JPH1086102A - 木工用フライス盤及び側フライスカッタ - Google Patents

木工用フライス盤及び側フライスカッタ

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JPH1086102A
JPH1086102A JP24466496A JP24466496A JPH1086102A JP H1086102 A JPH1086102 A JP H1086102A JP 24466496 A JP24466496 A JP 24466496A JP 24466496 A JP24466496 A JP 24466496A JP H1086102 A JPH1086102 A JP H1086102A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 斗組用のますに設けられる斗繰りの機械加工
を、斗繰りサイズ、斗繰り形状の変動にかかわらず同一
カッタで行えるようにすることである。 【解決手段】 水平アーム11の先端に傾斜アーム12
を取付け、さらにこの傾斜アームの先端に可動ベース1
4を取付ける。傾斜アーム12と可動ベース14は、そ
れぞれ軸P、軸Oを中心にして回転可能にしておき、そ
の2つの軸P、Oを中心にした回転でカッタ1の姿勢を
変化させて加工する面の曲率や形状を変化させる。カッ
タ1は、カッタ回転方向前方から直視した刃形が半円に
なる円弧刃Qを備えるものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、主として斗組
(桝組)用ますの加工に用いる木工用フライス盤と、そ
のフライス盤に採用する曲面加工用の側フライスカッタ
に関する。
【0002】
【従来の技術】神社、仏閣には、大斗(鬼斗)、巻斗、
延び斗、捨て斗、ひら斗と言った各種のますが数多く使
用されている。
【0003】図13に、それ等のますを代表して大斗3
0を示す。この大斗30には、斗繰り31が施されてい
る。その斗繰り31は、斗じり32側の周縁を凹形曲面
(円弧や楕円の曲面)に縁取りしたものである。このほ
か、大斗30には、上面にわくひじきを組入れる十文字
の溝33が設けられる。
【0004】上記の斗繰り31は、大斗以外のますにも
設けられる。また、柱を乗せる礎盤などにも類似の縁取
りが施されるが、ここでは、ます以外のものに付される
凹形曲面の縁取りも斗繰りと見なし、以下では表現を
「斗繰り」に統一する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】斗繰りは、通常、宮大
工が手作業で加工しているが、人手で違和感の無い曲面
に仕上げるのには高度の技術を要する。また、手作業で
は加工能率が非常に悪い。
【0006】数多く使用するますの加工に多くの時間と
手間を費やすことが、神社、仏閣の建立に長い期間を要
し、建築費も高くなる原因のひとつと言っても過言では
ない。
【0007】そこで、この発明は、斗繰りの高速機械加
工を実現しようとするものである。この機械加工に当た
っては、以下のことが問題となる。即ち、斗繰りの形
状、サイズに合致した刃形を持つフライスカッタを用い
て既存の木工用フライス盤で刃形転写の加工を行う方法
でも加工の機械化が図れるが、この方法では、工具費、
工具の交換等が無視できないものになる。
【0008】斗繰りのサイズは、ますの大きさによって
変わるので、刃形転写の加工を行う場合には、斗繰りサ
イズに合った刃形の工具を多数用意する必要があり、工
具費が膨大になる。また、ます1個当たりの加工費も、
工具費分が上乗せされるため非常に高くなってしまう。
さらに、加工ロットが変わる度に工具を交換する必要が
あるので、時間的なロスが生じて機械の稼働率が低下
し、これも価格に影響する。
【0009】この発明は、かかる不具合も併せて解消す
るために、同一工具を用いて1/4円の円弧の斗繰りの
曲率変化に対応できるようにした木工用フライス盤と、
