JPH1096726A - 赤血球沈降速度測定管及び赤血球沈降速度の測定方法 - Google Patents

赤血球沈降速度測定管及び赤血球沈降速度の測定方法

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JPH1096726A
JPH1096726A JP9222297A JP9222297A JPH1096726A JP H1096726 A JPH1096726 A JP H1096726A JP 9222297 A JP9222297 A JP 9222297A JP 9222297 A JP9222297 A JP 9222297A JP H1096726 A JPH1096726 A JP H1096726A
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JP
Japan
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erythrocyte sedimentation
tube
sedimentation velocity
blood
needle
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JP9222297A
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English (en)
Inventor
Hideo Anraku
秀雄 安楽
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 検査従事者が血液と接触するおそれを大幅に
低減することができ、かつ廃棄に際しての分別作業を省
略し得る赤血球沈降速度測定管及び赤血球沈降速度の測
定方法を得る。 【解決手段】 両端に開口12b,12cを有する中空
管状容器12の一端12cに表面が水との接触角が80
°以上の材料で構成されている針状細管13を取り付け
てなる赤血球沈降速度測定管11の針状細管13を真空
採血管の針穴シール性部分に刺し通し、全体を倒立させ
て赤血球沈降速度測定管11の開口12bから気体を注
入し、または吸引排気することにより、相対的に真空採
血管内部の気圧を測定管11の内部の気圧よりも高める
ことにより、赤血球沈降速度測定管11に抗凝固血を導
き、全体を正立させた後に赤血球沈降速度を測定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、赤血球沈降速度測
定管及び赤血球沈降速度の測定方法に関し、より詳細に
は、中空管状の容器に抗凝固血を導き、血球成分が一定
時間内に沈降分離したことにより生じる上澄み成分の嵩
高さを測定することにより赤血球沈降速度を測定するの
に用いられる赤血球沈降速度測定管及び該測定管を用い
た赤血球沈降速度の測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】臨床検査においては、疾患の存在を検出
するために、赤血球沈降速度の測定が古くから行われて
いる。赤血球沈降速度の測定は、通常、以下のようにし
て行われている。
【0003】まず、被採血者の血液を、例えばシリンジ
等を用いて採取する。採取された血液に抗凝固剤とし
て、例えば3.2重量%濃度のクエン酸Na3 ・2H2
O水溶液を、血液4容に対して1容加えてよく混合す
る。次に、図1に示す内径1〜3mm程度、外径5〜6
mm程度、及び長さ30cm程度の透明な目盛り付き測
定管1内に、抗凝固剤が混合された血液を注入する。上
記目盛り付き測定管1は、通常はガラスからなり、一般
的には、ウェスターグレン管と称されているものが汎用
されている。
【0004】上記抗凝固血の目盛り付き測定管への注入
は様々な方法で行われている。例えば、シリンジに吸引
した抗凝固血を目盛り付き測定管の一端開口から該目盛
り付き測定管内に押し出す方法、図2(a)に示すよう
に、目盛り付き測定管1の一端を抗凝固血が収納されて
いる容器2に浸し、他端に適当なアダプター3を付けて
シリンジ4を連結し、シリンジ4により吸引する方法、
並びに、目盛り付き測定管を口にくわえて吸い上げる方
法などが行われていた。
【0005】次に、目盛り付き測定管に抗凝固血を注入
した後、該目盛り付き測定管の下端側を粘土様材料で閉
じた後、目盛り付き測定管が垂直方向に延びるように専
用の架台に立てかけ、血球成分の沈降を待つ。静置して
から1時間後及び2時間後に生じた透明な上澄み部分
(血漿)の長さをmm単位で測定し、赤血球沈降速度と
する。
【0006】臨床検査においては、上記mm単位で測定
された長さを健常者の場合と比較し、疾患の有無を推定
する。なお、測定後には上記目盛り付き測定管を洗浄
し、再使用する。
【0007】上述した赤血球沈降速度の測定方法では、
検査従事者は、目盛り付き測定管に抗凝固血を導入する
際、目盛り付き測定管の下端を閉じる際、並びに使用後
の目盛り付き測定管を再使用のために洗浄する際の各段
階において血液に触れる危険にさらされていた。従っ
て、検体がAIDSや血清肝炎などの感染性の強い疾患
に関係している場合、検査従事者がこれらの疾患に感染
するおそれがあった。
【0008】そこで、赤血球沈降速度の測定に際して検
査従事者が血液に接触する可能性を低減するために、種
々の方法が提案されている。実開昭61−70770号
公報には、図2(b)に示すように、採血管5の内周面
に接触しつつ移動され得る外周面を有するピストン6を
目盛り付き測定管1の下部に外挿し、目盛り付き測定管
1をピストン6と共に採血管5内に挿入し、ピストン6
の圧力により血液7を目盛り付き測定管1内に導入する
方法が開示されている。この方法によれば、目盛り付き
測定管1への血液導入に際しての検査従事者と血液との
接触を防止することができるとされている。
【0009】しかしながら、この方法でも、採血管5を
開栓する際に血液飛沫が飛散し、やはり検査従事者が血
液に接触するおそれがあった。さらに、ピストン6の下
部に気泡を巻き込み易く、目盛り付き測定管1内まで気
泡が侵入して測定不能となることがあった。
