JPH1078155A - 高耐久型電磁弁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間作動しても確実な弁作用を維持するこ
とができる高耐久型電磁弁を提供する 【解決手段】 プランジャ１２先端に球形弁体１６を保
持してなる電磁弁において、プランジャ先端部に内部に
球形弁体１６を収納する円筒状の弁体ホルダー１３を固
定し、弁体ホルダー１３の弁体受け上面１８に対向する
下面を該上面と平行な平面に形成し、面積を大きくする
ことにより高耐久型電磁弁としたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、プランジャ先端に
球形弁体を備えた電磁弁に関し、特にその耐久性を向上
した高耐久型電磁弁に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から電磁弁としては各種の形式のも
のが、それぞれの用途に応じ、また要求特性に応じて使
用されているが、その一つとして、電磁コイルへの通電
により吸引子を励磁し、プランジャを吸着してプランジ
ャの先端に設けた弁体を弁座に離着させることにより弁
作用を行わせるようにしたものがある。このような電磁
弁において、プランジャの先端に設ける弁体として、球
端の弁体を用い、この球形の弁体をプランジャの先端に
固定し、この球形の弁体に対応した形状を有する弁座に
対して接離させるようにした電磁弁が存在する。

【０００３】この電磁弁においては、図４に示すよう
に、黄銅製の弁本体３０に設けた第１通路３１と第２通
路３２との間に本体通路３３を形成し、この本体通路の
上端部を弁座３４とすると共に、弁本体３０の上部支持
筒３５にプランジャチューブ３６を固定し、プランジャ
チューブ３６内の上端部に吸引子３７を固定している。
また、プランジャチューブ３６内の吸引子３７下部に
は、スプリング３８を介してプランジャ４０を摺動自在
に収納しており、プランジャ４０の下端には、弁体収納
凹部４１を形成している。弁体収納凹部４１の開口下端
部にはカシメ部４２が突出形成されており、弁体収納凹
部４１にステンレス鋼からなる球形弁体４３を収納した
状態で、前記複数のカシメ部４２を内側に折り曲げるこ
とにより、球形弁体４３を弁体収納凹部４１内に収納固
定している。プランジャチューブの外周には、図示され
ない電磁コイルが固定されており、電磁コイルへの通電
により吸引子３７を励磁し、プランジャを吸引して球形
弁体４３を弁座３４から離し、弁を解放すると共に、電
磁コイルへの通電を停止するとき、スプリング３８によ
り図示状態に弁体を戻し弁を閉鎖している。

【０００４】上記電磁弁において球形弁の固定部及びそ
の弁体による弁座部分をみると、球形弁体４３が弁座３
４を閉鎖した状態を拡大図示した図５に示すように、球
形弁体４３を下方から保持しているカシメ部４２は、球
形弁体４３が弁座３４と接触している状態において弁体
受けを構成する弁座形成凸部４４の上面４５と間隔ａを
有するように設定されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の電
磁弁においては、この電磁弁を長時間使用していると、
弁座３４部分は、弁本体と一体的に形成されているため
比較的柔らかい黄銅製であり、一方球形弁体４３は比較
的硬いステンレス鋼であるため、弁座が球形弁体４３の
衝撃的な当接の繰り返しにより次第に磨耗し、図６に示
すように、上記弁体受けを構成する弁座形成凸部４４の
上面４５とカシメ部４２の先端４６との間隔ａがなくな
り、両者が当接することとなる。この当接部分を更に拡
大してみると、図７に示すように、カシメ部４２の先端
は内側に曲げられた際に生じる角部４７が前記上面４５
に衝突することとなる。

【０００６】このように上面４５に衝突する部分の面積
が狭いため、上面４５を変形させる力が強く、この衝突
する部分が弁座３４に接近していることもあり、弁座３
４の一部を突出変形させることとなる。弁座３４の一部
が突出変形すると、球形弁体４３はその突出部に当接し
て閉弁状態となったとき、弁座３４の面に均等に接触す
ることができず、間隙を生じるため、その間隙から流体
が漏れ、実質的に閉弁することができなくなる。特に電
磁弁デューテイ制御式の電磁弁として使用する際には、
開閉作動回数が極めて多いので、早期に流体漏れや正確
な制御を行うことができなくなる欠点があった。

