JPH11100616A - 方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

方向性電磁鋼板の製造方法

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JPH11100616A
JPH11100616A JP31401897A JP31401897A JPH11100616A JP H11100616 A JPH11100616 A JP H11100616A JP 31401897 A JP31401897 A JP 31401897A JP 31401897 A JP31401897 A JP 31401897A JP H11100616 A JPH11100616 A JP H11100616A
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annealing
steel sheet
grain
alumina
sheet
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JP31401897A
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Takahide Shimazu
高英 島津
Shuichi Yamazaki
修一 山崎
Kazutoshi Takeda
和年 竹田
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の連続焼鈍による脱炭焼鈍工程を省略す
る製造プロセスで高位安定した磁気特性を有する方向性
電磁鋼板を製造する方法を提供する。 【解決手段】 通常の方向性電磁鋼板の製造方法におい
て、熱延板を焼鈍するかあるいはすることなく、中間焼
鈍をはさむ二回の冷間圧延により所定の製品板厚とし、
成分組成が重量%で、 C:0.005〜0.06% 、Si:2〜4%、Al
≦0.01% 、 Mn:0.03〜0.2%、S または Se:0.01〜0.04%
、 N≦0.01% を含有し、残部が実質的にFeである冷
延板に対して、続く、連続の脱炭焼鈍を実施することな
しに、焼鈍隔離剤としてアルミナを片面当り50〜500g/m
2 をドライコーティングしてから、非酸化性雰囲気中で
高温バッチ焼鈍を行うことを特徴とする一次皮膜のない
方向性電磁鋼板の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として変圧器そ
の他の電気機器の鉄芯として利用される方向性電磁鋼板
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】方向性電磁鋼板は、磁気鉄芯として多く
の電気機器に利用されている。方向性電磁鋼板は、製品
の結晶方位を{110}<001>方位(Goss方位とも
称される)に高度に集積させたものである。方向性電磁
鋼板の製造技術には古くて永い歴史がある。N.P.Gossに
よる日本特許第129409号(特公昭13−5046
号、米国特許1965559号,1934年)におい
て、熱延板に対して、焼鈍をはさむ二回冷延と続く、高
温仕上焼鈍によって方向性電磁鋼板が造れることが開示
された。しかしながら、この当時、Si以外の成分組成
の制御、鉄損を改善する脱炭焼鈍および仕上バッチ焼鈍
のための焼鈍分離剤塗布の考えは無かったようである。
その後、 V.W.Carpenterによる米国特許第228746
6号(1942年)で、仕上焼鈍前のC量を低く制限す
ることが、Goss方位の形成に有利であることが発見さ
れ、脱炭の手段として熱延板のミルスケール付きのまま
の焼鈍(スケール脱炭)が提案され、バッチの脱炭焼鈍
で0.01%以下のC量を確認している。今日のような
冷延後の鋼板を連続焼鈍で脱炭する最初の特許は、 V.
