JPH1084958A - 抗繊維芽細胞増殖因子6モノクローナル抗体 - Google Patents

抗繊維芽細胞増殖因子6モノクローナル抗体

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JPH1084958A
JPH1084958A JP8245062A JP24506296A JPH1084958A JP H1084958 A JPH1084958 A JP H1084958A JP 8245062 A JP8245062 A JP 8245062A JP 24506296 A JP24506296 A JP 24506296A JP H1084958 A JPH1084958 A JP H1084958A
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JP
Japan
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growth factor
monoclonal antibody
fibroblast growth
amino acid
fgf6
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JP8245062A
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English (en)
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Hiroyuki Takimoto
浩之 滝本
Shigeki Masui
茂樹 増居
Satoshi Suzuki
聡 鈴木
Akiyoshi Kato
明美 加藤
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Pola Chemical Industries Inc
Original Assignee
Pola Chemical Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 繊維芽細胞増殖因子6(FGF6)を抗原と
して特異的に認識するモノクローナル抗体を提供する。 【解決手段】 FGF6のアミノ酸配列のうち、FGF
ファミリーに属する他のメンバーのアミノ酸配列と相同
性の低い領域のアミノ酸配列を有するペプチドを抗原に
用いて哺乳動物を免疫し、その哺乳動物の脾細胞と培養
細胞とを融合してハイブリドーマを作製し、そのハイブ
リドーマを培養してその培養液からモノクローナル抗体
を採取する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維芽細胞増殖因
子6(以下、「FGF6」という。)の検知に有用な抗
FGF6モノクローナル抗体及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】繊維芽細胞増殖因子(以下、「FGF」
という。)ファミリーについては、該ファミリーに属す
るメンバーのうち現在9番までクローニングされている
が、初めて1985年にクローニングされたFGF1
(aFGF)およびFGF2(bFGF)は、生体内で
発生、細胞分化、細胞増殖、形態形成、ガン化等の非常
に重要な生命現象に関与していることが明らかになって
いる(今村亨ら,臨床科学25,1012-1021(1989);三井洋
司ら,蛋白核酸酵素36(7),1237-1246(1991))。ごく最
近10番目のメンバーが見出されたが、その詳細は明ら
かではない。近年、その他のメンバーも、生体内での重
要な機能が徐々に明らかとなりつつある(R.F. Tutrone
et al., J. Urol. 149, 633-639 (1993); B. Feldman,
Science 267, 246-249 (1995); Jean M. Hebert et a
l., Cell 78, 1017-1025(1994); F.Coulier et al., P
rog. Growth Factor Res. 5, 1-14 (1994); S. Werner
et al., J. Invest. Dermatol. 105, 579-584 (1995);
H. Ohuchi et al., Biochem.Biophys. Res. Commun. 20
4(2), 882-888 (1994))。
【0003】その中で、FGFファミリーの6番目のメ
ンバーであるFGF6については、癌遺伝子として知ら
れるFGF4の遺伝子をもとにcDNAがクローニング
された(H. Sakamoto et al., Biochem. Biophys. Res.
Com. 151, 965-97 (1988);S. Iida et al., Oncogene
7, 303-309 (1992))。細胞内で異常に発現すると癌化
を引き起こすことが解っている(I. Marics et al., On
cogene 4, 335-340 (1989))。最近では脳の発生過程で
何らかの機能を持っていること、脳内で定常的に発現し
ていること(小沢和夫ら, 生化学 67(7), 569 (199
5))、また、交感神経への分化誘導能(瀬尾美鈴ら, 生
化学67(7), 5878 (1995))、軟骨への分化誘導能(多田
孝一郎ら, 生化学67(7), 581 (1995))等を持っている
ことなどが遺伝子レベルで明らかとなってきた。これら
の事実は生体内でのFGF6の異常が種々の疾病を引き
起こす原因になりうることを遺伝子レベルで示唆するも
のである。従って、FGF6の挙動をタンパク質レベル
で捉えることは、これらの疾病の原因解明や診断にとっ
て重要であると言うことができる。
【0004】FGFファミリーは、各メンバーの間で約
30%の相同性があり、FGF4の類似体として発見さ
れたFGF6は、特にFGF4との相同性が約70%と
高く、FGF6の組換えタンパクを抗原として抗体を作
製した場合、作製された抗体はFGF4と交差反応する
可能性が非常に高い。市販されているヒトFGF6の組
換えタンパクを抗原として抗体を作製した場合、作製さ
れた抗体はFGFファミリーの他のメンバーと交差反応
する可能性が高い。さらに、ヒトFGF6はマウスFG
F6との相同性が90%以上あるため、市販のヒトFG
F6の組換えタンパクは免疫対象であるマウス内での抗
原性が非常に弱く、抗体が形成されないばかりか、抗原
として大量投与した場合、マウスのショック死を引き起
こす可能性もある。
【0005】FGF6を特異的に認識するポリクローナ
ル抗体は既にR&D Systems Inc.(USA)より市販されてい
るが、ポリクローナル抗体は動物をその都度免疫し、そ
の血中より調製しなければならないために、ロットごと
の抗体価のばらつきが大きく再現性に乏しいという欠点
がある。一方、モノクローナル抗体もR&D Systems Inc.
