JPH1090235A - コンクリート構造物の劣化判定方法 - Google Patents

コンクリート構造物の劣化判定方法

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JPH1090235A
JPH1090235A JP8265521A JP26552196A JPH1090235A JP H1090235 A JPH1090235 A JP H1090235A JP 8265521 A JP8265521 A JP 8265521A JP 26552196 A JP26552196 A JP 26552196A JP H1090235 A JPH1090235 A JP H1090235A
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JP
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concrete structure
cycle
concrete
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JP8265521A
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English (en)
Inventor
Tatsumasa Shibata
辰正 柴田
Daisuke Mori
大介 森
Masakatsu Uchida
昌勝 内田
Yukihisa Okamoto
享久 岡本
Shigenori Yuyama
茂徳 湯山
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NIPPON FUIJIKARU AKOOSUTEIKUSU KK
Taiheiyo Cement Corp
Original Assignee
NIPPON FUIJIKARU AKOOSUTEIKUSU KK
Nihon Cement Co Ltd
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  • Testing Of Devices, Machine Parts, Or Other Structures Thereof (AREA)
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  • Investigating Strength Of Materials By Application Of Mechanical Stress (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンクリート構造物、特にビル或いは橋のよ
うな中・小規模のコンクリート構造物の劣化を、任意の
時期に容易にしかも正確に判定できるコンクリート構造
物の劣化判定方法を提供すること。 【解決手段】 コンクリート構造物にAEセンサーを配
設し、該AEセンサーにより、前記コンクリート構造物
に漸増履歴荷重を加えた際に生じるAEの発生状況を計
測し、このAEの発生状況から、コンクリート構造物の
劣化を判定するコンクリート構造物の劣化判定方法とし
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート構造
物の劣化判定方法に関し、特にアコースティック・エミ
ッション(以下「AE」と称す)を測定することによっ
てコンクリート構造物の劣化を判定する方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術及びその課題】コンクリート構造物、例え
ばコンクリート橋梁、コンクリート橋脚等は車両の通過
による繰り返し荷重を受けること等によりひび割れが発
生、或いはひび割れが進展し、劣化が進む。コンクリー
ト構造物に発生するひび割れには、せん断型ひび割れと
引っ張り型ひび割れとがあり、せん断型ひび割れが多く
発生している場合はコンクリート構造物の劣化が進んだ
状態であり、早急に補修を行う必要があるとされてい
る。
【0003】ここで、従来においては上記コンクリート
構造物の劣化は、長年の経験を有する技術者がコンクリ
ート構造物の表面状態を調査し、その結果から経験に基
づいて判定することが一般的に成されていた。そのた
め、必ずしも正確な判定が成されているとは限らず、補
