JPH1099675A - ヘテロ微粒子融合体およびその製造方法 - Google Patents

ヘテロ微粒子融合体およびその製造方法

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JPH1099675A
JPH1099675A JP25415196A JP25415196A JPH1099675A JP H1099675 A JPH1099675 A JP H1099675A JP 25415196 A JP25415196 A JP 25415196A JP 25415196 A JP25415196 A JP 25415196A JP H1099675 A JPH1099675 A JP H1099675A
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俊一郎 田中
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属微粒子と化合物微粒子というように、異
種の微粒子間の融合を制御された条件下で実現する。 【解決手段】 Al、Mg、Be、Ca、Ce、Ti、
Zr等の金属からなる金属微粒子11と、この金属微粒
子11を構成する金属を含む化合物からなる化合物微粒
子12との融合体であって、金属微粒子11と化合物微
粒子12とは真空雰囲気中での高エネルギービーム13
の同時照射により、金属超微粒子11と化合物微粒子1
2との界面が格子整合するように融合している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属微粒子と化合
物微粒子とのヘテロ融合体およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】金属粒子や金属酸化物粒子等の化合物粒
子には、その粒径を 100nm以下というように超微粒子化
すると、通常の粒子(例えば 1μm 以上)とは異なる特
性が出現する。これは、全原子数に対して表面に存在す
る原子数が増加する、すなわち比表面積が増大するため
に、粒子の特性に対して表面エネルギーの影響を無視で
きなくなるためである。
【0003】上述したような超微粒子は、新しい表面現
象の発見やその概略の掌握等に適していたり、また超微
粒子ではバルクに比べて融点や焼結温度の低下等が起こ
り、それらの性質を各種分野に応用し得る可能性がある
ため、超微粒子自体の物性等に関する研究や超微粒子の
利用方法に関する研究等が進められている。
【0004】従来の超微粒子は、例えば以下に示すよう
な物理的方法や化学的方法で作製されている。すなわ
ち、物理的な超微粒子の製造方法としては、不活性ガス
中で金属等を蒸発させ、ガスとの衝突により冷却・凝縮
させて超微粒子を生成するガス中蒸発法、蒸発源として
スパッタ現象を利用するスパッタリング法、真空下で金
属を加熱し、蒸発した金属原子を有機溶剤と共に有機溶
剤の凝固点以下に冷却した基板上に共蒸着させて超微粒
子を得る金属蒸気合成法、オイル上に金属を蒸着させる
流動油上真空蒸発法等が例示される。
【0005】また、液相を利用した化学的な超微粒子の
製造方法としては、高分子界面活性剤を共存させたアル
コール中で貴金属塩を還流条件下で還元するコロイド
法、金属アルコキシドの加水分解を利用するアルコキシ
ド法、金属塩の混合液に沈殿剤を加えて沈殿粒子を得る
共沈法等が、さらに気相を利用した化学的な超微粒子の
製造方法としては、金属カルボニル化合物等の熱分解反
応により金属超微粒子を得る有機金属化合物の熱分解
法、金属塩化物を反応ガス気流中で還元・酸化または窒
化して超微粒子を得る金属塩化物の還元・酸化・窒化
法、酸化物・含水化物を水素気流中で加熱して還元する
水素中還元法、金属塩溶液をノズルより噴霧し熱風乾燥
させる溶媒蒸発法等が例示される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の超微
粒子に対する研究や開発は、主として超微粒子の集合体
(超微粉体)に関するものであり、超微粒子単体として
の性質や応用、さらには各種操作や制御に関する研究は
十分に行われているとは言えない。これは、上述した従
来の超微粒子の製造方法にも起因しており、従来の製造
方法の多くは超微粒子を集合体として作製するには適す
るものの、超微粒子を粒子単体として得ることが困難で
あったためである。
【0007】このように、超微粒子単体に対する各種操
作や制御に関する研究は十分には行われていないため、
それらに基く超微粒子単体からの応用も具体的には進め
