JPH107861A - 難燃性塩化ビニル系樹脂組成物 - Google Patents

難燃性塩化ビニル系樹脂組成物

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JPH107861A
JPH107861A JP16217696A JP16217696A JPH107861A JP H107861 A JPH107861 A JP H107861A JP 16217696 A JP16217696 A JP 16217696A JP 16217696 A JP16217696 A JP 16217696A JP H107861 A JPH107861 A JP H107861A
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polymer
vinyl chloride
mol
chain
copolymer
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JP16217696A
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English (en)
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Satoru Motomura
了 本村
Tomiya Sugiura
富弥 杉浦
Hideki Nakagawa
秀樹 中川
Shigeyuki Ozawa
茂幸 小沢
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】強度物性、成形性に優れ、かつ高温時に優れた
変形抑制効果を有し、形状を保持した強固な残渣を生成
しうる難燃性塩化ビニル系樹脂組成物を提供する。 【解決手段】塩化ビニル系重合体、塩化ビニル系重合体
と非混和性である重合連鎖と塩化ビニル系重合体と混和
性である重合連鎖とを有する共重合体、無機繊維、およ
び融点〜軟化点が800℃未満の無機物を含む難燃性塩
化ビニル系樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は強度物性、成形性に
優れ、かつ高温時に優れた変形抑制効果を有し、形状を
保持した強固な残渣を生成しうる難燃性塩化ビニル系樹
脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】樹脂系材料は成形性が優れるため、種々
の形状の成形物を得るための材料として広く使用されて
いる。しかし、一般に樹脂系材料の多くは易燃性であ
り、火災時等の高温下では炭化したり消失して成形物の
形状は保持できない。また、樹脂系材料自体が難燃性で
あっても、特に熱可塑性の樹脂は融点以上または軟化点
以上の温度で流動性を有するため、高温下ではその成形
物は著しい変形を生じやすい。このように、樹脂系材料
は防火性に劣るため建築分野の用途には使用範囲が限定
されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】塩化ビニル樹脂は樹脂
系材料中でも難燃性に優れた樹脂の一つである。しか
し、熱可塑性のため融点以上または軟化点以上の温度で
流動性を有し、高温下ではその成形物は著しい変形を生
じやすい。無機質充填剤の粉末を配合した成形物におい
ても、高温下における樹脂の流れを防止して成形物の変
形を抑制することは困難である。樹脂中に分散している
無機質充填剤の粉末も、樹脂とともに流動してしまうた
めである。
【0004】この課題に対し、熱可塑性樹脂材料を高温
下で架橋し、融点または軟化点以上の温度での流動性を
抑え形状を保持する方法が知られている(特開平6−2
40083)。しかし、この方法では成形温度で一部架
橋反応が起きてしまい、成形性を損なうことが少なくな
い。
【0005】また、一般に樹脂系材料の難燃性を上げる
ため無機質充填剤が多量に添加されるが、成形性と強度
物性の低下を引き起こす。特に塩化ビニル樹脂は他の熱
可塑性樹脂と比較して溶融流動特性に劣るため、無機質
充填剤を多量に添加した材料の成形は著しく困難とな
る。
【0006】本発明は強度物性、成形性に優れ、かつ高
温時に優れた変形抑制効果を有し、形状を保持した強固
な残渣を生成しうる難燃性塩化ビニル系樹脂組成物の提
供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、塩化ビニル系
重合体(A)を100重量部、塩化ビニル系重合体
(A)と非混和性である重合連鎖(X)95〜5重量%
と塩化ビニル系重合体(A)と混和性である重合連鎖
(Y)5〜95重量%とから構成される共重合体(B)
を1〜50重量部、無機繊維(C)を5〜100重量
部、および融点〜軟化点が800℃未満の無機物(D)
を1〜300重量部、の割合で含むことを特徴とする難
燃性塩化ビニル系樹脂組成物を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
〔塩化ビニル系重合体について〕本発明で用いられる塩
化ビニル系重合体(A)は公知の製造法、すなわち懸濁