修を必要としない構造物に対して補修を行っている場合
も存在し、不経済であった。また、調査は長年の経験を
有する者でなければ困難であると共に、その技術経験者
の人的作業に依存するものであるため、調査に時間がか
かるという課題も存在した。
【0004】一方、近年においては、AEを利用したコ
ンクリート構造物の維持管理システム(特開平5−20
3631)が開発されている。かかるコンクリート構造
物の維持管理システムは、ダム等の大型コンクリート構
造物にAEセンサーを配設し、AEを検知してそのカウ
ント数により所定条件下におけるAEの基準発生パター
ンを求め、所定期間の経過後、或いは定期的に前記所定
条件と同様の条件下における前記コンクリート構造物の
AEを検知してそのカウント数から新たなAEの発生パ
ターンを求め、該発生パターンを前記基準発生パターン
と比較したその異同からコンクリート構造物の異常を判
定するコンクリート構造物の維持管理システムである。
ここで、上記AEとは、固体の変形及び破壊に伴って開
放されるエネルギーが、音響パルスとなって伝播する現
象をいい、コンクリート等の多くの材料は、この音響エ
ネルギーを固体中を伝わる微弱な超音波として放出す
る。
【0005】しかしながら、上記特開平5−20363
1号公報に記載された技術は、ダム等の大型コンクリー
ト構造物の如く、日常の温度履歴、日照時間、日射量等
の周辺の環境変化により変形挙動してAEを発生し、そ
のAEの発生パターンを計測できるコンクリート構造物
に対しては有効であるが、ビル或いは橋のように中・小
規模のコンクリート構造物では、日常の温度履歴、日照
時間、日射量等の周辺の環境変化による変形挙動は小さ
く、AEも殆ど発生しないため、このような中・小規模
のコンクリート構造物の劣化の判定には利用できないと
いう課題があった。
【0006】また、特開平5−203631号公報に記
載された技術は、コンクリート構造物の基準となるAE
の発生パターンの計測と、その後の調査時におけるAE
の発生パターンの計測との少なくとも2回のAEの計測
が必要となり、しかもその2回の計測時におけるコンク
リート構造物の周辺環境(温度履歴、日照時間、日射量
等)を同一のものとしなければならないため、調査時期
が非常に限定されてしまうという課題も存在した。
【0007】本発明は、上述した従来のコンクリート構
造物の劣化判定方法が有する課題に鑑み成されたもので
あって、その目的は、コンクリート構造物、特にビル或
いは橋のような中・小規模のコンクリート構造物の劣化
を、任意の時期に容易にしかも正確に判定できるコンク
リート構造物の劣化判定方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記した
目的を達成すべく試験・研究を重ねた結果、荷重、特に
漸増履歴荷重をコンクリート構造物に故意に加えた際に
生じるAEの発生状況が、そのコンクリート構造物の劣
化の進行具合により異なることを見いだし、本発明を完
成させた。
【0009】即ち、本発明は、コンクリート構造物にA
Eセンサーを配設し、該AEセンサーにより、前記コン
クリート構造物に漸増履歴荷重を加えた際に生じるAE
の発生状況を計測し、このAEの発生状況から、コンク
リート構造物の劣化を判定するコンクリート構造物の劣
化判定方法とした。
【0010】上記した本発明にかかるコンクリート構造
物の劣化判定方法によれば、任意の時期にコンクリート
構造物の劣化を判定することができると共に、その判定
が漸増履歴荷重を加えた際に生じるAEの発生状況とい
う客観的なデータに基づくものであるため、熟練を要さ
ずしかも正確な判定が可能となる。
【0011】ここで、上記コンクリート構造物に加える
漸増履歴荷重の1サイクル目の荷重量としては、該コン
クリート構造物の設計荷重の1〜5%の荷重量とするこ
とが好ましい。これは、漸増履歴荷重の1サイクル目の
荷重量がコンクリート構造物の設計荷重の1%に満たな
い荷重量である場合には、該コンクリート構造物に変形
挙動を起こさせることはできず、AEの発生状況を計測
することができないためであり、また設計荷重の5%を
越える荷重を漸増履歴荷重の1サイクル目から加える
と、劣化の調査のために加える上記漸増履歴荷重によっ
てコンクリート構造物自体が劣化する憂いがあるためで
ある。
【0012】なお、上記漸増履歴荷重のコンクリート構
