JPH1084950A - 造血幹細胞の採取方法、採取器および採取装置 - Google Patents

造血幹細胞の採取方法、採取器および採取装置

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JPH1084950A
JPH1084950A JP8263742A JP26374296A JPH1084950A JP H1084950 A JPH1084950 A JP H1084950A JP 8263742 A JP8263742 A JP 8263742A JP 26374296 A JP26374296 A JP 26374296A JP H1084950 A JPH1084950 A JP H1084950A
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JP
Japan
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hematopoietic stem
stem cell
stem cells
cells
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JP8263742A
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English (en)
Inventor
Tsuneo Takahashi
恒夫 高橋
Kanchi Yasutake
幹智 安武
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Asahi Kasei Medical Co Ltd
Original Assignee
Asahi Medical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 造血幹細胞浮遊液から造血幹細胞以外の血球
成分を減らし、血漿蛋白成分は残存させることができる
簡便な造血幹細胞採取方法及び採取装置を提供する。 【解決手段】 造血幹細胞浮遊液の導入口および導出口
を持つ容器の中に平均孔径が1μm以上60μm以下で
ある分画層を主要部として充填した造血幹細胞採取器に
対し造血幹細胞浮遊液を導入し、重力場において造血幹
細胞浮遊液を実質的に下から上に向けて流し、造血幹細
胞採取器から最初に導出される血漿を採取し、次に赤血
球、血小板を導出した後造血幹細胞を含む細胞集団を採
取し、前記血漿と該造血幹細胞を含む細胞集団を混合す
るという各ステップから成る造血幹細胞の採取方法及び
採血装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、造血幹細胞の採取方
法、採取器および採取装置に関する。更に詳しくは、臍
帯血、骨髄液、粗製末梢血単核球分画、造血幹細胞富化
末梢血等造血幹細胞および/または造血前駆細胞(以下
造血幹細胞と呼ぶ)とその他の血球、即ち赤血球、血小
板、白血球(単球、顆粒球、リンパ球)および血漿等の
体液の一部または全てを含む造血幹細胞浮遊液から血漿
を含み他の血球成分の混入を減らした造血幹細胞浮遊液
を採取する方法、採取器および採取装置に関するもので
あり、凍結保存のための造血幹細胞の濃縮に好適に用い
られる。
【0002】
【従来の技術】白血病などの造血器腫瘍および固形癌の
化学療法における副作用である造血障害に対して、骨髄
移植療法が広く施行されている。骨髄移植療法とは、移
植骨髄中に含まれる造血幹細胞が患者の体内で増殖、分
化することによる致死的造血障害の回復法であるため、
患者にとって致死的な大量放射線および/または大量化
学療法(以下、大量化学療法と略す)の施行が可能とな
り、白血病や固形癌の治癒につながる。また、近年、骨
髄と同様に末梢血中にも、これらの治療に必要な造血幹
細胞が含まれていることが明らかになった。通常、これ
らの細胞の末梢血中での含有率はかなり低値であり、採
取して骨髄移植の代わりに用いることは困難であるが、
抗癌剤および/またはG−CSF(顆粒球コロニー刺激
因子)等のサイトカインを投与することにより、その含
有率が増大することが明らかにされ、骨髄採取と比べる