W.Carpenterによる米国特許第2287467号(19
42年)であろう。
【0003】更に、 V.W.Carpenter等は、日本特許第1
96244号(特公昭27−2409号、米国特許第2
492682号,1949年)において、最終冷延板を
脱炭焼鈍するに際して、鋼板表層にシリカを形成させて
から、焼鈍隔離剤(マグネシヤ)を塗布し、続く、高温
のバッチ焼鈍(仕上焼鈍)においてシリカと酸化マグネ
シュウムを反応させフォルステライトを絶縁皮膜とな
す、脱炭焼鈍、焼鈍分離剤と絶縁皮膜の組み合わせ発明
を開示した。そして、この脱炭焼鈍を省略した場合、皮
膜の形成に悪影響があるだけでなく、仕上焼鈍では炭素
量がむらがあると記載されている。
【0004】現在、工業化されている方向性電磁鋼板の
製造プロセスは、最終冷延板を脱炭焼鈍させてから、表
層に薄いシリカ主体の層を形成させ、酸化マグネシュウ
ム主体のコーティングを施し、仕上焼鈍でフォルステラ
イトを生成させるこの発明方法が採用されている。
【0005】この脱炭焼鈍は、通常、最終冷延の0.1
〜0.6mm厚で、700〜900℃の温度で湿潤水素・
窒素気流中で1〜5分実施されるものである。しかしな
がら、連続焼鈍炉で均熱時間を1〜5分とすることは、
炉長を長くする必要があるし、また、生産性にも問題が
あったため、脱炭焼鈍工程を省略することが長年の課題
であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の点に鑑
み、最終冷延後に採用されて来た現行の、所謂、脱炭焼
鈍を省略するプロセスにより、現行の脱炭焼鈍を実施す
るプロセスで製造された製品に得られる品質特性を維持
するか、更に改善させ、且つ、製造コストを低減した一
方向性電磁鋼板の製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は以下の構
成を要旨とする。 (1) 通常の方向性電磁鋼板の製造方法において、熱延
板を焼鈍するかあるいはすることなく、中間焼鈍をはさ
む二回の冷間圧延により所定の製品板厚とし、成分組成
が重量%で、 C :0.005〜0.06%、 Si:2〜4%、 Al≦0.01%、 Mn:0.03〜0.2%、 SまたはSe:0.01〜0.04%、N ≦0.01% を含有し、残部が実質的にFeである冷延板に対して、
続く、連続の脱炭焼鈍を実施することなしに、焼鈍隔離
剤としてアルミナを片面当り50〜500g/m2 をド
ライコーティングしてから、非酸化性雰囲気中で高温バ
ッチ焼鈍を行うことを特徴とする一次皮膜のない方向性
電磁鋼板の製造方法。
【0008】(2) 冷延板が、更に、成分組成として重
量比で、 Cu≦0.3%、 Sn≦0.2、 Sb≦0.1%、 Mo≦0.2% の一種または二種以上を含有することを特徴とする前項
(1) 記載の一次皮膜のない方向性電磁鋼板の製造方
法。
【0009】(3) 焼鈍隔離剤が、アルミナにCa化合
物を重量比で1〜50%添加したものであり、アルミナ
として、片面当り2g/m2 以上、50g/m2 未満を
ドライコーティングすることを特徴とする前項 (1) ま
たは (2) 記載の一次皮膜のない方向性電磁鋼板の製造
方法。
【0010】(4) 焼鈍隔離剤が、更に、Bi化合物を
重量比で0.1〜30%添加したものであることを特徴
とする前項 (3) 記載の一次皮膜のない方向性電磁鋼板
の製造方法。
【0011】本発明のポイントは、5点ある。第1点目
は、本発明では、従来の所謂、湿潤水素、窒素雰囲気中
での脱炭連続焼鈍を省略することである。なお、従来プ
ロセスである脱炭焼鈍では、C量を磁気時効の面から