【0010】他方、実公平3−47605号公報には、
真空採血管をそのまま赤血球沈降速度測定管として転用
することにより、血液感染の危険を低減する方法が開示
されている。
【0011】しかしながら、採血管を赤血球沈降速度測
定管に転用しているため、採血管の長さが長くなる。従
って、内部に予め収容されているクエン酸Na水溶液と
血液との混合が十分に行われなかったり、混和中に気泡
を巻き込み、測定に支障を来たしたりすることがあっ
た。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本願発明者らは、先に
特公平7−69323号公報において、目盛り付き測定
管の一端に採血管の栓体を貫通し得る連通具を設けてな
る赤血球沈降速度測定用治具及び測定方法を提案した。
この発明では、真空採血管が有する血液検体の密封性を
最大限に活かすために、真空採血管を閉栓したままの状
態で血液を目盛り付き測定管に導き得るように、上記連
通具が用いられている。
【0013】しかしながら、真空採血管の栓体を貫通す
るには、比較的大きな力を必要とする。従って、多数の
検体を処理する場合には、上記連通具を備えた赤血球沈
降速度測定用治具は必ずしも適切なものではなかった。
【0014】また、上記発明に別の実施態様として記載
されている採血針様の針状体を用いる方法では、例えば
金属製採血針を用いると、栓体を貫通させるのに必要な
力を低減することができる。しかしながら、金属製採血
針は血液に濡れ易いので、採血管から抜針すると、採血
針表面に多量の血液が付着し、検査従事者が血液に接触
するおそれがあった。加えて、使用する採血針が比較的
長いと、針刺し事故が起こる可能性もあった。さらに、
使用済の赤血球沈降速度測定用治具の廃棄にあたって
は、上記金属製採血針と目盛り付き測定管とを分別する
必要があり、煩雑であった。
【0015】本発明の目的は、さらに検査従事者の血液
感染の危険をより一層大幅に低減することができ、廃棄
に際しての煩雑な分別作業を省略し得る赤血球沈降速度
測定管及び赤血球沈降速度の測定方法を提供することに
ある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を達
成するためになされたものであり、請求項1に記載の発
明は、予め均一に混和された抗凝固血において血球成分
が沈降分離することにより生じる上澄み成分の嵩高さを
測定することにより赤血球沈降速度を測定する方法に用
いられる測定管であって、両端に開口を有する中空管状
容器と、前記中空管状容器の一端に取り付けられてお
り、かつ水との接触角が80°以上の表面を有する針状
細管とを備えることを特徴とする。
【0017】また、請求項1に記載の発明にかかる赤血
球沈降速度測定管では、好ましくは、請求項2に記載の
ように、上記針状細管に嵌合する保護キャップと、保護
キャップを赤血球沈降速度測定管に連結しており、かつ
屈曲自在な部材よりなる連結部材とがさらに備えられ
る。
【0018】また、請求項1に記載の発明にかかる赤血
球沈降速度測定管では、好ましくは、請求項3に記載の
ように、大気圧と連通可能な開口部を有する中空の略円
筒形状からなり、赤血球沈降速度測定管の外周面をスラ
イドすることにより、該針状細管を覆ったり、露出させ
たりすることが可能とされた保護キャップが、赤血球沈
降速度測定管の外周面に装着される。
【0019】また、請求項4に記載の発明は、針穴シー
ル性部分を有する栓体により液密的に閉栓されている採
血管に採取された抗凝固血を用いて赤血球沈降速度を測
定する方法であって、請求項1、2または3に記載の赤
血球沈降速度測定管の前記針状細管を採血管の針穴シー
ル性部分に刺通する工程と、採血管及び赤血球沈降速度
測定管の全体を実質的に倒立させて、採血管が赤血球沈
降速度測定管よりも上側となるように配置する工程と、
刺通されている針状細管の先端が採血管内の抗凝固血に
埋没するように刺通距離を調整する工程と、前記赤血球
沈降速度測定管の他端の開口から前記針状細管を経由し
て採血管内部に気体を注入し、採血管内部の気圧を高め
ることにより、または、該測定管の他端の開口から該測
定管内部の空気を排気して該測定管内部の気圧を減じる
ことにより、相対的に採血管内部の気圧を測定管内部の
気圧より高めることによって赤血球沈降速度測定管に抗
凝固血を導く工程と、採血管及び赤血球沈降速度測定管
の全体を実質的に正立させた後、赤血球沈降速度を測定
する工程とを備えることを特徴とする。
【0020】請求項1に記載の発明では、赤血球沈降速
度を測定するための測定管本体としての中空管状容器
に、上記のように水との接触角が80°以上の表面を有
する針状細管が取り付けられている。上記針状細管の表
面の水との接触角を80°以上とするのは、針状細管の
表面に血液が付着するのを抑制するためである。
【0021】針状細管の表面を、水との接触角が80°
以上とするには、針状細管を構成する材料自体を、水と
の接触角が80°以上の材料で構成する方法のほか、針
状細管の表面に水との接触角が80°以上の材料層を構
成することによって達成してもよい。
【0022】請求項1に記載の発明にかかる赤血球沈降
速度測定管は、特公平7−69323号公報に開示され
ている赤血球沈降速度測定用治具と同様に、閉栓したま
まの真空採血管から抗凝固血を採取するのに好適に用い
られるものである。その場合、真空採血管の栓体から針
状細管を抜去した際に針状細管の表面に血液が付着する
おそれがあるが、上記特定の材料で針状細管が構成され
ているため、針状細管表面への血液の付着が抑制され
る。
【0023】上記接触角は、室温で測定される値であ
り、後退接触角と前進接触角とに差がある場合には、前
進接触角の値が用いられる。水との接触角が80°以上
の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビ
ニル、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポ
リトリフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチ
レン、ポリエチレンテレフタレート、エチルセルロース
などの有機材料を例示することができる。
【0024】また、水との接触角が80°未満の材料か
らなる針状細管の表面に水との接触角が80°以上の層
を構成する場合の例としては、以下のものを挙げること
ができる。例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリカ
ーボネート、ポリメチレンオキサイドなどは水との接触
角が80°未満の材料であるが、これらの材料により針
状細管を構成し、表面に疎水性の被膜を設けて水との接
触角を80°以上としてもよい。疎水性の被膜を設ける
には、上記材料からなる針状細管を成形した後に、例え
ば、ポリジメチルシロキサン、鉱物油などの疎水性油状
液体を細管表面に塗布したり、あるいはフレオンのよう
に樹脂材質を侵し難い媒体にこれらの油状液体を溶解さ
せたり、水中に乳化させたりした後に噴霧塗布すればよ
い。
【0025】また、樹脂の滑剤として周知のステアリン
酸マグネシウムやワックス等を針状細管表面に塗擦して
もよい。あるいは、成形前の樹脂原料に予めポリジメチ
ルシロキサン、鉱物油、ステアリン酸マグネシウムやワ
ックスなどを混合しておき、針状細管を成形すれば、針
状細管表面にこれらの油状成分や滑剤成分が分散し表面
を疎水性とすることができるため、表面の水との接触角
を80°以上とすることができる。
【0026】また、請求項1に記載の発明で用いられる
上記中空管状容器は、赤血球沈降速度測定管の測定管本
体を構成するものであり、特に限定されるものではない
が、透明ないしは半透明のガラスや合成樹脂などからな
り、かつ好ましくは、上記上澄み成分の嵩高さを測定す
るための目盛りが設けられているものが用いられ、従来
より公知のいわゆるウェスターグレン管が用いられ得
る。
【0027】また、上記針状細管は、その先端が、真空
採血管のゴム弾性を有する架橋性あるいは可塑性エラス
トマーからなる栓体を貫通するのに適しているように、
その強度及び先端の鋭利性などが選ばれている。すなわ
ち、後述の針穴シール性を有する栓体を刺通し得るよう
にその強度及び形状が選ばれている。
【0028】請求項2に記載の発明では、上記連結部材
を介して保護キャップが赤血球沈降速度測定管に設けら
れており、それによって抗凝固血の導入後に採血管から
測定管を抜去したときに針状細管の先端の孔を覆うと共
に、針状細管の周囲を囲繞し得るため、検査従事者の血
液感染のおそれをより一層低減することができる。
【0029】請求項3に記載の発明では、赤血球沈降速
度測定管の外周面をスライドすることにより、該針状細
管を覆ったり、露出させたりすることが可能とされた保
護キャップが、赤血球沈降速度測定管の外周面に装着さ
れており、それによって、抗凝固血の導入後に採血管か
ら測定管を抜去したときに針状細管先端の後方から該細
管の周囲を囲い得るため、細管先端に検査従事者の手指
が触れる機会が少なく、血液感染のおそれをより一層低
減することができる。
【0030】請求項4に記載の発明は、上記請求項1、
2または3に記載の赤血球沈降速度測定管を用いて赤血
球沈降速度を測定する方法である。この場合、後述の発
明の実施形態から明らかなように、針状細管が採血管の
針穴シール性を有する栓体に容易に刺通され、かつ針状
細管を採血管の栓体に刺通させた後、実質的に倒立させ
た状態で、赤血球沈降速度測定管の他端の開口から気体
を注入することにより、または、吸引排気することによ
り、相対的に採血管内部の気圧を測定管内部の気圧より
高めることにより、抗凝固血が中空管状容器内に導かれ
る。
【0031】さらに、抗凝固血を赤血球沈降速度測定管
内に導いた後に、全体を実質的に正立させた後に、赤血
球沈降速度を測定する。すなわち、真空採血管内に収容
されている抗凝固血を採取する工程、赤血球沈降速度測
定管内に導く工程、接着沈降速度を測定する工程の全段
階にわたり、検査従事者と血液との接触を効果的に防止
することができる。
【0032】なお、採血管及び赤血球沈降速度測定管の
全体を実質的に正立させた後に、測定用架台あるいは自
動測定装置等に搭載して赤血球沈降速度を測定するが、
両者を分離して測定してもよく、また分離せずにそのま
ま測定してもよい。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の
赤血球沈降速度測定管及び赤血球沈降速度の測定方法の
詳細を説明する。
【0034】図3及び図4は、本発明の一例にかかる赤
血球沈降速度測定管を説明するための分解斜視図及び外
観を示す斜視図である。この赤血球沈降速度測定管11
は、中空管状容器12と、針状細管13とを備える。中
空管状容器12は、測定管本体を構成するものであり、
図3及び図4に示す例ではガラスにより構成されてい
る。もっとも、中空管状容器12は、合成樹脂などの他
の材料で構成されてもよく、好ましくは、内部に抗凝固
血が導入されたことが確認し得るように透明または半透
明性を有するように構成されている。
【0035】また、上記中空管状容器12の寸法は、特
に限定されるものではないが、内部に導入される抗凝固
血の量に応じて適宜の内容積を有する寸法に構成されて
いる。
【0036】中空管状容器12には、目盛り12aが形
成されている。目盛り12aは、好ましくは中空管状容
器12の外表面に形成されるが、内表面に形成されてい
てもよい。目盛り12aは、後述するように血球成分の
沈降により生じる上澄み成分の嵩高さを測定するために
形成されている。従って、所定長さ毎に上記嵩高さを測
定するために目盛り12aが配置されている。
【0037】中空管状容器12の両端には、開口12
b,12cが形成されている。針状細管13は、中空管
状容器12の一端の開口12cに挿入されて固定されて
いる。すなわち、針状細管13は、開口12cの内径と
ほぼ同等か、開口12cの内径よりも若干大きな外径を
有する円筒状の挿入部13aを有する。円筒状挿入部1
3aを開口12c内に挿入することにより、針状細管1
3が中空管状容器12に固定されるように構成されてい
る。
【0038】円筒状挿入部13aの一端には鍔部13b
が設けられている。鍔部13bはその外径が円筒状挿入