と、全身麻酔が不要で安全なことから、さかんに臨床応
用が行われている。更に近年、臍帯血中には末梢血より
もはるかに高濃度で造血幹細胞が含有されていることが
明らかになり、臨床応用が始まった。臍帯血は本発明で
用いられる造血幹細胞浮遊液の中でも最も好ましく用い
られる。
【0003】ここで、移植法は細胞を誰から得るかによ
って同種移植と自家移植に分けられる。前者は健康な他
人(血縁者または非血縁者)の細胞を用いるもので、後
者は患者本人の細胞を用いるものである。同種移植(臍
帯血を用いる場合を除く)が主に移植当日(大量化学療
法後)に細胞が採取され、すぐに移植されることが多い
のに対し、自家移植においては大量化学療法前に患者自
身の細胞を採取して造血幹細胞分画に濃縮して凍結保存
し、その後、大量化学療法を行い、凍結保存しておいた
細胞を解凍後、移植することが通常行われる。また、臍
帯血を用いる同種移植の場合は、出産によって得られる
臍帯から採取した臍帯血を、前述した自家移植と同様、
造血幹細胞分画に濃縮して凍結保存し、大量化学療法後
に解凍して移植することが通常行われる。ここで、凍結
保存に際し、造血幹細胞濃縮が行われるのは、解凍時の
破壊赤血球の輸注による腎障害等の副作用を防止すると
ともに、混入顆粒球による凝集を防止するためである。
造血幹細胞濃縮の方法は、通常、密度勾配遠心法と呼ば
れる、比重液(例えば、ファルマシア社製Ficol
l)を用いた遠心分離法が用いられる。該方法は非常に
煩雑で処理時間が長く、比重液に細胞浮遊液を重層する
際に決して液面を乱してはならないなど、非常に熟練を
要する。また、比重液を用いることからコスト高であ
る。更に、細胞浮遊液重層操作はクリーンベンチ内で行
われるが、開放系であるため、細菌による汚染が危惧さ
れている。
【0004】上記方法の煩雑さを克服するために、多く
の試みがなされている(例えば、特開昭61−8455
7号公報、特開平2−134564号公報など多数)。
しかしながら、これらも、比重液と遠心分離器を用いる
点では何ら従来法と変わらず、簡便、低コスト、処理時
間が短く、閉鎖系の造血幹細胞濃縮システムが待望され
ていた。また、従来の方法では血小板、単球を効率良く
除去することはできない。これらの細胞も、顆粒球と同
様、凝集の原因となることから、これらの細胞の簡便か
つ有効な除去法が待望されていた。更に、従来法では比
重で細胞を分離するので、造血幹細胞と比重が同じであ
るリンパ球を除去することは全く不可能であった。一
方、造血幹細胞を濃縮して凍結保存する際にはジメチル
スルホキシド、ゼラチン等の凍結保存剤を造血幹細胞浮
遊液に添加するが、この際更に血漿蛋白質を添加すると
造血幹細胞の保存状態が向上する。しかしながら従来の
遠心分離器を用いる造血幹細胞の濃縮方法では血漿蛋白
成分が除去されてしまい、別途アルブミン製剤を添加す
るか、あるいは、遠心上清から血小板を除去した上で得
られた血漿を添加する様な方法をとらざるを得ず、多大
なコストと手間および時間を要した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上記し
た従来技術の問題点に鑑み、臍帯血、骨髄液、連続遠心
分離による粗製末梢血単核球分画、造血幹細胞富化末梢
血等の造血幹細胞浮遊液から造血幹細胞以外の血球成分
を減らし、血漿蛋白成分は残存させることができる簡便
な造血幹細胞採取方法を提供することにあり、それに用
いる採取器および採取装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するために鋭意研究した。その結果、平均孔径が1
〜60μmの分画層を主要部とする造血幹細胞採取器に
対し、造血幹細胞を導入した後、重力場において造血幹
細胞浮遊液を実質的に下から上に向けて流すことによ
り、造血幹細胞採取器から導出される液体は驚くべき事
に最初は血漿、次に赤血球、血小板浮遊液の順で導出さ
れてくることを見出し、更にリンスすることにより、造
血幹細胞およびリンパ球の一部が回収され、単球、顆粒
球、および一部のリンパ球は、造血幹細胞採取器に残っ
たままになることを見出して本発明を得るに至った。
【0007】即ち本発明は、造血幹細胞浮遊液から造血