0.003%以下とすること、一次再結晶をさせること
および鋼板表層にシリカを形成さすことが行われてい
た。
【0012】第2点目は、本発明プロセスでは、高温の
バッチ仕上焼鈍工程において純化(脱炭、脱Sまたは脱
Seおよび脱窒)と一次再結晶とを、従来の二次再結晶
と不純物の除去に加えて実施すること。
【0013】第3点目は、最終冷延後の鋼板にアルミナ
隔離剤をドライコーティングすれば、バッチ仕上焼鈍で
脱炭を行わせることが可能であり、二次再結晶も安定す
ることを発見したことである。バッチ仕上焼鈍で脱炭を
可能とするためには、従来の脱炭焼鈍板にある鋼板表層
の緻密なシリカ層があってはならないし、同時に、バッ
チ仕上焼鈍中にシリカや従来のフォルステライトなどの
酸化層があってはならない。
【0014】第4点目は、焼鈍分離剤としてアルミナ単
独をコーティングする場合の難点は、脱硫にあって、こ
のため鉄損が劣化することである。その対策として、ア
ルミナ塗布量を所定量以上とするか、脱Sまたは脱Se
促進剤として、例えば、CaOを添加すれば脱Sまたは
脱Seに問題ない。
【0015】第5点目は、CaO添加した場合、仕上焼
鈍後の鋼板表面にまだら状(一部)にCaSまたはCa
Seが形成されて美観を損ねることがある。この対策と
してBi化合物が有効であることを見出したことであ
る。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の限定理由について
説明する。最終冷延板のC量は、0.005〜0.06
%に制限する。最終冷延板のC量が0.005%未満で
あったり、0.06%を超えると二次再結晶不良とな
る。このため、最終冷延板のC量を0.005〜0.0
5%とする。この最終冷延板のC量は、従来プロセスの
C量とほとんど同じである。なお、スラブでのC量は、
特に制限するものでないが、従来の0.02〜0.1%
が好ましい。また、製品のC量は、0.003%以下が
好ましい。0.003%超では、磁気時効の問題がある
からである。
【0017】Si量は、2〜4%とする。Siは鋼板の
固有抵抗を増やしてうず電流損を低減させるのに有効で
ある。下限を2%とするのは、2%未満ではα−γ変態
を高温仕上焼鈍中に生じるため、Goss方位が形成されな
いし、変態を避けるため仕上焼鈍を低温で実施すれば不
純物の除去に長時間をかけざるを得なくなり工業的でな
い。また、4%を超えると冷延での破断や電気部品への
打抜き工程での割れの問題が大きくなる。このため、S
i量は、2〜4%に制限する。
【0018】Al量は、0.01%以下に制限する。A
lが、0.01%超では二次再結晶不良が起るからであ
る。
【0019】Mn量は、0.03〜0.2%とする。M
nは、MnSを二次再結晶に利用するため必須である。
Mnが、0.03%未満となったり、0.2%超になる
と二次再結晶が不安定なので避けるべきである。
【0020】S量は、0.01〜0.04%に制限す
る。Sは、MnSとして二次再結晶に利用するので必須
であるが、0.01%未満となったり、また0.04%
超となると二次再結晶が不安定となるので避けなければ
ならない。
【0021】Se量は、0.01〜0.04%に制限す
る。Seは、MnSeとして二次再結晶に利用するのに
有効であるが、0.01%未満および0.04%超では
二次再結晶が不安定となるので、避けなければならな
い。なお、公知の如く、SとSeとの併用は二次再結晶
が不安定となるので、避けるほうが好ましい。
【0022】N量は、0.01%以下に制限する。0.
01%超ではブリスターと称されるN2 ガスによる鋼板
表面のふくれが生じるので避けなければならない。
