JPH1081902A - 弁座用耐摩耗材の製造方法と適用方法 - Google Patents

弁座用耐摩耗材の製造方法と適用方法

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JPH1081902A
JPH1081902A JP23407996A JP23407996A JPH1081902A JP H1081902 A JPH1081902 A JP H1081902A JP 23407996 A JP23407996 A JP 23407996A JP 23407996 A JP23407996 A JP 23407996A JP H1081902 A JPH1081902 A JP H1081902A
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valve seat
wear
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iron
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Tokuichi Umemoto
篤一 梅本
Toshiyuki Honsaki
利幸 本咲
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Yanmar Co Ltd
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Yanmar Diesel Engine Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸化高温雰囲気にて使用される内燃機関用の
排気弁、或いは高出力化の要望されるディーゼル機関の
吸気弁におけるメンテナンスフリー化を、シリンダピス
トン構造を変更することなく、安価な材料を用いること
で、耐摩耗性及び高温下での耐熱性を向上させることに
より促進する。 【解決手段】 CaF2 を2%以下添加した鉄基焼結材
の基地に500℃〜560℃で30〜120分間の水蒸
気処理を施して、内部まで酸化鉄化させた耐摩耗材に
て、弁座1を形成し、弁フェイス部2aも含めて、弁2
は耐熱鋼であるSUH材にて形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガス機関の排気弁
やディーゼル機関の吸気弁用の弁座を形成する耐摩耗材
の製造方法、また、それにて弁座を形成する場合におけ
る適用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関の中でも、ガス機関の排気弁
は、酸化高温雰囲気にて使用されるものであって、材料
として、弁座には鉄基焼結材、排気弁には耐熱鋼のSU
H3やSUH36が一般に使用されている。高負荷(高
温)下においては、鉄基焼結材である弁座表面に酸化鉄
皮膜が形成され、その摩耗粉が、SUH材よりなる排気
弁に付着して、潤滑効果を奏するのである。しかし、鉄
基焼結材の表面に酸化鉄が形成されるのは、ある程度の
高温下においてであり、約200℃〜350℃の温度範
囲では、酸化鉄皮膜が形成されず、鉄基焼結材と耐熱鋼
との間で粘着現象が生じ、排気弁の耐摩耗性が劣化す
る。
【0003】そのため、約200℃〜350℃の低温下
でも耐摩耗性を保持できるよう、従来は、弁フェイスに
STL♯12盛金材を付設したり、或いは、特公平8−
26764号公報の如く、弁座用耐摩耗材の製造工程の
中で、鉄基焼結材をホワイトブロンズの溶湯中に浸漬
(銅溶浸)して封孔処理を施し、高温下でも溶融せず、
かつ、広範囲の温度下にて耐摩耗性及び潤滑性を有する
潤滑性物質を含む耐摩耗材を製造し、これにて弁座を形
成するようにしていた。
【0004】また、ディーゼル機関においては、従来、
吸気弁座を、耐摩耗材であるSTL♯6にて、吸気弁