重合法、乳化重合法、塊状重合法により得られる。平均
重合度が400〜1500の範囲のものが好ましく、4
50〜1000のものが特に好ましい。
【0009】ここにいう塩化ビニル系重合体とは、本質
的に塩化ビニル系重合体であって、構成成分の60重量
%以上が塩化ビニルに基づく重合単位であることを意味
する。具体的には、塩化ビニル単独重合体、エチレン−
塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合
体、エチレン・酢酸ビニル−塩化ビニルグラフト共重合
等が挙げられ、また後塩素化ポリ塩化ビニルも含まれ、
これらの1種単独であってもよく、2種以上の組合せの
ものでもよい。
【0010】〔共重合体(B)について〕本発明で用い
られる共重合体(B)は、重合連鎖(X)と重合連鎖
(Y)の両重合連鎖を同一重合体分子内にもつ構造から
なる。重合連鎖(X)は塩化ビニル系重合体と非混和性
の重合連鎖であり、重合連鎖(Y)は塩化ビニル系重合
体と混和性の重合連鎖である。重合連鎖(X)の長さは
塩化ビニル系重合体と非混和性を示すかぎり特に限定さ
れない。同様に重合連鎖(Y)の長さも塩化ビニル系重
合体と混和性を示すかぎり特に限定されない。
【0011】しかし、塩化ビニル系重合体と非混和性の
重合体を構成する重合単位と混和性の重合体を構成する
重合単位とが交互に重合した重合体は共重合体(B)と
して好ましくないことが多く、両単位がランダムに重合
した重合体も共重合体(B)として好ましくないないこ
とが多い。
【0012】したがって、共重合体(B)としては重合
連鎖(X)と重合連鎖(Y)をそれぞれ1以上有するブ
ロック共重合体またはグラフト共重合体が好ましい。グ
ラフト共重合体の場合、重合連鎖(X)は幹連鎖と枝連
鎖のいずれであってもよい。しかし、重合連鎖(X)が
幹連鎖で重合連鎖(Y)が枝連鎖であるグラフト共重合
体が発明の効果や製造の容易さなどの面で好ましい。
【0013】以下において、塩化ビニル系重合体と非混
和性の単独重合体となる単量体を単量体(m)といい、
塩化ビニル系重合体と混和性の単独重合体となる単量体
を単量体(n)という。また、単量体から由来しかつ重
合体を構成する単位を重合単位といい、また単量体
(m)に由来する重合単位を重合単位(m)、単量体
(n)に由来する重合単位を重合単位(n)という。ま
た具体的な重合単位の名称は単量体の名称に「重合単
位」を付して呼ぶ(例えば、「プロピレン重合単位」な
ど)。
【0014】重合連鎖(X)は、重合単位(m)のみの
連鎖からなることが好ましい。しかし、全体として塩化
ビニル系重合体と非混和性を示す重合連鎖となるかぎ
り、その重合連鎖には重合単位(n)や他の重合単位を
有していてもよい。他の重合単位としては、単量体
(m)と単量体(n)以外のものやそれらのいずれとも
判別しがたいものなどがある。重合連鎖(X)は2種以
上の重合単位(m)からなっていてもよく、重合単位
(n)や他の重合単位を有する場合も同様である。
【0015】同様に重合連鎖(Y)は、重合単位(n)
のみの連鎖からなっていてもよく、全体として塩化ビニ
ル系重合体と混和性を示す重合連鎖となるかぎり、その
重合連鎖には重合単位(m)や上記のような他の重合単
位を有していてもよい。また、各重合単位は2種以上含
まれていてもよい。
【0016】ここにいう混和性とは、熱力学的に安定な
状態で塩化ビニル系重合体と混和性重合体とが分子オー
ダーで混合されている状態、または界面になんらかの親
和力が働き、安定なミクロ相分離状態となる性質を意味
する。したがって、共重合体(B)は、重合連鎖(X)
および重合連鎖(Y)を同一分子内に有するため、塩化
ビニル系重合体の連続層中に、例えば粒子径0.1〜1
00μmの粒子状態で安定に分散しうる。
【0017】共重合体(B)を構成する重合連鎖(X)
と重合連鎖(Y)との割合は、前者が95〜5重量%、
後者が5重量%〜95重量%の範囲であり、前者が80
〜20重量%、後者が20重量%〜80重量%の範囲が
特に好ましい。
【0018】前者の量が5重量%未満では、塩化ビニル
系重合体の溶融流動特性を改善しえないため、該組成物
の成形性向上に効果がない。95重量%超では、塩化ビ
ニル系重合体との混和性に乏しいためマトリックスであ
る塩化ビニル系重合体中で充分に分散しないばかりか、
塩化ビニル系重合体との界面での接着力が強固でないた
め、得られる成形品の機械的強度が低下する。共重合体
(B)の分子量は特に制限はなく、平均分子量で100
0〜400000が好ましく、2000〜200000
が特に好ましい。
【0019】〔重合連鎖(X)の具体例について〕前記
のように重合連鎖(X)は重合単位(m)を含む連鎖か
らなる。重合単位(m)は単量体(m)の重合により形
成される。相対的に少量の単量体(n)や他の単量体が
単量体(m)と共重合されてもよい。しかし、重合連鎖
(X)としては実質的に1種以上の単量体(m)のみか
ら形成される重合連鎖が好ましい。
【0020】単量体(m)としては、塩化ビニル系重合
体と実質的に非混和性である重合体を与えるものであれ
ば限定されず、オレフィン系単量体、芳香族ビニル系単