部13aより大きくされており、従って、中空管状容器
12の開口12cに針状細管13を挿入した際に、挿入
深度が鍔部13bにより規制される。すなわち、針状細
管13の全体が中空管状容器12内に入り込まないよう
に、上記鍔部13bが設けられている。
【0039】鍔部13bの円筒状挿入部13aが設けら
れている側とは反対側には、針状刺通部13cが設けら
れている。針状刺通部13cは、先端13dが尖らされ
ており、後述の針穴シール性を有する真空採血管の栓体
に刺通され得るように構成されている。
【0040】上記円筒状挿入部13a、鍔部13b及び
針状刺通部13cは、好ましくは合成樹脂により一体的
に成形されるが、それぞれ別部材で構成されているもの
を固着してもよい。
【0041】上記円筒状挿入部13a、鍔部13b及び
針状刺通部13cを貫くように貫通孔13eが形成され
ており、該貫通孔13eは、抗凝固血を中空管状容器1
2に導入するために設けられている。
【0042】また、針状細管13は、表面が水の接触角
が80°以上の材料で構成されており、かつ針状刺通部
13cが真空採血管の栓体を容易に刺通し得るような強
度及び形状とされている。一例を挙げると、針状細管1
3の貫通孔13eに沿う長さ寸法は30mm以下、好ま
しくは20mm以下程度とされる。30mmよりも長い
と、針刺し事故が生じ易くなり、好ましくない。
【0043】なお、針状細管の形状の他の例を図10に
示す。針状細管13Aは、中空管状容器12の開口12
cが設けられている端部の外径とほぼ同等かこれより若
干小さい内径を有する円筒状の外挿部13aを有する。
この外挿部13aを中空管状容器12の端部に外挿させ
ることにより、針状細管13Aが中空管状容器12に固
定されるように構成されている。
【0044】また、図11は、針状細管のさらに他の例
を示す斜視図である。針状細管13Bには、円筒状挿入
部に代えて、円筒状外挿部13fが設けられている。円
筒状外挿部13fは、その内径が、中空管状容器12の
外径と同等か、それよりも若干小さくされており、中空
管状容器12の開口12c側において、中空管状容器1
2に外挿されるように構成されている。また、円筒状外
挿部13f内に中空管状容器12の一端が挿入されるも
のであるため、つば部は設けられていない。円筒状外挿
部13fよりも下方の部分については、図6に示した針
状細管13と同様に構成されている。従って、同一部分
については、同一の参照番号を付することにより、説明
は省略する。
【0045】次に、上記赤血球沈降速度測定管11を用
いた赤血球沈降速度の測定方法の一例を図5を参照しつ
つ説明する。まず、針穴シール性部分を有する栓体によ
り液密的に閉栓されている真空採血管に、抗凝固血を常
法に従って採取する。しかる後、上記栓体に、図4に示
した赤血球沈降速度測定管の針状細管13の針状刺通部
13cを刺通し、その状態で図5に示すように全体を倒
立させる。図5において、14は真空採血管を示し、採
血管本体15と、栓体16とを備える。栓体16は、中
央に針穴シール性を有する部分16aを有する。
【0046】なお、本明細書において、針穴シール性と
は、ゴム状弾性体または熱可塑性エラストマーのような
弾性体により実現し得る性質であり、針状体を刺通させ
ることにより形成された孔が、針状体を抜去した後に自
然に閉塞され、液密性が維持される性質をいうものとす
る。真空採血管14に用いられる栓体16は、通常、上
記針穴シール性を有するように構成されている。
【0047】次に、図5(a)に示すように、針状細管
13の先端13dが採血管14内の抗凝固血17に入り
込み得るように刺通距離を調整する。その状態で、中空
管状容器12の開口12bにベローズポンプ18を気密
に接続し、ベローズポンプ18により中空管状容器12
の内容積に見合った量の空気を注入する。注入された空
気は中空管状容器12及び針状細管13を介して真空採
血管14内に導かれる。そのため、真空採血管14内の
気圧が高まり、抗凝固血17が該圧力の高まりに伴って
中空管状容器12内に流入することになる(図5(b)
参照)。また、図5(a)で、予め圧縮して潰したベロ
ーズポンプを開口12bに気密に接続して、ベローズポ
ンプの復元力を利用して中空管状容器12内部を排気し
ても、相対的に真空採血管14内の気圧は高まり、同じ
く抗凝固血が中空管状容器12内に流入することにな
る。なお、図5(b)ではベローズポンプの図示は省略
してある。
【0048】次に、所定量の抗凝固血17が中空管状容
器12内に導かれた後に、真空採血管14及び赤血球沈
降速度測定管11の全体を実質的に正立させ、静置させ
て赤血球沈降速度を測定する。
【0049】測定に先立ち、赤血球沈降速度測定管11
を真空採血管14から分離してもよく、その場合には赤
血球沈降速度測定管のみを測定架台に立て掛けたり、あ
るいは自動測定装置に供給すればよい。また、真空採血
管14から赤血球沈降速度測定管11を引き抜いた際
に、針状細管13の先端13dから抗凝固血が流出し得
るおそれがある場合には、反対側に位置する開口12b
側に、ベローズポンプを接続したままにしたり、他の手
段で閉塞することにより、内部の抗凝固血の流出を防止
することができる。
【0050】また、真空採血管14に赤血球沈降速度測
定管11が連結された状態のまま測定を行ってもよく、
上述した工程から明らかなように、赤血球沈降速度測定
管11を真空採血管14に突き刺し、赤血球沈降速度測
定管11に抗凝固血17を導入し、さらに赤血球沈降速
度を測定する工程に至るまで、検査従事者が血液と接触
する可能性はほとんどないことがわかる。
【0051】また、針状細管13の表面は水との接触角
が80°以上の材料で構成されている。従って、たとえ
真空採血管14から赤血球沈降速度測定管11を引き抜
いて測定する場合であっても、針状細管13の外表面に
血液はほとんど付着しない。よって、この場合にも、真
空採血管14に本発明の赤血球沈降速度測定管11を突
き刺し、上記赤血球沈降速度を測定する工程が終了する
まで、検査従事者が血液と接触するおそれがほとんどな
いことがわかる。
【0052】なお、図5(a)では、中空管状容器12