を、STL♯12盛金材を付設した耐熱鋼(SUH3や
SUH36)にて形成している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】まず、ガス機関の中で
も、小型ガス機関は、ガスヒートポンプに採用されるケ
ースが主であり、この場合、電気式ヒートポンプに対抗
する上からも、低コスト化とメンテナンスフリー化の要
望が強い。特に、排気弁の寿命向上が、弁隙間(弁フェ
イスと弁座間)の調整作業の煩雑化と相まって、強く要
望されている。これに対応すべく、シリンダヘッドの構
造変更をすることなく、安価な材料選定のみで、排気弁
の寿命の向上を図ることが望まれる。
【0006】この点で、従来技術を鑑みると、まず、低
温下(約200℃〜350℃)での耐摩耗性を保持すべ
く、弁フェイスにSTL♯12盛金材を施す技術では、
この温度範囲でのSUH(SUH3、SUH36等)の
耐摩耗性よりはましという程度で、実は、酸化鉄は、S
TL♯12には付着しにくく、そのため、高温下におい
ては、弁座表面に形成される酸化鉄の摩耗粉が付着する
SUH材に比して、耐摩耗性は劣り、場合によっては、
異常摩耗を発生させることもある。次に、特公平8−2
6764号公報開示の銅溶浸のような封孔処理工程を経
て製造した耐摩耗材は、広範囲の温度下で耐摩耗性を有
する点で優れているがコスト高となる。他の鍛造や液相
焼結等の封孔処理を施すものも同様である。
【0007】そこで、予め、弁座を形成する鉄基焼結材
の基地の内部まで酸化鉄化させておけば、高温、低温に
関わらず、いくら摩耗しても、弁座の表面は酸化鉄とな
るので、この問題を解決でき、更に、弁座用の耐摩耗材
の製造工程では、特公平8−26764号公報開示の銅
溶浸(他に、鍛造、液相焼結等)のような封孔処理を不
要とするため、低コスト化も図ることができる。
【0008】一方、ディーゼル機関の吸気弁に関して
は、高出力化の要望の中で、着座衝撃の増大、弁座への
潤滑油供給量の不足が生じ、ガス機関の排気弁に見られ
るような強い耐摩耗性を要求されるようになっている。
その点で、ガス機関用排気弁における課題の解決手段を
用いれば、低コストで、広範囲の温度にて強い耐摩耗性
を有するディーゼル機関用吸気弁の弁座を提供できると
考えられる。
【0009】更に、このように、ガス機関の排気弁、或
いはディーゼル機関の吸気弁における弁座用材として、
低コストで、内部まで酸化鉄化した耐摩耗材を製造した
として、更に求められることは、高出力化や高速度化等
により、弁の摺動速度が増大するのに伴って、弁室温度
は一層高温となり、焼き付きも懸念される点で、従来よ
り更に一層の耐熱性も求められるのである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、以上のような
課題を解決すべく、次のような手段を用いるものであ
る。まず、酸化高温雰囲気にて使用される内燃機関用排
気弁の弁座を形成する耐摩耗材の製造方法において、鉄
基焼結材の基地に500℃〜560℃で30〜120分
間の水蒸気処理を施す。
【0011】また、鉄基焼結材の基地に500℃〜56
0℃で30〜120分間の水蒸気処理を施してなる弁座
用耐摩耗材にてディーゼル機関用吸気弁の弁座を形成す
る。
【0012】また、鉄基焼結材の基地に500℃〜56
0℃で30〜120分間の水蒸気処理を施してなる弁座
用摩耗材にて形成される弁座に対向させる弁のフェイス
部を耐熱鋼にて形成する。
【0013】また、酸化高温雰囲気にて使用される内燃
機関用排気弁の弁座用耐摩耗材となる鉄基焼結材の基地
に、500℃〜560℃で30〜120分間の水蒸気処
理を施し、かつCaF2 を2%以下添加する。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について、添
付の図面を基に説明する。図1は本発明の耐摩耗材Xの
