JPH1092361A - 電界放出型荷電粒子銃 - Google Patents

電界放出型荷電粒子銃

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JPH1092361A
JPH1092361A JP8240802A JP24080296A JPH1092361A JP H1092361 A JPH1092361 A JP H1092361A JP 8240802 A JP8240802 A JP 8240802A JP 24080296 A JP24080296 A JP 24080296A JP H1092361 A JPH1092361 A JP H1092361A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電流値と照射位置とサイズが長時間安定した
荷電粒子ビームを発射する電界放出型荷電粒子銃を得
る。 【解決手段】 荷電粒子引出用電極3と荷電粒子源1と
の間に、電流安定化に必要な電圧変化に対してはレンズ
作用が極めて小さい特性を有する電流調節電極11を設
け、荷電粒子銃の動作中は荷電粒子引出電極3の電位を
一定に保つようにする。電流調節電極11は抵抗器18
を介して引出電源16に接続する。電流調節電極11に
流入する荷電粒子線(イオン線)2が抵抗器18を流れ
ることにより、荷電粒子ビームの電流値が一定に保たれ
るように、電流調節電極11の電位が自動制御される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、荷電粒子ビームを
発射する荷電粒子銃及びその応用装置に関するものであ
り、特に、電界放出型荷電粒子銃及びその応用装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】イオンや電子などの荷電粒子線をナノメ
ートル程度の太さ(サイズ)のビームに絞って使用する
場合、線源の輝度が高い電界放出型の荷電粒子銃が使用
される。走査型電子顕微鏡においては電界放出電子銃が
使われ、イオンビーム加工装置では液体金属イオン銃が
使われる。
【0003】これらの電界放出型の荷電粒子銃は、荷電
粒子源に対向して置かれた荷電粒子引出電極により荷電
粒子源の表面に強い静電界を作用させ、荷電粒子を荷電
粒子源から引出す。引出された荷電粒子は、その後、荷
電粒子引出電極とその後方に設けた電極とで構成する静
電レンズの作用によりエネルギーの調整と集束作用が行
われ、所定のエネルギーとクロスオーバーを有する荷電
粒子ビームが生成される。通常、この生成された荷電粒
子ビームは、ビームを照射する試料に対向して置かれた
静電型もしくは磁界型の対物レンズにより試料上でナノ
メートル程度の細さの極微細ビームに絞られて試料を照
射する。この時、対物レンズは、上記のクロスオーバー
が試料位置に縮小して結像するよう、電気的に焦点合せ
されている。
【0004】一方、荷電粒子ビームの電流値は荷電粒子
源の表面状態と、表面に作用する電界強度とにより決ま
る。電界放出型粒子銃を長時間動作させると汚れ等のた
めに荷電粒子源の表面状態が変化する。そこでビームの
電流値も変化するので、操作者は荷電粒子引出電極に印
加する引出電圧を調節して電流値を元に戻す。ところ
が、荷電粒子銃は、先に述べたように、荷電粒子引出電
極とその後方に設置された電極とで構成した静電レンズ
の作用により、所定のクロスオーバーとエネルギーを持
った荷電粒子ビームを生成する装置なので、動作中に引
出電圧を変えるとクロスオーバーの位置が変化する。
【0005】クロスオーバーの位置が変わると、クロス
オーバーが試料に合焦しなくなり試料位置でのビームが
太くなる。すなわち、ビームがボケる。また、この静電
レンズの中心軸(光軸)上に荷電粒子源が設置されてい
ない時に、引出電圧を変えると、クロスオーバーが光軸
と直交方向に移動する。そのため、試料を照射するビー
ムの位置も試料上を移動する。この現象をビームドリフ
トと呼んでいる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の電界放出型粒子
銃の応用分野は、走査型電子顕微鏡のように、測定時間
が、例えば、数十秒の短時間で済むような分野が多く、
時間の経過とともに発生確率の増えるビームボケやビー
ムドリフトは問題となることが少なかった。ところが、
最近では液体金属イオン銃から出たイオンビームを微細
加工装置に応用するようになった。この加工装置では、
微細、かつ、一定電流のイオンビームを数十分間から数
