JPH1087560A - 錯体、その製造方法およびp−ヒドロキシ安息香酸の製造方法 - Google Patents

錯体、その製造方法およびp−ヒドロキシ安息香酸の製造方法

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JPH1087560A
JPH1087560A JP8239491A JP23949196A JPH1087560A JP H1087560 A JPH1087560 A JP H1087560A JP 8239491 A JP8239491 A JP 8239491A JP 23949196 A JP23949196 A JP 23949196A JP H1087560 A JPH1087560 A JP H1087560A
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alkali metal
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aprotic polar
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Itaru Endo
至 遠藤
Shinzo Imamura
伸三 今村
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】フェノールのアルカリ金属塩を非プロトン性極
性溶媒からなる錯体を得る。さらに、p−ヒドロキシ安
息香酸を製造するまでの繁雑な操作を簡略化する。 【解決手段】非プロトン性極性溶媒中、フェノールとア
ルカリ金属水酸化物を混合し水を除去して、錯体を得
る。さらに、非プロトン性極性溶媒中で、フェノールと
のアルカリ金属水酸化物を混合して水を除去した後、二
酸化炭素を反応させて、p−ヒドロキシ安息香酸を得
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な、フェノール
のアルカリ金属塩と非プロトン性極性溶媒から成る錯体
およびその製造方法に関するものである。
【0002】本発明のフェノールのアルカリ金属塩と非
プロトン性極性溶媒から成る錯体は、例えば、医薬、農
薬の原料あるいは液晶ポリマーの原料として有用なp−
ヒドロキシ安息香酸を製造するための合成中間体として
有用である。
【0003】また、本発明で得られるp−ヒドロキシ安
息香酸は、医薬、農薬の原料あるいは液晶ポリマーの原
料として有用である。
【0004】
【従来の技術】フェノールのナトリウム塩、フェノール
のカリウム塩は既知の化合物であるが、フェノールのア
ルカリ金属塩と非プロトン性極性溶媒から成る錯体につ
いての報告例は見当たらない。従って、その製造法に関
する報告も出ていない。
【0005】非プロトン性極性溶媒中で、フェノールの
アルカリ金属塩と二酸化炭素から、p−ヒドロキシ安息
香酸を合成した報告例は有機合成協会誌,24,105
1,(1966),フランス特許第1506291号公
報(1966)、特公昭44−019851号公報ある
いは欧州特許第478197号公報(1992)等に開
示されている。これらの実施例では、フェノールのアル
カリ金属塩と非プロトン性極性溶媒から成る錯体の調製
を意図しておらず、別途調製した無水のフェノールのア
ルカリ金属塩の粉末を非プロトン性極性溶媒に加えてい
るものの、実際に反応前にフェノールのアルカリ金属塩
がどの程度溶媒との錯体に変化したのかは報告されてい
ない。
【0006】フェノールのアルカリ金属塩の調製は一般
的な方法、即ちフェノールと等量のアルカリ金属水酸化
物を含む水溶液を混合し、塩形成で発生した分を含む全
水分を共沸蒸留などを利用して除去した後、減圧下高温
で乾燥する方法、金属アルコラートのアルコール溶液に
フェノールを加え、アルコールを濃縮除去した後、減圧
下高温で乾燥する方法が採用できる。しかし、フェノー
ルのアルカリ金属塩は吸湿性が強い上に劣化し易い物質
なので保管や取扱いに細心の注意が必要である。また水
