JPH1086318A

JPH1086318A - 平板状凹版印刷装置及びそのインク供給方法

Info

Publication number: JPH1086318A
Application number: JP24528396A
Authority: JP
Inventors: Haruji Hosoi; 春治細井; Hiromi Nakamura; 弘洋中村
Original assignee: Toshiba Machine Co Ltd
Current assignee: Shibaura Machine Co Ltd
Priority date: 1996-09-17
Filing date: 1996-09-17
Publication date: 1998-04-07

Abstract

(57)【要約】【課題】凹版の寿命が長く、印刷欠陥の発生頻度が少
ない平板型凹版印刷装置を提供する。【解決手段】平板状の凹版８には、その外表面にイン
ク１３Ｃを受け入れる溝７が設けられるとともに、その
外表面の内、溝７を除く部分８Ａにはインク付着防止用
の非粘着性の被膜がコーティングされている。円筒状の
インクローラ１１は、凹版８の外表面に接触しながら転
動する。インクツボ１２は、インクローラ１１の外周の
一部に接して設けられ、その底部からインクローラ１１
の表面にインク１３を供給する。インクローラ１１の回
転方向に関して前方側に当るインクツボ１２の側壁の下
部には、ブレード１４が設けられ、ブレード１４により
インクローラ１１の表面に供給されるインク１３Ａの厚
さを調整する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は平板状凹版印刷装置
に係り、特に、凹版の構造、凹版の溝にインクを供給す
るインクフィーダー部の構造、及び、当該装置における
凹版へのインク供給方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】凹版印刷は、精緻な画線が表されている
紙幣、有価証券などの印刷に使用される。凹版印刷で
は、一般に、鋭い刃先を有する薄い平板状のドクターブ
レードを使用して、凹版の溝にインクを供給する動作
（インクの盛り付け）を行っている。

【０００３】図５に、従来の平板状凹版印刷装置におい
て、凹版の溝にインクを盛り付ける際の動作の様子を示
す。図中、１は凹版、２はインク、３はドクターブレー
ド、５はブレード部を表す。

【０００４】凹版１の溝１Ａにインク２を盛り付ける
際、ドクターブレード３の先端に取り付けられたブレー
ド部５を凹版１の表面に対して押し付け、矢印４の方向
に移動させ、溝１Ａの中にインク２Ａを供給すると同時
に、溝以外の部分に付着したインクを除去する。ブレー
ド部５は、一般に、厚さが０．２ｍｍ程度で硬度が高い
焼入鋼で作られており、僅かに湾曲することにより凹版
１の外表面に軟らかに接触するようになっている。

【０００５】インクの盛り付けの際、条件が整っていれ
ば、粘稠体であるインクの薄膜がドクターブレードの先
端と凹版の外表面との間に入り、一種の潤滑油として機
能し、ドクターブレードの先端と凹版の外表面との直接
接触は避けられる。

【０００６】しかし、インクの粘度が低い場合、ドクタ
ーブレードの先端に部分的な突起がある場合、あるいは
ドクターブレードと凹版との相対速度が低い場合などに
は、ドクターブレードの先端と凹版の外表面とが直接接
触して、ドクターブレードの先端及び凹版の外表面が損
傷し、これらの寿命を低下させる。また、インクの中に
硬質の顔料あるいは塵などが含まれている場合にも、ド
クターブレードの先端及び凹版の外表面が損傷し、これ
らの寿命を低下させる。

【０００７】また、ドクターブレードの先端及び凹版の
外表面に、僅かな傷が発生しても、被印刷物の表面に不
要な線、点などの汚れを生ずることから、凹版を利用す
る印刷方式を高精細な印刷に適用する際には、高度な習
熟が必要となっている。