内に空気を注入したり、排気したりする部材としてベロ
ーズポンプ18を示したが、ベローズポンプ18に代え
て、シリンジ、ゴム球などの他の気体注入または排気用
部材を用いてもよく、空気以外の他の気体を注入しても
よい。好ましくは、上記気体の注入量は、中空管状容器
12の血液の導入が予定されている部分の容積に応じた
量注入され、それによって上記血液導入部に確実に所望
量の抗凝固血を導入することができる。
【0053】図6は、本発明の赤血球沈降速度測定管に
保護キャップをさらに設けた例を説明するための斜視図
である。図6から明らかなように、針状細管13に屈曲
自在な連結具19が一体的に形成されている。連結具1
9は、図6では薄い帯状の部材で構成されており、従っ
て屈曲自在とされているが、紐状などの他の形状の部材
であってもよい。
【0054】連結具19の他端には保護キャップ20が
連ねられている。図6の例では、保護キャップ20につ
いても上記針状細管13及び連結具19と一体に合成樹
脂により成形された部材として構成されている。もっと
も、保護キャップ20及び連結具19は、それぞれ別体
の部材で構成されて相互に固着されていてもよい。
【0055】保護キャップ20は、略円筒状のスリーブ
20aを有し、スリーブ20aの一端が閉塞されてお
り、閉塞されている部分において周囲にフランジ部20
bが設けられている。上記スリーブ20aの内径は、針
状細管13の針状刺通部13cの外径とほぼ同等とされ
ており、針状細管13の先端13dから被せられること
により、スリーブ20aが針状細管13の針状刺通部1
3cの外表面を被覆し得るように構成されている。従っ
て、抗凝固血17を測定管11に導入した後、測定管1
1を真空採血管14から引き抜いたときに、該保護キャ
ップ20を針状細管13に装着することにより、血液感
染の危険を一層低減できる。
【0056】また、連結具19の長さは、保護キャップ
20により針状細管13の針状刺通部13cを被せる作
業を行い得るように充分長くされている。図6に示した
例では、連結具19及び保護キャップ20が針状細管1
3と一体に構成されていたが、連結具19及び保護キャ
ップ20は、赤血球沈降速度測定管に連結されてさえお
ればよく、針状細管13に直接固定されておらずともよ
い。保護キャップを測定管に連結しておくことにより、
キャップの紛失を効果的に防止できる。
【0057】例えば、図7(a)及び(b)に示すよう
に、連結具19の保護キャップ20が設けられている側
とは反対側にリング21を一体的に形成しておき、リン
グ21を針状細管13の鍔部13bと中空管状容器12
の端部との間において針状細管13の円筒状挿入部13
aの周囲に外挿してもよい。この場合には、針状細管1
3を中空管状容器12に挿入することにより、上記連結
具19の一端が赤血球沈降速度測定管11に固定される
ことになる。
【0058】また、より好ましい実施態様として図8及
び図9に示すように、本発明にかかる赤血球沈降速度測
定管11には、中空管状容器12に設けられた目盛りの
零点に、血液止めフィルター31を挿入し固定したもの
であってもよい。血液止めフィルター31は、乾燥状態
では気体は通過させるが、実質的に液体を通過させず、
湿潤状態では気体も液体も実質的に通過させない疎水性
の連続多孔体により構成されている。この血液止めフィ
ルター31を用いることにより、図9(a),(b)に
示されているように、ベローズポンプによる送気量ある
いは排気量が、中空管状容器12の内容積の大きさに比
べて過大になったとしても、中空管状容器12内に導入
された抗凝固血の液面の設定を極めて容易に行うことが
できる。また、抗凝固血17の導入後に、測定管11を
真空採血管14から引き抜いたときにも抗凝固血の流出
のおそれがなくなる。
【0059】図12は、赤血球沈降速度測定管の他の好
ましい実施態様を示す斜視図である。この態様では、両
端に開口部21aを有する中空円筒形状の保護キャップ
21が、血液止めフィルター31付き赤血球沈降速度測
定管11の針状細管13取付部の上側の外周面に密着し
て装着されており、該保護キャップ21は、該測定管1
1の外周面をスライドすることにより、針状細管13を
覆ったり〔図12(b)〕、露出させたり〔図12
(a)〕することができるようにされている。このスラ
イド操作は、針状細管13を覆うときには針状細管13
の先端13dとは反対方向からのスライド操作となるた
め、針刺し事故に対する不安感を低減させることができ
る。
【0060】また、図8に示した赤血球沈降速度測定管
の場合、赤血球沈降速度測定管11に抗凝固血を導入
し、保護キャップ20を針状細管13に被せると細管先
端13dを気密に封止し、血液汚染を封じ込めることが
できる点では都合がよいが、冬季の低湿度の環境では長
時間放置した時、血液止めフィルター31側から血液中
の水分が蒸発し、時として該フィルター下部に気泡が溜
まることがある。しかしながら、図12に示した赤血球
沈降速度測定管の場合では、針状細管先端13dが大気
圧に対して開放状態であるため、該細管13側から測定
管11内に水分蒸発量に見合った空気の流入が可能であ
り、長時間放置する場合でもフィルター下部に気泡が溜
まるのを防止することができる。
【0061】前述したように、本発明にかかる赤血球沈
降速度測定管は、針穴シール性部分を有する栓体により
液密的に封止されている真空採血管に適用する場合に最
も好ましい効果を発揮し得るが、他の形式の採血管にも
好適に用いることができる。すなわち、ポリエチレンや
ポリプロピレンのように、それ自体は針穴シール性を有
しない熱可塑性樹脂からなる栓体が嵌着されている採血
管を用いて赤血球沈降速度の測定を行う場合にも、本発
明にかかる赤血球沈降速度測定管を用いることができ、
その場合には、例えば栓体に針状細管の外径相当のピン
ホールを予め設けておけばよい。
【0062】
【実施例】以下、本発明の赤血球沈降速度測定管及び沈
降速度測定方法の具体的な実施例及び比較例を挙げて、
本発明を明らかにする。
【0063】(実施例1)赤血球沈降速度測定管の作製 下記の表1の材質欄に記載した材料を用い、図6に示し
た寸法A〜Hが、それぞれ、A=2.5mm、B=1.
