ本体)の両端を磨き、その一端側では奇数番目の内部
電極群の端面をまた他端側では偶数番目の内部電極群の
端面をそれぞれ露出させた後、その磨かれた両端面を外
部電極用金属ペーストに浸し、乾燥させ、再度電気炉に
搬入して焼成を行い、外部電極用金属ペーストにおける
有機ビヒクル等の燃焼と外部電極の焼結を連続して行
い、積層チップ(コンデンサ本体)の外側に一対の外部
電極を形成する。
【0007】最後に、形成された外部電極表面に対しそ
の半田濡れ性を向上させるためニッケルメッキ等を施
し、図1(A)〜(B)に示された積層セラミックコン
デンサ(MLCC)aが得られる。
【0008】ところで、このMLCCの製造方法におい
て上記誘電体シート表面へ内部電極用金属ペーストを製
膜する手法として、従来、スクリーン印刷法と称される
方法が適用されていた。すなわち、このスクリーン印刷
法とは、内部電極パターン以外の開口領域が樹脂等で塞
がれた薄いメッシュ状の板を枠に貼り付けて構成される
スクリーンを誘電体シート上に配置し、かつ、上記スク
リーン上に内部電極用金属ペーストをのせると共に、こ
の内部電極用金属ペーストをスキージと称される板若し
くは棒により誘電体シート側へ押しつけて、誘電体シー
ト上に内部電極パターン状に上記ペーストを転写、製膜
する方法であった。
【0009】そして、内部電極用金属ペーストの製膜方
法として広く利用されてきたが、近年のMLCCの小型
化、高積層化が進むにつれスクリーン印刷法による対応
が困難となってきた。すなわち、より積層数の多いML
CCを低コストで製造するには、上記誘電体シートから
より多くの内部電極パターンを得た方が有利となる。こ
のため、誘電体シート上に形成する内部電極パターンを
狭ピッチ化するようになってきている。また、MLCC
がより小型化してきたために内部電極パターンそのもの
も小さくなってきている。この様な技術の流れに対し、
スクリーン印刷法では、メッシュに形成されたパターン
を誘電体シートへ転写する工程を経るときに、メッシュ
が伸縮し転写されたパターンが歪み易いといった問題を
有していた。そして、MLCCがサイズ的に大型の場
合、また、パターンピッチが比較的大きい場合には、上
記歪みは充分に許容できる程度であったが、近年のML
CCの小型化、狭ピッチ化によってこのパターンの歪み
は許容できない状況となってきた。また、内部電極用金
属ペーストが転写される際に、誘電体シートとスクリー
ンとの間に上記ペーストが毛細管現象により滲み易いと
いう問題もあった。更に、印刷の際、スクリーンがスキ
ージによって何度も押圧されることに起因してスクリー
ンが次第に張力を失い、かつ、伸長してスクリーン上の
印刷パターンそのものが変形し易いという問題もあっ
た。
【0010】そして、形成された内部電極パターンが歪
んだり滲んでいる場合、その後の工程で積層体(熱圧着
体)をチップ状に切断する際、内部電極が切断面まで達
し外部に露出してしまうことがあり、このようなMLC
Cは耐湿性等の長期安定性に大きく劣り、かつ、積層チ
ップ(コンデンサ本体)の強度が非常に小さくなるとい
う問題を有していた。更に、スクリーン印刷法を適用し
た場合の他の問題点としては、メッシュへのパターン作
成に手間と時間がかかり、通常、スクリーンの作成に数
週間程度を要する問題があった。
【0011】他方、MLCCを製造している現場の環境
をみた場合、スクリーン印刷法においては、スクリーン
上に内部電極用金属ペーストがのせられており、上記ペ
ーストが大気中に開放される状態にあった。このため、
内部電極用金属ペースト中から蒸発する有機溶剤を作業
者が常に吸引することとなり、作業者が不快な思いをし
たり、ときには健康を害する場合もあった。また、近年
の環境保護に対する配慮から、より有機溶剤成分の少な
いペーストが望まれるようになってきた。
【0012】そこで、この様なスクリーン印刷法の欠
点、特に、内部電極パターンの歪みや滲みを解消する方
法として、例えば、特開平2−58397号公報に記載
の方法が開発されている。すなわち、この方法は、支持
体上の所望するパターン以外の領域にフッ素樹脂を塗布
し、かつ、フッ素樹脂が塗布された支持体上に内部電極
用インクをグラビア印刷法等にてベタ塗りした後、フッ
素樹脂の内部電極用インクを反発させる力を利用し、エ
アー等でフッ素樹脂上の内部電極用インクを吹き飛ばす
ことにより歪みや滲みのない電極パターンを形成する方
法であった。
【0013】しかし、この方法ではフッ素樹脂上の内部
電極用インクは吹き飛ばされてしまうため、その多くが