造物への載荷の方法としては、例えばコンクリート構造
物が橋である場合には、該橋上を最大積載量10tのト
ラックを低速(10km/hr 程度)で走らせる方法が挙げ
られる。この場合、1サイクル目としては荷物を積んで
いない状態でトラックを走らせ、2サイクル目としては
2tの荷物を積んだ状態でトラックを走らせるというよ
うに、トラックへの積載量を増やすことで漸増履歴荷重
を橋に加えることができる。また、コンクリート構造物
へ加える上記漸増履歴荷重のサイクルは、2〜3サイク
ル程度で良い。
【0013】また、上記コンクリート構造物に漸増履歴
荷重を加えた際に生じるAEの発生状況が、漸増履歴荷
重の1サイクル目の載荷からAEが発生し、且つ除荷時
にもAEが発生すると共に、漸増履歴荷重の2サイクル
目以降においてカイザー効果が成立しないコンクリート
構造物は、劣化が進行していると判定する。これは、本
件発明者が試験・研究を重ねた結果、上記のようなAE
の発生状況にあるコンクリート構造物は、構造的に塑性
範囲にあり、その構造物にはせん断型ひび割れが多く発
生していることが判明したためである。なお、上記カイ
ザー効果とは、材料に一度荷重を負荷すると除荷した後
に同じレベルまでの荷重を再負荷しても殆どAEの発生
が見られない現象をいう。
【0014】さらに、上記コンクリート構造物に設置す
るAEセンサーとしては、150kHz以下の低周波数
共振型のものを用い、その設置間隔は、15kHz以下
の共振型のものでは5m以内、15〜60kHzの範囲
の共振型のものでは2m以内、そして60〜150kH
zの範囲の共振型のものでは1m以内とすることが好ま
しい。また、AEセンサーは、プリアンプ、AE計測装
置及びAE波形解析装置等と接続し、コンクリート構造
物に漸増履歴荷重を加えた際に発生するAEの振幅値及
び累積ヒット数を計測するものとする。
【0015】
【試験例】以下、上記した本発明にかかるコンクリート
構造物の劣化判定方法を見いだすに至った試験例に付き
説明する。
【0016】〔試験例1〕劣化していない鉄筋コンクリ
ート試験体に漸増履歴荷重を加えた場合の力学的挙動と
AEの発生状況との関係
【0017】−試験方法− (1) 鉄筋コンクリート試験体の作製 以下に示す材料を使用し、水/セメント比50%、細骨
材率45%、減水剤/セメント比0.8%の条件で、ス
ランプ8cmのコンクリートを調整した。 セメント ; 日本セメント株式会社製 早強ポルトランドセメント 細骨材 ; 青梅産砕砂 粗骨材 ; 青梅産砕石 減水剤 ; 花王株式会社製 マイティ150 水 ; 水道水 10×10×40cmの型枠内に、直径10mmの鉄筋
を鉄筋比が1.0%となるように配筋し、上記調整した
コンクリートを流し込み、28日間20℃で湿潤養生
し、10×10×40cmの鉄筋コンクリート試験体を
作製した。この鉄筋コンクリート試験体の圧縮強度は、
44N/mm2 であった。 (2) 鉄筋コンクリート試験体へのAEセンサー等の
設置 上記作製した鉄筋コンクリート試験体の図1(a)〜
(d)に示す位置に、AEセンサー(米国 フィジカル
アコースティクスコーポレーション製:R15150H
z共振型)、コンクリート用ストレインゲージ(株式会
社東京測器研究所製:PL−30−11)、パイゲージ
(株式会社東京測器研究所製:PI−2)及び変位計
(株式会社東京測器研究所製:CDP−50)を各々設
置した。なお、AEの振幅値及び累積ヒット数は、AE
計測装置(米国 フィジカルアコースティクスコーポレ
ーション製:SPARTAN2000)を用いて測定し
た。 (3) 鉄筋コンクリート試験体への漸増履歴荷重の載
荷 鉄筋コンクリート試験体への漸増履歴荷重の載荷方法
は、3等分点2線載荷(縁応力の増加速度;毎分0.5
N/mm2 )とし、繰り返し曲げ載荷・除荷を行った。
なお、載荷は疲労試験機(株式会社島津製作所製:サー
ボパルサ4880)を用いて行った。
【0018】−試験結果− 漸増履歴荷重と発生したAEの振幅値の関係を図2
(a)に、漸増履歴荷重と発生したAEの累積ヒット数
の関係を図2(b)に、漸増履歴荷重とたわみの関係を
図2(c)に各々示す。上記試験結果から、 1サイクル目において、載荷直後からAEが発生す
る。そして除荷時にはAEは発生しない。 2サイクル目及び3サイクル目において、載荷時は
それぞれ前のサイクルの荷重に達するまではAEは発生
せず、カイザー効果が成立する。また除荷時にはAEは