幹細胞を採取する方法であって 造血幹細胞浮遊液の導入口および導出口を持つ容器の
中に平均孔径が1μm以上60μm以下である分画層を
主要部として充填した造血幹細胞採取器に対し造血幹細
胞浮遊液を導入し、 重力場において造血幹細胞浮遊液を実質的に下から上
に向けて流し、 造血幹細胞採取器から最初に導出される血漿を採取
し、 次に赤血球、血小板を導出した後 造血幹細胞を含む細胞集団を採取し、 前記血漿と該造血幹細胞を含む細胞集団を混合すると
いう各ステップから成る事を特徴とする造血幹細胞の採
取方法であり、それに用いる採取器、採取装置としてそ
れぞれ造血幹細胞浮遊液の導入口および導出口を持つ容
器の中に平均孔径が1μm以上、60μm以下である、
多孔質体、繊維集合体、粒子集合体のいずれかからな
る、分画層を主要部として充填して成る事を特徴とする
造血幹細胞採取器であり、主要構成部品として、造血幹
細胞採取器、造血幹細胞採取器の上流側に配置された造
血幹細胞浮遊液貯留器および造血幹細胞採取器の下流側
に配置された少なくとも2つの貯留器が管路によって接
続されて成ることを特徴とする造血幹細胞採取装置であ
る。本発明により、何故造血幹細胞浮遊液が血漿、赤血
球等に分画されるのかについての機構は明らかでは無い
が、血球の比重、分画層に対する血球の粘着性、血球の
大きさや変形能の違いが微妙に影響してこの様な分画特
性が得られるものと考えられる。
【0008】以下本発明を図1によって更に詳細に説明
する。本発明で言う造血幹細胞には、造血前駆細胞も含
むものとする。造血幹細胞採取器7の造血幹細胞浮遊液
導入口1、導出口2はそれぞれ、造血幹細胞浮遊液を導
き入れるための入口、分画層4を通過した造血幹細胞浮
遊液を導き出すための出口であり、液体を通過させるこ
とができ、塩化ビニールチューブのような管路に接続で
きれば良い。容器3は分画層4を保持するための液密な
容器であり、分画層4により、導入口1側の空間5と導
出口側の空間6に仕切れる構造であることが好ましい。
分画層4は、多孔質体、繊維集合体(不織布状、織布
状、綿状等)、粒子集合体等により構成され、その平均
孔径が1μm以上、60μm以下であるものである。平
均孔径は水銀ポロシメーターを用いて、測定することが
でき、直径で示す。平均孔径が1μm未満では造血幹細
胞やその他の血球が目詰まりし易くなり、逆に60μm
を超えると血漿、赤血球、造血幹細胞等の分画特性が悪
くなって来る。好ましい平均孔径の範囲は、3から50
μm、更に好ましくは5から45μmであり、7から4
0μmが望ましい。また分画層4の細孔容積は、水銀ポ
ロシメーターで測定する方法、分画層4に吸水させて重
量変化で測定する方法等で測定することができるが、分
画層1m■当りの細孔容積で表した値が0.4から0.
95ml/mlである事が好ましい。より好ましくは
0.6から0.95ml/mlの範囲であり、0.7か
ら0.95ml/mlの範囲が望ましい。細孔容積が
0.4ml/ml未満では分画の効率の点で劣ってき、
0.95ml/mlを超えると、分画層の構造が弱くな
って来る。また分画層の厚さは0.1〜50mmである
ことが好ましい。50mmを超えると造血幹細胞の回収
率が低くなってき、1mm未満では分画特性が劣って来
る。より好ましくは厚さの範囲は0.5から30mmで
あり、1から10mmの範囲が望ましい。
【0009】次に「重力場において造血幹細胞浮遊液を
実質的に下から上に向けて流し」というのは、例えば地
球上において図1に例示した様な造血幹細胞採取器7を
水平に置き、下側に付いている導入口1から造血幹細胞
浮遊液を導入し、重力に逆らって造血幹細胞浮遊液を流
してやり、上に付いている導出口2から分画された液を
導出してやることであり、導入口1の容器内への解放口
8が導出口2の容器内への開放口9よりも下側であれば
造血幹細胞採取器7はどの様に傾けて使用してもかまわ
ない。開放口8と開放口9の上下関係が逆転してしまう
と血漿と赤血球を分画する分画特性が悪くなる。造血幹
細胞浮遊液を流す速さ(流量)は、血漿を採取する段階
と赤血球、血小板を導出する段階と造血幹細胞を採取す
る段階とで異なる流量を選択することが好ましい。最初
に血漿を採取するまでは重力による赤血球の沈降を利用