利用できなくなりコストアップを招く問題を有してい
た。
【0014】この様な技術的背景の下、上記スクリーン
印刷法の問題を解決する全く新しい内部電極パターンの
形成方法として、液滴を飛翔させて誘電体シート上に内
部電極パターンの形成を行うインクジェット印刷方式が
提案されている。
【0015】すなわち、このインクジェット印刷方式と
は、内部電極用インク(通常、水性インクが適用されて
いる)が収容されるインク室の内部体積を急激に減少さ
せてインク排出口から上記インクを噴射させ、被印刷体
である誘電体シート上に印刷を行う方式である。そし
て、上記インク排出口は複数の小さなドット状の孔から
成っており、かつ、ドット毎にインク噴射の有無を制御
できるようになっている。また、印刷パターンの形成
は、被印刷物である誘電体シートの移動、上記インク排
出口の移動、ドット毎のインク噴射の有無を制御するこ
とにより行われる。尚、これ等の制御は、主にコンピュ
ータからの制御信号により行われる。
【0016】そして、このインクジェット印刷方式を適
用した場合の利点としては以下の点が挙げられる。ま
ず、スクリーン印刷法のようなメッシュを使用しないの
で印刷パターンの歪みなどは一切生じないこと、印刷さ
れるパターンはコンピュータ等からそのパターンを入力
することで行えるためスクリーン作成用の時間は基本的
に必要がなく作業時間の大幅な短縮が図れる。また、内
部電極用水性インクはインクカートリッジと呼ばれるイ
ンク容器に収容されるため、インク中に含まれる有機溶
剤の大気中への蒸発は抑制され、健康への悪影響、臭い
による不快感が大幅に改善される。更に、インク排出口
は被印刷物である誘電体シートと非接触であるため毛細
管現象による滲みの発生がなく、また、スクリーン印刷
法での印刷パターンの歪みも生じないため、従来法より
狭ピッチ化が図れる等の利点を有している。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】この様にインクジェッ
ト印刷方式による内部電極の形成方法は非常に有望視さ
れているが、現実的には様々な特性において満足できる
状態には至っておらず、実際に利用されるためには未だ
解決すべき多くの課題を有していた。
【0018】その課題の一つに、インクジェット印刷方
式に適用される内部電極用水性インクの問題があった。
すなわち、この内部電極用水性インクは、金属粉末、水
溶性樹脂、及び、水と水溶性有機溶剤との混合溶剤を主
成分としているが、この内部電極用水性インク中に含ま
れている金属粉末等の固形分が分離、沈澱し易いといっ
た問題があった。そして、内部電極用水性インク中の固
形分が分離、沈降すると、この固形分がインクジェット
印刷装置におけるインク通路やインク排出口を塞いでし
まうことから、インクの噴射が妨げられ上記内部電極用
水性インクの安定した打ち出しが困難となる問題点を有
していた。
【0019】更に、内部電極用水性インクの保存中に分
離した金属粉末等の固形分が固いケーキ状になり易く、
ホモジナイザー処理等の機械的方法で再分散を試みても
元のような分散状態が得られず、もはや内部電極用水性
インクとして利用できなくなる問題点を有していた。
【0020】本発明はこの様な問題点に着目してなされ
たもので、その課題とするところは、インク組成物中に
おける金属粉末等の固形分の分離沈澱が抑制され、たと
え固形分の分離沈澱が起ってもホモジナイザー等の機械
的分散処理を施すことにより簡単に再利用が可能となる
積層セラミックコンデンサにおける内部電極用水性イン
クの製造方法を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】すなわち、請求項1に係
る発明は、誘電体シートにより形成された複数の誘電体
層と内部電極とが交互に積層されたコンデンサ本体と、
コンデンサ本体外側に設けられ上記内部電極群に接続さ
れた一対の外部電極とを備える積層セラミックコンデン
サの作成時にインクジェット印刷方式にて製膜されると
共に、金属粉末、水溶性樹脂、及び、水と水溶性有機溶
剤との混合溶剤を主成分とした積層セラミックコンデン
サにおける内部電極用水性インクの製造方法を前提と
し、金属粉末、水溶性樹脂、及び、上記混合溶剤を主成
分とするインク組成物を調製した後、このインク組成物
を50〜70℃の条件で3〜40分間加熱処理を施すこ
とを特徴とするものである。
【0022】そして、この請求項1記載の発明に係る内
部電極用水性インクの製造方法によれば、金属粉末、水
溶性樹脂、及び、混合溶剤を主成分とするインク組成物