適用に基づく弁座と弁フェイス部との部分側面断面図、
図2は従来の鉄基焼結材Yの適用に基づく弁座と弁フェ
イス部との部分側面断面図、図3は回転式摩擦試験の様
子を示す略図、図4は回転式摩擦試験の結果としての、
各雰囲気温度における球材と円板との摩耗和を示す図、
図5は一定条件下における機関運転の結果としての、各
弁材における弁沈み量を示す図、図6は本発明の水蒸気
処理を施した耐摩耗材X(図中〇で囲む)と、従来の鉄
基焼結材Y、及びそれ以外の処理を施した鉄基焼結材Y
1〜Y3との硬さと圧環強度を示す図、図7は掘削旋回
作業機(バックホー)の枢支部Pを示す側面図である。
【0015】まず、弁座用の耐摩耗材の製造方法である
が、鉄基焼結材の基地を、500℃〜560℃の水蒸気
にて30〜120分間処理する。これにより、基地の内
部まで酸化鉄化される。なお、内部まで高温水蒸気を浸
透させるため、焼結鍛造、液相焼結或いは銅溶浸等の封
孔処理は施さない。
【0016】更に、該鉄基焼結材には、2%以下のCa
2 を添加する。これは、高温下での焼付を回避するた
めのものである。
【0017】こうして、CaF2 を添加し、鉄基焼結材
の基地の内部まで酸化鉄化して形成した耐摩耗材Xによ
り、図1の如く、弁座1を形成する。これに対応させる
弁(吸気弁または排気弁)2の材料は、SUH3やSU
H36等のSUH材(耐熱鋼)にて形成し、図2に見ら
れるような、従来、弁座1に着座する弁2の弁フェイス
部2aに付設していたSTL♯12盛金材は、本実施例
では付設せず、従って弁フェイス部2aも、SUH材
(耐熱鋼材)となっている。つまり、耐摩耗材Xの弁座
1と、SUH材である弁フェイス部2aとが摩擦するこ
ととなる。
【0018】前記の水蒸気処理及びCaF2 の添加をし
ない従来の鉄基焼結材YとSUH材との摩擦に比して、
本発明の(前記の水蒸気処理をし、CaF2 を添加した
鉄基焼結材よりなる)耐摩耗材XとSUH材との摩擦で
は、摩耗度の上で、どのような効果があるか。これを、
図3及び図4を基に説明する。図3の如く、SUH材
(本実施例ではSUH3)よりなる円板4に、従来の鉄
基焼結材Yか、本発明の耐摩耗材Xかにてなる球材3
を、一定の力で押圧し、円板4を回転させて、球材3及
び円板4の両材の摩耗度を調べる回転式摩耗試験を行
う。図4の如く、横軸には雰囲気温度(℃)を、縦軸に
は両材の摩耗和(mm3 )を取り、球材3が、従来の鉄
基焼結材Yの場合と、本発明の鉄基焼結材Xの場合と
で、摩耗和を比較する。前者の場合の摩耗和のグラフを
B、後者の場合の摩耗和のグラフをAとする。
【0019】雰囲気温度が400℃付近の場合には、両
グラフA・Bとも摩耗和が低く、耐摩耗性が高いことが
判る。これは、雰囲気温度400℃の中では、水蒸気処
理をしていない鉄基焼結材Yでも、表面に酸化鉄膜が形
成されるためであり、SUH材に酸化鉄の摩耗粉が付着
することにより、潤滑性が向上し、耐摩耗性が向上する
からである。
【0020】しかし、雰囲気温度が400℃を下回るに
連れて、グラフAに関しては摩耗和が低く保持されてい
るのに対して、グラフBに関しては、摩耗和が増大す
る。従来の鉄基焼結材Yでは、このように雰囲気温度が
低くなるにつれ、表面に酸化鉄が形成されにくくなり、
従って、SUH材への酸化鉄の摩耗粉の付着度も低減す
るため、摩耗度が増大するのであるが、対して、本発明
の耐摩耗材Xの場合、雰囲気温度に関わらず、予め内部
まで酸化鉄化されているため、例えある程度摩耗して
も、なおも表面は酸化鉄の状態のままであり、SUH材
に対する酸化鉄の摩耗粉の付着度は変わらない。従っ
て、耐摩耗性が保持されるのである。このように、SU
H材との摩擦において、本発明の耐摩耗材Xは、従来の
水蒸気処理をしない鉄基焼結材Yに比して、低温雰囲気
での耐摩耗性が優れていることが判る。
【0021】一方、雰囲気温度が500℃を上回るに連
れ、グラフBは上昇し、グラフAは低く保持されている
