JPH1081590A - 炭素同位体を適当な原子数比率で含むダイヤモンド及びその製造方法 - Google Patents

炭素同位体を適当な原子数比率で含むダイヤモンド及びその製造方法

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JPH1081590A
JPH1081590A JP23522796A JP23522796A JPH1081590A JP H1081590 A JPH1081590 A JP H1081590A JP 23522796 A JP23522796 A JP 23522796A JP 23522796 A JP23522796 A JP 23522796A JP H1081590 A JPH1081590 A JP H1081590A
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carbon
less
nitrogen
pressure
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JP23522796A
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Naohiro Toda
直大 戸田
Hitoshi Sumiya
均 角谷
Shuichi Sato
周一 佐藤
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 12C同位体比率を特定の範囲に限定された新
規な光学的特性を有するダイヤモンドを提供することを
目的とするものである。 【解決手段】 炭素同位体12Cを、 0.05≦12C/(全炭素原子)≦0.95 の原子数比率で含み、窒素及び/又はほう素不純物の含
有量が5ppm以下であり、かつ波長4μmから6μm
の範囲で、最大吸収率が90%以下であることを特徴と
するダイヤモンド。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【従来の技術】ダイヤモンドは紫外から赤外までの広い
波長領域に対して吸収が少ないため、窓材などの光学部
品に利用されている。また、ダイヤモンドは化学的にも
安定性が高いため、耐環境材料としても知られている。
このため、条件の厳しい極限状態における光学用部品と
して、最近利用が進みつつある。ただ、ダイヤモンドで
も、幾つかの吸収帯が知られている。例えば、通常Ib型
と呼ばれる黄色い工業用ダイヤモンドでは、窒素が含ま
れているために、窒素と炭素の相互作用による光吸収帯
が波長で8μm付近に存在する。一方、IIa 型と呼ばれ
る高純度ダイヤモンドには窒素が含まれていないため、
窒素に関連した光吸収はない。このため、光学部品とし
ては、IIa 型を用いることが好ましい。しかし、IIa 型
でもダイヤモンドのフォノンによる吸収が5μm付近に
あり、その吸収率は最大で95%近くにも達する。この
ため、特にこの5μm付近の波長の光を透過させる窓と
しては非常に使いにくいという問題がある。また、一般
にIIa 型は熱伝導率が非常に高い。これは窒素などの不
純物による散乱がないためであり、IIa 型の特徴の一つ
である。このため、IIa 型ダイヤモンドは放熱板など、
高熱伝導率が要求される用途に用いられており、更に熱
伝導率を高くすることが試みられている。例えば特開平
4−108532号公報によれば、12Cまたは13Cの純
度99.2%以上のダイヤモンドを高温高圧で合成する
方法が報告されている。しかしながら、逆にこの高熱伝
導性のために、レーザー等の熱による加工が難しいとい
う問題があった。
【0002】ダイヤモンドを構成する炭素には、幾つか
の同位体が知られている。そのなかで安定な核種は12
および13Cである。自然に存在する原子数比率(12Cが
約98.9%)以外の同位体比率によるダイヤモンド合
成に関しては幾つかの先行例がある。例えば、特開平4
−108532号公報および特開平4−270193号
公報によれば、12Cまたは13Cの純度99.2%以上の
ダイヤモンドをそれぞれ高温高圧法又は気相法で合成す
る方法が報告されている。また、特開平5−11708
5号公報によれば、ダイヤモンドや炭化珪素などの上に
12Cからなるダイヤモンド層を気相から成長させること
により、優れた熱伝導度を有する複合材料を造る方法が
報告されている。ただし、いずれも炭素の純度が自然に
存在する原子数比率よりも高い。
【0003】また13Cを少なくとも約1重量%含有する
ダイヤモンドのコアと、このダイヤモンドコア中に含ま
れる13Cより少なくとも1重量%少ない13Cを含有する
該コア上のエピタキシャルダイヤモンドコーティングと
からなるダイヤモンド製品が提案され、ここにはダイヤ