そのフライス盤に採用する曲面加工用の側フライスカッ
タを提供することを第1の課題としている。
【0010】また、斗繰りは形状も様々であり、各形状
に合致した刃形の工具を多種揃える場合にも上記と同様
の問題が生じるので、工具を交換せずに加工面の形状変
化にも対応できるようにしたフライス盤を提供すること
を第2の課題としている。
【0011】さらに、ますの上面にはひじきを嵌める一
文字の溝や十文字の溝が加工されるので、斗繰り加工だ
けでなく、溝入れ加工も行えるフライス盤を提供するこ
とを第3の課題としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の課題の解決策とし
て提供するこの発明のフライス盤と側フライスカッタを
下記する。側フライスカッタは、斗繰り加工において重
要な役割を果たす特徴あるカッタである。従って、その
カッタの構成を先に述べる。
【0013】この発明の側フライスカッタは、中心に軸
穴を有する本体の外周に、第1及び第2の切刃をカッタ
周方向に交互配列にして具備させ、第1の切刃のすくい
面は本体の一端面に対して鋭角に交わり、一方、第2の
切刃のすくい面は本体の他端面に対して鋭角に交わる方
向に各々傾け、さらに、第1及び第2の切刃は、カッタ
の回転方向前方から直視した刃形が半円になる円弧刃を
本体の最周部に有し、その円弧刃に対して第1の切刃は
本体の一端面側で、第2の切刃は本体の他端面側で各
々、すくい面とその面に対して鋭角な面との交差稜で形
成されるカッタ径方向の直線刃が連なった形状にしてあ
る。
【0014】また、この発明のフライス盤は、加工ヘッ
ドと、そのヘッドの下方に設置される横送り機構を備え
た加工テーブルと、前記加工ヘッド又は加工テーブルの
昇降機構を有し、前記加工ヘッドが、水平軸に対して4
5°の傾きをもつ前下りの傾斜アーム、可動ベース、こ
の可動ベースを傾斜アームの先端に傾斜アームの軸心を
中心にして回転可能に連結する第1のカッタ姿勢調整機
構、可動ベースを回転した各位置に固定する第1ロック
手段、可動ベースに軸受を取付けてその軸受で支持する
スピンドル及び可動ベース上のモータでスピンドルを回
転させる回転駆動機構を備えて構成され、前記スピンド
ルは加工テーブルの送り方向に向けて水平に配向され、
このスピンドルの先端部に上述したこの発明の側フライ
スカッタを装着して曲率の異なる凹形円弧面の加工を行
えるようにしてある。このフライス盤は、既述の要素を
備えていると1/4円の円弧の斗繰りの曲率変化に対応
できる。
【0015】また、加工ヘッドに、更に水平アームと、
この水平アームの先端に、前記傾斜アームを水平軸を中
心にして回転可能に連結する第2のカッタ姿勢調整機構
と、傾斜アームを回転した各位置に固定する第2のロッ
ク手段を付加した構成にすると、斗繰りの形状変化にも
対応でき、サイズの異なる楕円の面等も加工可能とな
る。
【0016】さらに、加工ヘッド又は加工テーブルの前
後送り機構を付加すると溝加工も可能になる。
【0017】なお、第2のカッタ姿勢調整機構は、水平
アーム内の支軸で回転可能に支持し、傾斜アームに対し
ては固定するウォームホイルと、このウォームホイルに
噛合させる操作ハンドル付きのウォームとから成る傾斜
アームの回転駆動機構を備えるものが好ましい。
【0018】
【作用】この発明のフライス盤は、スピンドルに装着し
たカッタの姿勢を変えて加工する斗繰り(円弧面)の曲
率や形状を変化させる。その原理を図8乃至図11に基
づいて解説する。
【0019】図8は、側フライスカッタ1(図は模式化
して表した)の原姿勢を表したものであって、フライス
盤の側面視でカッタ1の端面が見えている。
【0020】この原姿勢でカッタ1をワークWに切込ま
せてワークWを横送り(図は紙面に対して垂直方向に移
動)すると、最大半径R(=カッタ半径)の曲面の斗繰
り31を加工できる。
【0021】次に、軸Oを中心にして可動ベース14を
回転させると、カッタ1の外郭形状はフライス盤の側面
視において楕円になる。その楕円は、図9に示すよう