より市販されている。しかし、本抗体は組換えFGF6
を免疫原として作製されているため、FGF4及びFG
F5との交差性が認められている。また、FGF6の作
用を中和する目的で使用できるが、生化学的に重要な手
法であるウエスタンブロッティングで使用することはで
きない等、非常に欠点が多い。現在のところFGFファ
ミリーの中でFGF6のみを認識するモノクローナル抗
体は存在していない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、FGFファ
ミリーの他のメンバーを抗原として認識せず、FGF6
を特異的に認識するモノクローナル抗体、及びその製造
方法、並びにこのモノクローナル抗体を用いてFGF6
を検知する方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために鋭意研究を重ねた結果、FGF6のアミ
ノ酸配列のうちFGFファミリーの他のメンバーの配列
と相同性が低い配列を有するペプチドを免疫原として用
いることにより、FGFファミリーの他のメンバーに結
合せず、FGF6に特異的に結合するモノクローナル抗
体が得られることを見い出し、本発明を完成させた。
【0008】すなわち、本発明は、下記性質を有する抗
繊維芽細胞増殖因子6モノクローナル抗体を提供する。 (a)繊維芽細胞増殖因子6に結合する。 (b)繊維芽細胞増殖因子ファミリーに属するメンバー
であって、かつ前記繊維芽細胞増殖因子6以外のものに
結合しない。
【0009】また、本発明は、前記配列が、配列表配列
番号1に示すアミノ酸配列の少なくとも一部であること
を特徴とする前記抗繊維芽細胞増殖因子6モノクローナ
ル抗体を提供する。
【0010】また、本発明は繊維芽細胞増殖因子6のア
ミノ酸配列のうち、繊維芽細胞増殖因子ファミリーに属
するメンバーであって、かつ前記繊維芽細胞増殖因子6
以外のもののアミノ酸配列と相同性の低い領域のアミノ
酸配列の少なくとも一部を有するペプチドと担体との結
合物を用いて哺乳動物を免疫した後、前記哺乳動物の脾
細胞を取り出し、前記脾細胞と培養細胞とを融合してハ
イブリドーマを作製し、前記ハイブリドーマを培養して
その培養物から抗体タンパクを採取する行程を含む、請
求項1記載のモノクローナル抗体の製造方法を提供す
る。
【0011】また、本発明は、モノクローナル抗体を用
いた免疫学方法により繊維芽細胞増殖因子6を検地する
方法において、前記モノクローナル抗体を用いる方法、
好ましくは脳機能の鑑定法を提供する。
【0012】なお、本明細書において、「FGF6に特
異的に結合する」とは、FGF6と反応して該FGF6
を抗原として特異的に認識し、かつFGFファミリーに
属する前記FGF6以外のメンバーには結合しないこと
を言う。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。FGF6
を含むFGFファミリーのcDNA配列は既に知られて
おり(M.Jaye et al., Science, 251, (1986); J. A. A
braham et al., EMBO J., 5, 2523-2528 (1986); R. Mo
ore et al., EMBO J., 5, 919-924(1986); P. Delli-Bo
viet al., Cell, 50, 729-737 (1987); X. Zhan et a
l., Mol Cel Biol., 8, 3487-3495 (1988); I. Marics
et al., Oncogene, 4, 335-340 (1989); J. S. Rubinet
al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86, 802-806 (198
9); A. Tanaka et al., FEBS Lett., 363(3), 226-230