モンドの格子定数は同位体組成の関数であることが開示
されている(特開平5−194090号公報)。更に13
Cが濃縮されたダイヤモンドほど(即ち、好適には約5
重量%以上の13C含有量、更に好適には約10重量%以
上の13C含有量)、格子定数が減少し、硬度が増加し改
良されたダイヤモンドアンビルが製造されることが提案
されている(特開平5−200270号公報)。しか
し、これらの提案では、同位体の純度以上の認識はされ
ておらず、他の不純度物との関係について明らかにされ
た報告はない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はダイヤモンド
の特性が炭素の同位体比率に応じて変化することに着目
し、自然界に存在する同位体比率よりも同位体純度の低
いダイヤモンドについては、その赤外領域(5μm域)
での炭素による最大吸収率が90%と通常の95%より
も下がることを見出し本発明に到達したものである。す
なわち、本発明は、上記新規な知見に基づき、12C同位
体比率を特定の範囲に限定された新規な光学的特性を有
するダイヤモンドを提供することを目的とするものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】以下に本発明によって特
定される事項を要約して示す。 (1)炭素同位体12Cを、 0.05≦12C/(全炭素原子)≦0.95 の原子数比率で含み、窒素及び/又はほう素不純物の含
有量が5ppm以下であり、かつ波長4μmから6μm
の範囲で、最大吸収率が90%以下であることを特徴と
するダイヤモンド。 (2)目的とする組成を有する炭素原料を用い、温度差
法によりダイヤモンドの熱力学的に安定な温度圧力領域
でダイヤモンドを合成することを特徴とする上記(1)
に記載のダイヤモンドの製造方法。 (3)炭素同位体12Cを、 0.05≦12C/(全炭素原子)≦0.95 の原子数比率で含む炭素材料を2000℃以上3000
℃以下で加熱処理した後、膜成長法により直径500μ
m以下のダイヤモンド粒子を製造し、これを原料として
用いることを特徴とする上記(2)に記載のダイヤモン
ドの製造方法。
【0006】(4)ダイヤモンド合成の温度が1000
℃以上1800℃以下であり、かつ圧力が4GPa以上
8GPa以下であることを特徴とする上記(2)又は
(3)に記載のダイヤモンドの製造方法。 (5)窒素ゲッターとしてTi、Al、Cu、Zr及び
Hfからなる群から選択される少なくとも一種類以上含
むことを特徴とする上記(2)〜(4)のいずれかに記
載のダイヤモンドの製造方法。 (6)炭素同位体12Cを、 0.05≦12C/(全炭素原子)≦0.95 の原子数比率で含む炭素含有ガスを原料として、当該ガ
スの分解を伴う方法により合成することを特徴とする上
記(2)〜(5)のいずれかに記載のダイヤモンドの製
造方法。
【0007】(7)CH4 、CO2 及びCOの中から選
ばれる少なくとも一種類を含む炭素含有ガスを利用する
ことを特徴とする上記(6)に記載のダイヤモンドの製
造方法。 (8)上記(1)に記載のダイヤモンドを用いた赤外線
透過光学部品 (9)上記(8)に記載の赤外線透過光学部品を用いた
測定装置。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明者らは、自然に存在する同
位体比率よりも純度の低いダイヤモンドを合成し、その
5μm域での炭素による最大吸収率が90%と通常の9
5%よりも下がることを見出した。その混在比率は12
が5%以上95%以下で効果が見られる。5%未満では
混在させた効果が小さく、最大吸収率は通常のダイヤモ
ンドと同等となり、95%を超えると99.1%までは
天然品に近づき最大吸収率が増加する。ダイヤモンド
中、12C以外の炭素については、同位体10C、11C、13
C、14C、15Cなどが考えられるが、安定性などから、
実際上は13Cとなる。以下、12Cと13Cを混在させたダ
イヤモンドに特定する。自然に存在する同位体比率より
も低い炭素純度のダイヤモンドの5μm域での炭素によ
る最大吸収率が95%よりも下がる原因については明ら
かではない。12Cおよび13Cで純度の高いダイヤモンド
では炭素による最大吸収率はほぼ同じである。ただし、
吸収率が最大となる波長が両者では異なり、その差は約
100cm-1程度になる。12Cと13Cを混在させること
で、各々単独元素による最大吸収率か緩和されるのでは
ないかと考えられる。
【0009】一般にダイヤモンドに含まれる不純物には
窒素やほう素が知られており、これら不純物があると、
不純物同士あるいは不純物と炭素原子の相互作用による
吸収が現れる。このため不純物は出来るだけ少ない方が
よい。窒素やほう素といった不純物が夫々5ppm以