量体などがある。特に重合連鎖(X)を形成するための
単量体としてはオレフィン系単量体が好適である。例え
ば、エチレン、プロピレン、その他α−オレフィンの単
独重合体またはこれらの単量体の組合せが挙げられる。
具体的には、エチレン、プロピレン、ブタジエン、エチ
レン−プロピレンの組合せ、プロピレン−ブテンの組合
せ等が重合連鎖(X)を形成するための単量体として適
当である。なかでもエチレン、プロピレンが好ましく、
プロピレンが特に好ましい。
【0021】〔重合連鎖(Y)の具体例について〕重合
連鎖(Y)は重合単位(n)を含む連鎖からなる。重合
単位(n)は単量体(n)の重合により形成されるが、
単量体(m)や他の単量体が単量体(n)と共重合され
てもよい。単量体(n)としては、塩化ビニル系重合体
と実質的に混和性である重合体を与えるものであれば限
定されず、アクリル酸アルキルエステル系単量体などの
アクリル酸系単量体、メタクリル酸アルキルエステル系
単量体などのメタクリル酸系単量体、シアン化ビニル系
単量体などがある。
【0022】シアン化ビニル系単量体は特に塩化ビニル
系重合体と混和性の高い重合体を形成するか、それのみ
の重合体は物性的に不充分であるので他の単量体と共重
合して重合連鎖(Y)を形成することが好ましい。シア
ン化ビニル系単量体と共重合させる単量体としては単量
体(m)が使用でき、特に芳香族ビニル系単量体が好ま
しい。
【0023】重合連鎖(Y)を形成する単量体としては
シアン化ビニル系単量体−芳香族ビニル系単量体の組合
せ、およびメタクリル酸アルキルエステル系単量体が特
に好ましい。
【0024】上記シアン化ビニル単量体の例としては、
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが、芳香族
ビニル単量体の例としてはスチレン、α−メチルスチレ
ン、ビニルトルエン、クロロスチレンなどがある。シア
ン化ビニル系単量体−芳香族ビニル系単量体の組合せと
してはアクリロニトリル−スチレンの組合せが特に好ま
しい。
【0025】シアン化ビニル系重合単位と芳香族ビニル
系重合単位からなる重合連鎖(Y)において、シアン化
ビニル系重合単位の割合は、重合連鎖(Y)中5〜80
重量%が好ましく、10〜50重量%が特に好ましい。
シアン化ビニル系重合単位の割合が少ないと、重合連鎖
(Y)の塩化ビニル系重合体に対する混和性に乏しいた
め共重合体(B)がマトリックスである塩化ビニル系重
合体中で充分に分散しえず、得られる成形品の機械的強
度が低下する。
【0026】メタクリル酸アルキルエステル系単量体の
例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル
などのアルキル部分の炭素数が4以下であるメタクリル
酸アルキルエステル単量体が好ましく、メタクリル酸メ
チルが特に好ましい。
【0027】重合連鎖(Y)を形成するための単量体と
しては、このメタクリル酸アルキルエステル系単量体の
1種以上、このメタクリル酸アルキルエステル系単量体
と他のメタクリル酸アルキルエステル単量体との組合
せ、このメタクリル酸アルキルエステル系単量体とメタ
クリル酸アルキルエステル系単量体以外の単量体との組
合せが好ましい。実質的にメタクリル酸メチル重合単位
のみからなるものが特に好ましい。
【0028】共重合体(B)の製造法は特に限定され
ず、従来公知の方法等を採用できる。例えば、単量体
(m)の1種以上を重合させた重合体にベンゾイルペル
オキシド、ジクミルペルオキシド等のラジカル発生剤を
使用し、所定の温度、例えば150〜250℃で単量体
(n)の1種以上を反応せしめ、グラフト共重合体とす
る方法が挙げられる。重合反応は必要に応じてトルエ
ン、キシレン等の溶剤を使用できる。
【0029】また、単量体(m)の1種以上をリビング
重合させた後、続いて、単量体(n)の1種以上を反応
させ、ブロック共重合体を直接的に得る方法、または、
単量体(m)の1種以上を重合させた重合体、および単
量体(n)の1種以上を重合させた重合体を別々に重合
させ、各重合体の末端の一方にカルボキシル基またはイ
ソシアネート基、他方に水酸基またはアミノ基を導入し
変性した重合体を反応させて共重合体(B)を得る方法
等が挙げられる。
【0030】本発明組成物における共重合体(B)の配
合割合は、塩化ビニル系重合体(A)100重量部に対
して1〜50重量部である。特に、5〜25重量部が好
ましい。1重量部未満では目的を達成しえず、50重量
部超では塩化ビニル系重合体本来の性質を変えてしま
う。
【0031】〔無機繊維(C)について〕無機繊維
(C)としては、ガラス繊維、カーボン繊維、ボロン繊
維、アルミナ繊維その他の無機繊維がある。物性や経済
性を考慮するとガラス繊維が最も好ましい。ガラス繊維
としては、市販されている種々の形態、例えばチョップ
ドストランド状のものまたはロービング状のガラス繊維
が用いられる。また、ガラス繊維径は1〜20μmであ
ることが好ましい。
【0032】さらに、ガラス繊維は、カップリング剤、
フィルムフォーマー、潤滑剤、その他の表面処理剤によ
る通常の表面処理が施されたものであってもよい。例え