られていない。例えば、超微粒子の単体同士の融合等を
制御された条件の下で実現することによって、超微細生
成物やバルクとは異なる性質を有する物質等の作製が可
能となることが予測され、さらには金属超微粒子と化合
物超微粒子との融合等を制御された条件の下で実現する
ことによって、各種の超微細デバイスや機能材料等の開
発が可能となることが予測されるが、従来の超微粒子に
関する研究、開発過程では得ることができず、超微粒子
の応用展開を妨げている。
【0008】本発明は、例えば金属超微粒子と化合物超
微粒子というように、異種の微粒子間の融合を制御され
た条件下で実現することによって、融合状態等の制御を
可能にしたヘテロ微粒子融合体とその製造方法を提供す
ることを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明における第1のヘ
テロ微粒子融合体は、請求項1に記載したように、金属
微粒子と、前記金属微粒子を構成する金属を含む化合物
からなる化合物微粒子との融合体であって、前記金属微
粒子と化合物微粒子とは、真空雰囲気中での高エネルギ
ービームの同時照射により、前記金属微粒子と化合物微
粒子との界面が格子整合するように融合していることを
特徴としている。
【0010】本発明における第2のヘテロ微粒子融合体
は、請求項5に記載したように、Al、Mg、Be、C
a、Ce、TiおよびZrから選ばれる 1種の金属から
なる金属微粒子と、前記金属を含む化合物からなる化合
物微粒子との融合体であって、前記金属微粒子と化合物
微粒子との融合界面が格子整合していることを特徴とし
ている。
【0011】また、本発明のヘテロ微粒子融合体の製造
方法は、請求項7に記載したように、金属微粒子と、前
記金属微粒子を構成する金属を含む化合物からなる化合
物微粒子とに、真空雰囲気中で同時に高エネルギービー
ムを照射して、前記金属微粒子および化合物微粒子の少
なくとも一方を移動させると共に、前記金属微粒子と化
合物微粒子との界面で格子整合させつつ融合させること
を特徴としている。
【0012】本発明のヘテロ微粒子融合体の製造方法
は、特に請求項8に記載したように、前記高エネルギー
ビームとして 1×1019e/cm2 ・sec 以上の強度を有する
電子線を照射することを特徴としており、さらに請求項
9に記載したように、前記電子線を、その照射方向と平
行な磁場中で照射することを特徴としている。
【0013】すなわち本発明は、隣接する金属微粒子と
その金属を含む化合物微粒子とに、同時に高エネルギー
ビームを照射することによって、これら金属微粒子と化
合物微粒子の少なくとも一方を移動させ、これらを溶融
させることなく、かつ金属微粒子および化合物微粒子の
状態を維持した上で、融合界面で格子整合させつつ融合
させることが可能であることを見出したことに基くもの
である。
【0014】ここで、本発明において金属微粒子および
化合物微粒子とは、粒径が 1μm 以下の微粒子であり、
これらのうち少なくとも一方が高エネルギービームの照
射により移動可能な粒径を有するものとする。この高エ
ネルギービームの照射により移動可能な微粒子として
は、主に粒径 200nm以下の超微粒子が挙げられ、金属微
粒子と化合物微粒子の少なくとも一方が上記したような
超微粒子であることが好ましいが、高エネルギービーム
の種類や照射条件、また当初の金属微粒子と化合物微粒
子の距離等によっては、それ以上の粒径を有する微粒子
であっても、高エネルギービームの照射により移動させ
て融合させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について説明する。
【0016】図1は、本発明によるヘテロ超微粒子融合
体の製造工程の一実施形態を模式的に示す図である。ま
ず、図1(a)に示すように、隣接する金属微粒子1と
化合物微粒子2とに真空雰囲気中で同時に高エネルギー
ビーム3を照射する。
【0017】ここで、金属微粒子1としては、Al微粒
子、Mg微粒子、Be微粒子、Ca微粒子、Ce微粒
子、Ti微粒子、Zr微粒子等が挙げられる。これらの
金属の微粒子1は酸化物の標準生成自由エネルギーが小
さく、通常の方法ではこれら金属単体の微粒子、特に超
微粒子を得ること自体が難しいものであり、さらにその
金属を含む化合物微粒子、例えば金属酸化物微粒子と金
属状態を維持した上で融合させることは到底できなかっ
たものである。これらのうち、特に酸化しやすいAl微
粒子に対して本発明は有効である。
【0018】本発明で使用する金属微粒子1としては、