時間の長時間にわたって試料に照射し続ける必要があ
る。この間にイオンビームにボケやドリフトが生じると
加工の精度が損なわれる。そこで、長時間にわたってビ
ーム電流値が一定で、かつ、ビームボケや、ビームドリ
フトの少ないイオン銃が必要とされる様になっている。
【0007】この目的に対して、従来の液体金属イオン
銃では、イオン源の表面状態が変化してビーム電流値が
変化する確率を減少させるために、イオン銃室の真空度
を極力向上させたり、陰極を加熱したりする手段がとら
れていた。ただし、これらの手段によっても数時間の動
作中には表面状態が変化することが多いので、現状では
電流安定度と加工精度の双方の点で満足できない状態に
ある。
【0008】また、ビームドリフトやビームボケがあっ
た時、ドリフト量を読み取ってビーム偏向器の動作条件
を自動的に変更したり、ボケを検出して対物レンズの自
動焦点合せを行う方法も実施されているが、これらの方
法では、イオンビームの場合、ドリフトが大きすぎて十
分に補正しきれない場合があった。また、これらの方法
では、ドリフトやボケを定期的に繰り返して検出する必
要があり、検出時には加工部分以外の場所にもビームを
広範囲に照射する必要があるので、イオンビームで試料
を傷めてしまうという問題もあった。
【0009】図7を用いて、より具体的に説明する。図
7は、従来の電界放出型荷電粒子銃の説明図であり、液
体金属イオン銃の例を示している。液体金属イオン源1
の先端から約0.5steradの範囲に放出されたイ
オン2はその1部が引出電極3の中心孔を通過して、開
き角が約半角0.05radのビームになる。このイオ
ンビームはその後レンズ電極4を通過し、加速電極5に
よって所定のエネルギーに加速されてイオン銃6を出
る。液体金属イオン源1及び電極3,4,5の電圧は、
それぞれ加速電源14、引出電源16、レンズ電源17
より供給される。イオン銃6を出たイオンビーム7は、
イオン銃6の電極3,4,5で構成されている静電レン
ズの作用(以下、イオン銃レンズと呼ぶ)によりクロス
オーバー10を結ぶ。クロスオーバー10は、イオン銃
レンズによるイオン発生源の像であり、イオンビーム7
にとってはみかけ上のイオンビーム発生源になってい
る。
【0010】イオンビーム7は、通常、静電型の対物レ
ンズ8に入射してさらに細く絞られ、試料照射ビーム2
0となって試料9を照射する。対物レンズ8は、クロス
オーバー10が試料9の位置に結像して、極微小のサイ
ズを有するビームとして試料9を照射するよう調節され
ている。従って、もし、イオン銃レンズの動作条件が変
わると10の位置が変わるので試料照射ビームはボケた
りドリフトしたりするのは前述の通りである。イオン銃
レンズの条件(電極3,4,5に与える電位)が変わら
なければクロスオーバー10の位置も変化しないので、
ビームボケもビームドリフトも生じないことは言うまで
もない。
【0011】一方、液体金属イオン源1から放出される
イオン線2の電流量IE 、はイオン源1の表面状態と、
イオン源1と引出電極3の間にかけられる電圧VE の関
数である。たとえば、VE を8kVにすると1μAの電
流IE が得られる。もし、イオン銃6の使用中に、イオ
ン源1の表面状態が変わって電流IE が変ると、電圧V
E を変えて電流IE を元の値に戻すことができる。たと
えば電流IE が1μA増加した時、電圧VE を150V
下げれば元に戻る。
【0012】ただし、図7の液体金属イオン銃の場合に
は、液体金属イオン源1の電位を基準にとって、電極
3,4,5にそれぞれ、−8kV,−4.8kV,−3
0kVの電位を印加して動作していたので、VE を15
0V下げるとクロスオーバー10の位置が10.2mm
対物レンズ8側にずれ、イオン銃レンズの結像倍率は
0.3増加した。
【0013】対物レンズ8は結像倍率0.1に調節され
ているので、もし、イオン源1が0.1mmだけ光軸か
ら離れている場合を考え、かつ、試料9を照射する開き
角が2mradのビームの場合を考えると、試料9では
3μmのビームドリフトと0.2μmのビームボケを発
生させることに相当する。そこで、このイオン銃6を使
って加工精度0.1μmのイオンビーム加工を行う場合
には、イオン源1を極力光軸の上に来るようにセット
し、かつ、イオン源1が安定した状態を見計らってイオ
ン放出する必要があった。
【0014】本発明は、このような従来技術の問題点に
鑑みてなされたものであり、陰極の表面状態が変化して
も電流値が変化せず、かつ、クロスオーバーの位置変化