に、可動ベース14の回転角が大きくなるに従って段々
と細長くなっていき、可動ベース14が原姿勢から90
°回転したところでカッタ1は、図8に一点鎖線で示す
ように、真横から見た姿になる。カッタ1の円弧刃Q
は、実質刃形、即ち、カッタの回転方向前方から直視し
た刃形が半円であるので、カッタ1が側面視の姿になっ
た状態でワークWを横送りして加工を行うと最小半径r
の曲面の斗繰り31ができる。その加工曲率は、軸Oを
中心にしたカッタの回転角に応じてRからrの間で徐々
に変化し、従って、Rからrまでの間で加工曲率の変化
に対応することができる。
【0022】ここで、最小半径rの加工では、円弧刃Q
の実質刃形が転写されて斗繰り31がアール半径の一定
した円弧の面になる。また、最大半径Rの加工では、切
刃最外端の移動軌跡が円を画くことによって斗繰り31
はアール半径の一定した曲面になる。
【0023】これに対し、Rとrの間の加工では、加工
面に対する円弧刃Qの接触位置が変化して斗繰りのアー
ル半径が一定したものになる。図10はそれを解説した
ものである。
【0024】ワークWに対する喰付き側では円弧刃Qの
一端側(a点)が加工面に接し、その接触点がカッタの
回転で徐々に移動して切抜け側では円弧刃Qの他端側
(b点)が加工面に接する。そのa、b点間の接触点を
結ぶ線は、円弧刃Qが実質的に半円の刃であるのでフラ
イス盤の側面視において真円の弧を画き、このために、
斗繰り31が端面視で円弧の面になる。円盤は見る方向
によって楕円になるが、球はどの方向から見ても真円に
なるのと同じ理屈によって加工面が円弧面になる。
【0025】切刃先端が半円の刃でない場合には、喰付
き点と切抜け点間の切刃接触点を結ぶ線は真円の弧には
ならない。これから、加工面を円弧面となす上で、この
発明の側フライスカッタは重要な役割を果していること
が判る。
【0026】次に、図8において、水平軸Pを中心にし
て傾斜アーム12を回転させると、カッタ1の外郭形状
は、図11に示すように円から段々と細長い楕円になっ
ていく。そして、傾斜アーム12が原姿勢から90°回
転した位置でカッタ1が側面視の姿になる。このときの
円の直径及び楕円の長軸長さは2・Rである。一方、軸
Oを中心にカッタ1が原姿勢から90°回転している状
態で、軸Pを中心にして傾斜アーム12を回転角90°
の位置まで回転させると、カッタ1の外郭形状は、図1
2に示すように長軸長さがLである細長い楕円が段々と
円に近い楕円になり、最後には直径Lの円になる。
【0027】その円の直径は、軸Oを中心にした可動ベ
ース14の回転により2・RからLの間で変化し、従っ
て、2つの軸O、Pを中心にしたカッタの姿勢調整を行
えば、サイズだけでなく、形状の異なる斗繰り(楕円形
の斗繰り)の加工も可能になる。
【0028】斗繰りは、1/4円の形状よりも、面の片
側が流れたもの(曲率が次第に小さくなるもの)の方が
見た目が良いので、そのような形状にすることが多い。
上述した機能を備えていれば、曲面の片端が流れて楕円
になる斗繰り形状にも対応できる(図11の中央図参
照)。
【0029】なお、軸O或いはPを中心にしたカッタの
姿勢調整には、刃先位置の上下変動が伴う。その上下変
動量を吸収するために、加工ヘッド又は加工テーブルの
昇降機構が必要である。
【0030】また、図8の原姿勢でカッタ1をワークW
に切込ませてカッタとワークを前後方向(軸Pの長手方
向)に相対移動させる(そのために加工ヘッド又は加工
テーブルの前後送り機構が必要)と溝入れ加工が行え
る。場合によっては、カッタの姿勢調整で刃先位置が前
後にずれることがあり、そのずれを前後送りで吸収でき
る(前後送りがなければワークをずらす必要がある)の
で、溝加工を目的としない場合にも、前後送り機構は有
効なものである。
【0031】このほか、第2のカッタ姿勢調整機構は、
第1のカッタ姿勢調整機構による調整で加工ヘッドの先
端側の重心がずれると傾斜アームの回転操作がし難くな