【0023】更に本発明においては、Cu,Sn,S
b,Moを必要に応じて添加する。Cuは、公知のCu
x Sを二次再結晶に利用するのに有効であるが、0.3
%超では添加コストの問題があるので、0.3%以下と
する。
【0024】Sn量は、0.3%以下に制限する。Sn
は、粒界偏析型の元素として二次再結晶の安定化に有効
であるが、添加量が多くなると、熱延板での耳割れが大
きくなるので上限を0.3%とする。
【0025】Sb量は、0.1%以下に制限する。Sb
も粒界偏析型の元素として二次再結晶の安定化に有効で
あるが、添加量が多くなりすぎると、熱延板表面で擦り
傷状の欠陥が多くなるので、上限を0.1%とする。
【0026】Mo量は、0.2%以下に制限する。Mo
はSbを添加した系での熱延でのへげ疵を低減するのに
効果があるが、添加量が多くなると添加コストの問題が
あるため0.2%以下とする。
【0027】次に処理工程について説明する。熱延は、
公知の条件で行う。スラブ加熱温度は、通常の1250
〜1450℃である。
【0028】熱延板の焼鈍は、二次再結晶の安定化に効
果がある。但し、焼鈍コストがかかるので必要に応じて
行えばよい。焼鈍温度は、公知の800〜1200℃で
あればよく、そして連続焼鈍で行うのが一般的である。
このとき、公知のスケール脱炭、若しくは、酸化雰囲気
で脱炭させることも可能である。
【0029】続いて行う冷延工程は、中間焼鈍を挟む2
回の冷延で行う。冷延は、少なくとも1パスに公知の1
00〜400℃での温間圧延を行ってもよい。中間焼鈍
は、通常の連続焼鈍で温度は700〜1100℃で行
う。焼鈍の雰囲気は通常の水素、窒素混合雰囲気でドラ
イでもウエットでも可能である。
【0030】最終冷延による鋼板仕上厚みは、通常の
0.1〜0.6mmである。最終冷延は、レバース圧延で
もタンデム圧延でも可能であるが、強いていうなら、レ
バース圧延のほうが得られる製品磁束密度が少し高いの
で好ましく、また、所謂、温間圧延を実施することも好
ましい。
【0031】続いて従来は、脱炭のための連続焼鈍が行
われてきたが、本発明ではこれを省略する点にもポイン
トがある。
【0032】最終冷延板に焼鈍隔離剤を塗布する。通常
実施される塗布前の冷延板脱脂は、本発明では基本的に
は不要であるが、圧延油の不均一性による塗布むら等の
問題があれば脱脂しても問題はない。塗布の方法は、ド
ライコーティングに限定する。ドライコーティングの方
法としては、例えば、特開昭54−106009号公報
に開示されているような静電塗装の方法や、簡単な粉末
の振り掛け方式でもよい。本発明プロセスの仕上焼鈍で
脱炭を促進するためには、鋼板表面にはバッチ式仕上焼
鈍過程でもシリカ層を極力形成させないことが重要であ
るため、スラリーでの塗布・乾燥は不可で、水分を含ま
ないドライコーティングでなければならない。
【0033】焼鈍隔離剤の種類としては、続く、高温の
バッチ仕上焼鈍で鋼板表面に緻密な酸化膜を形成させな
いものが選択される。即ち、それ自体公知の酸化アルミ
ニュウム(例えば、特公昭48−19050号公報、米
国特許3785882号明細書参照)である。
【0034】アルミナ(酸化アルミニュウム)の粉末の
塗布量は、50〜500g/m2 に制限する。アルミナ
の塗布量は、多い方が仕上焼鈍で脱SまたはSeし易
く、50g/m2 未満では仕上焼鈍後にS量が10ppm
を超えて鉄損が不満となる。脱SまたはSeとしての問
題は、50g/m2 以上の塗布量で解決できるが、あま
り多くなると塗布コストがかかるので500g/m2
下とする。なお、仕上焼鈍の脱炭に関しては、アルミナ