を適宜調製した後、このインク組成物に対し50〜70
℃の条件で3〜40分間加熱処理を施しているため金属
粉末等固形分の分散性が改善され、これによりインク組
成物中における固形分の分離沈澱が抑制されると共に、
たとえ固形分の分離沈澱が起ってもホモジナイザー等の
機械的分散処理を施すことにより簡単に再分散させるこ
とが可能となる。
【0023】従って、本発明方法により得られた内部電
極用水性インクを適用した場合、インクジェット印刷装
置におけるインク通路やインク排出口が上記内部電極用
水性インク中の固形分にて塞がれる危険性がなくなるた
め、内部電極用水性インクの安定した打ち出しが可能と
なり、かつ、インク保存中において固形分の分離沈澱が
起こっても機械的分散処理を施すことにより簡単に再分
散できることから内部電極用水性インクの長期利用を図
ることが可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
【0025】本発明方法により製造される内部電極用水
性インクは、金属粉末、水溶性樹脂、及び、水と水溶性
有機溶剤との混合溶剤を少なくとも含有している。
【0026】まず、上記金属粉末としては、特別な制限
なしにMLCCの内部電極に使用されている金属粉末を
使用することができ、例えば、Pd、Pt、Ag、Ag
−Pd合金等の貴金属粉末、及び、Cu、Ni、Co、
Mo、W等の卑金属粉末が挙げられる。また、金属粉末
の粒径は5μm以下が望ましく、さらに好ましくは1μ
m以下である。この粒径が5μmを越えるとMLCCの
耐電圧性等が劣る等の問題を生ずる場合がある。
【0027】また、インク組成物中における金属粉末の
含有率は、0.1〜40重量%が望ましく、より好まし
くは0.5〜20重量%である。金属粉末の含有率が4
0重量%を越えた場合にはインク組成物中の固形分の分
離、沈澱が激しくなり、また、上記含有率が0.1重量
%未満の場合には金属粉末の濃度が低過ぎて目的とする
内部電極の膜厚を得ることが困難となる。
【0028】次に、上記水溶性樹脂としては、メチルセ
ルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース
誘導体、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリド
ン類、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル酸エステル
共重合体等が例示され、また、これ等樹脂を単独若しく
は2種以上組み合わせて使用する。
【0029】また、インク組成物中における水溶性樹脂
の含有率は、0.06〜20重量%の範囲が望ましく、
より好ましくは0.1〜5重量%の範囲である。水溶性
樹脂の含有率が0.06重量%未満である場合には金属
粉末の分離、沈澱が激しくなり、また、上記含有率が2
0重量%を越えた場合にはMLCCの焼成工程中におい
て樹脂の熱分解によるガスが多量に発生し、デラミネー
ション(層間剥離現象)と呼ばれる内部構造欠陥の発生
原因になり易くなる。
【0030】次に、上記混合溶剤の一方を構成する水と
しては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水
等の純水、超純水を用いることができる。より好ましく
は、カビやバクテリアの発生を防止するため、紫外線照
射等により滅菌した水を適用することが望ましい。ま
た、もう一方を構成する有機溶剤は水と相溶性を有する
水溶性有機溶剤が適用され、より好ましくは水よりも小
さい蒸気圧を有する水溶性有機溶剤を適用することが望
ましい。具体的には、エチレングリコール、プロピレン
グリコール等のアルコール類、ジエチレングリコールジ
メチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテ
ル等のエーテル類、アセトニルアセトン等のケトン類等
が例示される。また、これ等水溶性有機溶剤を2種以上
組み合わせて適用してもよい。
【0031】また、水と水溶性有機溶剤との混合比につ
いては特に限定されないが、調合されたインク組成物の
粘度が25℃において300cP(センチポアズ)以下
になるように調整することが望ましい。上記粘度が30
0cPを越えた場合、インクジェット印刷装置によるイ
ンクの噴射が安定して行えなくなることがあるからであ
る。
【0032】また、インク組成物中における上記混合溶
剤の含有率については、50重量%〜99.5重量%の