るので、操作力を増幅して伝達でき、また、重心のずれ
による傾斜アームの自然回転も阻止できるものが望まし
い。ウォームギヤを使用した回転駆動機構を備えたもの
は、その要求に応えることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】図1に、この発明の側フライスカ
ッタの実施形態を示す。この側フライスカッタ1は、中
心に軸穴2を有する本体3の外周に偶数本の爪4を設け
てその爪に切刃5及び6を付けている。
【0033】爪4は、切刃5、6のラジアルレーキを正
となすために、前向きに倒れる方向に傾けてある。この
爪4は、カッタの周方向に整列させて一定ピッチで配置
してある。
【0034】また、図1(b)に示すように、切刃5の
すくい面7は、本体3の一端面に対して鋭角に交わる方
向に角度α傾け、一方、切刃6のすくい面8は、本体3
の他端面に対して鋭角に交わる方向に角度α傾けてあ
る。
【0035】切刃5は、カッタの回転方向前方から直視
した刃形が半円になる円弧刃Qの一端に直線刃Sを連ね
た形状にしてある。
【0036】切刃6は、直線刃Sを円弧刃Qの他端に連
ねた点を除いて切刃5と同じ構成になっている。直線刃
Sはすくい面とそれに鋭角に交わる面との交差稜で形成
されており、この直線刃が付加されたことによって溝入
れ加工も可能になっている。
【0037】切刃5、6の円弧刃Qは、カッタを定位置
で回転させたときに軌跡が互いに重なる大きさ、配置に
してある。
【0038】なお、切刃5、6の円弧刃Qは、すくい面
7、8に対して直角な方向から見ると、対称形状の楕円
をなしている。その楕円について、ここではR10(m
m)の円弧とR9.5(mm)の円弧がつながる大きさ
にしたが、この寸法は、すくい面7、8の傾き角αを考
慮して自由に定めることができる。
【0039】すくい面7、8の傾き角αも、ここでは切
味を重視して20°に定めたが、この値に制限されな
い。
【0040】また、切刃5、6は、本体3に超硬合金の
ブレードを鑞付けしてそのブレードに付したが、本体に
一体に加工される切刃にしてもよい。
【0041】このほか、カッタの直径は254mmとし
た。この寸法も加工に支障の無い範囲で自由に変更でき
る。
【0042】図2乃至図5は、この発明のフライス盤の
実施形態である。
【0043】このフライス盤9は、図2、図3に示すよ
うに、加工ヘッド10、加工ヘッドの昇降機構20、昇
降機構20と加工ヘッド10を支持する可動フレーム2
1、その可動フレームの前後送り機構22、加工テーブ
ル23、可動フレーム21と加工テーブル23を支持す
る本体フレーム24、加工テーブル23の横送り機構2
5及び加工テーブル23上にワークWを固定するクラン
パ26によって構成されている。
【0044】加工ヘッド10は(図6を同時参照)、昇
降機構20のスライドテーブル20eに固定する水平ア
ーム11と、水平軸Pに対して先端側(軸O)が45°
の傾きをもつ傾斜アーム12と、この傾斜アームを水平
アーム11の先端に水平軸Pを中心にして回転可能に連
結する第2のカッタ姿勢調整機構13と、可動ベース1
4及びこのベースを傾斜アーム12の先端に軸Oを中心
にして回転可能に連結する第1のカッタ姿勢調整機構1
5と、第1、第2のカッタ姿勢調整機構15、13にそ
れぞれ付属させるロックリング16と、可動ベース14
上に設ける軸受17と、この軸受で支持するスピンドル
18と、可動ベース上に設置したモータ19の回転をプ
ーリ、ベルト(図示せず)で伝達してスピンドル18を
回転させる回転駆動機構とを備えて構成されており、こ
の加工ヘッドのスピンドル先端に図1の側フライスカッ
タ1が装着される。
【0045】昇降機構20は、図4に示すように、モー
タ20a、そのモータ20aで回転させるボールねじ2
0b、スライドテーブル20e、そのテーブルのスライ
ドガイド20c(図はレールとそれに案内されるスライ
ダ)、スライドテーブル20eに固定してボールねじ2
0bに螺合させた可動プレート20dとで構成される周