(1995); M. Miyamoto et al., Mol. Cel. Biol., 13, 4
251- 4259 (1993))、推定上のアミノ酸配列も既に知ら
れている。
【0014】本発明者らはこれらのcDNA配列をアミ
ノ酸配列に翻訳し、比較した(図1〜図8)。その結
果、FGF6のアミノ酸配列のうち、配列表配列番号1
に示したアミノ酸配列を有する部分が、FGFファミリ
ーに属するメンバーであって、かつFGF6以外のもの
(FGFファミリーの他のメンバー)と相同性が低いこ
とを見いだした。
【0015】また、この部分の近隣には糖鎖の付加する
推定上の配列があり(図1)、この部分がFGF6のタ
ンパク表面に出ている可能性が高いことも見いだした。
尚、図1〜8中の[*]はアミノ酸が一致している部
分、アンダーラインは抗原として選定した部分を示して
おり、また各図中、上段はFGF6のアミノ酸配列を、
下段はFGFファミリーの他のメンバーのアミノ酸配列
を示している。
【0016】本発明者らは、これらの点に注目し、上記
配列を有するペプチド(以下、「FGF6に特異的なペ
プチド」ともいう。)の合成をTANA LABORATORIES, L.
C.(Texas, USA)に委託した。入手したペプチドを用い
て哺乳動物を免疫した後、脾細胞を取り出し、これを培
養細胞と融合することによりハイブリドーマを作製し、
このハイブリドーマにFGF6に特異的なモノクローナ
ル抗体を生産させることに成功した。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
いて、FGF6に特異的なモノクローナル抗体及びその
製造法を中心に製造手順に沿って説明する。 <1>抗原 哺乳動物を免疫する際に用いるFGF6に特異的なペプ
チドは、そのアミノ酸配列として配列表配列番号1に示
す配列が挙げられるが、FGF6のアミノ酸配列のう
ち、FGFファミリーの他のメンバーのアミノ酸配列と
相同性の低い領域のアミノ酸配列の少なくとも一部を有
していれば、本発明において使用することができる。こ
のようなペプチドは、例えばFGF6の酵素分解物から
単離することにより部分的に得ることができるが、常法
により化学合成することが好ましい。例えば、市販され
ているペプチドシンセサイザーを用いて、上記配列を入
力すれば上記ペプチドを得ることができる。また、ペプ
チドの受託合成サービスを行っている会社に依託して入
手してもよい。
【0018】かくして得られるペプチド(以下、「合成
ペプチド」ともいう)は、そのまま抗原としても用いる
ことができるし、キーホールリンペットヘモシアニン
(KLH:Keyhole Limpet Hemocyanin)、ウシ血清ア
ルブミン(BSA:Bovine Serum Albumin)、卵白アル
ブミン(OVA:Ovalbumin)等の担体と結合させて用
いることもできる。このような担体を用いると、ペプチ
ドのみでは抗原性が低い場合、あるいは抗原性がない場
合でも抗原性を上げることができる。なお、この場合は
担体に対する抗体もできるが、それらはハイブリドーマ
を選択する段階で取り除くことができる。 <2>哺乳動物の免疫 上記抗原で免疫する哺乳動物は、免疫実験に通常用いら
れている哺乳動物であれば特に制限はなく、マウス、ラ
ット、ウサギ等が例示できる。また、免疫する方法は、
通常の免疫の手法に則って行えば良く、例えば、合成ペ
プチド或いは担体に結合させた合成ペプチドを、0.5
μg/g〜50μg/gの容量で、フロイントの完全ア
ジュバントまたは不完全アジュバントとともに1〜2週
間毎に数回投与を繰り返し、最終投与の2週間以上後
に、合成ペプチドのみを投与して最終免疫を行う方法が
挙げられる。
【0019】そのときの合成ペプチドあるいは担体に結
合させた合成ペプチドの投与量は、1回当たり0.5μ
g/g〜50μg/g程度が適当である。投与量が0.