5mm、C=6mm、D=0.4mm、E=1mm、F
=5mm、G=3mm、H=10mmであり、鍔部13
bの厚みI=1mmである針状細管を射出成形により作
製した。
【0064】また、図7(a)に示した連結具19の両
端にキャップ20及びリング21が設けられた部材をポ
リプロピレンを射出成形することにより作製した。この
場合、キャップ20におけるスリーブ20aの内径は1
mm、長さ寸法は6mm、フランジ部20bの外径は6
mmとし、連結具19は厚み0.3mm×幅1mm×長
さ25mmとなるように構成し、リング21について
は、内径3mm×外径6mm×厚み1mmとした。
【0065】次に、長さ300mm、外径6mm、内径
2.5mmであり、零点目盛りに血液止めフィルタ31
を挿入してなる図8に示したポリスチレン製赤血球沈降
速度測定管(サンモア社製)の下端に、図7(a),
(b)に示したようにしてリング21を挟み込むように
して針状細管13を挿入し、赤血球沈降速度測定管を組
み立てた。
【0066】評価 赤血球沈降速度測定用プラスチック真空採血管(積水化
学工業社製、商品名:インセパック−R(SP−040
2R))に2mlのうさぎ新鮮血を採取した。この採血
管のゴム栓の採血針孔に沿って、赤血球沈降速度測定管
の針状細管を刺通し、全体を倒立させた状態で、赤血球
沈降速度測定管の他端からピペット用ゴム球を用い、約
2mlの空気を注入した。
【0067】次に、赤血球沈降速度測定管中に血液が導
入されてくる様子を目視にて観察した。この血液導入状
況を下記の表1に示す。血液が血液止めフィルタに達
し、血液導入が終了した赤血球沈降速度測定管を、真空
採血管から抜去し、針状細管表面の血液付着状況を目視
観察した。この血液付着状況を下記の表1に示す。
【0068】結果 また、ピペット用ゴム球を外しキャップを針状細管に被
せ、赤血球沈降速度測定用架台に載置し、1時間後の沈
降速度測定値を測定した。結果を下記の表1の沈降速度
欄に示す。
【0069】下記の表1から明らかなように、表1に示
した何れの材料により針状細管を構成した場合であって
も、赤血球沈降速度測定管に血液が良好に導入され、か
つ赤血球沈降速度測定管を採血管から抜去した場合の針
状細管表面への血液付着もほとんどみられなかった。さ
らに、血液沈降速度測定値についても、対照として併せ
て実施した血液止めフィルタや針状細管を備えていない
通常のウェスターグレン管で従来法により得られた値3
2mmと比べて差がなく、良好な測定結果の得られるこ
とが確かめられた。
【0070】
【表1】
【0071】(比較例1)赤血球沈降速度測定管の作製 下記の表2の材質欄に記載した材質のうち、ポリメチル
メタクリレート、ポリカーボネート及びポリメチレンオ
キサイドについては、射出成形により、実施例1で用意
したのと同じ寸法の針状細管を得た。ステンレスの場合
については、太さ25G、長さ1″の市販のステンレス
製採血針を流用した。ガラスについては、市販のガラス
製パスツールピペットのくびれ部分を中心に両側1.5
cmの箇所で切断し、計3cmの長さの針状細管を作製
し、これを用いた。
【0072】上記のようにして用意した各針状細管につ
いて、射出成形した針状細管については実施例1で用い
たキャップ及びリングが両端に設けられた連結具を用
い、実施例1と同様にして、また、ステンレス製、ガラ
ス製針状細管については、市販の内径が約6mmの軟質
塩化ビニルチューブを1cmの長さに輪切りしたものを
接続固定用部材として利用して、比較例の赤血球沈降速
度測定管を作製した。
【0073】評価 比較例1で用意した各赤血球沈降速度測定管につき、実
施例1の場合と同様にして評価した。結果を下記の表2
に示す。
【0074】結果 表2から明らかなように、比較例1で用意した赤血球沈
降速度測定管を用いた場合、血液の導入状況や沈降速度
測定値は、実施例1の場合と比べて遜色なかった。しか
しながら、赤血球沈降速度測定管を採血管から抜去した
ときの針状細管表面に、実施例1の場合と比べて多くの
血液が付着し、手指や赤血球沈降速度測定用架台を汚染
するなどの問題が生じ、従来法と比べて作業性が改善さ
れたとは言い難かった。
【0075】
【表2】
【0076】(実施例2)赤血球沈降速度測定管の作製 下記の表3の材質欄に記載したポリメチルメタクリレー
ト、ポリカーボネート、ポリメチレンオキサイドを用
い、射出成形により、実施例1と同寸法の針状細管を得
た。また、上記針状細管と、実施例1で用いたキャップ
及びリング付きの連結具とを用い、実施例1と同様にし
て赤血球沈降速度測定管を作製した。しかる後、下記の
表3の表面塗布剤に記載したポリジメチルシロキサン、
鉱物油、ステアリン酸マグネシウムを針状細管の表面に
塗布または塗擦し、過剰付着物を紙ウェスで拭き取っ
た。
【0077】評価 実施例2で用意した各赤血球沈降速度測定管につき、実
施例1と同様にして評価を行った。結果を下記の表3の
対応の欄に示す。なお、針状細管表面の接触角は、上記
表面処理された部分に極小量の水滴を付着させた場合に
得られた値を記載した。
【0078】結果 下記の表3から明らかなように、実施例2の全ての針状
細管において、血液導入状況は良好であり、かつ表面処
理を行ったためか、赤血球沈降速度測定管を採血管から
抜去した採血管の針状細管表面における血液付着もほと
んど生じなかった。さらに、赤血球沈降速度測定値につ
いても、対照として併せて実施した、血液止めフィルタ
や針状細管を備えていない通常のウェスターグレン管で
従来法により得られた値32mmと比べて差がなく、良
好な結果を得ることができた。
【0079】
【表3】
【0080】(実施例3)赤血球沈降速度測定管の作製 下記の表4の材質欄に記載した材料を用い、図11に示
した寸法A〜Hが、それぞれ、A=8mm、B=6m
m、C=3.1mm、D=0.4mm、E=1mm、F
=5mm、G=3mm、H=10mmの針状細管13B
を射出成形により作製した。また、図7(a)に示した
連結具19の両端にキャップ20及びリング21が設け
られた部材を実施例1と同様にしてポリエチレンで作製
した。
【0081】次に、長さ300mm、外径6mm、内径
2.5mmで、零点目盛りに血液止めフィルタ31を嵌
挿したポリスチレン製の赤血球沈降速度測定管(サンモ
ア社製)の下端に強制的に被せるようにして針状細管を
装着固定し、本発明の赤血球沈降速度測定管を組み立て
た。さらにリング21を針状細管の外径Cの部分に嵌め
込み固定することにより、キャップ20を連結させた。
しかる後、表4の表面塗布剤欄に記載した一般用シリコ