上記した特に酸化物を形成しやすい金属に限られるもの
ではなく、例えばW微粒子、Mo微粒子、Cu微粒子
等、各種金属の微粒子を適用することが可能である。な
お、W、MoおよびCuは、後に詳述するように金属超
微粒子を形成しやすい元素であり、その意味から本発明
のヘテロ微粒子融合体の一方の出発物質として好適であ
る。
【0019】上述した金属微粒子1は、特に粒径が 0.5
〜 200nmの範囲の金属超微粒子であることが好ましい。
このような金属超微粒子は、後述する高エネルギービー
ム3の照射により比較的容易に移動可能であると共に、
超微粒子としての種々の特性が得られることから、ヘテ
ロ微粒子融合体4の一方の出発物質として好ましく用い
られる。さらに好ましい金属超微粒子の粒径は、移動が
容易であると共に、後述する包み込み融合を容易に実現
し得る 0.5〜 100nmの範囲であり、特に好ましい粒径範
囲は 2〜50nmである。
【0020】ただし、高エネルギービーム3の照射によ
る化合物微粒子2との融合現象のみに着目した場合、化
合物微粒子2の粒径にもよるが、金属微粒子1の粒径は
0.5〜 500nmの範囲であってもよい。このような粒径の
金属微粒子1であっても、高エネルギービーム3の種類
や照射条件、また当初の金属微粒子1と化合物微粒子2
の距離、化合物微粒子2の粒径等によっては、化合物微
粒子2と融合させることができる。なお、金属微粒子1
の粒径が 500nmを超えると、高エネルギービーム3を照
射しても融合現象を誘起することができないおそれが大
きい。
【0021】本発明のヘテロ微粒子融合体の他方の出発
物質となる化合物微粒子2は、金属微粒子1を構成する
金属を含む化合物、例えば金属酸化物、金属炭化物、金
属窒化物、金属硼化物等からなるものである。これらの
うち、例えば結晶系や価数等が異なる数種の状態を比較
的に容易に採り得る金属酸化物が好ましく用いられ、こ
れにより後述する金属微粒子(特に金属超微粒子)およ
び化合物微粒子の作製方法を容易に適用することができ
る。
【0022】このような化合物微粒子2の粒径は20nm〜
1μm の範囲とする。粒径が20nm未満の化合物微粒子2
は作製自体が困難であり、一方粒径が 1μm を超えると
微粒子としての特性が得られない。このように、種々の
粒径を有する化合物微粒子2を金属微粒子1と融合させ
ることができ、特に粒径が20〜 200nmの化合物超微粒子
を用いれば、金属微粒子1として比較的粒径が大きいも
のを使用した場合においても、これら両者の融合を良好
に行うことができる。さらに、金属微粒子1および化合
物微粒子2がいずれも超微粒子である場合には、得られ
るヘテロ超微粒子融合体に新たな特性が出現する可能性
が増大する。
【0023】なお、図1では金属微粒子1が化合物微粒
子2より小さい場合を図示しているが、これに限らず上
述したように化合物微粒子2の方が小さい場合であって
も条件によっては融合させることができるが、活性化し
やすい金属微粒子1を例えば超微粒子(すなわち金属微
粒子1が化合物微粒子2より小さい)とし、これを移動
させつつ化合物微粒子2と融合させる方が容易である。
【0024】上記したような金属微粒子1および化合物
微粒子2は、金属微粒子単体および化合物微粒子単体と
して操作、制御が可能であれば作製方法は特に限定され
るものでなく、種々の製造方法により得られたものを使
用することができるが、特に以下に詳述する準安定化合
物粒子に高エネルギービームを照射して、金属微粒子
(特に金属超微粒子)と安定相からなる化合物微粒子と
を作製する方法を適用したものを用いることが好まし
い。このような方法は、化合物特に酸化物が分解しやす
いW、Mo、Cu等や、準安定化合物粒子(特に準安定
酸化物粒子)が得られやすいAl等に対して好適であ
る。ここでは、Al超微粒子およびAl2 3微粒子を
具体例として説明する。
【0025】すなわち、還元作用を有するカーボン支持
膜等の上に配置したθ−Al2 3微粒子等の準安定化
合物粒子に、真空雰囲気中で 1×1019e/cm2 ・sec 以上
の強度を有する電子線等の高エネルギービームを照射す
る。このような高エネルギービームは、準安定酸化物微
粒子等の局所加熱効果と酸素原子の変位効果等をもたら
す。これらによって、安定相であるα−Al2 3 やA
2 3 の構成金属であるAlからなる超微粒子が生成
する。
【0026】このようにして得られるAl超微粒子は、
表面酸化物を有しない純金属超微粒子であって、いずれ
も単体として分離可能であり、一方の出発物質である金
