JPH1089494A - 蒸気加減弁 - Google Patents

蒸気加減弁

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JPH1089494A
JPH1089494A JP24744196A JP24744196A JPH1089494A JP H1089494 A JPH1089494 A JP H1089494A JP 24744196 A JP24744196 A JP 24744196A JP 24744196 A JP24744196 A JP 24744196A JP H1089494 A JPH1089494 A JP H1089494A
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Fumio Kato
文雄 加藤
Haruyuki Yamazaki
晴幸 山崎
Nobuyoshi Tsuboi
信義 坪井
Osamu Yokota
修 横田
Takanori Muroboshi
孝徳 室星
Kazunori Yamanaka
和典 山中
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Abstract

(57)【要約】 【課題】主流の噴流と循環流との衝突、混合、あるいは
干渉により発生する流体騒音を充分低減することが可能
な蒸気加減弁を提供する。 【解決手段】弁箱1および弁座8を備えた蒸気室に弁体
5を上下に移動させ、弁体と弁座との間の絞りによって
蒸気量を制御するように形成されている蒸気加減弁にお
いて、前記弁体5の底部の円周外縁部に、弁体の移動方
向に突出した環状の突起9を設けるとともに、この突起
に続く内面側の弁体底部を、中心側が凹部となる傾斜面
に形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蒸気タービンの蒸
気流量を制御する蒸気加減弁の改良に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】蒸気加減弁は、蒸気タービンへの蒸気量
を制御するために使用される弁装置である。蒸気タービ
ン用加減弁は、蒸気圧力が25MPa前後、温度が約5
38〜550℃の高温、高圧下で使用され、起動から定
格負荷までの弁前後の圧力比(P2/P1、P1:弁上
流側圧力;P2:弁下流側圧力)は約0〜0.98の範
囲で変化する。その際、臨界圧力比(P2/P1=0.
546)以下では弁の最大絞り部における流速は超音速
となり、それ以上では亜音速となる。
【0003】このように蒸気加減弁はタービン要素機器
の中でも最も苛酷な条件下で使用されるため、強度信頼
性については十分な配慮が必要である。蒸気加減弁はタ
ービン起動時に弁前後の圧力比が最大となり、弁を開け
ていく時に大きな圧力と衝撃的な流体力が弁部に働く、
これを緩和するために蒸気タービンでは図4に示されて
いるようなダブルリフト弁が採用されている。
【0004】すなわち、この型式の弁は親弁5と子弁4
で構成され、親弁5の内部に子弁4があって、起動時に
先に子弁が約2〜3mm程度リフトする。この時点で弁
スリーブ7と弁体5との間隙を通って弁体5の内部流れ
込んだ蒸気は弁体底部の蒸気流出孔12を通って弁下流
へ流れる。この子弁4は、いわゆる蒸気流のバイパス弁
としての役目を担い、弁前後の圧力差を緩和し衝撃的な
蒸気圧力の負荷を軽減している。
【0005】蒸気加減弁に関するトラブル事例は比較的
多く、騒音、振動、エロジョンあるいは材料劣化などの
報告がある。特に騒音の問題は騒音値が100dBを越え
る場合もあり、全プラント最大の騒音源となる場合が多
い。また騒音と弁構成要素個体の振動とは直接相関がな
い場合もあるが、多くの場合、騒音レベルの高いところ
では弁を構成する各要素個体の振動も高いのが一般的で
ある。それは騒音、個体振動の発生原因が弁廻りの流れ
の乱れや不安定流れなどによって誘発されるためであ
る。