【０００８】また、凹版の外表面の内、溝部以外の部分
に付着したインクを除去しながら、ドクターブレードが
凹版の端部まで移動して凹版から離れる際、凹版の外表
面上にインクの塊が残ると、その表面に照明用の紫外線
等が長時間作用したり、インク中に含まれている添加剤
が蒸発して失われたりすることにより、この塊の表層部
が変質して一部または全部が再利用できなくなったり、
発生した硬質な変質物がインクの中に混入して、印刷欠
陥の原因となるなどの問題があった。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な問
題に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、平板型凹
版印刷装置において、インクの盛り付け工程における上
記の不都合を解消して、凸版の寿命を延長し、印刷欠陥
の発生を抑制し、印刷作業を簡素化するとともに高精細
な印刷に適する平板型凹版印刷装置を提供することにあ
る。また、同装置におけるインク供給方法を提供するこ
とにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明の平板状凹版印刷
装置は、外表面にインクを受け入れる溝が設けられると
ともに、外表面の内、前記溝を除く部分にはインク付着
防止用の非粘着性の被膜が形成された平板状の凹版と、
この平板状の凹版の外表面に接触しながら転動する円筒
状のインクローラと、インクローラの外周の一部に接し
て設けられ、底部からインクローラの表面にインクを供
給するインクツボと、インクローラの回転方向に関して
前方側に当るインクツボの側壁の下部に設けられ、イン
クローラの表面に塗布されるインクの厚さを調整するブ
レードと、を備えたことを特徴とする。（作用）インクローラを凹版の外表面に押し付けて転動
させると、インクは、インクツボの底部からインクロー
ラの表面へ引き出され、次いで、凹版の外表面上に設け
られた前記溝の中へ盛り付けられる。

【００１１】前記溝の中へ盛り付けられるインクの量
は、インクツボからインクローラの表面に引き出される
（塗布される）インクの量（厚さ）に依存し、このイン
クローラの表面に塗布されるインクの厚さは、インクロ
ーラの表面とブレードとの間の隙間を調整することによ
って、決定される。

【００１２】凹版の外表面の内、前記溝を除く部分に
は、予め、非粘着性の被膜が形成され、外表面へのイン
クの付着が抑制される。なお、インク付着防止用の非粘
着性の被膜としては、フッ素樹脂、フッ素樹脂を含む塗
料、またはフッ化炭素複合メッキなどが使用できる。

【００１３】また、上記の平板状凹版印刷装置におい
て、凹版へのインクの盛り付けの終了後、凹版の端部に
インクの塊が残留しない様にするには、次の様な操作を
行う。即ち、インクローラを凹版の外表面の上で転動さ
せて前記溝にインクを供給した後、インクローラを凹版
の外表面から引離す際に、インクローラの外周と凹版の
外表面との間に、インクローラの外周に塗布されるイン
クの厚さよりも大きな隙間を設け、インクローラを、イ
ンク供給時と同じ方向へ回転させるとともに、インクロ
ーラを、回転速度に対するインクローラの移動速度の比
がインク供給時の値よりも小さい移動速度で、インク供
給時と同じ方向に移動させることにより、インクローラ
の転動方向に関して前方側に当る凹版の外表面上に溜ま
ったインクをインクローラ側に付着させて回収する。

【００１４】なお、インクローラの移動速度について
は、インクローラを凹版の外表面から引離す際に、イン
クローラの回転数を維持したまま、移動速度をインク供
給時の１／３以下にすると効果がある。

【００１５】また、インクローラの外周と凹版の外表面
との間の隙間については、インクローラを凹版の外表面
から引離す際に、この隙間を、インクローラの外周に塗
布されたインクの厚さの１．１倍以上、１．３倍以下と
すると効果がある。

【００１６】

【発明の実施の形態】図１は、本発明に基く平板型凹版
印刷装置の主要部分の断面図である。図中、８は凹版、
７は溝、１１はインクローラ、１２はインクツボ、１４
はブレードを表す。

【００１７】凹版８は平板型で、その表面に溝７を有
し、台６の上に固定される。凹版８の外表面の内、溝以
外の部分８Ａには、インクなどの粘稠体が付着しにくい
様に、フッ素樹脂により２〜３μｍの厚さの非粘着性の
コーティングが施されている。（なお、フッ素樹脂の代
わりに、フッ素樹脂を含む塗料、あるいはフッ化炭素複
合メッキなども使用できる。）インクローラ１１は、鋼製のロール本体１１Ｂの外周表
面１１Ａに、厚さ１ｍｍのウレタンゴム［硬度：Ｈｓ８
０（ＪＩＳＡ）］を接着して構成される。インクローラ
１１は、凹版８の外表面に接触しながら転動する（矢印
９方向に回転して、矢印１０方向に移動する）。