属微粒子1として使用することができる。また、Al超
微粒子の生成に用いたθ−Al2 3 微粒子や、Al超
微粒子と同時に生成するα−Al2 3 微粒子は、他方
の出発物質である化合物微粒子2として使用することが
できる。
【0027】上述した金属微粒子1と化合物微粒子2に
照射する高エネルギービーム3は、特に限定されるもの
ではなく、金属微粒子1と化合物微粒子2とを融合し得
るエネルギーを有していればよい。例えば、強度が 1×
1019e/cm2 ・sec 以上の電子線、この電子線と同等の強
度を有するイオンビームのような粒子線、レーザのよう
なフォトン、X線、γ線、中性子線等が挙げられるが、
特に 1×1019e/cm2 ・sec 以上の電子線が好ましく用い
られる。
【0028】高エネルギービーム3として電子線を用い
る場合、照射強度が 1×1019e/cm2・sec 未満である
と、ヘテロ微粒子融合体を生成し得るほどに金属微粒子
1と化合物微粒子2、特に金属微粒子1を活性化できな
いおそれがある。言い換えると1×1019e/cm2 ・sec 以
上の強度を有する電子線(3)は、特に金属微粒子の活
性化効果や局所加熱効果等をもたらし、これらによって
ヘテロ微粒子融合体の生成が可能となる。高エネルギー
ビーム3として粒子線、フォトン、X線、γ線、中性子
線等を用いる場合についても同様である。
【0029】また、高エネルギービーム3として電子線
を照射する場合には、その照射方向と平行な磁場中で、
言い換えると電子線の照射軸と一致する軸を有する磁場
中で電子線照射を行うことが好ましい。これにより、電
子線の照射範囲内に存在する金属微粒子1と化合物微粒
子2、特に金属微粒子1にローレンツ力が作用して、金
属微粒子1を容易に移動させることが可能となる。
【0030】高エネルギービーム3の照射雰囲気は、 1
×10-3Pa以下の真空雰囲気とすることが好ましく、これ
によって金属微粒子1の酸化や残留ガス原子の吸着等を
防ぐことができる。また、高エネルギービーム3の照射
は、上述したような還元作用を有するカーボン支持膜上
等で行うことが好ましい。高エネルギービーム3の照射
は、例えば電子顕微鏡(特にTEM装置等)の室温ステ
ージ上等で実施することができる。
【0031】隣接する金属微粒子1と化合物微粒子2と
に、上記したような高エネルギービーム3を同時に照射
すると、金属微粒子1および化合物微粒子2が活性化し
て接近しはじめ、ついには図1(b)に示すように、金
属微粒子1と化合物微粒子2とが融合し、ヘテロ微粒子
融合体4が得られる。
【0032】この際、それぞれの大きさにもよるが、通
常は金属微粒子1が化合物微粒子2に接近するように移
動する。そして、高エネルギービーム3を照射する前の
金属微粒子1と化合物微粒子2との結晶方位等はランダ
ムであるが、金属微粒子1と化合物微粒子2とが融合す
る際には、特定の結晶面を合せて界面エネルギーが小さ
くなるように、例えば金属微粒子1の原子配置が変化
し、図1(b)に示すように、金属微粒子1と化合物微
粒子2とが格子整合した状態で融合したヘテロ微粒子融
合体4が得られる。
【0033】すなわち、金属微粒子1と化合物微粒子2
とは、それぞれの状態を維持した上で、界面が格子整合
するように融合する。金属微粒子1の特定の結晶面1a
と化合物微粒子2の特定の結晶面2aとは平行になって
おり、ヘテロエピタキシャル関係を有している。
【0034】このように、隣接する金属微粒子1と化合
物微粒子2とに、真空雰囲気中で高エネルギービーム3
を同時に照射することによって、金属微粒子1と化合物
微粒子2との状態をそれぞれ維持した上で、融合界面が
格子整合したヘテロ微粒子融合体4が得られる。このヘ
テロ微粒子融合体4は、上記したようにヘテロエピタキ
シャル関係を有するため、安定であると共に界面強度に
優れ、例えば各種超微細生成物、各種デバイス、各種機
能材料等に応用する上で有用である。また、前述したよ
うに、通常の方法では金属単体の超微粒子自体を得るこ
とが難しいAl超微粒子等を用いて、金属状態を維持し
た金属微粒子1と化合物微粒子2との融合体4を得るこ
とができる。
【0035】また、図1(b)に示したヘテロ微粒子融
合体4は、金属微粒子1と化合物微粒子2とが特定の融
合界面を有しているが、このヘテロ微粒子融合体4に対
してさらに高エネルギービーム3を照射すると、図1
(c)に示すように、さらに融合が進行して金属微粒子
1が化合物微粒子2に取り込まれた状態となる。すなわ
ち、金属微粒子1が化合物微粒子2に立体的に包み込ま
れるように融合したヘテロ微粒子融合体4′が得られ