【0006】このように騒音の発生源が流れに起因する
ものを一般に流体騒音と呼んでいる。この流体騒音の大
きさは Lighthill 等の研究によって速度の6〜8乗に
比例することが知られている。その発生メカニズムをミ
クロ的に見るならば、最大絞り部からの噴流(ジェッ
ト)が下流側の低速部分に加速されるとき、低速部分と
の間に大きな速度勾配が発生し、噴流内に流れの剪断層
ができる。剪断層の周りからは小さな剪断乱流渦がで
き、その渦が交互に衝突、混合、干渉などを起こすこと
により、部分的に圧力の高い部分が発生し、それが音波
となって伝搬するときに騒音として感知される。
【0007】以上の観点から、この流体騒音の低減法と
しては次のような対応が必要となる。すなわち、 (1)絞り部での最大流速を低く抑える。
【0008】(2)剪断層からの渦の発生を抑えるため
周囲流体との速度差を小さくする。
【0009】(3)周囲流体との合流、混合、干渉がス
ムーズになる流れとする。
【0010】(4)流動パターンが変動する不安定領域
をなくし、安定した流れ場とする。
【0011】である。
【0012】前述した図4は従来一般に採用されている
代表的な弁構造であるが、この弁における弁体(親弁)
5は、その弁体底部がカットされ、平坦な弁体底面10
とその外縁部に円環状の突起9が配置されている。この
ように弁体底部をカットする利点は、弁体の外周曲面1
1に沿って流れてきた流体をカット部で強制的に剥離さ
せることにより、弁体底部で発生する流れパターンの遷
移による流体不安定領域を解消し、弁座8、8側に沿う
安定した弁座付着流14、14を形成することにある。
【0013】なお、この種の弁に関連するものとして
は、例えば特開昭56−109954号公報、特開昭6
1−43589号公報あるいは実開昭62−73165
号公報などが挙げられる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】このように形成されて
いる蒸気加減弁であると、弁体底部のカットおよびその
外縁部の円環状の突起により、弁体底部に循環流域が形
成される。その循環流の大きさや流れの向きは弁体底面
および突起形状によって大きく左右される。従来型のよ
うに弁体底面が水平平面に設置され、突起の角度が広く
とられる場合には、この循環流が主流13、13と衝突
あるいは干渉して騒音を生ずる恐れがあった。
【0015】本発明はこれに鑑みなされたもので、その
目的とするところは、たとえ弁体底部に大きな循環流が
発生した場合であっても、噴流主流と循環流との衝突、
混合、あるいは干渉により発生する流体騒音を充分低減
することが可能な蒸気加減弁を提供するにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、弁箱
および弁座を備えた蒸気室に弁体を上下に移動させ、弁
体と弁座との間の絞りによって蒸気量を制御するように
形成されている蒸気加減弁において、前記弁体の底部の
円周外縁部に、弁体の移動方向に突出した環状の突起を
設けるとともに、この突起に続く内面側の弁体底部を、
中心側が凹部となる傾斜面に形成し所期の目的を達成す
るようにしたものである。
【0017】またこの場合、前記弁体底面を平坦面ある
いは曲面に形成するようにしたものである。また、前記
突起形状を、突起先端から突起に内接する円の接線方向
とこの突起の内面側壁面方向のなす角度が55°以下と
なるように形成したものである。また、前記突起形状
を、突起先端から突起に内接する円の接線方向とこの突
起の内面側壁面方向のなす角度が55°以下で、かつこ
の突起の高さが弁体曲面(円弧面)の高さの1/4〜1
/3の範囲となるようにしたものである。
【0018】また、弁箱および弁座を備えた蒸気室に弁
体を上下に移動させ、弁体と弁座との間の絞りによって
蒸気量を制御するように形成されている蒸気加減弁にお
いて、前記弁体の底部の円周外縁部に、弁体の移動方向
に突出した環状の突起を設けるとともに、この突起の形