知の機構であり、これが加工ヘッド10の高さ位置を調
整する。
【0046】前後送り機構22も、図4に示すように、
ボールねじを利用した一般的な機構である。この機構2
2は、モータ22aとボールねじ22bが回転しながら
可動フレーム21と共に移動するが、基本的には昇降機
構20と大差の無い機構であるので、詳細説明は省く。
【0047】なお、昇降機構20、前後送り機構22
は、シリンダで駆動するもの、ラックとモータ駆動のピ
ニオンで駆動するものなどであってもよい。
【0048】横送り機構25は、ハンドル25aをつけ
た軸25bに歯車25cを取付け、その歯車25cをテ
ーブル下面のラック25dに噛合させてハンドル操作で
加工テーブル23を横送りするようにしている。25e
は、レールとスライダからなる加工テーブルのスライド
ガイドである。この手動方式の横送り機構25は、安価
であるし、送りのかけ方も自由に変えられるが、動力駆
動の横送り機構を採用することも勿論制限されない。
【0049】次に、図5を参照してカッタ姿勢調整機構
13、15について説明する。
【0050】第2のカッタ姿勢調整機構13は、加工面
の形状を楕円に変化させる機構である。この機構13
は、一端がスライドテーブル20eに固定された支軸1
3a(これが図8の軸Pになる)、その支軸に回転可能
に外嵌したウォームホイル13b、このウォームホイル
に噛合させたウォーム13cの3者から成る回転駆動機
構と、水平アーム11の先端に固定したフランジ13d
と、傾斜アーム12の後端に固定してフランジ13dに
密着させるフランジ13eを有している。
【0051】ウォーム13cは、図2、3及び図6、7
に示すハンドル13fを有しており、そのハンドル13
fを回転させるとウォームホイル13bが回転する。そ
のウォームホイル13bにフランジ13eが連結されて
おり、従って、ハンドル13fを操作すると傾斜アーム
12が回転し、カッタ1による加工面の形状が楕円に変
わる。なお、その楕円の短軸長さは、傾斜アーム12の
回転角に応じて、また、長軸長さは軸Oを中心にした可
動ベース14の回転角に応じて各々変化する。
【0052】次に、第1のカッタ姿勢調整機構15は、
加工面の円弧半径を変化させるための機構であって、傾
斜アーム12の先端にフランジ15aを固定し、このフ
ランジ15aの中心に支軸15b(これが図8の軸Oに
なる)を貫通させ、その支軸15bでフランジ15cを
回転可能に支持した構造にしてある。フランジ15cは
可動ベース14に固定されており、従って、支軸15b
を中心にして可動ベース14を回転させることができ
る。
【0053】この第1のカッタ姿勢調整機構15も回転
駆動機構を付随させることができるが、可動ベース14
は手で簡単に回すことができるので、ここでは、構造の
簡素化を重視して回転駆動機構の無い構成にした。
【0054】ロックリング16は、支軸13a及び支軸
15bの先端に各々螺合させてある。支軸13aに螺合
したロックリング16を締め付けると、フランジ13e
が押圧されて傾斜アーム12が回転調整済みの位置に固
定される。また、支軸15bに螺合したロックリング1
6を締め付けると、フランジ15cが押圧されて可動ベ
ース14が回転調整済みの位置に固定される。
【0055】2つのロックリング16は、どちらもその
リングに取付けたレバー16aを操作して回転させる。
レバー16aは、傾斜アーム12に設けた長孔に通して
外部に引き出してあり、長孔の両端に規制される範囲で
移動させることができる。
【0056】図2、図3の27は、カッタ1を囲う安全
カバーである。この安全カバー27にフレキシブルダク
ト(図示せず)をつけてそのダクトに吸塵機(これも図
示せず)を接続し、安全カバー27を吸引フードにして
切屑を吸引回収することも可能である。
【0057】また、例示のフライス盤では、ひとつの斗
繰りを加工し終えたら、クランパ26をアンクランプに
してワークWを90°回転させ、再クランプ後に次の斗
繰りを加工する作業をひとつのますに対して3回繰り返