る。このヘテロ微粒子融合体4′においても融合界面の
格子整合性、すなわちヘテロエピタキシャル関係は維持
されている。
【0036】上記した包み込み状態のヘテロ微粒子融合
体4′は、ヘテロエピタキシャル関係を有した上で、金
属微粒子(特に金属超微粒子)1がその金属状態を維持
して化合物微粒子2に包み込まれているため、例えば金
属微粒子1を安定に存在させることができ、例えば各種
超微細生成物、各種デバイス、各種機能材料等に応用す
る上で有用である。また、金属単体の超微粒子自体を得
ることが難しいAl超微粒子等を、化合物微粒子内に安
定に存在させた融合体を得ることができる。
【0037】また、化合物微粒子2として準安定化合物
粒子を用いると、高エネルギービーム3の照射条件等に
よっては、金属微粒子1と化合物微粒子2との融合と同
時に、準安定化合物粒子から安定化合物粒子を生成する
ことができる。これによれば金属微粒子1と安定化合物
粒子とが融合し、この安定化合物粒子がさらに準安定化
合物粒子と融合した複合融合体を得ることができる。
【0038】なお、上述した包み込み状態のヘテロ微粒
子融合体においては、当初の金属微粒子1と化合物微粒
子2の粒径制御等によって、化合物微粒子が金属微粒子
に立体的に包み込まれた状態を実現することもできる。
【0039】上記実施形態では溶融状態を経ていない金
属微粒子1と化合物微粒子2とのヘテロ微粒子融合体4
を室温ステージ上で形成することができる。一般に、制
御された加熱条件下で電子線等の高エネルギービーム3
を照射することは困難であるため、室温ステージ上での
ヘテロ微粒子融合体4の生成を可能にすることは意義が
大きいと共に、溶融させずに融合体の生成が可能である
ため、残留歪やミスフィット転位等の格子欠陥を界面近
傍に形成することがない等の利点が得られる。
【0040】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例について述べ
る。
【0041】実施例1 まず、粒径が約 100nm程度の球状θ−Al2 3 微粒子
(純度=99.8%)を用意し、これをアルコールに分散させ
た後、カーボン支持膜上に塗布、乾燥させた。次いで、
上記球状のθ−Al2 3 微粒子を配置したカーボン支
持膜を、 200kVTEM装置(日本電子社製、JEM-2010
(商品名))の真空室内に配置された室温ステージ上に
設置した。
【0042】次に、上記真空室内を 1×10-5Paの真空度
まで排気した後、カーボン支持膜上に配置された粒径約
100nmのθ−Al2 3 微粒子に、 1×1020e/cm2 ・se
c の電子線(照射径=250nm)を照射した。そして、この
電子線照射によって、θ−Al2 3 微粒子から直径 2
〜30nm程度のAl超微粒子を生成した。また、この際に
直径20〜 100nm程度のα−Al2 3 超微粒子が同時に
生成した。
【0043】上述したAl超微粒子とθ−Al2 3
粒子を使用して、ヘテロ微粒子融合体を生成した。具体
的には、生成したAl超微粒子を有するカーボン支持膜
を、上記TEM装置の真空室内に配置した状態(真空度
を含む)を維持した上で、カーボン支持膜上のAl超微
粒子の中から、θ−Al2 3 微粒子の近傍に位置する
直径が10nm程度のAl超微粒子を選択した。そして、こ
のAl超微粒子とθ−Al2 3 微粒子とに、同時に 1
×1020e/cm2 ・sec の電子線を照射した。
【0044】電子線の照射を行いながらAl超微粒子と
θ−Al2 3 微粒子との状態をインサイチューで観察
した。その結果、Al超微粒子がθ−Al2 3 微粒子
に近付くのが観察された。θ−Al2 3 微粒子はこの
条件下ではほとんど移動しない。さらに電子線を継続し
て照射したところ、電子線の照射開始から 500秒程度経
過した時点でAl超微粒子とθ−Al2 3 微粒子とが
融合した。この状態のTEM観察結果を図2に模式的に
示す。
【0045】図2に示すように、Al超微粒子11とθ
−Al2 3 微粒子12とのヘテロ融合体13は融合界
面が格子整合しており、Al超微粒子11の {200}面と
θ−Al2 3 微粒子12の {113}面とがヘテロエピタ
キシャル関係を有していた。この融合体13の生成に使
用したAl超微粒子11とθ−Al2 3 微粒子12と
は、当初は明確な結晶学的な関係を有していなかったも
のである。
【0046】また、別のAl超微粒子11を用いて、θ
−Al2 3 微粒子12と同時に1×1020e/cm2 ・sec
の電子線を照射したところ、図3のTEM観察結果の模