発生しない。 4サイクル目においてもカイザー効果が成立する。
しかし、除荷時にAEが発生する。 5サイクル目にはカイザー効果が成立せず、載荷直
後からAEが発生する。また、除荷時にもAEが発生す
る。 6サイクル目にもカイザー効果が成立せず、載荷直
後からAEが発生する。 除荷時にAEが発生し、カイザー効果が成立しなく
なる荷重(4サイクル目の40KN)と、鉄筋コンクリ
ート試験体が構造的に弾性範囲から塑性範囲に変わる荷
重〔図2(c)においてたわみ曲線の傾斜が変化する4
0KN)とが一致する。ことが分かった。また、上記試
験により得られたAEのモーメントテンソル解析を行
い、鉄筋コンクリート試験体に発生したひび割れの種類
を解析した結果、弾性範囲の鉄筋コンクリート試験体
(4サイクル目の40KNの荷重を加える前の鉄筋コン
クリート試験体)には引っ張り型ひび割れが多く発生
し、塑性範囲の鉄筋コンクリート試験体(4サイクル目
の40KNの荷重を加えた後の鉄筋コンクリート試験
体)にはせん断型ひび割れが多く発生していることが分
かった。
【0019】〔試験例2〕僅かに劣化している鉄筋コン
クリート試験体に漸増履歴荷重を加えた場合の力学的挙
動とAEの発生状況との関係
【0020】−試験方法− 試験例1に記載したと同様の鉄筋コンクリート試験体を
作製し、この鉄筋コンクリート試験体に予め10KNの
荷重を3回加えた後、上記試験例1と同様の漸増履歴荷
重を加えた。
【0021】−試験結果− 漸増履歴荷重と発生したAEの振幅値の関係を図3
(a)に、漸増履歴荷重と発生したAEの累積ヒット数
の関係を図3(b)に、漸増履歴荷重とたわみの関係を
図3(c)に各々示す。上記の試験結果から、 1サイクル目において、10KNの荷重に達するま
でAEは発生せず、カイザー効果が成立する。 以降は、上記試験例1とほぼ同様の傾向がある。
ことが分かった。また、試験例1と同様に上記試験によ
り得られたAEのモーメントテンソル解析を行い、鉄筋
コンクリート試験体に発生したひび割れの種類を解析し
た結果、弾性範囲の鉄筋コンクリート試験体(4サイク
ル目の40KNの荷重を加える前の鉄筋コンクリート試
験体)には引っ張り型ひび割れが多く発生し、塑性範囲
の鉄筋コンクリート試験体(4サイクル目の40KNの
荷重を加えた後の鉄筋コンクリート試験体)にはせん断
型ひび割れが多く発生していることが分かった。
【0022】〔試験例3〕ある程度劣化している鉄筋コ
ンクリート試験体に漸増履歴荷重を加えた場合の力学的
挙動とAEの発生状況との関係
【0023】−試験方法− 試験例1に記載したと同様の鉄筋コンクリート試験体を
作製し、この鉄筋コンクリート試験体に予め20KNの
荷重を3回加えた後、試験例1と同様の漸増履歴荷重を
加えた。
【0024】−試験結果− 漸増履歴荷重と発生したAEの振幅値の関係を図4
(a)に、漸増履歴荷重と発生したAEの累積ヒット数
の関係を図4(b)に、漸増履歴荷重とたわみの関係を
図4(c)に各々示す。上記の試験結果から、 1サイクル目、2サイクル目及び3サイクル目にお
いて、20KNの荷重に達するまでAEは発生せず、カ
イザー効果が成立する。 以降においては、上記試験例1とほぼ同様の傾向
がある。ことが分かった。また、上記試験により得られ
たAEのモーメントテンソル解析を行い、鉄筋コンクリ
ート試験体に発生したひび割れの種類を解析した結果、
弾性範囲の鉄筋コンクリート試験体(4サイクル目の4
0KNの荷重を加える前の鉄筋コンクリート試験体)に
は引っ張り型ひび割れが多く発生し、塑性範囲の鉄筋コ
ンクリート試験体(4サイクル目の40KNの荷重を加
えた後の鉄筋コンクリート試験体)にはせん断型ひび割
れが多く発生していることが分かった。
【0025】〔試験例4〕劣化している鉄筋コンクリー
ト試験体に漸増履歴荷重を加えた場合の力学的挙動とA
Eの発生状況との関係
【0026】−試験方法− 試験例1に記載したと同様の鉄筋コンクリート試験体を
作製し、この鉄筋コンクリート試験体に予め40KNの
荷重を3回加えた後、試験例1と同様の漸増履歴荷重を
加えた。
【0027】−試験結果− 漸増履歴荷重と発生したAEの振幅値の関係を図5
(a)に、漸増履歴荷重と発生したAEの累積ヒット数
の関係を図5(b)に各々示す。上記の試験結果から、 1サイクル目において、載荷直後からAEが発生す
る。そして除荷時にもAEは発生する。 2サイクル目以降、カイザー効果は成立しない。そ