ばカップリング剤としては、シランカップリング剤と呼
ばれる加水分解性基がケイ素原子に結合したシラン化合
物がある。具体的なシランカップリング剤としては以下
のような化合物がある。
【0033】γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキ
シシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジエト
キシシラン等のアクリルシラン系化合物、γ−グリドキ
シプロピルトリメトキシシラン等のエポキシシラン系化
合物、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β
−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン等のアミノシラン系化合物、ビニルトリメトキシシラ
ン等のビニルシラン系化合物、γ−クロロプロピルトリ
メトキシシラン等のクロロシラン系化合物。
【0034】無機繊維(C)としては、予め熱可塑性重
合体で被覆されているものが好ましい。無機繊維を被覆
する熱可塑性重合体としては、塩化ビニル系重合体と混
和性である重合体が好ましい。この熱可塑性重合体を形
成する単量体としては、前記単量体(n)や単量体
(n)と単量体(m)との組合せなどがある。ただし、
共重合体(B)で選択した単量体(n)と同一である必
要はない。また、前記において単量体(n)として例示
したものの他、酢酸ビニル、酢酸ビニル−エチレンの組
合せが好適な例として挙げられる。以下、この熱可塑性
重合体を被覆用樹脂ともいう。
【0035】被覆用樹脂には、種々の配合剤を配合して
もよい。例えば、上記のようなシランカップリング剤や
潤滑剤などの無機繊維の表面処理剤として使用される化
合物を被覆用樹脂に配合できる。
【0036】被覆用樹脂による無機繊維の被覆方法は、
例えば無機繊維の存在下に被覆用樹脂の単量体を重合す
る方法、溶融状態の被覆用樹脂を無機繊維に含浸させる
方法、または該樹脂の溶液もしくはエマルジョンを含浸
させた後に脱溶剤する方法、が好ましい。
【0037】ガラス繊維を例とすると、具体的には、チ
ョップドストランド状のガラス繊維を用いる場合、ガラ
ス繊維と単量体を共存させて懸濁重合を行う。一方、ロ
ービング状のガラス繊維を用いる場合、溶融状態の被覆
用樹脂を有する槽にガラス繊維を連続的に通過させるこ
とにより、ガラス繊維に樹脂を含浸させ、切断する方法
が好ましい。これらの方法により得られた樹脂被覆ガラ
ス繊維は、いずれの場合も1〜50mmの長さであるこ
とが取扱上好ましく、より好ましくは1〜20mmであ
る。
【0038】被覆された無機繊維中の被覆用樹脂量は、
被覆された無機繊維中において5重量%以上であること
が好ましい。被覆用樹脂量が5重量%未満では、無機繊
維が樹脂で完全に被覆されず、塩化ビニル系重合体と混
練の際、無機繊維の分散性および塩化ビニル系重合体と
の密着性が不充分となりやすい。また、被覆用樹脂量が
多すぎると、組成物中の全重合体成分に対する被覆用樹
脂の割合が高くなり、物性低下や経済性の面で不利とな
る。被覆用樹脂の量は、被覆無機繊維中において50重
量%以下、特に30重量%以下、であることが好まし
い。
【0039】組成物中の無機繊維の量は、塩化ビニル系
重合体100重量部に対して無機繊維は5〜100重量
部である。5重量部未満では、塩化ビニル系樹脂の難燃
性能の改良を達成できず、また、100重量部超では、
無機繊維添加効率がそれほど向上せず、逆に成形性が極
端に低下する。
【0040】組成物中の無機繊維を被覆した被覆用樹脂
の量は、塩化ビニル系重合体100重量部に対して10
0重量部以下、特に60重量部以下となる量が好まし
い。
【0041】〔融点〜軟化点が800℃未満の無機物
(D)について〕融点〜軟化点が800℃未満の無機物
は、繊維状成分のバインダーとして作用し、強固な残渣
を生成するのに有効である。融点〜軟化点が800℃未
満の無機物としては、いわゆる低融点ガラスが好ましく
採用される。
【0042】また、この無機物を2種以上併用でき、そ
の場合、融点〜軟化点は異なっていてもよい。融点〜軟
化点が比較的低い無機物と、融点〜軟化点が比較的高い
無機物とを併用することもできる。
【0043】組成物中の融点〜軟化点が800℃未満の
無機物の割合は、塩化ビニル系重合体100重量部に対
して1〜300重量部である。この無機物が1重量部未
満では強固な残渣を生成できず、300重量部超では組
成物の成形が困難となる。
【0044】低融点ガラスとしては、フリットと呼ばれ
る非晶質低融点ガラスや結晶化ガラスなどが採用され
る。具物的には、ホウ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラ
ス、硫酸塩系ガラス、テルライドガラス、カルコゲナイ
ドガラス、鉛系ガラスなどが挙げられる。
【0045】B23 −PbO−ZnO、B23 −P
bO−SiO2 、ZnO−B23−PbO、ZnO−
23 −SiO2 などのホウ酸塩系ガラス、カリウ
ム、ナトリウム、亜鉛、ニッケル、マンガン、銅、バナ
ジウム等の金属の硫酸塩を含む硫酸塩系ガラス、およ