やアルコールで阻害される反応に使用する場合には、調
製の過程で生ずる水和物やアルコール和物を分解し、微
量の水分やアルコール分を除く為に減圧下高温の乾燥が
必要である。上記の実施例では、反応に使用する原料の
フェノールのアルカリ金属塩から水分を除くために、
0.26〜0.40kPa、130〜140℃の乾燥を
実施している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術を使って、
フェノールのアルカリ金属塩と非プロトン性極性溶媒か
ら成る錯体を製造しようとすると、別途調製した無水の
フェノールのアルカリ金属塩を非プロトン性極性溶媒に
加え、フェノールのアルカリ金属塩が非プロトン性極性
溶媒と錯体を形成するよう十分になじませる等の操作が
必要になる。また、このような操作を行っても、フェノ
ールのアルカリ金属塩、非プロトン性極性溶媒との錯体
の双方共溶解度が小さいため、固体から固体への反応に
なるケースもあり、フェノールのアルカリ金属塩と非プ
ロトン性極性溶媒との錯体化が完全に行われない可能性
もある。
【0008】本発明の目的は、フェノールのアルカリ金
属塩と非プロトン性極性溶媒から成る錯体を簡便に調製
することにある。
【0009】また、本発明の目的は、非プロトン性極性
溶媒中でフェノールのアルカリ金属塩と二酸化炭素から
p−ヒドロキシ安息香酸を製造する方法において、二酸
化炭素との反応に有利な出発物質の調製法を提供し、p
−ヒドロキシ安息香酸を製造するまでの繁雑な操作を簡
略化することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで、発明者らが、フ
ェノールのアルカリ金属塩と非プロトン性極性溶媒から
成る錯体のより確実で簡便な製造方法を検討した結果、
以下の方法により目的物が得られることがわかった。
【0011】すなわち、本発明はフェノールのアルカリ
金属塩と非プロトン性極性溶媒から成り、フェノールの
アルカリ金属塩と非プロトン性極性溶媒のモル比が1対
2である錯体および非プロトン性極性溶媒中、フェノー
ルとアルカリ金属水酸化物を混合し、水を除去すること
を特徴とするフェノールのアルカリ金属塩と非プロトン
性極性溶媒から成る錯体の製造方法である。
【0012】さらい、非プロトン性極性溶媒中で、フェ
ノールとのアルカリ金属水酸化物を混合して水を除去し
た後、二酸化炭素を反応させることを特徴とするp−ヒ
ドロキシ安息香酸の製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の錯体は例えば以下の方法
で製造することができる。
【0014】非プロトン性極性溶媒、フェノール、フェ
ノールの0.9〜1.1モル倍のアルカリ金属水酸化物
を含む水溶液を混合し、(好ましくは、減圧下、液温が
100℃を越えない温度で)内部の水分、即ちアルカリ
金属水酸化物を含む水溶液として入った水と塩形成時の
発生した水の総量を留出除去させる。水の留出が終了し
た液は、濃度が高い場合は一部結晶が析出するが、冷却
すると更に結晶は増加する。引き続きその溶媒中で反応
を行う場合には、このまま試薬を仕込めばよい。
【0015】この方法で生成する化合物について、ジメ
チルスルホキシドを用いた例で述べると、ジメチルスル
ホキシド、フェノール、水酸化ナトリウムで調製した液
から結晶を濾別し、トルエンでよく洗浄した後、室温、
約0.7kPaの条件で恒量になるまで乾燥し、白色の
結晶を得た。結晶は100〜105℃で融解した。結晶
の中身を高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLC
と略す)分析とナトリウム分析で調べたところ、ケーク
中の化合物は1分子のフェノールのナトリウム塩と2分
子のジメチルスルホキシドを含み、見かけの分子量は2
77(理論値は272)であった。
【0016】この結果は、フェノールのナトリウム塩を
水やアルコールで合成する場合、途中で形成される結晶
性の水和物やアルコール和物に相当するジメチルスルホ
キシドを2分子含んだ錯体が直接水を含んだジメチルス