して除荷時においてもAEは発生する。 鉄筋コンクリート試験体は構造的に塑性範囲にあ
る。ことが分かった。また、AEのモーメントテンソル
解析を行い、鉄筋コンクリート試験体に発生したひび割
れの種類を解析した結果、鉄筋コンクリート試験体には
せん断型ひび割れが多く発生していることが分かった。
【0028】〔試験例1〜4のまとめ〕以上の試験結果
から、 鉄筋コンクリート試験体が構造的に弾性範囲にある
か塑性範囲にあるかという識別、及び せん断型ひび割れが多く発生しているかという識別
を、漸増履歴荷重を加えた際のAEの発生状況から判断
できることが分かった。
【0029】そして、そのAEの発生状況が、 (1)1サイクル目の載荷直後からAEが発生し、除荷
時にもAEが発生し、且つ2サイクル目においてカイザ
ー効果が成立しない場合(試験例4の場合)は、せん断
型ひび割れが多く発生しており、補修が必要な状態と判
定することができる。一方、 (2)上記(1)以外、すなわち、AEの発生状況が、 1サイクル目の載荷からAEが発生し、除荷時にA
Eが発生せず、そして続く2〜3サイクル目においてカ
イザー効果が成立する場合(試験例1)や、 1〜数サイクル目の載荷途中からAEが発生し、除
荷時にAEが発生せず、そして続くサイクルにおいてカ
イザー効果が成立する場合(試験例2及び3)は、せん
断型ひび割れが殆ど発生しておらず、補修の必要がない
状態と判定することができる。ことが判明した。
【0030】
【実施例】以下、本発明にかかるコンクリート構造物の
劣化判定方法を、実際のコンクリート構造物に適用した
実施例に付き説明する。
【0031】〔実施例1〕僅かに劣化したコンクリート
橋梁への適用
【0032】−実施方法− 築6年のコンクリート橋梁(幅6m、長さ7m)の下面
中央に沿ってAEセンサー(米国 フィジカルアコース
ティクスコーポレーション製:R15 150Hz共振
型)を1m間隔で貼り付け、AE計測装置(米国 フィ
ジカルアコースティクスコーポレーション製:SPAR
TAN2000)にてAEの振幅値及び累積ヒット数を
測定した。漸増履歴荷重は、1サイクル目として最大積
載量10tのトラックを荷物を積んでいない状態(重
量;5t)で10km/hr の速度で走らせ、2サイクル目
として前期トラックに2tの砂利を積んだ状態(重量;
7t)で同じく10km/hr の速度で走らせることにより
コンクリート橋梁に加えた。
【0033】−実施結果− 漸増履歴荷重と発生したAEの振幅値の関係を図6
(a)に、漸増履歴荷重と発生したAEの累積ヒット数
の関係を図6(b)に各々示す。上記の実施結果は、前
記試験例2と同じ傾向のAEの発生状況である。即ち、
1サイクル目の4t以降の荷重からAEが発生し、除荷
時にはAEは発生せず、そして2サイクル目においてカ
イザー効果が成立していることから、該コンクリート橋
梁はせん断型ひび割れが殆ど発生しておらず、まだ補修
の必要はない状態であると判定できる。なお、実施によ
り得られたAEのモーメントテンソル解析からも、該コ
ンクリート橋梁に発生しているひび割れは、引っ張り型
ひび割れが殆どで、せん断型ひび割れは殆ど発生してい
ないことが確認できた。
【0034】〔実施例2〕劣化したコンクリート橋梁へ
の適用
【0035】−実施方法− 築30年のコンクリート橋梁(幅6m、長さ7.5m)
の下面中央に沿ってAEセンサー(米国 フィジカルア
コースティクスコーポレーション製:R15150Hz
共振型)を1m間隔で貼り付け、AE計測装置(米国
フィジカルアコースティクスコーポレーション製:SP
ARTAN2000)にてAEの振幅値及び累積ヒット
数を測定した。漸増履歴荷重は、上記実施例1と同様に
1サイクル目として最大積載量10tのトラックを荷物
を積んでいない状態(重量;5t)で10km/hr の速度
で走らせ、2サイクル目として前期トラックに2tの砂
利を積んだ状態(重量;7t)で同じく10km/hr の速
度で走らせることによりコンクリート橋梁に加えた。
【0036】−実施結果− 漸増履歴荷重と発生したAEの振幅値の関係を図7
(a)に、漸増履歴荷重と発生したAEの累積ヒット数
の関係を図7(b)に各々示す。上記の実施結果は、前
記試験例4と同じ傾向のAEの発生状況である。即ち、
1サイクル目の載荷からAEが発生し、除荷時にもAE
が発生していると共に、2サイクル目においてカイザー