状を、突起先端からこの突起に内接する円の接線方向と
この突起の内面側壁面方向のなす角度が55度以下で、
かつこの突起の高さが弁体曲面(円弧面)の高さの1/
4〜1/3の範囲となるように形成したものである。
【0019】また、弁箱および弁座を備えた蒸気室に弁
体を上下に移動させることにより、弁体と弁座との間の
絞りによって蒸気量を制御するように形成されるととも
に、前記弁体の内部に子弁を備え、この子弁の上下移動
によりバイパス蒸気を弁体底部下流部に流通させるよう
に形成されている蒸気加減弁において、前記子弁部から
のバイパス蒸気を弁体底部下流部に流通させるバイパス
蒸気流通路を、このバイパス蒸気流通路から噴出される
バイパス蒸気が弁体底部下流部に形成される主蒸気循環
流の向きと同じ向きに噴出されるように形成したもので
ある。
【0020】また、弁箱および弁座を備えた蒸気室に弁
体を上下に移動させることにより、弁体と弁座との間の
絞りによって蒸気量を制御するように形成されるととも
に、前記弁体の内部に子弁を備え、この子弁の上下移動
によりバイパス蒸気を弁体底部下流部に流通させるよう
に形成されている蒸気加減弁において、前記子弁部から
のバイパス蒸気を弁体底部下流部に流通させるバイパス
蒸気流通路の蒸気噴出口を、前記弁体底部の周縁近傍に
設けるようにしたものである。
【0021】また、弁箱および弁座を備えた蒸気室に弁
体を上下に移動させることにより、弁体と弁座との間の
絞りによって蒸気量を制御するように形成されるととも
に、前記弁体の内部に子弁を備え、この子弁の上下移動
によりバイパス蒸気を弁体底部下流部に流通させるよう
に形成されている蒸気加減弁において、前記弁体の底部
の円周外縁部に、弁体の移動方向に突出した環状の突起
を設けるとともに、前記子弁部からのバイパス蒸気を弁
体底部下流部に流通させるバイパス蒸気流通路の蒸気噴
出口を、前記弁体底部で環状の突起の内側に並設するよ
うにしたものである。
【0022】またこの場合、前記バイパス蒸気流通路の
蒸気噴出口を、周方向に等間隔に複数個設けるようにし
たものである。
【0023】すなわちこのように形成された蒸気加減弁
であると、騒音の発生源となる弁体底部下流部の干渉領
域における主流と循環流の合流、混合の抵抗損失が少な
くなり、すなわち、主流流速によって循環流の流速が誘
引、加速されるので、これにより弁半径方向の急激な速
度勾配の発生が抑制され、かつ安定、固定化した大きな
循環流が形成され、したがって噴流主流と循環流との衝
突、混合、あるいは干渉により発生する流体騒音は低減
されるのである。
【0024】
【発明の実施の形態】以下図示した実施例に基づいて本
発明を詳細に説明する。図1にはその蒸気加減弁の要部
が断面で示されている。5が図中上下に移動する弁体で
あり、8がその弁座である。弁体5と弁座8との接合は
弁体下方部の外周曲面11と弁座の周曲面で行なわれ
る。弁体5の外周曲面11は、曲率半径R1の円弧によ
り形成される。なお、この図では便宜的にその曲率中心
を弁体曲面に内接する円の中心と一致させて描いている
が、その必然性はない。
【0025】この図は弁体5が最大リフト状態の場合を
示している。なお、全閉時は弁体曲面11上の点C1
弁座8上の点C2が一致する。したがって点C1,C2
弁のストロークとなる。弁体曲面の中心O1と弁座8の
曲率中心O2(曲率半径=R2)を結ぶ線上の弁座8との
交点をT1,弁体側交点をT2とすると、T1,T2は最大
ストローク時の最小絞り部長さ(スロート)となり、理
論上この断面で最大流速となる。
【0026】図から明らかなように、弁体5の底部で、
その円周外縁部には、弁体5の移動方向に突出した環状
の突起17が設けられており、そしてこの突起に続く内
面側の弁体底部10は、中心側が凹部となる傾斜面(θ
3)に形成されている。
【0027】この場合、突起17の先端Qの位置は流れ
の下流側への拡散をスムーズに行わせるために最小絞り
部よりも下流側にある必要がある。本発明では角<T2