5μg/g未満では抗体を十分に生成しないことがあ
る。また、50μg/gを越えても更なる免疫効果は期
待できず、さらに、生体内で免疫抑制が生じ、目的とす
る抗体が得られない恐れがある。 <3>ハイブリドーマの作製 このようにして免疫した動物を、最終免疫後3〜4日後
に屠殺し、脾臓を摘出し、脾細胞を取り出す。この細胞
と、融合相手である培養細胞とを融合促進剤の存在下で
融合し、得られた融合細胞を選別することにより脾細胞
−培養細胞ハイブリドーマを得ることができる。
【0020】融合相手の培養細胞としては、脾細胞と融
合するものであれば特に制限はないが、一般には、ミエ
ローマ細胞(骨髄腫細胞)が適当である。また、細胞融
合の後に未融合細胞と融合細胞とを区別できるようにす
るために、特定の選別用の薬物マーカーを有するものが
好ましい。
【0021】例えば、ヒポキサンチン・グアニン・ホス
ホリボシルトランスフェラーゼ欠損したものが挙げられ
る。このような細胞は、ヒポキサンチン・アミノプテリ
ン及びチミジンを添加した培地(HAT培地)中で生育
できないが、この細胞と正常細胞との融合細胞はHAT
培地中でも生育できるようになり、未融合細胞と区別で
きる。具体的には、P3X63Ag8.653株、P3
/NSI/1−AG4−1株、FO株、SP2/0−A
g14株等のミエローマ細胞の市販株が挙げられるが、
これらには限定されない。
【0022】細胞融合は通常RPMI1640、MEM
等の培地中で、抗体産生細胞(脾細胞)とミエローマ細
胞とを10:1〜2:1の混合比で、融合促進剤ととも
に混合することにより行われる。融合促進剤としては、
細胞融合実験で通常用いられている融合剤であれば特に
制限はなく、具体的には、センダイウイルスや平均分子
量500〜7000のポリエチレングリコールが例示で
きる。また電気パルスによって融合させてもよい。細胞
融合を終えた細胞は、例えばRPMI1640あるいは
MEM培地などで希釈し、遠心分離により洗浄した細胞
をHAT培地等の選択培地に浮遊させ、マルチプレート
等に分注して培養を行い、ハイブリドーマのみを生育さ
せる。 <4>ハイブリドーマの選別 上記のようにして得られるハイブリドーマは、抗原に用
いたペプチドのうち異なる抗原決定部位に対するモノク
ローナル抗体や担体に用いた蛋白に対するモノクローナ
ル抗体を産生するハイブリドーマ株の混合体であるの
で、これらの中から前記合成ペプチド、すなわちFGF
6に特異的なペプチドに結合するモノクローナル抗体を
産生するハイブリドーマを選別する。
【0023】この選別の方法としては、抗原に用いた合
成ペプチドを使用した酵素免疫測定法(ELISA法)
が好ましい。例えば、合成ペプチドをプラスチックプレ
ート等に固相化しておき、これにハイブリドーマ培養上
清、さらに酵素、蛍光物質或は発光物質で標識した第二
抗体を加え、結合した標識の量から合成ペプチドに結合
する抗体量を知ることができる。或は、ハイブリドーマ
が産生する抗体を固相化し、これを合成ペプチド、酵素
等で標識した第二抗体と順次インキュベートしてもよ
い。
【0024】さらに、合成ペプチドに結合するモノクロ
ーナル抗体を産生するハイブリドーマから、FGF6に
結合し、FGFファミリーに属するメンバーであって前
記FGF6以外のものに結合しないモノクローナル抗体
を産生するハイブリドーマを選択する。
【0025】このようにして得られたハイブリドーマの
1株は、平成8年9月11日より工業技術院生命工学工
業技術研究所(郵便番号305 日本国茨城県つくば市
東一丁目1番3号)に、FERM P−15849とし
て寄託されている。 <5>FGF6に特異的に結合するモノクローナル抗体
の調製 上記のようにして得られたハイブリドーマからFGF6
に特異的に結合するモノクローナル抗体を得るには、例
えば、適当な培地中で培養した抗体産生ハイブリドーマ
の培養上清、あるいは抗体産生ハイブリドーマをマウス
腹膣内で培養し得られた腹水を常法に従って硫安分画、
ゲルろ過、アフィニティークロマトグラフィー等で精製
すればよい。 <6>FGF6に特異的に結合するモノクローナル抗体
の利用法 本発明のモノクローナル抗体は、FGF6と特異的に反