を焼鈍隔離剤として使用する限り、塗布量に関係なく問
題ない。
【0035】上記のように焼鈍隔離剤として、アルミナ
を単独で使う場合、バッチ仕上焼鈍での脱SまたはSe
のために50g/m2 以上も必要であって、隔離剤とし
てのコストの問題や、ルーズコイルとなることから仕上
焼鈍工程での高温熟熱バッチ焼鈍において鋼板の挫屈に
よる形状不良が生じることもあって歩留りが若干劣化す
ることなどの工業的な問題があった。
【0036】しかし、アルミナ中に脱SまたはSe促進
剤を添加すれば薄いコーティングでも脱SまたはSeを
容易に起こさせることができる。脱SまたはSe促進剤
としてに添加するものとして、製鋼工程でよく使用され
るそれ自体公知のCaO,CaF2 などが有効である。
また、CaCO3 などの炭酸カルシュウムやカルシュウ
ムのリン酸塩、硝酸塩、硼酸塩、塩化物なども有効で、
これらの一種または二種以上の混合剤が使用できる。但
し、硫化物を含むものは脱硫の面から好ましくない。
【0037】Ca化合物の添加量は、重量比で1〜50
%とする。1%未満では、バッチ仕上焼鈍での脱Sまた
はSeが不足し、50%超では、仕上焼鈍で速いタイミ
ングから脱SまたはSeが生じて二次再結晶が不安定と
なるためである。なお、この添加量%は、アルミナとC
a化合物を加えた全焼鈍隔離剤中のCa化合物の割合で
ある。Ca化合物を添加する系では、アルミナの塗布量
は、2g/m2 以上、50g/m2 未満とする。2g/
2 未満では、仕上焼鈍中に鋼板同士が焼き付き隔離剤
として用をなさない。また、50g/m2 以上ではアル
ミナ単独系でも脱SまたはSeは問題ないためである。
【0038】Bi化合物を添加する場合は、添加量を
0.1〜30%とする。Bi化合物は、仕上焼鈍後の鋼
板表面全体を金属光沢にする働きがあって、次の絶縁皮
膜を塗布乾燥する工程での皮膜ムラを解消する効果があ
る。この効果は、0.1%以上の添加で得られるが、あ
まり多くなると添加コストの問題があるため30%以下
とする。このBi化合物の重量%は、全焼鈍隔離剤中の
Bi化合物の割合である。なお、絶縁皮膜のムラは、見
てくれ(美観)だけの問題などでBi化合物を省略する
ことも可能である。Bi化合物としては、塩化物、酸化
物、硫化物、水酸化物、弗化物、硝酸塩、硼酸塩並びに
これの混合物とすることができる。
【0039】仕上焼鈍は、従来の通常条件で行う。即
ち、通常の非酸化雰囲気、例えば、水素、窒素混合気流
中でバッチ焼鈍される。二次再結晶後のS,SeやNの
除去のための900以上での高温部の焼鈍は純水素中で
行われる。特に、昇温中に留意すべきことは、水分など
により鋼板表面が酸化されると表層に酸化層が形成され
て脱炭しなくなるので、雰囲気は非酸化性雰囲気である
必要がある。脱炭作用は、900℃以上の高温で行われ
る。
【0040】仕上焼鈍後は、焼鈍隔離剤の除去を水洗ま
たは軽酸洗で行った後、従来のセラミック系絶縁皮膜が
塗布され、この乾燥とコイルセット並びに耳波や中伸び
の形状矯正を兼ねて、連続の張力焼鈍が700〜100
0℃で実施される。
【0041】なお、打抜き用の小型トランスや大型回転
機用として、セラミック系の皮膜に代えて、無方向性電
磁鋼板の絶縁皮膜である有機・無機混合系のコーティン
グとすることもできる。また、仕上焼鈍前または後に、
所謂、磁区制御を実施することも本発明の鉄損を改善す
る手段として有効である。
【0042】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。 [実施例1]重量%で、C:0.042%、Si:3.
5%、Mn:0.05%、S:0.03%、Se:0.