範囲が望ましい。上記含有率が50重量%未満の場合、
インクの粘度が高過ぎてインクの噴射を安定して行えな
くなることがあり、反対に上記含有率が99.5重量%
を越えた場合には金属粉末の分散安定性が著しく悪化
し、分離、沈澱が起こり易くなるからである。
【0033】尚、上述した金属粉末、水溶性樹脂、及
び、水と水溶性有機溶剤との混合溶剤を適宜調合し、か
つ、必要に応じて適宜添加剤を配合した後、これ等成分
を適当な方法で分散、混合することによりインク組成物
を調製することができる。具体的な分散、混合手法とし
ては、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロール
ミル、超音波ホモジナイザー、ジェットミル等が例示さ
れる。
【0034】そして、本発明においては、金属粉末、水
溶性樹脂、及び、上記混合溶剤を主成分とするインク組
成物を調製した後、このインク組成物を50〜70℃の
条件で3〜40分間加熱処理を施すことを特徴とする。
加熱温度が50℃未満であったり加熱時間が3分未満で
あると加熱処理の効果が得られず、反対に加熱温度が7
0℃を越えたり加熱時間が40分を越えると加熱中にイ
ンク組成物中の固形分が分離、沈澱してしまうことがあ
る。従って、上記加熱処理は、50〜70℃の条件で3
〜40分間行うことを要する。尚、上記加熱処理は、イ
ンク組成物の撹拌混合処理と同時に行ってもよいし、撹
拌混合処理後に行ってもよく任意である。ここで、この
加熱処理によりインク組成物中における金属粉末等固形
分の分散性が改善される理由については未だ解明されて
いないが、本発明者等は上記加熱処理によりインク組成
物中における樹脂成分の物性変化あるいはゲル化等が起
こり、これ等が関連しあって上記固形分の分散性が改善
されたものと推論している。
【0035】
【実施例】以下、実施例により本発明をより具体的に説
明する。
【0036】[実施例]メチルセルロース[信越化学工
業(株)社製]10gを、プロピレングリコール10g
と蒸留水80gとで構成された混合溶液に配合し、撹
拌、加熱しながら溶解させた。
【0037】次に、ニッケル粉末10g、メチルセルロ
ースが溶解された上記混合溶液20g、プロピレングリ
コール10g、及び、蒸留水60gを混合し、3本ロー
ルミルにて混練してインク組成物を得た。
【0038】次いで、得られたインク組成物を55℃で
3分間加熱、撹拌処理したものを実施例1、65℃で3
分間加熱、撹拌処理したものを実施例2、55℃で30
分間加熱、撹拌処理したものを実施例3、65℃で30
分間加熱、撹拌処理したものを実施例4とし、各実施例
に係る内部電極用水性インクを得た。
【0039】[比較例]実施例と同様の工程に従って同
一組成のインク組成物を調製し、次いで得られたインク
組成物を加熱処理しないものを比較例1、得られたイン
ク組成物を45℃で1分間加熱、撹拌処理したものを比
較例2、得られたインク組成物を55℃で1分間加熱、
撹拌処理したものを比較例3、得られたインク組成物を
65℃で1分間加熱、撹拌処理したものを比較例4、得
られたインク組成物を75℃で1分間加熱、撹拌処理し
たものを比較例5、得られたインク組成物を45℃で3
分間加熱、撹拌処理したものを比較例6、得られたイン
ク組成物を75℃で3分間加熱、撹拌処理したものを比
較例7、得られたインク組成物を45℃で30分間加
熱、撹拌処理したものを比較例8、得られたインク組成
物を75℃で30分間加熱、撹拌処理したものを比較例
9、得られたインク組成物を45℃で45分間加熱、撹
拌処理したものを比較例10、得られたインク組成物を
55℃で45分間加熱、撹拌処理したものを比較例1
1、得られたインク組成物を65℃で45分間加熱、撹
拌処理したものを比較例12、得られたインク組成物を
75℃で45分間加熱、撹拌処理したものを比較例13
とし、各比較例に係る内部電極用水性インクを得た。
【0040】『評価』次に、得られた実施例と比較例に
係る内部電極用水性インクについて、以下に定義される
「分散安定性」と「再分散性」を評価した。
【0041】「分散安定性」各比較例及び各実施例に係
る内部電極用水性インク50gをスクリュー瓶に入れ、
蓋をし40℃にて静置した。そして、内部電極用水性イ
ンク中の固形分が分離するまでの時間を測定し、以下の
ように評価した。
【0042】300分間以上分離、沈澱が生じなかった
ものを○、60分間までで分離、沈澱が生じたものを
△、20分間までで分離、沈澱が生じたものを×とし
た。
【0043】その結果を以下の表1に記載する。