応するので、ウェスタンブロットあるいはミクロオート
ラジオグラフィーにおける染色用抗体、培養細胞、皮膚
組織等の免疫染色における染色用抗体、さらには培養系
に添加することによりFGF6の作用を抑える中和抗体
として使用可能であり、FGF6の定性あるいは定量の
ための検知用試薬として利用することができる。例え
ば、本発明のモノクローナル抗体を用いて軟骨や脳を染
色し、軟骨細胞や脳細胞中のFGF6の役割を探求する
ことができる。さらに、例えば脳細胞中のFGF6を検
知することにより、脳機能の鑑定を行うこともできる。
【0026】
【実施例】以下に、本発明の実施例を説明する。 <1>ハイブリドーマの作製 ペプチドの合成および担体(KLH)への結合は、TANA
LABORATORIES, L. C.(Texas, USA) に依頼した。
【0027】上記の担体結合合成ペプチド100μgを
生理食塩水50μlに溶かし、完全フロイントアジュバ
ント(シグマ(SIGMA)製)50μlと混合乳化したもの
を、8週令のBALB/cマウス(日本クレア)の皮下
に投与した。その後1週間目と2週間目に、上記担体結
合合成ペプチド−不完全フロイントアジュバント等量混
合乳化液100μlを腹腔内投与した。更に、3回目の
投与から2週間後に、50μgの合成ペプチドを溶解し
た生理食塩水50μlを静脈注射した。
【0028】3日後、上記マウスから脾臓を摘出し、脾
細胞をRPMI1640培地に懸濁し、洗浄を行った。
一方、マウスミエローマ細胞株SP2/0−Ag14
(大日本製薬から購入)を、細胞融合に合わせて対数増
殖期になるように培養し、遠心分離により集めた。10
8個の脾細胞に対し、2×107個のミエローマを上記培
地中で混合し、遠心分離により細胞をペレットにした。
上清を除いた後、37℃に保温した50%PEG400
0(シグマ社製:ポリエチレングリコール)を含むRP
MI1640培地1mlを1分間で徐々に滴下し、1分
間穏やかに撹拌した。更に、37℃のRPMI1640
培地2mlを2分間で、更に8mlを3分間で撹拌しな
がら滴下した。
【0029】滴下終了後、遠心分離により上清を除いた
後、細胞ペレットをGIT培地(和光純薬製)40ml
に懸濁し、これを4枚の96ウェルプレート(住友ベー
クライト製)に、1ウェルにつき100μlずつ分注し
た。翌日25μlのHAT培地を添加し、更に4日後2
5μlのHAT培地を添加した。1週間培養した後、培
養上清を半分除き50μlのGIT培地を添加した。
【0030】細胞融合から約2週間後、ミエローマと脾
細胞が融合したハイブリドーマのみがコロニーを形成し
たが、さらに、コロニーの直径が約1mmになるまで培
養を続けた。この時点で培養上清に分泌された抗体を、
上記の合成ペプチドと市販の二次抗体(西洋ワサビペル
オキシダーゼ標識ヤギ抗マウスIgG Fcフラグメン
ト抗体;ケミコン(CHEMICON)社製)を用いたサンドウィ
ッチELISA法により検定した。このうち抗体価の高
かったウェル中の培養上清を、抗原を市販のFGF6組
換えタンパク(シグマ社製)に変更した上記と同様のサ
ンドウィッチELISA法によってさらに検定した。最
終的に抗体価の高かったウェル中のハイブリドーマにつ
いて限界希釈法によるクローニングを行い、モノクロー
ナル抗体産生ハイブリドーマ株を得た。この株は、工業
技術院生命工学工業技術研究所(郵便番号305 日本
国茨城県つくば市東一丁目1番3号)に、FERM P
−15849として寄託されている。 <2>FGF6に特異的に結合するモノクローナル抗体
の調製 上記で得られたハイブリドーマ細胞株を培養し、FGF
6に特異的に結合するモノクローナル抗体の採取を行っ
た。
【0031】ハイブリドーマをGIT培地で培養し、細
胞濃度が約5×106個/mlになったところで培養上
清を遠心分離により回収し、これをポアサイズ0.22
μmのフィルターでろ過し、ろ液をプロテインAカラム
キット(アマシャム・ジャパン製)により精製し、抗F
GF6モノクローナル抗体を得た。 <3>抗FGF6モノクローナル抗体の評価 (1)抗FGF6モノクローナル抗体のFGF6との反
応性 上記で得られたモノクローナル抗体について、市販のF
GF4、FGF5、FGF6、FGF7の組換えタンパ