1Q=5〜15°に選定する。したがって実用的な弁
体曲面11の占める角度(θ1)は40〜60°が適当
である。
【0028】突起17の角度は次のように決められる。
まず角度θ2は曲率中心O1とQを結ぶ線に直交するQR
線と突起の内側面QS線とのなす角と定義する。この突
起の角度(θ2)は重要な意味を持つ。
【0029】弁体曲率、弁座曲率および弁リフト量によ
って最小絞り部の流速ベクトルの大きさ、向きは違って
くるが、弁突起先存端付近の主流速度ベクトルと循環流
の速度ベクトルのなす角,すなわち両流体速度の交差角
はθ2に大きく依存することになる。この交差角は主流
と循環流との衝突による損失を最小にし、循環流側では
主流速度によってその速度が誘引、加速されるように角
度が選定される。この突起角度(θ2)の最適化には、
流体の合流損失の実験的解析が役に立つ。
【0030】図5には交差角(φ)をもった2方向の管
内流れが合流する場合の合流角度と損失係数(ζ1-3)
の関係が示されている。これより合流角が55°付近か
ら上では損失は急激に増加することが分かる。当然のこ
とながら合流角が大きければ主流との衝突、干渉の割合
が増加し乱流渦の発生、流れの飛躍、剥離などによるエ
ネルギー損失が増加することになる。以上の結果を基に
本発明では突起の角度が55°以下に選定される。
【0031】突起17の先端付近での循環流と主流との
交差角を突起角度に近い角度にするために凹み部は深い
方がよく、したがって突起17の高さは弁体曲面11の
高さH0(図1)の1/4〜1/3程度にするのが適当
である。循環流が突起内側面(QN)に沿って流れ易く
するにはその上流側の弁体底部形状は図に示すようにあ
る角度θ3をもって突起根本部(N)につなげるように
形成するのが効果的である。さらにスムーズな循環流を
得るためには弁体底面を中央部が凹みとなる傾斜面であ
りながら、曲面に形成するとさらにその効果を向上させ
ることが可能であろう。
【0032】主流との合流付近、所謂、干渉領域に於
て、循環流の速度が加速され、安定、かつ大きな循環流
を形成することが本発明の要点である。この考えに対し
て従来形の弁では子弁からの蒸気バイパス流20は、循
環流の速度の向きと対向するため循環流の形成に対して
マイナス効果として働いていた。
【0033】本発明では子弁からの蒸気バイパス流20
の循環流への影響を軽減するため、または逆に循環流の
形成にプラスが側に作用するようにするため蒸気流出孔
12の形状と配置を変更している。すなわち、 (1)蒸気流出孔12の径を小さくし、弁体中心軸付近
に限定する。
【0034】(2)弁体中心軸付近に配置される従来の
蒸気流出孔12をなくし、代わりに複数の蒸気流出孔を
弁体突起17の内側面付近にその出口を設けるように配
置し、循環流の速度の向きと一致するように蒸気を流出
させ、循環流の流速を加速するように働かせる。
【0035】図6には上述した構成を蒸気タービン等で
使用されるダブルリフト型の蒸気加減弁に採用した場合
の例が示されている。弁2は弁箱1と弁座8、8で囲ま
れた蒸気室に置かれ弁の上下運動によって弁座との間隙
を変え蒸気流量を制御する。弁2は弁棒3、弁棒スリー
ブ6、子弁4、親弁(弁体)5、弁体スリーブ7から構
成され、先に述べたようにタービンの起動時にまず弁棒
3が引き上げられると、子弁4が開き、次いで親弁5が
開く機構になっている。このように子弁によって、蒸気
をバイパスさせることによって、親弁にかかる衝撃的な
蒸気力を緩和している。
【0036】本実施例は子弁4からの蒸気流出孔12の
形状を従来形状とほぼ同一に維持し、子弁からの蒸気バ
イパス流20の循環流18に与える影響は従来並とした
場合の例である。弁体底部の形状は先に述べたように、
突起17の角度(θ2)は55°以下にし、その高さは
弁体曲面11の高さH0の1/4〜1/3の範囲とす
る。循環流18の弁体底面での抵抗を少なくし、安定な
卵形循環流を得るため、弁体底面19は突起17の内面
根本部N点より水平面に対して大きな傾斜角度をとるの