ルホキシドから水を除去する操作の中で形成されること
を示している。乾燥したフェノールのナトリウム塩を用
いてジメチルスルホキシドの中で二酸化炭素と反応させ
る場合も、同一の錯体を経由していることが考えられる
が、フェノールのナトリウム塩のジメチルスルホキシド
に対する溶解度が小さいので錯体形成に時間がかかり、
特に濃度の高い条件で反応させる場合は、本発明の方法
が有効である。
【0017】フェノールのアルカリ金属塩と非プロトン
性極性溶媒から成る錯体を原料とする反応では、水やア
ルコールなどのように分子内に活性化水素を持つ化合物
や、反応中に水に変化する化合物が系内に存在すると反
応が著しく阻害される場合がある。従って、非プロトン
性極性溶媒中でフェノールの金属塩と非プロトン性極性
溶媒から錯体を製造した後、引き続きその溶媒中で反応
を行うことを考慮すると、フェノールのアルカリ金属塩
と非プロトン性極性溶媒から成る錯体を製造する際に使
用するアルカリ金属水酸化物の量は、フェノールに対し
少な過ぎても多すぎてもフェノールや水酸化ナトリウム
が残るので、フェノールに対し0.9〜1.1モル倍が
好ましい。
【0018】非プロトン性極性溶媒には、ジメチルスル
ホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ドの他に、N−メチルピロリドン、アルキルスルホン
類、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等がある
が、アルカリ金属イオンに対する適正な配位力や価格の
点でジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジ
メチルアセトアミドが好ましい。非プロトン極性溶媒の
使用量はフェノールの2倍モル以上が好ましい。2倍モ
ル未満ではフェノールのアルカリ金属塩と非プロトン性
極性溶媒から成り、フェノールのアルカリ金属塩と非プ
ロトン性極性溶媒のモル比が1対2である錯体の生成が
完全に行われないため好ましくない。錯体合成の条件と
しては、フェノールとアルカリ金属の水酸化物のモル比
を0.9〜1.1の範囲内にすること以外に調製時の液
温を100℃以下に保つことが好ましい。その理由は、
出来てくる錯体の融点が比較的低温度であることと非プ
ロトン性極性溶媒の劣化を防ぐことにある。水を完全に
除く際には、最高温度を、少なくとも非プロトン性極性
溶媒の沸点が100℃以下になるよう減圧度を調整す
る。調製液は水分の混入を防げば、長期間保存すること
が出来る。
【0019】アルカリ金属水酸化物としては、好ましく
は水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムが用いられ
る。非プロトン性極性溶媒中にアルカリ金属水酸化物を
添加する場合は、ペレット状、粉末状でもよいし、水溶
液として添加してもよい。水溶液として添加する場合
は、3規定以上の水溶液が好ましい。3規定未満の希薄
な水溶液を添加すると水を除去する操作をしている間に
系外に留出するフェノールの量が多くなり、フェノール
が損失が大きくなるので好ましくない。
【0020】コルベ・シュミット反応として知られてい
るフェノールのアルカリ金属塩と二酸化炭素との反応は
一般的には無溶媒で固体と気体の反応、あるいは炭化水
素系の溶媒中に懸濁させて行われる。出発物質にフェノ
ールのナトリウム塩を用いたときは、生成物はサリチル
酸が、フェノールのカリウム塩ではp−ヒドロキシ安息
香酸が選択性良く得られる。しかし、非プロトン性極性
溶媒中で行うと、反応が比較的低温でも進行し、ナトリ
ウム塩からp−ヒドロキシ安息香酸も生成することが開
示されている。この選択性と反応性が変わる理由につい
て、フェノールのアルカリ金属の周りに非プロトン性極
性溶媒が適切な強さで溶媒和または配位するためと推定
した。しからば、非プロトン性極性溶媒の中で直接フェ
ノールのアルカリ金属塩を生成させれば反応原料として
好ましい中間体を準備できると考え本発明に到達した。
非プロトン性極性溶媒、フェノール、フェノールの0.