ことが判る。SUH材は耐熱鋼材であるが、従来の鉄基
焼結材Yでは、高温負荷により、600℃で焼付が生じ
てしまうのである。対して、本発明の耐摩耗材Xは、前
記のCaF2 の添加により、雰囲気温度が400℃〜6
00℃の高温下でも焼付が生じず、このように、耐摩耗
性が保持されるのである。
【0022】図4図示の結果にて判るように、本発明の
耐摩耗材Xにて弁座1を形成し、SUH(SUH3)に
て弁2(弁フェイス部2aも含めて)を形成すれば、低
温域から高温域までの広い範囲の雰囲気温度にて、弁座
1と弁2との摩耗和を低く保持できる、即ち高い耐摩耗
性を保持できるのである。
【0023】更に、図2のように、従来の鉄基焼結材Y
にて弁座1を形成し、SUH材よりなる弁2の弁フェイ
ス部2aにSTL♯12盛金材を付設した場合に比し
て、図1の如く、本発明の耐摩耗材Xにて弁座1を形成
し、弁2は弁フェイス部2aも含めて全てSUH材にて
形成した場合は、耐摩耗性において効果があるのか。こ
れについて、まず、図4のグラフAとCとの比較により
検討する。グラフCは、従来の鉄基焼結材Yよりなる球
材3を、SUH3よりなる円板4に押圧して、回転式摩
擦実験を行った場合の摩耗和のグラフであって、雰囲気
温度が500℃以下の広い温度範囲にわたって、摩耗和
が低く、即ち、耐摩耗性が保持されていることが判る。
ここで、ガス機関等、実際の機関運転にて形成される雰
囲気温度は200℃〜400℃となっており、この範囲
においては、グラフAの摩耗和の値の方が、グラフCの
それよりも少ない。従って、本発明の耐摩耗材XとSU
H3との間の耐摩耗性の方が、従来の鉄基焼結材YとS
TL♯12との間の耐摩耗性よりも若干高い。
【0024】ところが、実際に従来の鉄基焼結材Yにて
弁座1を形成し、弁フェイス部2aをSTL♯12とす
る弁2を形成して、機関運転を行ってみると、従来の鉄
基焼結材Yを弁座1とし、弁フェイス部2aも含めてS
UH3にて弁2を形成した場合に比べて、摩耗度は非常
に高くなる。これについて、図5にて説明する。摩耗度
の指標として、100時間の機関運転の結果における、
着座時の弁座1と弁フェイス部2aとの間隔を、弁沈み
量(mm/100hr)とし、弁フェイス部2aがSU
H3の場合の弁沈み量のグラフをE、弁フェイス部2a
がSTL♯12の場合のそれをFとすると、グラフFが
グラフEに比してかなり高くなっていることが判る。な
お、この時の弁室内雰囲気温度は約500℃以上あり、
従来の鉄基焼結材Y表面に酸化鉄皮膜が形成される温度
である。
【0025】STL♯12は、カーボンが付着すること
で潤滑性を発揮するのであるが、低温度においては排気
中に相当量のカーボンが存在していても、高温度になる
とカーボン量が低減する。更に、ガス機関では、もとも
と排気中のカーボン量が少ない。一方、高温度では、前
記の如く鉄基焼結材Y表面に酸化鉄皮膜が形成されるも
のの、STL♯12は酸化鉄の摩耗粉が付着しにくい材
質である上、弁は摺動するために、摩耗粉が脱落しやす
い。そのため、実際にガス機関用排気弁に適用すべく、
弁座を鉄基焼結材Yとし弁フェイス部2aをSTL♯1
2として、ガス機関を運転した場合に、STL♯12に
は、時折異常摩耗が生じ、グラフFの如く、摩耗度が顕
著に高く見られるのである。前記の図3による回転式摩
擦実験では、球材3が常に円板4に押圧された状態なの
で、球材3と円板4との間の摩耗粉も脱落しにくく、グ
ラフCのように、さほど顕著に摩耗が見られなかったの
である。
【0026】このように、雰囲気温度が高温となるガス
機関の排気弁に図2の弁・弁座構成を適用すると、弁座
1を鉄基焼結材Y、弁フェイス部2aも含めて弁2全部
をSUH材(SUH3)にて形成した場合よりも摩耗が
進行することが判る。
【0027】そして、このような雰囲気温度が高い状態
において、実際のガス機関の排気弁にて、弁2は弁フェ
イス部2aも含めてSUH材にて形成し、弁座1を、従