すことになるので、作業の迅速化のために加工テーブル
23上に割り出し機能のある回転テーブルを設置してそ
の回転テーブル上にワークWをセットする構成も考えら
れる。加工テーブル23の位置を低くして回転テーブル
の設置スペースを加工ヘッド10との間に確保すれば、
そのような使い方も可能になる。
【0058】以上の如く構成したこの発明のフライス盤
は、軸O、Pを中心にしたカッタの姿勢調整を行って、
カッタの加工形状を加工する斗繰りの大きさや形状に合
致させる。図6は、軸Oを中心にして図2の位置からカ
ッタ1を90°以下の角度で回転させた状態での円弧斗
繰りの加工例、図7は、図6の位置から更に軸Pを中心
にしてカッタ1を回転させた楕円形斗繰りの加工例を各
々示している。なお、例示のフライス盤は、ワークWの
端面に加工すべき曲線を画き、カッタ1をワークWの手
前に置いて手で回転させながら刃先がワークに画いた曲
線に沿って移動するかを確かめる方法で姿勢調整を行う
ようにしている。
【0059】この姿勢調整の後、スピンドル18を回転
させ、テーブル23に送りをかけて斗繰りを加工する。
この加工は、斗繰りサイズが大きくてワークの取代が多
ければ、事前の粗加工で最終取代を少なくして行うのが
よい。斗繰りサイズが小さければ粗加工無しで一気に斗
繰りを加工することが可能である。
【0060】また、ますの溝入れ加工に際しては、この
発明のカッタ1を用いると、ますに設ける溝の巾よりも
加工溝巾が狭くなるので、ひとつの溝を何回かに分けて
加工する。加工後の溝は溝底のコーナに小さなアール曲
面が残されたものになるが、溝に嵌めるひじきの先端は
通常面取りされるので、コーナに曲面が残っても特に問
題にはならない。その曲面が残存することやひとつの溝
を数回に分けて加工することが嫌われるなら、カッタを
一般的な平刃形状でしかも巾の広いものに交換して溝加
工を行えばよい。
【0061】なお、例示のフライス盤は、約30cm長
さの斗繰りをひとつ加工するのに10秒もかからず、加
工の大巾な高速化が図れた。
【0062】
【発明の効果】以上述べたように、この発明のフライス
盤及び側フライスカッタを用いると、カッタを取替えず
に斗繰りの円弧曲率の変化に対応することができ、工具
費、機械の稼働率向上の面で非常に有利になる。加えて
高速化工により生産性の向上が図れ、加工コストを大巾
に低減できる。また、加工したますの品質も一定し、高
品質のますを安価に提供することが可能になる。
【0063】また、第2のカッタ姿勢調整機構を付加し
たフライス盤は、斗繰りの曲率変化だけでなく、形状変
化にも対応でき、どのような形状の斗繰りも加工可能と
なる。勿論、そのために加工コストの低減効果は更に高
まる。
【0064】さらに、第2のカッタ姿勢調整機構に傾斜
アームの回転駆動機構を付随させたものは、姿勢調整を
より楽に、正確に行うことが可能となる。
【0065】このほか、加工ヘッドと加工テーブルを前
後方向に相対移動させる前後送り機構を備えるものは溝
加工が可能となるほか、刃先の前後方向への位置ずれを
前後送りで吸収することも可能となり、より実用的で多
機能のフライス盤になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)この発明の側フライスカッタの実施形態
を示す斜視図 (b)同上のカッタの側面の一部を展開して示す図 (c)カッタの回転方向前方から直視した切刃5の刃形
図 (d)カッタの回転方向前方から直視した切刃6の刃形
【図2】この発明のフライス盤の実施形態を示す側面図
【図3】同上のフライス盤の正面図
【図4】昇降機構と前後送り機構の詳細を示す断面図
【図5】第1、第2の姿勢調整機構の詳細を示す断面図
【図6】円弧斗繰りの加工例を示す側面図
【図7】楕円形斗繰りの加工例を示す側面図
【図8】この発明のフライス盤の加工ヘッド部を模式化
して示す図
【図9】軸Oを中心にした可動ベースの回転でカッタの
外郭形状が変わっていく様子を簡略化して示す図