が流体抵抗軽減の観点から有利となるが、前述したよう
に、子弁の機能を保持し、弁体の強度などを考慮する
と、弁体底面19の傾斜角(θ3)の上限値は約32度
となり、従来型(θ3=0度)に対して、壁面に沿う循
環流の流体抵抗を半分以下にするには、θ3は約22〜
32度の範囲に設定するのが良好である。
【0037】図7に示されている実施例は図6と弁体の
突起17、弁体曲面11、蒸気流出孔21の位置、孔径
などは同じ形状である。唯一の変更は弁体底面を曲面2
2で形成している点である。曲面22は図6の実施例で
述べたθ3=22〜32度の傾斜線上にあり、かつ蒸気
流出孔21面上の点であるM点弁体突起17の内面部根
元N点を通る半径R3の円弧とし、線分NQはこの円弧
に内接するように円弧中心点を定める。このように弁体
底面を円弧面にすることにより、安定な卵形の循環流2
3、23の形成を容易にし、循環流の最外周の流速を増
す効果を生む。
【0038】図8の実施例は図6実施例の変形例であ
る。従来形では弁体中心軸上に配置された蒸気流出孔1
2の孔径が大きいため、循環流と逆向きに流れる子弁4
からの蒸気バイパス流20のために循環流の発達を阻害
するように作用していた。この例では弁体底面19に沿
って形成される循環流24への蒸気バイパス流21の影
響を少なくするため、蒸気流出孔25の孔径を小さく
し、バイパス流26の及ぶ範囲を弁の中心軸付近に限定
した。
【0039】図9および図10の実施例は子弁4から蒸
気バイパス流を循環流形成に有効に利用する方法であ
る。すなわち、従来弁体中心に配置されていた蒸気流出
孔21をなくすことにより、弁体底面27を弁突起17
の内面根本N点から水平面に対してθ3の傾をもって弁
体の中心軸点のM点まで引き伸ばすことができる。弁体
底面の形状は図7で述べたように曲面にすると安定した
循環流の形成にさらに有利である。
【0040】子弁4からの蒸気バイパス流は循環流2
8、28の向きと同じ向きとして流すために、子弁4の
下流側に箱状の蒸気溜め29を設け、その蒸気溜めの垂
直壁面30から弁体突起17の内壁側に蒸気を流すため
の弁体底面27に貫通する複数の蒸気通路31が周方向
に設けられている。
【0041】このように子弁4からの蒸気バイパス流れ
を変更することにより、騒音発生源となる干渉領域の循
環流の速度を加速させることができ、主流と循環流との
間の急激な速度勾配をなくし、かつ循環流を安定、固定
化できる。
【0042】次に本発明と従来形弁における循環流と主
流との干渉状況の結果について説明する。図3はその循
環流と主流との干渉状況を示しており、また図2は干渉
領域を含む断面の速度勾配を示している。まず従来形の
循環流パターンについて述べる。
【0043】弁体底面10と低い高さの突起9に沿って
流れる循環流15の一部は干渉領域16で主流13と衝
突、合流、混合を行う。数値解析と可視化実験によれば
弁体底部の凹みに深みがないと、弁体底面10と突起9
に沿って流れる循環流の速度ベクトルと主流の速度ベク
トルはほぼ直交に近い角度で合流することになり、循環
流は部分的に主流によりブロックされる。このため干渉
領域での弁半径方向の速度勾配が大きくなる。また、循
環流内の速度は主流によって加速されないため循環流の
発達領域が縮小し、その循環流の強度も低下する。
【0044】これに対して本発明では弁体底部の凹み部
を深くとるために突起17の高さを高くし、かつ、突起
の角度(後述)は循環流と主流の速度ベクトルの交差角
が小さくなるようにし、主流によって循環流の速度が加
速されるように突起17の角度が選定されている。また
安定した卵形の循環流18を形成させるために弁体底面
19を水平面に対して傾けた平面ないし曲面で形成され
ている。さらに子弁4からのバイパス流れ20が循環流
18を阻害しないようにその流路が配置されている。
【0045】図2は騒音源となる噴流剪断層(剪断応
力)の大きさを評価するための弁半径方向の速度勾配の
比較を示したもので、干渉領域16では本発明の方が従