来の鉄基焼結材Yにて形成した場合と、図1の如く、本
発明の耐摩耗材Xにて形成した場合とで、機関運転を行
った結果を比較してみる。図5において、グラフDは弁
座1を耐摩耗材Xにて形成した場合のものであり、グラ
フEと比較して、弁沈み量が小さい、即ち、摩耗度が低
いことが判る。
【0028】このように、ガス機関の排気弁において、
図1の如く、本発明の耐摩耗材Xにて弁座1を形成し、
弁フェイス部2aも含めて、SUH材(SUH3等)に
て弁2を形成して、実際に機関運転を行ってみると、弁
座1を従来の鉄基焼結材Y、弁2全部をSUH材とした
場合に対しても、また、弁座1を鉄基焼結材Y、弁2の
弁フェイス部2aはSTL♯12盛金材とした場合に対
しても、耐摩耗性が優れていることが判る。
【0029】なお、従来の鉄基焼結材Yに比して、内部
まで酸化鉄化した本発明の耐摩耗材Xは、硬度や圧環強
度においてどうか。図6より判るように、本発明の耐摩
耗材X(図中〇で囲む。)は、硬度及び圧環強度の面
で、鉄基焼結材Yに比して遜色がないことが判る。従っ
て、内燃機関の弁座として充分に適用可能である。
【0030】なお、硬度及び圧環強度におけるその他の
処理効果を見てみる。耐摩耗処理として、Y1は、鉄基
焼結材に酸化鉄(Fe3 4 )を混入し、Y2は、その
上に銅溶浸処理を施したものである。Y1では、CO2
生成のためと思われるポーラス化が生じ、強度が出ず、
Y2も、Y1よりは強度はあるが、目標下限値には射た
らない。Y3は、鉄基焼結材を(酸化鉄を混入せずに)
銅溶浸処理したものであり、硬度及び圧環強度の面で
は、これが最高の効果を示すが、従来技術で述べたよう
に、コスト高を伴う。このような様々な処理方法と比較
する中でも、鉄基焼結材を水蒸気処理したXが、硬度及
び圧環強度の面で申し分ないことが判る。
【0031】次に、本発明の耐摩耗材Xの適用例を説明
する。まず、耐摩耗材Xを弁座1、SUH材を弁2(弁
フェイス部2aを含む)として、これを、例えば酸化高
温雰囲気となるガス機関の排気弁に適用する。或いは、
昨今、ディーゼル機関の高出力化、高速化が要望される
につれ、ディーゼル機関の吸気弁においても、ガス機関
の排気弁と同様の条件が求められるため、これを適用す
る。
【0032】以上のような弁・弁座では、弁が摺動する
ことによる叩き摩擦が発生する点で弁座を耐摩擦材Xと
し、弁をSUH材とする適用例が有効であるが、同様の
効果を発揮できる点で、例えば、掘削旋回作業機(バッ
クホー)の枢支部分に適用することが考えられる。掘削
旋回作業機には、図7にて示すように、多くの枢支部P
・P・・・があり、これらの枢支部Pにおいては、ボス
内にブッシュを内装して、その中にピンを遊嵌する構造
となっていて、ピンは重量物の回動軸となり、また、回
動操作も頻繁に行われる点で、ブッシュとの摩擦負荷は
非常に高いものとなっている。
【0033】従来は、ブッシュに浸炭材を使用し、ピン
は、引張応力がかかりやすい点から高周波焼入れ材を使
用することが多い。この場合、各枢支部に対するグリス
注油は頻繁に行わなければならず、これに対して、メン
テナンスフリー化を要望する声が高かった。
【0034】そこで、グリス注油の頻度を落としても耐
久性を現状程度維持でき、かつ、安価な材料を導入する
上で、ブッシュ・ピンのいずれかに耐摩擦材Xを使用す
るのが有効となる。焼結材である耐摩擦材Xは、引張応
力には脆いので、ブッシュとして用いる。対して、ピン
は、引張応力に強い高周波焼入れ材、浸炭焼入れ材、ま
たは調質した炭素鋼を用いるのである。
【0035】
【発明の効果】本発明は、以上のような弁座用耐摩擦材
の製造方法及び適用方法としたので、次のような効果を
奏する。まず、請求項1記載の如き耐摩擦材の製造方法
としたので、高温水蒸気処理にて内部まで酸化鉄化され
た耐摩擦材が製造され、雰囲気温度が低温か高温かに関
わらず、摩擦表面は常に酸化鉄となっており、請求項3