ーン離型剤(KF96SP、信越化学工業社製)を針状
細管の表面にスプレー塗布した。
【0082】評価 針状細管表面の接触角は、上記表面処理された部分に極
少量の水滴を付着させた場合に得られた値を記載した。
【0083】実施例1と同様にして、新鮮血を採取し、
この採血管のゴム栓の採血針孔に沿って、前述の赤血球
沈降速度測定管の針状細管を刺通し、全体を倒立させた
状態で、該赤血球沈降速度測定管の他端にシリンジを気
密に接続し、シリンジ目盛で約4ml分プランジャーを
引き、赤血球沈降速度測定管内を排気した。続いて、該
赤血球沈降速度測定管中に血液が導入されてくる様子を
目視観察した。この血液導入状況を下記の表4に示す。
血液が血液止めフィルタに達し、血液導入が終わった後
に該赤血球沈降速度測定管を真空採血管から抜去したと
きの針状細管表面の血液付着状況を目視観察した。この
血液付着状況を下記の表4に示す。シリンジを外し、キ
ャップを針状細管に被せて赤血球沈降速度測定用架台に
載置し、1時間後の沈降速度測定値を測定した。結果を
下記の表4の沈降速度欄に示す。
【0084】結果 下記の表4から明らかなように、表4に示した何れの材
料、及び表面塗布処理により針状細管を構成した場合で
あっても、血液導入状況は良好であり、また、赤血球沈
降速度測定管を採血管から抜去したときの針状細管表面
の血液付着もほとんどなかった。さらに、沈降速度測定
値についても、対照として併せて実施した、血液止めフ
ィルタや針状細管を備えていない通常のウェスターグレ
ン管で従来法で得られた値24mmと比べて差がなく、
良好な測定結果の得られることが確かめられた。
【0085】
【表4】
【0086】(実施例4)赤血球沈降速度測定管の作製 下記の表5の材質欄に記載した材料を用い、図11に示
した寸法A〜Hが、それぞれ、A=8mm、B=6m
m、C=3.1mm、D=0.4mm、E=1mm、F
=5mm、G=3mm、H=10mmの針状細管13B
を射出成形により作製した。また、図7(a)に示した
連結具19の両端にキャップ20及びリング21が設け
られた部材を実施例1と同様にしてポリエチレンで作製
した。
【0087】次に、長さ300mm、外径6mm、内径
2.5mmのポリスチレン製の赤血球沈降速度測定管
(サンモア社製)の下端に強制的に被せるようにして針
状細管13Bを装着固定し、本発明の赤血球沈降速度測
定管を組み立てた。さらにリング21を針状細管の外径
Cの部分に嵌め込み固定することによりキャップ20を
連結させた。しかる後、表5の表面塗布剤欄に記載した
一般用シリコーン離型剤(KF96SP、信越化学工業
社製)を針状細管の表面にスプレー塗布した。
【0088】評価 針状細管表面の接触角は、上記表面処理された部分に極
少量の水滴を付着させた場合に得られた値を記載した。
【0089】実施例1と同様にして、新鮮血を採取し、
この採血管のゴム栓の採血針孔に沿って、前述の赤血球
沈降速度測定管の針状細管を刺通し、全体を倒立させた
状態で、該赤血球沈降速度測定管の他端にベローズポン
プを気密に接続し、約1ml分の空気を注入した。な
お、ベローズポンプは装着したままにした。続いて、ベ
ローズポンプの復元に合わせて該赤血球沈降速度測定管
中に血液が導入されてくる様子を目視観察した。この血
液導入状況を下記の表5に示す。血液導入が終わった
後、該赤血球沈降速度測定管を真空採血管から抜去した
ときの針状細管表面の血液付着状況を目視観察した。こ
の血液付着状況を下記の表5に示す。
【0090】キャップを針状細管に被せて、ベローズポ
ンプを外し、赤血球沈降速度測定用架台に載置し、1時
間後の沈降速度測定値を測定した。結果を下記の表5の
沈降速度欄に示す。
【0091】結果 下記の表5から明らかなように、表5に示した何れの材
料や表面塗布処理を用いて針状細管を構成した場合であ
っても、良好な血液導入状況を示し、また、赤血球沈降
速度測定管を採血管から抜去したときの針状細管表面の
血液付着もほとんどなかった。さらに、沈降速度測定値
についても、対照として併せて実施した、血液止めフィ
ルタや針状細管を備えていない通常のウェスターグレン
管で従来法で得られた値21mmと比べて差がなく、良
好な測定結果の得られることが確かめられた。
【0092】
【表5】
【0093】(実施例5)赤血球沈降速度測定管の作製 実施例3で用いたポリメチレンオキサイド製針状細管を
同じく実施例3で用いた赤血球沈降速度測定管(サンモ
ア社製)の下端に強制的に被せるようにして針状細管を
装着固定した。さらに図12に示したタイプの保護キャ
ップとして、内径8mmφ、肉厚1.5mm、長さ30
mmの軟質塩化ビニール製のチューブを針状細管のFの
部分と測定管に股がるように装着して、本発明の赤血球
沈降速度測定管を組み立てた。しかる後に実施例3と同
様にしてシリコーン離型剤を針状細管の表面に塗布し
た。接触角は105°であった。
【0094】評価 実施例1と同様にして、新鮮血を採取し、この採血管の
ゴム栓の採血針孔に沿って、前述の赤血球沈降速度測定
管の針状細管を刺通し、全体を倒立させた状態で、該赤
血球沈降速度測定管の他端にシリンジを気密に接続し、
シリンジ目盛りで約2ml分の空気を注入した。血液が
血液止めフィルターに達し、血液導入が終わった後にシ
リンジを外し、次いで測定管を採血管から抜去し、保護
キャップをスライドさせて針状細管を覆った。しかる後
に、赤血球沈降速度測定用架台に載置し、1時間後の沈
降速度測定値を測定した。結果を下記の表6の沈降速度
欄に示す。さらに24時間、架台に載置し続け、血液止
めフィルター下部への気泡の侵入の有無を観察した。結
果を表6の気泡欄に示す。
【0095】(実施例6)赤血球沈降速度測定管の作製 実施例3で作製した、ポリメチレンオキサイド製針状細
管(シリコーン離型剤塗布)及びポリエチレン製保護キ
ャップ付の本発明の赤血球沈降速度測定管を用意した。
【0096】評価 実施例5と同様にして血液を測定管に導入し、保護キャ
ップを針状細管に被せて気密に封止した。しかる後に、
赤血球沈降速度測定用架台に載置し、1時間後の沈降速
度測定値を測定した。結果を下記の表6の沈降速度欄に
示す。さらに24時間、架台に載置し続け、血液止めフ
ィルター下部への気泡の侵入の有無を観察した。結果を
表6の気泡欄に示す。
【0097】結果 表6から明らかなように、1時間後の血液沈降速度測定
値については、保護キャップの構造によらず、対照とし
て併せて実施した血液止めフィルターや針状細管を備え
ていない通常のウェスターグレン管で従来法で得られた