来形に比べ速度勾配が小さくなり騒音低減に有効である
ことが分かる。
【0046】以上説明してきたようにこのように形成さ
れた蒸気加減弁であると、弁体底部下流側で騒音発生源
となる主流と循環流の干渉領域での流体の合流、混合損
失を少なくすることにより主流から循環流への速度勾配
が小さくなり、剪断渦の発生が抑制されることにより、
低騒音化が実現できる。また、循環流を安定、固定化で
きるので主流側で発生可能な流体の不安定現象を抑制さ
せる働きもある。さらに、安定な循環流は弁体に作用す
る蒸気流体力の変動を小さくできるので、弁体さらには
弁棒に作用する振動応力が低下し、弁装置の破損事故に
対して十分な信頼性が確保できる。
【0047】なお以上の説明では、蒸気タービンで用い
られるダブルリフト弁を対象として説明してきたが、他
の弁方式のものにも適用できることは言うまでもない。
【0048】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明によれ
ば、弁体底部に発生する循環流と主流の噴流との衝突、
混合、あるいは干渉により発生する流体騒音を低減する
ことが可能な蒸気加減弁を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蒸気加減弁の一実施例の要部を示す縦
断側面図である。
【図2】弁体下流部の循環流と主流の干渉領域付近の蒸
気速度分布を示す図である。
【図3】弁体下流の速度パターンを示す図である。
【図4】従来形の蒸気加減弁を示す縦断側面図である。
【図5】流れの合流損失を示す図である。
【図6】本発明の実施例の基本となる形状を示す縦断側
面図である。
【図7】本発明の蒸気加減弁の他の実施例を示す縦断側
面図である。
【図8】本発明の蒸気加減弁の他の実施例を示す縦断側
面図である。
【図9】本発明の蒸気加減弁の他の実施例を示す縦断側
面図である。
【図10】本発明の蒸気加減弁の弁体部を示す斜視図で
ある。
【符号の説明】
1…弁箱、2…弁、3…弁棒、4…子弁、5…親弁(弁
体)、6…弁棒スリーブ、7…弁体スリーブ、8…弁
座、9…突起、10…弁体底面、11…弁体曲面、12
…蒸気流出孔、13…主流、14…弁座付着流、15…
循環流、16…干渉領域、18…循環流、19…弁体底
面、20…バイパス流、21…蒸気流出孔、22…曲
面、23…循環流、24…循環流、25…蒸気流出孔、
26…バイパス流、27…弁体底面、28…循環流、2
9…蒸気溜め、30…垂直壁面、31…蒸気通路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 横田 修 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所電力・電機開発本部内 (72)発明者 室星 孝徳 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 山中 和典 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弁箱および弁座を備えた蒸気室に弁体を
    上下に移動させ、弁体と弁座との間の絞りによって蒸気
    量を制御するように形成されている蒸気加減弁におい
    て、 前記弁体の底部の円周外縁部に、弁体の移動方向に突出
    した環状の突起を設けるとともに、この突起に続く内面
    側の弁体底部を、中心側が凹部となる傾斜面に形成した
    ことを特徴とする蒸気加減弁。
  2. 【請求項2】 弁箱と弁座からなる蒸気室に弁体を上下
    に移動させ、弁体と弁座との間の絞りによって蒸気量を
    制御するようにした蒸気加減弁において、 前記加減弁の弁体の底部の円周外縁部に、弁体の移動方
    向に突出した環状の突起を設けるとともに、この突起に
    続く内面側の弁体底面を、水平面に対して中央側が凹部
    となる平坦な傾斜面に形成したことを特徴とする蒸気加
    減弁。
  3. 【請求項3】 弁箱と弁座からなる蒸気室に弁体を上下