0001%、N:0.002%、Al:0.002%、
Cu:0.1%を含み、残余が実質的にFeのスラブ
を、1400℃に加熱して、2.3mm厚の熱延板とし
た。酸洗してから、0.8mmに冷延し、連続焼鈍を90
0℃で1分間、露点30℃の湿潤水素50%、窒素50
%の雰囲気で実施して、0.3mmまで冷延した。脱脂し
て、この冷延板を分析した結果、C:0.037%であ
ったが、他の元素はスラブ成分と一致した。この冷延板
に、アルミナ粉末を表1の示す塗布量で片面だけに静電
塗装した。次いで、仕上焼鈍するに際し、1200℃ま
で25℃/時間で昇温し、1200℃で25時間均熱し
てから、炉冷する熱サイクルをとったが、雰囲気は昇温
中は30%窒素、70%水素気流中で、1000℃に到
達してから、100%水素に切り替えて最後まで行っ
た。水洗後の鋼板表面は、金属光沢であった。この鋼板
を分析し、得られた結果を表1に示した。
【0043】その後、燐酸アルミ、コロイダルシリカ、
クロム酸系の絶縁皮膜を塗布・乾燥して、800℃で2
時間の窒素中で歪取焼鈍してから、磁性を測定した結果
を表1に併せて示した。
【0044】更に、上記の冷延板を従来の脱炭焼鈍工
程、即ち、840℃×3分均熱を30%H2 、露点50
℃、残部N2 気流中で実施し、MgOをスラリーで塗布
乾燥した。焼き付けは、MgO量として片面6g/m2
である。これに、上記と同じ仕上焼鈍と絶縁皮膜塗布処
理を行ったものを実験No.7に示した。
【0045】
【表1】
【0046】表1に示すように、アルミナの片面当りの
塗布量は、50g/m2 以上でないと脱硫に問題があっ
て、鉄損が劣化することが分かる。
【0047】[実施例2]重量%で、C:0.063
%、Si:2.5%、Mn:0.07%、S:0.03
%、Se:0.0001%、N:0.006%、Al:
0.005%、Sb:0.03%、Mo:0.1%を含
み、残余が実質的にFeのスラブを、1420℃に加熱
して、2.3mm厚の熱延板とした。熱延板焼鈍を900
℃で1分間実施してから、酸洗し、1.3mmに冷延し、
連続焼鈍を850℃で1分間、乾燥水素20%、窒素8
0%の雰囲気で実施して、0.2mmで冷延した。脱脂し
て、分析した結果、成分元素は、C:0.057%であ
ったが、他の元素はスラブ成分と一致した。この冷延板
に、アルミナを片面当り、7g/m2 に酸化カルシュウ
ムとオキシ塩化ビスマスとを表2に示す重量%を添加
し、粉末を鋼板に振り掛けた。次いで、仕上焼鈍するに
際し、850℃で50時間均熱してから1170℃まで
10℃/時間で昇温し5時間均熱してから、炉冷する熱
サイクルをとったが、雰囲気は1170℃までの昇温は
30%水素、70%窒素気流中で、900℃に到達して
から、100%水素に切り替えて最後まで行った。鋼板
表面を観察して表2に示す色調を得た。また、鋼板成分
を分析して表2に示した。
【0048】その後、燐酸アルミ、コロイダルシリカ、
クロム酸系の絶縁皮膜を塗布・乾燥した。乾燥は鋼板の
形状矯正を兼ねて900℃×2分で行った。その後、エ
プスタイン試料を切り出し、800℃で2時間の窒素中
で歪取焼鈍してから、磁性を測定し表2を得た。
【0049】更に、上記の冷延板を従来の脱炭焼鈍工
程、即ち、840℃×3分均熱を30%H2 、露点50
℃、残部N2 気流中で実施し、MgOをスラリーで塗布
乾燥した。焼き付けは、MgO量として片面6g/m2
である。これに、上記と同じ仕上焼鈍と絶縁皮膜塗布処
理を行ったものを実験No.10に示した。
【0050】
【表2】
【0051】表2に示すように、CaO添加量が本発明
範囲の1%以上で、脱硫が良好で鉄損が優れており、ま
た、50%以下で二次再結晶が安定していること、更
に、BiOCl2 の0.1%以上の添加で表面外観が鏡
面の美麗な表面が得られた。
【0052】[実施例3]重量%で、C:0.06%、
Si:3.2%、Mn:0.07%、S:0.006
%、Se:0.03%、N:0.006%、Al:0.