式図に示されるように、θ−Al2 3 微粒子12の周
囲に直径20〜50nm程度のα−Al2 3 超微粒子14が
生成すると同時に、このα−Al2 3 超微粒子14と
Al超微粒子11とが融合した状態が得られた。このよ
うに、電子線の照射条件や当初のAl超微粒子の形状、
位置等を適宜設定することによって、融合形態を制御す
ることができる。
【0047】実施例2 実施例1でθ−Al2 3 微粒子への電子線照射により
生成した、直径約10nm程度Al超微粒子と直径 100nm以
下のα−Al2 3 超微粒子とを使用して、ヘテロ超微
粒子融合体を生成した。
【0048】具体的には、生成したAl超微粒子とα−
Al2 3 超微粒子とを有するカーボン支持膜を、TE
M装置の真空室内に配置した状態(真空度を含む)を維
持した上で、カーボン支持膜上のAl超微粒子の中か
ら、直径 100nm以下のα−Al2 3 超微粒子の近傍に
位置する、直径が約10nm程度のAl超微粒子を選択し、
これらに同時に 1×1020e/cm2 ・sec の電子線を照射し
た。
【0049】電子線の照射を行いながらAl超微粒子と
α−Al2 3 超微粒子との状態をインサイチューで観
察した。図4(a)は、上記電子線を 120秒照射した後
のTEM観察結果を模式的に示す図であり、この図から
電子線の照射によりAl超微粒子11とα−Al2 3
超微粒子14とが融合しはじめているがことが分かる。
図4(b)は上記電子線をさらに60秒照射した後のTE
M観察結果を模式的に示す図であり、この図から電子線
を継続照射することによりAl超微粒子11とα−Al
2 3 超微粒子14との融合が進行し、Al超微粒子1
1がほぼα−Al2 3 超微粒子14に取り込まれたヘ
テロ融合体15が得られていることが分かる。
【0050】この実施例により得られたヘテロ融合体1
5は、Al超微粒子11とα−Al2 3 超微粒子14
との融合界面が格子整合しており、Al超微粒子11の
{200}面とα−Al2 3 超微粒子14の {110}面とが
ヘテロエピタキシャル関係を有することが確認された。
この融合体13の生成に使用したAl超微粒子11とα
−Al2 3 超微粒子14とは、当初は明確な結晶学的
な関係を有していなかったものである。
【0051】なお、上述したα−Al2 3 超微粒子に
代えて、θ−Al2 3 微粒子と同時にカーボン支持膜
上に分散した燐片状のα−Al2 3 超微粒子を用いた
場合においても、同様なヘテロ融合体を得ることができ
た。
【0052】実施例3 実施例1でθ−Al2 3 粒子への電子線照射により生
成したAl超微粒子とα−Al2 3 微粒子とから、実
施例2とは別のAl超微粒子とα−Al2 3微粒子と
を選択し、ヘテロ微粒子融合体を生成した。
【0053】具体的には、生成したAl超微粒子とα−
Al2 3 微粒子とを有するカーボン支持膜を、TEM
装置の真空室内に配置した状態(真空度を含む)を維持
した上で、カーボン支持膜上のAl超微粒子の中から、
直径約 100nm程度のα−Al2 3 微粒子の近傍に位置
する、直径が約15nm程度のAl超微粒子を選択し、これ
らに同時に 1×1020e/cm2 ・sec の電子線を照射した。
【0054】電子線の照射を行いながらAl超微粒子と
α−Al2 3 微粒子との状態をインサイチューで観察
した。図5(a)は上記電子線を 420秒照射した後のT
EM観察結果を模式的に示す図であり、図5(b)は上
記電子線をさらに 660秒照射した後のTEM観察結果を
模式的に示す図である。
【0055】図5から明らかなように、電子線を 420秒
照射した段階で、Al超微粒子11とα−Al2 3
粒子14とのヘテロ融合体15が生成しており、このヘ
テロ融合体15にさらに 660秒間電子線を照射すること
により、融合が進行してAl超微粒子11がα−Al2
3 微粒子14に包み込まれたヘテロ融合体15′が生
成していることが分かる。この包み込み状態のヘテロ融
合体15′も、融合界面はヘテロエピタキシャル関係を
有していた。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば例
えば室温ステージ上という制御の容易な条件下で、融合
状態等が制御されたヘテロ微粒子融合体を得ることがで
きる。そして、このような本発明のヘテロ微粒子融合体
は、融合状態の制御性や操作性等を有することから、金
属超微粒子と化合物微粒子からの各種応用展開に大きく
寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態によるヘテロ微粒子融合