【００１８】インクツボ１２は、インクローラ１１の外
周表面に近接して配置される。インクツボ１２の底に該
当する部分は、インクローラ１１の外周表面で構成さ
れ、インクツボ１２の側壁の内、インクローラ１１の回
転方向前方側に当る部分には、ブレード１４が取り付け
られている。

【００１９】インクツボ１２の中のインク１３は、ブレ
ード１４とインクローラ１１の外周表面との間の隙間か
ら引き出され、図１中の点線で示す様に、インクローラ
１１の表面に塗布される。なお、前記隙間の間隔によっ
て、インクローラ１１表面へのインク付着量（厚さＴ
１、図２）が調整される。インクローラ１１に塗布され
たインクは、インクローラ１１の転動によって、凹版８
の表面に移送され、凹版８の表面の溝７の中に、符号１
３Ｃで示す様に、盛り付けられる。

【００２０】インクローラ１１は電動機で駆動されてお
り、転動速度は、８０〜２００（ｍｍ／ｍｉｎ）程度で
ある。図２に、インクローラと凹版の接触部の部分拡大
断面図を示す。

【００２１】インクローラ１１の表面に塗布されるイン
ク１３Ａの厚さＴ１は、凹版８の溝７の深さＴ２に応じ
て設定される。通常、厚さ５〜３０（μｍ）程度であ
る。インクローラ１１を転動することによって、空の溝
７にインク１３Ｃが充填されるとともに、凹版８の表面
に付着した余分なインク１３Ｂは、インクローラの転動
側に関して前方側に押し出される。

【００２２】凹版８の溝７を除く外表面８Ａとインクロ
ーラ１１の表面との間にあるインク１３Ｇの最小厚さＴ
３は、インク１３の粘度、インクローラ１１の転動速
度、インクローラ１１の押し付け力などによって変化す
るが、３μｍ程度になり、非粘着性のコーティングを施
されている凹版８の外表面８Ａ側には付着せずに、イン
クローラ１１の表面側に付着して、インクローラ１１の
表面に薄いインクの膜１３Ｄが形成される。

【００２３】以上の様にして、凹版８へのインクの盛り
付けが行われる。インクローラ１１の転動に伴い、余分
なインク１３Ｂは、次第にその量を増し、インクローラ
１１が、凹版８の後端の溝７Ａから離れた位置で、凹版
８から離れると、図３に示す様に、凹版８の上にインク
塊１３Ｅが残る様になる。この様なインク塊１３Ｅは、
長い時間、放置されると、溶剤が蒸発して硬化したり、
硬質な粒子を生成して外表面８Ａに損傷を与えたり、非
印刷物に印刷される画線の印刷欠陥を生ずることから、
インク塊１３Ｅの生成を防止する必要がある。

【００２４】インクローラ１１の動きを以下の様に制御
すれば、この様なインク塊１３Ｅの発生を防ぐことがで
きる。即ち、図４に示す様に、矢印１０の方向のインク
ローラ１１の移動速度を、インクを凹版８に盛り付ける
際の移動速度の１／３以下とし、凹版８の外表面８Ａと
インクローラ１１の外周との隙間（Ｔ４）を、Ｔ４＝１．１〜１．３×Ｔ１（１）の範囲に設定とすると、インクローラ１１と凹版８の外
表面との間にある余分なインク１３Ｂは、インクローラ
１１の表面側に付着して回収され、インクツボ１２へ戻
されるので、余分なインク１３Ｂの量が次第に減少して
行き、図３に示すインク塊１３Ｅの生成を防止すること
ができる。