して血漿を採取できる程度にゆっくりとした流量を選択
することが好ましい。次に赤血球、血小板を導出する段
階では最初の段階よりも大きい流量を選択できる。この
段階では、赤血球、血小板と造血幹細胞の分画特性を乱
さない程度に大きな流量を選択できる。最後の造血幹細
胞を含む細胞集団を採取する段階では更に大きな流量を
選択でき、造血幹細胞が最も効率良く回収できる流量を
選択することが好ましい。また、造血幹細胞浮遊液の所
定量を造血幹細胞採取器に流し終わった後には生理的溶
液を使って造血幹細胞採取器に残留する造血幹細胞浮遊
液を押し出し、更に洗浄することもできる。造血幹細胞
を採取する時点では回収用の溶液として生理的溶液だけ
でなく凍結保存剤を混合した回収液を用いる事もでき好
ましい結果を与える。以下図2に例示する造血幹細胞採
取装置を用いた造血幹細胞の採取方法を説明する。造血
幹細胞浮遊液貯留器11内の造血幹細胞浮遊液は管路1
2を通って造血幹細胞採取器7に送られ、ここで分画さ
れる。導出口2から最初に出て来るのは血漿成分であ
り、管路15を通して貯留器16に採取される。次に導
出口2から出て来るのは赤血球、血小板を含む成分であ
り、これは管路17を通して貯留器18に送られる。必
要に応じて生理的溶液19を流し、造血幹細胞採取器7
に残った造血幹細胞浮遊液を押し出し、洗浄することが
できる。最後に回収液20を造血幹細胞採取器7に送
り、導出口2から導出される造血幹細胞を含む細胞集団
を管路15を通して貯留器16に採取する。以上の操作
により、貯留器16には、血漿を含み他の血球成分の混
入が少ない造血幹細胞浮遊液が得られる。また、単球、
顆粒球の多くとリンパ球の一部は造血幹細胞採取器7の
中に残留する。生理的溶液19と回収液20は造血幹細
胞浮遊液貯留器11中の造血幹細胞浮遊液で代用するこ
とも可能である。
【0010】
【実施例】以下実施例により本発明の実施態様を詳細に
説明する。
【実施例1】造血幹細胞採取器としては図1に示す構造
のものを用いた。分画層としてはポリエステル不織布に
2−ヒドロキシエチルメタアクリレートにジメチルアミ
ノエチルメタアクリレートを3モル%加えて共重合させ
たコポリマー(以下HM−3と略す)をコートしたもの
を用いた。分画層の平均孔径は10μmであり、細孔容
積は0.85ml/mlであった。また分画層の厚みは
5mmとし、造血幹細胞浮遊液が通過する通過面積は2
5cm2 とした。この造血幹細胞採取器を用い図2に示
す造血幹細胞採取装置を組み立てた。管路12、15、
17は塩化ビニールチューブを使用し、造血幹細胞浮遊
液貯留器11、貯留器16、18には塩化ビニール製の
バックを使用した。造血幹細胞浮遊液としては、CPD
を抗凝固剤として用いた臍帯血70m■を用いた。用い
た臍帯血はコールターカウンターを用いて測定したとこ
ろ白血球分画が1.59×107 /ml(造血幹細胞は
この分画に含まれる)、赤血球が3.12×109 /m
l、血小板が3.24×108 /ml、ヘマトクリット
32.7%、白血球分画のうち、リンパ球相当が33.
2%(造血幹細胞はここに含まれる)、単球相当が2.
1%、顆粒球相当が64.7%であった。フローサイト
メーターにより測定したCD34陽性細胞は白血球分画
の0.83%、即ち、1.32×105 /mlであっ
た。先ず臍帯血を1ml/分の流量で造血幹細胞採取器
に送り造血幹細胞採取器から最初に出て来る血漿を7m
lだけ貯留器16に採取した。次に流量を10ml/分
に上げ造血幹細胞浮遊液貯留器11中の臍帯血が無くな
るまで流し、更に生理的溶液19(生理食塩水)を同じ
流量で流し、貯留器18に83mlの赤血球、血小板の
多い分画が回収された時点で回収液20を用い造血幹細
胞採取器内の生理食塩水と置換した後、回収液20を約
200ml/分の流速で28ml流した。回収液の組成
はジメチルスルホキシドを10%含むRPMI−164
0培地とした。回収された造血幹細胞を含む細胞集団は
貯留器16に採取した。操作中回収液と貯留器16は氷
水にて冷却しておいた。回収された血漿を含む造血幹細
胞浮遊液を使用した臍帯血と同様に分析した。使用した
臍帯血中の総数を100%として血漿を含む造血幹細胞
中に含まれる各成分の回収率を示すと、白血球分画が1