9〜1.1モル倍のアルカリ金属水酸化物を含む水溶液
を混合し、減圧下、液温が100゜Cを越えない温度で内
部の水分、即ちアルカリ金属水酸化物を含む溶液として
入った水と塩形成時に発生した水の総量を留出除去させ
る。水の留出が終了した液は、濃度が高い場合は、この
まま二酸化炭素を常圧または加圧下で供給すれば良い。
【0021】p−ヒドロキシ安息香酸を得る際に用いる
非プロトン性極性溶媒は、ジメチルスルホキシド、ジメ
チルホルムアミドまたはジメチルアセトアミドの他に、
N−メチルピロリドン、アルキルスルホン類または1、
3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等があるが、アル
カリ金属イオンに対する適正な配位力や価格の点でジメ
チルスルホキシド、ジメチルホルムアミドまたはジメチ
ルアセトアミドが好ましい。フェノールとアルカリ金属
の水酸化物のモル数を合わせること以外に調製時の液温
を100℃以下に保つことが好ましい。その理由は、出
来てくる錯体の融点が比較的低温度であることと非プロ
トン性極性溶媒の劣化を防ぐことにある。水を完全に除
くには、留出温度を非プロトン性極性溶媒の沸点まで到
達させる必要があるが、非プロトン性極性溶媒の沸点は
100℃以下になるように減圧度を調整する。調製液は
水分の混入を防げば、長期間保存することが出来る。
【0022】二酸化炭素を反応させるときの反応温度は
50〜120℃が好ましい。また、二酸化炭素圧力は
0.05〜5MPaが好ましく、さらに好ましくは、
0.1〜3MPaである。
【0023】
【実施例】実施例、比較例では、以下の薬品を使用し
た。
【0024】ジメチルスルホキシド:Merck特級、 フェノール:関東化学特級および片山化学一級
【0025】
【実施例1】ジメチルスルホキシド中で調製した、ナト
リウム塩とジメチルスルホキシドから成る錯体の単離) フェノール83.06g(0.883mol)、19.0規定水酸化ナトリ
ウム水溶液70.07g(0.874mol)、ジメチルスルホキシド
326gを減圧蒸留操作の出来る500mlのガラスフラスコに
入れた。反応液の撹拌はマグネティックスターラーで行
った。すべての原料を仕込んだ後、加熱と減圧濃縮を開
始した。圧力は5kPa位から留出の様子を見ながら、徐々
に減圧度を増してゆき、最終的には2.5kPaに固定した。
操作開始から4.8時間後にジメチルスルホキシドの沸点
(2.5kPa、83゜C)に達した(留出分302.55g)が、水分
の除去をより確実にするため、留出温度が沸点に達して
から更に27.68g留出するまで減圧濃縮を続けた。減圧途
中に追加したジメチルスルホキシドは176.41g、留出液
の総量は330.23gであった。濃縮後の残液が50゜Cなった
とき、トルエン85.98gを加えた。室温まで冷却してか
ら、調製液を濾過し、ウェットケークをトルエン200ml
で2回ゆすぎ、ウェットケーク261g.30を得た。ウェット
ケークを恒量になるまで室温、0.7kPaの条件で恒量にな
るまで真空乾燥し(乾燥時間16時間)、ケーク232.50g
を得た。このケークの一部を水と硫酸で希釈しHPLC
分析したところ、フェノールの含有率から算出したケー
ク中の化合物の見かけの分子量は277.62であった(フェ
ノールのナトリウム金属塩とその2倍モルのジメチルス
ルホキシドから成る錯体の理論分子量は272.35)。ま
た、このケークの融点は、100〜105゜Cであった。
【0026】
【実施例2】(ジメチルホルムアミド中で調製した、フ
ェノールのナトリウム塩とジメチルホルムアミドから成
る錯体の単離) フェノール83.01g(0.882mol)、49.9wt%水酸化ナトリ
ウム水溶液70.07g(0.874mol)、ジメチルホルムアミド
325gを減圧蒸留操作の出来る500mlのガラスフラスコに
入れ、実施例1と同様の操作で減圧濃縮による脱水を行
った(脱水条件:3.0kPa、57゜C)。脱水後の残液を濾過
し、ウェットケークをトルエン200mlで2回ゆすぎ、ウェ
ットケーク251.30gを得た。ウェットケークを恒量にな
るまで70゜Cで14時間真空乾燥し、ケーク230.17gを得
た。このケークの一部を水と硫酸で希釈し液体クロマト
グラフィーで分析したところ、ケーク中の化合物の見か