の適用方法と相まって、耐熱鋼(SUH材)の弁フェイ
ス部との摩擦にて、常に酸化鉄の摩擦粉が弁フェイス部
表面に付着して、雰囲気温度が高温であっても低温であ
っても、潤滑性が保持され、耐摩擦性が向上するのであ
る。
【0036】また、こうした耐摩擦材は、通常、請求項
1の如く、酸化高温雰囲気である内燃機関(例えばガス
機関)の排気弁の弁座に適用されるが、近年のディーゼ
ル機関の高出力化に鑑み、請求項2の如く、ディーゼル
機関の吸気弁に適用しても、同様に耐摩擦性の高い吸気
弁構造を現出できる。
【0037】そして、ガス機関等の内燃機関の排気弁に
適用する場合にも、ディーゼル機関の吸気弁に適用する
場合にも、耐摩耗材にて形成する弁座に対して、請求項
3の如く、弁フェイス部を耐熱鋼(SUH材)にて形成
することにより、弁座の摩耗にて発生する酸化鉄の摩耗
粉が、該弁フェイス部に付着しやすく、潤滑性が保持さ
れ、耐摩擦性が向上するのである。
【0038】更に、請求項4の如く弁座用耐摩耗材を製
造することによって、高温下での焼付が回避され、高出
力や高速運転用の内燃機関における排気弁或いは吸気弁
の弁座にも適用することができる。
【0039】以上のことから、高出力、高速度運転の内
燃機関における吸気弁、排気弁のメンテナンスフリー化
を、安価な材料で、シリンダピストンの構造を変えるこ
ともなく、実現することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐摩耗材Xの適用に基づく弁座と弁フ
ェイス部との部分側面断面図である。
【図2】従来の鉄基焼結材Yの適用に基づく弁座と弁フ
ェイス部との部分側面断面図である。
【図3】回転式摩擦試験の様子を示す略図である。
【図4】回転式摩擦試験の結果としての、各雰囲気温度
における球材と円板との摩耗和を示す図である。
【図5】一定条件下における機関運転の結果としての、
各弁材における弁沈み量を示す図である。
【図6】本発明の水蒸気処理を施した耐摩耗材X(図中
〇で囲む)と、従来の鉄基焼結材Y、及びそれ以外の処
理を施した鉄基焼結材Y1〜Y3との硬さと圧環強度を
示す図である。
【図7】掘削旋回作業機(バックホー)の枢支部Pを示
す側面図である。
【符号の説明】
1 弁座 2 弁 2a 弁フェイス部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化高温雰囲気にて使用される内燃機関
    用排気弁の弁座を形成する耐摩耗材の製造方法におい
    て、鉄基焼結材の基地に500℃〜560℃で30〜1
    20分間の水蒸気処理を施すことを特徴とする弁座用耐
    摩耗材の製造方法。
  2. 【請求項2】 鉄基焼結材の基地に500℃〜560℃
    で30〜120分間の水蒸気処理を施してなる弁座用耐
    摩耗材にて、ディーゼル機関用吸気弁の弁座を形成する
    ことを特徴とする弁座用耐摩耗材の適用方法。
  3. 【請求項3】 鉄基焼結材の基地に500℃〜560℃
    で30〜120分間の水蒸気処理を施してなる弁座用耐
    摩耗材にて形成する弁座に対向させる弁のフェイス部
    を、耐熱鋼にて形成することを特徴とする弁座用耐摩耗
    材の適用方法。
  4. 【請求項4】 酸化高温雰囲気にて使用される内燃機関
    用排気弁の弁座用耐摩耗材となる鉄基焼結材の基地に、
    500℃〜560℃で30〜120分間の水蒸気処理を
    施し、かつCaF2 を2%以下添加することを特徴とす
    る弁座用耐摩耗材の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPWO2008146432A1 (ja) * 2007-05-28 2010-08-19 三菱電機株式会社 弁装置
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