び、P25 −Al23 −B23 、P25 −Al
23 −Li2 O、P25 −ZnO−Li2 O、P2
5 −ZnO−Na2 O、P25 −ZnO−K2 O、
25 −SnO−ZnOなどのリン酸塩系ガラスが好
ましい。
【0046】特に硫酸塩を含んだリン酸塩系ガラスが好
ましく、ガラス中の硫黄成分はSO 3 換算で0.1〜3
8モル%が好ましい。硫酸塩は塩化ビニル樹脂の難燃性
を向上させるのに有効であり、燃焼時の発煙量を大幅に
低減する。しかし、過度の含有は低融点ガラスの耐水性
を低下させるため、38モル%以下が好ましい。より充
分な耐水性を確保するには、20モル%以下であること
が好ましい。また、0.1モル%未満では発煙抑止効果
が少ない。
【0047】硫酸塩を含んだリン酸塩系低融点ガラスの
具体的な組成は、本質的に、 P25 15〜43モル%、 SO3 0.1〜38モル%、 Li2 O 0〜25モル%、 Na2 O 0〜25モル%、 K2 O 0〜25モル%、 CaO 0〜10モル%、 SrO 0〜10モル%、 BaO 0〜10モル%、 B23 0.1〜20モル%、 遷移金属、Mg、Al、SnおよびSbから選ばれる1
種以上の元素の酸化物 1〜55モ
ル%(元素換算)、 からなることが好ましい。
【0048】ここでいう「本質的」とは、上記成分をガ
ラス組成全量に対し、96モル%以上含有することをい
い、本発明の効果を損なわない範囲で他に微量成分を含
有できる。
【0049】P25 の含有量が上記範囲より少ない
と、融点が高くなり難燃効果が低下し、多いと耐水性が
低下する傾向がある。
【0050】また、B23 は、温度上昇に伴う急激な
粘度低下を防止し、繊維状成分のバインダーとして機能
するのに必要であり、20モル%超では耐水性が低下す
るおそれがある。0.1モル%未満では粘度が低下して
流動するため成形物の形状保持ができなくなるおそれが
ある。
【0051】Li2 O、Na2 O、K2 Oは含まなくて
もよいが、融点調整剤としてそれぞれ25モル%以下の
量を含有してもよい。CaO、SrO、BaOは含まな
くてもよいが、粘度調整剤としてそれぞれ10モル%以
下の量を含有してもよい。
【0052】遷移金属、Mg、Al、SnおよびSbか
ら選ばれる1種以上の元素の酸化物の含有量は、1モル
%未満では樹脂を難燃化する効果が充分でなく、55モ
ル%超では、ガラス質を形成しにくくなる。充分な難燃
効果を得るためには、10モル%以上であることが好ま
しい。ここで、「元素換算」とは、金属元素に換算した
モル数であることを示す。たとえばZnO、FeO、C
uOに換算して1〜55モル%であり、Al23 、S
23 に換算して0.5〜27.5モル%である。
【0053】ここでいう遷移金属元素には、例えば、
Y、Zr、Cr、Mo、Mn、Fe、Ni、Cu、Z
n、Pb等がある。このうち、第一遷移金属元素と呼ば
れるSc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、
Cu、Znが効果的な難燃性付与の観点から好ましく、
とりわけZn、Fe、Cuが好ましい。
【0054】本発明の組成物は、さらに発煙抑制剤が配
合されうる。発煙抑制剤としては、無機質成分の1種で
ある無機化合物が好ましい。また、有機金属錯体などの
他の発煙抑制剤も使用できる。発煙抑制剤の配合量は、
組成物全量中で1〜30重量%が好ましい。
【0055】発煙抑制剤は、例えば、金属水酸化物とし
ては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化
カルシウム、水酸化バリウム、塩基性炭酸マグネシウ
ム、塩基性硫酸マグネシウムなどが挙げられる。ホウ酸
塩としてはホウ酸亜鉛、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸マ
ンガン、ホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ砂
などのホウ酸塩、ケイ酸塩としてはケイ酸カルシウム、
ケイ酸ジルコニウムなどが挙げられる。有機金属錯体と
してはフェロセン、ビス(アセチルアセトナト)銅、ビ
ス(ジメチルグリオキシモ)銅、ビス(8−ヒドロキシ
キノリノ)銅、ビス(サリシルアルデヒド)銅などが挙
げられる。また、アンチモン、モリブデン、ジルコニウ
ム、ニッケル、チタン、鉄、カルシウム、リチウム、亜
鉛およびコバルトから選ばれる金属の酸化物、炭酸塩、
硫酸塩、硝酸塩が挙げられる。
【0056】特に好ましい発煙抑制剤は、水酸化アルミ
ニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウ
ム、塩基性硫酸マグネシウム、ホウ酸塩、フェロセン、
およびモリブデン、ジルコニウム、カルシウム、リチウ
ム、亜鉛および鉄から選ばれる金属の酸化物、炭酸塩で
ある。
【0057】本発明の組成物は成形に供される成形用組
成物として用いられることが好ましい。すなわちその組
成物単独で、または、さらに各種配合剤を添加して成形
に供される。この組成物の成形方法としては、熱可塑性
樹脂一般に適用される射出成形、押出成形、プレス成