けの分子量は265.24であった(フェノールのナトリウム
金属塩とその2倍モルのジメチルスルホキシドから成る
錯体の理論分子量は262.29)。
【0027】
【比較例1】(固体ナトリウムフェノラートの調製) 1L-1口フラスコに、フェノール94.11g(1.00mol)と4N
水酸化ナトリウム水溶液289.83g(1.00mol)を加えた。
その際、黄色に着色するのが認められた。フェノールの
アルカリ水溶液をエバポレーターで減圧濃縮し、ウエッ
ト固形分147.90gを得た。エバポレーターによる減圧濃
縮の際に、0.28g(0.3%)のフェノールが留出した。ウ
ェット固形分を真空ポンプで質量が一定になるまで70゜C
で6日間真空乾燥し、フェノールのナトリウム塩116.20g
(理論量115.74g)を得た。
【0028】
【実施例3】(フェノールのナトリウム塩とジメチルス
ルホキシドから成る錯体を原料としたp−ヒドロキシ安
息香酸の合成) フェノール10.53g(0.112mol)、19.0規定水酸化ナトリ
ウム水溶液8.96g(0.112mol)、ジメチルスルホキシド1
70gを減圧蒸留操作の出来る200mlのガラスフラスコに入
れた。反応液の撹拌はマグネティックスターラーで行っ
た。すべての原料を仕込んだ後、加熱と減圧濃縮を開始
した。圧力は5kPa位から留出の様子を見ながら、徐々に
減圧度を増してゆき、最終的には2.5kPaに固定した。操
作開始から1時間後にジメチルスルホキシドの沸点(2.5
kPa、83゜C)に達した(留出分47.48g)が、水分の除去
をより確実にするため、留出温度が沸点に達してから更
に19.43g留出するまで減圧濃縮を続けた。脱水後の残液
は122.35gであった。残液をカールフィッシャー法で水
分を分析したところ149ppm(フェノールのナトリウム塩
に対し0.9モル%)であった。
【0029】この調製液のうち119.80gを撹拌棒・撹拌
羽根、温度センサー、圧力計、二酸化炭素の配管を装備
した、SUS製の500ml-オートクレーブに仕込み、装置内
を窒素ついで二酸化炭素で置換した。二酸化炭素で1.5M
Paに加圧し、仕込み液に二酸化炭素を飽和するまで吸収
させた後、二酸化炭素圧力1.7MPa、液温62〜69゜Cで4.6
時間撹拌した。反応液をHPLC分析した結果、p-ヒ
ドロキシ安息香酸、サリチル酸、4−ヒドロキシイソフ
タル酸の収率はそれぞれ、32.6%、2.6%、0.1%、フェノ
ールの転化率は35.3%であった。
【0030】
【実施例4】(フェノールのカリウム塩とジメチルスル
ホキシドから成る錯体を原料としたp−ヒドロキシ安息
香酸の合成) フェノール15.31g(0.163mol)、11.5規定水酸化カリウ
ム水溶液20.24g(0.161mol)、ジメチルスルホキシド26
2gを減圧蒸留操作の出来る500mlのガラスフラスコに入
れ、実施例1と同様の手順で脱水を行いフェノールのカ
リウムとジメチルスルホキシドから成る錯体のジメチル
スルホキシド溶液127.36gを調製した。この調製液をカ
ールフィッシャー法で水分を分析したところ231ppm(フ
ェノールのナトリウム塩に対し1.0モル%)であった。
【0031】この調製液のうち124.04gを撹拌棒・撹拌
羽根、温度センサー、圧力計、二酸化炭素の配管を装備
した、SUS製の500ml-オートクレーブに仕込み、装置内
を窒素ついで二酸化炭素で置換した。二酸化炭素で2.5M
Paに加圧し、仕込み液に二酸化炭素を飽和するまで吸収
させた後、二酸化炭素圧力2.5MPa、液温95゜Cで4時間撹
拌した。反応液をHPLC分析した結果、p-ヒドロキ
シ安息香酸、サリチル酸、4−ヒドロキシイソフタル酸
の収率はそれぞれ30.0%、1.5%、0.10%、フェノールの転
化率31.6%であった。
【0032】
【発明の効果】非プロトン性極性溶媒中でフェノールと
アルカリ金属水酸化物の脱水を行うことにより、フェノ
ールのアルカリ金属塩と非プロトン性極性溶媒から成
り、フェノールのアルカリ金属塩と非プロトン性極性溶
媒のモル比が1対2である錯体塩を簡便に合成出来る。
【0033】非プロトン性極性溶媒中でフェノールのア
ルカリ金属塩と二酸化炭素からp−ヒドロキシ安息香酸
を製造する方法において、フェノールのアルカリ金属塩