4%、赤血球が2%、血小板が5%であったのに対し、
CD34陽性細胞(造血幹細胞に相当する)は62%で
あった。また、血漿の含有率20%、ジメチルスルホキ
シド含量10%は略達成できた。
【0011】
【実施例2】造血幹細胞採取器としては図1に示す構造
のものを用いた。分画層としてはウレタン製多孔質体を
用いた。分画層の平均孔径は15μmであり、細孔容積
は0.90ml/mlであった。また分画層の厚みは
2.4mmとし、造血幹細胞浮遊液が通過する通過面積
は25cm2 とした。この造血幹細胞採取器を用い図2
に示す造血幹細胞採取装置を組み立てた。管路12、1
5、17は塩化ビニールチューブを使用し、造血幹細胞
浮遊液貯留器11、貯留器16、18には塩化ビニール
製のバックを使用した。造血幹細胞浮遊液としては、C
PDを抗凝固剤として用いた臍帯血50mlを用いた。
用いた臍帯血はコールターカウンターを用いて測定した
ところ白血球分画が1.21×107 /ml(造血幹細
胞はこの分画に含まれる)、赤血球が2.86×109
/ml、血小板が3.11×108 /ml、フローサイ
トメーターにより測定したCD34陽性細胞は白血球分
画の0.61%、即ち、0.74×105 /mlであっ
た。先ず臍帯血を1ml/分の流量で造血幹細胞採取器
に送り造血幹細胞採取器から最初に出て来る血漿を5m
lだけ貯留器16に採取した。次に流量を10ml/分
に上げ造血幹細胞浮遊液貯留器11中の臍帯血が無くな
るまで流し、更に生理的溶液19(生理食塩水)を同じ
流量で流し、貯留器18に65mlの赤血球、血小板の
多い分画が回収された時点で回収液20を用い造血幹細
胞採取器内の生理食塩水と置換した後、回収液20を約
200ml/分の流速で20ml流した。回収液の組成
はジメチルスルホキシドを10%含むRPMI−164
0培地とした。回収された造血幹細胞を含む細胞集団は
貯留器16に採取した。操作中回収液と貯留器16は氷
水にて冷却しておいた。回収された血漿を含む造血幹細
胞浮遊液を使用した臍帯血と同様に分析した。使用した
臍帯血中の総数を100%として血漿を含む造血幹細胞
中に含まれる各成分の回収率を示すと、白血球分画が1
6%、赤血球が3%、血小板が2%であったのに対し、
CD34陽性細胞(造血幹細胞に相当する)は71%で
あった。また、血漿の含有率20%、ジメチルスルホキ
シド含量10%は略達成できた。
【0012】
【実施例3】造血幹細胞採取器としては図1に示す構造
のものを用いた。分画層としてはポリエステル不織布に
2−ヒドロキシエチルメタアクリレートにジメチルアミ
ノエチルメタアクリレートを3モル%加えて共重合させ
たコポリマー(以下HM−3と略す)をコートしたもの
を用いた。分画層の平均孔径は24μmであり、細孔容
積は0.79ml/mlであった。また分画層の厚みは
5mmとし、造血幹細胞浮遊液が通過する通過面積は2
5cm2 とした。この造血幹細胞採取器を用い図2に示
す造血幹細胞採取装置を組み立てた。管路12、15、
17は塩化ビニールチューブを使用し、造血幹細胞浮遊
液貯留器11、貯留器16、18には塩化ビニール製の
バックを使用した。造血幹細胞浮遊液としては、CPD
を抗凝固剤として用いた臍帯血50mlを用いた。用い
た臍帯血はコールターカウンターを用いて測定したとこ
ろ白血球分画が1.02×107 /ml(造血幹細胞は
この分画に含まれる)、赤血球が3.31×109 /m
l、血小板が2.77×108 /ml、フローサイトメ
ーターにより測定したCD34陽性細胞は白血球分画の
0.91%、即ち、0.93×105 /mlであった。
先ず臍帯血を1ml/分の流量で造血幹細胞採取器に送
り造血幹細胞採取器から最初に出て来る血漿を5mlだ
け貯留器16に採取した。次に流量を10ml/分に上
げ造血幹細胞浮遊液貯留器11中の臍帯血が無くなるま
で流し、更に生理的溶液19(生理食塩水)を同じ流量
で流し、貯留器18に65mlの赤血球、血小板の多い
分画が回収された時点で回収液20を用い造血幹細胞採
取器内の生理食塩水と置換した後、回収液20を約20
0ml/分の流速で28ml流した。回収液の組成はジ
メチルスルホキシドを10%含むRPMI−1640培