も極めて少ない荷電粒子ビームを発射する電界放出型の
荷電粒子銃を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明においては、従来
の荷電粒子引出用電極と荷電粒子源との間に、電流安定
化に必要な電圧変化に対してはレンズ作用が極めて小さ
い特性を有する電流調節用電極を設け、荷電粒子銃の動
作中は荷電粒子引出電極の電位を一定に保つことにより
前記目的を達成する。この構成によると、荷電粒子ビー
ムを生成する静電レンズの作用を一定強度に保ちなが
ら、電流調節用電極の電位を変化することで荷電粒子源
から放出される電流の電流値を一定に保つことが可能と
なる。
【0016】すなわち、本発明は、電界放出型の荷電粒
子源と、荷電粒子源に強電界を印加する荷電粒子引出電
極とを有し、荷電粒子引出電極によって引出された荷電
粒子を、荷電粒子引出電極と該荷電粒子の進行方向に設
けられた少なくとも1つの他の電極との間に形成される
静電レンズの作用によって所定のエネルギーとクロスオ
ーバーを有する荷電粒子ビームに生成する電界放出型荷
電粒子銃において、荷電粒子源と荷電粒子引出電極の間
に静電レンズよりも小さなレンズ作用を有する放出電流
調節電極を設け、荷電粒子源からの放出電流値が一定値
に保たれるように放出電流調節電極の電位を制御するこ
とを特徴とする。
【0017】放出電流調節電極の電位制御方法としては
いくつかの方法が考えられ、例えば放出電流調節電極と
それに電位を供給する電源との間に抵抗器を配設し、か
つ、放出電流調節電極に放出電流の1部を流入させるこ
とにより、抵抗器を流れる放出電流による電圧降下を利
用することができる。このとき、荷電粒子引出電極と放
出電流調節電極には同一の電源より電位を供給すること
ができる。
【0018】荷電粒子ビームのエネルギーが荷電粒子引
出電極への印加電圧より高い時は荷電粒子引出電極に供
給する電位を荷電粒子源に荷電粒子加速用電位を供給す
る電源から供給し、低い時は荷電粒子源に供給する電位
を荷電粒子引出電極に電位を供給する電源から供給する
ことができる。
【0019】また、本発明は、荷電粒子銃から発射され
た荷電粒子ビームを微小なサイズに絞って試料に照射す
る装置において、荷電粒子銃として前記した本発明の電
界放出型荷電粒子銃を用い、試料上での荷電粒子ビーム
の位置ドリフト及び/又はビームのサイズ変化を軽減し
たことを特徴とする。また、前記本発明の電界放出型荷
電粒子銃は、イオンビーム加工装置用のイオン銃、電子
ビーム測長装置用の電子銃、電子線描画装置用の電子銃
として有利に用いることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施の形態を説明する。なお、以下の説明に用いる図
において、従来例を示す図7と同様の構成部分には図7
と同じ符号を使用している。図1は、本発明による定電
流電界放出型荷電粒子銃の一例の説明図である。
【0021】図1の定電流電界放出型荷電粒子銃は、従
来例の図7の電界放出型荷電粒子銃の構成に比べ、放出
電流調節電極11と電流調節電源15と放出電流検出器
13と放出電流制御装置12が付加されている。放出電
流調節電極11は放出電流検出器3と液体金属イオン源
1との間に置かれた円筒状の電極で、その電位は引出電
極3の電位に近い値で動作する。
【0022】引出電極11の電位を変えると液体金属イ
オン源1の表面に作用する電界強度が変わるため放出電
流量IE が変化する。放出電流制御装置12は放出電流
検出器13により放出電流を監視する。放出電流制御装
置12はパーソナルコンピュータで構成されている。ま
た、13は電流計である。放出電流制御装置12は、も
し放出電流量IE が変化すれば電流調節電源15の出力
を変え、放出電流調節電極11の電位を変えて放出電流
量IE がもとの値になるように制御する。このときに必
要な電位の変化量は、図7の従来例の場合とほぼ同様の
値である。
【0023】イオン銃の動作中は、電極3,4,5の電
位はそれぞれ、−8kV,−4.8kV,−30kVの
一定値に保たれている。したがって、放出電流調節電極
11の電位が変わってもイオン銃レンズの作用の大きさ
は変わらない。図7に比べると、図1のイオン銃では放
出電流調節電極11が付加的に新しい静電レンズを作っ
ている。ただし、放出電流調節電極11の電位は引出電
極3の電位に近い値なので、放出電流調節電極11のレ
ンズ作用はイオン銃レンズの作用に比べると極めて小さ
い。
【0024】したがって、一定値の電流を放出するため
に放出電流調節電極11の電位を150V変えても、ビ