と非プロン性極性溶媒から成る錯体を非プロトン性極性
溶媒中で直接合成し、そのまま二酸化炭素を反応させる
ことにより、p−ヒドロキシ安息香酸を製造するまでの
繁雑な操作を簡略化することが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07F 1/06 C07F 1/06 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フェノールのアルカリ金属塩と非プロトン
    性極性溶媒から成り、フェノールのアルカリ金属塩と非
    プロトン性極性溶媒のモル比が1対2である錯体。
  2. 【請求項2】アルカリ金属がナトリウムまたはカリウム
    である請求項1に記載の錯体。
  3. 【請求項3】非プロトン性極性溶媒がジメチルスルホキ
    シド、ジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミ
    ドである請求項1または2記載の錯体。
  4. 【請求項4】非プロトン性極性溶媒中、フェノールとア
    ルカリ金属水酸化物を混合し、水を除去することを特徴
    とするフェノールのアルカリ金属塩と非プロトン性極性
    溶媒から成る錯体の製造方法。
  5. 【請求項5】非プロトン性極性溶媒がジメチルスルホキ
    シド、ジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミ
    ドであり、その使用量がフェノールの2倍モル以上であ
    る請求項4記載の錯体の製造方法。
  6. 【請求項6】アルカリ金属水酸化物が水酸化ナトリウム
    または水酸化カリウムであり、その使用量がフェノール
    の0.9〜1.1倍モルである請求項4または5記載の
    錯体の製造方法。
  7. 【請求項7】アルカリ金属水酸化物としてペレットまた
    は3規定以上の水溶液を用いる請求項4から6のいずれ
    か1項記載の錯体の製造方法。
  8. 【請求項8】水の除去を留出温度が100℃以下の減圧
    蒸留で行う請求項4から7のいずれか1項記載の錯体の
    製造方法。
  9. 【請求項9】非プロトン性極性溶媒中で、フェノールと
    アルカリ金属水酸化物を混合して水を除去した後、二酸
    化炭素を反応させることを特徴とするp−ヒドロキシ安
    息香酸の製造方法。
  10. 【請求項10】フェノールとアルカリ金属水酸化物のモ
    ル比が0.9〜1.1で非プロトン性極性溶媒とフェノ
    ールのモル比が2.0以上であることを特徴とする請求
    項9記載のp−ヒドロキシ安息香酸の製造方法。
  11. 【請求項11】アルカリ金属水酸化物が水酸化ナトリウ
    ムまたは水酸化カリウムである請求項9または10記載
    のp−ヒドロキシ安息香酸の製造方法。
  12. 【請求項12】非プロトン性極性溶媒がジメチルスルホ
    キシド、ジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトア
    ミドである請求項9から11のいずれか1項記載のp−
    ヒドロキシ安息香酸の製造方法。
  13. 【請求項13】反応温度が50〜120℃である請求項
    9から12のいずれか1項記載のp−ヒドロキシ安息香
    酸の製造方法。
  14. 【請求項14】二酸化炭素圧力が0.05〜5MPaで
    ある請求項9から13のいずれか1項記載のp−ヒドロ
    キシ安息香酸の製造方法。
  15. 【請求項15】二酸化炭素圧力が0.1〜3MPaであ
    る請求項9から14のいずれか1項記載のp−ヒドロキ
    シ安息香酸の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP4822651B2 (ja) * 2000-09-29 2011-11-24 ケムチュア コーポレイション フェノール金属塩の製造方法
CN115650842A (zh) * 2022-10-25 2023-01-31 江苏普源化工有限公司 一种循环式脱水高纯度水杨酸生产工艺

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