下、好ましくは1ppm以下であれば、特に上記特定さ
れた同位体純度との組合せにおいて赤外領域での最大吸
収率を効率的に90%以下とすることができる。また結
晶中の種々の欠陥も光の透過率が小さくなることが知ら
れている。これは欠陥により光が散乱されるためであ
る。このため、ダイヤモンドが単結晶であることが好ま
しい。しかし、結晶面内で配向性が良く、散乱の効果が
十分小さければ、多結晶体でもかまわない。得られたダ
イヤモンドの用途としては、分光結晶他、幾つか挙げら
れる。中でも、赤外線帯における最大吸収率が低下する
ことから、特に赤外透過窓として用いることができ、ま
たこの赤外透過窓を用いた測定装置としても用いられ
る。具体的にはフーリエ変換赤外吸収スペクトル測定装
置や赤外線レーザの窓材が挙げられる。
【0010】このダイヤモンドを実際に合成するために
は、幾つかの方法が考えられるが、特に以下に示すよう
な手段を用いることが好ましい。1.熱力学的にダイヤモンドが安定な温度圧力領域での
合成 炭素と、合成に必要な溶媒から、熱力学的にダイヤモン
ドが安定となる温度圧力領域において合成する。種々の
原子比率の12Cおよび13Cを原料とする場合、通常黒鉛
または無定型炭素、或いはそれらの混合物が用いられ
る。これらの炭素は、通常吸着分子などの不純物を多く
含む。これらの不純物はダイヤモンドの合成を妨げるこ
とが多い。また黒鉛や無定型炭素は合成初期に極微細な
ダイヤモンドに変換されるが、そのとき体積収縮を起こ
す。このため反応容器中で圧力の低下を生じ、合成中に
ダイヤモンドが安定に合成できる圧力領域から外れてし
まうことがある。上記問題を避けるために、特に以下の
方法を採用することが好ましい。すなわち、原料の12
および13Cを共に2000℃以上3000℃以下で加熱
処理し、不純物を除去する。その後、膜成長法と呼ばれ
る方法で炭素を一旦ダイヤモンドの微粉末に変換する。
この変換されたダイヤモンドを新たに炭素源としてダイ
ヤモンドを合成する。これらの方法を用いることによ
り、再現性良くダイヤモンドを合成することが出来る。
この場合、0.05≦12C/(全炭素原子)≦0.95
を満たす所定の配合割合に混合した原料、例えば、12
13C=5:95(12C比率0.05),50:50(
12C比率0.50),95:5(12C比率0.95) 合成に必要な温度は1000℃以上1800℃以下であ
る。1000℃未満ではダイヤモンドが安定であって
も、析出速度が遅すぎ、実用的ではない。また1800
℃を越えると溶媒や合成部材の流動が大きくなり、高圧
を長時間保持するのが難しくなる上、圧力を発生する装
置が非常に大がかりとなり、コストの面で実用的ではな
い。圧力に関しては、温度や原料の炭素の状態にもよる
が、4GPa以上8GPa以下であることが好ましい。
4GPa未満では析出速度が遅すぎ、実用的ではない。
また8GPaを越える高圧を長時間安定に発生する装置
は非常に大がかりとなり、コストの面で実用的ではな
い。
【0011】光学特性に影響を及ぼす窒素を除去するに
は、窒素のゲッターと成りうる元素を溶媒中に添加す
る。具体的にはTi、Al、Cu、Zr、Hfなどが挙
げられる。これらは単体で添加しても、また2種類以上
を組み合わせて用いてもよい。またほう素を除去するに
は、一般的には高純度化処理した黒鉛又は高純度炭素を
用いて作られたダイヤモンドを原料として用いることに
よって行う。こうして、窒素及び/又はほう素は5pp
m以下、好ましくは1ppm以下とするが、特に1pp
m以下とする。
【0012】炭素含有ガスを分解して合成する方法 炭素を含有するガスを熱やプラズマを用いて分解するこ
とにより合成する。通常、水素ガスまたは水素を含有す
る分子を添加して用いることが多い。12Cと13Cの存在
比率は、合成時の炭素源となりうる炭素含有ガスの原子
数比率を変えることにより容易に得られる。上記炭素含
有ガスとしては、CH4 (メタン)またはCO2 (二酸
化炭素)、CO(一酸化炭素)のうち、少なくとも一種
類を用いることが好ましい。これらの炭素含有ガスは安
価に得られ、かつ分解もしやすいため、ダイヤモンドの
合成材料としても最も適している。また、12Cと13Cの
原子比率を目的の比率にすることが非常に容易である。
【0013】
【実施例】以下に本発明を下記実施例により、更に詳細
に説明するが、本発明を限定する意図するものではな
い。実施例1 高圧合成法によりダイヤモンドを合成した。合成に用い
た試料室構成(温度差法)を図1に示す。炭素源1は以
下の方法で作製した。まず、原料は純度99.9%の12
C粉と99%の13C粉である。それぞれの原料から、12
C:13Cの原子数比率で (1)5:95 (2)20:80 (3)50:50 (4)75:20 (5)95:5 と成るようにそれぞれ混合し、十分攪拌した後に加圧成