値18mmと比べて差のない良好な測定結果が得られ
た。しかしながら、24時間放置後の血液止めフィルタ
ー下部への気泡の侵入については、実施例5では、全く
侵入しなかったのに対し、実施例6では気泡が侵入し、
血液面が若干下降していた。
【0098】
【表6】
【0099】
【発明の効果】本発明にかかる赤血球沈降速度測定管で
は、両端に開口を有する中空管状容器の一端に表面が水
との接触角が80°以上とされている針状細管が備えら
れており、採血管の栓体に針状細管を利用して容易に刺
通することができ、かつ栓体から針状細管を抜去した場
合、該針状細管の表面に血液が付着し難い。
【0100】また、本発明の赤血球沈降速度測定管を用
いれば、請求項4に記載のように、採血管に針状細管を
刺通させる工程から、赤血球沈降速度を測定する工程に
至るまで、検査従事者が血液と接触するおそれを大幅に
低減し得る。
【0101】よって、検査従事者の血液感染の危険を大
幅に低減することが可能となり、かつ針状細管を金属で
はなく合成樹脂により構成した場合では、赤血球沈降速
度測定管の廃棄にあたり煩雑な分別作業を実施する必要
もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の赤血球沈降速度測定管を示す斜視図。
【図2】(a)及び(b)は、従来の赤血球沈降速度測
定方法の一例を説明するための各斜視図。
【図3】本発明の赤血球沈降速度測定管の一例を説明す
るための分解斜視図。
【図4】本発明の赤血球沈降速度測定管の一例を説明す
るための斜視図。
【図5】(a)及び(b)は、本発明の赤血球沈降速度
測定管を用いた測定方法を説明するための各斜視図であ
り、図5(a)は採血管及び赤血球沈降速度測定管を実
質的に倒立させて赤血球沈降速度測定管の開口から気体
を注入する工程を示す図であり、(b)は血液を赤血球
沈降速度測定管に導いた状態を示す図。
【図6】針状細管に連結具及び保護キャップを一体的に
連結した例を示す斜視図。
【図7】(a)及び(b)は、連結具及び保護キャップ
を赤血球沈降速度測定管に連結する構造の他の例を示す
各斜視図。
【図8】血液止めフィルターを設けた本発明にかかる赤
血球沈降速度測定管を示す斜視図。
【図9】(a)及び(b)は、血液止めフィルターを用
いた赤血球沈降速度測定管を利用した赤血球沈降速度の
測定方法を説明するための各斜視図。
【図10】本発明に用いられる針状細管の他の例を示す
斜視図。
【図11】本発明に用いられる針状細管のさらに他の例
を示す斜視図。
【図12】本発明の、保護キャップを備えた赤血球沈降
速度測定管の他の例を説明するための斜視図であり、
(a)は保護キャップが針状細管を露出させている状態
を示す図であり、(b)は保護キャップが針状細管を覆
っている状態を示す図である。
【符号の説明】
11…赤血球沈降速度測定管 12…中空管状容器 12a…目盛り 12b,12c…開口 13,13A,13B…針状細管 14…真空採血管 15…採血管本体 16…栓体 16a…針穴シール性を有する部分 19…連結具 20…保護キャップ 21…保護キャップ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 予め均一に混和された抗凝固血から血球
    成分が沈降分離することにより生じる上澄み成分の嵩高
    さを測定することにより赤血球沈降速度を測定する方法
    に用いられる測定管であって、 両端に開口を有する中空管状容器と、前記中空管状容器
    の一端に取り付けられており、かつ水との接触角が80
    °以上の表面を有する針状細管とを備えることを特徴と
    する赤血球沈降速度測定管。
  2. 【請求項2】 前記針状細管に嵌合する保護キャップ
    と、前記保護キャップを赤血球沈降速度測定管に連結し
    ており、かつ屈曲自在な部材よりなる連結部材とをさら
    に備える請求項1に記載の赤血球沈降速度測定管。
  3. 【請求項3】 大気圧と連通可能な開口部を有する中空
    の略円筒形状からなり、赤血球沈降速度測定管の外周面
    をスライドすることにより、該針状細管を覆ったり、露
    出させたりすることが可能とされた保護キャップが、赤
    血球沈降速度測定管の外周面に装着された請求項1に記
    載の赤血球沈降速度測定管。
  4. 【請求項4】 針穴シール性部分を有する栓体により液
    密的に閉栓されている採血管に採取された抗凝固血を用
    いて赤血球沈降速度を測定する方法であって、 請求項1、2または3に記載の赤血球沈降速度測定管の
    前記針状細管を採血管の針穴シール性部分に刺通する工
    程と、 採血管及び赤血球沈降速度測定管の全体を実質的に倒立
    させて、採血管が赤血球沈降速度測定管よりも上側とな
    るように配置する工程と、 刺通されている針状細管の先端が採血管内の抗凝固血に
    埋没するように刺通距離を調整する工程と、 前記赤血球沈降速度測定管の他端の開口から前記針状細
    管を経由して採血管内部に気体を注入し、採血管内部の
    気圧を高めることにより、または該測定管の他端の開口
    から該測定管内部の空気を排気して該測定管内部の気圧
    を減じることにより、相対的に採血管内部の気圧を測定
    管内部の気圧より高めることによって赤血球沈降速度測
    定管に抗凝固血を導く工程と、 採血管及び赤血球沈降速度測定管の全体を実質的に正立
    させた後、赤血球沈降速度を測定する工程とを備えるこ
    とを特徴とする赤血球沈降速度測定方法。
JP9222297A 1996-04-26 1997-04-10 赤血球沈降速度測定管及び赤血球沈降速度の測定方法 Withdrawn JPH1096726A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013081265A1 (ko) * 2011-11-29 2013-06-06 주식회사 메가젠임플란트 치과용 채혈기구
KR101304281B1 (ko) * 2011-11-29 2013-09-11 주식회사 메가젠임플란트 치과용 채혈기구

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WO2013081265A1 (ko) * 2011-11-29 2013-06-06 주식회사 메가젠임플란트 치과용 채혈기구
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