ク(シグマ社製)を用いたエンザイムイムノブロット法
により特異性の評価を行った。5〜20%の密度勾配ポ
リアクリルアミドゲル(パジェル:アトー社製)を用い
た電気泳動に供した。アプライ量は、1レーン当りタン
パク量として100ngである。なお、電気泳動は常法
に従って行った。ゲルをトランスファーバッファー(1
00mM Tris;192mMグリシン)に浸漬した
後、ブロッティング装置(セミドライブロッティング装
置:アトー(ATTO)製)を用い、泳動物をゲルから、予め
トランスファーバッファーに浸漬したメンブレン(イモ
ビロン(Immobilon);ミリポア社製)へ転写した。
【0032】泳動物を転写したメンブレンを、TBSバ
ッファー(20mM Tris;500mM NaC
l;pH7.5)に15分間浸漬した後、ブロッキング
バッファー(5%スキムミルクあるいは1%BSA及び
0.1%Tween20を含むTBSバッファー)に浸
し、25℃で1時間緩やかに振とうした。
【0033】その後、メンブレンを0.1%Tween
20を含むTBSバッファー(TTBSバッファー)を
用いて洗浄(15分1回,5分2回)し、前記<2>で
得られたモノクローナル抗体溶液(10倍希釈液を約2
ml)に浸漬し、約1時間、25℃で緩やかに振とうし
た。メンブレンを洗浄した後、さらに市販の二次抗体溶
(西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識ヤギ抗マ
ウスIgG Fcフラグメント抗体:ケミコン(CHEMICO
N)社製、20,000倍希釈液を約2ml)に浸漬し、
25℃で約1時間緩やかに振とうした。
【0034】泳動したメンブレンをTTBSバッファー
により洗浄(15分1回、5分4回)した後、市販のH
RP検出キット(アマシャム製;ECLキット)を使用
して、抗FGF6モノクローナル抗体が結合した泳動物
のバンドを検出した。なお、HRPが結合したバンド
は、4−クロロ−1−ナフトールを基質として使用して
も検出することができる。
【0035】エンザイムイムノブロット法の結果を図9
に示す。この結果から明らかなように、上記で得られた
モノクローナル抗体はFGF6に結合するが、FGF
4、FGF5及びFGF7には結合しない。また、抗原
として使用した合成ペプチドは他のFGFファミリーと
全く相同性がない部分であり、FGFファミリーの他の
メンバーとも反応しない。すなわち、本モノクローナル
抗体は、相互に相同性の高いFGFファミリーのメンバ
ーの中でFGF6に特異的に反応することがわかった。 (2)抗FGF6モノクローナル抗体のアイソタイプの
決定 市販のアイソタイピングキット(アマシャム製)に付属
のメンブレンを、抗FGF6モノクローナル抗体(ハイ
ブリドーマ培養上清)とキット付属の二次抗体の混合溶
液に浸漬し室温で15分間インキュベートした。メンブ
レンを0.1%Tween20を含むPBSによる5分
間洗浄を2回繰り返した後、キット付属の発色剤にメン
ブレンを浸漬し室温で15分間以上インキュベートしア
イソタイプを検出した。その結果抗FGF6モノクロー
ナル抗体のアイソタイプは、κ軽鎖をもったIgG1で
あることがわかった。
【0036】
【発明の効果】本発明の抗FGF6モノクローナル抗体
は、FGF6に特異的に結合するものであり、FGF6
の検知に用いることができ、骨や脳機能の鑑定等に利用
することができる。
【0037】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:17 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Asn Thr Leu Leu Asp Ser Arg Gly Trp Gly Thr Leu Leu Ser Arg Ser Arg 1 5 10 15
【図面の簡単な説明】
【図1】FGF6に対するFGF1のアミノ酸配列の相
同性を示す図である。
【図2】FGF6に対するFGF2のアミノ酸配列の相
同性を示す図である。
【図3】FGF6に対するFGF3のアミノ酸配列の相
同性を示す図である。
【図4】FGF6に対するFGF4のアミノ酸配列の相