ームのボケやドリフトは図7に示した従来のイオン銃の
場合に比べて極めて小さい。ただし、放出電流調節電極
11にも僅かなレンズ作用があるので零にはならない。
たとえば、図7に示した従来のイオン銃と同じ対物レン
ズの構成と、0.1mmのイオン源の軸ズレ条件の下
で、放出電流調節電極11の電位が150V変わった時
の試料上でのビームドリフトとビームボケを計算する
と、それぞれ0.4μm、0.002μmになる。これ
らの値は、図7に示した従来型イオン銃の場合のそれぞ
れ約1/8、約1/100の大きさである。
【0025】図2は、本発明による定電流電界放出型荷
電粒子銃の他の例の説明図である。この例では、イオン
線2が流入するような構造で配置された放出電流調節電
極11と、抵抗器18を使うことによって、イオン線2
の電流値安定化が計られている。放出電流調節電極11
にはイオン線2の98%の電流が流入する。放出電流調
節電極11の抵抗値は300MΩである。放出電流調節
電極11も引出電極3も、同一の電源16から電圧を供
給されているが、放出電流調節電極11の電位は引出電
極3の電位に比べて抵抗器18における電圧降下の分だ
け電位の絶対値が低い。たとえば放出電流調節電極11
と引出電極3の電位がそれぞれ−8.0kVと−8.3
kVになった状態で1μAのイオン線2を放出してい
る。
【0026】液体金属イオン源1の表面状態が変化して
イオン線2の電流が減少するようなことがあれば抵抗器
18での電圧降下が小さくなるので、放出電流調節電極
11の電位の絶対値が上昇してイオン線2の電流値を増
やすよう作用する。逆に、イオン線2の電流が増加すれ
ば減らすよう作用する。すなわち、液体金属イオン源1
とイオン線2と抵抗器18と引出電源16と加速電源1
4の電気要素で負帰還回路を構成しているので、液体金
属イオン源1の表面状態が変化してもイオンビーム電流
値を一定に保つことができる。この間、引出電極3の電
位は変化せず、かつ、放出電流調節電極11によるレン
ズ作用は小さいので、図1に示した実施形態と同じ事情
によりビームドリフトやビームぼけは極めて小さい。
【0027】図3は、本発明による定電流電界放出型荷
電粒子銃の他の例の説明図である。本発明の原理とする
ところは、引出電極3の電位を変化させないことによ
り、イオン銃レンズの静電レンズ作用を一定値に保つこ
とである。そこで、この例では、引出電極3の電位は一
定値で、引出電源16は使わずに分割抵抗器19により
加速電源14から電圧分割して供給する構成になってい
る。もし、引出電極3に必要な電圧が所望のビームのエ
ネルギーより高い場合には、これと対照的に加速電源1
4を使わずにイオン源1の電位を引出電源16の電源か
ら供給するようにする。また、図3ではイオン銃レンズ
がイオン源1の虚像を結ぶように調節され、みかけのク
ロスオーバー10がイオン源1の後方にできている場合
を示しているが、このような場合にも本発明は有効に機
能する。
【0028】図4は、本発明による定電流電界放出型荷
電粒子銃の他の例の説明図である。この例では、リング
状の放出電流調節電極11を使うことで、さらに、放出
電流調節電極11のレンズ作用を弱くしている。また、
アナログ回路により、イオン線2の電流値を一定に保つ
ための負帰還回路が構成されている。すなわち、差動増
幅器22において抵抗器18での電圧降下と基準電源2
1の出力電圧とを比較し、もし差異があれば差分が差動
増幅器22の出力となって放出電流調節電源15に入力
され、放出電流調節電極11の電位を変える。
【0029】また、図4は、本発明を2電極からなる電
界放出型電子銃に応用した場合を示している。すなわ
ち、図1から図3の例に示したレンズ電極4がなく、引
出電極3と加速電極5の2電極のみで電子銃レンズを構
成している。従って、レンズ作用は、所定値のエネルギ
ーを与えるために必要な加速電極5の電位と、所定値の
電流を放出させる引出電極3の電位とのみで決まってし
まうため、電子ビームのクロスオーバー10の位置を任
意に設定することが出来なかった。逆にいえば、クロス
オーバー位置を所定の位置に設定するように電圧条件を
設計すると、任意の電流値を得ることができなかった。
【0030】一方、鋭い金属針で出来た電界放出電子源
1は、使用時に加熱する操作が入るため、使用を重ねる
と針先が太くなり、電子放出に必要な引出電極3の電位
が高くなる。引出電極3の電位が高くなりすぎると、ク
ロスオーバー10を所定の許容位置範囲内に設定できな
くなる。その時点が電界放出電子源1の寿命であった