【0044】「再分散性」各比較例及び各実施例に係る
内部電極用水性インク50gをスクリュー瓶に入れ、蓋
をし40℃にて30日間静置した。
【0045】その後、各内部電極用水性インクについて
出力150W、発振周波数20kHzの超音波ホモジナ
イザーにて30秒間分散処理を行った。
【0046】そして、再分散処理されたこれ等内部電極
用水性インクをインクジェットプリンター(セイコーエ
プソン株式会社製 MJ−500C)に充填し、パター
ンピッチ0.5mm、1mm角べた塗りパターンの連続
印刷を行い、印字ができなくなるまでの時間を測定し、
以下のように評価した。
【0047】180分間以上の連続印刷が可能であるも
のを○、5〜180分間までの連続印刷が可能であるも
のを△、全く印字ができないか、5分間までで印字がで
きなくなるものを×とした。
【0048】その結果を以下の表1に記載する。
【0049】『評価結果』 「分散安定性について」加熱処理を全く行っていない比
較例1に係る内部電極用水性インクの場合、表1の結果
から明らかなように分散安定性に劣り、40℃にて静置
すると20分間までに分離、沈澱が生じた。また、加熱
温度が75℃と高温条件の比較例5、7、9、13に係
る内部電極用水性インクも比較例1と同様、分散安定性
が劣っていた。
【0050】これに対し、各実施例に係る内部電極用水
性インクは分散安定性に優れており、いずれのインクも
300分間以上分離、沈澱が起こらなかった。
【0051】「再分散性について」加熱処理条件が50
〜70℃で3〜40分間の各実施例に係る内部電極用水
性インクは、超音波ホモジナイザー処理を行うことで固
形分が再分散し、安定してインクジェットプリンターに
よる打ち出しが可能であった。
【0052】これに対し、各比較例に係る内部電極用水
性インクは再分散性が悪く、超音波ホモジナイザー処理
を行っても固形分が再分散せず、インクジェットプリン
ターによる安定した連続打ち出しが困難であった。
【0053】
【表1】
【0054】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、金属粉
末、水溶性樹脂、及び、混合溶剤を主成分とするインク
組成物を適宜調製した後、このインク組成物に対し50
〜70℃の条件で3〜40分間加熱処理を施しているた
め金属粉末等固形分の分散性が改善され、これによりイ
ンク組成物中における固形分の分離沈澱が抑制されると
共に、たとえ固形分の分離沈澱が起ってもホモジナイザ
ー等の機械的分散処理を施すことにより簡単に再分散さ
せることが可能となる。
【0055】従って、本発明方法により得られた内部電
極用水性インクを適用した場合、インクジェット印刷装
置におけるインク通路やインク排出口が上記内部電極用
水性インク中の固形分にて塞がれる危険性がなくなるた
め、内部電極用水性インクの安定した打ち出しが可能と
なり、かつ、インク保存中において固形分の分離沈澱が
起こっても機械的分散処理を施すことにより簡単に再分
散できることから内部電極用水性インクの長期利用が図
れる効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は積層セラミックコンデンサの概略
斜視図であり、図1(B)は図1(A)の一部切欠断面
図である。
【符号の説明】
a:積層セラミックコンデンサ b:誘電体層 c1:内部電極 c2:内部電極 d:コンデンサ本体 e1:外部電極 e2:外部電極

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】誘電体シートにより形成された複数の誘電
    体層と内部電極とが交互に積層されたコンデンサ本体
    と、コンデンサ本体外側に設けられ上記内部電極群に接
    続された一対の外部電極とを備える積層セラミックコン
    デンサの作成時にインクジェット印刷方式にて製膜され
    ると共に、金属粉末、水溶性樹脂、及び、水と水溶性有
    機溶剤との混合溶剤を主成分とした積層セラミックコン
    デンサにおける内部電極用水性インクの製造方法におい
    て、 金属粉末、水溶性樹脂、及び、上記混合溶剤を主成分と
    するインク組成物を調製した後、このインク組成物を5
    0〜70℃の条件で3〜40分間加熱処理を施すことを
    特徴とする積層セラミックコンデンサにおける内部電極
    用水性インクの製造方法。
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