同性を示す図である。
【図5】FGF6に対するFGF5のアミノ酸配列の相
同性を示す図である。
【図6】FGF6に対するFGF7のアミノ酸配列の相
同性を示す図である。
【図7】FGF6に対するFGF8のアミノ酸配列の相
同性を示す図である。
【図8】FGF6に対するFGF9のアミノ酸配列の相
同性を示す図である。
【図9】FGF6のエンザイムイムノブロットにより電
気泳動の結果を表す写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G01N 33/53 G01N 33/577 B 33/577 A61K 39/395 N // A61K 39/395 C12N 5/00 B (C12N 5/10 C12R 1:91) (C12P 21/08 C12R 1:91) (72)発明者 加藤 明美 神奈川県横浜市戸塚区柏尾町560 ポーラ 化成工業株式会社戸塚研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記性質を有する抗繊維芽細胞増殖因子
    6モノクローナル抗体。 (a)繊維芽細胞増殖因子6に結合する。 (b)繊維芽細胞増殖因子ファミリーに属するメンバー
    であって、かつ前記繊維芽細胞増殖因子6以外のものに
    結合しない。
  2. 【請求項2】 繊維芽細胞増殖因子6のアミノ酸配列の
    うち、繊維芽細胞増殖因子ファミリーに属するメンバー
    であって、かつ前記繊維芽細胞増殖因子6以外のものの
    アミノ酸配列と相同性の低い領域を抗原として認識す
    る、請求項1記載の抗繊維芽細胞増殖因子6モノクロー
    ナル抗体。
  3. 【請求項3】 前記領域が、配列表配列番号1に示すア
    ミノ酸配列の少なくとも一部であることを特徴とする請
    求項2記載の抗繊維芽細胞増殖因子6モノクローナル抗
    体。
  4. 【請求項4】 繊維芽細胞増殖因子6のアミノ酸配列の
    うち、繊維芽細胞増殖因子ファミリーに属するメンバー
    であって、かつ前記繊維芽細胞増殖因子6以外のものと
    のアミノ酸配列と相同性の低い領域のアミノ酸配列の少
    なくとも一部を有するペプチドと担体との結合物を用い
    て哺乳動物を免疫した後、前記ほ乳動物の脾細胞を取り
    出し、前記脾細胞と培養細胞とを融合してハイブリドー
    マを作製し、前記ハイブリドーマを培養してその培養物
    から抗体蛋白を採取する行程を含む、請求項1記載のモ
    ノクローナル抗体の製造法。
  5. 【請求項5】 モノクローナル抗体を用いた免疫学的手
    法により繊維芽細胞増殖因子6を検知する方法におい
    て、請求項1記載のモノクローナル抗体を用いる方法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の方法により脳細胞中の繊
    維芽細胞増殖因子6を検知することを特徴とする、脳機
    能の鑑定法。
JP8245062A 1996-09-17 1996-09-17 抗繊維芽細胞増殖因子6モノクローナル抗体 Pending JPH1084958A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015221804A (ja) * 2007-11-12 2015-12-10 ユー3・ファーマ・ゲーエムベーハー Axl抗体
CN114181321A (zh) * 2021-12-10 2022-03-15 中国海洋大学 花鲈fgf6a、fgf6b以及fgf18重组蛋白及其制备方法和应用

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015221804A (ja) * 2007-11-12 2015-12-10 ユー3・ファーマ・ゲーエムベーハー Axl抗体
CN114181321A (zh) * 2021-12-10 2022-03-15 中国海洋大学 花鲈fgf6a、fgf6b以及fgf18重组蛋白及其制备方法和应用

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