が、本発明の方式によると、放出電流調節電極11の電
位を上げることにより、クロスオーバー10の位置はあ
まり変えずに電子放出が出来るので、電界放出電子銃1
の寿命を大幅に伸ばす利点もある。
【0031】図5は、本発明による定電流電界放出型荷
電粒子銃を搭載したイオンビーム描画装置の概略図であ
る。イオンビーム描画装置は、レジストを塗布した半導
体ウエハをイオンビームでパターン露光するための装置
である。液体金属イオン銃6は、例えば図2に示したよ
うに、ガリウム等の液体金属イオン源1、放出電流調節
電極11、引出電極3、レンズ電極4、加速電極5から
なる。液体金属イオン源1から放出されたイオン線は、
引出電極3に3kV〜6kV程度の電界を印加すること
により、イオン電流値1μA〜100μAで引き出され
る。このときイオン電流は、放出電流調節電極11の作
用により一定値に維持される。
【0032】引出電極3により引き出されたイオン線
は、レンズ電極4を通り、加速電極5で加速され、多極
レンズ31によりイオンビーム成形される。成形された
イオンビームは、E×B電界磁場直交型イオン分離フィ
ルタ32によってイオン種の分離が行われた後、絞り3
3を通り、多極レンズ34によるイオンビームの再成形
が行われる。再成形されたイオンビームは、静電対物レ
ンズ35によりレジストが塗布された半導体ウエハ37
上に焦点を結ぶように収束される。半導体ウエハ37
は、イオンビームの光軸方向(Z方向)に垂直なXY平
面内で2次元移動可能なステージ38上に載置されてい
る。対物レンズ35で収束されたイオンビームは、偏向
器36によってXY方向に走査され、半導体ウエハ37
上に所望の回路パターンを描画する。
【0033】このイオンビーム描画装置によると、イオ
ンビームのビーム電流を自動的に一定に維持しながら長
時間運転することができるため、高精度なパターン描画
を行うことができるとともに製品の歩留まりも向上す
る。図6は、本発明による定電流電界放出型荷電粒子銃
を搭載した収束イオンビーム加工装置の概略図である。
【0034】図2に示したような、液体金属イオン源、
放出電流調節電極、引出電極、レンズ電極、加速電極か
らなる液体金属イオン源41から放出されたイオン線4
2は、ビーム偏向器43を通過して対物レンズ44に入
る。イオン線42は、対物レンズ44により、直径が約
0.2μmの収束イオンビームに絞られて、加工対象の
試料45を照射する。イオンビーム照射位置の制御は、
制御装置46から送られる信号に基づいてビーム偏向器
43で行われる。
【0035】例えば、ビーム偏向器43により収束イオ
ンビームを矩形状に走査すると、試料45には矩形の穴
が形成される。図では、6個の試料を制御装置46から
の指令により順次装置中央部分に送り込んで加工してい
る様子を描いているが、1つの試料に穴を開けるには例
えば40分の時間がかかる。したがって、この図に示す
ように6個の試料45の穴開け加工を完了するには4時
間もの間イオンビームを安定して照射し続ける必要があ
り、本発明が有効に利用される。
【0036】本発明による定電流電界放出型荷電粒子銃
は、イオンビーム描画装置や収束イオンビーム加工装置
以外にも、細く絞った荷電粒子ビームを長時間にわたっ
て照射し続ける必要のある装置一般に搭載すると有用で
ある。このような装置には、電子ビームで試料上にパタ
ーン描画を行う電子線描画装置、試料の微細部寸法を測
定する電子ビーム測長装置等がある。これらの装置は、
終夜運転で連続的に作業することが常なので、本発明の
荷電粒子銃を搭載することで、作業結果の信頼性を向上
することができる。
【0037】
【発明の効果】本発明によると、陰極の表面状態が変化
しても電流値が変化せず、かつ、ドリフトやボケが従来
の約1/8以下に抑えられた荷電粒子ビームを発射する
電界放出型荷電粒子銃を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による定電流電界放出型荷電粒子銃の一
例の説明図。
【図2】本発明による定電流電界放出型荷電粒子銃の他
の例の説明図。
【図3】本発明による定電流電界放出型荷電粒子銃の他
の例の説明図。
【図4】本発明による定電流電界放出型荷電粒子銃の他
の例の説明図。
【図5】本発明による定電流電界放出型荷電粒子銃を搭
載したイオンビーム描画装置の概略図。
【図6】本発明による定電流電界放出型荷電粒子銃を搭
載した収束イオンビーム加工装置の概略図。
【図7】従来の液体金属イオン銃の説明図。
【符号の説明】
1…液体金属イオン源、2…イオン線、3…引出電極、