【０００７】したがって、本発明は、長期間作動しても
確実な弁作用を維持することができる高耐久型電磁弁を
提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、プランジャ先端に球形弁体を保持してなる
電磁弁において、プランジャ先端部に内部に球形弁体を
収納する円筒状の弁体ホルダーを固定し、弁体ホルダー
の弁体受け上面に対向する下面を該上面と平行な平面に
形成し面積を大きくすることにより高耐久型電磁弁とし
たものである。

【０００９】本発明は、上記のように構成したので、電
磁コイルの作用によりプランジャが上下動し、プランジ
ャ先端に設けた球形弁体は弁座に対して接離し、弁を開
閉する。この時、球形弁体を保持する弁体ホルダーの下
面が弁体受け上面に当接しても、両面は平行な平面であ
るので当接時の衝撃は少なく、弁座を変形させることが
なく、弁の長期間の使用に際しても確実な閉弁作用を維
持する。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明の実施例を図面に沿って説
明する。電磁弁の全体構成は、前記図４に示すものと同
様であり、弁本体１に設けた第１通路２と第２通路３と
の間に本体通路４を形成したステンレス鋼等からなる弁
体受け５を固定し、この本体通路４の上端部を弁座６と
している。弁本体１の上部支持筒７にプランジャチュー
ブ８を固定し、プランジャチューブ８内の上端部に吸引
子１０を固定している。また、プランジャチューブ８内
の吸引子１０下部には、スプリング１１を介してプラン
ジャ１２を摺動自在に収納しており、プランジャ１２の
下端には、弁体受けと同様にステンレス鋼等からなる弁
体ホルダー１３を固定している。

【００１１】図２に示すように、弁体ホルダー１３の内
面１４は円筒形をなし、その下端部は内側に曲げられ弁
体保持部１５としている。弁体ホルダー１３の内部に
は、ステンレス鋼からなる球形弁体１６を収納してお
り、図１の実施例において、図１（ｂ）に示すように、
球形弁体１６は弁体ホルダー１３内の弁体収納空間１７
に弁体保持部により間隙ｃを有し移動可能に保持されて
いる。プランジャチューブ８の外周には図示されない電
磁コイルが固定されており、電磁コイルへの通電により
吸引子１０を励磁し、プランジャ１２を吸引して球形弁
体１６を弁座６から離し、弁を解放すると共に、電磁コ
イルへの通電を停止するとき、スプリング１１により図
示状態に弁体を戻し、弁を閉鎖している。

【００１２】上記電磁弁の製作当初においては、弁体ホ
ルダー１３の下端面１７は弁体受け５の上面１８と、前
記図５に示す従来の電磁弁における間隔ａに相当する間
隔を有するように設定され製作される。それにより、こ
の電磁弁の使用初期、あるいは通常の使用範囲において
は、プランジャが降下して、球形弁体１６が弁座６に当
接し、弁を閉鎖している状態で、弁体ホルダー１３の下
端面１７は、弁体受け５の上面１８と当接することがな
く、通常の電磁弁作用をなす。

【００１３】この電磁弁の長期の使用に際して、球形弁
体１６が弁座６を押圧変形し、あるいは磨耗させる等に
より、図２に示すように球形弁体１６の閉弁位置が下降
した時には、弁体ホルダー１３の下端面１７が弁体受け
５の上面１８と当接するに至る。しかしながら、この電
磁弁においては、弁体ホルダー１３の下面１７と弁体受
け５の上面１８とが平行な平面をなすように形成されて
おり、この当接時には、両者が広い面における面接触を
行なわれているので、両者の当接によって、従来のもの
のような弁座を変形させることがなくなり、電磁弁の耐
久性が向上する。

【００１４】特に、弁体ホルダーあるいは弁体受けがス
テンレス製であるので、両者の当接によっても弁座が変
形することがなく、更に電磁弁の耐久性が向上する。ま
た、弁体ホルダー１３の上部、即ち弁体ホルダー内に収
納される球形弁体の上部に対向する部分に、弁体ホルダ
ーの内外を連通する通孔２０を設けると、電磁弁の長期
使用に際して球形弁が弁体ホルダー内で上下動するよう
になっても、球形弁の弁座閉鎖直前時に、球形弁の弁座
対向面が低圧となり、球形弁体の上方に通孔２０から高
圧流体の圧力が作用するので、球形弁体はその圧力差に
より確実に弁座を閉鎖することができる。