【図10】カッタが斜めになった状態で加工面が円弧に
なることを解説するための図
【図11】軸Pを中心にした傾斜アームの回転でカッタ
の外郭形状が変わっていく様子を簡略化して示す図
【図12】カッタが原姿勢から軸O中心に90°回転
し、その位置から軸Pを中心に回転したときに外郭形状
が変わっていく様子を簡略化して示す図
【図13】(a)大斗の斜視図 (b)同上の大斗の側面図
【符号の説明】
1 側フライスカッタ 3 本体 4 爪 5、6 切刃 Q 円弧刃 S 直線刃 7、8 すくい面 9 フライス盤 10 加工ヘッド 11 水平アーム 12 傾斜アーム 13 第2のカッタ姿勢調整機構 14 可動ベース 15 第1のカッタ姿勢調整機構 16 ロックリング 17 軸受 18 スピンドル 19 モータ 20 昇降機構 21 可動フレーム 22 前後送り機構 23 加工テーブル 24 本体フレーム 25 横送り機構 26 クランパ 27 安全カバー W ワーク P 傾斜アームの回転中心になる水平軸 O 可動ベースの回転中心になる45°傾いた軸 30 大斗 31 斗繰り

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中心に軸穴を有する本体の外周に、第1
    及び第2の切刃をカッタ周方向に交互配列にして具備さ
    せ、第1の切刃のすくい面は本体の一端面に対して鋭角
    に交わり、一方、第2の切刃のすくい面は本体の他端面
    に対して鋭角に交わる方向に各々傾け、さらに、第1及
    び第2の切刃は、カッタの回転方向前方から直視した刃
    形が半円になる円弧刃を本体の最周部に有し、その円弧
    刃に対して第1の切刃は本体の一端面側で、第2の切刃
    は本体の他端面側で各々、すくい面とその面に対して鋭
    角な面との交差稜で形成されるカッタ径方向の直線刃が
    連なった形状にしてある木工用側フライスカッタ。
  2. 【請求項2】 加工ヘッドと、そのヘッドの下方に設置
    される横送り機構を備えた加工テーブルと、前記加工ヘ
    ッド又は加工テーブルの昇降機構を有し、前記加工ヘッ
    ドが、 水平軸に対して45°の傾きをもつ前下りの傾斜アー
    ム、可動ベース、この可動ベースを傾斜アームの先端に
    傾斜アームの軸心を中心にして回転可能に連結する第1
    のカッタ姿勢調整機構、可動ベースを回転した各位置に
    固定する第1ロック手段、可動ベースに軸受を取付けて
    その軸受で支持するスピンドル及び可動ベース上のモー
    タでスピンドルを回転させる回転駆動機構を備えて構成
    され、前記スピンドルは加工テーブルの送り方向に向け
    て水平に配向され、このスピンドルの先端部に請求項1
    記載の側フライスカッタを装着して曲率の異なる凹形円
    弧面の加工を行えるようにしてある木工用フライス盤。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のフライス盤の加工ヘッド
    に、更に水平アームと、この水平アームの先端に、前記
    傾斜アームを水平軸を中心にして回転可能に連結する第
    2のカッタ姿勢調整機構と、傾斜アームを回転した各位
    置に固定する第2のロック手段を付加して構成される木
    工用フライス盤。
  4. 【請求項4】 第2のカッタ姿勢調整機構が、水平アー
    ム内の支軸で回転可能に支持し、傾斜アームに対しては
    固定するウォームホイルと、このウォームホイルに噛合
    させる操作ハンドル付きのウォームとから成る傾斜アー
    ムの回転駆動機構を備えていることを特徴とする請求項
    3記載の木工用フライス盤。
  5. 【請求項5】 加工ヘッド又は加工テーブルの前後送り
    機構を付加してある請求項2又は3記載の木工用フライ
    ス盤。
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