形することにより、炭素源1を得た。溶媒金属2には、
高純度のFeおよびCoをFe60%、Co40%の原
子数比率で合金化し、種結晶溶解防止のため、炭素を約
4重量%添加した。なお、この時添加した炭素も、炭素
源と同じ原子数比率であらかじめ12Cと13Cを混合した
ものを用いた。さらに窒素ゲッターとしてTiを1.5
重量%添加した。種結晶3には膜成長法により合成され
た砥粒(500μm以下)を用いた。炭素源1と種結晶
部3に約30度の温度差が付くように、加熱用黒鉛ヒー
タ5内にセットし、超高圧発生装置を用いて5.5GP
a、温度1300℃で70時間保持して種結晶上にダイ
ヤモンドを育成した。その結果、約1カラットの無色透
明な、内包物のほとんどない良質なIIa 型ダイヤモンド
結晶が得られた。得られた試料の一部を質量分析するこ
とにより、ほぼ炭素源と同じ炭素同位体比率のダイヤモ
ンドが得られたことを確認した。SIMSで結晶中のホ
ウ素量を、またESRで結晶中の窒素量を測定した結果
ともに、0.1ppm以下であった。得られた結晶を厚
さ1mmにスライス加工し、赤外吸収スペクトル及び紫
外可視吸収スペクトルを測定したところ、窒素及びホウ
素などの不純物による吸収は見られず、また炭素自体に
よる波長5μm付近の最大吸収率はいずれも90%以下
であった。
【0014】実施例2 炭素源1として、膜成長法により高圧合成した500μ
m以下のダイヤモンド粒子を用いた。このダイヤモンド
粒子は、以下のようにして合成した。まず、12Cと13
を50:50の原子数比率で混ぜたものを、 (1)2000℃ (2)2500℃ (3)3000℃ でそれぞれ真空中で1時間加熱処理を行った。続いてこ
の炭素をFeおよびCo(Fe:Co=60:40重量
%)粉末を混合し、加圧成形した後に5.5GPa、1
300℃で20分保持することにより、ダイヤモンド粒
子を合成した。このダイヤモンド粒子を炭素源として、
他は実施例1と同じ方法により12C:13C=50:50
のダイヤモンドを合成した。得られた試料の一部を質量
分析することにより、ほぼ炭素源と同じ炭素同位体比率
12C:13C=50:50のダイヤモンドが得られたこと
を確認した。また得られた結晶を厚さ1mmにスライス
加工し、赤外吸収スペクトルを測定したところ、窒素な
どの不純物による吸収は見られず、また炭素自体による
波長5μm付近の最大吸収率はやはり90%以下であっ
た。窒素及びホウ素の含有量は実施例1と同様であっ
た。
【0015】実施例3 炭素源1として、膜成長法により高圧合成した500μ
m以下のダイヤモンド粒子と加熱処理を行った炭素粉の
混合物を用いた。最初のダイヤモンド粒子は実施例2と
同様の方法により、3000℃で加熱処理した炭素粉を
用いて12C:13C=80:20のものを得た。またこれ
とは別個に、12C:13C=80:20の原子数比率で混
ぜた炭素粉を3000℃で真空中で1時間加熱処理を行
った。続いてこの炭素粉とダイヤモンドを重量比で1:
2の原子数比率で混合し、加圧成形した。これを炭素源
として、実施例1と同様の方法でダイヤモンド合成を行
った。得られた試料の一部を質量分析することにより、
ほぼ炭素源と同じ炭素同位体原子数比率12C:13C=5
0:50のダイヤモンドが得られたことを確認した。ま
た得られた結晶を厚さ1mmにスライス加工し、赤外吸
収スペクトルを測定したところ、窒素などの不純物によ
る吸収は見られず、また炭素自体による波長5μm付近
の最大吸収率はやはり90%以下であった。窒素及びホ
ウ素の含有量は実施例1と同様であった。
【0016】実施例4 気相合成方法によりダイヤモンドの合成を行った。炭素
源としては、CH4 を用い、合成に投入するガスの原子
数比率を流量で調整した。あらかじめ10-3Torr以
下に真空引きした反応容器中に、1%12CH4 /H2
1%13CH4 /H2 ガスをそれぞれ160sccm、4
0sccm流した。ガスの分解手段としては熱フィラメ
ント法を用いた。フィラメントにはタングステン線を用
い、これをガス中で2200℃まで加熱して用いた。基
板にはSiを用い、裏面を水冷する事で基板表面を95
0℃に保った。この状態で10時間保持したところ、厚
さ20μm程度の膜がSi上に形成された。得られたS
i上のダイヤモンド膜を酸処理して、ダイヤモンドの自
立膜を得た。この膜がダイヤモンドで出来ていることを
ラマン分光法で確認すると共に、電子線回折などから、
この膜が多結晶体であることを確認した。得られた試料
は、その一部を質量分析することにより、12C:13C=
80:20であることを確認した。また得られた結晶を
厚さ1mmにスライス加工し、赤外吸収スペクトルを測
定したところ、窒素などの不純物による吸収は見られ
ず、また炭素自体による波長5μm付近の最大吸収率は