    に移動させ、弁体と弁座との間の絞りによって蒸気量を
    制御するようにした蒸気加減弁において、 前記加減弁の弁体の底部の円周外縁部に、弁体の移動方
    向に突出した環状の突起を設けるとともに、この突起に
    続く内面側の弁体底面を、水平面に対して中央側が凹部
    となるように傾斜させ、かつその傾斜面を凹曲面状に形
    成したことを特徴とする蒸気加減弁。
  4. 【請求項4】 前記突起形状が、突起先端から突起に内
    接する円の接線方向とこの突起の内面側壁面方向のなす
    角度が55°以下である請求項1,2または3記載の蒸
    気加減弁。
  5. 【請求項5】 前記突起形状が、突起先端から突起に内
    接する円の接線方向とこの突起の内面側壁面方向のなす
    角度が55°以下で、かつこの突起の高さが弁体曲面
    (円弧面)の高さの1/4から1/3の範囲に形成され
    ている請求項1,2または3記載の蒸気加減弁。
  6. 【請求項6】 弁箱および弁座を備えた蒸気室に弁体を
    上下に移動させ、弁体と弁座との間の絞りによって蒸気
    量を制御するように形成されている蒸気加減弁におい
    て、 前記弁体の底部の円周外縁部に、弁体の移動方向に突出
    した環状の突起を設けるとともに、この突起の形状を、
    突起先端からこの突起に内接する円の接線方向とこの突
    起の内面側壁面方向のなす角度が55度以下で、かつこ
    の突起の高さが弁体曲面(円弧面)の高さの1/4〜1
    /3の範囲となるように形成したことを特徴とする蒸気
    加減弁。
  7. 【請求項7】 弁箱および弁座を備えた蒸気室に弁体を
    上下に移動させることにより、弁体と弁座との間の絞り
    によって蒸気量を制御するように形成されるとともに、
    前記弁体の内部に子弁を備え、この子弁の上下移動によ
    りバイパス蒸気を弁体底部下流部に流通させるように形
    成されている蒸気加減弁において、 前記子弁部からのバイパス蒸気を弁体底部下流部に流通
    させるバイパス蒸気流通路を、このバイパス蒸気流通路
    から噴出されるバイパス蒸気が弁体底部下流部に形成さ
    れる主蒸気循環流の向きと同じ向きに噴出されるように
    形成したことを特徴とする蒸気加減弁。
  8. 【請求項8】 弁箱および弁座を備えた蒸気室に弁体を
    上下に移動させることにより、弁体と弁座との間の絞り
    によって蒸気量を制御するように形成されるとともに、
    前記弁体の内部に子弁を備え、この子弁の上下移動によ
    りバイパス蒸気を弁体底部下流部に流通させるように形
    成されている蒸気加減弁において、 前記子弁部からのバイパス蒸気を弁体底部下流部に流通
    させるバイパス蒸気流通路の蒸気噴出口を、前記弁体底
    部の周縁近傍に設けるようにしたことを特徴とする蒸気
    加減弁。
  9. 【請求項9】 弁箱および弁座を備えた蒸気室に弁体を
    上下に移動させることにより、弁体と弁座との間の絞り
    によって蒸気量を制御するように形成されるとともに、
    前記弁体の内部に子弁を備え、この子弁の上下移動によ
    りバイパス蒸気を弁体底部下流部に流通させるように形
    成されている蒸気加減弁において、 前記弁体の底部の円周外縁部に、弁体の移動方向に突出
    した環状の突起を設けるとともに、前記子弁部からのバ
    イパス蒸気を弁体底部下流部に流通させるバイパス蒸気
    流通路の蒸気噴出口を、前記弁体底部で環状の突起の内
    側に並設するようにしたことを特徴とする蒸気加減弁。
  10. 【請求項10】 前記バイパス蒸気流通路の蒸気噴出口
    が、周方向に等間隔でかつ複数個設けられてなる請求項
    8または9記載の蒸気加減弁。
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