効果が成立していないことから、該コンクリート橋梁は
せん断型ひび割れが多く発生しており、補修の必要な状
態であると判定できる。なお、実施により得られたAE
のモーメントテンソル解析からも、該コンクリート橋梁
に発生しているひび割れは、せん断型ひび割れが殆どで
あることが確認できた。
【0037】
【発明の効果】以上、説明した本発明にかかるコンクリ
ート構造物の劣化判定方法によれば、任意の時期にコン
クリート構造物の劣化を判定することができると共に、
その判定が漸増履歴荷重を加えた際に生じるAEの発生
状況という客観的なデータに基づくものであるため、熟
練を要さずしかも正確な判定が可能となり、コンクリー
ト構造物の補修を経済的に行うことができる効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例1〜4において使用した鉄筋コンクリー
ト試験体へのAEセンサー等の設置位置を示した図であ
り、(a)は鉄筋コンクリート試験体の斜視図、(b)
は鉄筋コンクリート試験体の側面図、(c)は鉄筋コン
クリート試験体の平面図、(d)は鉄筋コンクリート試
験体の底面図を各々示した図である。
【図2】試験例1の結果を示した図であり、(a)は漸
増履歴荷重と発生したAEの振幅値の関係、(b)は漸
増履歴荷重と発生したAEの累積ヒット数の関係、
(c)は漸増履歴荷重とたわみの関係を各々示した図で
ある。
【図3】試験例2の結果を示した図であり、(a)は漸
増履歴荷重と発生したAEの振幅値の関係、(b)は漸
増履歴荷重と発生したAEの累積ヒット数の関係、
(c)は漸増履歴荷重とたわみの関係を各々示した図で
ある。
【図4】試験例3の結果を示した図であり、(a)は漸
増履歴荷重と発生したAEの振幅値の関係、(b)は漸
増履歴荷重と発生したAEの累積ヒット数の関係、
(c)は漸増履歴荷重とたわみの関係を各々示した図で
ある。
【図5】試験例4の結果を示した図であり、(a)は漸
増履歴荷重と発生したAEの振幅値の関係、(b)は漸
増履歴荷重と発生したAEの累積ヒット数の関係を各々
示した図である。
【図6】実施例1の結果を示した図であり、(a)は漸
増履歴荷重と発生したAEの振幅値の関係、(b)は漸
増履歴荷重と発生したAEの累積ヒット数の関係を各々
示した図である。
【図7】実施例2の結果を示した図であり、(a)は漸
増履歴荷重と発生したAEの振幅値の関係、(b)は漸
増履歴荷重と発生したAEの累積ヒット数の関係を各々
示した図である。
フロントページの続き (72)発明者 内田 昌勝 東京都江東区清澄1−2−23 日本セメン ト株式会社中央研究所内 (72)発明者 岡本 享久 東京都江東区清澄1−2−23 日本セメン ト株式会社中央研究所内 (72)発明者 湯山 茂徳 東京都渋谷区東2−17−10 日本フィジカ ルアコースティクス株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンクリート構造物にアコースティック
    ・エミッションセンサーを配設し、該アコースティック
    ・エミッションセンサーにより、前記コンクリート構造
    物に漸増履歴荷重を加えた際に生じるアコースティック
    ・エミッションの発生状況を計測し、このアコースティ
    ック・エミッションの発生状況から、コンクリート構造
    物の劣化を判定することを特徴とするコンクリート構造
    物の劣化判定方法。
  2. 【請求項2】 上記アコースティック・エミッションの
    発生状況が、漸増履歴荷重の1サイクル目の載荷からア
    コースティック・エミッションが発生し、且つ除荷時に
    もアコースティック・エミッションが発生すると共に、
    漸増履歴荷重の2サイクル目以降においてカイザー効果
    が成立しないコンクリート構造物は、劣化が進行してい
    ると判定することを特徴とする、請求項1記載のコンク
    リート構造物の劣化判定方法。
JP8265521A 1996-09-13 1996-09-13 コンクリート構造物の劣化判定方法 Pending JPH1090235A (ja)

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Cited By (13)

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