【００２５】なお、余分なインク１３Ｂから引き上げら
れたインクを含むインク層１３Ｆはインクツボ１２の中
に入り、インクローラ１１の回転によって生ずる攪拌作
用によって、インクツボ１２の中のインク１３に混合さ
れる。特に、インク１３の粘度が高く、インク１３とイ
ンク層１３Ｆとの混合が十分に進まない場合には、イン
クツボ１２の中に小型の攪拌装置を設け、インクツボ１
２の中のインク１３を常時、均質に保つ様にする。

【００２６】

【発明の効果】本発明の平板型凹版印刷装置を使用すれ
ば、凹版の損傷、凹版の外表面の汚れ、インクの変質な
どに起因する印刷欠陥を減少させることができる。これ
に伴い、凹版の寿命を延ばし、印刷機の機能を高め、関
連作業を簡易化する他、種々のインクが使用できるなど
の有利な特性を備えている。このため、電子部品、細密
機械部品などの製造に利用される精密印刷機に適用する
ことが可能である。

【００２７】また、この平板型凹版印刷装置において、
上記のインク供給方法を採用すれば、凹版の上表面に前
記の様なインク塊が残されることはなく、このインク塊
に起因する印刷欠陥を排除できるほか、インクに含まれ
る溶剤が蒸発し易く硬化時間が短いインクも利用でき
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に基く平板型凹版印刷装置の主要部分の
断面図。

【図２】インクローラと凹版の接触部の部分拡大断面
図。

【図３】凹版の端部に発生するインク塊の位置と形状を
説明する図。

【図４】インク塊を除去する動作を説明する図。

【図５】従来の平板型凹版印刷装置におけるインクの盛
り付け方法を説明する図。

【符号の説明】

１・・・凹版、１Ａ・・・溝、２・・・インク、３・・
・ドクターブレード、５・・・ブレード部、６・・・
台、７・・・溝、８・・・凹版、１１・・・インクロー
ラ、１２・・・インクツボ、１３・・・インク、１４・
・・ブレード。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】外表面にインクを受け入れる溝が設けら
れるとともに、外表面の内、前記溝を除く部分にはイン
ク付着防止用の非粘着性の被膜が形成された平板状の凹
版と、この平板状の凹版の外表面に接触しながら転動する円筒
状のインクローラと、インクローラの外周の一部に接して設けられ、底部から
インクローラの表面にインクを供給するインクツボと、インクローラの回転方向に関して前方側に当るインクツ
ボの側壁の下部に設けられ、インクローラの表面に塗布
されるインクの厚さを調整するブレードと、を備えたことを特徴とする平板状凹版印刷装置。
【請求項２】インク付着防止用の非粘着性の前記被膜
は、フッ素樹脂、フッ素樹脂を含む塗料、またはフッ化
炭素複合メッキの内のいずれか一つであることを特徴と
する請求項１記載の平板状凹版印刷装置。
【請求項３】インクローラを凹版の外表面の上で転動
させて前記溝にインクを供給した後、インクローラを凹
版の外表面から引離す際に、インクローラの外周と凹版の外表面との間に、インクロ
ーラの外周に塗布されるインクの厚さよりも大きな隙間
を設け、インクローラを、インク供給時と同じ方向へ回転させる
とともに、インクローラを、回転速度に対するインクローラの移動
速度の比がインク供給時の値よりも小さい移動速度で、
インク供給時と同じ方向に移動させることにより、インクローラの転動方向に関して前方側に当る凹版の外
表面上に溜まったインクをインクローラ側に付着させて
回収することを特徴とする請求項１または２の平板状凹
版印刷装置におけるインク供給方法。
【請求項４】インクローラを凹版の外表面から引離す
際に、インクローラの回転数を維持したまま、移動速度
をインク供給時の１／３以下にすることを特徴とする請
求項３記載の平板状凹版印刷装置におけるインク供給方
法。
【請求項５】インクローラを凹版の外表面から引離す
際に、インクローラの外周と凹版の外表面との間の隙間
を、インクローラの外周に塗布されたインクの厚さの
１．１倍以上、１．３倍以下とすることを特徴とする請
求項３または請求項４に記載の平板状凹版印刷装置にお
けるインク供給方法。