【００１５】上記通孔２０の作用を利用し、図３に示す
実施例の電磁弁においては、弁体ホルダー１３の高さ方
向を先の実施例より大きく形成し、弁体ホルダー１３の
内部に収納する球形弁体１６は、図示閉弁状態において
球形弁体１６の上端部とプランジャ１２の下面２１との
間に間隙ｂを有するように設定している。この閉弁状態
においては、弁体ホルダー１３の下面１７と弁体受け５
の上面１８とが接触した状態でプランジャの降下を受け
ており、弁体は単に通孔２０からの流体の圧力を受ける
のみであり、プランジャの降下時の衝撃を受けることが
ない。そのため、弁座の変形や磨耗が防止され、耐久性
の高い電磁弁とすることができる。

【００１６】

【発明の効果】本発明は、上記のように構成したので、
球形弁体が弁座を開閉する時、球形弁体を保持する弁体
ホルダーの下面が弁体受け上面に当接しても、両面は平
行な平面であり、この当接時には、両者が広い面におけ
る面接触を行なわれているので、当接時の衝撃は少な
く、弁座を変形させることがなく、従来１００万回の弁
の開閉により使用ができなくなるものを、本発明では、
１０００万回の使用に耐え、弁の長期間の使用に際して
も確実な閉弁作用を維持することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）は本発明の実施例の高耐久型電磁弁の全
体構成を示す断面図、（ｂ）はその一部拡大断面図であ
る。

【図２】同球形弁体及び弁座部分の拡大断面図である。

【図３】本発明の他の実施例の球形弁体及び弁座部分の
拡大断面図である。

【図４】従来の電磁弁の全体構成を示す断面図である。

【図５】同球形弁体及び弁座部分の拡大断面図である。

【図６】同電磁弁の長期使用時状態を示す球形弁体及び
弁座部分の拡大断面図である。

【図７】図６の要部拡大断面図である。

【符号の説明】

１ 弁本体 ２ 第１通路 ３ 第２通路 ４ 本体通路 ５ 弁体受け ６ 弁座 ７ 上部支持筒 ８ プランジャチューブ １０ 吸引子 １１ スプリング １２ プランジャ １３ 弁体ホルダー １４ 内面 １５ 弁体保持部 １６ 球形弁体 １７ 収納空間 １８ 上面 ２０ 通孔

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 プランジャ先端に球形弁体を保持してな
   る電磁弁において、プランジャ先端部に内部に球形弁体
   を収納する円筒状の弁体ホルダーを固定し、弁体ホルダ
   ーの弁体受け上面に対向する下面を該上面と平行な平面
   に形成したことを特徴とするとする高耐久型電磁弁。
2. 【請求項２】 球形弁体を弁体ホルダー内に固定し、電
   磁弁の作動初期状態において、球形弁が弁座に当接した
   とき弁体ホルダーの下面と弁体受け上面との間に間隙を
   形成してなる請求項１記載の高耐久型電磁弁。
3. 【請求項３】 球形弁体を弁体ホルダー内で可動に保持
   し、かつ、弁体ホルダーの該下面が弁体受け上面に当接
   した状態で球形弁体が弁体ホルダー内で弁座に対して接
   離可能となるよう球形弁体の上部とプランジャ下面との
   間に間隙を形成してなる請求項１記載の高耐久型電磁
   弁。
4. 【請求項４】 弁体ホルダーの上部に弁体ホルダーの内
   外を連通する通孔を形成してなる請求項１ないし請求項
   ３のいずれかに記載の高耐久型電磁弁。
5. 【請求項５】 弁体ホルダーをステンレス鋼で成形して
   なる請求項１ないし請求項３のいずれかに記載の高耐久
   型電磁弁。
6. 【請求項６】 弁座形成部をステンレス鋼で成形し弁体
   に固定してなる請求項１ないし請求項４のいずれかに記
   載の高耐久型電磁弁。