地とした。回収された造血幹細胞を含む細胞集団は貯留
器16に採取した。操作中回収液と貯留器16は氷水に
て冷却しておいた。回収された血漿を含む造血幹細胞浮
遊液を使用した臍帯血と同様に分析した。使用した臍帯
血中の総数を100%として血漿を含む造血幹細胞中に
含まれる各成分の回収率を示すと、白血球分画が17
%、赤血球が2%、血小板が1%であったのに対し、C
D34陽性細胞(造血幹細胞に相当する)は58%であ
った。また、血漿の含有率20%、ジメチルスルホキシ
ド含量10%は略達成できた。
【0013】
【発明の効果】以上述べた様に、本発明造血幹細胞採取
方法を用いることにより、臍帯血、骨髄液、連続遠心分
離による粗製末梢血単核球分画、造血幹細胞富化末梢血
等の幹細胞浮遊液から簡便に造血幹細胞以外の血球成分
を減らし、血漿蛋白成分は残存させることができる様に
なった。更に本発明造血幹細胞採取器および造血幹細胞
採取装置を用いることにより、上記操作が確実に無菌的
に、簡単にできる様になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明造血幹細胞採取器の構造の一例を示す模
式図。
【図2】本発明造血幹細胞採取装置の構成の一例を示す
模式図。
【符号の説明】
1 導入口 2 導出口 3 容器 4 分画層 5,6 空間 7 造血幹細胞採取器 8,9 開放口 11 造血幹細胞浮遊液貯留器 12,15,17 管路 16,18 貯留器 19 生理的溶液 20 回収液

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 造血幹細胞浮遊液から造血幹細胞を採取
    する方法であって 造血幹細胞浮遊液の導入口および導出口を持つ容器の
    中に平均孔径が1μm以上60μm以下である分画層を
    主要部として充填した造血幹細胞採取器に対し造血幹細
    胞浮遊液を導入し、 重力場において造血幹細胞浮遊液を実質的に下から上
    に向けて流し、 造血幹細胞採取器から最初に導出される血漿を採取
    し、 次に赤血球、血小板を導出した後 造血幹細胞を含む細胞集団を採取し、 前記血漿と該造血幹細胞を含む細胞集団を混合すると
    いう各ステップから成る事を特徴とする造血幹細胞の採
    取方法。
  2. 【請求項2】 造血幹細胞を含む細胞集団を採取する際
    に回収液として凍結保存剤を含む液体を使用することを
    特徴とする請求項1記載の造血幹細胞の採取方法。
  3. 【請求項3】 造血幹細胞浮遊液の導入口および導出口
    を持つ容器の中に平均孔径が1μm以上、60μm以下
    である、多孔質体、繊維集合体、粒子集合体のいずれか
    からなる、分画層を主要部として充填して成る事を特徴
    とする造血幹細胞採取器。
  4. 【請求項4】 分画層の細孔容積が0.4ml/ml以
    上、0.95ml/ml以下である事を特徴とする請求
    項3記載の造血幹細胞採取器。
  5. 【請求項5】 分画層の厚さが0.1mm以上、50m
    m以下である事を特徴とする請求項3または請求項4記
    載の造血幹細胞採取器。
  6. 【請求項6】 主要構成部品として請求項3記載の、造
    血幹細胞採取器、造血幹細胞採取器の上流側に配置され
    た造血幹細胞浮遊液貯留器および造血幹細胞採取器の下
    流側に配置された少なくとも2つの貯留器が管路によっ
    て接続されて成ることを特徴とする造血幹細胞採取装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009537137A (ja) * 2006-05-17 2009-10-29 コグネート セラピューティクス,インコーポレーテッド 脂肪吸引後の脂肪吸引物からの造血幹細胞の単離および精製
JP2010537624A (ja) * 2007-03-28 2010-12-09 サーモジェネシス コーポレーション 骨髄または臍帯血から回収した幹細胞と前駆細胞の組成物、それらを用意するためのシステムおよび方法

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