体の製造過程を模式的に示す図である。
【図2】 本発明の実施例1で作製したヘテロ微粒子融
合体のTEM観察結果を模式的に示す図である。
【図3】 本発明の実施例1で作製した他のヘテロ微粒
子融合体のTEM観察結果を模式的に示す図である。
【図4】 本発明の実施例2で作製したヘテロ超微粒子
融合体のTEM観察結果を模式的に示す図である。
【図5】 本発明の実施例3で作製した他のヘテロ微粒
子融合体のTEM観察結果を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1……金属超微粒子 2……化合物微粒子 3……高エネルギービーム 4……ヘテロ微粒子融合体

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属微粒子と、前記金属微粒子を構成す
    る金属を含む化合物からなる化合物微粒子との融合体で
    あって、 前記金属微粒子と化合物微粒子とは、真空雰囲気中での
    高エネルギービームの同時照射により、前記金属微粒子
    と化合物微粒子との界面が格子整合するように融合して
    いることを特徴とするヘテロ微粒子融合体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のヘテロ微粒子融合体にお
    いて、 前記金属微粒子と化合物微粒子とは、前記高エネルギー
    ビームとして電子線を、その照射方向と平行な磁場中で
    照射することにより融合してなることを特徴とするヘテ
    ロ微粒子融合体。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のヘテロ微粒子融合体にお
    いて、 前記金属微粒子は、前記化合物微粒子に包み込まれるよ
    うに融合していることを特徴とするヘテロ微粒子融合
    体。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のヘテロ微粒子融合体にお
    いて、 前記金属微粒子はAl、Mg、Be、Ca、Ce、T
    i、Zr、W、MoおよびCuから選ばれる 1種の金属
    からなることを特徴とするヘテロ微粒子融合体。
  5. 【請求項5】 Al、Mg、Be、Ca、Ce、Tiお
    よびZrから選ばれる 1種の金属からなる金属微粒子
    と、前記金属を含む化合物からなる化合物微粒子との融
    合体であって、前記金属微粒子と化合物微粒子との融合
    界面が格子整合していることを特徴とするヘテロ微粒子
    融合体。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のヘテロ微粒子融合体にお
    いて、 前記金属微粒子は、前記化合物微粒子に包み込まれるよ
    うに融合していることを特徴とするヘテロ微粒子融合
    体。
  7. 【請求項7】 金属微粒子と、前記金属微粒子を構成す
    る金属を含む化合物からなる化合物微粒子とに、真空雰
    囲気中で同時に高エネルギービームを照射して、前記金
    属微粒子および化合物微粒子の少なくとも一方を移動さ
    せると共に、前記金属微粒子と化合物微粒子との界面で
    格子整合させつつ融合させることを特徴とするヘテロ微
    粒子融合体の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7記載のヘテロ微粒子融合体の製
    造方法において、 前記高エネルギービームとして、 1×1019e/cm2 ・sec
    以上の強度を有する電子線を照射することを特徴とする
    ヘテロ微粒子融合体の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項8記載のヘテロ微粒子融合体の製
    造方法において、 前記電子線を、その照射方向と平行な磁場中で照射する
    ことを特徴とするヘテロ微粒子融合体の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項7記載のヘテロ微粒子融合体の
    製造方法において、 前記金属微粒子としてAl、Mg、Be、Ca、Ce、
    Ti、Zr、W、MoおよびCuから選ばれる 1種の金
    属の微粒子を用いることを特徴とするヘテロ微粒子融合
    体の製造方法。
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