やはり90%以下であった。窒素及びホウ素の含有量は
実施例1と同様であった。
【0017】実施例5 気相合成法によりダイヤモンドの合成を行った。炭素源
としては、CH4 とCO2 を用い、合成に投入するガス
の原子数比率を流量で調整した。あらかじめ10-3To
rr以下に真空引きした反応容器中に、12C:13C=5
0:50と成るように、1%13CH4 /H2 ガスと1%
13CO2 /H2 ガスをそれぞれ100sccm、100
sccm流した。ガスの分解手段としてはマイクロ波プ
ラズマ法を用い、その他は実施例4と同じ方法により、
ダイヤモンドの膜を得た。この膜がダイヤモンドで出来
ていることをラマン分光法で確認すると共に、電子線多
回折などから、この膜が多結晶体であることを確認し
た。得られた試料は、その一部を質量分析することによ
り、原料ガス中の炭素同位体比と同じく12C:13C=5
0:50であることを確認した。また得られた結晶を厚
さ1mmにスライス加工し、赤外吸収スペクトルを特定
したところ、窒素などの不純物による吸収は見られず、
また炭素自体による波長5μm付近の最大吸収率はやは
り90%以下であった。窒素及びホウ素の含有量は実施
例1と同様であった。
【0018】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明によるダ
イヤモンドは、波長5μm付近の光学的吸収率が90%
以下、と従来のダイヤモンドに比べて吸収が少なく、真
空紫外領域から赤外領域までの広い波長領域で利用可能
な窓材などに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は温度差法によるダイヤモンド単結晶合成
用の試料室構成を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1:炭素源 2:溶媒金属 3:種結晶 4:絶縁体 5:黒鉛ヒーター 6:圧力溶媒

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素同位体12Cを、 0.05≦12C/(全炭素原子)≦0.95 の原子数比率で含み、窒素及び/又はほう素不純物の含
    有量が5ppm以下であり、かつ波長4μmから6μm
    の範囲で、最大吸収率が90%以下であることを特徴と
    するダイヤモンド。
  2. 【請求項2】 目的とする組成を有する炭素原料を用
    い、温度差法によりダイヤモンドの熱力学的に安定な温
    度圧力領域でダイヤモンドを合成することを特徴とする
    請求項1に記載のダイヤモンドの製造方法。
  3. 【請求項3】 炭素同位体12Cを、 0.05≦12C/(全炭素原子)≦0.95 の原子数比率で含む炭素材料を2000℃以上3000
    ℃以下で加熱処理した後、膜成長法により直径500μ
    m以下のダイヤモンド粒子を製造し、これを原料として
    用いることを特徴とする請求項2に記載のダイヤモンド
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 ダイヤモンド合成の温度が1000℃以
    上1800℃以下であり、かつ圧力が4GPa以上8G
    Pa以下であることを特徴とする請求項2又は3に記載
    のダイヤモンドの製造方法。
  5. 【請求項5】 窒素ゲッターとしてTi、Al、Cu、
    Zr及びHfからなる群から選択される少なくとも一種
    類以上含むことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに
    記載のダイヤモンドの製造方法。
  6. 【請求項6】 炭素同位体12Cを、 0.05≦12C/(全炭素原子)≦0.95 の原子数比率で含む炭素含有ガスを原料として、当該ガ
    スの分解を伴う方法により合成することを特徴とする請
    求項2〜5のいずれかに記載のダイヤモンドの製造方
    法。
  7. 【請求項7】 CH4 、CO2 及びCOの中から選ばれ
    る少なくとも一種類を含む炭素含有ガスを利用すること
    を特徴とする請求項6に記載のダイヤモンドの製造方
    法。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載のダイヤモンドを用いた
    赤外線透過光学部品。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の赤外線透過光学部品を
    用いた測定装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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