005%、Sb:0.03%、Mo:0.1%を含み、
残余が実質的にFeのスラブを、1400℃に加熱し
て、2.3mm厚の熱延板とした。熱延板焼鈍を900℃
で1分間実施してから、酸洗し、1.0mmに冷延し、連
続焼鈍を850℃で1分間、湿潤水素20%、窒素80
%の雰囲気で実施して、0.2mmまで冷延した。脱脂し
て、分析した結果、成分元素は、C:0.036%であ
ったが、他の元素はスラブ成分と一致した。この冷延板
に、アルミナを片面当り、7g/m2 に酸化カルシュウ
ムとオキシ塩化ビスマスとを表2に示す重量%で添加
し、粉末を鋼板に振り掛けた。次いで、仕上焼鈍するに
際し、850℃で50時間均熱してから1170℃まで
10℃/時間で昇温し、5時間均熱してから、炉冷する
熱サイクルをとったが、雰囲気は1170℃までの昇温
は30%水素、70%窒素気流中で、900℃に到達し
てから、100%水素に切り替えて最後まで行った。鋼
板表面を観察して表3に示す色調を得た。また、鋼板成
分を分析して表3に示した。
【0053】その後、燐酸アルミ、コロイダルシリカ、
クロム酸系の絶縁皮膜を塗布・乾燥した。乾燥は鋼板の
形状矯正を兼ねて900℃×2分で行った。その後、エ
プスタイン試料を切り出し、800℃で2時間の窒素中
で歪取焼鈍してから、磁性を測定し表3を得た。
【0054】更に、上記の冷延板を従来の脱炭焼鈍工
程、即ち、840℃×3分均熱を30%H2 、露点50
℃、残部N2 気流中で実施し、MgOをスラリーで塗布
乾燥した。焼き付けは、MgO量として片面6g/m2
である。これに、上記と同じ仕上焼鈍と絶縁皮膜塗布処
理を行ったものを実験No.10に示した。
【0055】
【表3】
【0056】表3に示すように、CaO添加量が本発明
範囲の1%以上で、脱硫が良好で鉄損が優れており、ま
た、50%以下で二次再結晶が安定していること、更
に、BiOCl2 の0.1%以上の添加で表面外観が鏡
面の美麗な表面が得られた。
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、従来の連続焼鈍による
脱炭焼鈍工程を省略する製造プロセスで高位安定した磁
気特性を有する方向性電磁鋼板が得られた。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 通常の方向性電磁鋼板の製造方法におい
    て、熱延板を焼鈍するかあるいはすることなく、中間焼
    鈍をはさむ二回の冷間圧延により所定の製品板厚とし、
    成分組成が重量%で、 C :0.005〜0.06%、 Si:2〜4%、 Al≦0.01%、 Mn:0.03〜0.2%、 SまたはSe:0.01〜0.04%、N ≦0.01% を含有し、残部が実質的にFeである冷延板に対して、
    続く、連続の脱炭焼鈍を実施することなしに、焼鈍隔離
    剤としてアルミナを片面当り50〜500g/m2 をド
    ライコーティングしてから、非酸化性雰囲気中で高温バ
    ッチ焼鈍を行うことを特徴とする一次皮膜のない方向性
    電磁鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 冷延板が、更に、成分組成として重量比
    で、 Cu≦0.3%、 Sn≦0.2、 Sb≦0.1%、 Mo≦0.2% の一種または二種以上を含有することを特徴とする請求
    項1記載の一次皮膜のない方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 焼鈍隔離剤が、アルミナにCa化合物を
    重量比で1〜50%添加したものであり、アルミナとし
    て、片面当り2g/m2 以上、50g/m2未満をドラ
    イコーティングすることを特徴とする請求項1または2
    記載の一次皮膜のない方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 焼鈍隔離剤が、更に、Bi化合物を重量
    比で0.1〜30%添加したものであることを特徴とす
    る請求項3記載の一次皮膜のない方向性電磁鋼板の製造
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003193142A (ja) * 2001-12-27 2003-07-09 Jfe Steel Kk 磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法
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