4…レンズ電極、5…加速電極、6…イオン銃、7…イ
オン銃より発射されるイオンビーム、8…対物レンズ、
9…試料、10…クロスオーバー、11…放出電流調節
電極、12…放出電流制御装置、13…放出電流検出
器、14…加速電源、15…放出電流調節電源、16…
引出電源、17…レンズ電源、18…抵抗器、19…分
割抵抗器、20…試料照射ビーム、21…基準電源、2
2…差動増幅器、31…多極レンズ、32…イオン分離
フィルタ、33…絞り、34…多極レンズ、35…対物
レンズ、36…偏向器、37…半導体ウエハ、38…ス
テージ、41…液体金属イオン源、42…イオン線、4
3…ビーム偏向器、44…対物レンズ、45…試料、4
6…制御装置

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電界放出型の荷電粒子源と、前記荷電粒
    子源に強電界を印加する荷電粒子引出電極とを有し、前
    記荷電粒子引出電極によって引出された荷電粒子を、前
    記荷電粒子引出電極と該荷電粒子の進行方向に設けられ
    た少なくとも1つの他の電極との間に形成される静電レ
    ンズの作用によって所定のエネルギーとクロスオーバー
    を有する荷電粒子ビームに生成する電界放出型荷電粒子
    銃において、 前記荷電粒子源と前記荷電粒子引出電極の間に前記静電
    レンズよりも小さなレンズ作用を有する放出電流調節電
    極を設け、前記荷電粒子源からの放出電流値が一定値に
    保たれるように前記放出電流調節電極の電位を制御する
    ことを特徴とする電界放出型荷電粒子銃。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の電界放出型荷電粒子銃に
    おいて、前記放出電流調節電極とそれに電位を供給する
    電源との間に抵抗器が配設され、かつ、前記放出電流調
    節電極には前記放出電流の1部が流入することを特徴と
    する電界放出型荷電粒子銃。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の電界放出型荷電粒子銃に
    おいて、前記荷電粒子引出電極と前記放出電流調節電極
    には同一の電源より電位が供給されていることを特徴と
    する電界放出型荷電粒子銃。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の電界放出型荷電粒子銃に
    おいて、前記所定のエネルギーが前記荷電粒子引出電極
    への印加電圧より高い時は前記荷電粒子引出電極に供給
    する電位を前記荷電粒子源に荷電粒子加速用電位を供給
    する電源から供給し、低い時は前記荷電粒子源に供給す
    る電位を前記荷電粒子引出電極に電位を供給する電源か
    ら供給することを特徴とする電界放出型荷電粒子銃。
  5. 【請求項5】 荷電粒子銃から発射された荷電粒子ビー
    ムを微小なサイズに絞って試料に照射する装置におい
    て、 前記荷電粒子銃として請求項1記載の電界放出型荷電粒
    子銃を用い、試料上での荷電粒子ビームの位置ドリフト
    を軽減したことを特徴とする装置。
  6. 【請求項6】 荷電粒子銃から発射された荷電粒子ビー
    ムを微小なサイズに絞って試料に照射する装置におい
    て、 前記荷電粒子銃として請求項1記載の電界放出型荷電粒
    子銃を用い、試料上での荷電粒子ビームのサイズ変化を
    軽減したことを特徴とする装置。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の電界放出型荷電粒子銃よ
    り発射されたイオンビームを試料に照射することによ
    り、試料の微小部を加工することを特徴とする方法。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の電界放出型荷電粒子銃よ
    り発射され、細く絞られた電子ビームを試料上で走査す
    ることにより試料上の寸法計測を連続的に行うことを特
    徴とする方法。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の電界放出型荷電粒子銃よ
    り発射され、細く絞られた電子ビームを用いて試料上に
    描画を連続的に行うことを特徴とする方法。
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