形、カレンダー成形等の方法が挙げられる。具体的に
は、組成物の各パウダーまたはペレットをヘンシェルミ
キサーなどを用いてブレンドし、単軸または2軸押出機
などで150〜180℃で溶融混練し、成形物を得る。
特に、押出成形による成形物の製造に用いられる。
【0058】本発明の組成物には、公知の各種配合剤、
すなわち、塩化ビニル系樹脂用安定剤、耐衝撃改良剤、
滑剤、顔料、帯電防止剤、老化防止剤、充填剤、発泡
剤、難燃剤等を必要に応じて使用できる。これら配合剤
の代表的なものとしては、以下のものが挙げられる。
【0059】ジブチル錫メルカプチド、ジブチル錫ジラ
ウレート、ジブチル錫ジステアレート等の有機錫系熱安
定剤、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウ
ム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪族カルボン酸塩類の安定
剤、無機安定剤、エポキシ化大豆油等のエポキシ化合
物、有機リン酸塩、有機亜リン酸塩等の安定剤、MBS
樹脂やアクリルゴム等の耐衝撃改良剤、ワックス、金属
石鹸類、ステアリン酸等高級脂肪酸の滑剤、フェノール
系抗酸化剤、ホスファイト系安定剤、紫外線吸収剤等の
老化防止剤、カーボンブラック、水和ケイ酸カルシウ
ム、シリカ、炭酸カルシウム等の充填剤等。
【0060】これら配合剤の全量は、充填剤を除いて塩
化ビニル系重合体100重量部に対して50重量部以下
が好ましい。また、充填剤を含めてもこれら配合剤の全
量は塩化ビニル系重合体100重量部に対して100重
量部以下が好ましい。
【0061】本発明の組成物の成形物の形状は特に限定
されないが、各種断面形状を有する板状物、棒状物、管
状物などの押出成形物であることが好ましい。またその
用途としては、例えば、屋根、庇、雨樋等の屋根関連部
材、サイディング材、デッキ材、フェンス等の外装外壁
部材、窓枠、ドア、門扉等の開口部関連部材、内壁材、
床材、天井材、廻り縁、額縁、幅木、階段、手すり等の
内装関連部材、その他の建築部材や建装品、家具材、防
災ドラフト、看板等々がある。
【0062】
【実施例】以下に本発明を実施例(例1〜15)、比較
例(例16〜20)により具体的に説明するが、本発明
はこれらに限定されない。なお量を表す「部」は重量部
をいう。
【0063】〔塩化ビニル系重合体(A)の準備〕部分
ケン化ポリビニルアルコール(日本合成化学社製ゴーセ
ノールKH−20)3部、アゾビスイソブチロニトリル
0.5部、および純水3000部を別に用意した加圧型
反応器中に加え、窒素ガスで置換後、塩化ビニル単量体
1000部を仕込んだ。65℃で6時間反応させたの
ち、未反応の単量体を回収し、次いで脱水乾燥し、粉末
状の重合体950部を得た。得られた重合体の重合度は
800であった。以下これを重合体A−1とする。
【0064】〔共重合体(B)の準備〕メルトフローイ
ンデックス9g/10分のポリプロピレン60部、イル
ガノックス1010(チバガイギー社製酸化防止剤)
0.1部、ジクミルペルオキシド1部、アクリロニトリ
ル10部およびスチレン30部を窒素雰囲気下、170
℃で2時間重合を行った。重合終了後、アセトンで充分
に洗浄し、乾燥させて、共重合体を生成させた。
【0065】得られた共重合体はプロピレン重合単位か
らなる連鎖とアクリロニトリル重合単位−スチレン重合
単位からなる共重合連鎖とから構成されるグラフト共重
合体であった。プロピレン重合単位からなる連鎖は70
重量%、アクリロニトリル重合単位−スチレン重合単位
からなる共重合連鎖は30重量%であり、そのうちアク
リロニトリル重合単位とスチレン重合単位との重量比は
28/72であった。以下これを共重合体B−1とす
る。
【0066】アクリロニトリルおよびスチレンの仕込み
比率および仕込み量を変えた以外は、共重合体B−1と
同様の製造方法でグラフト共重合体を得た。得られたグ
ラフト共重合体はプロピレン重合単位からなる連鎖が5
0重量%、アクリロニトリル重合単位−スチレン重合単
位からなる共重合連鎖が50重量%であり、そのうちア
クリロニトリル重合単位とスチレン重合単位との重量比
は25/75であった。以下これを共重合体B−2とす
る。
【0067】ポリプロピレンのかわりにエチレンとプロ
ピレンの重合比が50/50であるエチレン−プロピレ
ン共重合体を用いた以外は共重合体B−1と同様の製造
方法でグラフト共重合体を得た。得られたグラフト共重
合体はエチレン重合単位−プロピレン重合単位からなる
共重合連鎖が70重量%、アクリロニトリル重合単位−
スチレン重合単位からなる共重合連鎖が30重量%であ
り、そのうちアクリロニトリル重合単位とスチレン重合
単位との重量比は26/74であった。以下これを共重
合体B−3とする。
【0068】アクリロニトリルおよびスチレンのかわり
にメタクリル酸メチル40部を用いた以外は共重合体B
−1と同様の製造方法でグラフト共重合体を得た。得ら
れたグラフト共重合体はプロピレン重合単位からなる連
鎖が70重量%、メタクリル酸メチル重合単位からなる
連鎖が30重量%であった。以下これを共重合体B−4
とする。
【0069】アクリロニトリル25部、スチレン75
部、2−メルカプトエタノール3部およびベンゾイルペ
ルオキシド0.5部をキシレン300部に溶解し、65
℃で5時間重合を行い、末端に水酸基を有するアクリロ
ニトリル−スチレン共重合体を得た。この重合体30部
と市販の末端カルボキシル変性プロピレン重合体(三洋
化成社製MPX−1001)70部をキシレン100部
に溶解した後、150℃で3時間反応させて、ブロック
共重合体を得た。得られたブロック共重合体はプロピレ
ン重合単位からなる連鎖が70重量%、アクリロニトリ
ル重合単位−スチレン重合単位からなる共重合連鎖が3
0重量%であり、アクリロニトリル重合単位とスチレン
重合単位の重量比は28/72であった。以下これを共
重合体B−5とする。
【0070】〔無機繊維(C)の準備〕長さ3mm、繊
維径13μmのチョップドストランド状のガラス繊維
(以下、ガラス繊維C−1という)280部をアクリロ
ニトリル40部、スチレン60部、ベンゾイルペルオキ
シド1部の混合溶液に充分含浸させたのち、水1800
部を添加し、80℃で5時間重合を行った。重合終了
後、水で充分に洗浄し、60℃で乾燥させた。得られた
被覆ガラス繊維中のガラス繊維含量は80重量%であ
り、アクリロニトリル重合単位とスチレン重合単位の重
量比率は28/72であった。以下これを被覆ガラス繊
維C−2とする。
【0071】〔低融点ガラス(D)の準備〕低融点ガラ
スの原料として、リン酸源にはH3 PO4 、リチウム源
にはLi2CO3 、ナトリウム源にはNa2 CO3 、カリ
ウム源にはK2 CO3 、カルシウム源にはCaCO3
アルミニウム源にはAl(OH)3 、ケイ素源にはSi
2 、ホウ素源にはB23 、チタン源にはTiO2、
鉛源、鉄源、イオウ源、フッ素源にはそれぞれ金属の酸
化物および/または硫酸塩、またはフッ化物を用いた。
これらを所定の割合で混合し得られたスラリーを125
℃で12時間乾燥後、白金坩堝に移し1100℃で30
分間加熱した。得られた融液をステンレス製ローラーに
流し込んで冷却しガラスフレークとし、さらにボールミ
ルで90分間粉砕後、100メッシュのふるいにかけ粉
末状ガラスを得た。得られた低融点ガラスをそれぞれD
−1〜D−5とし、各組成(単位:モル%)を表1に示
す。
【0072】ZnSO4 50モル%、Na2 SO4 25
モル%、K2 SO4 25モル%を混合し、白金坩堝中で
550℃で1時間加熱した。得られた融液をD−1〜D
−5同様に冷却、粉砕した。得られた粉末状ガラスをD
−6とする。
【0073】[例1〜20]重合体(A)として重合体
A−1、共重合体(B)として共重合体B−1、B−
2、B−3またはB−4、ガラス繊維(C)としてガラ
ス繊維C−1または被覆ガラス繊維C−2、低融点ガラ
スとして低融点ガラスD−1、D−2、D−3、D−
4、D−5またはD−6、発煙抑制剤として水酸化アル
ミニウムまたは水酸化マグネシウム、をそれぞれ表2〜
4に示す量(単位:部)およびジブチルスズメルカプチ
ド3部、ステアリン酸0.5部を配合し、ヘンシェルミ
キサーを用いてブレンドした。
【0074】続いて、L/D=25、圧縮比=2.2の
30mm単軸押出機を用いて、シリンダ温度180℃、
ダイス温度185℃、回転数20rpmで厚み3mm、
幅30mmの平板を押出成形した。
【0075】押出成形性および得られた平板の表面外
観、強度物性は以下に示す方法により評価、測定した。
また難燃性は平板を電気炉で室温から800℃まで20
分間で昇温させ、残渣の形状保持性、残渣の強度を評価
した。発煙性の評価はNBS発煙性試験装置(東洋精機
製作所製)を用いて行った。結果を表2〜4に示す。
【0076】押出成形性;スクリュー負荷指標(単位:
アンペア)、吐出量(単位:g/分)にて評価。 表面外観;A:表面光沢むらなく、かつ荒れ、ウネリな
し。B:表面光沢むらあり、または荒れ、ウネリあり。
C:表面光沢むらあり、かつ荒れ、ウネリあり。
【0077】引張強度(単位:102 kg/cm2 );
JIS K7113に準拠。 曲げ強度(単位:102 kg/cm2 )および曲げ弾性
率(単位:104 kg/cm2 );JIS K7203
に準拠。 アイゾット衝撃強度(ノッチ付き)(単位:kg・cm
/cm2 );JISK7110に準拠。
【0078】耐水性(単位:%);平板成形品を50℃
の温水中に7日間浸漬した後の引張強度保持率で評価。
【0079】残渣の形状保持性;A:変形少ない、C:
変形大〜形状保持できず。 残渣の強度;A:強固である、C:脆く強度なし。 発煙性;AA:最大発煙量が30未満、A:最大発煙量
が30以上50未満、B:最大発煙量が50以上100
未満、C:最大発煙量が100以上。
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】
【0082】
【表3】
【0083】
【表4】
【0084】
【発明の効果】難燃性塩化ビニル系樹脂組成物は、重合
連鎖(X)と重合連鎖(Y)で構成される共重合体
(B)を使用することにより、重合連鎖(X)による滑
性作用で塩化ビニル系樹脂の溶融特性を著しく向上せし
めるとともに、マトリックス樹脂である塩化ビニル系重
合体での重合連鎖(Y)による分散性および無機繊維と
の界面接着力強化との相乗効果により、強度、耐衝撃
性、弾性率、耐水性、表面外観性および成形性が著しく
改良される効果を発揮する。
【0085】また、加熱時、無機繊維がマトリックス樹
脂の変形を抑え、低融点ガラスが無機繊維のバインダー
として作用することにより、火災などのきわめて高温度
条件に曝されても、変形が少なく強固な残渣となり、非
常に優れた防火性能を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 53:00 51:00) (72)発明者 小沢 茂幸 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社中央研究所内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩化ビニル系重合体(A)を100重量
    部、塩化ビニル系重合体(A)と非混和性である重合連
    鎖(X)95〜5重量%と塩化ビニル系重合体(A)と
    混和性である重合連鎖(Y)5〜95重量%とから構成
    される共重合体(B)を1〜50重量部、無機繊維
    (C)を5〜100重量部、および融点〜軟化点が80
    0℃未満の無機物(D)を1〜300重量部、の割合で
    含むことを特徴とする難燃性塩化ビニル系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】共重合体(B)が、重合連鎖(X)と重合
    連鎖(Y)とから構成されるグラフト共重合体またはブ
    ロック共重合体である請求項1の組成物。
  3. 【請求項3】重合連鎖(X)が、オレフィン系単量体が
    重合した重合連鎖であり、重合連鎖(Y)がシアン化ビ
    ニル系単量体と芳香族ビニル系単量体が共重合した重合
    連鎖またはメタクリル酸アルキルエステル系単量体が重
    合した重合連鎖である請求項1または2の組成物。
  4. 【請求項4】重合連鎖(X)が、エチレンとプロピレン
    が共重合した重合連鎖またはプロピレンが重合した重合
    連鎖である請求項1、2または3の組成物。
  5. 【請求項5】重合連鎖(Y)が、アクリロニトリルとス
    チレンが共重合した重合連鎖またはメタクリル酸メチル
    が重合した重合連鎖である請求項1〜4のいずれかの組
    成物。
  6. 【請求項6】無機繊維(C)が、塩化ビニル系重合体
    (A)と混和性である熱可塑性重合体で被覆された無機
    繊維である請求項1〜5のいずれかの組成物。
  7. 【請求項7】被覆された無機繊維が、塩化ビニル系重合
    体(A)と混和性である重合体を形成する単量体を無機
    繊維の存在下に懸濁重合させて得られるものである請求
    項6の組成物。
  8. 【請求項8】無機繊維(C)を被覆する熱可塑性重合体
    が、シアン化ビニル系単量体と芳香族ビニル系単量体と
    の共重合体である請求項6または7の組成物。
  9. 【請求項9】無機繊維が、ガラス繊維である請求項1〜
    8のいずれかの組成物。
  10. 【請求項10】無機物(D)が、低融点ガラスである請
    求項1〜9のいずれかの組成物。
  11. 【請求項11】低融点ガラスが、リン酸塩系ガラス、硫
    酸塩系ガラス、またはホウ酸塩系ガラスである請求項1
    0の組成物。
  12. 【請求項12】低融点ガラスが、硫酸塩を含むリン酸塩
    系ガラスである請求項10の組成物。
  13. 【請求項13】硫酸塩を含むリン酸塩系ガラスの組成
    が、イオウ成分をSO3 換算で0.1〜38モル%含む
    請求項12の組成物。
  14. 【請求項14】硫酸塩を含むリン酸塩系ガラスの組成が
    本質的に、 P25 15〜43モル%、 SO3 0.1〜38モル%、 Li2 O 0〜25モル%、 Na2 O 0〜25モル%、 K2 O 0〜25モル%、 CaO 0〜10モル%、 SrO 0〜10モル%、 BaO 0〜10モル%、 B23 0.1〜20モル%、 遷移金属、Mg、Al、SnおよびSbから選ばれる1
    種以上の元素の酸化物 1〜55モ
    ル%(元素換算)、 からなる請求項13の組成物。
  15. 【請求項15】さらに発煙抑制剤を含有してなる請求項
    1〜14のいずれかの組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4853490A (en) * 1985-11-08 1989-08-01 Societa' Cavi Pirelli S.P.A. Laminated paper-plastic insulating tape and cable including such tape
JP2007262167A (ja) * 2006-03-28 2007-10-11 Tsutsunaka Plast Ind Co Ltd 塩化ビニル樹脂組成物
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